(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】運転支援方法、処理装置、及び移動機
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241031BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2022212113
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】津野 康一
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-137819(JP,A)
【文献】特開2019-127120(JP,A)
【文献】特開2021-006818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0146495(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転
による前記自律運転のルートへの復帰を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行する運転支援方法。
【請求項2】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第1位置と前記第2位置との差とが第1所定値以上であるという第1条件と、前記第1角度と前記第2角度との差が第2所定値以上であるという第2条件と、の少なくともいずれかが満たされた場合、前記手動運転を行う者に対する報知情報を生成し、
前記運転支援情報は、生成された前記報知情報を含み、
前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされていない場合の報知情報と、前記第2条件が満たされておらず且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報と、前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報とが、異なる、
運転支援方法。
【請求項3】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置から前記第1位置までの復帰ルートの情報を生成する処理をさらに実行し、
前記運転支援情報は、生成された前記復帰ルートの情報を含む、
運転支援方法。
【請求項4】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置及び前記第2角度と、前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地の位置とに基づき、前記第1位置を算出する処理をさらに実行する、
運転支援方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の運転支援方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、前記移動機の機体の制約にさらに基づき、前記第1位置を算出する、
運転支援方法。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載の運転支援方法であって、
前記運転支援情報は、前記第1位置及び前記第1角度を含む、
運転支援方法。
【請求項7】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置と前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地との間の位置である、
運転支援方法。
【請求項8】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置である、
運転支援方法。
【請求項9】
処理装置であって、
自律運転から手動運転への切り替えによって移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得する第1処理部と、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転
による前記自律運転のルートへの復帰を支援する運転支援情報を出力する第2処理部と、
を有する処理装置。
【請求項10】
移動機であって、
請求項
9に記載の前記処理装置を有する、
移動機。
【請求項11】
移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の復帰位置を取得し、
前記復帰位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置とに応じて、前記第2位置から前記復帰位置までの復帰ルートの情報を生成する、
処理を実行する運転支援方法。
【請求項12】
請求項1
1に記載の運転支援方法であって、
前記復帰位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置と前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地との間の位置である、
運転支援方法。
【請求項13】
請求項1
1に記載の運転支援方法であって、
前記復帰位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置である、
