(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】飛行管理装置及び飛行管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2022150879
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2021194004の分割
【原出願日】2021-11-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-060407(JP,A)
【文献】特開2020-074133(JP,A)
【文献】特開2018-112871(JP,A)
【文献】特開2018-144765(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217554(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/115807(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0124376(US,A1)
【文献】特開2015-001450(JP,A)
【文献】特許第7055926(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/87
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00- 5/60
B64G 1/00-99/00
B64U 10/00-80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の飛行予定ルートを含む前記飛行体の飛行計画を示す飛行計画情報を記憶する記憶部と、
前記飛行予定ルートの飛行前に、前記飛行体から前記飛行体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、前記飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを前記飛行計画に追加した追加後飛行計画が第1の条件を満たす
か否かを判定し、前記追加後飛行計画が前記第1の条件を満たすと判定した場合に、前記追加後飛行計画を設定する設定部と、
前記第1の条件を満た
さないと判定されて前記追加後飛行計画が設定されなかった場合に、前記第1の条件を満たす前記追加後飛行計画が設定されなかったことを示すエラー情報を出力する出力部と、
を有する飛行管理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記追加後飛行計画が前記第1の条件を満たさない場合には、前記追加後飛行計画を設定しない、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記設定部が前記追加後飛行計画を設定した場合に前記追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を出力する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記飛行体が前記追加後飛行計画を飛行するのに必要な電力消費量及び所定の動作を実行するのに必要な電力消費量の合計よりも前記飛行体に設けられているバッテリーの残容量が少ない場合に、前記バッテリーの残容量不足により前記追加後飛行計画が設定されなかったことを示す前記エラー情報を出力する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、前記飛行計画に含まれる前記飛行予定ルートの始点の位置までの前記追加飛行ルートを含む前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記追加飛行ルートを前記飛行体のユーザから受け付け、受け付けた前記追加飛行ルートを含む前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記追加後飛行計画による前記飛行体の飛行に必要な電力消費量が、前記飛行体に設けられているバッテリーの残容量よりも少ない場合に前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項8】
前記飛行計画には、前記飛行体が実行可能な所定の動作の実行計画が含まれており、
前記設定部は、前記追加後飛行計画に含まれる前記実行計画により実行される予定の前記所定の動作を前記飛行体が実現可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項9】
前記飛行計画には、前記飛行体が前記飛行予定ルートの上の前記所定の位置を飛行する時刻を示す時刻情報が含まれており、
