(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】階段状投薬量標示を有する投薬システム
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20241031BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20241031BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61J7/00 K
A61M5/31 520
A61J1/05 313L
(21)【出願番号】P 2021559378
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020026927
(87)【国際公開番号】W WO2020206450
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514194716
【氏名又は名称】セルタ ドース,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ケレイブ ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ホフマン
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5010656(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067143(US,A1)
【文献】特開2013-123463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
A61J 7/00
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたカップであって、前記カップが、側壁と、円形底部要素と、開口上部と、を含む、カップと、
前記側壁の表面の円周の周りにこれに対して相互に離間した複数の投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数の投薬量標示と、
を備
え、
前記複数の投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、投薬装置。
【請求項2】
前記複数の投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項3】
前記複数の投薬量標示の各々が異なる色を持つ、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項4】
前記複数の投薬量標示の第1標示が、前記複数の投薬量標示の第2標示から、前記側壁の
表面上で約180度分離する、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項5】
前記側壁が円錐台形である、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項6】
前記基準レベルが、前記円形底部要素の上面に近接する、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項7】
前記複数の投薬量標示が、概ね長方形であり、前記複数の投薬量標示の他の各々1つとは異なる色を持つ、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項8】
前記複数の投薬量標示の各々が、更に容積表示を含む、請求項1に記載の投薬装置。
【請求項9】
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成された円錐台形カップと、
前記円錐台形カップの側面の円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数の投薬量標示と、
を備
え、
前記複数の投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、投薬装置。
【請求項10】
各投薬量標示が、更に容積表示を含む、請求項
9に記載の投薬装置。
【請求項11】
前記基準レベルが、前記円錐台形カップの内部底面に近接する、請求項
9に記載の投薬装置。
【請求項12】
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたバレルを有するシリンジと、
前記バレルの表面の円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数のカラーコード化投薬量標示と、
を備
え、
前記複数のカラーコード化投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、投薬装置。
【請求項13】
前記複数のカラーコード化投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、請求項12に記載の投薬装置。
【請求項14】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示の各々が、異なる色を持つ、請求項12に記載の投薬装置。
【請求項15】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示の第1標示が、前記複数の
カラーコード化投薬量標示の第2標示から、前記バレルの表面上で約180度分離する、請求項12に記載の投薬装置。
【請求項16】
前記基準レベルが前記バレルの端部に近接する、請求項12に記載の投薬装置。
【請求項17】
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を受け入れて保持するように構成された凹状表面を有するスプーンヘッド部分を備えるスプーンと、
所定体積の液体薬を保持するように構成された中空バレルを備えるハンドル部分であって、前記中空バレルが、前記中空バレルの円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示を有し、各投薬量標示が、基準に対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる長さを持つ、ハンドル部分と、
を備
え、
前記複数のカラーコード化投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、投薬装置。
【請求項18】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、請求項
17に記載の投薬装置。
【請求項19】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示の各々が異なる色を持つ、請求項
17に記載の投薬装置。
【請求項20】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示の各々が、更に容積表示を含む、請求項
17に記載の投薬装置。
【請求項21】
前記複数の
カラーコード化投薬量標示の各々が、概ね長方形であり、異なる色を持つ、請求項
17に記載の投薬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年4月5日に提出され、本件譲受人に譲渡され、参照により本明細書に援用される「階段状投薬量標示を有する投薬システム」と題する仮特許出願第62/830287号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、医薬品計量(以後、投薬)装置、特に、特別に配列され設計された投薬ラベルを有する投薬装置、及びそれによって適切な用量の医薬品を投与するための方法、に関する。
【背景技術】
【0003】
救急又は集中治療の現場において正確かつ効果的に適切な薬物用量を投与することは、非常に重要である。これは、特に救急又は救命治療現場において必須であり、特に小児患者が関与する場合、たとえ少量の投薬ミスでも悲惨な結果を招きかねない。しかし、薬物投与プロセスには多数のステップが関与するので、最良の状況の下でも、又、医療従事者が最大限努力しても、偶発的なミスが時には生じる。より具体的には、典型的な状況において、適切な薬物用量をまず決めなければならず、これには、通常、複数段階の数学的計算が関与する。その後、実際の薬物投与プロセスに関与する複数のステップが続く。この中には、投与される正確な医薬品又は使用される投薬装置の選択が含まれるかも知れない。各ステップは、全体的薬物投与プロセスにエラーを導く可能性を持っているので、実行しなければならないステップ数を減少することによって、プロセスの全体的正確さ及び効率を大幅に向上させることができる。
【0004】
薬物用量は、従来、患者の体重に基づいて決められる。しかし、この方法は、時に、特に救急及び救命治療現場においては、不適切かつ不正確になりかねない。したがって、時に薬物用量を迅速かつ効率良く決定できるので、患者の身長を使用でき、患者の身長を測定するためのカラーコード化計測テープを使用する。より具体的には、Broselow(登録商標)Pediatric Emergency Tape(小児用救急テープ)が、容易に入手可能な患者の身長と薬物用量を相関させる器具として周知である。この器具及びその使用方法の詳細は、参照により本明細書に援用される、Broselowに対する米国特許第4716888号(特許文献1)及び米国特許第6132416号(特許文献2)において開示される。概略的に、方法は、患者の身長を計測し、これをテープ上に与えられるカラーゾーンの1つにコード化して、患者に投与するべき薬物用量を決定するためにカラーコード化身長を使用することを含む。典型的に使用されるインチ又はセンチメートルではなく、テープを複数のカラーコードゾーンに区分化する(各カラーゾーンは所与の身長範囲に対応する)ことによって、患者の身長を簡単に読み取って、具体的なセンチメートル又はインチの計測値ではなく特定の色として表すことができる。言い換えると、各カラーコード化身長ゾーンは、メートル法又はヤードポンド法で計測される実際の身長の特定の予設定された範囲に対応する。例えば、テープ上の灰色ゾーンは、42.20cm~60.79cmの身長範囲に対応し、テープ上のピンクのカラーゾーンは、60.80cm~67.79cmの身長範囲に対応できる。
【0005】
このように、その身長が第1身長範囲に属する患者は、灰色としてコード化され、第2身長範囲に属する身長の患者は、ピンクとしてコード化される。2人の患者の適切な薬物用量が、テープ上に列記される予設定された薬物用量のリストから選択される。他の市販の身長/体重に基づくテープ、例えばPediaTape及びHandtevyテープが同様に使用される。
【0006】
薬物用量を決定するステップは、上記の方法を使用することによって大幅に単純化されているが、投薬エラーを引き起こしたり薬剤投与プロセスを非効率的にするその他の問題が多く残っている。例えば、薬剤用量が決定された後に投与すべき医薬品の正確な用量にたどり着くために、例えば薬剤の濃度などを含む他の多くの計算を実施する必要がある。更に、正確な医薬品の選択、適切な投薬装置又は投薬装置への正確な予設定された薬剤量の引入れは、各々、患者への薬剤投与プロセスにエラーを引き起こしたりこれを緩慢にする可能性がある。薬物用量が従来の体重に基づくシステム以外の投薬システム例えば患者の年齢、患者の体表面積又は体積、などに基づく場合でも、このようなシステムに使用される目盛り定めのタイプが理由で不正確が見られる可能性がある。特に、典型的に使用される用量を一定の増分で変化させる方式は、このようなシステムが使用される場合必要な投薬の正確さを損ねる結果となる可能性がある。
【0007】
このように、薬物用量の決定及び投与のプロセスを単純化するために考案された各種の技法を利用できるにも拘らず、未だに、時間のプレッシャー及び治療が施される環境並びに現在使用される投薬システムのタイプにより、依然としてエラーの可能性が存在する。したがって、特に小児患者に対する、正確で効率の良い薬物送達のための装置及び方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4716888号明細書
【文献】米国特許第6132416号明細書
【発明の概要】
【0009】
液体薬を投与するための医薬品提供装置(以後、投薬装置)を、本明細書において開示する。投薬装置は、投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたカップを含む。カップは、側壁と、円形底部要素と、開放上部とを含む。
【0010】
装置は、更に、側壁の表面の円周の周りにこれに対して相互に離間する複数の投薬量標示を含む。各投薬量標示は、基準レベルに対して液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ。
【0011】
1つの実現形態において、複数の投薬量標示は、患者の身体特徴の複数の値に相関される。複数の投薬量標示の各々は、異なる色を持つことができる。更に、複数の投薬量標示の各々は、第1透明度の第1部分と、第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含むことができる。複数の投薬量標示の第1標示は、複数の投薬量標示の第2標示から、側壁面上で約180度分離でき、側壁面は、1つの実現形態において円錐台形である。複数の投薬量標示の各々は、更に、容積表示を含むことができる。
