(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エアロゾル生成物品を再利用するための方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/70 20200101AFI20241031BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20241031BHJP
A24C 5/36 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
A24F40/70
A24F40/465
A24C5/36
(21)【出願番号】P 2022511379
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020078347
(87)【国際公開番号】W WO2021074014
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-17
(32)【優先日】2019-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165064(JP,A)
【文献】特開平07-051043(JP,A)
【文献】国際公開第2014/015924(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/071566(WO,A1)
【文献】特開平06-070843(JP,A)
【文献】米国特許第06602810(US,B1)
【文献】米国特許第05403998(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/70
A24F 40/465
A24C 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非液体エアロゾル生成材料(26)と誘導加熱可能サセプタ(28)とを含むエアロゾル生成物品(24)を再利用するための方法であって、
(i)前記エアロゾル生成物品(24)を細断して、前記非液体エアロゾル材料(26)及び前記誘導加熱可能サセプタ(28)を粉砕すること(S1)と、
(ii)前記誘導加熱可能サセプタ(28)と前記非液体エアロゾル生成材料(26)とを分離すること(S2)と
を含む方法。
【請求項2】
前記誘導加熱可能サセプタ(28)は連続的なサセプタであり、ステップ(i)は、前記連続的なサセプタを細断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘導加熱可能サセプタ(28)は、粒子状サセプタ材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(ii)は、前記細断されたエアロゾル生成物品(24)を振動させて、前記誘導加熱可能サセプタ(28)と前記非液体エアロゾル生成材料(26)とを分離することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(ii)は、前記誘導加熱可能サセプタ(28)と前記非液体エアロゾル生成材料(26)とを分離するために、開口を有する振動スクリーンユニット(60)上に、前記細断されたエアロゾル生成物品(24)を堆積させることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記振動スクリーンユニット(60)における前記開口は、前記非液体エアロゾル生成材料(26)が前記開口を通過することを可能にし且つ前記誘導加熱可能サセプタ(28)を前記振動スクリーンユニット(60)の保持表面(64)上に保持するような大きさとされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(ii)は、前記細断されたエアロゾル生成物品(24)を磁力にさらして、前記誘導加熱可能サセプタ(28)を前記非液体エアロゾル生成材料(26)から分離することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(ii)は、磁石を使用して、好ましくは電磁石(72)を使用して前記磁力を加えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記磁石は、前記誘導加熱可能サセプタ(28)が前記磁石に向けて略上方向に吸引されるように、前記細断されたエアロゾル生成物品(24)の上方に位置決めされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)は、
前記非液体エアロゾル生成材料(26)が開口を通過することを可能にし且つ前記誘導加熱可能サセプタ(28)を振動スクリーンユニット(60)の保持表面(64)上に保持するような大きさとされた前記開口を有する前記振動スクリーンユニット(60)上に、前記細断されたエアロゾル生成物品(24)を堆積させることと、
前記振動スクリーンユニット(60)の前記表面(64)上に保持された前記誘導加熱可能サセプタ(28)を磁力にさらして、前記誘導加熱可能サセプタ(28)を前記表面(64)から除去することと