前記設定部は、前記飛行計画に含まれている前記時刻情報が示す前記所定の位置を飛行する時刻に、前記飛行体が前記所定の位置を飛行可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に、前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記飛行予定ルートにおいて前記飛行体が前記飛行管理装置と通信可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に、前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項11】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置の周辺が第2の条件を満たしている場合に前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項12】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置の周辺において前記飛行体が通信可能な環境であることを示す前記第2の条件を満たしている場合に前記追加後飛行計画を設定する、
請求項11に記載の飛行管理装置。
【請求項13】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、当該位置の真上の位置であって前記所定の位置と同じ高度の位置まで上昇するルートを含む前記追加飛行ルートを含む前記追加後飛行計画を設定する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項14】
前記出力部は、前記追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を、飛行前の前記飛行体に送信する、
請求項1から13のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
飛行体の飛行予定ルートを含む前記飛行体の飛行計画を示す飛行計画情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記飛行予定ルートの飛行前に、前記飛行体から前記飛行体の位置を示す位置情報を取得するステップと、
取得された前記位置情報が示す位置から、前記飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを前記飛行計画に追加した追加後飛行計画が複数の条件のうちの少なくともいずかを含む第1の条件を満たす
か否かを判定するステップと、
前記追加後飛行計画が前記第1の条件を満たすと判定された場合に、前記追加後飛行計画を設定するステップと、
前記第1の条件を満た
さないと判定されて前記追加後飛行計画が設定されなかった場合に、前記第1の条件を満たす前記追加後飛行計画が設定されなかったことを示すエラー情報を出力するステップと、
を有する飛行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の飛行を管理する飛行管理装置及び飛行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予め設定された飛行体の飛行計画に基づいて飛行体を飛行させることが行われている。例えば、特許文献1には、予め設定された飛行計画に基づいて、格納装置に格納されている飛行体を飛行させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、飛行体が格納装置に格納されている状態から飛行体が離陸することを前提として飛行計画が設定されていた。このため、飛行体を飛行させる場合に飛行体を格納装置に格納させておく必要があり、ユーザの利便性を損なっていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を損なうことなく飛行体を飛行可能とすることを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る飛行管理装置は、飛行体の飛行予定ルートを含む前記飛行体の飛行計画を示す飛行計画情報を記憶する記憶部と、前記飛行予定ルートの飛行前に、前記飛行体から前記飛行体の位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、前記飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画が第1の条件を満たす場合に、前記追加飛行計画を設定する設定部と、前記追加飛行計画が設定されなかった場合に前記追加飛行計画が設定されなかったことを示すエラー情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記設定部は、前記追加飛行計画が前記第1の条件を満たさない場合には、前記追加飛行計画を設定しなくともよい。
【0008】
前記出力部は、前記設定部が前記追加飛行計画を設定した場合に前記追加飛行計画を示す追加飛行計画情報を出力してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記飛行体が前記追加飛行計画を前記飛行計画に追加した追加後飛行計画を飛行するのに必要な電力消費量及び所定の動作を実行するのに必要な電力消費量の合計よりも前記飛行体に設けられているバッテリーの残容量が少ない場合に、前記バッテリーの残容量不足により前記追加飛行計画が設定されなかったことを示す前記エラー情報を出力してもよい。
