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特許7579800TSCHの1次及び2次ネットワークにおける最適化されたユニキャスト及びブロードキャスト通信
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】TSCHの1次及び2次ネットワークにおける最適化されたユニキャスト及びブロードキャスト通信
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/715 20110101AFI20241031BHJP
   H04W 76/11 20180101ALI20241031BHJP
【FI】
H04B1/715
H04W76/11
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021556572
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020022892
(87)【国際公開番号】W WO2020190830
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】16/359,490
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー,ジェイムズ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ホルコム,マイケル ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ヘット,クリストファー スコット
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ローレンス
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0132182(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0022084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/69-1/719
H04J 1/00-1/20
H04J 4/00-13/22
H04J 99/00
H04L 5/00-5/12
H04W 76/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニキャストメッセージを送信するための方法であって、上記方法は、
第1のノードによって、ユニキャストメッセージを第2のノードに送信すると決定することと、
1次時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて通信するように構成された上記第1のノードによって、上記1次TSCHネットワークにおいて通信するように構成された上記第2のノードのメディアアクセス制御(MAC)アドレスを取得することと、
上記第1のノード及び上記第2のノードが2次TSCHネットワークにおいてさらに通信するように構成されるか否かを決定することと、
上記第1のノード及び上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークにおいてさらに通信するように構成されるという決定に応答して、
上記1次TSCHネットワークのための時間スロットの1次部分の指定された遅延期間にわたって、かつ、上記1次TSCHネットワークのための時間スロットの2次部分の開始後まで、上記ユニキャストメッセージの送信をオフセットすることと、
上記第2のノードに係る上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期することと、
上記第1のノードによって、上記時間スロットの2次部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいて上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信することとを含み、
上記1次TSCHネットワークは、時間スロットごとにチャネル周波数を切り換えるように構成された1次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記2次TSCHネットワークは、複数の時間スロットの後でチャネル周波数を切り換えるように構成された2次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記指定された遅延期間にわたって送信をオフセットすることにより、上記第1のノードは、上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークにおいてリッスンしているとき、上記時間スロットの2次部分中に上記ユニキャストメッセージを送信し、
上記指定された遅延期間は、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として決定され、
上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であり、上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であり、上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間である、
方法。
【請求項2】
上記時間スロットの1次部分は、ブロードキャスト又はマルチキャストメッセージを送信するために優先される、
請求項記載の方法。
【請求項3】
上記第2のノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられ、
上記第1のノードは、上記第1のノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記第2のノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信することを決定する、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信する前に、上記第1のノードは、上記1次TSCHネットワークを介して上記第2のノードからの通信情報を受信し、上記通信情報は、上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換える頻度よりも低い頻度で周波数を切り換える、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換えるレートと同じレートで周波数を切り換える、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記方法は、上記第1のノード及び上記第2のノードが上記1次TSCHネットワークにおいて通信するようにのみ構成されていると決定することに応答して、上記時間スロットの1次部分中にユニキャストフレームを送信することを含み、上記時間スロットは、上記1次TSCHネットワークのための競合アクセス期間の時間スロットである、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
送受信機と、メモリと、上記送受信機及び上記メモリに通信可能に接続されたプロセッサとを備える、時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークノードであって、
上記プロセッサは、1次TSCHネットワークにおいて通信するためのMACアドレスを有するメディアアクセス制御(MAC)レイヤを含む、プロトコルスタックを実装するように構成され、上記MACアドレスは、上記1次TSCHネットワーク及び2次TSCHネットワークのためのアドレス指定を定義し、
上記1次TSCHネットワークは、時間スロットごとにチャネル周波数を切り換えるように構成された1次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記2次TSCHネットワークは、複数の時間スロットの後でチャネル周波数を切り換えるように構成された2次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記プロセッサはさらに、
上記TSCHネットワークノードのメモリに格納された近傍テーブルを参照して第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスを取得することと、
1次TSCHネットワーク時間スロットの1次部分の遅延期間の後に、上記TSCHネットワークノードの送受信機により
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期させ、
上記1次TSCHネットワーク時間スロットの2次部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいてユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信させることとを行うように構成され
上記プロセッサは、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として上記遅延期間を決定するように構成され、
上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であり、上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であり、上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間である、
