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特許7579829樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B29C33/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022115273
(22)【出願日】2022-07-20
(65)【公開番号】P2024013299
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2024-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
(72)【発明者】
【氏名】奥西 祥人
(72)【発明者】
【氏名】小河 冬彦
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6655150(JP,B1)
【文献】特開2022-39811(JP,A)
【文献】特開2020-26088(JP,A)
【文献】特開2015-79864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び下型を有し、それらの少なくとも一方にキャビティが形成された成形型と、
前記上型及び前記下型を型締めする型締め機構と、
前記下型に設けられて、樹脂材料を収容するポットが形成されたポットブロックと、
前記ポット内でプランジャを移動させて前記キャビティに前記樹脂材料を注入するトランスファ機構と、
樹脂成形後の樹脂成形品を前記下型から搬出する搬送機構とを備え、
前記ポットブロックは、前記樹脂成形品の少なくとも一部と前記上型との間に張り出した張り出し部を有しており、
前記搬送機構は、
前記樹脂成形品を保持する第1保持部と、
前記ポットブロック上の不要樹脂を保持する第2保持部と、
前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の下で上方向に移動するように前記第1保持部を上昇させる第1昇降移動機構と、
前記第1昇降移動機構により前記第1保持部が上昇した状態で、前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動するように前記第1保持部を水平方向に移動させる水平移動機構とを有し、
前記樹脂成形品が前記張り出し部よりも外側に移動され、前記第2保持部が前記ポットブロック上の不要樹脂に接触した状態で、前記型締め機構により前記下型を下降させるとともに、前記トランスファ機構により前記プランジャを前記下型に対して上昇させる、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記トランスファ機構により前記プランジャを前記下型に対して上昇させることにより、前記第2保持部に対する前記プランジャの高さ位置を維持する、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、
前記第1保持部が移動可能に設けられるベース部材と、
前記ベース部材に対して水平方向に移動する第1移動体と、
前記第1移動体とともに水平方向に移動し、前記第1移動体に対して上下方向に移動する第2移動体と、
前記第2移動体及び前記第1保持部を連結する連結部材とをさらに備える、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記第1昇降移動機構は、
前記ベース部材に対して水平方向に移動する第1スライド部材と、
前記第1スライド部材の移動に伴って前記第2移動体を上方向に移動させることにより前記第1保持部を上方向に移動させる第1昇降カム機構とを有する、請求項3に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記水平移動機構は、
前記ベース部材に対して水平方向に移動する第2スライド部材と、
前記第2スライド部材の移動に伴って前記第1移動体を前記ポットブロックから離れる方向に移動させるリンク機構とを有する、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記水平移動機構により前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動した状態で、前記第1保持部を上昇させる第2昇降移動機構をさらに備える、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記搬送機構は、前記水平移動機構により前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動した状態で、前記第1保持部を上昇させる第2昇降移動機構をさらに備え、
前記第2昇降移動機構は、前記第2スライド部材の水平移動に伴って前記第2移動体を上方向に移動させることにより前記第1保持部を上方向に移動させる第2昇降カム機構を有する、請求項5に記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
前記搬送機構は、前記樹脂成形品を引っ掛けて保持する搬送爪をさらに備え、
前記第2昇降移動機構により前記第1保持部が上昇した状態で、前記搬送爪を用いて前記樹脂成形品を保持する、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
前記下型に前記キャビティが形成されており、
前記第1昇降移動機構は、前記下型の前記キャビティにより形成される樹脂封止部が前記下型のパーティングラインよりも上に位置するまで、前記第1保持部を上昇させる、請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
成形対象物に対して樹脂成形を行う成形工程と、
樹脂成形された樹脂成形品を搬出する搬出工程とを備える、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、上型及び下型を型締めして、下型に設けられたポットブロックの張り出し部が成形対象物の一部を下型の上面との間で挟んだ状態で、ポットブロックの上面と上型の下面との間に形成された空間から溶融した樹脂を上型のキャビティに注入して樹脂封止を行うものが考えられている。
【0003】
この樹脂成形装置では、樹脂成形後に、成形品用吸着部及び不要樹脂用吸着部を有する搬送装置(アンローダ)を用いて、樹脂成形品及び不要樹脂の搬出が行われる。ここで、成形品用吸着部及び不要樹脂用吸着部はともに樹脂製の吸着パッドから構成されている。
【0004】