【0012】
別の形態において、本開示は、投与される液体薬を入れるように構成された円錐台形カップを含む投薬装置に関する。装置は、更に、円錐台形カップの側面の円周の周りにこれに対して相互に離間する複数のカラーコード化投薬量標示を含む。各投薬量標示は、基準レベルに対して液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ。
【0013】
1つの実現形態において、円錐台形カップ上の各投薬量標示は、更に容積表示を含む。基準レベルは、円錐台形カップの内部底面と一致するか又はこれに近接できる。複数の投薬量標示の各々は、第1透明度の第1部分と、第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含むことができる。
【0014】
本開示は、又、投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたバレルを有するシリンジを含む投薬装置に関する。複数のカラーコード化投薬量標示は、バレルの表面の円周の周りに離間する。各投薬量標示は、基準レベルに対して液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ。基準レベルは、バレルの終端に近接できる。
【0015】
1つの実現形態において、投薬装置は、シリンジを含み、複数のカラーコード化投薬量標示は、患者の身体的特徴の複数の値に相関される。複数の投薬量標示の各々は、異なる色を持つことができる。更に、複数の投薬量標示の各々は、第1透明度の第1部分と、第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含むことができる。複数の投薬量標示の第1標示は、複数の投薬量標示の第2標示から、バレルの表面上で約180度分離できる。複数の投薬量標示の各々は、更に、異なる色の長方形とすることができ、容積表示を含むことができる。
【0016】
更に別の形態において、本開示は、投与される液体薬を受け入れるように構成されたスプーンを含む投薬装置に関する。複数のカラーコード化投薬量標示は、投与される液体薬を保持するように構成されたスプーンの一部分の周りにこれに対して相互に離間し、各投薬量標示は、基準に対して液体薬の異なる用量に対応する異なる長さを持つ。
【0017】
1つの実現形態において、投薬装置は、スプーンを含み、複数の投薬量標示は、患者の身体特徴の複数の値に相関される。複数の投薬量標示の各々は、異なる色を持つことができる。更に、複数の投薬量標示の各々は、第1透明度の第1部分と、第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含むことができる。複数の投薬量標示の各々は、異なる色の長方形とすることができ、容積表示を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図1D】
図1Dは、本開示の1つの実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図2D】
図2Dは、本開示の別の実施形態に従った投薬装置の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、カラーコード化薬剤用量のラベルの平面図である。
【
図3B】
図3Bは、カラーコード化薬剤用量のラベルの平面図である。
【
図3C】
図3Cは、カラーコード化薬剤用量のラベルの平面図である。
【
図3D】
図3Dは、カラーコード化薬剤用量のラベルの平面図である。
【
図4】
図4は、カラーコード化薬剤用量のラベルを決定し印刷する方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、開示する予充填の標記入り投薬装置を使用して薬剤を投与する方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、患者のカラーコード化身長を決定するために使用される計測器具を示す。
【
図7】
図7は、本開示の1つの実施形態に従った薬剤投与のための代表的救急治療キットを示す。
【
図8A】
図8Aは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図8B】
図8Bは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図8C】
図8Cは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図8D】
図8Dは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図8E】
図8Eは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図8F】
図8Fは、本開示のシステム及び方法を使用する薬物送達における改良を示すデータを含む。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態に従った薬剤を投与するための別の方法を示す。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施形態に従った薬剤を投与するための別の方法を示す。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態に従ったカラーコード化された薬剤用量を含む代表的ラベルを示す。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態に従ったカラーコード化された薬剤用量を含む代表的ラベルを示す。
【
図11】
図11は、患者への安全な薬剤用量の順次送達を容易にするように設計された事前ラベル付き医薬品計量/供給(以後、投薬)装置を含む投薬システムの実施形態を示す。
【
図12】
図12は、複数の異なるサイズの患者の任意の1人への薬剤用量の順次送達を容易にするように設計された階段状投薬量標示を有する事前ラベル付き投薬装置を含む投薬システムを示す。
【
図13】
図13は、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図14】
図14は、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図15】
図15は、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図16A】
図16Aは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図16B】
図16Bは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図16C】
図16Cは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図16D】
図16Dは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図17A】
図17Aは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図17B】
図17Bは、特定の薬物の治療用量及び予防用量のいずれか又はその両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。
【
図18A】
図18Aは、患者のカラーゾーンに対応する予防又は治療用量を識別する代表的表である。
【
図18B】
図18Bは、患者のカラーゾーンに対応する予防又は治療用量を識別する代表的表である。
【
図19A】
図19Aは、変動する幅を持つ一連の多区分カラーコードバンドを有するシリンジを示す。
【
図19B】
図19Bは、変動する幅を持つ一連の多区分カラーコードバンドを有するシリンジを示す。
【
図20A】
図20Aは、変動する幅を持つ一連の多区分カラーコードバンドを有するシリンジを示す。
【
図20B】
図20Bは、変動する幅を持つ一連の多区分カラーコードバンドを有するシリンジを示す。
【
図21】
図21は、様々な病状に関連付けられる投薬量表示を持つように構成されたシリンジの形式の投薬装置を示す。
【
図22】
図22は、様々な病状に関連付けられる投薬量表示を持つように構成されたシリンジの形式の投薬装置を示す。
【
図23A】
図23Aは、シリンジが様々な投薬要件を有する様々な病状に同じ薬物を送達できるようにする、
図21~22のシリンジに使用するための代表的投薬表である。
【
図23B】
図23Bは、シリンジが様々な投薬要件を有する様々な病状に同じ薬物を送達できるようにする、
図21~22のシリンジに使用するための代表的投薬表である。
【
図24】
図24は、単一のカラーコード化投薬量目盛りを有するシリンジを示す。
【
図25A】
図25Aは、様々な病状の場合の投薬に関連して
図24のシリンジと一緒に使用するための特定の薬物の様々な投薬表である。
【
図25B】
図25Bは、様々な病状の場合の投薬に関連して
図24のシリンジと一緒に使用するための特定の薬物の様々な投薬表である。
【
図26A】
図26Aは、複数の状況又は病状の場合の投薬量を表すために色が使用される投薬システムの第1実施形態である。
【
図26B】
図26Bは、複数の状況又は病状の場合の投薬量を表すために色が使用される投薬システムの第1実施形態である。
【
図27A】
図27Aは、複数の状況又は病状の場合の投薬量を表すために色が使用される投薬システムの第2実施形態である。
【
図27B】
図27Bは、複数の状況又は病状の場合の投薬量を表すために色が使用される投薬システムの第2実施形態である。
【
図27C】
図27Cは、複数の状況又は病状の場合の投薬量を表すために色が使用される投薬システムの第2実施形態である。
【
図28A】
図28Aは、カラーコードゾーン標記及び数値容積標記を有する本開示に従った投薬装置の実施形態を示す。
【
図28B】
図28Bは、カラーコードゾーン標記及び数値容積標記を有する本開示に従った投薬装置の実施形態を示す。
【
図29A】
図29Aは、本開示の投薬装置を製造するために印刷されるラベルの図である。
【
図29B】
図29Bは、本開示の投薬装置を製造するために印刷されるラベルの図である。
【
図29C】
図29Cは、本開示の投薬装置を製造するために印刷されるラベルの図である。
【
図30】
図30は、2つの階段状投薬量標示を有するシリンジの形式の投薬装置の実施形態を示す。
【
図31A】
図31Aは、1組の階段状投薬量標示を持つ液体薬を投与するためのシリンジの形式の投薬装置の前面図である。
【
図31B】
図31Bは、1組の階段状投薬量標示を持つ液体薬を投与するためのシリンジの形式の投薬装置の後面図である。
【
図32】
図32は、階段状投薬量標示を実現する液体薬を投与するためのスプーンの形式の投薬装置を示す。
【
図33A】
図33Aは、各用量について異なる色と2つの透明度レベルを含む1組の階段状投薬量標示を有する、本開示の投薬装置の前面斜視図である。
【
図34A】
図34Aは、各用量について異なる色を含む1組の階段状投薬量標示を有する、本開示の投薬装置の前面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願は、患者へ適切な薬剤用量を投与するための装置、システム及び方法を説明する。装置及びシステムは、医薬品送達の5つの「正当」、即ち、正当な時に正当なルートで正当な用量の正当な薬物を正当な患者に与える、ことに対処する。特に、投薬エラーを最小限に抑えるため並びに特に救急及び救命医療現場において薬剤投与の全体的正確性及び効率を改良するために設計された予標記投薬装置が提供される。
【0020】
下で詳細に論じるように、1つの実施形態において、投薬装置10は、予設定カラーコード化容積投薬量100が標記された細長いバレル30と、プランジャ50を含むシリンジ15である。投薬装置は、1つの実施形態によれば、患者へ投与される薬剤に対応する流体105を予充填できる。様々なファクタに基づいて複数の薬剤について具体的な容積用量を決定する方法も開示する。特に、1つの実施形態によれば、方法は、例えば投薬装置の容積量及び/又は薬物濃度に基づいて決定される用量を含むラベルを作成すること、又は投薬装置に用量を標記すること、を含む。
【0021】
又、予標記投薬装置を使用して適切な薬剤用量を投与する方法についても論じる。開示する方法は、患者への薬剤用量を決定しこれを投与するために必要とされる時間を大幅に減少し、同時に、この用量を計算違いしたり又は誤って投与する危険を減少する。
【0022】
装置
事前ラベル付き投薬装置10の第1実施形態について詳しく論じるために、
図1A~1Dを参照する。
図1Aに示すように、1つの実施形態に従った投薬装置10は、近位端25と近位端の反対側の遠位端20とを含むシリンジ15である。シリンジは、投与される医薬品をその中に保持するために遠位端のシリンジバレル30などの容器と、シリンジバレルの近位端35に位置する開口36から近位方向に近位端25のプランジャの近位端55まで延びるプランジャ50と、を含む。シリンジバレル及びプランジャは、両方とも、不活性であるか又は内部の流体の化学バランスを壊さないプラスチック、ガラス又はその他の任意の適切な透明の医療用材料などの材料から製造される。