TSCHネットワークノード。
【請求項9】
上記第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHネットワークノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられ、
上記TSCHネットワークノードは、上記TSCHネットワークノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信することを決定する、
請求項記載のTSCHネットワークノード。
【請求項10】
上記プロセッサは、上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信する前に、上記1次TSCHネットワークを介して上記第2のTSCHネットワークノードからの通信情報を受信するように構成され、上記通信情報は、上記第2のTSCHネットワークノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含み、
上記プロセッサは、上記TSCHネットワークノードのメモリの近傍テーブルにおける上記第2のTSCHネットワークノードに関連付けられたエントリに、上記能力情報要素に対応する表示を格納する、ように構成される、
請求項記載のTSCHネットワークノード。
【請求項11】
上記プロセッサは、上記TSCHネットワークノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む通信情報を、上記送受信機により上記1次TSCHネットワークを介してブロードキャストさせるように構成される、
請求項記載のTSCHネットワークノード。
【請求項12】
1次TSCHネットワークにおいて互いに通信可能に接続された複数の時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ノードを含むシステムであって、
上記1次TSCHネットワークは、時間スロットごとにチャネル周波数を切り換えるように構成された1次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記複数のTSCHノードのうちの各TSCHノードは、
送受信機と、
メモリと、
上記送受信機及び上記メモリに通信可能に接続されたプロセッサとを備え、
上記プロセッサは、上記1次TSCHネットワークにおいて通信するためのMACアドレスを有するメディアアクセス制御(MAC)レイヤを含むプロトコルスタックを実装するように構成され、上記MACアドレスは、上記1次TSCHネットワーク及び2次TSCHネットワークのためのアドレス指定を定義し、
上記2次TSCHネットワークは、複数の時間スロットの後でチャネル周波数を切り換えるように構成された2次TSCHプロトコルを用いて動作し、
上記複数のTSCHノードのうちの第1のTSCHノードのプロセッサはさらに、
上記第1のTSCHノードの送受信機により、上記複数のTSCHノードのうちの第2のTSCHノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む第1の通信情報を、上記第2のTSCHノードから上記1次TSCHネットワークを介して受信させることと、
上記第1のTSCHノードの送受信機により、上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期させることと、
1次TSCHネットワーク時間スロットの1次部分の遅延期間の後に、上記第1のTSCHノードの送受信機により、上記1次TSCHネットワーク時間スロットの2次部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいてユニキャストフレームを上記第2のTSCHノードに送信させることとを行うように構成され
上記複数のTSCHノードのうちの上記第1のTSCHノードの上記プロセッサは、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として上記遅延期間を決定するように構成され、
上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であり、上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であり、上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間である、
システム。
【請求項13】
上記複数のTSCHノードのうちの各TSCHノードのプロセッサは、他のTSCHノードからの通信情報において受信された能力情報要素に対応する表示を近傍テーブルに格納するように構成され、
上記能力情報要素は、上記他のTSCHノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
上記複数のTSCHノードのうちの各TSCHノードのプロセッサは、上記TSCHノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む第2の通信情報を、上記送受信機により上記1次TSCHネットワークを介してブロードキャストさせるように構成される、
請求項12記載のシステム。
【請求項15】
上記1次TSCHネットワーク時間スロットの1次部分が経過した後で、上記遅延期間にわたって送信を遅延させること、上記第1のTSCHノードの送受信機により上記ユニキャストフレームを送信させる、
請求項12記載のシステム。
【請求項16】
上記第2のTSCHノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられ、
上記第1のTSCHノードは、上記第1のTSCHノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記第2のTSCHノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHノードに送信することを決定する、
請求項12記載のシステム。
【請求項17】
上記次TSCHネットワーク時間スロットの1次部分は、ブロードキャスト又はマルチキャストフレームを送信するために優先される、
請求項12記載のシステム。
【請求項18】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換える頻度よりも低い頻度で周波数を切り換える、
請求項12記載のシステム。
【請求項19】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換えるレートと同じレートで周波数を切り換える、
請求項12記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、TSCHの1次及び2次ネットワークにおける最適化されたユニキャスト及びブロードキャスト通信に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において別途述べていない限り、このセクションに記載した内容は、本願の請求項に対する従来技術ではなく、このセクションに含むことで従来技術として自認したものではない。
【0003】
例えばIEEE802.15.4で定義されたような時間スロットチャネルホッピング(time-slotted channel hopping:TSCH)ネットワークは、リソースプロバイダ(例えば、公益事業会社、ホームオートメーションプロバイダ、産業用オートメーションプロバイダなど)のための通信ネットワークを提供することができる。資源提供者は、TSCHノード(例えば、電力メーター、ルータなど)又はエンドポイント(endpoints:EP)と、リソース(例えば、電力、熱、水など)の消費をモニタリング又は管理するために使用される低エネルギー(LE)装置又はLEエンドポイント(LEEP)との間で通信するためにTSCHネットワークを用いてもよい。いくつかの場合には、LEEPは、スマート電力グリッド及びスマートホーム技術において使用可能である、モノのインターネット(Internet-Of-Things:IoT)の機能を可能にした装置であってもよい。
【0004】
現在、TSCHネットワークでは、「リンク」の概念が存在し、ここでは、例えば、ノードが時間スロット同期化のためのビーコンを送信するための保証付き時間スロットと、ユニキャスト及びブロードキャストメッセージの両方の一般的な通信のための競合アクセス期間(contention access period:CAP)時間スロットとが存在する。ユニキャストメッセージは、ネットワークにおける他の1つのノードに送信されるメッセージである。マルチキャスト/ブロードキャストメッセージは、ネットワークにおける複数のノードのグループに送信されるメッセージである。ノードは、チャネルが利用可能であることを検証するためにクリアチャネル評価(clear channel assessment:CCA)を使用するが、これは、時間同期されていない競合装置からチャネルを保護するだけであり、それ自体、同じパーソナルエリアネットワーク(personal area network:PAN)内のノードが互いの通信に干渉することを禁止するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つ(又はより多くの)ノードが同時にフレームを送信する場合、いずれもそのフレームを成功裡に送信することはない。それらのフレームがユニキャストパケットである場合、メディアアクセス制御(media access control:MAC)レイヤのリトライが行われ、これにより、宛先ノードからのMACレイヤ肯定応答が受信されなければ、ランダムなバックオフ期間にリトライを行う。同時に送信されたフレームのうちの1つ又は複数がブロードキャストフレームである場合、ブロードキャストフレームに肯定応答するロジックは存在しない。したがって、ブロードキャストフレームが他のノードによってまったく受信されない可能性があり、送信ノードは、フレームが他のノードによって受信されたか否かを知るすべをもたない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1次及び2次ネットワークを用いてブロードキャスト及びユニキャストメッセージを送信するための方法及びシステムが提供される。