そして、成形品用吸着部により樹脂成形品を吸着し、この樹脂成形品を吸着した成形品用吸着部をポットブロックから離れる方向に水平移動させて、樹脂成形品を張り出し部の外に移動させている。また、不要樹脂吸着部をポットブロック上の不要樹脂に接触させた状態で、プランジャを上昇させることにより不要樹脂をポットブロックから持ち上げて不要樹脂吸着部に不要樹脂を吸着させている。なお、不要樹脂吸着部の吸着パッドは、不要樹脂が持ち上げられることにより不要樹脂に接触した状態のまま弾性変形して縮む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-39709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば下型にキャビティが形成されており、成形対象物の下側に樹脂封止部が形成される樹脂成形品では、下側の樹脂封止部を下型のキャビティから上方に出さなければ水平移動させることができない。また、下型に基板(成形対象物)の位置合わせ用ピンがある場合には、樹脂成形品を上方に移動させて位置合わせ用ピンから樹脂成形品(基板)を取り出さなければ、水平移動させることができない。さらに、例えば下型にキャビティがない構成であっても下型に離型フィルムを設ける場合があり、成形品用吸着部により樹脂成形品を吸着するだけでは、樹脂成形品と離型フィルムとを確実に分離することができない。
【0007】
これらの問題から、樹脂成形品を吸着した成形品用吸着部を上方向に移動させた後に、ポットブロックから離れる方向に移動させることが考えられる。ここで、成形品用吸着部を上方向に移動させた際に、樹脂成形品が張り出し部に当たらないようにするためには、ポットブロックの張り出し部と下型の型面との距離を大きくすることが考えられる。
【0008】
ところが、ポットブロックの張り出し部と下型の型面との距離を大きくすると、ポットブロックの上面と上型の下面との距離が相対的に小さくなってしまう。その結果、不要樹脂用吸着部の吸着パッドのサイズが制約されてしまい、不要樹脂をポットから取り出すための不要樹脂用吸着部の弾性変形量が確保できなくなり、不要樹脂を安定して回収することが難しくなってしまう。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、張り出し部を有するポットブロックが設けられた下型から樹脂成形品を確実に搬出しつつ、ポットブロック上の不要樹脂を確実に回収することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る樹脂成形装置は、上型及び下型を有し、それらの少なくとも一方にキャビティが形成された成形型と、前記上型及び前記下型を型締めする型締め機構と、前記下型に設けられて、樹脂材料を収容するポットが形成されたポットブロックと、前記ポット内でプランジャを移動させて前記キャビティに前記樹脂材料を注入するトランスファ機構と、樹脂成形後の樹脂成形品を前記下型から搬出する搬送機構とを備え、前記ポットブロックは、前記樹脂成形品の少なくとも一部と前記上型との間に張り出した張り出し部を有しており、前記搬送機構は、前記樹脂成形品を保持する第1保持部と、前記ポットブロック上の不要樹脂を保持する第2保持部と、前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の下で上方向に移動するように前記第1保持部を上昇させる第1昇降移動機構と、前記第1昇降移動機構により前記第1保持部が上昇した状態で、前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動するように前記第1保持部を水平方向に移動させる水平移動機構とを有し、前記樹脂成形品が前記張り出し部よりも外側に移動され、前記第2保持部が前記ポットブロック上の不要樹脂に接触した状態で、前記型締め機構により前記下型を下降させるとともに、前記トランスファ機構により前記プランジャを前記下型に対して上昇させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように構成した本発明によれば、張り出し部を有するポットブロックが設けられた下型から樹脂成形品を確実に搬出しつつ、ポットブロック上の不要樹脂を確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る一実施形態の樹脂成形装置の構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の成形モジュールにおいて(a)型締め前、(b)型締め時、(c)型開き後の状態を示す模式図である。
図3】同実施形態の搬送機構の構成を模式的に示す側面図である。
図4】同実施形態の第1昇降機構による昇降動作(第1の垂直移動)を模式的に示す側面図である。
図5】同実施形態の水平移動機構の構成を模式的に示す図である。
図6】同実施形態の水平移動機構の動作を模式的に示す図である。
図7】同実施形態の水平移動機構による水平動作を模式的に示す側面図である。
図8】同実施形態の第2昇降機構による昇降動作(第2の垂直移動)を模式的に示す側面図である。
図9】同実施形態の搬送装置において搬送爪の間隔が縮小した状態を模式的に示す側面図である。
図10】同実施形態の不要樹脂の吸着動作を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0014】
本発明に係る技術1の樹脂成形装置は、上型及び下型を有し、それらの少なくとも一方にキャビティが形成された成形型と、前記上型及び前記下型を型締めする型締め機構と、前記下型に設けられて、樹脂材料を収容するポットが形成されたポットブロックと、前記ポット内でプランジャを移動させて前記キャビティに前記樹脂材料を注入するトランスファ機構と、樹脂成形後の樹脂成形品を前記下型から搬出する搬送機構とを備え、前記ポットブロックは、前記樹脂成形品の少なくとも一部と前記上型との間に張り出した張り出し部を有しており、前記搬送機構は、前記樹脂成形品を保持する第1保持部と、前記ポットブロック上の不要樹脂を保持する第2保持部と、前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の下で上方向に移動するように前記第1保持部を上昇させる第1昇降移動機構と、前記第1昇降移動機構により前記第1保持部が上昇した状態で、前記第1保持部に保持された前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動するように前記第1保持部を水平方向に移動させる水平移動機構とを有し、前記樹脂成形品が前記張り出し部よりも外側に移動され、前記第2保持部が前記ポットブロック上の不要樹脂に接触した状態で、前記型締め機構により前記下型を下降させるとともに、前記トランスファ機構により前記プランジャを前記下型に対して上昇させることを特徴とする。