運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法、処理装置、及び移動機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がいない状態で自律運転中である移動機の走行ルート上に例えば障害物がある場合、運転モードを遠隔からの手動運転に切り替えて、移動機が自律運転の走行ルートから一時的に外れることで、移動機が障害物を回避することができる。
【0003】
これに関して、特許文献1は、作業走行管理システムを開示する。当該作業走行管理システムは、走行経路に沿って自動走行可能な作業車による作業地の作業走行を管理する。当該作業走行管理システムは、作業車による作業走行の中断を中断情報として記録する中断情報記録部と、中断情報記録部から中断情報を抽出する中断情報抽出部と、抽出された中断情報を、中断された作業走行を決定する前に表示する情報表示部と、中断情報に基づいて、中断された作業走行を再開するための再開情報を生成して情報表示部に表示させる再開情報生成部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行ルートから外れた移動機を走行ルートに戻せば、移動機に自律運転を再開させることができる。しかし、特に遠隔からの手動運転によって移動機を走行ルートまで戻すことは必ずしも容易ではない。
【0006】
本発明は、自律運転と手動運転とが可能な移動機の運転を支援することが可能な運転支援方法、処理装置、及び移動機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運転支援方法の一態様は、移動機の運転を支援する方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転による前記自律運転のルートへの復帰を支援する運転支援情報を出力する処理を実行する。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第1位置と前記第2位置との差とが第1所定値以上であるという第1条件と、前記第1角度と前記第2角度との差が第2所定値以上であるという第2条件と、の少なくともいずれかが満たされた場合、前記手動運転を行う者に対する報知情報を生成し、
前記運転支援情報は、生成された前記報知情報を含み、
前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされていない場合の報知情報と、前記第2条件が満たされておらず且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報と、前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報とが、異なる。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置から前記第1位置までの復帰ルートの情報を生成する処理をさらに実行し、
前記運転支援情報は、生成された前記復帰ルートの情報を含む。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置及び前記第2角度と、前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地の位置とに基づき、前記第1位置を算出する処理をさらに実行する。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置と前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地との間の位置である。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、
処理を実行し、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置である。
本発明に係る処理装置の一態様は、処理装置であって、
自律運転から手動運転への切り替えによって移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得する第1処理部と、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転による前記自律運転のルートへの復帰を支援する運転支援情報を出力する第2処理部と、
を有する。
本発明に係る運転支援方法の他の一態様は、移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサが、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の復帰位置を取得し、
前記復帰位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置とに応じて、前記第2位置から前記復帰位置までの復帰ルートの情報を生成する、