【0007】
様々な態様によれば、ユニキャストメッセージを送信するための方法が提供される。いくつかの態様では、本方法は、
第1のノードによって、ユニキャストメッセージを第2のノードに送信すると決定することと、
1次時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークにおいて通信するように構成された上記第1のノードによって、上記1次TSCHネットワークにおいて通信するように構成された上記第2のノードのメディアアクセス制御(MAC)アドレスを取得することと、
上記第1のノード及び上記第2のノードが2次TSCHネットワークにおいてさらに通信するように構成されるか否かを決定することと、
上記第1のノード及び上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークにおいてさらに通信するように構成されるという決定に応答して、
上記ユニキャストメッセージの送信を、上記1次TSCHネットワークのための時間スロットの第2の部分までオフセットすることと、
上記第2のノードに係る上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期することと、
上記第1のノードによって、上記時間スロットの第2の部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいて上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信することとを含む。
【0008】
上記第1のノードは、上記時間スロット中における上記ユニキャストメッセージの送信を、指定された遅延期間にわたってオフセットしてもよい。上記指定された遅延期間にわたって送信をオフセットすることにより、上記第1のノードは、上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークにおいてリッスンしているとき、上記時間スロットの第2の部分中に上記ユニキャストメッセージを送信してもよい。
【0009】
上記指定された遅延期間は、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として決定されてもよい。上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であってもよい。上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であってもよい。上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間であってもよい。上記時間スロットの1次部分は、ブロードキャスト/マルチキャストメッセージを送信するために優先されてもよい。
【0010】
上記第2のノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられてもよい。上記第1のノードは、上記第1のノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記第2のノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信することを決定してもよい。
【0011】
上記ユニキャストメッセージを上記第2のノードに送信する前に、上記第1のノードは、上記1次TSCHネットワークを介して上記第2のノードからの通信を受信してもよい。上記通信は、上記第2のノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含んでもよい。
【0012】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換える頻度よりも低い頻度で、又は同じレードで周波数を切り換えてもよい。
【0013】
上記第1のノード及び上記第2のノードが上記1次TSCHネットワークにおいて通信するようにのみ構成されていると決定することに応答して、上記時間スロットの1次部分中に上記ユニキャストフレームが送信されてもよい。上記時間スロットは、上記1次TSCHネットワークのための競合アクセス期間の時間スロットであってもよい。
【0014】
様々な態様によれば、時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ネットワークノードが提供される。いくつかの態様では、上記TSCHネットワークノードは、送受信機と、メモリと、上記送受信機及び上記メモリに通信可能に接続されたプロセッサとを含んでもよい。上記プロセッサは、1次TSCHネットワークにおいて通信するためのMACアドレスを有するメディアアクセス制御(MAC)レイヤを含むプロトコルスタックを実装するように構成されてもよい。上記MACアドレスは、上記1次TSCHネットワーク及び2次TSCHネットワークのためのアドレス指定を定義してもよい。
【0015】
上記プロセッサはさらに、上記TSCHネットワークノードのメモリに格納された近傍テーブルを参照して第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスを取得するように構成されてもよい。1次TSCHネットワーク時間スロットの第1の部分の遅延期間の後に、上記プロセッサは、上記TSCHネットワークノードの送受信機に、上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期させ、上記1次TSCHネットワーク時間スロットの第2の部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいてユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信させてもよい。
【0016】
上記プロセッサは、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として上記遅延期間を決定するように構成されてもよい。上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であってもよい。上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であってもよい。上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間であってもよい。
【0017】
上記第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHネットワークノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられてもよい。上記TSCHネットワークノードは、上記TSCHネットワークノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHネットワークノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信することを決定してもよい。
【0018】
上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信する前に、上記1次TSCHネットワークを介して上記第2のTSCHネットワークノードからの通信を受信してもよい。上記通信は、上記第2のTSCHネットワークノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含んでもよい。能力情報要素に対応する表示は、TSCHネットワークノードのメモリの近傍テーブルにおける第2のTSCHネットワークノードに関連付けられたエントリに格納されてもよい。
【0019】
また、上記プロセッサは、上記TSCHネットワークノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む通信を、上記送受信機に上記1次TSCHネットワークを介してブロードキャストさせるように構成されてもよい。
【0020】
様々な態様によれば、いくつかの態様ではシステムが提供され、上記システムは、1次TSCHネットワークにおいて互いに通信可能に接続された複数の時間スロットチャネルホッピング(TSCH)ノードを含んでもよい。TSCHノードの各々は、送受信機と、メモリと、上記送受信機及び上記メモリに通信可能に接続されたプロセッサとを含んでもよい。上記プロセッサは、上記1次TSCHネットワークにおいて通信するためのMACアドレスを有するメディアアクセス制御(MAC)レイヤを含むプロトコルスタックを実装するように構成されてもよい。上記MACアドレスは、上記1次TSCHネットワーク及び2次TSCHネットワークのためのアドレス指定を定義してもよい。
【0021】
上記複数のTSCHノードのうちの第1のTSCHノードのプロセッサはさらに、