【0015】
この樹脂成形装置であれば、第1保持部に保持された樹脂成形品を張り出し部の下で上方向に移動させ、その後に、樹脂成形品を張り出し部の外側に移動させているので、例えば成形対象物の下側に樹脂封止部が形成される樹脂成形品や下型に離型フィルムを設ける場合であっても、下型から樹脂成形品を確実に搬出することができる。
また、樹脂成形品が張り出し部よりも外側に移動され、第2保持部がポットブロック上の不要樹脂に接触した状態で、下型を下降させるとともにプランジャを下型に対して上昇させるので、第2保持部がポットブロック上の不要樹脂に接触した状態で、ポットブロックから不要樹脂が剥離される。その結果、不要樹脂がポットブロック上で傾く等により生じる回収不良を防ぐことができる。
【0016】
本発明に係る技術2の樹脂成形装置は、上記の技術1の構成に加えて、前記第2保持部は、前記不要樹脂を吸着するためのベローズ型の吸着パッドを有することを特徴とする。
この構成であれば、上記の技術1の構成(下型を下降させるとともにプランジャを下型に対して上昇させる構成)の効果をより一層顕著にすることができる。つまり、弾性変形量の大きい吸着パッドを用いる必要がなくなり、吸着パッドの弾性変形量によって、ポット内に残った樹脂の残り量(ポット残り部)が規制されることがない。
なお、「ポット内に残った樹脂の残り量(ポット残り部)」は、樹脂量のばらつきや電子部品の有無による樹脂量の変化に対応するものである。例えば、電子部品無しのダミー成形と、電子部品有りの実装成形とで同じ量の樹脂材料を用いて樹脂成形する場合、電子部品の有無による樹脂材料の変化はポット残り部で吸収される。
【0017】
本発明に係る技術3の樹脂成形装置は、上記の技術1又は2の構成に加えて、前記トランスファ機構により前記プランジャを前記下型に対して上昇させることにより、前記第2保持部に対する前記プランジャの高さ位置を維持することを特徴とする。
この構成であれば、不要樹脂に接触した第2保持部及びプランジャの相対的な位置関係は変化しない。例えば第2保持部が吸着パッドを有する構成の場合には、不要樹脂をポットから押し出す際に、吸着パッドの弾性変形量がほとんど変化しない。このため、弾性変形量の大きい吸着パッドを用いる必要がなくなる。また、不要樹脂をポットから押し出す際に、不要樹脂の位置がほとんど変化しないので、第2保持部によって不要樹脂を確実に保持させることができ、ポットブロック上の不要樹脂を確実に回収することができる。
【0018】
本発明に係る技術4の樹脂成形装置は、上記の技術1乃至3の何れか1つの構成に加えて、前記搬送機構は、前記第1保持部が移動可能に設けられるベース部材と、前記ベース部材に対して水平方向に移動する第1移動体と、前記第1移動体とともに水平方向に移動し、前記第1移動体に対して上下方向に移動する第2移動体と、前記第2移動体及び前記第1保持部を連結する連結部材とをさらに備えることを特徴とする。
この構成により、ベース部材に対して第1移動体が水平方向に移動することにより、当該第1移動体とともに第2移動体が水平方向に移動し、当該第2移動体に連結された第1保持部が水平方向に移動する。また、第1移動体に対して第2移動体が上下方向に移動することにより、第2移動体に連結された第1保持部が上下方向に移動する。
【0019】
第1昇降移動機構の具体的な実施の態様としては、以下のものが考えられる。
つまり、本発明に係る技術5の樹脂成形装置は、上記の技術4の構成に加えて、前記第1昇降移動機構は、前記ベース部材に対して水平方向に移動する第1スライド部材と、前記第1スライド部材の移動に伴って前記第2移動体を上方向に移動させることにより前記第1保持部を上方向に移動させる第1昇降カム機構とを有することを特徴とする。
【0020】
水平移動機構の具体的な実施の態様としては、以下のものが考えられる。
つまり、本発明に係る技術6の樹脂成形装置は、上記の技術4又は5の構成に加えて、前記水平移動機構は、前記ベース部材に対して水平方向に移動する第2スライド部材と、前記第2スライド部材の移動に伴って前記第1移動体を前記ポットブロックから離れる方向に移動させるリンク機構とを有することを特徴とする。
この構成であれば、水平移動機構がリンク機構を有するので、第2スライド部材の移動を無理なく保持部材の移動に伝達することができる。
【0021】
搬送機構の具体的な実施の態様としては、以下のものが考えられる。
つまり、本発明に係る技術7の樹脂成形装置は、上記の技術1乃至6の何れか1つの構成に加えて、前記搬送機構は、前記水平移動機構により前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動した状態で、前記第1保持部を上昇させる第2昇降移動機構をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る技術8の樹脂成形装置は、上記の技術7の構成に加えて、前記搬送機構は、前記水平移動機構により前記樹脂成形品が前記張り出し部の外側に移動した状態で、前記第1保持部を上昇させる第2昇降移動機構をさらに備え、前記第2昇降移動機構は、前記第2スライド部材の移動に伴って前記第2移動体を上方向に移動させることにより前記第1保持部を上方向に移動させる第2昇降カム機構を有することを特徴とする。
この構成であれば、水平移動機構の第2スライド部材を用いて第2昇降移動機構を構成することができるので、構成を簡単化できるだけでなく、コストダウンを可能にすることができる。
【0023】
本発明に係る技術9の樹脂成形装置は、上記の技術7又は8の構成に加えて、前記搬送機構は、前記樹脂成形品を引っ掛けて保持する搬送爪をさらに備え、前記第2昇降移動機構により前記第1保持部が上昇した状態で、前記搬送爪を用いて前記樹脂成形品を保持することを特徴とする。
この構成であれば、樹脂成形品をより安定して搬送することができ、樹脂成形品を落下させることを抑制することが可能となる。また、第2昇降移動機構により第1保持部が上昇した状態で、保持爪を用いて樹脂成形品を保持するので、樹脂成形品の下面を保持することができる。また、下型の型面に保持爪が接触して傷付くことを防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る技術10の樹脂成形装置は、上記の技術1乃至9の何れか1つの構成に加えて、前記下型に前記キャビティが形成されており、前記第1昇降移動機構は、前記下型の前記キャビティにより形成される樹脂封止部が前記下型のパーティングラインよりも上に位置するまで、前記第1保持部を上昇させることを特徴とする。