【0010】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、前記飛行計画に含まれる前記飛行予定ルートの始点の位置までの前記追加飛行ルートを含む前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0011】
前記設定部は、前記追加飛行ルートを前記飛行体のユーザから受け付け、受け付けた前記追加飛行ルートを含む前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0012】
前記設定部は、前記追加飛行計画を前記飛行計画に追加した追加後飛行計画による前記飛行体の飛行に必要な電力消費量が、前記飛行体に設けられているバッテリーの残容量よりも少ない場合に前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0013】
前記飛行計画には、前記飛行体が実行可能な所定の動作の実行計画が含まれており、前記設定部は、前記追加飛行計画を前記飛行計画に追加した追加後飛行計画に含まれる前記実行計画により実行される予定の前記所定の動作を前記飛行体が実現可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0014】
前記飛行計画には、前記飛行体が前記飛行予定ルートの上の前記所定の位置を飛行する時刻を示す時刻情報が含まれており、前記設定部は、前記飛行計画に含まれている前記時刻情報が示す前記所定の位置を飛行する時刻に、前記飛行体が前記所定の位置を飛行可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に、前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0015】
前記設定部は、前記飛行予定ルートにおいて前記飛行体が前記飛行管理装置と通信可能であることを含む前記第1の条件を満たす場合に、前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0016】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置の周辺が第2の条件を満たしている場合に前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0017】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置の周辺において前記飛行体が通信可能な環境であることを示す前記第2の条件を満たしている場合に前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0018】
前記設定部は、前記取得部が取得した前記位置情報が示す位置から、当該位置の真上の位置であって前記所定の位置と同じ高度の位置まで上昇するルートを含む前記追加飛行ルートを含む前記追加飛行計画を設定してもよい。
【0019】
前記出力部は、前記飛行計画に前記設定部が設定した前記追加飛行計画を追加した追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を、飛行前の前記飛行体に送信してもよい。
【0020】
本発明の第2の態様に係る飛行管理方法は、コンピュータが実行する、飛行体の飛行予定ルートを含む前記飛行体の飛行計画を示す飛行計画情報を記憶部に記憶させるステップと、前記飛行予定ルートの飛行前に、前記飛行体から前記飛行体の位置を示す位置情報を取得するステップと、取得された前記位置情報が示す位置から、前記飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画が複数の条件のうちの少なくともいずかを含む第1の条件を満たす場合に、前記追加飛行計画を設定するステップと、前記追加飛行計画が設定されなかった場合に、前記追加飛行計画が設定されなかったことを示すエラー情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザの利便性を損なうことなく飛行体を飛行させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】飛行管理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[飛行管理システムSの概要]
図1は、飛行管理システムSの概要を示す図である。飛行管理システムSは、飛行体1の飛行を管理するためのシステムであり、飛行体1と、飛行管理装置2とを有する。飛行管理装置2は、飛行体1の飛行を管理するコンピュータであり、飛行体1の飛行を管理するための飛行管理サービスを提供する。なお、
図1において、飛行体1は、1台のみ示されているが、飛行管理システムSは、複数の飛行体1を有しているものとする。
【0024】
飛行管理装置2は、予め飛行体1のユーザから始点位置と終点位置とを含む飛行体1の飛行予定ルートを示す飛行計画の登録を受け付けることにより、当該飛行計画を示す飛行計画情報を記憶する(
図1の(1))。飛行管理装置2は、飛行体1の飛行計画に基づく飛行体1の飛行前に、飛行体1から飛行体1の位置を示す位置情報を取得する(
図1の(2))。
【0025】