上記第1のTSCHノードの送受信機に、上記第2のTSCHノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む第1の通信を、上記複数のTSCHノードのうちの第2のTSCHノードから上記1次TSCHネットワークを介して受信させることと、
上記第1のTSCHノードの送受信機に、上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期させることと、
1次TSCHネットワーク時間スロットの第1の部分の遅延期間の後に、上記第1のTSCHノードの送受信機に、上記1次TSCHネットワーク時間スロットの第2の部分中に、上記2次TSCHネットワークにおいてユニキャストフレームを上記第2のTSCHネットワークノードに送信させることとを行うように構成されてもよい。
上記1次TSCH時間スロットの1次部分が経過した後で、上記遅延期間にわたって送信を遅延させることにより、上記第1のTSCHノードの送受信機に上記ユニキャストフレームを送信させてもよい。
【0022】
上記複数のTSCHノードのうちの各TSCHノードのプロセッサは、他のTSCHノードからの通信において受信された能力情報要素に対応する表示を近傍テーブルに格納するように構成されてもよい。上記能力情報要素は、上記他のTSCHノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示してもよい。
【0023】
上記複数のTSCHノードのうちの各TSCHノードのプロセッサは、上記TSCHネットワークノードが上記2次TSCHネットワークを介する通信をサポートすることを示す能力情報要素を含む第2の通信を、上記送受信機に上記1次TSCHネットワークを介してブロードキャストさせるように構成されてもよい。
【0024】
上記複数のTSCHノードのうちの上記第1のTSCHノードの上記プロセッサは、macTsTxOffset時間期間と、追加のmacTsCCAOffset時間期間と、macTsRxWait時間期間との和として上記遅延期間を決定するように構成されてもよい。上記macTsTxOffset時間期間は、送信側ノードが受信側ノードの時間よりも先行している場合に通信を可能にするためのフレームを送信するまで上記送信側ノードが待機する時間期間であってもよい。上記追加のmacTsCCAOffset時間期間は、上記macTsTxOffset時間期間の後にクリアチャネル評価を可能にする時間期間であってもよい。上記macTsRxWait時間期間は、上記受信側ノードが送信媒体をリッスンし始めた後に上記フレームを受信し始めるまで上記受信側ノードが待機する時間期間であってもよい。
【0025】
上記第2のTSCHノードのMACアドレスは、上記2次TSCHネットワークにおける上記第2のTSCHノードのチャネルホッピングシーケンスに関連付けられてもよい。上記第1のTSCHノードは、上記第1のTSCHノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる上記第2のTSCHノードのMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングシーケンスに基づいて、上記2次TSCHネットワークにおけるチャネルが上記ユニキャストフレームを上記第2のTSCHノードに送信することを決定してもよい。上記1次TSCH時間スロットの1次部分は、ブロードキャスト/マルチキャストフレームを送信するために優先されてもよい。
【0026】
上記2次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルは、上記1次TSCHネットワークのチャネルホッピングプロトコルが周波数を切り換える頻度よりも低い頻度で、又は同じレードで周波数を切り換えてもよい。
【0027】
様々な実施形態によって、従来技術を上回る多数の利点が達成される。例えば、様々な実施形態は、ブロードキャスト送信に成功する確率を向上させる方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、1次TSCHネットワークの競合アクセス期間(CAP)時間スロットの第1の部分は、ブロードキャスト送信に利用されるために優先され、時間スロットの2次部分は、2次TSCHネットワークにおいてユニキャストメッセージをリッスンして通信するために利用される。これにより、PAN全体が同じチャネルにおいてリッスンしているときに、1次ネットワークのCAP時間スロットに関連付けられたチャネルがブロードキャスト通信のために予約又は優先されることを可能にし、また、2次TSCHネットワークに関連付けられたチャネルが、時間スロット内において時間についてシフトされるユニキャスト送信のために使用されることを可能にしうる。これら及び他の実施形態は、その利点及び特徴の多くとともに、下記のテキスト及び添付の図面に関連してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本開示の様々な態様に係るTSCHネットワークを示す図である。
図1B】本開示の様々な態様に係るホッピングパターンの例を示す図である。
図2A】本開示の様々な態様に係るTSCH EPの例を示すブロック図である。
図2B】本開示の様々な態様に係る2つの異なるMACプロトコルを実装するように構成されたEPのための例示的なプロトコルスタック250の一部を示す図である。
図3】本開示の様々な態様に係る、TSCHネットワークのための送信時間スロット及び受信時間スロットの構造と、送信ノードのための送信オフセットとを示す図である。
図4A】本開示の様々な態様に係るマルチスロットブロードキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図である。
図4B】本開示の様々な態様に係るマルチスロットユニキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図である。
図4C】本開示の様々な態様に係るマルチスロットユニキャストフレーム及びブロードキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図である。
図4D】マルチスロットユニキャストフレーム及びブロードキャストフレームの例示的な送信のシーケンスを示す時間スロット図である。
図5】本開示の様々な態様に係るユニキャスト通信のための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
様々な実施形態の態様及び特徴は、添付図面を参照して実施例を説明することで、より明らかになる。
【0030】
所定の実施形態について説明するが、これらの実施形態は例示としてのみ提示され、保護の範囲を制限することを意図していない。本願において説明した装置、方法、及びシステムは、さまざまな他の形式で実施されてもよい。さらに、保護の範囲から外れることなく、本願において説明した例示的な方法及びシステムの形態における様々な省略、置き換え、及び変更が行われてもよい。
【0031】
データネットワークにおける装置は、例えばIEEE802.15.4(e)によって定義されるように、時間同期チャネルホッピング(time synchronized channel hoppingTSCH)プロトコルを用いて通信してもよい。TSCHプロトコルは、装置間の通信のために、一連の時間スロット及び複数のチャネル周波数を使用する。図1Aは、本開示の様々な態様に係るTSCHネットワークを示す図である。
【0032】
図1Aを参照すると、TSCHネットワーク100は、1次ネットワーク110及び2次ネットワーク150を含んでもよい。1次ネットワーク110はコーディネーターノード120と通信してもよく、次いで、コーディネーターノード120は、1つ又は複数の追加のノード及びネットワーク(図示せず)を介して、中央システムと通信してもよい。中央システムは、例えば、電力分配ネットワークのためのヘッドエンドシステムを含むが、これに限定されるものではない。1次ネットワーク110は複数のTSCH装置を含んでもよい。本願では、TSCH装置は、ノード又はエンドポイント(EP)130a~130dとも呼ぶ。例えば、ノード130a~130dは電力メーターであってもよい。1次ネットワーク110は、例えば、高度な測定インフラストラクチャのメッシュネットワークであってもよい。1次ネットワーク110におけるノードのうちの一部(例えば、ノード130a~130c)は、2次ネットワーク150においても通信するように構成されてもよく、一方、他のノード例えば、ノード130dは、1次ネットワーク110においてのみ通信するように構成されてもよい。
【0033】
1次ネットワーク110は、1次チャネルホッピングプロトコルを用いて動作してもよい。2次ネットワーク150は、2次チャネルホッピングプロトコルを用いて動作してもよい。1次ネットワーク110の1次チャネルホッピングプロトコルは、時間スロットごとにチャネル周波数を切り換えてもよく、一方、2次ネットワーク150の2次チャネルホッピングプロトコルは、複数の時間スロットの後でチャネル周波数を切り換えていてもよい。1次ネットワークのための時間スロットは、固定長の時間スロットであってもよく、2次ネットワークのための時間スロットと同じ長さであってもよい。時間スロットは送信時間スロット又は受信時間スロットであってもよく、これはコーディネーターノード120によって決定されてもよい。
【0034】