【0025】
また、上記の技術1乃至10の何れ1つの樹脂成形装置を用いて樹脂成形品の製造方法であって、成形対象物に対して樹脂成形を行う成形工程と、樹脂成形された樹脂成形品を搬出する搬出工程とを備える、樹脂成形品の製造方法も本発明の一態様である。
【0026】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0027】
<樹脂成形装置の全体構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、電子部品Wxが固定された成形対象物W1を樹脂材料Jを用いたトランスファ成形によって樹脂成形するものである。
【0028】
ここで、成形対象物W1としては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、リードフレーム、シリコンウエハ、ガラスウエハ等であり、配線の有無は問わない。また、樹脂成形のための樹脂材料Jは例えば熱硬化性樹脂を含む複合材料であり、樹脂材料Jの形態は顆粒状、粉末状、液状、シート状又はタブレット状等である。また、電子部品Wxとしては、例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子、又はこれら電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された形態の電子部品を挙げることができる。
【0029】
具体的に樹脂成形装置100は、図1に示すように、成形前の成形対象物W1及び樹脂材料Jを供給する供給モジュール100Aと、樹脂成形する成形モジュール100Bと、成形後の成形対象物W2(以下、樹脂成形品W2)を収容する収納モジュール100Cとを、それぞれ構成要素として備えている。なお、供給モジュール100Aと、成形モジュール100Bと、収納モジュール100Cとは、それぞれ他の構成要素に対して、互いに着脱されることができ、かつ、交換されることができる。
【0030】
供給モジュール100Aには、成形対象物W1を供給する成形対象物供給部11と、樹脂材料Jを供給する樹脂材料供給部12と、成形対象物供給部11から成形対象物W1を受け取り成形モジュール100Bに搬送し、樹脂材料供給部12から樹脂材料Jを受け取り成形モジュール100Bに搬送する搬送機構13(以下、ローダ13)とが設けられている。
【0031】
ローダ13は、供給モジュール100Aと成形モジュール100Bとの間を行き来するものであり、供給モジュール100Aと成形モジュール100Bとに亘って設けられたレール(不図示)に沿って移動する。
【0032】
成形モジュール100Bは、図2に示すように、樹脂注入部14が設けられるとともに、樹脂材料Jが注入されるキャビティ15aが形成された下型15と、下型15に対向して設けられ、樹脂材料Jが注入されるキャビティ16aが形成された上型16と、下型15及び上型16を型締めする型締め機構17とを有する。下型15は、型締め機構17により昇降する可動盤101に下プラテン102を介して設けられている。上型16は、上部固定盤(不図示)に上プラテン103を介して設けられている。なお、図2は、樹脂注入部14の一方側(左側)のみを示し、他方側(右側)を省略しているが、図2において他方側の構成は一方側の構成と同一である。
【0033】
本実施形態の樹脂注入部14は、樹脂材料Jを収容するポット141aが形成されたポットブロック141と、ポット141a内に設けられたプランジャ142aを有するトランスファ機構142とを備えている。ここで、トランスファ機構142は、ポット141aに収容された樹脂材料Jを圧送するためのプランジャ142aと、当該プランジャ142aを駆動するプランジャ駆動部142bとを有している。なお、プランジャ142aは、ポット141aにおいて加熱されて溶融した樹脂材料Jを圧送するものである。
【0034】
ポットブロック141は、下型15に設けられており、下型15に対して昇降可能となるように弾性部材144により弾性支持されている。また、ポットブロック141の上端部には、下型15の上面である型面上に張り出した張り出し部141bが形成されている。張り出し部141bは、上型16及び下型15を型締めした状態で、その上面が上型16に接触するとともに、その下面が成形対象物W1を下型15の型面との間で挟むことになる(図2(b)参照)。また、張り出し部141bは、樹脂成形後においては、樹脂成形品W2の少なくとも一部を上型16との間に張り出した部分となる(図2(c)参照)。さらに、ポットブロック141の上面には、ポット141aから注入された樹脂材料Jをキャビティ15a、16aに導入する樹脂流路となるカル部及びゲート部(何れも不図示)を形成しても良い。
【0035】
下型15のキャビティ15aは、成形対象物W1の下面を樹脂封止するためのものであり、上型16のキャビティ16aは、成形対象物W1の上面を樹脂封止するためのものである。ここで、下型15のキャビティ15a又は上型16のキャビティ16aの少なくとも一方には、成形対象物W1の電子部品Wxが収容される。
【0036】
また、上型16には、ポットブロック141の張り出し部141bに対向する部分に凹部16bが形成され、ポットブロック141のカル部及びゲート部とキャビティ15a、16aとを接続するランナ部16cが形成されている。なお、下型15に、ポットブロック141のカル部及びゲート部とキャビティ15a、16aとを接続するランナ部を形成しても良い。また、図示しないが下型15又は上型16には、ポットブロック141とは反対側にエアベントが形成されている。
【0037】
そして、図2(b)に示すように、型締め機構17により下型15及び上型16を型締めすると、ポットブロック141が下降し、ポットブロック141の張り出し部141bの下面と下型15の上面との間に成形対象物W1のポット側端部が挟まれることになる。この状態でプランジャ142aにより溶融した樹脂材料Jをキャビティ15a、16aに注入すると、成形対象物W1の電子部品Wxが樹脂封止される。
【0038】
収納モジュール100Cには、樹脂成形品W2を収納する収納部18と、成形モジュール100Bから樹脂成形品W2を受け取り、収納部18に搬送する搬送機構19(以下、アンローダ19)とが設けられている。
【0039】
アンローダ19は、成形モジュール100Bと収納モジュール100Cとの間を行き来するものであり、成形モジュール100Bと収納モジュール100Cとに亘って設けられたレール(不図示)に沿って移動する。なお、アンローダ19の詳細は後述する。
【0040】
