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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】壁面作業装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/38 20060101AFI20241031BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20241031BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20241031BHJP
   E04F 21/00 20060101ALI20241031BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A47L11/38
E01D22/00 A
E04G23/02 Z
E04F21/00 D
B08B3/02 E
B08B3/02 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022014121
(22)【出願日】2022-02-01
(65)【公開番号】P2023112367
(43)【公開日】2023-08-14
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】藤木 崇道
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-294221(JP,A)
【文献】特開平01-127070(JP,A)
【文献】登録実用新案第3044559(JP,U)
【文献】特開平07-195040(JP,A)
【文献】特開2002-119897(JP,A)
【文献】特開平08-168963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/38
E01D 22/00
E04G 23/02
E04F 21/00
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びるレールであって、
レール内側面と、
下部に配置されるフランジと、
を有するレールと、
圧水を壁面に噴射する処理ユニットであって
前記高圧水を噴射するノズルと、
前記壁面との間に内部空間を画定する筐体と、
を有する処理ユニットと、
前記処理ユニットを前記レールに沿って前記第1方向に移動する移動ユニットであって、
主回転体と、
前記主回転体の回転によって回転する従回転体と、
前記従回転体の回転によって、前記レールを走行するレール走行ローラと、
前記レール内側面に接した状態で、前記移動ユニットの姿勢を維持する第1のレール走行補助ローラと、
を有する移動ユニットと、
前記移動ユニットのみに支持され、前記第1方向に直交する第2方向に延びる移動軸と、
前記処理ユニットを前記移動軸に沿って前記第2方向に移動する昇降ユニットと、
を有する、壁面作業装置。
【請求項2】
前記移動ユニットは、前記レールの下部から前記フランジに接した状態で、前記移動ユニットの姿勢を維持する第2のレール走行補助ローラを有する、
請求項1に記載の壁面作業装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記壁面との距離を一定に保つ距離調整部を有する、
請求項1又は2に記載の壁面作業装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記筐体の周縁に形成される処理ユニット周縁部を有し、
前記処理ユニット周縁部と前記昇降ユニットとを固定する処理ユニット固定部材を更に有する、
請求項1~のいずれかに記載の壁面作業装置。
【請求項5】
前記移動軸は、
前記移動軸の側部に形成される移動軸溝と、
前記移動軸溝と嵌合する移動用歯車と、
を有する、請求項1~のいずれかに記載の壁面作業装置。
【請求項6】
前記移動軸の両端に配置される端検知部を更に有する、
請求項1~のいずれかに記載の壁面作業装置。
【請求項7】
前記レール内側面は、
前記壁面側に配置される第1のレール内側面と、
前記第1のレール内側面よりも前記壁面から離れて配置される第2のレール内側面と、
を有し、
前記第1のレール走行補助ローラは、
前記第1のレール内側面に接触する壁面側第1のレール走行補助ローラと、
前記第2のレール内側面に接触する反壁面側第1のレール走行補助ローラと、
を有し、
前記壁面側第1のレール走行補助ローラと前記反壁面側第1のレール走行補助ローラの幅を調整可能な幅調整部を更に有する、
請求項1~6のいずれかに記載の壁面作業装置。
【請求項8】