処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自律運転と手動運転とが可能な移動機の運転を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係るシステムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、管理装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、自律移動機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、自律移動機の機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、自律移動機が実行する処理のフローを示す図である。
【
図7】
図7は、自律移動機が実行する処理のフローを示す図である。
【
図8】
図8は、復帰位置の特定について説明するための第1の図である。
【
図9】
図9は、復帰位置の特定について説明するための第2の図である。
【
図10】
図10は、管理装置が実行する処理のフローを示す図である。
【
図11】
図11は、管理装置の出力デバイスに表示される画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、管理装置が実行する処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態のシステムの概要を示す図である。本実施の形態のシステムは、管理装置1と、自律移動機2とを含む。管理装置1と自律移動機2とは、インターネット等のネットワーク5を介して通信することができる。
図1の例では自律移動機の数は1であるが、2以上であってもよい。自律移動機2は、自律運転によって走行することが可能であり、また、手動運転によっても走行することが可能である。自律移動機2は、建設現場、農場および港湾などの作業場所において、荷物、資材および機器等を運ぶために移動する。
【0011】
自律移動機2は、測位用のアンテナを有する。本実施の形態においては、自律移動機2はRTK-GNSS(Real Time Kinematic Global Navigation Satellite System)のアンテナを有し、管理装置1はRTK-GNSSを利用して自律移動機2の位置を把握することができる。自律移動機2が動作する作業場所には、地表に設置された、RTK-GNSSの固定基地局が設けられる。但し、測位方式はRTK-GNSS以外であってもよい。
【0012】
管理装置1は、自律移動機2の動作を管理する装置である。管理装置1は、自律移動機2に動作モードを設定し、動作モードに従って動作するように自律移動機2を制御する。本実施の形態において、動作モードは、自律運転モードと、手動運転モードとを含む。自律運転モードにおいて、自律移動機2は予めインストールされたプログラムによって自律運転を行う。手動運転モードにおいては、ユーザの操作(すなわち、手動運転)に従って、管理装置1が自律移動機2に対して移動先、移動先までのルート、および移動速度などの情報を含む移動指示を自律移動機2に送信し、自律移動機2を移動させる。
【0013】
図2は、管理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。管理装置1は、プロセッサ11と、メモリ12と、通信インタフェース13と、ユーザインタフェース14とを備える。プロセッサ11、メモリ12、通信インタフェース13、及びユーザインタフェース14は、例えばバス19によって接続される。
【0014】
プロセッサ11は信号処理を行う回路であり、例えば、管理装置1の全体の制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ11は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0015】
メモリ12には、例えばメインメモリ及び補助メモリが含まれる。メインメモリは、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、プロセッサ11のワークエリアとして使用される。
【0016】
補助メモリは、非一時的でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリには、管理装置1を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてプロセッサ11によって実行される。
【0017】
また、補助メモリは、管理装置1から取り外し可能な可搬型のメモリを含んでもよい。可搬型のメモリは、例えば、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブ、SD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカード、又は外付けハードディスクドライブである。
【0018】
通信インタフェース13は、管理装置1の外部(例えば自律移動機2)との間で通信を行う通信インタフェースである。通信インタフェース13は、プロセッサ11によって制御される。
【0019】
ユーザインタフェース14は、例えば、ユーザ(例えば管理装置1を操作する人)からの操作入力を受け付ける入力デバイス、及び情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、例えば、ポインティングデバイス(例えばマウス)、キー(例えばキーボード)、又はリモコンなどにより実現される。出力デバイスは、例えば、ディスプレイ又はスピーカなどにより実現される。また、タッチパネルなどによって入力デバイス及び出力デバイスの両方を実現してもよい。ユーザインタフェース14は、プロセッサ11によって制御される。