【0023】
図1Bに示すように、シリンジバレル30は、細長く、実質的に円筒形であり、遠位端31と近位端35とを含む。シリンジバレルは、更に、円周外面37と円周内面38とを含む。プランジャを受け入れ流体をその中に保持できるチェンバ32は、遠位端31と近位端35との間にバレルの円周内面38によって形成される。シリンジをより容易に握れるようにするためのフィンガグリップとして役立つことができるフランジ33は、バレルの近位端と一体的に形成され、プランジャを受け入れるための開口36を形成する。開口36に近接して、バレルの内面に沿って、
図1Cに示すように、バレルと係合するとバレルからプランジャが滑り出るのを防止するリッジ34がある。
【0024】
開口36は、チェンバ32及びシリンジバレルの遠位端20に配置された口39と流通する。シリンジバレル30内に入れられた液体を押し出すためのニードル、ノズル又はチューブを取り付けるための先端40は、バレルの遠位端20と一体的に形成されて、口39と流通する。先端は、同軸に位置付けられた内側部材41と外側部材42を含むことができる。1つの実施形態によれば、先端は、ルアテーパー取付け具を含むことができる。いくつかの実施形態において、先端は、送達のためにシリンジが使用される薬物のタイプに基づいて構成できる。例えば、口内用先端は、口内用の医薬品用に構成されたシリンジに使用でき、特に、口内用先端は、静脈内(IV)又は筋間用(IM)先端と異なることができ、それによって医薬品が正当なルートで送達されるようにする。同様に、IV及びIM薬物用に構成されたシリンジは、それぞれIV及びIM用先端を持つように構成できるので、これらも正当なルートのみを経て送達できるようにする。
【0025】
プランジャ50は、
図1Bに示す1つの実施形態によれば、プランジャロッド51と、プランジャロッドの遠位端56に取り付けられたゴム又はプラスチックのガスケット又はストッパ52と、を含む。ガスケットは、シリンジの中身がシリンジの後から漏出するのを防止するために、バレルの内面とプランジャとの間を密封する。環状フランジ53は、プランジャロッドの近位端55と一体的に形成される。プランジャ50は、チェンバ30の形状と相補的な細長い形状を有し、チェンバに沿って(円筒形バレル又はチューブの内部を)押されて、シリンジがバレルの遠位端の先端40又は口39から流体を押し出せるように設計される。又は、プランジャは、チェンバ30内部から先端40又は口39を通過して流体を押し出せる他の任意の構成を含むことができる。
【0026】
本開示の1つの実施形態によれば、投薬装置には、予選択された薬物を予充填できる。当初、投薬装置が予充填されてシリンジが薬剤投与前位置に在るとき、プランジャロッドの実質的長さは、シリンジバレルの外部に長手方向に延びる。言い換えると、
図1Aに示すように、医薬品の投与前、ガスケット52及びプランジャロッドの遠位端56のみがシリンジバレル内部のバレル近位端35に在り、その近位端55が最も伸長状態であるようにプランジャ長さの残り部分はバレル外部に在る。
【0027】
又は、投薬装置は、予充填されなくても良い。投薬装置には、例えば、薬物名、濃度、容積標記、カラーコードゾーン及び/又はこれに類似するものを標記できる。実施形態において、投薬装置は、「階段状」の視覚的投薬量標示を持つことができる。これについては、本開示において後でもっと詳しく説明する。医療従事者は、適切な濃度の薬物(即ち装置に名前が標記された薬物)を投薬装置の中へ適切な容積標記及び/又はカラーコードゾーンに達するまで引き入れることができる。いくつかの実施形態において、投薬装置は、投与される薬物が入った医薬品容器を含むキットの一部として入手できる。医薬品容器の中の薬物は、薬物投与プロセスの直前に投薬装置の中へに引き入れることができる。このような実施形態において、プランジャロッドは、薬物がシリンジに引き入れられるまでシリンジバレル内部に在る。
【0028】
図2Aに示す別の実施形態によれば、シリンジ15は、細長バレル70と、予設定カラーコード化容積投薬量100が標記されかつ/又は患者へ投与される薬剤に対応する流体105が予充填されたプランジャ80と、を含むことができる。この構成においては、
図2Cに示すように、シリンジバレルは、円筒形バレルの大きい方の直径と概ね同軸に整列する内側管状体75を含む。内側管状体は、内側管状体内に同軸に位置付けられかつ長手方向に内側管状体と整列するニードル76を有する。
図2Dに示すプランジャ80は、実質的に円筒形の部材又はバイアル81と、ストッパ82とを含む。シリンジバレル及びプランジャは、
図2Bに示すように当初は分離されているので、薬剤投与前に、ストッパ82が内側管状体75及びニードル76と充分に係合するように、プランジャ80を、シリンジバレルの近位端35の中へ挿入する必要がある。
【0029】
本開示の更に別の実施形態によれば、プランジャ及び/又はプランジャストッパは、バレルの中に入っている薬剤に基づいてカラーコード化できる。このようなプランジャのカラーコード化は、プランジャの視覚的検査によって投与される薬剤の正確性をすばやく確認できるので、薬剤投与の効率を更に高め、投与エラーの可能性を更に生じにくくできる。カラーコード化プランジャ及び/又はストッパの代わりに又はそれに加えて、プランジャ及び/又はプランジャストッパには、更に、間違いを犯す可能性を更に制限するために薬物の名前及び/又は濃度を標記できる。
【0030】
又は、投薬装置は、例えば、チューブ、バイアル、カップ、スプーン又はボトルなどの、その中に所望の医薬品を入れてこれをそこから押し出せる任意の容器を含むことができる。たとえば、投薬装置は、IV液が入ったバッグとすることができる。この実施形態に従えば、バックには、従来の容積標記と共に一連のカラーコードゾーンを標記できる。従来の容積標記と一緒に使用される場合、カラーコードゾーンは、患者のカラーゾーンに基づいて患者に与えることができる各薬剤の正確な体積を医療従事者に思い出させるものとして役立つことができる。カラーコードゾーンは、又、所与の薬剤についてIVポンプの中へ投与される正確な全体量を入れるためのカギとしても使用できる。
【0031】
次に、投薬装置の表面の標記について説明する。シリンジの場合、標記は、シリンジバレル又はプランジャの円周面に沿って配置できる。
図1~3に示すように、標記は、患者に投与できる可能な医薬品用量を示す実質的に半透明の一連のバンド又はゾーン100を含む。図に示す標記は一連のカラーコードゾーンを含むが、標記は、異なるパターン、テクスチャなどを持つゾーンを含むことも可能である。使用される標記のタイプに関係なく、標記は、投薬装置の内面又は外面に直接、押印、印刷、エッチング又は着色されるか、又は投薬装置の外面に付着又は配置できるラベル又はスリーブを作ることができる。標記は、装置が充填されたとき液面が標記を通して容易に見えるようなものである。
【0032】
図3Aは、本開示の1つの実施形態に従った複数のラベルを示す。各ラベル300は、実質的に長方形であり、ラベルが貼られる投薬装置の容積量に基づくサイズを有する。言い換えると、投薬装置ごとに容積は変動し、その結果、投薬装置の円周外面は変動するので、ラベルのサイズ及び寸法は、投薬装置の外面を適切に被覆するように調節される。例えば、ラベルが2つの異なるバレル容積量を持つシリンジのために作られる場合、ラベルサイズは、バレルの外面の変化に対処するために長さ及び幅の両方が増減する。
【0033】
ラベルサイズの変化と共に、ラベルに印刷されるカラーバンド又はゾーンの幅も、薬剤の投与に使用される投薬装置に基づいて適切に変更が加えられる。具体的には、投薬装置の容積の変動を考慮するために、各種の投薬装置の間で同じ投薬量を維持するために、カラーバンド又はゾーンの幅にも、変更を加える必要がある。例えば、
図3Bに示すように、10cc投薬装置と5cc投薬装置に装填される同じ医薬品のラベルは、両方の投薬装置について投薬量を同じに維持するために、各カラーバンド又はゾーンに2つの異なる幅を有する。言い換えると、5cc投薬装置を使用する場合と比較して10cc投薬装置を使用して同じ薬剤量を投与するために、10cc装置のラベル310のカラーバンド351A~359Aの幅は、患者へ同量の薬剤を送達するためには、5cc投薬装置のラベル305のカラーバンド351B~359Bより小さくなる。
【0034】
同様に、使用される薬剤の濃度も、ラベルに印刷されるカラーバンド又はゾーンの幅に影響する。具体的には、カラーバンド又はゾーンの幅は、薬剤の濃度に基づいて決められ、より濃度が高い薬剤は、より濃度が低い薬剤よりも小さい用量即ちより小さいバンド幅に対応する。
【0035】
図3Cに示すように、ラベル300は、対向する平行の辺315及び320と、対向する平行の端325及び330とを有し、特定の特徴を持つ患者のための薬剤用量に対応する変動する幅を持つ一連の連続的カラーバンド又はゾーン351~359を含む。特徴は、患者の身長(上述の通り)、体重、年齢、体表面積/体積及び/又はこれに類似するものに対応できる。具体的には、各カラーバンドは、ラベルの対向する端325及び330に対して平行の先頭縁335と後尾縁340によって画定される幅を有し、幅は、ラベルが投薬装置に貼られると、予設定されたカラーコード化範囲に属する患者の身体特徴に適する医薬品の予設定された用量に容積に関して対応する。言い換えると、ラベル上の各カラーバンド又はゾーンは、それぞれのカラーコード化身長範囲、体重範囲、年齢範囲、体表面積/体積範囲またはその他の生理学的特徴に相関される薬剤用量を表す。
【0036】
更に
図3Cを参照すると、1つの実施形態に従って、9つの異なるカラーバンド351~359を、9つの明確なカラーコード化患者特徴範囲に対応する9つの異なる薬剤用量を区別するために使用できる。具体的には、色の各々は、具体的な薬剤の9つの異なる用量の1つに対応する。
図3Cに示すように、1つの特定の実現形態において、バンドカラーは、灰色351と、ピンク352と、赤色353と、紫色354と、黄色355と、白色356と、青色357と、橙色358と、緑色359と、を含むことができ、灰色バンドは最も少ない薬剤用量に対応し、緑色バンドは、送達可能な最も多い薬剤用量に対応する。黒の実線365は、下で更に詳しく論じるように薬物投与プロセスを容易にするために各種のカラーバンド又はゾーンの間の境界に利用できる。
図3A~3Cに示す具体的な色を参照して説明するが、他の色又は標記を使用できることが容易に分かるだろう。その代わりに又はそれに加えて、色に加えて又は色の代わりにバンド又はゾーン幅内に色名を印刷できる。
【0037】
図3Dに示す更に別の実施形態によれば、ラベルは、10の異なるカラーバンドを含み、10番目のバンド360は、送達可能な薬剤の最大用量に対応する。この特定の実施形態において、最大用量は、前に開示したカラーコード範囲外に属する特徴(例えば、身長、体重など)を持ついかなる患者に対しても投与できる万能用量(universal dose)に対応できる。例えば、この実施形態に従った万能ラベルは、小児患者にも成人患者にも使用できる万能投薬装置に応用できるので、2つの異なる患者群に2つの別個の投薬システムを持つ必要を無くす。
【0038】
上述の実施例において、具体的数のカラーバンドについて論じたが、もっと精密な投薬を可能にする任意の数のカラーバンドを使用できることが分かるはずである。いくつかの事例において、事前に画定されたバンド又はゾーンをサブバンド又はサブゾーンに細分して、更に精密な投薬を可能にできる。非限定的例として、いくつかの実施形態において、9つのカラーゾーン内に36の標記(サブゾーン)を持つことができる。これにより、患者へ薬物を投与する際の精密さを増すことができる。
【0039】
また、本開示の別の実施形態によれば、
図3Cに示すように、ラベル縁の一方は、ラベルがシリンジ又はプランジャに正確に貼られる又は位置付けられるようにするのを助ける印370を含むことができる。例えば、シリンジバレルの遠位端と整列されるラベル縁には、ラベルをバレルに逆向きに貼ってしまい後に不正確な用量を投与することになるのを防止するために、印を付けることができる。例えば、最小用量に対応するカラーバンドを持つラベルの縁は、その先頭縁にラベルとシリンジバレルの遠位端の整列を容易にする印を含むことができる。
【0040】
更に、別の実施形態によれば、
図3Aに示すように、ラベルは、投与される薬剤の名前または正確な薬剤が患者へ投与されるようにするために重要である可能性があるその他の任意の情報を含むことができる。特に、薬剤の名前は、ラべルの長さに沿って又は医薬品の正確性を容易に確認できるようにする限り投薬装置の他の任意の位置に、押印できる。更に、間隔を置いて投与される薬物の場合、ラベルには、対応する時間間隔を標記するか、又は患者及び/又は医療従事者が投薬間隔を追跡できるように別個のカレンダ(紙か電子的かを問わず)を提示できる。
【0041】
投薬情報を決定し作成する方法
次に、複数の薬剤について投薬量及び投薬装置を決定する方法400について論証する。
図4に示す1つの特定の実施例において、方法は、選択された投薬装置に応用できるカラーコード化用量ラベルを作成することを含む。