ノード130a~130dは、1次ネットワーク110を介して互いにビーコンを周期的に送信することで、互いに同期を維持してもよい。1次ネットワーク110において、ノード130a~130dのすべては、TSCH時間スロットの一部の間に、例えば時間スロットの最初の3分の1の間に同じチャネルにおいて通信するように同期されてもよい。時間スロットの残りの3分の2の間に、ノードは、2次ネットワークにおいて装置からの通信をリッスンしてもよく、又は、2次ネットワークにおいて通信を送信してもよい。本願で使用されるように、時間スロットの最初の約3分の1は、時間スロットの1次部分と呼ばれてもよく、時間スロットの残りの約3分の2は、時間スロットの2次部分と呼ばれてもよい。
【0035】
図1Bは、本開示の様々な態様に係るチャネルホッピングプロトコルの例を示す図である。チャネルホッピングプロトコルは、ホッピングパターンにおける各時間スロットについてチャネル周波数又はチャネルを定義する。1次ネットワークにおいて通信するノードはそれぞれ、1次チャネルホッピングプロトコルに従ってチャネルホッピングを行ってもよい。図1Bを参照すると、時間スロット188に対応する1次チャネルホッピングプロトコル186のためのホッピングパターンは、チャネル4、チャネル6、チャネル3、チャネル5、チャネル7であってもよく、すなわち、それは、時間スロット1にチャネル4を関連付け、時間スロット2にチャネル6を関連付け、時間スロット3にチャネル3を関連付け、時間スロット4にチャネル5を関連付け、時間スロット5にチャネル7を関連付けてもよい。図1Bに示すように、ホッピングパターンの第1の反復185aは時間スロット1~5(182a~182e)を含み、ホッピングパターンの第2の反復185bは時間スロット6~10(183a~183e)を含み、ホッピングパターンの第3の反復185cは時間スロット11~15(184a~184e)を含む。
【0036】
2次ネットワークにおいて通信するノードはそれぞれ、2次ネットワークにおける固有のチャネルホッピングパターンを有してもよい。例えば、図1Bを参照すると、2次ネットワークにおいて通信する特定のノードのための固有のホッピングパターン183は、チャネル2、チャネル8、チャネル4、チャネル10、チャネル6であってもよく、すなわち、それは、時間スロット1にチャネル2を関連付け、時間スロット2にチャネル8を関連付け、時間スロット3にチャネル4を関連付け、時間スロット4にチャネル10を関連付け、時間スロット5にチャネル6を関連付けてもよい。いくつかの実施例では、2次ネットワーク150のための2次チャネルホッピングプロトコルは、1次ネットワーク110のチャネルホッピングプロトコルよりずっと遅いレートでチャネル周波数を切り換えてもよく、すなわち、2次ネットワーク150のためのチャネルホッピングプロトコルは、2次ネットワーク150を複数の時間スロットにわたって同じチャネルに維持させてもよい。再び図1Bを参照すると、2次チャネルホッピングプロトコル181は、2次ネットワーク150を、4つの時間スロットにわたってチャネル2に維持させ、その後、4つの時間スロットにわたってチャネル8に切り換え、以後同様に切り換えてもよい。他の実施例では、2次TSCHネットワーク150のための2次チャネルホッピングプロトコルは、1次ネットワーク110のチャネルホッピングプロトコルと同じレートで周波数を切り換えてもよい。
【0037】
当業者は、図1Bに関して説明したホッピングパターンが単なる例示であり、他のホッピングパターンも可能であることを認識するであろう。2次ネットワーク150は、予め決められた個数の時間スロットにわたって所与のチャネルに維持されてもよく、従って、1次ネットワーク110よりずっと遅いレートで周波数を切り換えてもよい。当業者は多数の変形及び代替例を認識するであろう。
【0038】
ノードは、1次TSCHネットワーク及び2次TSCHネットワークにおいて当該ノードを一意的に識別するMACアドレスを有してもよい。1次ネットワークのCAP時間スロットに関連付けられたチャネルは、すべてのノードが同じチャネルにおいてリッスンしている場合に時間スロットの1次部分内において開始されるブロードキャスト通信のために優先されてもよい。ノードによるユニキャストメッセージの送信は、それらの送信を時間についてシフトし、時間スロットの2次部分内においてユニキャストメッセージを開始し、ユニキャスト送信のために2次TSCHネットワークを利用することにより行われてもよい。
【0039】
図2Aは、本開示の様々な態様に係るTSCHノード200の例を示すブロック図である。TSCHノードは、プロセッサ202、メモリ204、及び送受信装置208を含んでもよい。プロセッサ202、メモリ204、及び送受信装置208は、バス206を介して通信可能に接続されてもよい。TSCHノード200の構成要素は、AC電源から電力供給を受けてもよい。TSCHノード200は、1次TSCHネットワーク(例えば1次ネットワーク110)の一部であってもよい。
【0040】
プロセッサ202は、例えば、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:「ASIC」)、状態機械、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:「FPGA」)、又は他の適切な処理装置を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。プロセッサ202は、1つの処理装置を含む、任意個数の処理装置を含んでもよい。プロセッサ202は、メモリ204のような非一時的コンピュータ可読媒体に通信可能に接続されてもよい。プロセッサ202は、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行してもよく、又は、メモリ204に格納された情報にアクセスしてもよい。プロセッサ202は、TSCHノード200の全体動作を制御してもよい。
【0041】
送受信装置208は、1次TSCHネットワークにおける他のTSCHノードと通信するように構成されてもよい。送受信装置208はまた、2次ネットワークを介して通信するように構成される。いくつかの実施例では、送受信装置208は、信号を無線送受信するための無線周波数(RF)送受信機及び他の送受信機を含んでもよい。
【0042】
図2Bは、本開示の様々な態様に係るノード(すなわちTSCHノード)のための例示的なプロトコルスタック250の一部を示す図である。図2Bを参照すると、プロトコルスタック250は、最下層において、物理インターフェース(PHY)260を含んでもよい。PHY260は、物理的送信媒体の仕様を定義してもよい。プロトコルスタック250の次の層は、MAC層270を含んでもよい。MAC層270は、MACアドレスを有してもよく、また、ノードが1次ネットワークと通信することを可能にするための1次ネットワークに係るアドレス指定及びチャネルアクセスプロトコルを定義してもよい。同様に、MAC層270は、ノードを2次ネットワークにおいて通信することを可能にするための2次ネットワークに係るチャネルアクセスプロトコルを定義してもよい。MAC層270に通信されたメッセージがルーティングされてもよい。
【0043】
本開示に係る実施形態は、2次ネットワークをユニキャスト通信のためだけに使用することを試み、それによって、1次TSCHネットワークにおけるブロードキャスト送信のためにCAP時間スロットの第1の部分を優先させ、時間スロットの後続の部分中に2次TSCHネットワークを介してユニキャストメッセージを送信することで、ブロードキャスト送信に成功する向上を増大させる。
【0044】
図3は、本開示の様々な態様に係る、TSCHネットワークのための送信時間スロット350及び受信時間スロット375の構造と、送信ノードのための送信オフセットとを示す図である。通常動作中に、ノード(例えばノード130a~130d)は、TSCH時間スロット375の最初の約3分の1(すなわち1次部分)にわたって1次ネットワーク110においてリッスンし、その後、2次ネットワーク150に切り換えて、時間スロット375の残りの約3分の2(すなわち2次部分)にわたって2次ネットワーク150における通信をリッスンする。受信ノードが2次ネットワークにおいて通信できる場合、送信ノードは、指定された時間期間にわたってフレームの送信をオフセットしてもよい。
【0045】
図3を参照すると、TSCHネットワークのための送信時間スロット350は、macTsTxOffset期間355、macTsCCAOffset期間360を含んでもよい。受信時間スロット375は、macTsRxOffset期間380及びmacTsRxWait期間385を含んでもよい。macTsTxOffset期間355は、送信側ノードが受信側ノードよりも時間的に先行している場合に通信を可能にするフレームを送信するために送信側ノードが待機する時間期間である。macTsCCAOffset期間360は、切り換えられたチャネルのクリアチャネル評価を可能にする時間期間である。macTsRxOffset期間380は、ネットワークにおける他のノードから干渉を防ぐための、受信ノードが媒体をリッスンし始める前における受信ノードの時間スロットの開始部でのオフセットである。macTsRxWait期間385は、受信ノードが送信媒体をリッスンし始めた後にフレームを受信し始めるまで受信ノードが待機する時間期間である。macTsRxWait期間385中に、受信ノードは、1次ネットワーク110のためのホッピングパターンによって決定されたチャネルにおいてブロードキャストメッセージオンをリッスンしてもよい。すべてのノードは同じチャネルにおいてリッスンしていてもよい。
【0046】