前記移動ユニットは、前記第1のレール内側面と前記第2のレール内側面との間を移動可能な幅を有する移動ユニット本体を有する、
請求項7に記載の壁面作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水を用いた洗浄や表面剥離、はつり作業を行う場合に、ノズルユニットが用いられる。ノズルユニットは、例えば、噴射ガンや洗浄装置である。作業者は、噴射ガンを用いて、高圧水を噴射する。また、洗浄装置は、筐体内を吸引した状態で高圧水を噴射する。
例えば、従来のノズルユニットは、トリガレバー式噴射ガンである。従来のノズルユニットの一例は、OFF時に高圧水を逃がすパージ式のバルブガンやダンプガン、OFF時に高圧水の流れを止めるプランジャ式のグリップジェットガンである。
【0003】
洗浄や表面剥離、はつり作業を行う施工箇所が手動で施工できる高さであれば、手動で作業を行うことができる。一方、施行箇所が高所である場合、足場を設置して作業を行う。また、手動ではなく、XYZ軸等の支柱を用いて、作業を自動化または半自動化できる。
【0004】
特開平06-294221号公報(以下、特許文献1)に開示される高圧水の噴射部操作方法によれば、高圧水のエネルギーを有効利用して作業能率を向上させるとともに、作業者に負担をかけることなく、安全に構築物の表面を処理できる。
【0005】
特許第5070403号公報(以下、特許文献2)に開示される壁面のはつり工法によれば、レール軌道を敷設する方式でありながら、はつり壁面への直接敷設により、軌道レール敷設用の常設足場を必要とせず、且つ、はつり面積を容易に拡張できる。
【0006】
特開2020-133316号公報(以下、特許文献3)に開示されるウォータージェットを用いたコンクリート構造物等の施工方法によれば、施工面に従来のようなアンカーボルトや箱型の吸着支持装置を用いることなしに、確実に簡易に、迅速にレールを取り付けることができ、施工面にウォータージェットを円滑に施行できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の高圧水の噴射部操作方法では、駆動走行体を一対のガイドレールの上下両面に当接させることが開示される。レールを上下両面で把持する場合、駆動走行体が比較的軽量であることや、レールおよびレールを固定する壁面が堅固なことが必要となる。
【0008】
特許文献2の壁面のはつり工法では、ウォータージェット噴射装置が一対のI型鋼レールのフランジを転動輪で狭持することが開示される。一対のレールにそれぞれ転動輪や駆動源を含めた駆動機構を配置すると、重量のあるウォータージェット噴射装置を保持した状態で、互いの動作を誤差なく駆動させることが困難となる。
【0009】
特許文献3のウォータージェットを用いたコンクリート構造物等の施工方法では、複数の電動式の真空吸着パッドをレールに取り付け、真空吸着パッドのスイッチのワンタッチ操作で着脱可能に敷設することが開示される。ウォータージェット噴射装置や駆動機構の重量が比較的軽量である必要があり、壁面等の施工箇所における作業を省力化するためには、改良の余地がある。
【0010】
本発明は、足場が既に配置されている作業現場においても、狭隘な箇所に配置可能な壁面作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の壁面作業装置は、
第1方向に延びるレールであって、
レール内側面と、
下部に配置されるフランジと、
を有するレールと、
前記第1方向に直交する第2方向に延びる移動軸と、
高圧水を壁面に噴射する処理ユニットと、
前記処理ユニットを前記レールに沿って前記第1方向に移動する移動ユニットであって、
主回転体と、
前記主回転体の回転によって回転する従回転体と、
前記従回転体の回転によって、前記レールを走行するレール走行ローラと、
前記レール内側面に接した状態で、前記移動ユニットの姿勢を維持する第1のレール走行補助ローラと、
を有する移動ユニットと、
前記処理ユニットを前記移動軸に沿って前記第2方向に移動する昇降ユニットと、
を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の壁面作業装置によれば、足場が既に配置されている作業現場においても、狭隘な箇所に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の壁面作業装置の斜視図
図2】実施形態の壁面作業装置の側面断面図
図3】実施形態の壁面作業装置の正面断面図
図4】(a)第1実施例の移動ユニットの上面図、(b)第2実施例の移動ユニットの上面図
図5】実施形態の移動ユニットの正面断面図
図6】(a)第1実施例の昇降ユニットの側面断面図、(b)第2実施例の昇降ユニットの側面断面図
図7】実施形態の壁面作業装置の側面断面図