この樹脂成形装置100の基本動作について、図2を参照して簡単に説明する。以下の動作は、例えば供給モジュール100Aに設けられた制御部COMが各部を制御することにより行われる。
【0041】
下型15及び上型16が型開きされた状態で、ローダ13により成形対象物W1が搬送されて、図2(a)に示すように、下型15に載置される。このとき、上型16及び下型15は、樹脂材料Jを溶融し硬化させることができる温度に昇温されている。また、ローダ13により樹脂材料Jが搬送されて、ポットブロック141のポット141a内に収容される。
【0042】
この状態で、型締め機構17により下型15を上昇させると、図2(b)に示すように、ポットブロック141が上型16に当たり、下型15に対して下降して、張り出し部141bの下面が成形対象物W1のポット側端部に接触する。また、上型16の下面が成形対象物W1のベント側端部に接触する。これにより下型15及び上型16が型締めされる。この型締め後にプランジャ駆動部142bによりプランジャ142aを上昇させると、ポット141a内の溶融した樹脂材料Jが樹脂通路を通ってキャビティ15a、16a内に注入される。そして、キャビティ15a、16a内で樹脂材料Jが硬化した後に、図2(c)に示すように、型締め機構17により型開きする。この型開きにより、ポットブロック141が下型15に対して上昇するとともに、ポットブロック141の弾性部材144が伸長する。この弾性部材144の伸長に合わせてプランジャ142aが上昇することによって、樹脂成形品W2からポットブロック141上の不要樹脂Kが分離される(ゲートブレイク)。その後、アンローダ19により樹脂成形品W2を搬出して、収納部18に搬送する。
【0043】
<アンローダ19の具体的な構成>
次に、本実施形態におけるアンローダ19の具体的な構成について、図3図10を参照して説明する。なお、図3図6図10は、ポットブロック141の一方側(左側)のみを示し、他方側(右側)を省略しているが、各図において他方側の状態は一方側の状態と同じである。
【0044】
アンローダ19は、図3図10に示すように、樹脂成形品W2を保持する第1保持部20と、ポットブロック141上の不要樹脂Kを保持する第2保持部21と、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2が張り出し部141bの下で上方向に移動するように第1保持部20を上昇させる第1昇降移動機構22と、第1昇降移動機構22により第1保持部20が上昇した状態で、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2が張り出し部141bの外側に移動するように第1保持部20を水平方向に移動させる水平移動機構23と、水平移動機構23により樹脂成形品W2が張り出し部141bの外側に移動した状態で、第1保持部20を上昇させる第2昇降移動機構24とを備えている。
【0045】
第1保持部20は、ポットブロック141上の不要樹脂Kが分離された樹脂成形品W2を保持するものであり、下型15に載置された樹脂成形品W2を吸着する成形品用吸着パッド20aを有している。この成形品用吸着パッド20aは、第1保持部20の下面に設けられており、成形品用吸着パッド20aには、樹脂成形品W2を吸着するための吸引機構(不図示)が接続されている。本実施形態の成形品用吸着パッド20aは、ベローズ型の吸着パッドである。なお、吸引機構は、例えば、第1保持部20の内部に形成された吸引流路と、当該吸引流路に接続された吸引ポンプとを有する。
【0046】
第2保持部21は、ポットブロック141上の不要樹脂Kを吸着する不要樹脂用吸着パッド21aを有している。この不要樹脂用吸着パッド21aは、第2保持部21の下面に設けられており、不要樹脂用吸着パッド21aには、不要樹脂Kを吸着するための吸引機構(不図示)が接続されている。本実施形態の不要樹脂用吸着パッド21aは、ベローズ型の吸着パッドである。なお、吸引機構は、例えば、第2保持部21の内部に形成された吸引流路と、当該吸引流路に接続された吸引ポンプとを有する。
【0047】
そして、第1保持部20及び第2保持部21は、ベース部材25に設けられている。具体的には、第1保持部20は、ベース部材25に移動可能に設けられており、第2保持部21は、ベース部材25に固定されている。なお、第2保持部21をベース部材25に移動可能に設けても良い。
【0048】
第1保持部20をベース部材25に移動可能とする構成として、アンローダ19は、ベース部材25に対して水平方向に移動する第1移動体31と、第1移動体31とともに水平方向に移動し、第1移動体31に対して上下方向に移動する第2移動体32と、第2移動体32及び第1保持部20を連結する連結部材33とを備えている。
【0049】
第1移動体31は、ベース部材25上を水平方向に移動する例えば平板状をなすものである。この第1移動体31は、ガイド部(不図示)により、ベース部材25に対してポットブロック141に向かう方向又は離れる方向に移動可能に設けられている。なお、前記ガイド部は、ベース部材25においてポットブロック141に対して進退する前後方向に設けられたレールと、第1移動体31に設けられ、レールを移動するスライダとを有する。
【0050】
第2移動体32は、第1移動体31に対して上下方向に移動する例えば平板状をなすものである。この第2移動体32は、第1保持部20との間に第1移動体31を挟んだ状態で設けられている。
【0051】
そして、第2移動体32及び第1保持部20を連結する連結部材33は、第1移動体31に形成された貫通孔31hを通じて、第1移動体31に対して昇降移動可能に設けられている。ここで、連結部材33は、1又は複数設けられており、複数設けられる場合には、第2移動体32及び第1保持部20は、複数箇所で連結されることになる。また、第1移動体31に形成された貫通孔31hと連結部材33とは、第2移動体32の上下方向の移動をガイドするガイド部241として機能する。
【0052】
このような構成により、ベース部材25に対して第1移動体31が水平方向に移動することにより、当該第1移動体31とともに第2移動体32が水平方向に移動し、当該第2移動体32に連結された第1保持部20が水平方向に移動する。また、第1移動体31に対して第2移動体32が上下方向に移動することにより、第2移動体32に連結された第1保持部20が上下方向に移動する。
【0053】