図4に示すように、方法400は、投薬ラベル作成の対象となる薬剤を選択するステップ401から開始する。救急又は救命治療現場において、最も一般的に使用される薬剤のいくつかは、例えば、アトロピン、リドカイン、フェンタニル、エピネフリン、エトミデート、ケタミン、スクシニルコリン、ロクロニウム及びミダゾラムなどを含む。但し、方法は、開示する投薬装置を使用して投与できる他の任意の薬剤に同等に応用できることが、分かるはずである。
【0042】
ラベル作成対象の薬剤が特定されたら、ステップ402において上述のカラーコード化特徴(例えば、身長、体重など)ゾーンの各々について薬物の用量が決定される。薬物に応じて、カラーコードゾーンの幅が異なる可能性がある。下の表1は、上記の薬物のいくつかについてmgで用量を示す。表1から分かるように、各薬物の用量は、薬物のタイプに基づくだけでなく、患者の身長(即ち特徴)に基づいて変わる。したがって、例えば、表1に示すように、黄色のカラーゾーン化身長ゾーンに属する患者の用量は、スクシニルコリンについては26mg、ロクロニウムについては13mgである。その身長が異なるカラーゾーン化身長に属する2人の患者に同じ薬物が投与される場合、表に示すように2つの異なる薬剤用量が使用される。例えば、エピネフリンの場合、一人は赤にコード化される身長であり、他方は青にコード化されるとすると、各患者に投与される薬剤の用量は、それぞれ0.085mg及び0.21mgとなる。又は、薬物の用量は、例えば患者の体重、年齢、体表面積/体積及び/又はこれに類似するものなど患者の身長に基づく以外の投薬量推奨に基づいて決定できる。
【0043】
患者へ投与する用量がステップ402において決定された後に、ステップ401において選択された薬物について薬物濃度が、ステップ403において決定される。薬物の濃度は、投与する必要がある体積に直接関係する。言い換えると、より高い濃度の溶剤の場合、より低い濃度の溶剤の場合より、同じ薬剤をより少ない量投与する必要がある。
【0044】
次のステップ404は、ラベルが貼られる投薬装置を選択するステップである。上で説明したように、投薬装置は、様々な容積サイズがあるので、投薬装置の長さ及び幅及び/又は薬剤の濃度に基づく投薬装置の換算係数を、ラベル作成対象の様々な投薬装置のサイズ及び/又は形状の変化を考慮に入れるために使用できる。このようにして、特定の容積の投薬装置が、選択された薬剤の投与のために選択されたら、表1に列記される対応する換算係数を使用して、決定された薬剤用量に対応する個別のカラーバンド/ゾーン幅及び全体バンド幅を計算できる(ステップ405)。具体的には、決定された薬剤用量に対応する各カラーバンド/ゾーンの幅は、投与される薬物の用量、溶剤濃度及び投薬装置の容積量に基づいて計算される。1つの実施形態によれば、計算の全ては、ユーザーの入力に応答してコンピュータ処理ユニット(CPU)よって実施できる。
【0045】
投薬装置へのラベルの貼付けは、各カラーバンド又はゾーンの幅が決定されラベルが印刷された後に行うことができる。例えば、ラベルがバレルとプランジャとを有するシリンジに貼られ、バレルが投与される医薬品を保持するように設計される場合、ラベルは、最小投薬量のカラーバンドに対応するラベルの縁の1つを投薬装置10のシリンジバレルの遠位縁と整列させることによってバレルの円周外面に沿って配置できる。又は、プランジャが医薬品を保持するための容器として使われるシリンジにおいては、ラベルは、最小投薬量のカラーバンドに対応するラベルの縁の1つを投薬装置の近位端と整列させることによって、プランジャの円周外面に沿って配置できる。
【0046】
選択された薬剤の各々について予計算されたバンド/バンド幅、投薬装置容積量及び溶剤濃度を、投薬装置に貼付できるラベルに印刷できるが、投薬情報は、直接、投薬装置に押印、エッチング、色付け又は塗装できる。又は、投薬情報は、投薬装置に被せることができるスリーブ又はラベルに印刷できる。実施形態において、投薬ラベルは、ひとたび取り付けたら動かないように投薬装置に固定的に取り付けできる。
【0047】
1つの実施形態によれば、適切にラベル付けされた投薬装置に、所望の薬剤を予充填でき、流体体積は、例えば最大身長ゾーンに属する身長を持つ患者に投与できる最大用量に対応する。投薬ユニットが選択された薬剤で予充填される場合、投薬装置が充填される前又はその後にラベルを貼付できる。投薬装置が投薬装置と投与される薬物が充填された容器とを含むキットの一部として含まれる場合など、薬剤投与プロセス直前に投薬装置に選択された薬剤が充填される場合、空の事前ラベル付き投薬装置が供給される。
【0048】
したがって、所与の患者のために予設定された用量に対応する流体体積を、薬物投与直前に容器から前の事前ラベル付き投薬装置に引き入れることができる。
【表1-1】
【表1-2】
【0049】
薬物を投与する方法
上で論じたステップに従って組み立てられた投薬装置は、薬物を安全かつ効率よく送達するために使用できる。
図5は、1つの実施形態に従って開示する投薬装置10を使用して患者へ薬物を投与する方法のフローチャート500である。この特定の実施例において、開示する方法は、予充填され予標記された投薬装置から患者へ選択された医薬品を効率よく投与するためのステップを提供する。図に示すように、方法は、カラーコード化身長または患者のその他の任意の身体特徴が測定されるステップ501から始まる。身長の場合、Broselowテープ又はカラーコード化身長範囲を与えるその他の同様のタイプの器具を、このステップにおいて使用できる。
図6に示すようにカラーコード化身長は、患者600をテープ601に沿って配置し、テープ上に患者のカラーコード化身長を書き留めることによって得られる。又は、例えば体重、年齢、体表面積又は体積などカラーコード化できかつ薬剤用量と相関できるその他の生理学的特徴を使用できる。
【0050】
患者の身長又はその他の生理学的特徴が測定され、かつ/又は固有のカラー範囲にコード化されたら、投与される薬剤が入った予充填された投薬装置10が、ステップ502において選択される。薬剤の選択は、予充填された投薬装置の外面に沿って押印された薬剤の名前を読み取るか、又は上述のようにプランジャの色を確認することによって、確認する。
【0051】
患者の身長又はその他の特徴に関するカラーコードが決定され書き留められ、投与される医薬品の正確さが確認された後に、投与される薬剤の適切な用量又はその対応する体積がステップ503において決定される。適切な用量は、医師又は患者の少なくとも1つの特徴に基づいて適切な用量を計算する他の医療従事者が決定できる。算定された用量は、投与される薬物の精密な量とすることができる。又は、医師又は薬剤を投与するその他の医療従事者は、患者の少なくとも1つの特徴に基づいて患者のカラーコードを決定できる。例えば、患者の身長又はその他の特徴が計測テープの青色範囲に属すると決定される場合、患者へ投与される薬剤の量は、投薬装置の青色バンド又はゾーン内の量となる。
【0052】
投薬ユニットは(この実施形態において)薬剤が予充填されているので、医薬品の適切な用量は、ステップ504に示すように薬剤の算定体積(用量)に達するまで、薬剤の過剰分を予充填されたシリンジから押し出すことによって得ることができる。言い換えると、投薬装置の予充填量は、患者へ投与できる最大体積に対応する。したがって、算定された用量が最大可能用量でない限り、ある程度の薬剤は、薬物の投与前に予充填投薬装置から押し出さなければならない。
【0053】
このように、1つの実施形態によれば、プランジャは、プランジャ54の近位端が算定用量に到達するまでバレルの遠位端31へ向かってバレルの内部に沿って押される。
【0054】
投薬を行う医療従事者が、算定用量の薬剤のみが投薬装置に残っているように過剰な医薬品を押し出したら、投薬を行う医療従事者は、算定用量及び投薬装置に残っている薬剤の量が患者に定められたカラーコード範囲内であることを確認する。例えば、その身長又はその他の特徴が青色にコード化された上記の患者の場合、青色バンドはバレルの遠位端に近接する先頭縁及びバレルの近位端に近接する後尾縁を持つので、プランジャは、プランジャの遠位端が算定用量と整列するまでバレルの遠位端へ向かって押され、その後投薬を行う医療従事者は、プランジャが青色バンドの先頭縁と後尾縁との間に在るようにする。全ての過剰流体がステップ504に従って予充填投薬装置から押し出されたら、ステップ505において投薬量が正確であることが確認され、ステップ506において患者へ医薬品が投与される。
【0055】
又は、別の実施形態によれば、投薬装置は、
図7Aに示す方法に従って患者へ薬物を投与するために使用できる。特に、薬物投与の方法は、患者へ投与される薬物を含む救急治療キットの選択から始めることができる(ステップ701)。
図7Bに示すように、治療キットは、特に外面に容器の中に入っている薬剤の名前が記されたラベル付きのボックス、バッグ、ポーチ又は投薬装置をその中に保持できるその他の任意の適切な容器などの容器を含むことができる。例えば、1つの実施形態によれば、ラベルに記された薬物の名前だけでなく、ラベルは、薬物の濃度に関する情報及び/又は薬物を投与する際にキットをどのように使用するかの指示も含むことができる。治療キットは、更に、選択された薬物について様々な薬物用量に目盛り定めされたカラーコードゾーンを持つ例えばシリンジなどの予標記投薬装置を含むことができる。シリンジの標記は、又、送達される薬物の名前又は薬物が正確に患者に送達されるようにするのに役立つその他の情報を含むことができる。治療キットは、又、シリンジへの薬物の引き入れを容易にするためのプラスチック又はその他の適切な材料で作られたブラントフィルニードル(採液針)などのニードルを含むこともできる。治療キットは、又、容器の外面に薬物名がラベル付けされる薬物を保持するためのボトル、バイアルなどの容器も含むことができる。容器は、容器内部に薬物を収容するのを助けるストッパ又は蓋を含むことができる。ストッパ又は蓋は、容器から薬物を容易に投薬装置に引き入れられるように、フィルニードルで容易に穿孔できる例えばゴム又はその他の適切な材料から作ることができる。
【0056】
複数の薬物がキットに含まれる場合、どのバイアルがどのシリンジに対応するか混同しないようにするために、各薬物に対応するバイアル及びシリンジをパッケージ内に位置付けることができる。更に、異なる色のプランジャは、正確な薬剤が正確な順番で患者に与えられるようにするのに役立つ。例えば、明確な順番で2つの薬物が投与される状況においては、キットは、第1薬物用のカラーゾーンが標記された第1シリンジと一緒に第1バイアルの中の第1薬剤と、第2薬物用のカラーゾーンが標記された第2シリンジと一緒に第2バイアルの中の第2薬物と、を含むことができる。第1バイアル及び第1シリンジが第2バイアル及び第2シリンジと混同されないようにするために、シリンジのプランジャを色付きとすることができる。第1バイアルのラベル及び/又は蓋の色は、第1シリンジのプランジャと同じ色で標記でき、第2バイアルのラベル及び/又は蓋の色は、第2シリンジのプランジャと同じ色で標記できる。このように、薬物が投与されるとき、投薬を行う医療従事者は、正確なバイアル/薬物-シリンジの組合せが使用されているか容易に確認できる。
【0057】
その代わりに又はそれに加えて、特定の順番で薬物を送達する必要がある場合、プランジャの端部に、薬物を送達する順番を示す数値を標記できる。例えば、第1に投与される薬物が緑色のプランジャを持ち、第2に投与される薬物が黄色のプランジャを持つ場合、緑色のプランジャの端部は、端部に番号1を持ち、黄色のプランジャの端部は、端部に番号2を持つことができる。バイアルにも、数値を標記できる。
【0058】
薬物用量が患者の身長に基づく場合、患者のカラーコード化身長はBroselowテープなどの器具又は
図6を参照して上で論証したカラーコード化身長範囲を与えるその他の同様のタイプの装置を使用して測定できる。又は、患者の他の特徴を使用して、カラーコード化範囲を決定できる。投与される薬物の適切な体積は、その後、患者の身長に基づいて決定でき、患者の身長はカラーコードに相関できる。決定された薬物体積を、その後投薬装置に引き入れて、投薬を行う医療従事者は、決定された薬物体積が患者に対応するカラーコード範囲内であることを確認する。用量が確認されたら、薬物を患者へ投与できる。
図7に示す1つの実施形態によれば、投薬装置が、事前に取り付けられたフィルニードルを持つシリンジである場合、フィルニードルは、薬剤の投与前に処分できる。
【0059】
図8A及び
図8Bに示すように、ストレスの大きい環境において、投与する必要のある用量を計算するステップを排除し、かつ適切な投薬装置を選択するステップを排除することは、従来の装置及び方法を使用する際通常生じる重大な過剰投与又は重大な過少投薬エラーなど、重大な投薬エラーを無くすのに役立つ。また、従来の方法に比べて、重大ではないエラーの頻度及び深刻度を、
図8C及び8Dに示すように減少できる。又、
図8E及び8Fに示すように、薬剤を準備し投与するための時間並びに迅速導入気管挿管(RSI)のために準備をする際の薬剤を送達するための時間が、従来の装置に比べて本開示の投薬装置を使用する場合大幅に減少できる。このように、開示する実施形態に従って設計され使用される事前ラベル付き投薬装置は、救急及び救命治療現場においてより単純化され正確で効率の良い薬物送達を可能にする。
【0060】