図8】実施形態の壁面作業装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1図8に示すように、本実施形態の壁面作業装置1は、処理ユニット2と、移動軸7と、移動ユニット8と、昇降ユニット19と、を有する。
【0015】
移動ユニット8は、レールLに沿って移動する。これにより、処理ユニット2は、左右方向に位置決めされる。昇降ユニット19は、移動軸7に沿って移動する。これにより、処理ユニット2は、上下方向に位置決めされる。処理ユニット2を上下左右方向に位置決めし、壁面Wの洗浄や表面剥離、はつり作業を行う。
【0016】
図2に示すように、処理ユニット2は、ノズル3と、筐体4と、ロータリーユニット5と、を有する。処理ユニット2は、高圧ポンプPから供給される10~245MPaの高圧水Qを、ノズル3から噴射する。これにより、壁面Wの洗浄や表面剥離、はつり作業を行う。また、吸引装置Aが洗浄後の処理水を回収してもよい。
ノズル3は、高圧水Qを噴射させる筒である。ノズル3の噴射口径、配置数等は、適宜選択できる。
【0017】
筐体4は、筒状であり、壁面Wとの間に内部空間を画定する。筐体4は、例えば、円筒状、多角形状である。壁面Wの洗浄や剥離等の作業中、筐体4の内部空間は、吸引装置Aの吸引によって、負圧状態になる。また、筐体4の内部空間には、ノズル3から噴射される高圧水Qや、処理後の屑や廃液が存在する。そのため、筐体4の材質は、金属等の高い硬度を有することが好ましい。また、筐体4の内部空間の容積に応じて、筐体4の厚みを調整してもよい。
【0018】
ロータリーユニット5は、少なくとも1つのノズル3を回転させる。筐体4内で少なくとも1つのノズル3を回転させることで、筐体4の開口部に位置する壁面Wに、高圧水Qを適切に噴射できる。
【0019】
筐体4の外周面に、処理ユニット用補助ローラ6を配置してもよい。処理ユニット用補助ローラ6は、壁面Wを転動する。処理ユニット2を移動させる場合、筐体4が壁面Wの凹凸等に引っかかり、停止する可能性がある。少なくとも1つの処理ユニット用補助ローラ6により、処理ユニット2が円滑に移動できる。
【0020】
筐体4は、昇降ユニット19と連結可能である。具体的には、筐体4の周縁に処理ユニット周縁部2aが形成される。処理ユニット周縁部2aと昇降ユニット19は、処理ユニット固定部材2bで固定される。昇降ユニット19の上下移動に伴い、処理ユニット2も上下に移動する。
【0021】
図3および図7に示すように、処理ユニット2および昇降ユニット19は、移動軸7に沿って上下方向に移動する。移動軸7は、移動軸溝7aと、移動用歯車7bと、移動軸調整部7cと、を有する。移動軸溝7aは、移動軸7の側部に形成される。昇降用モータM2の駆動に伴う回転力を、移動用歯車7bの回転に変換する。これにより、移動軸溝7aと移動用歯車7bがかみ合い、処理ユニット2および昇降ユニット19が上下方向に移動する。移動軸溝7aと移動用歯車7bのピッチ等は適宜選択できる。
【0022】
移動軸調整部7cは、移動軸7の高さを調整する。これにより、様々な高さの作業対象の壁面Wに対して、処理ユニット2の位置を調整できる。移動軸調整部7cは、例えば、ボルトとナット、ボールネジ、圧力シリンダーである。
【0023】
図2図5に示すように、移動ユニット8は、移動軸7を左右方向に移動させる。移動ユニット8は、移動軸7に配置される処理ユニット2や昇降ユニット19の重量に耐えうる構造を有する。
移動ユニット8は、移動ユニット本体9と、主回転体10と、従回転体11と、レール走行ローラ12と、第1のレール走行補助ローラ13と、第2のレール走行補助ローラ14と、を有する。移動用モータM1の駆動に伴い、主回転体10が回転する。そして、ベルトBを介して主回転体10の回転に伴い従回転体11が回転する。そして、レール走行ローラ12やレール走行補助ローラ13、14が回転しながら、移動ユニット8は、レールL内を走行する。
【0024】
図1図2図7に示すように、レールLは、レール支持部Laと、単管レールLbと、フランジLcと、を有する。レール支持部Laは、壁面Wに固定される。レール支持部Laは、単管レールLbを支持する。レール支持部Laは、アンカーボルト等の固定具である。
単管レールLbは、U字形状を有し、内部に空洞を有する。フランジLcは、U字形状の開口箇所に形成される。レール走行ローラ12は、フランジLc上を走行する。レール走行補助ローラ13、14は、レール内側面Ldに沿って走行する。
【0025】
移動ユニット本体9は、移動軸7と連結可能である。レール走行補助ローラ13、14は、移動ユニット本体9に連結可能である。移動ユニット本体9は、レールLのU字形状の開口箇所を移動できる幅を有する。
【0026】
主回転体10は、主回転体用軸10aによって、移動用モータM1の駆動に伴い回転する。