飛行管理装置2は、取得した位置情報が示す飛行体1の位置から、飛行計画に含まれる飛行予定ルートの始点の位置までの飛行ルートである追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定する(
図1の(3))。飛行管理装置2は、飛行計画に対し、設定した追加飛行計画を追加した飛行計画である追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を飛行体1に送信する(
図1の(4))。その後、飛行体1は、受信した追加後飛行計画情報が示す追加後飛行計画に基づいて飛行する。
【0026】
従来の技術では、飛行計画に基づいて飛行体1を飛行させる場合、飛行体1を格納装置に格納させておく必要があった。これに対し、飛行管理システムSの飛行管理装置2は、飛行予定ルートの始点位置として格納装置が指定されている状態において、飛行体1が格納装置に格納されていない場合であっても、追加飛行計画に基づいて飛行予定ルートの始点位置まで飛行体1を飛行させ、飛行計画情報が示す飛行計画に基づく飛行を行わせることができる。したがって、飛行管理システムSは、飛行体1のユーザの利便性を損なうことなく、飛行体1を飛行させることができる。
以下、飛行管理装置2の構成の詳細を説明する。
【0027】
[飛行管理装置2の機能構成]
図2は、飛行管理装置2の機能構成を示す図である。飛行管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。制御部23は、登録部231と、取得部232と、設定部233と、出力部234とを有する。
【0028】
通信部21は、携帯電話回線やインターネット等の通信ネットワークを介して飛行体1とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部22は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶する。記憶部22は、制御部23を、登録部231、取得部232、設定部233、及び出力部234として機能させるプログラムを記憶する。
【0029】
また、記憶部22は、制御部23の制御に応じて、飛行体1の飛行予定ルートを含む飛行体1の飛行計画を示す飛行計画情報を記憶する。
図3は、飛行計画情報の一例を示す図である。
図3に示すように飛行計画情報は、飛行体1のユーザを識別するためのユーザIDと、飛行体1を識別するための飛行体IDと、飛行体1の飛行計画とを関連付けた情報である。
【0030】
飛行計画は、例えば、飛行体1の飛行予定日と、飛行予定ルートを示すルート情報と、飛行体1が実行する動作を示す実行計画とを含んでいる。ルート情報は、飛行予定ルートの始点位置と、飛行体1が始点位置を飛行する時刻である始点飛行時刻と、飛行予定ルートの終点位置と、一以上の通過点それぞれの位置とを含んでいる。始点位置、終点位置、通過点の位置は、例えば、緯度、経度、標高を示す情報を含んでいる。通過点の位置は、ユーザが任意で登録できる項目であり、ルート情報に含まれていなくてもよい。また、実行計画は、一以上の通過点それぞれにおける飛行体1の動作を示す動作情報を含んでいる。
【0031】
実行計画は、始点、終点又は一以上の通過点において飛行体1が実行する所定の動作を示す情報であり、例えば、始点、終点、一以上の通過点それぞれを識別するためのポイント識別情報と、所定の動作を示す情報とを関連付けた情報である。所定の動作は、例えば、撮像、測量、設備点検等の動作である。なお、所定の動作は、始点、終点、一以上の通過点の全てで実行されなくてもよく、始点、終点、一以上の通過点の一部で実行されてもよい。また、所定の動作には、通過点としての充電施設における充電動作も含まれていてもよい。
【0032】
制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、登録部231、取得部232、設定部233、及び出力部234として機能する。
【0033】
[飛行計画の登録]
まず、飛行管理装置2が飛行計画を登録する処理について説明する。登録部231は、例えば飛行体1のユーザが使用するユーザ端末(不図示)から、飛行体1の飛行計画を受け付けることにより、飛行計画を登録する。
【0034】
具体的には、登録部231は、ユーザ端末から、飛行管理サービスにおいてユーザに対して発行されたユーザIDと、パスワードとを受け付けることにより、ユーザのログイン認証を行う。登録部231は、ログイン認証に成功すると、ユーザ端末に飛行計画を受け付けるための入力画面を表示させ、当該入力画面を介して、飛行体1の飛行体IDと、当該飛行体1の飛行計画とを受け付ける。
【0035】
飛行計画には、上述したように、飛行体1が飛行を行う飛行予定日と、飛行体1の飛行予定ルートと、実行計画とが含まれている。例えば、登録部231は、飛行予定ルートとして、始点位置、終点位置、始点飛行時刻、一以上の通過点それぞれの位置を受け付ける。また、登録部231は、一以上の通過点それぞれにおいて飛行体1が実行する所定の動作を示す情報を所定の動作の実行計画として受け付ける。登録部231は、飛行体1のユーザのユーザIDと、入力画面を介して受け付けた飛行体1の飛行体IDと、飛行計画とを関連付けた飛行計画情報を記憶部22に記憶させる。
【0036】
[追加飛行計画の設定]