別の実施形態において、用量を計算し、カラーバンド/ゾーンを使用して算定された用量が患者の少なくとも1つの特徴に基づいて安全範囲内に在ることを確認できる。例えば、患者の体重など患者の特徴に基づいて精密な投薬量を計算でき、算定された用量が患者に与えて安全であるようにするために、投薬を行う者は、薬物投与前に用量が正確なカラーバンド/ゾーン内に在ることを確認する。カラーバンド/ゾーンは、より精密性を求める特定の薬剤の場合、より小さい場合がある。このような状況において、より小さい範囲又は正確な精密さが、患者の特徴と投薬量との間の相関に要求される可能性がある。
【0061】
まず用量を計算し、その後決定された用量が患者にとって安全範囲(即ち、カラーゾーン)内であることを確認することによって、薬物送達の連鎖の中にいる誰でもがエラーが生じたときこれを識別できるので、投薬エラーを回避できる。例えば、医師が用量を計算するが、看護師(又は、別の第2の医師)が患者に薬剤を投与する場合がある。計算においてエラーが生じた場合又は投薬を行う医療従事者が算定された用量を読み違えた場合、投薬を行う従事者は、用量が患者に対応するカラーゾーン外に在るので、患者へ薬物を投与する前にエラーが生じたと分かるだろう。(いくつかの実施形態において、患者のカラーゾーンは、薬物が投与される時点で決定され、患者のカルテにマーカー、スキャンできるバーコードなどで標記されるか、又は子供の安全カラーゾーンに対応する色のアームバンドを付けるように子供に頼める)。
【0062】
図9Aは、このような実施形態の代表的フローチャートを示す。カラーコードゾーンは、患者の少なくとも1つの特徴に基づいて決定できる905。患者の特徴は、患者の身長、体重、年齢、体表面積/体積、又はこれに類似するものとすることができる。いくつかの実施形態において、カラーコードゾーンは、
図9C及び/又は9Dのチャートを使用するなどによって患者の体重に基づいて決定できる。患者へ投与される薬物が決定され910、予標記投薬装置が選択される915。いくつかの実施形態において、予標記投薬装置は、患者へ投与される薬物に合わせて(薬物名及び濃度の両方)具体的に仕立てることができ、装置は、投与できる薬物の用量に対応する一連のカラーコードゾーンを持つことができる。カラーコードゾーンは、変動する幅を持つことができ、少なくとも1つの身体特徴を持つかつ/又は少なくとも1つの身体特徴の範囲内の患者へ投与するのに安全な薬物体積に対応できる。
【0063】
患者へ投与される薬物用量が決定される920。いくつかの実施形態において、薬物用量の決定は、医師又はその他の医療従事者による計算に基づく。例えば、医師は、予設定範囲内の体重など特定の身体特徴を有する患者が特定の量の薬物を投与されるべきであること(例えば、FDA指針に基づいて)を知っている。患者へ与えられる薬物の量は、重量単位(例えば、ミリグラム)である可能性がある。しかし、液体の薬物を投与する際、単位は体積である(例えば、ミリグラム/ミリリットル)。したがって、医療従事者は、患者へ適切な用量(例えば、ミリグラム)の薬物を与えるために何ミリリットルの薬物を患者や送達するかを決定しなければならない。
【0064】
薬物用量が決定されたら、決定された薬物用量に基づく薬物体積を投薬装置に充填できる925。医師、看護師、技師、医師助手及び/又はこれに類似する者など、薬物投与を行う者は、投薬装置に充填された薬物の体積が決定されたカラーコードゾーンに対応することを確認できる930。充填量がゾーン内である場合、投薬装置を使用して患者へ薬物用量を投与できる935。いくつかの実施形態において、充填量がゾーン内にない場合、患者へは投与できない。例えば、薬物用量が決定し直される。他の実施形態において、充填量が設定ゾーンを超えない限り、これを投与できる。
【0065】
図9Bは、このような実施形態の別の代表的フローチャートを示す。投与される薬物が選択され950、薬物の用量が決定及び/又は計算される955。用量は、患者の身長、体重、年齢、体表面積/体積及び/又はこれに類似するものなど患者の特徴に基づくことができる。カラーコードゾーンも、同じ特徴に基づいて又は患者の他の特徴に基づいて決定できる960。算定された用量を投薬装置の中へ引き入れることができる965。例えば、投薬装置がシリンジである場合、算定用量をバイアルからシリンジに引き入れることができる。シリンジには、
図10Bに示すように複数のカラーコードゾーンを標記できる。安全な用量が投与されるようにするために、算定用量は、決定されたカラーコードゾーン内になければならない970。決定された用量がカラーコードゾーンの範囲内である及びいくつかの実施形態においてはこれより少ない場合、この用量が患者に投与される975。決定された用量がカラーコードゾーンの範囲内ではない場合例えば決定された用量がカラーコードゾーンより多い場合、用量は投与されない。過剰薬物は投薬装置から押し出すか、計算が正しく行われたか確認するために用量を再計算(再決定)できる。
【0066】
図9Cは、キログラム(kg)の単位の患者体重に基づき患者のカラーコードゾーンを決定するための代表的チャートを示す。このチャートは、投薬計算への使用を容易にするためにキログラムで体重が記載される病院において使用できる。
【0067】
図9Dは、患者体重がポンド(lb)で示される別の代表的カラーコードチャートを示す。
図9Dの実施形態において、患者の身長(この場合はインチ(in.))も示される。この実施形態は、特定の国(例えば、米国)において患者及び介護者がキログラムやセンチメートルよりポンド及びインチに馴染んでいる場合があるので、薬剤用量が家庭で送達される場合に、特に有益であろう。このように、例えば、親がその子供にエピネフリンを投与する場合、子供の体重及び/又は身長に対応するカラー範囲内に在る用量を子供に投与するよう決定するために、
図9Dに示すチャートを素早く参照できる。
【0068】
図10A~Bは、濃度1mg/1mlの薬物(エピネフリン)に関する代表的カラーコードゾーンを示す。
図10Aに示すカラーコードゾーンは、患者へ投与される用量を決定する際にカラーコードゾーンが使用される場合(例えば、
図5及び7Aに示すプロセスを使用して)に、使用できる。このような実施形態において、患者の身長がカラーコードゾーンを決定するために使用され、カラーコードゾーンは、患者へ投与される用量を決定する。開示する実施形態の典型的な実現形態において、薬物投与を行う医療従事者は、患者に対応するカラーコードゾーンの最大用量レベルまで薬物をシリンジに充填する。例えば、患者の身長(又は体重など)が白色ゾーンに属するとき、医療従事者は、0.15mLの薬物を投与する。これは、白色ゾーンの下限に在る患者にとって僅かに過剰投与である可能性があり、白色ゾーンの上限に在る患者にとって僅かに過少投与である可能性がある(当然、僅かな過剰投与/過少投与は、白色ゾーン内に属する患者にとって安全用量範囲内である)。他の実施形態において、カラーゾーンに対応する用量は、それぞれのカラーコードゾーンの下限に在る患者にとって正確な用量であり、カラーゾーンの中間及び上限に在る患者にとって僅かに過少投与とすることができる。
【0069】
図10Bは、
図9A~9Bに示すプロセスが使用される場合に使用できるカラーコードゾーンを示す。この場合、計算は精密であろうが、色は、用量が安全範囲にあることをダブルチェックするために使用される。用量が計算され、カラーコードゾーンは適切な用量が応用されることを確認するために使用されるので、カラーコードゾーンを、より正確にすることができる。
図9A~9Bを参照して論じたように、投薬を行う従事者は、患者に算定された正確な用量に対応するレベルまでシリンジを充填し、その後算定された用量が患者に対応するカラーコードゾーン内に含まれることを確認する。
【0070】
図10Bの実施形態において、ゾーンは、各ゾーンのどちら側の患者にも僅かな過剰用量/過少用量が投与されるようには構成されない。その代わりに、各カラーゾーンは、ゾーン内のどの患者にとっても最大許容用量まで(例えば、ゾーン内の最も体重の軽い又は最も身長の低い患者にとっての最大許容用量まで)しか延びない。その結果、カラーコードゾーンの容積は、
図10Aと
図10Bとの間でシフトする。例えば、患者の体重が14kgで、したがって「黄色」範囲の最上部にいるとする。
図10Aの実施形態において、患者は、エピネフリンを0.12mL受けることになる。
図10Bの実施形態においては、用量は、エピネフリン0.14mLと算定される可能性がある。この用量が投薬装置の中に在るとき、投薬を行う従事者は、用量が黄色ゾーンにとって適切であると見て、患者のカテゴリーが黄色ゾーンであることをダブルチェックして、薬物を投与する。このように、患者は、
図10Bの実施形態においてより高い投薬を受けるが、この高い用量は、正確であり安全である。逆に、医師が、患者は0.20mLの薬物を受けるべきだと計算したとすると、投薬従事者は、この用量が青色ゾーンに属すると見ることになる。患者が黄色ゾーンのカテゴリーに属することを知っていると、投薬を行う従事者は、薬物を投与しないことになる。これは、薬剤の過剰投与を防止し、患者が正確な量の薬剤を投与されるようにする。
【0071】
代表的実現形態において、医師が患者のために0.15mLの用量を算定した場合、投薬を行う医療従事者は、0.15mlのマーカーまでシリンジを充填する(予充填された装置から薬物を押し出すか又は装置へ薬剤を引き入れるかに関係なく)。次に、医療従事者は、患者のカラーコードゾーンをチェックする。患者が白色ゾーン内に在れば、従事者は、薬物を投与する。患者が他のゾーンに属する場合には、医療従事者は、薬物を投与せず、代わりに、用量が再計算されるようにする。いくつかの実施形態において、患者が薬剤を過剰投与されないようにすることが医療従事者にとって特に重要である可能性がある。このように、患者が算定用量より高いカラーゾーンに属する場合、投薬従事者は、薬物を投与でき、その後、用量の残りが与えられる(例えば、「青色」ゾーンの患者に「白色」ゾーンの用量が与えられ、その後残りの用量が後に与えられる。このようにして、0.15mLの用量を投与でき、適切な用量が0.20mLであったら、残りの0.05mLを投与できる)。
【0072】
次に、
図11は、患者へ安全に薬剤用量を順次送達し易くするように設計された事前ラベル付き投薬装置1100を含む投薬システムの実施形態を示す。図示するように、投薬装置1100には、4つの投薬区分1110を持つカラー投薬バー1104が印刷、ラベル付け又はその他で標記される。1つの実施形態において、カラー投薬バー1104は、患者のパラメータ(例えば患者体重又は身長)と相関される色(例えば、緑色)である。投薬区分1110の各々は、患者へ与えられる所与の薬剤用量に対応する薬剤の体積を識別する。例えば、第1投薬区分1110aは、患者へ与えられる第1用量に対応し、第2投薬区分1110bは、患者へ与えられる第2用量に対応し、第3投薬区分1110cは、患者へ与えられる第3用量に対応し、第4投薬区分1110dは、患者へ与えられる第4用量に対応する。
【0073】
図11の投薬システムは、特に、医療が患者へ同じ医薬品を順次投与することを必要とする状況において有益である。このような状況は、利用できる資源と時間が限られた救急治療においてしばしば生じる。例えば、心拍停止を伴う救急の場合、同じ用量の特定の医薬品を連続的に3分間隔で何度も心障害の患者へ与えなければならない。いくつかの状況において、更なる治療のために患者を安全に病院へ移せるまでに、最高20回も患者へ薬剤を順次投薬しなければならない。従来の投薬器具がこのような救急の現場で使用される場合、投薬量の計算/計測並びに患者への投与のために医薬品を様々に準備するために貴重な時間が失われる可能性がある。
【0074】
従来の投薬方法のこのような欠点は、
図11の順次投薬システムを利用することによって克服できる。具体的には、投薬区分1110は、予設定された回数(
図11の場合4回)分の薬剤量を事前に準備して、装置1100を介して患者へ順次送達できる。1つの実施例において、投薬装置1100の操作者は、患者へ送達される正確な順次投薬量に到達するために数学的計算を行う必要がない。例えば、患者のパラメータ(例えば、体重又は身長)が特定の投薬カラーと相関されたら(
図11の場合、緑色)、患者と相関された投薬カラーと同じ色を有するカラー投薬バー1104を有する投薬システム1100が選択される。その後、投薬区分1110は、操作者が計算に携わる必要なく、患者のサイズ、薬剤の濃度及び所望の薬剤用量(例えば、mg/体重kg)を考慮して各順次投薬において投与される適切な薬剤体積を投薬装置の操作者へ知らせるために役立つ。このように、複数回分の予め準備された薬剤用量を、医療従事者が投薬レベルを決定するために数学的計算又はこれに類似するものに携わる必要なく、単一の器具を介して順次送達することは、従来のシリンジ又はその他の従来の投薬装置を使用しては不可能である。
【0075】
図11を参照すると、1つの実施形態に従った投薬装置1100は、近位端1125と近位端の反対側の遠位端1120とを含むシリンジ1115である。シリンジは、投与される医薬品をその中に保持するためのシリンジバレル1130などの容器と、シリンジバレルの近位端1135に位置する開口から近位方向に近位端1125にあるプランジャの近位端まで延びるプランジャ1150と、を含む。シリンジバレル1130及びプランジャ1150は、両方とも、不活性であるか又は中の流体の化学バランスを壊さないプラスチック、ガラス又はその他の適切な任意の透明の医療用材料などの材料から製造される。
【0076】