【0020】
図3は、管理装置1の機能ブロック図の一例を示す図である。管理装置1においては、プログラム(ソフトウエア)がプロセッサ11に実行されることで
図3に示す受信部151及びデータ処理部152の機能が実現される。データ格納部153は、メモリ12に実現される。
【0021】
受信部151は、自律移動機2からデータを受信し、データ格納部153に格納する。
【0022】
データ処理部152は、データ格納部153に格納されているデータに基づき、管理装置1の出力デバイス(例えばディスプレイ)に表示するデータを生成する処理などを実行する。
【0023】
データ格納部153は、自律移動機2から受信した位置のデータ、自律走行ルートからのずれの通知、及び復帰時の位置及び進行方向からのずれの通知などを格納する。
【0024】
図4は、自律移動機2のハードウェア構成の一例を示す図である。自律移動機2は、プロセッサ211と、メモリ212と、無線通信インタフェース213と、センサ214と、移動機構215と、アンテナ216とを備える。プロセッサ211、メモリ212、無線通信インタフェース213、センサ214、移動機構215、及びアンテナ216は、例えばバス219によって接続される。
【0025】
自律移動機2のプロセッサ211及びメモリ212は、それぞれ管理装置1のプロセッサ11及びメモリ12と同様の構成を有する。
【0026】
無線通信インタフェース213は、自律移動機2の外部(例えば管理装置1)との間で無線通信を行う通信インタフェースである。無線通信インタフェース213は、プロセッサ211によって制御される。
【0027】
センサ214は、自律移動機2の移動状態の情報及び外部の情報などを取得可能な各種のセンサを含む。センサ214はプロセッサ11によって制御され、センサ214のセンシングデータはプロセッサ11によって取得される。
【0028】
センサ214は、例えば、カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサと、ホイールエンコーダと、IMU(Inertial Measurement Unit)とを含む。
【0029】
カメラは、画像データを取得するためのセンサである。LiDARセンサは、自律移動機2の外部を3次元的に認識するための3次元センサである。具体的には、LiDARセンサは、レーザ光を照射し、照射したレーザ光が物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定する。LiDARセンサは、例えば自律移動機2の前方をセンシング可能なように設けられる。LiDARセンサは、複数の方向をセンシング可能なように複数設けられていてもよい。LiDARセンサは、首振り(パンおよびチルト)やズーム等が可能であってもよい。ホイールエンコーダは、車輪の回転速度(車輪速度)を測定するセンサであり、ホイールエンコーダによる測定の結果から自律移動機2の車速を求めることができる。IMUは、自律移動機2の前後方向、左右方向及び上下方向における加速度と、ピッチ方向、ロール方向及びヨー方向における角速度を測定するセンサである。
【0030】
移動機構215は、自律移動機2が自律移動するための機構である。移動機構215は、例えば、車輪又は歩行用の脚である。移動機構215は、プロセッサ211によって制御される。以下の例では、移動機構15は車輪であるものとする。図示されていないが、自律移動機2は、モータユニット等のアクチュエータを備え、このアクチュエータによって移動機構15を駆動して移動する。
【0031】
アンテナ216は、RTK-GNSSの測位を行うためのアンテナである。人工衛星が送信した信号をアンテナ216を介して通信モジュール(図示せず)が受信し、通信モジュールによって位置情報が算出される。算出された位置情報は、プロセッサ211によって処理されるか、又は、無線通信インタフェース213を介して管理装置1に送信される。
【0032】
図5は、自律移動機2の機能ブロック図の一例を示す図である。自律移動機2においては、プログラム(ソフトウエア)がプロセッサ211に実行されることで
図5に示すずれ検出部251及び送信部252の機能が実現される。データ格納部253は、メモリ212に実現される。
【0033】
ずれ検出部251は、自律走行ルートからのずれが発生したか判断する処理、及び、復帰時の位置及び進行方向からのずれがあるか判断する処理を実行する。
【0034】
送信部252は、自律移動機2の位置のデータ、自律走行ルートからのずれの通知、及び復帰時の位置及び進行方向からのずれの通知などを管理装置1に送信する。
【0035】
データ格納部253は、自律走行ルートの情報、過去の所定期間における自律移動機2の位置情報、などを格納する。自律走行ルートの情報は、位置情報及び自律走行ルート上の各点での走行方向の情報を含む。
【0036】
図6は、自律移動機2が実行する処理のフローを示す図である。本処理は、例えば、自律移動機2の移動中に一定時間毎に実行される。但し、
図7を用いて説明する処理によって復帰時の位置及び進行方向とのずれが検出された後は、ステップS131及びS133の処理をスキップしてもよい。
【0037】