続いて、追加飛行計画を設定する処理について説明する。取得部232及び設定部233は、協働することにより、飛行体1の飛行計画に含まれる飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定する。
【0037】
取得部232は、飛行計画に基づく飛行体1の飛行前に、飛行体1から飛行体1の位置を示す飛行体位置情報を取得する。例えば、取得部232は、飛行計画情報に関連付けられている飛行体IDの飛行体1に対し、当該飛行計画情報が示す飛行計画に含まれている始点飛行時刻よりも所定時間前に、飛行体位置情報の取得要求を送信する。飛行体1は、飛行体位置情報の取得要求を受信すると、自身の位置を特定し、当該位置を示す飛行体位置情報を飛行管理装置2に送信する。飛行体位置情報には、飛行体1の位置を示す緯度、経度、標高が含まれているものとする。取得部232は、飛行体1から飛行体位置情報を取得する。
【0038】
設定部233は、取得部232が取得した飛行体位置情報が示す飛行体1の位置と、飛行体1の飛行計画に含まれる飛行予定ルート上の始点の位置とが異なる場合、飛行体1の位置から、当該飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定する。飛行予定ルート上の所定の位置は、飛行予定ルートの始点の位置でもよく、始点の位置以外の位置、例えば始点近辺の位置でもよい。設定部233は、取得部232が取得した飛行体位置情報が示す飛行体1の位置から、飛行予定ルートの始点の位置までの追加飛行ルートを示す追加飛行計画を設定する。設定部233は、例えば、追加飛行ルートを示す追加計画情報を、飛行計画情報が示す飛行計画に追加することにより、追加飛行計画を設定する。
【0039】
設定部233は、飛行計画に追加飛行計画を追加した飛行計画である追加後飛行計画を仮設定し、仮設定した追加後飛行計画が第1の条件を満たす場合に追加飛行計画を設定する。第1の条件は、例えば、飛行体1に設けられているバッテリーの残容量と、追加後飛行計画とが所定の関係を有していることである。
【0040】
例えば、まず、設定部233は、飛行体1と通信を行い、飛行体1に設けられているバッテリーの残容量を示す情報を飛行体1から取得することにより、飛行体1に設けられているバッテリーの残容量を特定する。設定部233は、特定したバッテリーの残容量と、追加後飛行計画との関係が所定の関係であることを示す第1の条件を満たす場合に、追加飛行計画を設定する。具体的には、設定部233は、追加後飛行計画に基づいて飛行体1が現在の位置から飛行予定ルートの始点位置まで飛行し、その後、飛行予定ルートに従って終点位置まで飛行を行う場合に必要な電力消費量が、特定した飛行体1のバッテリーの残容量よりも少ない場合に、追加飛行計画を設定する。このような条件を満たすことを条件として追加飛行計画を設定することにより、飛行体1は、現在の位置から飛行を開始しても飛行計画に基づく飛行を完遂することができる。
【0041】
なお、設定部233は、飛行体1が現在の位置から飛行予定ルートの始点位置まで飛行し、その後、飛行予定ルートの始点位置から終点位置まで飛行を行う場合に必要な電力消費量に基づいて、飛行体1が飛行予定ルートを飛行するのに必要な電力消費量を算出したが、これに限らない。飛行予定ルートに含まれる通過点として飛行体1のバッテリーに充電を行う施設の位置が含まれており、飛行体1が当該施設で充電を行うことが実行計画に含まれている場合、設定部233は、飛行体1が現在の位置から飛行予定ルートの始点位置まで飛行し、その後、飛行予定ルートに従って当該施設の位置まで飛行するのに必要な電力消費量を、飛行体1が飛行予定ルートを飛行するのに必要な電力消費量として算出してもよい。
【0042】
また、設定部233は、追加飛行計画を設定する場合、取得部232が取得した位置情報が示す位置から、当該位置の真上の位置であって所定の位置と同じ高度の位置まで上昇する垂直上昇ルートを含む追加飛行ルートを示す追加飛行計画を設定する。例えば、設定部233は、垂直上昇ルートと、取得部232が取得した位置情報が示す位置の真上の位置であって所定の位置と同じ高度の位置から所定の位置までの線分を飛行する水平飛行ルートとを含む追加飛行計画を設定する。このようにすることで、飛行体1の位置から飛行予定ルートの始点の位置までの間において、飛行体1の飛行を阻害する建造物等の障害物が存在する場合であっても、当該障害物を避けて飛行体1が飛行する確率を高めて、飛行体1が障害物に衝突することを抑制することができる。
【0043】
また、設定部233は、追加飛行計画の承認を飛行体1のユーザから受け付けることにより、追加飛行計画を設定してもよい。例えば、設定部233は、追加飛行ルートを含み、追加飛行計画の承認を受け付ける承認受付画面をユーザ端末に表示させ、当該承認受付画面を介して、追加飛行計画の承認を受け付ける。設定部233は、追加飛行計画の承認を受け付けたことを条件として追加飛行計画を設定する。このようにすることで、飛行管理装置2は、ユーザに追加飛行計画を把握させたうえで追加飛行計画を設定することができる。
【0044】
設定部233は、追加飛行計画の承認を受け付けたことを条件として、仮設定した追加後飛行計画が確定したと判定し、飛行計画情報が示す飛行計画を、追加後飛行計画に更新する。