図11に示すように、シリンジバレル1130は、細長く実質的に円筒形であり、遠位端1131と近位端1135とを含む。プランジャを受け入れてその中に流体を保持できるチェンバ1132は、遠位端1131と近位端1135との間にバレル1130の円周内面によって形成される。シリンジを容易に握れるようにするためのフィンガグリップとして役立つフランジ1133は、バレルの近位端と一体的に形成され、プランジャ1150を受け入れるための開口を形成する。この開口に近接して、バレルの内面に沿って、プランジャがバレルと係合したらバレルからプランジャが滑り出るのを防止するリッジ(図示せず)を含むことができる。
【0077】
フランジ1133によって形成された開口は、チェンバ1132及びシリンジバレルの遠位端1120に位置する口と流通する。シリンジバレル1130内に入れられた液体を押し出すためのニードル、ノズル又はチューブを取り付けるための先端1140は、バレルの遠位端1120と一体的に形成され、口と流通する。いくつかの実施形態において、先端は、送達のためにシリンジが使用される薬物のタイプに基づいて構成できる。例えば、口内用先端は、口内用医薬品のために構成されたシリンジに使用でき、特に、口内用先端は、静脈内(IV)又は筋間用(IM)先端と異なるものとすることができ、それによって医薬品が正当なルートで送達されるようにする。同様に、IV及びIM薬物用に構成されたシリンジは、これらも正当なルートを経てのみ送達できるように、それぞれIVおよびIM用先端を持つように構成できる。
【0078】
1つの実施形態において、バレル1130には、基準線1160(ゼロライン)が標記される。シリンジバレル1130に薬剤が予充填される場合、シリンジは、バレル1130の近位端1135から又は基準線1160から計算できる。各用量が投薬区分1110の1つに対応する薬剤量を含む場合、用量を順次患者へ投与できる。
【0079】
シリンジ1115が空の状態で操作者へ与えられる場合、シリンジ1115には操作者が例えば薬剤バイアルから薬剤を充填することになる。この場合、ラベル1104の向きは、
図11に示す向きと逆になる。即ち、ラベル1104は、複数の順次薬剤用量の第1用量に対応する投薬区分1110がバレル1130の遠位端1120に近接し、最後の用量に対応する投薬区分1110が近位端1135に相対的に近づくような向きとなる。バイアル内の薬剤は、用量の順次投与の直前に、シリンジ1115の中へ引き入れることができる。このような実施形態においては、プランジャロッド1150は、薬剤をシリンジ1115の中へ引き入れるまでシリンジバレル1130内部に入ったままとすることができる。いずれのアプローチも、単一用量シリンジを使用する場合に比べて操作者の貴重な時間を節約する。なぜなら、後者の場合、各用量を順次投与する前に操作者は薬剤バイアルからシリンジを充填し直さなければならないからである。又、シリンジ1115を使用することによって、シリンジに残っている薬剤の体積が、バレル1130の完全充填状態に対して何回分の用量がバレル1130に残っているかを明白に示すので、実際に何回分の用量が患者へ与えられたかを外部から追跡する必要がなくなる。
【0080】
開示する順次投薬システムは、また、救急車又はその他の移動医療システムが多様な患者のニーズに対して限定された医薬の供給品しか備えられない状況にも適する。このような薬剤は、多様な患者層のニーズに応えなければならず、同じ薬剤の複数の調合を用意することは実現不可能又は実用的ではない(例えば、心停止用薬剤)。このようなニーズに対処する1つの方式が、例えば、各カラーバーを複数の投薬区分に仕切ることによって順次投薬機能を保持しながら、同じ投薬装置に様々なサイズの患者を表すために例えば複数のカラーバーの形式のカラーコード化を使用することである。
【0081】
次に、
図12は、複数の異なるサイズの患者の任意の1人への順次投薬を容易にするように設計された事前ラベル付き医薬品計量/供給(投薬)装置1200を含む投薬システムを示す。図示するように、投薬装置1200には、3つのカラー投薬バー1204、1206、1208が印刷、ラベル付け又はその他で標記され、その各々が、それぞれ、2つの投薬区分1210、1212、1214に仕切られる。1つの実施形態において、カラー投薬バー1204、1206、1208は、それぞれ青色、金色及び橙色であり、各色は、異なる患者サイズに相関される。投薬区分1210、1212、1214の各々は、カラー投薬バー1204、1206、1208の対応する1つと相関される患者へ与えられる所与の薬剤用量に対応する薬剤の体積を識別する。例えば、カラー投薬バー1204の第1投薬区分1210aは、投薬カラー青色と相関される患者へ与えられる第1用量に対応し、第2投薬区分1210bは、同じ患者へ与えられる第2用量に対応する。
【0082】
図11のシステムと同様、
図12の投薬システムは、医療が同じ医薬品を患者へ順次投薬することを必要とする状況において、特に有益である。このような状況は、利用できる資源及び時間が限られる場合がある救急医療においてしばしば生じる。例えば、心停止を伴う救急現場では、同じ用量の特定の医薬品を心停止の患者へ3分間隔で何度も与えなければならない。いくつかの状況において、患者が更なる治療のために病院へ安全に移送されるまで、最高20回患者へ順次投薬しなければならない。従来の投薬器具がこのような救急現場で使用される場合、医薬品用量を計算/計測するため並びに患者へ投与するために様々な調合の医薬品を用意するために貴重な時間が失われる可能性がある。
【0083】
従来の投薬方法のこのような欠点は、
図12の順次投薬システムを使用することによって克服できる。具体的には、投薬区分1210、1212、1214は、予設定回数(
図12の場合には2回)分の薬剤用量を事前に準備し、装置1200を介して患者へ順次送達できるようにする。1つの実施形態において、投薬装置1200の操作者は、患者へ送達される正確な一連の投薬量を得るために数学的計算を実施する必要が一切ない。例えば、患者のパラメータ(例えば、体重又は身長)が特定の投薬カラー(
図12の場合、青色、金色又は橙色)に相関されたら、患者と相関された投薬カラーと同じ色を持つカラー投薬バー1204、1206、1208を有する投薬装置1200が選択される。患者と相関されるカラー投薬バー1204、1206、1208の1つの投薬区分1210、1212、1214は、その後、操作者が計算に携わる必要なく患者のサイズ、薬剤の濃度及び所望の薬剤用量(例えば、mg/体重kg)を考慮して各順次投薬において投与される適切な薬剤体積を投薬装置の操作者へ知らせるために効果的に役立つ。このように、投薬量を決定するために医療従事者が数学的計算などに携わる必要なく、複数の予調合された用量の薬剤を単一の器具によって順次送達することは、従来のシリンジ又はその他の従来の投薬装置を使用しては不可能である。
【0084】
図12を参照すると、1つの実施形態に従った投薬装置1200は、近位端1225と近位端の反対側の遠位端1220とを含むシリンジ1215である。シリンジは、投与される医薬品をその中に保持するためのシリンジバレル1230などの容器と、シリンジバレルの近位端1235に位置する開口から近位方向に近位端1225に在るプランジャの近位端まで延びるプランジャ1250と、を含む。シリンジバレル1230及びプランジャ1250は、両方とも、不活性であるか又は中の流体の化学バランスを壊さないプラスチック、ガラス又はその他の任意の透明な医療用材料などの材料から製造される。
【0085】
図12に示すように、シリンジバレル1230は、細長く、実質的に円筒形であり、遠位端1231と近位端1235とを含む。プランジャ1250を受け入れて流体を中に保持できるチェンバは、遠位端1231と近位端1235との間にバレル1230の円周内面によって形成される。フランジ1233は、シリンジを容易に握れるようにするためのフィンガグリップとして役立つことができ、バレルの近位端と一体的に形成され、プランジャ1250を受け入れるための開口を形成する。この開口に近接して、バレルの内面に沿って、バレルと係合したらプランジャがバレルから滑り出るのを防止するリッジ(図示せず)を含むことができる。
【0086】
フランジ1233によって形成された開口は、シリンジ1215のチェンバ及びシリンジバレルの遠位端1220に位置する口と流通する。シリンジバレル内に入れられた液体を押し出すためのニードル、ノズル又はチューブを取り付けるための先端1240は、バレルの遠位端1220と一体的に形成され、口と流通する。いくつかの実施形態において、先端1240は、送達のためにシリンジが使用される薬物のタイプに基づいて構成できる。例えば、口内用先端は、口内用の医薬品のために構成されたシリンジに使用でき、特に、口内用先端は、静脈内用(IV)又は筋間用(IM)とは異なるものとすることができ、それによって、正当なルートで医薬品が送達されるようにする。同様に、IV及びIM用薬物用に構成されたシリンジは、この場合にも正当なルートを経てのみ送達できるように、それぞれIV及びIM用先端を持つように構成できる。
【0087】
1つの実施形態において、バレル1230には、基準線1260(ゼロライン)が標記される。シリンジバレル1230に薬剤が予充填される場合、シリンジの用量は、バレル1230の近位端1235から又は基準線1260から計算できる。各用量が投薬区分1210、1212、1214の1つに対応する投薬量を含む場合、用量を患者へ順次送達できる。
【0088】
シリンジ1215が空の状態で操作者へ与えられる場合、シリンジ1215には操作者が例えば薬剤バイアルから薬剤を充填することになる。この場合、投薬バー1204、1206、1208の向きは
図12に示す向きと逆になる。即ち、投薬バー1204、1206、1208は、複数の順次薬剤用量の第1用量に対応する投薬区分1210、1212、1214が、バレル1230の遠位端1220に近接し、最後の用量に対応する投薬区分1210、1212、1214が近位端1235に相対的に近づくような向きとなる。バイアル内の薬剤は、用量の順次投与の直前に、シリンジ1215の中へ引き入れることができる。このような実施形態においては、プランジャ1250は、薬剤をシリンジ1215の中へ引き入れるまで、シリンジバレル1230内部に入ったままとすることができる。いずれのアプローチも、単一用量シリンジを使用する場合に比べて操作者の貴重な時間を節約する。なぜなら、後者の場合、各用量の順次投与前に操作者は薬剤バイアルからシリンジを充填し直さなければならないからである。又、シリンジ1215を使用することによって、シリンジに残っている薬剤の体積が、バレル1230の完全充填状態に対して何回分の用量がバレル1230に残っているかを明白に示すので、患者へ実際に何回分の用量が与えられたかを外部から追跡する必要がなくなる。
【0089】
予防用及び治療用投薬量標示を持つシリンジ
次に、
図13~17は、特定の薬物の治療用投薬量及び予防用投薬量のいずれか又は両方を送達するように構成されたシリンジ1300の形式の投薬装置を示す。図示するように、シリンジ1300は、予防用投薬量に対応する変動する幅を持つ第1系列のカラーコードゾーン1310と、治療用投薬量に対応する変動する幅を持つ第2系列のカラーコードゾーン1320とを含む。
図13の実施形態において、第1系列のカラーコードゾーン1310及び第2系列のカラーコードゾーン1320は、シリンジ1300のバレル1330の外面上で約180度分離される。第1系列のゾーン1310及び第2系列のゾーン1320のカラーコードゾーンの各々は、患者の身体特徴の1つに相関される薬物の予設定された用量に対応する。第1系列のゾーン1310及び第2系列のゾーン1320は、各々、投与される薬物の最小用量が、投与される特定の薬物が通過する開口1340に近接するカラーコードゾーンに対応するように、標記される。
【0090】
シリンジ1300は、同じシリンジから薬物の予防用用量及び治療用用量の両方を投与できるようにするので有利である。この場合、シリンジ1300の中の薬剤濃度1300は、予防用と治療用で同じであるが、典型的には予防と治療には異なる投薬レベルが処方される。典型的な使用状況においては、医師又は保健師は、どちらの投薬(即ち、予防か治療か)の選択が求められるかを介護者に指示し、患者に関連付けられるカラーゾーンを決定するように介護者に指示する。これによって、介護者は、
図18A及び18B(単に例示のためであって特定の薬物に関連しない)の投薬表を調べることによって患者のカラーゾーンに対応する予防又は治療用量をシリンジに充填して、対応する用量をシリンジを使用して患者へ投与できる。
【0091】
複数の色合いのカラーバンドを持つ投薬装置
次に、
図19及び20は、変動する幅を持つ一連の複数区分カラーコードバンド1902を有するシリンジ1900を示す。図示するように、シリンジ1900は、灰色投薬バンド1904、ピンク投薬バンド1908と、赤色投薬バンド1912と、紫色投薬バンド1916と、黄色投薬バンド1920と、を含む。1つの実施形態において、投薬バンドのあるものは、複数の区分に仕切ることができる。例えば、灰色投薬バンド1904は、第1灰色区分1930と、第2灰色区分1932と、第3灰色区分1934とに仕切ることができ、各々、患者の体重又は患者のその他の身体特徴の異なる範囲に対応する。
図19A及び20Aの実施形態において、第1灰色区分1930、第2灰色区分1932及び第3灰色区分1934の各々は、同じ灰色の色合いを持つ。