あるノードが、macTsRxWait期間385中に、1次ネットワーク110における他のノードからのメッセージの開始部を受信した場合、当該ノードは、完全なメッセージが受信されるまで、1次ネットワーク110においてメッセージを受信し続けてもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。ノードが、macTsRxWait期間385の満了前に、1次ネットワーク110におけるメッセージを受信し始めない場合、ノードは、2次ネットワークにおけるその割り当てられたチャネルに切り換え、2次ネットワーク150における他のノードからの通信をリッスンし始めてもよい。2次ネットワーク150における他のノードからの通信が受信された場合、受信ノードは、時間スロットの残りの間に、メッセージ全体が受信されるまで、2次ネットワーク150からのメッセージを受信してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。
【0047】
送信ノードが2次ネットワークにおけるフレームの送信をオフセットするための指定された送信にオフセット期間は、macTsTxOffsetと追加のmacTsCCAOffsetとmacTsRxWaitとの和として決定されてもよい。指定された送信オフセット期間は、時間スロットの最初の約3分の1にわたって経過してもよく、これにより、宛先ノードが2次ネットワークにおけるそのチャネルに切り換えることを可能にする。この処理は、ノードが2次ネットワークにおけるチャネルに切り換える前にまず送信のために1次ネットワークをリッスンすることで、メッセージのブロードキャストに先行する。さらに、この処理は、2組以上のノードのペアが衝突なしに宛先ノードの受信ノードのEUI64に基づく2次ネットワークチャネルにおいて送信するので、2組以上のノードのペアが同時に互いに通信できることで、最適なスペクトル使用を可能にする。稠密に配備する場合、この技術は、ノードが、チャネル衝突の機会を低減して通信することと、マルチキャスト/ブロードキャストフレームの成功の確率を向上させることとを可能にしうる。
【0048】
受信又は宛先ノードのMACアドレス(すなわちEUI64アドレス)が、チャネルホッピングシーケンスを決定するので、送信ノードは、指定された送信オフセット期間の後で、フレーム(すなわちユニキャストメッセージ)を宛先ノードに送信するために、送信ノードのMAC近傍テーブルに含まれる情報に従って宛先ノードのチャネルに切り換えてもよい。
【0049】
ノードが送信すべきフレームを有する場合、リンクスケジューリングアルゴリズムは、フレームがブロードキャスト/マルチキャストメッセージであるか、それともユニキャストメッセージであるかを決定してもよい。ブロードキャスト/マルチキャストメッセージは、受信範囲内のノードがフレームを受信することを可能にするために、1次ネットワークリンクを介して通信されてもよい。フレームがユニキャストメッセージであり、受信ノードが2次ネットワークを介する通信をサポートする場合、メッセージは2次ネットワークを介して通信されてもよい。ユニキャストメッセージのための受信ノードの宛先MACアドレスは、送信ノードのMAC近傍テーブルにおいて、2次ネットワークを介する通信をサポートするものとして表示されてもよい。近傍テーブルは、ノードのメモリに格納されてもよく、1次ネットワークにおける他のノードに関する情報に関連付けられたエントリを含んでもよい。他のノードに関する情報は、例えば、MACアドレス及び能力情報(例えば、ノードが2次ネットワークにおいて通信可能であるか否か、など)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0050】
宛先MACアドレスが2次ネットワークを介する通信をサポートするか否かに関する表示は、最初の通信に含まれる能力情報要素(information element:IE)によって提供されてもよい。能力情報要素は、例えば、ビーコン、拡張ビーコン(enhanced beacon:EB)(すなわち、ネットワークにおいて使用される同期、チャネルホッピング、及び時間スロットについての情報を含むTSCHフレーム)、又はノードからの他の通信を含むが、これらに限定されるものではない。本開示の様々な態様によれば、送信ノードのMAC近傍テーブルには、2次ネットワークにおいて通信できないノードが表示されてもよい。従って、2次ネットワークにおいて通信できないノードへのユニキャストメッセージは、従来技術の方法で(すなわち、1次ネットワークにおいてCAP時間スロットの1次部分中に)送信されてもよい。
【0051】
図4Aは、本開示の様々な態様に係るマルチスロットブロードキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図400である。図4Aを参照すると、リンクスケジューリングアルゴリズムは、1次ネットワーク(例えば1次ネットワーク110)における第1のノード(すなわちノード2)が、送信すべきブロードキャスト/マルチキャストメッセージを有すると決定してもよく、その送信をスケジューリングしてもよい。第1のノードは、1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム405を送信してもよい。第1のノードは、第1の時間スロット401の1次部分406中にブロードキャストフレーム405を送信404してもよい。第1の時間スロット401の1次部分406(すなわち、時間スロットの最初の約3分の1)中に、1次ネットワークにおけるノードのすべては、同じチャネル(すなわち周波数)に同期されてもよい。従って、第1のノードが1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム405を送信404する場合、1次ネットワークにおける他のノード(すなわち、ノード1及びノード3~ノード5)は、ブロードキャストフレーム405を受信410する。ブロードキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット402の2次部分408に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。ノードは、ブロードキャストフレームの受信に肯定応答する肯定応答(ACK)を送信しない。
【0052】
図4Bは、本開示の様々な態様に係るマルチスロットユニキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図420である。図4Bを参照すると、第1のノード(すなわちノード2)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第1のノードが送信すべきユニキャストフレームを有すると決定してもよく、第1の時間スロット421中に、受信ノードへの送信、この場合は第2のノード(すなわちノード1)への送信をスケジューリングしてもよい。第1のノード(ノード2)は、近傍テーブルを参照して、第2のノード(ノード1)のMACアドレスを決定してもよい。近傍テーブルは、第1のノード(ノード2)のメモリ(例えば、TSCHノード200のメモリ204)格納されてもよい。2次ネットワークにおいて通信する場合、第2のノード(ノード1)のMACアドレスは、第2のノード(ノード1)のためのチャネルホッピングパターン(すなわち、チャネル周波数と、チャネル周波数においてチャネルがアクティブである時間スロットの個数)を決定してもよい。
【0053】
送信ノード(ノード2)は、切り換えられたチャネルのクリアチャネル評価を可能にするために、macTsTxOffset期間及び追加のmacTsCCA期間にわたってユニキャストメッセージの送信をオフセットし、さらにmacTsRxWait期間にわたってオフセットしてもよく、これにより、受信ノード(ノード1)が2次ネットワークにおけるそのチャネルに切り換えることを可能にするために、時間スロット421の最初の3分の1にわたって経過し、また、ブロードキャスト送信が時間スロットの1次部分中に開始されなかったことを送信ノードが確認することを可能にする。受信ノード(ノード1)のMACアドレスがホッピングシーケンスを決定するので、送信ノード(ノード2)は、2次ネットワークにおけるそのチャネルに同期することで、ユニキャストフレーム425を受信ノード(ノード1)に送信424する。
【0054】
クリアチャネル評価(CCA)は、2次ネットワークにおけるチャネルが利用可能であることを検証するために、第1のノード(ノード2)によって実行されてもよい。第1のノード(ノード2)が、チャネルにおけるエネルギー、例えばチャネルにおいて送信する他の装置を検出する場合、ユニキャストフレーム425は送信されなくてもよく、送信はランダムなバックオフ期間の後に再び試みられてもよい。第1のノード(ノード2)がユニキャストフレーム425を送信する場合、第2のノード(ノード1)は、2次ネットワークにおいてユニキャストフレーム425を受信430してもよい。ユニキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット422の1次部分436に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。第2のノード(ノード1)は、同じチャネルにおける後続の時間スロット422の2次部分437中にユニキャスト送信の受信に肯定応答435してもよい。
【0055】
図4Cは、本開示の様々な態様に係るマルチスロットユニキャストフレーム及びブロードキャストフレームの例示的な送信を示す時間スロット図440である。図4Cを参照すると、第1のノード(すなわちノード4)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第1のノードが送信すべきユニキャストフレームを有すると決定してもよく、第1の時間スロット441中に、受信ノードへの送信、この場合は第2のノード(すなわちノード3)への送信をスケジューリングしてもよい。同様に、第3のノード(すなわちノード5)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第3のノードが送信すべきブロードキャスト/マルチキャストメッセージを有すると決定してもよく、第2の時間スロット442中に送信をスケジューリングしてもよい。