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル生成物品(24)は、包装紙(34)及びフィルタ(36)のうちの1つ以上を含み、ステップ(i)は、前記包装紙(34)及び/又は前記フィルタ(36)を細断することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記振動スクリーンユニット(60)における前記開口は、前記細断された包装紙(34)及び/又は前記細断されたフィルタ(36)を前記保持表面(64)上に保持するような大きさとされる、請求項
6又は10に従属する場合の請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記分離された誘導加熱可能サセプタ(28)を洗浄すること(S3)を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記分離された誘導加熱可能サセプタ(28)の機械的特性及び電気的特性のうちの1つ以上を判断するために、前記分離された誘導加熱可能サセプタ(28)を分析すること(S4)を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記分離された誘導加熱可能サセプタ(28)を分析する
ことは、前記分離された誘導加熱可能サセプタ(28)を洗浄する
ことの後に行われる、請求項13及び14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成物品に関し、より具体的には、エアロゾル生成物品を加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品に関する。本開示の実施形態は、特に、非液体エアロゾル生成材料と誘導加熱可能サセプタとを利用するエアロゾル生成物品を再利用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非液体エアロゾル生成材料を燃やすのではなく、加熱して、吸入のためのエアロゾルを生じさせる装置が消費者に人気になってきている。
【0003】
そのような装置は、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル生成材料に熱を供給することができる。そのような手法の1つは、電磁誘導加熱システムを利用するエアロゾル生成装置を提供することである。かかる装置では、誘導コイルが装置に設けられ、誘導加熱可能サセプタも装置に設けられる。ユーザが装置を作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば伝導によって、非液体エアロゾル生成材料に伝達され、エアロゾル生成材料が加熱されるとエアロゾルが発生する。
【0004】
ユーザがエアロゾル生成装置に挿入できるエアロゾル生成物品の形態で非液体エアロゾル生成材料及び誘導加熱可能サセプタを提供することが便利であることがある。したがって、そのようなエアロゾル生成物品が使用された後に又はそのようなエアロゾル生成物品が規格外である場合に、エアロゾル生成物品の廃棄に関連する問題を緩和する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、非液体エアロゾル生成材料と誘導加熱可能サセプタとを含むエアロゾル生成物品を再利用するための方法であって、
(i)エアロゾル生成物品を細断して、非液体エアロゾル材料及び誘導加熱可能サセプタを粉砕することと、
(ii)誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離することと
を含む方法が提供される。
【0006】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成物品を製造するための方法であって、
第1の態様による方法によって得られた分離された誘導加熱可能サセプタを更なる非液体エアロゾル生成材料の近傍に位置決めして、エアロゾル生成物品を形成することを含む方法が提供される。
【0007】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル生成物品を製造するための方法であって、
使用済み又は規格外のエアロゾル生成物品中の誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離することと、
分離された誘導加熱可能サセプタを更なる非液体エアロゾル生成材料の近傍に位置決めして、エアロゾル生成物品を形成することと
を含む方法が提供される。
【0008】
エアロゾル生成物品は、非液体エアロゾル生成材料を燃やすことなく非液体エアロゾル生成材料を加熱して、非液体エアロゾル生成材料の少なくとも1種の成分を揮発させ、それにより、冷却され凝縮してエアロゾル生成装置のユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する蒸気を生成するためのエアロゾル生成装置で使用するためのものである。
【0009】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることによって蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する。一方、エアロゾルは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0010】