図19B及び20Bの実施形態において、灰色投薬バンド1904は、明るい灰色区分1930’と、中間の灰色区分1932’と、暗い灰色区分1934’とを含む。同様に、
図19B及び20Bの実施形態において、ピンク投薬バンド1908は、明るいピンク区分1940’と、暗いピンク区分1942’とを含む。赤色投薬バンド1912は、同様に明るい赤色区分1950’と暗い赤色区分1952’に仕切ることができる。
【0092】
複数の異なる症状のための投薬表示を与えるシリンジシステム
既知のように、特定の事例において、薬物製造者は、単一濃度でしか特定の薬物を提供しない場合がある。例えば、薬物製造者が珍しい病状を治療するために使用される複数の濃度の薬物を提供することは、実現可能ではない場合がある。同様に、所与の薬物(例えば、ペニシリン)は、さほど重篤ではない病状(例えば、耳の感染症)の他に比較的重篤な病状(例えば、肺炎)を治療するために使用できる。より重篤な病状にはさほど重篤ではない病状より多くの用量を必要とする可能性があるので、本明細書において説明するような患者の身体パラメータに相関されるカラーコードシリンジは、より重篤な病状とさほど重篤ではない病状の両方の投薬計画に同時に対処することはできない可能性がある。
【0093】
例えば、ペニシリンが二人の双子の児童の治療に使用される状況を考えてみる。1人は、耳の感染症と診断され、他方は肺炎と診断された。双子の各々の体重が10kgだとし、関連する薬局が児童用に1つの濃度のペニシリン(例えば、100mg/5ml)しか持っていないとする。この場合、医師は、耳の感染症を患う双子の一方(双子A)には1日に100mgのペニシリンを、肺炎と診断された双子の他方(双子B)には、一日に200mgのペニシリンを発注する。したがって、双子Aは、1日に5mlのペニシリンを受け、双子Bは一日に10mlのペニシリンを受けることになる。双子A及び双子Bの体重は同じで、各々のペニシリン濃度は同じでも、投薬量は児童のサイズ又は薬剤の濃度だけでなく基となる診断に依存するので、各々は異なる用量(薬剤体積)を投与されることとなる。
【0094】
本開示の1つの形態によれば、製薬会社又はその他の医薬品供給者がこの状況に対処するための1つの方式は、同じシリンジに二重の投薬表示又は目盛りを持つシリンジを提供することになる。シリンジ上の各投薬表示は、特定の病状又は診断に関連付けられて、独自の凡例(例えば、カラーコード又は標記法)を持つことになる。このタイプのシステムにおいて、各投薬表示法の中の色は、体重に関する標準的システムに合致することができるが、ハッシュマーク又はその他の標示を使用して目盛りを区別することができる。
【0095】
次に、
図21~22は、異なる病状に関連付けられた投薬表示を持つ構成のシリンジ2100の形式の投薬装置を示す。このように、同じシリンジ2100を、異なる病状を治療するための特定の薬物を送達するために使用できる。図示するように、シリンジ2100は、第1病状のための投薬量に対応する変動する幅を持つ第1系列のカラーコードゾーン2110と、第2病状に関連付けられる投薬量に対応する変動する幅を持つ第2系列のカラーコードゾーン2120と、を含む。
図21~22の実施形態において、第1系列のカラーコードゾーン2110及び第2系列のカラーコードゾーン2120は、シリンジ2100のバレル2130の外面上で約180度分離される。第1系列のゾーン2110及び第2系列のゾーン2120内のカラーコードゾーンの各々は、患者の身体特徴の1つに相関される薬物の予設定用量に対応する。第1系列のゾーン2110及び第2系列のゾーン2120は、各々、投与される薬物の最小用量が、投与される特定の薬物が通過する開口2140に近接するカラーコードゾーンに対応するように標記される。
【0096】
図23A及び23Bに示す代表的投薬表から分かるように、シリンジ2100上の二重表示は、同じシリンジ2100が異なる投薬要件を持つ異なる病状に同じ薬物を投与できるようにするので有利である。典型的な使用状況において、介護者が、患者に関連付けられるカラーゾーンを決定し、患者の病状に応用できる
図23A及び23Bの表の一方を調べることによって(
図23A及び23Bの中の値は、単なる例示であり、特定の薬物と関連付けられない)投与すべき適切な用量を決定する。これによって、介護者は、患者のカラーゾーン及び病状又は診断に対応する用量をシリンジに充填でき、シリンジ2100を使用して対応する用量を患者へ投与できる。
【0097】
図24~25は、異なる病状又は診断について同じ薬物を投与するために単一のシリンジを使用するための別の方式を示す。具体的には、
図24は、単一カラーコード化投薬目盛り2410を有するシリンジ2400を示す。
図25A及び25Bは、それぞれ、異なる病状のための投薬においてシリンジ2400に使用するための特定の薬物の異なる投薬表2502及び2504である。
図25A及び25Bの投薬表2502、2504内の色は、カラーコード化投薬目盛り2410の中の色に対応する。このように、
図25A及び25Bの投薬表2502、2504の中の投薬体積は、目盛り2410の対応するカラーコード化投薬ゾーンに合致する。
図24及び25の実施形態において、目盛り2410のカラーコードゾーン及び
図25A及び25Bの投薬表2502、2504は、患者の体重を知らなくても利用できる。即ち、
図25A及び25Bの投薬表2502、2504は、シリンジ2400上の目盛り2410内に含まれる異なるカラーコード化体積ゾーンに投薬体積をマッピングするために単純に使用できる。1つの実施形態において、医師、薬剤師、看護師又はその他の認可された医療従事者は、患者のサイズ又は体重に対応するゾーンを決定し、このゾーン情報又は色を、患者又はシリンジ2400による薬物送達に責任を負う介護者へ知らせる。
【0098】
又は、目盛り2410は、特定の薬物に特有の体重に基づくカラーコード化投薬目盛りに対応できる。この場合、
図25A及び25Bの表は、患者のサイズ又は体重に対応する目盛り2410内のカラーコードゾーンが分かっていれば、異なる病状に対する用量を決定するために使用できる。
【0099】
次に
図26A~C及び
図27A~Cは、患者の体重に明白に結び付けられないように、複数の状況について色が投薬量を表すために使用される、投薬システムの別の実施形態を示す。
図26A~C及び
図27A~Cの実施形態は、例えば、異なる状況において異なるサイズの患者に同じ体積を処方できる複数の症状又は状況(例えば、予防及び治療)のための容積投薬量表示を与えることが望ましい状況において応用できる。
【0100】
図26A~Cの投薬システムを見ると、
図26Aは、
図26Bのカラーコードシリンジ2610と使用するための投薬表2600を示す。シリンジ2610のバレルの外面に取り付けられたカラーコードラベル2612は、
図26Cにおいて平坦に示される。投薬表2600は明白にカラーコードゾーンに関連付けられる容積のみを示すが、各カラーコードゾーンは、暗黙に、所与の病状に対して患者の体重に相関できる。この実施形態において、医師、薬剤師又はその他の医療従事者は、所与の症状(例えば、特定の疾患又は病状の予防又は治療)に対して所与の患者に所与の用量(即ち色及び/又は容積)を割り当てる。例えば、14kgの児童に1.4ml(1mg/kg用量)の治療用量が処方され、28kgの児童に1.4ml(0.5mg/kg)の予防用量が処方されたとする。図示するように、これは、
図26Aの投薬表において紫色ゾーンに対応する。患者又は介護者は、
図26Bのシリンジを使用して、紫色ゾーン(1.4ml)に対応する薬剤用量を児童に投与することになる。
【0101】
明示的にではなく暗示的に体重又は患者サイズとの相関を示す
図26A~Cの投薬システムは、製造及び医療適応の観点からは融通性があり有利である。更に、このシステムは、標準的な目盛付きシリンジで可能な用量の数を、1つ又は複数の適応に一般的に使用される範囲に限定することによって、投薬の正確性を増し、これを色に相関する。これは、例えば安全医療協会(Institute of Safe Medical Practice:ISMP)が提唱するように投薬エラーを減少するように考案された認識促進戦略として役立つ。
【0102】
次に、
図27A~27Cを参照すると、
図27Aは、
図27Bに示すカラーコードシリンジ2710と使用するための投薬表2700を示す。シリンジ2710のバレルの外面に取り付けられたカラーコードラベル2712は、
図27Cにおいては平坦に示される。
図27A~27Cの投薬システムは、
図26A~26Cの投薬システムと実質的に同様である。但し、
図27A~27Cの投薬システムにおいては、表2700のカラーコードゾーンは、投薬の正確性を強化するために、更にアルファベットラベルを含む。例えば、この場合にも、1.4mlの用量を必要とする症状の場合を考えると、医師又は薬剤師は、ゾーン”D”又は「紫」カラーゾーンの一方又は両方に対応する用量を処方することによって用量情報を伝えることができる。カラーゾーンに加えてアルファベットラベルを明記することによって、投薬エラーのリスクが更に減る。
【0103】
図28A及び28Bは、本開示に従った投薬装置2800の1つの実施形態を示す。投薬装置2800は、第1側2805に単一のカラーコード化目盛り2810を、第2側2815に線形容積目盛り2820を有する。単一のカラーコード化目盛り2810は、1つ又は複数の症状のための投薬表に対応する1つ又は複数のゾーンを含むことができる。この実施形態において、単一のカラーコード化目盛り2810は、2つの投薬表に対応し、各投薬表は、同じ薬物によって治療される1つの病状に独自のものであり、2つの投薬表の各々の色は、単一のカラーコード化投薬目盛りに沿って散在させることができる。
【0104】
図示するように、投薬装置2800は、単一のカラーコード化目盛り2810,線形容積目盛り2810の線2825及びそれぞれ単一のカラーコード化目盛り2810及び線形容積目盛り2810に沿った数値表示2830及び2835を除けば透明である。数値表示2830及び2835は、半透明の背景に黒の文字に比べて数字の視覚的対照を改良するために、不透明の白色の背景に黒色の文字を含むことができる。投薬装置2800の設計は、投薬者が、カラーコード及び用量数値の両方に関して装置内の薬物を容易に見ることができるようにする。
【0105】
図29A~Cは、本開示に従った投薬装置(例えば、投薬装置2800)を製造するために、印刷して投薬装置の透明容器に付着できる平らなラベル2900を示す。
図29Aは、明確にするために白い背景の図を示すが、実施形態においては、製造プロセスは、
図29Bに示すように透明材料の上に白いブロック2910を持つラベルを印刷し、その後白いブロック2910にカラーコード化目盛り2930及び数値2940を印刷し、透明材料2950に線形容積目盛り2950を印刷することを含むことができる。この方法を使用して、異なる薬物、異なる状況及び異なる症状に対応する異なるカラー投薬目盛りを持つ同様のサイズの投薬装置を容易に製造できる。
【0106】
上述の投薬ラベルを印刷するための方法の各々は、
図30~34Gを参照して下で説明する階段状投薬標示を有する投薬装置の製造に応用できる。
【0107】
図21~29Cにおいて説明した投薬システムの全体的特徴及び機能を要約すると、投薬システムは、下記の形態から構成される。即ち、A)用量に相関する変動する幅のバーを持つ、装置(例えば、シリンジ)上のカラーパターン、B)同じ順番の(1つの表において)又は分割された(1つ又は複数の表に)同じ色を持つ1つ又は複数の表であって、色が、シリンジ上の色と適合しシリンジ上の具体的な容積に相関する、表、及びC)色によって標記される容積が特定の症状のために選択される用量に適合できる。
【0108】
階段状投薬標示を持つ投薬装置
本開示の別の形態は、その表面に2つ又はそれ以上の「階段状」投薬量標示を有する投薬装置を提供する。「階段状」は、異なる高さの2つ以上の線形ブロックが相互に隣り合って階段に似ている視覚的印象を指す。これらの線形ブロックは、広い又は狭い長方形ブロック、線又は同様の形状によって表すことができる。各線形ブロックは、投薬量表示(又は投薬量標示)と呼ぶことができ、投薬装置内に液体薬を充填できる高さに対応できる。本明細書において示す実施形態のいくつかにおいて、階段状投薬量標示の各々は、液体薬の異なる用量に対応し、相互に重ならない。多くの実施形態において、2つ以上の階段状投薬量標示の各々は、2つ以上の階段状投薬量標示の他のものとは異なる色である。
【0109】
本開示において説明する特定の色を任意の値に関連付けるための方法のいずれも、本明細書において説明する投薬装置の特定の色付き階段状投薬量標示に値を関連付けるために応用できる。即ち、階段状投薬量標示の色は、患者の特徴(例えば、身長、体重、体表面積など)、薬剤濃度、投薬装置の容積量、医療適応又は症状、薬剤タイプ及び/又は状況を関連付けるために本開示において説明した様々な方法に基づくことができる。例えば、
図25A~27Cに関連して示し説明した投薬表を、どの色が所与の身長及び症状を持つ患者への特定の用量と関連付けられるかを決定するために使用でき、階段状投薬量標示の特定の色は、特定の用量に対応できる。所与の投薬装置の階段状投薬量標示の全て又はそのいくつかは、所与の投薬表に対応できる。
【0110】