【0045】
なお、第1の条件には、飛行体1のバッテリーの残容量が追加後飛行計画により消費する飛行体1の電力消費量に比べて多いという条件とは異なる他の条件を含んでいてもよい。例えば、第1の条件は、追加後飛行計画に含まれる所定の動作の実行計画により実行される予定の所定の動作を飛行体1が実現可能であるという条件を含んでいてもよい。
【0046】
この場合、例えば、複数の所定の動作それぞれを実行したときの飛行体1の消費電力量を示す消費電力量情報を記憶部22に記憶させておく。そして、設定部233は、追加後飛行計画に含まれる所定の動作の実行計画と、消費電力量情報とを参照し、実行される予定の一以上の所定の動作それぞれの消費電力量を特定する。設定部233は、特定した消費電力量を合計することにより、実行される予定の一以上の所定の動作に必要な消費電力量を算出する。なお、飛行予定ルートに含まれる通過点として飛行体1のバッテリーに充電を行う施設の位置が含まれており、飛行体1が当該施設で充電を行うことが実行計画に含まれている場合、設定部233は、飛行体1が飛行予定ルートの始点から当該施設の位置までに実行される所定の動作に基づいて第2消費電力量を特定してもよい。
【0047】
設定部233は、追加後飛行計画に基づいて飛行体1が飛行を行う場合に必要な電力消費量と、一以上の所定の動作に必要な消費電力量との合計が、特定した飛行体1のバッテリーの残容量よりも少ない場合に、追加飛行計画を設定する。このように条件を設定することにより、飛行体1は、現在の位置から飛行を開始しても、飛行計画に基づく飛行と実行計画に基づく所定の動作とを完遂することができる。
【0048】
また、第1の条件は、飛行計画に含まれている始点位置の飛行時刻に、飛行体1が始点位置を飛行可能であるという条件を含んでいてもよい。この場合、設定部233は、現在の飛行体1の位置と、始点の位置との距離を算出し、当該距離を、飛行体1の飛行速度で除算することにより、飛行体1が現在の位置から飛行を開始してから始点の位置に到着するのにかかる移動時間を算出する。そして、設定部233は、現在の時刻から、算出した移動時間が経過した時刻が、始点位置の飛行時刻よりも前である場合に、始点位置の飛行時刻に飛行体1が始点の位置を飛行可能であるという条件を満たすと判定し、追加飛行計画を設定する。このように条件を設定することにより、飛行体1は、飛行計画が示す始点位置の飛行時刻に飛行予定ルートの始点の位置に到着し、予定通りに飛行計画を実行することができる。
【0049】
また、第1の条件は、追加飛行計画が示す飛行予定ルートにおいて飛行体1が飛行管理装置2と通信可能であるという条件を含んでいてもよい。この場合、設定部233は、飛行体1の位置と、追加飛行計画が示す飛行予定ルートの始点の位置とを含むエリアにおける飛行体1の通信可能エリアを示す通信可能エリア情報を取得する。設定部233は、取得した通信可能エリア情報を参照し、飛行体1の位置と、飛行予定ルートの始点の位置とを結ぶ線分の全て、又は線分の所定の割合が通信可能エリアに含まれている場合、飛行予定ルートにおいて飛行体1が飛行管理装置2と通信可能であるという条件を満たすと判定し、追加飛行計画を設定する。このように条件を設定することにより、飛行体1は、現在の位置から飛行予定ルートの始点の位置に飛行する場合に、通信不能となることなく、不測の事態に備えることができる。
【0050】
ここで、設定部233は、追加飛行計画が示す飛行予定ルートにおいて飛行体1が飛行管理装置2と通信可能ではないと判定した場合、通信可能エリア情報が示す通信可能エリアに基づいて、追加飛行計画が示す飛行予定ルートが、通信可能エリアを通るように追加飛行計画を変更してもよい。設定部233は、飛行体1の位置から、始点位置までの追加飛行ルートが通信可能エリアに含まれるように、当該始点位置を変更するようにしてもよい。この場合、設定部233は、飛行体1の位置から変更後の始点位置までの追加飛行ルートと、変更後の始点位置から終点位置までの飛行ルートとが第1の条件を満たすことを条件として始点位置を変更してもよい。
【0051】
また、設定部233は、追加後飛行計画が第1の条件を満たす場合に追加飛行計画を設定することとしたが、これに限らず、第1の条件とは異なる第2の条件をさらに満たしている場合に追加飛行計画を設定するようにしてもよい。例えば、設定部233は、取得部232が取得した位置情報が示す飛行体1の位置の周辺が第2の条件をさらに満たしている場合に、追加飛行計画を設定してもよい。この場合、第2の条件は、取得部232が取得した位置情報が示す飛行体1の位置の周辺において飛行体1が通信可能な環境であることである。例えば、設定部233は、取得した通信可能エリア情報を参照し、取得部232が取得した位置情報が示す飛行体1の位置から所定範囲内が、通信可能エリアである場合、第2の条件を満たすと判定してもよい。
【0052】
また、第2の条件は、取得部232が取得した位置情報が示す飛行体1の位置の周辺において障害物が存在しないことを含んでいてもよい。例えば、設定部233は、取得部232が取得した位置情報が示す飛行体1の位置の周辺の三次元地図情報を取得する。取得部232は、取得した三次元地図情報に基づいて飛行体1の位置の周辺において障害物が存在するか否かを判定する。このようにすることで、飛行管理装置2は、飛行体1の周囲に障害物が存在せず、飛行体1が安全に飛行できる状態で追加飛行計画を設定することができる。