誘導加熱可能サセプタは、単一のサセプタを含み得るか、又は複数のサセプタ素子を含み得る。
【0011】
誘導加熱可能サセプタは、金属材料、金属合金材料、セラミック材料、炭素材料、及び金属材料で被覆された高分子繊維材料のうちの少なくとも1種を含み得る。誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅のうちの1種以上を含み得るが、これらに限定されない。
【0012】
本開示による方法は、誘導加熱可能サセプタが非液体エアロゾル生成材料から分離され、その後、再使用又は更には再利用されることを可能にすることによって、使用済み又は規格外のエアロゾル生成物品の廃棄に関連する環境への影響を低減するのに役立つ。本開示による方法はまた、分離された誘導加熱可能サセプタの再使用によってエアロゾル生成物品の製造に関連する生産コストを低減するのに役立ち得る。
【0013】
ステップ(i)は、非液体エアロゾル生成材料を細断することを含み得る。このステップ(i)は、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料との分離を容易にし得る。
【0014】
誘導加熱可能サセプタは、連続的なサセプタであり得、メッシュ状及び繊維布状のうちの少なくとも1種を含み得る。いくつかの実施態様では、連続的なサセプタは、金属メッシュ積層体及び金属繊維布積層体のうちの少なくとも1種を含み得る。ステップ(i)は、連続的なサセプタを細断することを含み得る。このステップ(i)は、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料との分離を容易にし得る。
【0015】
誘導加熱可能サセプタが複数のサセプタ素子を含む実施形態では、誘導加熱可能サセプタは、粒子状サセプタ材料を含み得る。例えば、粒子状サセプタ材料は、顆粒状、粉末状、及び繊維状のうちの少なくとも1種を含み得る。粒子状サセプタ材料は、非液体エアロゾル生成材料全体に分散され得る。したがって、ステップ(i)は、非液体エアロゾル生成材料のみを細断することを含み得る。
【0016】
ステップ(ii)は、細断されたエアロゾル生成物品を振動させて、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離することを含み得る。振動の使用によって、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離する便利な方法が提供され得る。ステップ(ii)は、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離するために、開口を有する振動スクリーンユニット上に、細断されたエアロゾル生成物品を堆積させることを含み得る。振動スクリーンユニットにおける開口は、非液体エアロゾル生成材料が開口を通過することを可能にし且つ誘導加熱可能サセプタを振動スクリーンユニットの保持表面上に保持するような大きさとされ得る。
【0017】
ステップ(ii)は、細断されたエアロゾル生成物品を磁力にさらして、誘導加熱可能サセプタを非液体エアロゾル生成材料から分離することを含み得る。誘導加熱可能サセプタが磁性材料を含むので、磁力を使用して誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料とを分離することが便利であり得る。ステップ(ii)は、磁石を使用して、例えば電磁石を使用して磁力を加えることを含み得る。磁石は、誘導加熱可能サセプタが磁石に向けて略上方向に吸引されるように、細断されたエアロゾル生成物品の上方に位置決めされ得る。
【0018】
上記の例は非限定的なものであり、ステップ(ii)は、非液体エアロゾル生成材料から誘導加熱可能サセプタを除去するためのロボット式ピッキングアームの使用を含み得る。
【0019】
ステップ(ii)は、
非液体エアロゾル生成材料が開口を通過することを可能にし且つ誘導加熱可能サセプタを振動スクリーンユニットの保持表面上に保持するような大きさとされた開口を有する振動スクリーンユニット上に、細断されたエアロゾル生成物品を堆積させることと、
振動スクリーンユニットの表面上に保持された誘導加熱可能サセプタを磁力にさらして、誘導加熱可能サセプタを表面から除去することと
を含み得る。
【0020】
振動と磁力の両方の使用は、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料との確実な分離を行うのに役立ち得る。
【0021】
エアロゾル生成物品は、包装紙及びフィルタのうちの1つ以上を含み得、ステップ(i)は、包装紙及び/又はフィルタを細断することを含み得る。これにより、誘導加熱可能サセプタと非液体エアロゾル生成材料との分離を可能にするために細断ステップ中にエアロゾル生成物品が確実に切り開かれる。フィルタは、セルロースアセテート繊維を含み得る。フィルタは、非液体エアロゾル生成材料と当接して同軸に整列し得る。
【0022】
振動スクリーンユニットにおける開口は、細断された包装紙及び/又は細断されたフィルタを保持表面上に保持するような大きさとされ得る。これにより、包装紙及び/又はフィルタを誘導加熱可能サセプタ及び非液体エアロゾル生成材料から分離することが可能となる。