主回転体10の回転は、ベルトBを介して、従回転体11に伝達される。これにより、従回転体11が回転する。従回転体11は、従回転体用軸11aを有する。従回転体用軸11aの両端には、レール走行ローラ12が配置される。
【0027】
レール走行ローラ12は、フランジLcを走行する車輪である。図4に示すように、移動ユニット8は、一対の前輪、一対の後輪の計4つのレール走行ローラ12を有することが好ましい。
【0028】
レールL(モノレール)に沿って移動ユニット8を移動させる場合、下方に配置される処理ユニット2や昇降ユニット19の重量で振動の影響を受ける可能性がある。図3図5に示すように、レール走行補助ローラ13、14を配置することにより、防振性が向上する。
【0029】
防振性を向上させるためには、レールLの幅方向の振動と、レールLの高さ方向の振動の一方または双方を考慮する。
第1のレール走行補助ローラ13により、レール内側面Ldに適切な外圧を維持して、移動ユニット8が左右方向に移動できる。これにより、レールLの幅方向の振動に対する防振性が向上する。
第2のレール走行補助ローラ14により、レールLの下部からフランジLcを押し上げる圧を維持したて、移動ユニット8が左右方向に移動できる。これにより、レールLの高さ方向の振動に対する防振性が向上する。
【0030】
図3図5に示すように、一対の前輪、一対の後輪の計4か所に第1のレール走行補助ローラ13を配置することが好ましい。図3図5に示すように、前後一対の計2か所、または、一対の前輪と一対の後輪の計4か所に第2のレール走行補助ローラ14を配置することが好ましい。
【0031】
第1のレール走行補助ローラ支持部16は、移動ユニット本体9に連結される。また、第1のレール走行補助ローラ支持部16は、第1のレール走行補助ローラ13に連結される。また、第1のレール走行補助ローラ支持部16や、第1のレール走行補助ローラ支持部16と移動ユニット本体9の間には、幅調整部15が配置される。幅調整部15の伸縮や、幅調整部15の角度等の調整によって、第1のレール走行補助ローラ13によって、レール内側面Ldに適切な外圧を維持できる。例えば、図3図5に示すように、第1のレール走行補助ローラ支持部16は、アーム式や圧力シリンダー式である。
【0032】
図4(a)は、第1実施例の移動ユニット8の上面図である。図4(a)に示す例では、移動ユニット8をレールLに取り付けた状態で、左右一対の第1のレール走行補助ローラ支持部16の外側端面がレール内側面Ldと接触する。この状態で、移動ユニット8は動作する。
図4(b)は、第2実施例の移動ユニット8の上面図である。図4(b)に示す例では、移動ユニット8をレールLに取り付けた状態で、左右一対の第1のレール走行補助ローラ支持部16の外側端面がレール内側面Ldと接触しない。そのため、幅調整部15を外側に伸ばして、左右一対の第1のレール走行補助ローラ支持部16の外側端面がレール内側面Ldと接触するように調整する。この状態で、移動ユニット8は動作する。
【0033】
また、第2のレール走行補助ローラ14におけるレールLの下部からフランジLcを押し上げる圧を維持するための機構としては、第2のレール走行補助ローラ支持部17は、移動ユニット本体9に連結される。また、第2のレール走行補助ローラ支持部17は、第2のレール走行補助ローラ14に連結される。第2のレール走行補助ローラ支持部17の伸縮や、第2のレール走行補助ローラ支持部17の角度等の調整によって、第2のレール走行補助ローラ14によって、レールLの下部からフランジLcを押し上げる圧を維持できる。例えば、図3図5に示すように、第2のレール走行補助ローラ支持部17は、アーム式や圧力シリンダー式である。
【0034】
移動ユニット本体9と移動軸7は、別部材である。これにより、壁面作業装置1を狭隘な箇所に配置できる。移動ユニット固定部材18の有無によって、装置の分解を容易なものにすることができる。
移動ユニット固定部材18は、例えば、ネジやボルトである。移動ユニット本体9の下部端面と移動軸7の上部端面には、それぞれ貫通孔が形成される。移動ユニット固定部材18は、貫通孔に挿入されて、嵌め合わせる。
【0035】
図3図6に示すように、昇降ユニット19は、昇降用モータM2の回転力により、処理ユニット2を上下方向に移動させる。昇降用モータM2の駆動に伴う回転力を、移動用歯車7bの回転に変換する。これにより、移動軸7の移動軸溝7aと移動用歯車7bがかみ合い、処理ユニット2および昇降ユニット19が上下方向に移動する。
【0036】
また、移動軸7の両端に端検知部20を配置してもよい。これにより、処理ユニット2の無理な配置を防止するとともに、処理ユニット2の各部位との衝突を抑制し、装置寿命が向上する。移動軸7の上方に、上方端検知部20Aを配置する。移動軸7の下方に、下方端検知部20Bを配置する。端検知部20は、各種位置センサを利用できる。