【0056】
第1のノード(ノード4)は、近傍テーブルを参照して、第2のノード(ノード3)のMACアドレスを決定してもよい。近傍テーブルは、第1のノード(ノード4)のメモリに格納されてもよい。2次ネットワークにおいて通信する場合、第2のノード(ノード3)のMACアドレスは、第2のノード(ノード3)に対するチャネルホッピングパターンを決定してもよい。第1の時間スロット441の2次部分443(すなわち、時間スロットの最後の約3分の2)中に、第1のノード(ノード4)は、2次ネットワークにおける第2のノード(ノード3)の周波数に切り換えてもよく、ユニキャストフレーム452aを第2のノード(ノード3)に送信450することを試みてもよい。
【0057】
送信ノード(ノード4)は、切り換えられたチャネルのクリアチャネル評価を可能にするために、macTsTxOffset期間及び追加のmacTsCCA期間にわたってユニキャストメッセージの送信をオフセットし、さらにmacTsRxWait期間にわたってオフセットしてもよく、これにより、受信ノード(ノード3)が2次ネットワークにおけるそのチャネルに切り換えることを可能にするために、時間スロット441の最初の3分の1にわたって経過し、また、ブロードキャスト送信が時間スロットの1次部分中に開始されなかったことを送信ノードが確認することを可能にする。受信ノード(ノード3)のMACアドレスがホッピングシーケンスを決定するので、送信ノード(ノード4)は、2次ネットワークにおけるそのチャネルに同期することで、ユニキャストフレーム452aを受信ノード(ノード3)に送信450する。
【0058】
クリアチャネル評価(CCA)は、2次ネットワークにおけるチャネルが利用可能であることを検証するために、第1のノード(ノード4)によって実行されてもよく、チャネルにおいてエネルギーが検出される場合、ランダムなバックオフ期間の後にユニキャストフレーム452aの送信が再び試みられてもよい。第1のノード(ノード4)がユニキャストフレーム452aを送信する場合、第2のノード(ノード3)は、2次ネットワークにおいてユニキャストフレームを受信452bしてもよい。ユニキャストフレーム452aの送信/受信は、後続の(すなわち第2の)時間スロット442の1次部分444に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。第2のノード(ノード3)は、同じチャネルにおける後続の(すなわち第2の)時間スロット442の2次部分445中にユニキャスト送信の受信に肯定応答454してもよい。
【0059】
第1のノード(ノード4)及び第2のノード(ノード3)の間でユニキャスト送信が進行中である間に、第3のノード(ノード5)は、第2の時間スロット442の1次部分444中にブロードキャストフレーム458aを送信456してもよい。第2の時間スロット442の1次部分444(すなわち、時間スロットの最初の約3分の1)中に、第1のノード(ノード4)及び第2のノード(ノード3)が、ユニキャストフレーム452aの送信/受信のために第2のノード(ノード3)のMACアドレスに対応する2次ネットワークにおけるチャネルに同調されるので、1次ネットワークにおける第3のノード(ノード5)及びノード(ノード1)及び(ノード2)のみが同じチャネルに同期されてもよい。従って、第3のノード(ノード5)が1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム458aを送信する場合、1次ネットワークにおけるノード(ノード1)及び(ノード2)のみが、ブロードキャストフレーム458aを受信458bする。ブロードキャストフレーム458aの送信/受信は、後続の時間スロット442の2次部分445に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。ノードは、ブロードキャストフレーム458aの受信に肯定応答する肯定応答(ACK)を送信しない。
【0060】
図4Dは、本開示の様々な態様に係るマルチスロットユニキャストフレーム及びブロードキャストフレームの例示的な送信のシーケンスを示す時間スロット図460である。図4Dを参照すると、第1のノード(すなわちノード3)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第1のノードが送信すべきブロードキャストフレームを有すると決定してもよく、第1の時間スロット461中に送信をスケジューリングしてもよい。同様に、第2のノード(すなわちノード2)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第2のノードが送信すべきユニキャストメッセージを有すると決定してもよく、第3のノード(すなわちノード4)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第3のノードが送信すべきユニキャストメッセージを有すると決定してもよく、第3の時間スロット463中に、受信ノードへの送信、この場合は第4のノード(すなわちノード1)及び第1のノード(ノード3)への送信をそれぞれスケジューリングしてもよい。また、第5のノード(すなわちノード5)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第5のノードが送信すべきブロードキャストフレームを有すると決定してもよく、第4の時間スロット464中に送信をスケジューリングしてもよい。最後に、第1のノード(すなわちノード3)のためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第1のノードが送信すべき他のブロードキャストフレームを有すると決定してもよく、第5の時間スロット465中に送信をスケジューリングしてもよい。
【0061】
第1のノード(ノード3)は、1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム485aを送信してもよい。第1のノード(ノード3)は、第1の時間スロット461の1次部分470中にブロードキャストフレーム485aを送信477してもよい。第1の時間スロット461の1次部分470(すなわち、時間スロットの最初の約3分の1)中に、1次ネットワークにおけるノードのすべては、1次ネットワークにおける同じチャネル(すなわち周波数)に同期されてもよい。従って、第1のノード(ノード3)が1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム485aを送信する場合、1次ネットワークにおける他のノード(ノード1、ノード2、ノード4、及びノード5)が、ブロードキャストフレーム485aを受信485bする。ブロードキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット462の2次部分471に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。ノードは、ブロードキャストフレームの受信に肯定応答する肯定応答(ACK)を送信しない。
【0062】
第3の時間スロット463においてユニキャストフレームを送信する前に、第2のノード(ノード2)は、近傍テーブルを参照して、第4のノード(ノード1)のMACアドレスを決定してもよい。近傍テーブルは、第2のノード(ノード2)のメモリに格納されてもよい。2次ネットワークにおいて通信する場合、第4のノード(ノード1)のMACアドレスは、第4のノード(ノード1)のためのチャネルホッピングパターン(すなわち、チャネル周波数と、チャネル周波数においてチャネルがアクティブである時間スロットの個数)を決定してもよい。同様に、第3のノード(ノード4)は、そのメモリに格納された近傍テーブルを参照して、2次ネットワークのための第1のノード(ノード3)のMACアドレスを決定し、これにより、2次ネットワークのための第1のノード(ノード3)のためのチャネルホッピングパターンを決定してもよい。
【0063】
第3の時間スロット463の2次部分472(すなわち、時間スロットの最後の約3分の2)中に、第2のノード(ノード2)は、2次ネットワークにおける第3のノード(ノード1)の周波数に同期してもよく、第4のノード(ノード4)は、2次ネットワークにおける第1のノード(ノード3)の周波数に同期してもよい。前述したようにユニキャストフレームの送信をオフセットした後で、第3の時間スロット463の2次部分472中に、第2のノード(ノード2)は、そのユニキャストフレーム486aを第2のノード(ノード1)に送信480aすることを試みてもよく、第4のノード(ノード4)は、そのユニキャストフレーム487aを第1のノード(ノード3)に送信481aすることを試みてもよい。ユニキャストフレームが、第1のノード(ノード3)及び第3のノード(ノード1)のMACアドレスに関連付けられたチャネルホッピングパターンによって決定される2次ネットワークの異なるチャネルにおいて送信されるので、ユニキャストメッセージは衝突せず、各受信ノードによって受信される。
【0064】