本開示の階段状投薬量標示のレイアウトの利点は、各色が独自の線形ブロックを含むので、各色を他の色とは容易に区別できることである。このレイアウトは、一部の使用者が、相互に近くかつその間に多少の容積の差しか持たない用量の間をより明白に区別できるようにするだろう。例えば、視覚が充分ではない使用者にとって有益であろう。実施形態において、階段状投薬量標示の各々は、又、可視の数値的用量表示を持つこともできる。
【0111】
図30は、2つの可視階段状標示3010及び3020を有するシリンジ3000の形式の投薬装置を示す。図示するように、低い方の階段状投薬量標示3010は、液体薬をシリンジ3000の中へ引き入れることができる距離を示し、5mlの数値容積表示を持つ。高い方の階段状投薬量標示3020は、液体薬をシリンジ3000の中へ引き入れることができる、より長い距離を示し、数値容積表示7.5mlを持つ。階段状標示3010、3020の各々は、異なる色であり、その間にスペースを持つ。シリンジ3000自体は、半透明であり、階段状標示3010、3020は、不透明又は半透明とすることができる。いずれの場合にも、適切な投薬量を計測しかつ/又は視覚的に確認するために、液体薬を所望の投薬量標示の最上部と肉眼で整列できる。
【0112】
図31Aは、片側に可視の数値容積表示3102、3104、3106及び3108を持つシリンジ3100を示し、
図31Bは、複数の階段状標示3112、3114、3116及び3118を持つシリンジ3100を示す。実施形態において、投薬装置は、もっと多い又は少ない階段状標示を持つことができ、シリンジのバレルの表面に異なる間隔で分離できる。
【0113】
図32は、スプーン3200の形式の投薬装置の1つの実施形態を示す。スプーン3200は、スプーン頭部3230に隣接するバレル開口3220から所定量の液体薬を受け入れてこれを保持するように構成された中空バレル部分3210を有する。中空バレル部分3210は、薬剤の投与中スプーン3200のハンドルとしても使用できる。中空バレル3210は、透明または半透明にすることができ、1つ又は複数の階段状標示を含むことができる。図示する実施形態においては、2つの階段状投薬量標示3240及び3250がある。中空バレル3210は、又、数値容積表示3260、3270を含むこともできる。この投薬スプーン3200の利点は、スプーンで投与される薬剤を正確に計量して正確な用量を視覚的に確認できるようにすることである。これは、特に、従来のスプーンの場合サイズが様々であり標記がないので適切に投与することが特に困難である可能性がある。
【0114】
次に、
図33A~Gは、液体薬を投与するための投薬装置3300の第1実施形態を示す。
図33Aは、投薬装置3300の前面斜視図であり、患者へ投与される液体薬を入れるように構成されたカップ3310を含む。カップは、側壁と、円形底部と、開放上部とを含む。
図33Aに示すように、複数の階段状投薬量標示3320は、カップの側壁の円周表面の周りに離間する。各投薬量標示3320は、基準レベルに対して液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ。
【0115】
図33Bは、投薬装置3300の前側面図であり、
図33Cは、投薬装置3300の後立面図であり、
図33Dは、投薬装置3300の右側面図であり、
図33Eは、投薬装置3300の左側面図であり、
図33Fは、投薬装置3300の上面図であり、
図33Gは、投薬装置3300の底面図である。
【0116】
図33A~33Gに示す実施形態においては、5組の階段状投薬量標示がある。他の実施形態においては、もっと多く又は少なくても良く、相互にもっと分離したりもっと近づけることができる。
【0117】
1つの実現形態において、カップ3310上の複数の投薬量標示3320は、患者の身体特徴の複数の値に相関される。本開示全体を通して説明する方法のいずれにおいても、複数の階段状投薬量標示3320の各々は、異なる色を持つことができる。更に、複数の投薬量標示の各々は、第1透明度の第1部分3320’と、第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分3320”とを含むことができる。第1透明度の第1部分3320’は、不透明とすることができ、第1色を含むことができ、第2透明度の第2部分3320’’は、半透明で、第1色の明色版とすることができる。複数の投薬量標示3320の第1標示は、複数の投薬量標示の第2標示から、図示するようにカップ3310の側壁の表面上で約180度分離するか、又は90度、270度、360度又は0~360の間の任意の度数だけ分離できる。図示する実現形態において、投薬装置3200は、円錐台形であるが、他の実施形態においては、長方形、円錐形又は円筒形など多の形状とすることができる。複数の投薬量標示3320の各々は、更に、容積表示3330を含むことができる。
【0118】
図示する投薬装置3300の実施形態において、所与の投薬量標示3320の相対的に透明な部分3320”は、使用者に標示3320の最上部の線に対してカップ3310内の液体薬の液面が分かるようにする。概略的に、関連する投薬量標示3320の最上部の線より下の液体薬の液面は、過剰投薬を防止する観点から許容できる。所与の投薬量標示3320のより不透明な部分3320’は、カップ3310内の液体薬が使用者を混乱させる可能性のある色を持つ場合に(例えば、グレープ又はチェリー)、カラーゾーンの可視性を維持する助けとなる。別の実施形態において、各投薬量標示は、実質的に透明部分と実質的に不透明部分と(
図34A~34G)を持つか、不透明部分のみを持つか又は透明部分のみを持つことができる。
【0119】
図34A~34Gは、別の組の階段状投薬量標示3420を利用する、液体薬を投与するための投薬装置3400を示す。
図34Aに示す装置3400の第1の前面斜視図に示すように、装置3400は、患者へ投与される液体薬を入れるように構成されたカップ3410を含む。カップは、側壁と、円形底部要素と、開放上部とを含む。
図34Aに示すように、複数の投薬量標示3420は、カップ3410の側壁の円周表面の周りに分離する。各投薬量標示3420は、基準レベルに対して異なる液体薬用量に対応する異なる高さを持つ。図示する実施形態において、各階段状投薬量標示は、異なる色を持つ。但し、
図33A~33Gの実施形態と異なり、異なる透明度を持つ対応する第2部分はない。
【0120】
図34Bは、投薬装置3400の前側面図であり、
図34Cは、投薬装置3400の後立面図であり、
図34Dは、投薬装置3400の右側面図であり、
図34Eは投薬装置3400の左側面図であり、
図34Fは、投薬装置3400の上面図であり、
図34Gは、投薬装置3400の底面図である。
【0121】
1つの実現形態において、カップ3410上に在る複数の投薬量標示3420は、患者の身体特徴の複数の値に相関される。複数の投薬量標示3420の各々は、異なる色を持つことができる。複数の投薬量標示3420の第1標示は、複数の投薬量標示の第2標示から、カップ3410の側壁の表面上で約180度分離でき、1つの実現形態において、カップは円錐台形である。複数の投薬量標示3420の各々は、更に、容積表示3430を含むことができる。
【0122】
装置、システム及び方法の実施形態例について説明した。別の個所で記載したように、これらの実施形態には、単に例示のために説明したのであり限定的ではない。本明細書に含まれる教示から明白な他の実施形態も可能であり、本開示に包括される。したがって、本開示の幅及び範囲は、上に説明する実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、本開示によって裏付けされる請求項及びその同等物に従ってのみ画定されるべきである。更に、本開示の実施形態は、科学的データ交換に対応するあらゆる特徴を含めて他の任意の開示される方法、システム及び装置からのあらゆる要素/特徴を更に含む方法、システム及び装置を含むことができる。言い換えると、1つの(及び別の)開示される実施形態の特徴は、他の開示される実施形態の特徴と交換可能であり、これは、更に他の実施形態に対応する。更に、開示される実施形態の1つ又は複数の特徴/要素は、除外でき、それでも、特許請求可能な内容(したがって、更に本開示の別の実施形態)となる。さらに、いくつかの実施形態は、その実施形態が先行技術に見られる1つ又は複数の特徴を明白に欠いているゆえに先行技術から区別できる。言い換えると、本開示のいくつかの実施形態の主張は、主張される実施形態が先行技術において開示される少なくとも1つの構造、要素及び/又は特徴が欠けていることを明白に記すための1つ又は複数の消極的限定を含むことができる。
なお、本開示の態様には以下のものも含まれる。
〔態様1〕
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたカップであって、前記カップが、側壁と、円形底部要素と、開口上部と、を含む、カップと、
前記側壁の表面の円周の周りにこれに対して相互に離間した複数の投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数の投薬量標示と、
を備える、投薬装置。
〔態様2〕
前記複数の投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、態様1に記載の投薬装置。
〔態様3〕
前記複数の投薬量標示の各々が異なる色を持つ、態様1に記載の投薬装置。
〔態様4〕
前記複数の投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、態様3に記載の投薬装置。
〔態様5〕
前記複数の投薬量標示の第1標示が、前記複数の投薬量標示の第2標示から、前記側壁の前記表面上で約180度分離する、態様1に記載の投薬装置。
〔態様6〕
前記側壁が円錐台形である、態様1に記載の投薬装置。
〔態様7〕
前記基準レベルが、前記円形底部要素の上面に近接する、態様1に記載の投薬装置。
〔態様8〕
前記複数の投薬量標示の各々が、更に、容積表示を含む、態様1に記載の投薬装置。
〔態様9〕
前記複数の投薬量標示が、概ね長方形であり、前記複数の投薬量標示の他の各々1つとは異なる色を持つ、態様1に記載の投薬装置。
〔態様10〕
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成された円錐台形カップと、
前記円錐台形カップの側面の円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数の投薬量標示と、
を備える、投薬装置。
〔態様11〕
各投薬量標示が、更に容積表示を含む、態様10に記載の投薬装置。
〔態様12〕
前記基準レベルが、前記円錐台形カップの内部底面に近接する、態様10に記載の投薬装置。
〔態様13〕
前記複数の投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、態様10に記載の投薬装置。
〔態様14〕
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を入れるように構成されたバレルを有するシリンジと、
前記バレルの表面の円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示であって、各投薬量標示が、基準レベルに対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる高さを持つ、複数のカラーコード化投薬量標示と、
を備える、投薬装置。
〔態様15〕
前記複数の投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、態様14に記載の投薬装置。
〔態様16〕
前記複数の投薬量標示の各々が、異なる色を持つ、態様14に記載の投薬装置。
〔態様17〕
前記複数の投薬量標示の各々が、第1透明度の第1部分と、前記第1透明度とは異なる第2透明度の第2部分と、を含む、態様16に記載の投薬装置。
〔態様18〕
前記複数の投薬量標示の第1標示が、前記複数の投薬量標示の第2標示から、前記バレルの表面上で約180度分離する、態様14に記載の投薬装置。
〔態様19〕
前記基準レベルが前記バレルの端部に近接する、態様14に記載の投薬装置であって、前記複数の投薬量標示の各々が更に容積表示を含む、態様1に記載の投薬装置。
〔態様20〕
前記複数の投薬量標示の各々が、概ね長方形であり、異なる色を持つ、態様1に記載の投薬装置。
〔態様21〕
投薬装置であって、
前記投薬装置によって投与される液体薬を受け入れて保持するように構成された凹状表面を有するスプーンヘッド部分を備えるスプーンと、
所定体積の液体薬を保持するように構成された中空バレルを備えるハンドル部分であって、前記中空バレルが、前記中空バレルの円周の周りにこれに対して離間する複数のカラーコード化投薬量標示を有し、各投薬量標示が、基準に対して前記液体薬の異なる用量に対応する異なる長さを持つ、ハンドル部分と、
を備える、投薬装置。
〔態様22〕
前記複数の投薬量標示が、患者の身体特徴の複数の値に相関される、態様21に記載の投薬装置。
〔態様23〕
前記複数の投薬量標示の各々が異なる色を持つ、態様21に記載の投薬装置。
〔態様24〕
前記複数の投薬量標示の各々が、更に容積表示を含む、態様21に記載の投薬装置。
〔態様25〕
前記複数の投薬量標示の各々が、概ね長方形であり、異なる色を持つ、態様21に記載の投薬装置。