自律運転モードでの自律運転から手動運転モードでの手動運転に切り替えられた後、自律移動機2の送信部252は、自律移動機2の現在位置及び現在位置における自律移動機2の進行方向を特定する。そして、送信部252は、特定された現在位置の情報及び進行方向の情報を、管理装置1に対して送信し(ステップS131)、データ格納部253に格納する。管理装置1の受信部151は、自律移動機2の現在位置の情報及び進行方向の情報を自律移動機2から受信し、データ格納部153に格納する。
【0038】
自律移動機2のずれ検出部251は、データ格納部253に格納されているデータに基づき、自律走行ルートからのずれが発生したか判定する(ステップS133)。ステップS133においては、自律走行ルート上の特定の位置と自律移動機2の現在位置との差分が所定値(例えば3メートル)以上であるという条件と、自律走行ルート上の特定の位置における自律移動機2の走行方向と現在位置における自律移動機2の走行方向との差分が所定値(例えば5度)以上であるという条件と、が満たされるか判定される。自律走行ルート上の特定の位置とは、例えば、自律走行ルート上にあって、自律移動機2の現在位置に最も近い位置である。本実施の形態においては、いずれかの条件が満たされた場合に、自律走行ルートからのすれが発生したと判定される。このような条件を用いることで、自律走行ルートから少しずれただけでシグナルが発生することを防止できるようになる。
【0039】
自律走行ルートからのずれが発生していない場合(ステップS133:Noルート)、処理はステップS131に戻る。自律走行ルートからのずれが発生した場合(ステップS133:Yesルート)、自律移動機2のずれ検出部251は、自律走行ルートからのずれの通知を生成し、送信部252に出力する。送信部252は、自律走行ルートからのずれの通知を管理装置1に対して送信する(ステップS135)。そして処理は終了する。
【0040】
管理装置1の受信部151は、自律走行ルートからのずれの通知を受信すると、データ格納部153に格納する。自律走行ルートからのずれの通知は、例えば、ずれが発生した位置(本実施の形態では、自律走行ルート上の特定の位置)の情報、ずれの検出時刻の情報、及びいずれの条件が満たされたかを示す情報などを含む。
【0041】
図7は、自律移動機2が実行する処理のフローを示す図である。本処理は、例えば、
図6を用いて説明した処理によって自律走行ルートからのずれの発生が検出されてから所定時間(たとえば10秒)が経過した後、一定時間毎に実行される。
【0042】
自律移動機2の送信部252は、データ格納部253に格納されているデータに基づき、自律走行ルート上の復帰位置及び復帰位置における自律移動機2の進行方向(以下、「復帰時の位置及び進行方向」と呼ぶ)を特定し(ステップS141)、データ格納部253に格納する。
【0043】
復帰位置は、例えば、(1)自律移動機2の現在位置及び現在位置における走行方向、(2)自律走行ルート上の目的地或いは次の経路通過点の位置、(3)自律移動機2の機体の制約、などの情報に基づき特定される。機体の制約とは、例えば、自律移動機2の旋回可能半径である。復帰位置における走行方向は、データ格納部253に格納されている、自律走行ルートの情報と復帰位置とから特定される。ステップS141の処理は、毎回実行されなくてもよい。例えば、位置又は進行方向が、前回特定された値から所定値以上増加した場合に実行してもよい。
【0044】
図8は、復帰位置の特定について説明するための第1の図である。
図8において、P1は自律移動機2の第1の経路通過点(第1のノード)を表し、P2は自律走行ルートR1からのずれが発生した位置を表し、P3は自律移動機2の現在位置を表し、P4は復帰位置を表し、P5は自律移動機2の第2の経路通過点(第2のノード)を表す。
尚、自律移動機2の経路全体は、第1の経路通過点(第1のノード)、第2の経路通過点(第2のノード)、…のように多数の経路通過点(ノード)と、それらの経路通過点同士を結ぶ経路線(エッジ)(R0、R1、R2、…のような走行ルート)によって構成されている。
T1は自律移動機2がP2からP3に移動するまでの軌跡を表し、T2は自律移動機2の現在位置から復帰位置までのルートである復帰ルートを表す。R1は自律移動機2がP5に到達するまでの自律走行ルートを表し、R2は自律移動機2がP5に到達した後の自律走行ルートを表す。P3及びP4の二等辺三角形の頂角の方向が自律移動機2の走行方向を表す。
ここで、復帰ルートT2は、自律移動機2の現在位置と、次の経路通過点よりも手前の自律走行ルート上に設定される復帰位置P4と、自律移動機2の旋回可能半径とに基づいて設定される。
【0045】
復帰位置P4は、ずれが発生した位置P2と同じであってもよいが、自律走行ルートR1上における、ずれが発生した位置P2と第2の経路通過点P5との間の位置であれば、第2の経路通過点P5に到達するまでの時間を短縮することができる。また、ずれが発生した位置P2に戻るよりも、第2の経路通過点P5に近い位置の方が、例えば自律移動機2の旋回可能半径等を考慮すると手動運転による移動が容易である場合がある。
【0046】
図9は、復帰位置の特定について説明するための第2の図である。
図9の例は、
図8の例と比べて、ずれが発生した位置P2が第2の経路通過点P5に近い。このような場合においては、復帰位置P4を第2の経路通過点P5よりも先の位置(すなわち、R2上の位置)に設定すると、自律走行ルートR2への復帰後に自律移動機2が一旦第2の経路通過点P5に戻らなければならなくなる。そこで、
図9のような例においても、自律走行ルートR1上から復帰位置P4が特定される。
【0047】