クリアチャネル評価(CCA)は、2次ネットワークにおけるチャネルが利用可能であることを検証するために、第2のノード(ノード2)及び第4のノード(ノード4)によって実行されてもよく、各チャネルにおいてエネルギーが検出される場合、ランダムなバックオフ期間の後にユニキャストフレーム486a,487aの送信が再び試みられてもよい。第2のノード(ノード2)がユニキャストフレーム486aを送信480aする場合、第3のノード(ノード1)は、2次ネットワークにおいてユニキャストフレーム486aを受信486bしてもよい。ユニキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット464の1次部分473に完了してもよく、又は、後続する1つ以上の時間スロットに広がってもよい。第3のノード(ノード1)は、同じチャネルにおける後続の時間スロット464の2次部分474中にユニキャストフレームの受信に肯定応答480bしてもよい。同様に、第1のノード(ノード3)は、2次ネットワークにおいてユニキャストフレーム487aを受信487bしてもよい。ユニキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット464の1次部分473に完了してもよく、又は、後続する1つ以上の時間スロットに広がってもよく、第1のノード(ノード3)は、同じチャネルにおける後続の時間スロット464の2次部分474中にユニキャストフレームの受信に肯定応答481bしてもよい。
【0065】
第2のノード(ノード2)及び第3のノード(ノード1)の間のユニキャスト送信と、第4のノード(ノード4)及び第1のノードの間のユニキャスト送信とが進行中である間に、第5のノード(ノード5)は、第4の時間スロット464の1次部分473中にブロードキャストフレーム479aを送信479することを試みてもよい。しかしながら、第4の時間スロット464の1次部分473中に、他のノード(ノード1~ノード4)は、ユニキャストフレームを送信/受信するように2次ネットワークに同調される。従って、第5のノード(ノード5)によって送信されたブロードキャストフレーム479aは、他のノード(ノード1~ノード4)によって受信されない。
【0066】
第5の時間スロット465において、第1のノード(ノード3)は、1次ネットワークを介して他のブロードキャストフレーム488aを送信してもよい。第1のノード(ノード3)は、第5の時間スロット465の1次部分475中に、ブロードキャストフレーム488aを送信478してもよい。第5の時間スロット465の1次部分475中に、1次ネットワークにおけるノードのすべては、再び、1次ネットワークにおける同じチャネルに同期されてもよい。従って、第1のノード(ノード3)が1次ネットワークを介してブロードキャストフレーム488aを送信する場合、1次ネットワークにおける他のノード(ノード1、ノード2、ノード4、及びノード5)が、ブロードキャストフレーム488aを受信488bする。ブロードキャストフレームの送信/受信は、後続の時間スロット466の2次部分476に完了してもよい。メッセージは、1つの時間スロット中にその全体が受信されてもよく、又は、1つ又は複数の後続する時間スロットまで広がってもよい。ノードは、ブロードキャストフレームの受信に肯定応答する肯定応答(ACK)を送信しない。
【0067】
図5は、本開示の様々な態様に係るユニキャスト通信のための方法を示すフローチャートである。図5を参照すると、ブロック505において、1次ネットワークにおける第1のノードは、1次ネットワークにおける第2のノードにユニキャストフレームを送信すると決定してもよく、また、ユニキャストフレームの宛先ノードである可能性がある1次ネットワークにおける第2のノードのMACアドレスを取得してもよい。例えば、第2のノードのMACアドレスは、第1のノードのメモリに格納された近傍テーブルに含まれる可能性がある。
【0068】
ブロック510において、ユニキャストフレームは、1次ネットワークにおける第1のノードから1次ネットワークにおける第2のノードへの送信のためにスケジューリングされてもよい。例えば、第1のノードのためのリンクスケジューリングアルゴリズムは、第1のノードが送信すべきユニキャストフレームを有すると決定してもよく、指定された時間スロット中に受信ノードへの送信をスケジューリングしてもよい。
【0069】
ブロック515において、第1のノード及び第2のノードが2次ネットワークにおいて通信するように構成されているか否かを決定してもよい。例えば、送信ノードのプロセッサは、ノードが2次ネットワークにおいて通信できるか否かを決定してもよい。宛先MACアドレスが2次ネットワークを介する通信をサポートするか否かかに関する表示は、最初の通信、例えば、ビーコン、拡張ビーコン、又はノードからの他の通信に含まれる能力IEによって提供されてもよい。送信ノードのMAC近傍テーブルには、2次ネットワークにおいて通信可能なノードが表示されてもよい。いくつかの場合には、受信ノードのための能力情報は、受信ノードが2次ネットワークにおいて通信できないことを示してもよい。
【0070】
ノードのうちの少なくとも1つが2次ネットワークにおいて通信できないと決定された場合(515-N)、ブロック520において、ユニキャストフレームは、1次TSCHネットワーク時間スロットの競合アクセス期間中に、1次ネットワークにおいて、従来技術の方法で送信されてもよい。
【0071】
両方のノードが2次ネットワークにおいて通信できると決定された場合(515-Y)、ブロック525において、第1のノードは、近傍テーブルを参照して、2次ネットワークのための第2のノードのホッピングパターンを決定してもよい。近傍テーブルは、第1のノードのメモリに格納されてもよく、1次ネットワークにおける他のノードに関する情報に関連付けられたエントリを含んでもよい。他のノードに関する情報は、例えば、MACアドレス及び能力情報(例えば、ノードが2次ネットワークにおいて通信可能であるか否か、など)を含むが、これらに限定されるものではない。2次ネットワークにおいて通信する場合、2次ネットワークのための第2のノードのMACアドレスは、第2のノードのためのチャネルホッピングパターン(すなわち、チャネル周波数と、チャネル周波数においてチャネルがアクティブである時間スロットの個数)を決定してもよい。
【0072】
ブロック530において、第1のノードは、ユニキャストフレームのための送信オフセットを決定してもよい。第1のノードは、指定された時間スロット中に指定された時間期にわたってユニキャストフレームの送信をオフセットしてもよく、これにより、第2の(すなわち宛先の)ノードを2次ネットワークにおけるそのチャネルに切り換えることを可能にする。指定された送信オフセット期間は、macTsTxOffsetと追加のmacTsCCAOffsetとmacTsRxWaitとの和として決定されてもよい。ブロック535において、第1のノードは、指定された時間スロットの2次部分中に、2次ネットワークにおける第2のノードのチャネルホッピングシーケンス及び周波数に同期してもよい。
【0073】
ブロック540において、第1のノードは、CCAを実行することにより、チャネルがクリアであるか否かを決定してもよい。チャネルがクリアではないと決定したことに応答して(540-N)、ブロック545において、第1のノードは、ランダムなバックオフ期間にわたって待機してユニキャストフレームを送信することを試みてもよく、本方法はブロック540に戻ってCCAを実行してもよい。チャネルがクリアであると決定したことに応答して(540-Y)、ブロック550において、第1のノードは、2次ネットワークにおける第2のノードにユニキャストフレームを送信してもよい。
【0074】
方法500は、非一時的なコンピュータ可読媒体、例えば、メモリ、又は当業者には既知の他の非一時的なコンピュータ可読媒体を含むがこれらに限定されない媒体において具体化されてもよく、この非一時的なコンピュータ可読媒体には、プロセッサ、コンピュータ、又は他のプログラマブル装置に本方法の動作を実行させるためのコンピュータ実行可能な命令を含むプログラムが格納されている。
【0075】
図5に示す特定のステップは、本発明の他の実施形態に係るユニキャスト通信のための特定の方法を提供するということが認識されるべきである。代替の実施形態によれば、他のステップのシーケンスが実行されてもよい。例えば、本発明の代替の実施形態は、上で概説したステップを異なる順序で実行してもよい。さらに、図5に示した個々のステップは、個々のステップに適切に様々なシーケンスで実行されうる複数のサブステップを含んでもよい。さらに、特定のアプリケーションに依存して、追加ステップが追加されてもよく、又は除去されてもよい。当業者は、多数の変形、変更、及び代替物を認識するであろう。
【0076】
本開示のシステム及び方法は、ノードが2次ネットワークにおけるチャネルに切り換える前にまず送信のために1次ネットワークをリッスンすることで、フレームのブロードキャストに先行する。本開示のシステム及び方法は、2組以上のノードのペアが、2次ネットワークにおいて宛先ノードのチャネル(すなわち、EUI64に基づくチャネル)に対して衝突なしに送信することにより、同時に互いに通信できることで、最適なスペクトル使用を提供しうる。稠密に配備する場合、ノードは、チャネル衝突の機会を低減して通信することができ、また、成功の確率を向上させることができる。
【0077】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。
【0078】
本願において説明した実施例及び実施形態は、例示のみを目的とする。その点で、当業者には様々な変更又は変形が明らかになるであろう。これらは、本願の精神及び範囲と、添付した特許請求の範囲内に含まれるべきものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5