【0023】
方法は、分離された誘導加熱可能サセプタを洗浄することを更に含み得る。これにより、分離された誘導加熱可能サセプタをその後のエアロゾル生成物品の製造の際に又は別の目的で再使用することが可能となり得る。
【0024】
方法は、分離された誘導加熱可能サセプタの機械的特性及び電気的特性のうちの1つ以上を判断するために、分離された誘導加熱可能サセプタを分析することを更に含み得る。分析の結果は、有利には、分離された誘導加熱可能サセプタがその後のエアロゾル生成物品の製造の際の再使用に適しているかどうか、又は分離された誘導加熱可能サセプタが別の目的により適しているかどうかを判断するために使用され得る。
【0025】
分離された誘導加熱可能サセプタを分析するステップは、分離された誘導加熱可能サセプタを洗浄するステップの後に実施され得る。これにより、分析をより確実に実施することが可能となり得る。
【0026】
非液体エアロゾル生成材料は、任意の種類の固体又は半固体の材料であり得る。エアロゾル生成固形物の例示的な種類としては、粉末、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。非液体エアロゾル生成材料は、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。非液体エアロゾル生成材料は、有利には、再構成されたタバコを含み得る。
【0027】
非液体エアロゾル生成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。エアロゾルフォーマの例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、非液体エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率を有し得る。いくつかの実施形態では、非液体エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾルフォーマ含有率を有し得る。
【0028】
加熱すると、非液体エアロゾル生成材料は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【0029】
エアロゾル生成物品は、長尺状であり得、且つ実質的に円筒形であり得る。エアロゾル生成物品は、実質的に棒状に形成され得る。エアロゾル生成物品の円筒形状は、その円形断面と共に、有利にはエアロゾル生成装置の誘導加熱アセンブリの加熱区画へのエアロゾル生成物品の挿入を容易にする場合があり、例えば、誘導加熱アセンブリは、円形断面を有する螺旋状の誘導コイルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】エアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品とを含むエアロゾル生成システムの例の概略断面図である。
【
図2】
図1に図示するエアロゾル生成物品などのエアロゾル生成物品を再利用するための方法の例を図示するフローチャートである。
【
図3】エアロゾル生成物品を再利用するための機器であって、
図2に図示する方法の例を実施するのに適した機器の例の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本開示の実施形態について、あくまで例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【0032】
初めに
図1を参照すると、エアロゾル生成システム1の例が概略的に示されている。エアロゾル生成システム1は、エアロゾル生成装置10とエアロゾル生成物品24とを含む。エアロゾル生成装置10は近位端12と遠位端14とを有し、装置本体16を含む。装置本体16は、電源18とコントローラ20とを含む。電源18とコントローラ20とは、高周波数で動作するように構成され得る。電源18は、通常、例えば誘導充電式であり得る1つ以上のバッテリを含む。
【0033】
エアロゾル生成装置10は、略円筒形であり、エアロゾル生成装置10の近位端12からアクセス可能な、略円筒形の空洞22を、例えば加熱区画の形態で含む。円筒形の空洞22は、非液体エアロゾル生成材料26と誘導加熱可能サセプタ28と含む、対応する形状にされた略円筒形又は棒状のエアロゾル生成物品24を受け入れるために配置される。誘導加熱可能サセプタ28は、単一の連続的なサセプタであるが、他の(図示しない)実施形態では、誘導加熱可能サセプタ28は、複数のサセプタ素子を含み得、例えば、粒子状サセプタ材料を含むことができる。
【0034】
エアロゾル生成物品24は使い捨て物品であり、非液体エアロゾル生成材料26は、通常、固体又は半固体の材料である。適切なエアロゾル形成固形物の例としては、粉末、顆粒、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、ペレット、粉末、細片、ストランド、発泡材料、及びシートが挙げられる。エアロゾル生成材料26は、通常、植物由来の材料、特にタバコを含む。
【0035】