図7の説明に戻り、自律移動機2のずれ検出部251は、データ格納部253に格納されているデータに基づき、復帰時の位置及び進行方向からのずれがあるか判定する(ステップS143)。ステップS143においては、復帰位置と現在位置との差分が所定値(例えば3メートル)以上であるという条件と、復帰位置における自律移動機2の走行方向と現在位置における自律移動機2の走行方向との差分が所定値(例えば5度)以上であるという条件と、が満たされるか判定される。本実施の形態においては、いずれかの条件が満たされた場合に、復帰時の位置及び進行方向からのずれがあると判定される。
【0048】
復帰時の位置及び進行方向からのずれがある場合(ステップS143:Noルート)、処理はステップS143に戻る。復帰時の位置及び進行方向からのずれが発生した場合(ステップS143:Yesルート)、自律移動機2のずれ検出部251は、復帰時の位置及び進行方向からのずれの通知を生成し、送信部252に出力する。送信部252は、復帰時の位置及び進行方向からのずれ通知を管理装置1に対して送信する(ステップS145)。そして処理は終了する。
【0049】
管理装置1の受信部151は、復帰時の位置及び進行方向からのずれの発生の通知を受信すると、データ格納部153に格納する。復帰時の位置及び進行方向からのずれの発生の通知は、例えば、復帰時の位置及び進行方向、ずれの検出時刻の情報、及びいずれの条件が満たされたかを示す情報などを含む。
【0050】
図10は、管理装置1が実行する処理のフローを示す図である。本処理は、
図6の処理によって自律走行ルートからのずれの通知が自律移動機2から送信された場合に実行される。
【0051】
管理装置1の受信部151は、自律移動機2から、自律走行ルートからのずれの通知を受信し(ステップS151)、データ格納部153に格納する。
【0052】
管理装置1のデータ処理部152は、データ格納部153に格納されているデータに基づき、ずれ発生シグナルの表示データを生成し、管理装置1の出力デバイス(例えばディスプレイ)で表示する(ステップS153)。ずれ発生シグナルの表示データは、いずれの条件が満たされたかを示す情報に基づき生成される。
【0053】
管理装置1のデータ処理部152は、データ格納部153に格納されているデータに基づき、ずれの発生位置及びずれの軌跡の表示データを生成し、管理装置1の出力デバイスで表示する(ステップS155)。ずれの軌跡の表示データは、例えば、ずれの検出時刻のデータと、検出時刻における位置とずれの発生位置との間における位置のデータから生成される。
【0054】
図11は、管理装置1の出力デバイスに表示される画面の一例を示す図である。
図11の例では、画面には、自律移動機2の自律走行ルートがあるエリアのマップが表示されるマップ表示部分A1と、自律移動機2のカメラによって撮像された画像が表示される画像表示部分A2とが含まれる。
【0055】
ずれ発生シグナルSGは、マップ表示部分A1上で表示される。ずれ発生シグナルSGは、第1の領域S1と、第2の領域S2と、第3の領域S3と有する。データ処理部152は、自律走行ルートからのずれの発生に関する2つの条件のうちいずれの条件が満たされるかによって、各領域の態様を変更する。例えば、自律走行ルート上の特定の位置と自律移動機2の現在位置との差分が所定値以上であるという条件のみが満たされる場合は、第1の領域S1の態様を第2の領域S2の態様及び第3の領域S3の態様と異ならせる。自律走行ルート上の特定の位置における自律移動機2の走行方向と現在位置における自律移動機2の走行方向との差分が所定値以上であるという条件のみが満たされる場合は、第2の領域S2の態様を第1の領域S1の態様及び第3の領域S3の態様と異ならせる。両方の条件が満たされる場合は、第3の領域S3の態様を第1の領域S1の態様及び第2の領域S2の態様と異ならせる。これにより、手動運転を行う者は、自律移動機2の状態を適切に把握することができる。
図11の例では、第2の領域S2の態様が第1の領域S1の態様及び第3の領域S3の態様と異なっている。
【0056】
ずれの発生位置P及びずれの軌跡Tは、マップ表示部分A1上で表示される。
図11の例では、自律移動機2がずれの発生位置Pから自律走行ルートを外れ、再びずれの発生位置Pに戻っている。この例において、復帰位置は、ずれの発生位置Pである。また、マップ表示部分A1には、ずれの発生位置での走行方向D1と、現在の走行方向D2とが示されている。二等辺三角形の頂角方向が走行方向を表す。このような表示を確認しながら手動運転の操作をすることで、自律移動機2を自律走行ルートに適切に復帰させることができるようになる。
【0057】
図12は、管理装置1が実行する処理のフローを示す図である。本処理は、
図7の処理によって復帰時の位置及び進行方向からのずれの通知が自律移動機2から送信された場合に実行される。
【0058】
管理装置1の受信部151は、自律移動機2から、復帰時の位置及び進行方向からのずれの通知を受信し(ステップS161)、データ格納部153に格納する。
【0059】
管理装置1の受信部151は、自律移動機2から、データ格納部153に格納されているデータに基づき復帰位置までのルートを特定し(ステップS163)、特定されたルートのデータをデータ格納部153に格納する。復帰位置までのルートは、復帰時の位置及び進行方向、ずれの検出時刻における位置及び当該位置での進行方向、及び自律移動機2の旋回可能半径などに基づき特定される。
【0060】