また、ベース部材25は、レール(不図示)に沿って水平方向及び上下方向に移動可能に設けられている。このベース部材25には、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2の落下の防止又は樹脂成形品W2の保持のための搬送爪26が設けられている。この搬送爪26は、樹脂成形品W2の両端部に引っ掛かるように設けられた対をなすものであり、図示しない駆動部により、当該搬送爪26同士の間隔が拡大又は縮小される。駆動部により搬送爪26の間隔を縮小させることによって樹脂成形品W2に引っ掛かるようにし、搬送爪26の間隔を拡大させることによって第2昇降移動機構24による樹脂成形品W2の昇降移動を妨げないようにする。
【0054】
<第1昇降移動機構22>
第1昇降移動機構22は、第1保持部20を昇降移動させるものであり、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2を張り出し部141bの下で上方向に直線的に移動させるものである。なお、第1昇降移動機構22による移動時には、第1保持部20は樹脂成形品W2を吸着保持した状態である。
【0055】
ここで、第1昇降移動機構22は、下型15のキャビティ15aにより形成される下側の樹脂封止部が下型15のパーティングライン(型面)よりも上に位置するまで、第1保持部20を上昇させる(図4参照)。また、第1昇降移動機構22による第1保持部20の持ち上げ量は、樹脂成形品W2がポットブロック141の張り出し部141bに接触しない程度である。なお、ポットブロック141の張り出し部141bの下型15に対する高さ位置は、第1昇降移動機構22により持ち上げられた樹脂成形品W2が接触しない程度に設定されている。
【0056】
具体的に第1昇降移動機構22は、図3図4図7図10に示すように、ベース部材25に対して水平方向に移動する第1スライド部材221と、当該第1スライド部材221を移動させる第1駆動部222と、第1スライド部材221の移動に伴って第2移動体32を上方向に移動させることにより第1保持部20を上方向に移動させる第1昇降カム機構223とを有している。本実施形態の第1スライド部材221は、ポットブロック141に向かう方向又は離れる方向に移動するように構成されている。また、第1駆動部222は、例えばエアシリンダ(不図示)を備えたブロックであり、第1スライド部材221及び第1駆動部222は、エアスライドテーブルにより構成されている。
【0057】
第1昇降カム機構223は、図3図4図7図10に示すように、第2移動体32に設けられた昇降ローラ部材223aと、第1スライド部材221に設けられ、第1スライド部材221の移動に伴って昇降ローラ部材223aを移動させる昇降ローラ接触部223bとを有している。また、昇降ローラ接触部223bは、第1スライド部材221がポットブロック141に向かう方向に移動するのに伴って、昇降ローラ部材223aに接触して当該昇降ローラ部材223aを上方向に移動するような傾斜面を有する。なお、昇降ローラ部材223aは、例えば、第2移動体32に回転可能に設けられた転動体(ベアリング)やブッシュにより構成してもよい。
【0058】
このような第1昇降移動機構22により、第1スライド部材221をポットブロック141に向かう方向に移動させると、昇降ローラ接触部223bの傾斜面に接触した昇降ローラ部材223aが上方向に移動する(図4参照)。これによって、第2移動体32及び第2移動体32に連結された第1保持部20が第1移動体31に対して上方向に移動する(第1の垂直移動)。
【0059】
なお、第1スライド部材221をポットブロック141から離れる方向に移動させると、第2移動体32及び第2移動体32に連結された第1保持部20は自重により第1移動体31に対して下方向に移動する(図3参照)。
【0060】
<水平移動機構23>
水平移動機構23は、樹脂成形品W2を保持した第1保持部20をポットブロック141から離れる方向に直線的に移動させるものである。なお、上記の通り、第1昇降移動機構22により、樹脂成形品W2は下型15のパーティングライン(型面)よりも上方に位置していることから、水平移動機構23は、吸着パッド20aにより吸着保持された樹脂成形品W2をポットブロック141から離れる方向に直線的に移動させる。
【0061】
具体的に水平移動機構23は、図3図10に示すように、ベース部材25に対して水平方向に移動する第2スライド部材231と、第2スライド部材231を移動させる第2駆動部232と、第2スライド部材231の移動に伴って第1移動体31をポットブロック141から離れる方向に移動させるリンク機構233とを有する。本実施形態の第2スライド部材231は、ポットブロック141に向かう方向又は離れる方向に移動するように構成されている。また、第2駆動部232は、例えばエアシリンダを用いたものである。
【0062】
本実施形態のリンク機構233は、図5及び図6に示すように、第2スライド部材231がポットブロック141から離れる方向に移動するのに伴って、第1保持部20(第1移動体31)をポットブロック141から離れる方向に移動させる構成としてある。ここでは、リンク機構233は、ベース部材25に回転可能に設けられた第1、第2のリンクアーム233a、233bを有し、第1のリンクアーム233aの回転に伴って第2のリンクアーム233bが第1のリンクアーム233aとは逆向きに回転する構成である。
【0063】
さらに、水平移動機構23は、図5及び図6に示すように、第2スライド部材231及びリンク機構233の間に第1の水平カム機構234が設けられており、リンク機構233及び第1移動体31の間に第2の水平カム機構235を備えている。
【0064】
第1の水平カム機構234は、第2スライド部材231に設けられた第1のローラ接触部234aと、第1のリンクアーム233aに設けられ、第1のローラ接触部234aに沿って移動する第1のローラ部材234bとを有している。本実施形態の第1のローラ接触部234aは、第2スライド部材231の側面に形成された傾斜面及び平坦面からなり、当該傾斜面及び平坦面を第1のローラ部材234bがスライドするように構成されている。第1のローラ接触部234aの傾斜面に沿って第1のローラ部材234bが移動することにより、第1のリンクアーム233aが一方向に回転する(図6(b)参照)。一方、第1のローラ接触部234aの平坦面に沿って第1のローラ部材234bが移動することにより、第1のリンクアーム233aは回転することなくその状態を維持する(図6(c)参照)。なお、第1のローラ部材234bは、例えば、第1のリンクアーム233aの内側端部に回転可能に設けられた転動体(ベアリング)やブッシュにより構成してもよい。
【0065】