【0037】
壁面Wは、必ずしも平らな面ではない。壁面Wには、傾斜、勾配、凹凸、溝等が存在する場合もある。処理ユニット2が同じ位置で壁面Wを作業し続けることで、処理ユニット2と壁面Wとの距離が変化した場合、洗浄等の作業効率が悪化する。そこで、移動軸7には、距離調整部21が配置されてもよい。距離調整部21は、壁面Wとの距離を一定に保つ。
【0038】
処理ユニット周縁部2aと昇降ユニット19を処理ユニット固定部材2bで固定することに加えて、図6に示すように、距離調整部21を利用できる。距離調整部21は、例えば、コイルバネ、皿バネ、板バネや、圧力シリンダーである。
ノズル3から高圧水Qを壁面Wに噴射した際、壁面Wから押し戻される反力が発生し、処理ユニット2が撓む可能性もある。距離調整部21は、反力に対しても機能する。
【0039】
移動軸7の下方には、下方支持部22を配置してもよい。図8に示すように、下方支持部22は、例えば、U字形状等、下方に別途配置するレールLを跨ぐ構成や、吸着パッド等を配置する構成である。下方支持部22により、振動や反力をより抑えられる。
【0040】
次に、本実施形態の壁面作業装置1の使用方法を説明する。
まず、作業者は、作業準備段階として、壁面Wにおけるレール支持部Laの有無を確認する。壁面Wにレール支持部Laがない場合、壁面Wにレール支持部Laを固定する。そして、レール支持部LaにU字形状の単管レールLbを配置する。
なお、既に足場のある施工場所では、作業準備段階を省略できる場合もある。
【0041】
作業者は、単管レールLbに、移動ユニット8を取り付ける。そして、移動ユニット8の下部に移動軸7を固定する。移動軸7に昇降ユニット19を配置する。そして、昇降ユニット19と処理ユニット2を固定する。そして、壁面Wの作業箇所(初期位置)を決め、壁面作業装置1を位置決めする。
【0042】
移動用モータM1を駆動させることで、主回転体10が回転する。主回転体10の回転がベルトBを介して従回転体11に伝達されることで、フランジLc上をレール走行ローラ12が走行する。これにより、処理ユニット2を左右方向に位置決めする。
なお、移動用モータM1を駆動させる前に、第1のレール走行補助ローラ13によって、レール内側面Ldに適切な外圧を維持してもよい。また、第2のレール走行補助ローラ14によって、レールLの下部からフランジLcを押し上げる圧を維持してもよい。これにより、防振性が向上する。
【0043】
次に、作業段階として、高圧ポンプPを起動させる。高圧ポンプPの起動により、高圧水Qがノズル3から噴射可能となる。また、吸引装置Aを起動させることで、筐体4内の空間を負圧とする。そして、処理ユニット2の作動をONにすることで、ノズル3から高圧水Qを壁面Wに噴射し、洗浄等の作業を行う。所定時間、同じ位置で洗浄等を行ってもよい。また、所定時間経過後、例えば、30秒後に、移動用モータM1や昇降用モータM2を駆動させることで、上下左右方向に対して噴射位置を変えながら洗浄等を行ってもよい。
【0044】
洗浄等の作業終了後は、処理ユニット2の作動をOFFにして、上記手順とは逆の流れで片付け作業を行う。
【0045】
また、完全自動化を図る場合、制御装置(不図示)を用いて、高圧ポンプPから供給する高圧水Qの速度や流量、吸引装置Aからの吸引量、移動ユニット8における移動用モータM1の回転数に起因する走行速度や、レール走行補助ローラ13、14の位置、昇降ユニット19における昇降用モータM2の回転数に起因する昇降速度等を遠隔で操作してもよい。
【0046】
以上、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 壁面作業装置
2 処理ユニット
2a 処理ユニット周縁部
2b 処理ユニット固定部材
3 ノズル
4 筐体
5 ロータリーユニット
6 処理ユニット用補助ローラ
7 移動軸
7a 移動軸溝
7b 移動用歯車
7c 移動軸調整部
8 移動ユニット
9 移動ユニット本体
10 主回転体
10a 主回転体用軸
11 従回転体
11a 従回転体用軸
12 レール走行ローラ
13 第一のレール走行補助ローラ
14 第二のレール走行補助ローラ
15 幅調整部
16 第一のレール走行補助ローラ支持部
17 第二のレール走行補助ローラ支持部
18 移動ユニット固定部材
19 昇降ユニット
20 端検知部
21 距離調整部
22 下方支持部
B ベルト
M1 移動用モータ
M2 昇降用モータ
P 高圧ポンプ
A 吸引装置
L レール
La レール支持部
Lb 単管レール
Lc フランジ
Ld レール内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8