管理装置1のデータ処理部152は、データ格納部153に格納されているデータに基づき、ずれ発生シグナルの表示データを生成し、管理装置1の出力デバイスで表示する(ステップS165)。ずれ発生シグナルの表示データは、いずれの条件が満たされたかを示す情報に基づき生成される。ステップS165において表示されるずれ発生シグナルの表示態様は、ステップS153において表示されるずれ発生シグナルの表示態様と同じである。
【0061】
管理装置1のデータ処理部152は、データ格納部153に格納されているデータに基づき、復帰位置までのルート、復帰位置、及び復帰位置での進行方向の表示データを生成し、管理装置1の出力デバイスで表示する(ステップS167)。そして処理は終了する。
【0062】
復帰位置までの復帰ルートは、例えば、
図8及び
図9におけるT2のような態様で画面上に表示される。また、復帰位置までの復帰ルートは、
図11の手動運転の軌跡Tにおいて、現在位置以降の復帰位置までの復帰ルートを示すように表示されてもよい。復帰位置は、例えば、
図8及び
図9におけるP4のような態様で表示される。復帰位置での進行方向の表示データは、
図11におけるD1のような態様で表示されてもよいし、
図8及び
図9におけるP4のような態様で表示されてもよい。
【0063】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0064】
上で述べた例では、自律移動機2においてずれを検出しているが、自律移動機2から位置情報を受信した管理装置1においてずれを検出してもよい。また、上で述べた例では、自律移動機2において復帰位置を特定しているが、管理装置1において復帰位置を特定し、特定された復帰位置の情報を自律移動機2に送信してもよい。このように、本実施の形態の各処理をいずれの側で実行するかについては、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0065】
図11に示した表示は、一例である。ずれ発生シグナルSGをより大きくした態様の画面を表示し、手動運転を行う者がずれ発生シグナルSGをより認識しやすくなるようにしてもよい。また、ずれ発生シグナルSGの表示の形状等は、
図11に示した例には限られない。さらに、ずれ発生シグナルは、視覚的なシグナルでなくてもよく、聴覚的なシグナルであってもよい。
【0066】
なお、測位方式はRTK-GNSSに限られない。他の相対測位方式を使用することも可能である。
【0067】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0068】
(1)運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサ(11、211)が、
自律運転から手動運転への切り替えによって移動機(2)が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得し、(ステップS131、141)
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する、(ステップS153、155、165、167)
処理を実行する運転支援方法。
【0069】
(1)によれば、自律運転と手動運転とが可能な移動機の運転を支援することできる。特に、手動運転への切り替えによって移動機が自律運転のルートから外れた場合において、手動運転を支援し、移動機の運行計画への影響を少なくすることができるようになる。
【0070】
(2)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第1位置と前記第2位置との差とが第1所定値以上であるという第1条件と、前記第1角度と前記第2角度との差が第2所定値以上であるという第2条件と、の少なくともいずれかが満たされた場合、前記手動運転を行う者に対する報知情報を生成し、
前記運転支援情報は、生成された前記報知情報を含む、
運転支援方法。
【0071】
(2)によれば、手動運転を行う者は移動機の位置及び角度が適切ではないことに気付くことができるようになる。特に遠隔からの手動運転の場合、移動機の位置及び角度が適切ではないことに気付くことは容易ではないため、運転支援情報の効果がより大きい。
【0072】
(3)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされていない場合の報知情報と、前記第2条件が満たされておらず且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報と、前記第1条件が満たされ且つ前記第2条件が満たされた場合の報知情報とが、異なる、
運転支援方法。
【0073】
(3)によれば、移動機の位置及び角度が適切であるかについて、手動運転を行う者はより正確に認識できるようになる。
【0074】
(4)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置から前記第1位置までの復帰ルートの情報を生成する処理をさらに実行し、
前記運転支援情報は、生成された前記復帰ルートの情報を含む、
運転支援方法。
【0075】
(4)によれば、自律運転の再開を促進できるようになる。手動運転を行う者は、復帰ルートを確認することで、移動機を自律運転のルート上に戻すことがより容易になる。
【0076】