【0053】
出力部234は、設定部233が設定した追加飛行計画を示す追加飛行計画情報を出力する。具体的には、出力部234は、記憶部22に記憶されている飛行体1の飛行計画情報が示す飛行計画に、設定部233が設定した追加飛行計画を追加した飛行計画である追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を、飛行前の飛行体1に送信する。また、出力部234は、当該追加後飛行計画情報に基づく飛行指示を示す飛行指示情報を飛行体1に送信する。飛行体1は、追加後飛行計画情報と飛行指示情報とを受信すると、当該追加後飛行計画情報に基づいて飛行を行う。
【0054】
なお、出力部234は、第1の条件又は第2の条件が満たされておらず、設定部233により追加飛行計画が設定されなかった場合に、追加飛行計画が設定されなかったことを示すエラー情報をユーザ端末に送信してもよい。また、出力部234は、第1の条件が満たされなかった理由、又は第2の条件が満たされなかった理由を示す情報をエラー情報に含めるようにしてもよい。また、出力部234は、飛行体1のバッテリーの残容量から、飛行体1が飛行予定ルートを飛行するのに必要な電力消費量と、所定の動作を実行するのに必要な電力消費量との合計を減算した結果が0未満であり、追加飛行計画が設定されなかった場合に、バッテリーの残容量不足により飛行計画情報に基づく飛行体1の飛行を行うことができないことを示すエラー情報をユーザ端末に送信してもよい。このようにすることで、飛行体1のユーザは、追加飛行計画が設定されなかったことを把握し、飛行計画を中止したり、修正したりすることができる。
【0055】
[飛行管理システムSにおける処理の流れ]
続いて、飛行管理システムSにおける処理の流れについて説明する。
図4は、飛行管理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。本シーケンス図に係る処理は、複数の飛行体1それぞれにおいて行われるものとする。
【0056】
まず、飛行管理装置2の登録部231は、飛行体1のユーザのユーザ端末から、飛行体1の飛行計画を受け付けることにより、飛行計画を登録する(S1)。
続いて、飛行管理装置2の取得部232は、飛行体1の飛行計画情報を参照し、当該飛行計画情報が示す飛行計画に含まれている始点飛行時刻よりも所定時間前に、飛行体位置情報の取得要求を飛行体1に送信する(S2)。
【0057】
飛行体1は、自身の位置を特定し(S3)、自身の位置を示す飛行体位置情報を飛行管理装置2に送信する(S4)。
飛行管理装置2の設定部233は、取得部232が取得した飛行体位置情報が示す飛行体1の位置と、飛行体1の飛行計画に含まれる飛行予定ルート上の所定の位置とが異なる場合、飛行体位置情報が示す位置から飛行体1の飛行計画に含まれる飛行予定ルートの始点位置までの追加飛行計画を、当該飛行計画に追加した追加後飛行計画を仮設定する(S5)。
【0058】
設定部233は、仮設定した追加後飛行計画が第1条件及び第2条件を満たすか否かを判定する(S6)。設定部233は、追加後飛行計画が第1条件及び第2条件を満たすと判定すると、S7に処理を移し、飛行計画情報が示す飛行計画を追加後飛行計画に更新することにより、追加後飛行計画を設定する。
【0059】
出力部234は、設定した追加後飛行計画を示す追加後飛行計画情報を飛行体1に送信する(S8)。その後、飛行体1は、追加後飛行計画情報が示す追加後飛行計画に基づいて飛行を開始する(S9)。
【0060】
[変形例]
以上の説明において、飛行管理装置2の設定部233は、取得部232が取得した飛行体位置情報が示す飛行体1の位置から、飛行計画に含まれる飛行予定ルートの始点の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定したが、これに限らない。例えば、設定部233は、取得部232が取得した飛行体位置情報が示す飛行体1の位置と、飛行予定ルートの始点の位置とが異なる場合、ユーザ端末を介して飛行体のユーザから追加飛行ルートを受け付け、受け付けた追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定してもよい。このようにすることで、ユーザは、飛行体1の位置と、飛行予定ルートの始点の位置とが異なる場合に、自身で追加飛行計画を設定することができる。
【0061】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、飛行管理装置2は、飛行計画に基づく飛行体1の飛行前に、飛行体1の位置から飛行予定ルート上の所定の位置までの追加飛行ルートを含む追加飛行計画を設定する。このようにすることで、飛行管理装置2は、飛行体1のユーザの利便性を損なうことなく、飛行体1を飛行させることができる。
【0062】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0064】
1 飛行体
2 飛行管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 登録部
232 取得部
233 設定部
234 出力部