第2の水平カム機構235は、第1移動体31に設けられた第2のローラ接触部235aと、第2のリンクアーム233bに設けられ、第2のローラ接触部235aに沿って移動する第2のローラ部材235bとを有している。なお、第2のローラ部材235bは、例えば、第2のリンクアーム233bの外側端部に回転可能に設けられた転動体(ベアリング)やブッシュにより構成してもよい。また、第2のローラ接触部235aは、第1移動体31のポットブロック141側を向く面に設けられており、本実施形態では平坦面としてある。
【0066】
このようなリンク機構233により、第2スライド部材231がポットブロック141から離れる方向に移動すると(図6(a)→(b))、第2スライド部材231の第1のローラ接触部234aの傾斜面に沿って第1のローラ部材234bが移動して第1のリンクアーム233aが回転する。そして、この第1のリンクアーム233aの回転に伴って、第2のリンクアーム233bが第1のリンクアーム232aとは逆向きに回転し、第2のリンクアーム233bの第2のローラ部材235bが第1移動体31の第2のローラ接触部235aをポットブロック141から離れる方向に押す。これによって、第1移動体31がポットブロック141から離れる方向に移動する。その後、第1のローラ部材234bが第1のローラ接触部234aの平坦面に到達すると(図6(b)→(c))、第1のリンクアーム233aの回転が停止して、第1移動体31の水平方向への移動が停止する。
【0067】
なお、第1移動体31は、例えばT型ブロック27を介して設けられた弾性部材28によりポットブロック141側に付勢されており、第2スライド部材231をポットブロック141に向かって移動させると、第1移動体31はポットブロック141に向かって移動する。
【0068】
<第2昇降移動機構24>
第2昇降移動機構24は、水平移動機構23により樹脂成形品W2が張り出し部141bの外側に移動した状態で、第1保持部20を上昇させるものである。この第2昇降移動機構24は、水平移動機構23により移動した第2移動体32を上方向に直線的に移動させて、第2移動体32に連結された第1保持部20を上方向に移動させるものである。
【0069】
具体的に第2昇降移動機構24は、図3図4図7図10に示すように、第2移動体32を鉛直方向(上下方向)にガイドするガイド部241と、水平移動機構23の第2スライド部材231の水平移動に伴って第2移動体32を上方向に移動させる第2昇降カム機構242とを有している。
【0070】
本実施形態のガイド部241は、第1移動体31の貫通孔31hに連結部材33を挿し通すことによって、当該貫通孔31hと連結部材33とに構成されている。なお、ガイド部241は、第1移動体31において上下方向に設けられたレールと、第2移動体に設けられ、レールを移動するスライダとを有するものであっても良い。
【0071】
第2昇降カム機構242は、図3図4図7図10に示すように、第2スライド部材231に設けられた昇降ローラ部材242aと、第2移動体32に設けられ、昇降ローラ部材242aの移動に伴って移動する昇降ローラ接触部242bとを有している。また、昇降ローラ接触部242bは、昇降ローラ部材242aがポットブロック141から離れる方向に移動するのに伴って、昇降ローラ接触部242bが上方向に移動するような傾斜面を有する。
【0072】
このような第2昇降移動機構24により、第2スライド部材231がポットブロック141から離れる方向に移動すると(図6(b)→(c))、昇降ローラ部材242aが昇降ローラ接触部242bの傾斜面に接触し(図7参照)、昇降ローラ接触部242bが上方向に移動する(図8参照)。これによって、第2移動体32及び第2移動体32に連結された第1保持部20が、第1移動体31に対して上方向に移動する(第2の垂直移動)。
【0073】
なお、第2スライド部材231がポットブロック141に向かって移動すると、第2移動体32及び第2移動体32に連結された第1保持部20は自重により第1移動体31に対して下方向に移動する(図7参照)。
【0074】
<アンローダ19の搬出動作>
次に、アンローダ19の搬出動作について図3図10を参照して説明する。
【0075】
上型16及び下型15が型開きされた状態で、図3に示すように、アンローダ19を下型15の上方に移動させた後に、樹脂成形品W2及び不要樹脂Kを吸着保持するための所定位置に下降させる。そして、第1保持部20の吸着パッド20aにより樹脂成形品W2を吸着保持するとともに、第2保持部21の吸着パッド21aにより不要樹脂Kを吸着保持する。なお、搬送爪26の間隔は、樹脂成形品W2の吸着保持を邪魔しないように拡大した状態である。また、ベース部材25に設けられた第2保持部21は、ポットブロック141の上面に残った不要樹脂Kに接触した状態となる。
【0076】
そして、図4に示すように、第1昇降移動機構22の第1スライド部材221を移動させると、その移動に伴って第2移動体32が持ち上がる。具体的には第1スライド部材221をポットブロック141に向かう方向に移動させると、第1昇降カム機構223により、第2移動体32が上方向に移動する。第2移動体32が上方向に移動すると、当該第2移動体32に連結された第1保持部20が、上方向に移動する(第1の垂直移動)。この第1の垂直移動により、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2は、その下側の樹脂封止部が下型15のパーティングライン(型面)よりも上に位置することになる。なお、下型15に離型フィルムが設けられている場合には、下側の樹脂封止部がパーティングライン上の離型フィルムの上面よりも上に位置する。
【0077】
次に、図7に示すように、水平移動機構23により第1移動体31をポットブロック141から離れる方向に移動させる。具体的に水平移動機構23の第2スライド部材231をポットブロック141から離れる方向に移動させると、リンク機構233及び水平カム機構234、235により、第1移動体31がポットブロック141から離れる方向に移動する(図6(a)→(b))。第1移動体31が移動すると、当該第1移動体31とともに第2移動体32及び第1保持部20も同時に移動する。この移動により、樹脂成形品W2は、ポットブロック141の張り出し部141bよりも外側に移動する。
【0078】
さらに、図8に示すように、水平移動機構23の第2スライド部材231を移動させると、その移動に伴って第2移動体32が持ち上がる。具体的には、図7の状態から第2スライド部材231をポットブロック141から離れる方向に移動させると(図6(b)→(c))、第2昇降カム機構242により、第2移動体32が上方向に移動する。第2移動体32が上方向に移動すると、第2移動体32に連結された第1保持部20も同時に上方向に移動する(第2の垂直移動)。この第2の垂直移動により、樹脂成形品W2は、搬送爪26により保持ができる程度の高さに移動される。そして、図9に示すように、搬送爪26の間隔を縮小させて、樹脂成形品W2の下側に搬送爪26が位置するようにする。なお、第2の垂直移動が終了すると、第2スライド部材231の移動は終了する。