(5)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、前記第2位置及び前記第2角度と、前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地の位置とに基づき、前記第1位置を算出する処理をさらに実行する、
運転支援方法。
【0077】
移動機が復帰するべき位置は、状況によって様々な位置になり得る。(5)によれば、次の経路通過点又は目的地との位置関係に応じて移動機を適切な位置に戻すことができるようになる。
【0078】
(6)(5)に記載の運転支援方法であって、
前記1又は複数のプロセッサが、前記移動機の機体の制約にさらに基づき、前記第1位置を算出する、
運転支援方法。
【0079】
移動機の機体の制約によっては、例えば、計算された復帰ルートで復帰することができないといったケースがある。(6)によれば、移動機の機体の制約に応じて移動機を適切な位置に戻すことができるようになる。
【0080】
(7)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記運転支援情報は、前記第1位置及び前記第1角度を含む、
運転支援方法。
【0081】
手動運転を行う者は、移動機を自律運転のルート上の適切な位置までより容易に移動機を戻すことができるようになる。
【0082】
(8)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置と前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地との間の位置である、
運転支援方法。
【0083】
移動機が次の経路通過点又は目的地に辿り着けさえすれば、自律運転のルート上を最初から最後まで移動しなくてもよいケースがある。(8)によれば、次の経路通過点又は目的地との関係で適切な位置に移動機を戻すことができるようになる。
【0084】
(9)(1)に記載の運転支援方法であって、
前記第1位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置である、
運転支援方法。
【0085】
(9)によれば、移動機を自律運転のルートから外れた位置に戻すことができるようになる。
【0086】
(10)処理装置(管理装置1、プロセッサ11、移動機2、プロセッサ211)であって、
自律運転から手動運転への切り替えによって移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の第1位置と、当該第1位置において前記移動機が進行する方向を示す第1角度との少なくとも一方を取得する第1処理部と、
前記第1位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置との差と、前記第1角度と前記第2位置において前記移動機が進行している方向を示す第2角度との差と、の少なくともいずれかに応じて、前記手動運転を支援する運転支援情報を出力する第2処理部と、
を有する処理装置。
【0087】
(10)によれば、自律運転と手動運転とが可能な移動機の運転を支援することできる。特に、手動運転への切り替えによって移動機が自律運転のルートから外れた場合において、手動運転を支援し、移動機の作業等への支障が発生することを抑制できるようになる。
【0088】
(11)移動機(2)であって、
(10)に記載の前記処理装置を有する、
移動機。
【0089】
(11)によれば、移動機自体において処理を実行できるようになる。
【0090】
(12)移動機の運転を支援する運転支援方法であって、
1又は複数のプロセッサ(11、211)が、
自律運転から手動運転への切り替えによって前記移動機が前記自律運転のルートから外れた場合、前記自律運転のルート上の復帰位置を取得し、(ステップS141)
前記復帰位置と前記手動運転によって走行している前記移動機の位置である第2位置に応じて、前記第2位置から前記復帰位置までの復帰ルートの情報を生成する、(ステップS167)
処理を実行する運転支援方法。
【0091】
(12)によれば、自律運転と手動運転とが可能な移動機の運転を支援することできる。特に、手動運転への切り替えによって移動機が自律運転のルートから外れた場合において、自律運転のルートへの復帰が容易になる。
【0092】
(13)(12)に記載の運転支援方法であって、
前記復帰位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置と前記自律運転のルート上の次の経路通過点又は目的地との間の位置である、
運転支援方法。
【0093】
移動機が次の経路通過点又は目的地に辿り着けさえすれば、自律運転のルート上を最初から最後まで移動しなくてもよいケースがある。(13)によれば、次の経路通過点又は目的地との関係で適切な位置に移動機を戻すことができるようになる。
【0094】
(14)(12)に記載の運転支援方法であって、
前記復帰位置は、前記移動機が前記自律運転のルートから外れた位置である、
運転支援方法。
【符号の説明】
【0095】
1 管理装置 2 自律移動機 5 ネットワーク
11 プロセッサ 12 メモリ 13 通信インタフェース
14 ユーザインタフェース 19 バス 151 受信部
152 データ処理部 153 データ格納部 211 プロセッサ
212 メモリ 213 無線通信インタフェース 214 センサ
215 移動機構 251 ずれ検出部 252 送信部
253 データ格納部