【0079】
上記の通り、樹脂成形品W2が張り出し部141bよりも外側に移動され、第2保持部21がポットブロック141上の不要樹脂Kに接触した状態とした後に、図10に示すように、型締め機構17により下型15を下降させるとともに、トランスファ機構142によりプランジャ142aを下型15に対して上昇させる。なお、下型15を下降させることによりポットブロック141も下降する。
【0080】
本実施形態では、トランスファ機構142によりプランジャ142aを下型15に対して上昇させることにより、下型15の下降に関わらず、第2保持部21に対するプランジャ142aの高さ位置を維持している。これにより、不要樹脂Kを吸着保持した第2保持部21とプランジャ142aとの相対的な位置関係は変化しない。言い換えれば、不要樹脂Kをポット141aから押し出す際に、第2保持部21の吸着パッド21aの弾性変形量がほとんど変化しない。そして、上記の動作により、第2保持部21の吸着パッド21aにより吸着保持されている不要樹脂Kがポットブロック141から剥離されて持ち上げられる。
【0081】
以上のように、第1保持部20が樹脂成形品W2を吸着保持し、第2保持部21が不要樹脂Kを吸着保持すると、アンローダ19は、上型16及び下型15から退出し、樹脂成形品W2を収納モジュール100Cの収納部18に搬送するとともに、不要樹脂Kを図示しない廃棄ボックスに搬送する。
【0082】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、第1保持部20に保持された樹脂成形品W2を張り出し部141bの下で上方向に移動させ、その後に、樹脂成形品W2を張り出し部141bの外側に移動させているので、例えば成形対象物W1の下側に樹脂封止部が形成される樹脂成形品W2や下型15に離型フィルムを設ける場合であっても、下型15から樹脂成形品W2を確実に搬出することができる。
【0083】
また、樹脂成形品W2が張り出し部141bよりも外側に移動されており、第2保持部21がポットブロック141上の不要樹脂Kに接触した状態で、型締め機構17により下型15を下降させるとともに、トランスファ機構142によりプランジャ142aを下型15に対して上昇させるので、第2保持部21がポットブロック141上の不要樹脂Kに接触した状態で、ポットブロック141から不要樹脂Kが剥離される。その結果、不要樹脂Kがポットブロック141上で傾く等により生じる回収不良を防ぐことができる。
【0084】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0085】
例えば、前記実施形態では、第2昇降移動機構24は水平移動機構23の第2スライド部材231を用いて構成しているが、第2スライド部材231を用いることなく第2昇降移動機構24を水平移動機構23とは別に設けても良い。
【0086】
また、前記実施形態では、下型15がキャビティ15aを有する構成であったが、下型15がキャビティ15aを有さない構成としても良い。この場合であっても、下型15に離型フィルムを設ける構成において下型15から樹脂成形品W2を確実に搬出することができる。
【0087】
前記実施形態では、下型15を下降させて不要樹脂Kをポット141aから押し出す際に、第2保持部21に対するプランジャ142aの高さ位置を維持しているが、必ずしもプランジャ142aの高さ位置を維持する必要はない。例えば、第2保持部21の吸着パッド21aが不要樹脂Kに接触した状態を維持する範囲において、第2保持部21に対するプランジャ142aの高さ位置が変化しても良い。
【0088】
前記実施形態の第1昇降移動機構22の第1昇降カム機構223において、第1スライド部材221に昇降ローラ部材223aを設け、第2移動体32に昇降ローラ接触部223bを設けても良い。また、第2昇降移動機構24の第2昇降カム機構242において、第2移動体32に昇降ローラ部材242aを設け、第2スライド部材231に昇降ローラ接触部242bを設けても良い。
【0089】
さらに、前記実施形態では、第2スライド部材231をポットブロック141から離れる方向に移動させることによって第1保持部20がポットブロック141から離れる方向に移動する構成としてあるが、第2スライド部材231をポットブロック141に向かう方向に移動させることによって第1保持部20がポットブロック141から離れる方向に移動する構成としてもよい。この場合、例えばリンク機構233を1つのリンクアーム(例えば前記実施形態の第1のリンクアーム233a)から構成することが考えられる。
【0090】
前記実施形態では、アンローダ19を樹脂成形品W2を吸着保持するための所定位置に下降させると、第2保持部21がポットブロック141上の不要樹脂Kに接触する構成であったが、樹脂成形品W2を第2昇降移動機構24により上昇させた後に、第2保持部21をポットブロック141上の不要樹脂Kに接触させる構成としても良い。
【0091】
前記実施形態では搬送爪26が吸着保持された樹脂成形品W2の落下を防止するものであったが、樹脂成形品W2を持ち上げた後に吸着保持を解除して搬送爪26により樹脂成形品W2を保持する構成としてもよい。また、搬送時に吸着保持する構成であれば、搬送爪26を有さない構成としてもよい。
【0092】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0093】
100 ・・・樹脂成形装置
J ・・・樹脂材料
W1 ・・・成形対象物
W2 ・・・樹脂成形品
K ・・・不要樹脂
141 ・・・ポットブロック
141a・・・ポット
141b・・・張り出し部
142 ・・・トランスファ機構
142a・・・プランジャ
15 ・・・下型
15a ・・・キャビティ
16 ・・・上型
16a ・・・キャビティ
17 ・・・型締め機構
19 ・・・搬送機構(アンローダ)
20 ・・・第1保持部
20a ・・・成形品用吸着パッド
21 ・・・第2保持部
21a ・・・不要樹脂用吸着パッド
22 ・・・第1昇降移動機構
221 ・・・第1スライド部材
223 ・・・第1昇降カム機構
23 ・・・水平移動機構
231 ・・・第2スライド部材
233 ・・・リンク機構
24 ・・・第2昇降移動機構
242 ・・・第2昇降カム機構
25 ・・・ベース部材
26 ・・・搬送爪
31 ・・・第1移動体
32 ・・・第2移動体
33 ・・・連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10