エアロゾル生成材料26は、通常、グリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾルフォーマを含む。通常、エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率を有し得る。加熱すると、エアロゾル生成材料26は、場合によりニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含む揮発性化合物を放出する。
【0036】
エアロゾル生成物品24は、第1及び第2の端部30、32を有し、エアロゾル生成材料26を取り囲む包装紙34を含む。エアロゾル生成物品24はまた、近位端12において装置本体16から突出する第1の端部30にフィルタ36を含む。フィルタ36は、マウスピースとして機能し、例えばセルロースアセテート繊維を含む通気性プラグを含む。エアロゾル生成物品24はまた、エアロゾル生成材料26とフィルタ36との間に位置決めされた蒸気冷却領域38を含む。
【0037】
エアロゾル生成装置10は、螺旋状の誘導コイル40を含み、このコイル40は、円形断面を有し、円筒形の空洞22の周りに延びる。誘導コイル40は、電源18及びコントローラ20によって励磁され得る。コントローラ20は、電子部品の中でもとりわけ、電源18からの直流を誘導コイル40のための交流高周波電流に変換するために配置されるインバータを含む。エアロゾル生成装置10はまた、装置本体16に1つ以上の空気入口42を含み、空気入口42は、周囲の空気が空洞22に流れ込むことを可能にする。
【0038】
当業者には理解されるように、エアロゾル生成システム1の使用中に誘導コイル40が励磁されると、交流の時間変動電磁場が生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ28と結合し、誘導加熱可能サセプタ28内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタを発熱させる。その後、熱は、例えば、伝導、放射、及び対流によって、誘導加熱可能サセプタ28からエアロゾル生成材料26に伝達される。
【0039】
誘導加熱可能サセプタ28は、エアロゾル生成材料26と直接又は間接的に接触することができ、サセプタ28が誘導コイル40によって誘導加熱されると、熱がサセプタ28からエアロゾル生成材料26に伝達されてエアロゾル生成材料26を加熱し、それにより蒸気が生成される。エアロゾル生成材料26の蒸発は、空気入口42を通じて周囲環境から空気を加えることによって促進される。エアロゾル生成材料26を加熱することによって生成された蒸気は、蒸気冷却領域38を通って流れ、そこで冷却されて凝縮して、装置10のユーザがフィルタ36を通して吸入できるエアロゾルを形成する。エアロゾル生成物品24を通る空気及び蒸気/エアロゾルの流れは、ユーザがフィルタ36を通して空気を吸い込むことにより生じる負圧によって促進される。
【0040】
ここで
図2を参照すると、
図1に図示するエアロゾル生成物品24又は非液体エアロゾル生成材料26と誘導加熱可能サセプタ28とを含むエアロゾル生成物品の他の任意の例を再利用するための方法が提供される。上記のように、使用によってエアロゾル生成材料26が使い果たされた使用済みのエアロゾル生成物品24を再利用するか又は規格外のエアロゾル生成物品24を再利用することが望ましい場合がある。
【0041】
第1のステップS1では、方法は、エアロゾル生成物品24を細断して、非液体エアロゾル生成材料26及び誘導加熱可能サセプタ28を粉砕することを含む。第2のステップS2では、方法は、誘導加熱可能サセプタ28と非液体エアロゾル生成材料26とを分離することを含む。
【0042】
より詳細には、
図2に図示する再利用方法を実施するための機器の例を示す
図3を参照すると、使用済み及び/又は規格外の複数のエアロゾル生成物品24は、収集されて第1のコンベア50上に堆積され得る。機器は、
図2を参照して上述した方法のステップS1を実施するために、すなわち、第1のコンベア50上に位置決めされたエアロゾル生成物品24を細断して非液体エアロゾル生成材料26及び誘導加熱可能サセプタ28を粉砕するために配置され得る第1のコンベア50の上方に位置決めされた細断ユニット52を含み得る。
【0043】
図示の非限定的な例では、細断ユニット52は、第1のコンベア50上に位置決めされたエアロゾル生成物品24を切り開いて細断するように構成された、周方向に配置された複数の細断形状部56を含み得る、細断ローラ54を含む。細断形状部56は、少なくともエアロゾル生成材料26を細断し、場合により、包装紙34及びフィルタ36を細断するように構成され得る。誘導加熱可能サセプタ28が連続的なサセプタである図示の実施形態では、誘導加熱可能サセプタ28は、細断形状部56によって細断されず、無傷のままである。誘導加熱可能サセプタ28が連続的なサセプタである他の(図示しない)実施形態では、細断形状部56はまた、誘導加熱可能サセプタ28を細断するように構成され得る。代替的に、上記のように、誘導加熱可能サセプタ28の各々は、細断形状部56による細断に供されない、エアロゾル生成材料26全体に分散された粒子状サセプタ材料を含み得る。
【0044】
機器は、
図2を参照して説明した方法のステップS2を実施するために、すなわち、誘導加熱可能サセプタ28とエアロゾル生成材料26とを分離するために配置され得る振動スクリーンコンベア62(第2のコンベア)の形態の振動スクリーンユニット60を更に含む。より詳細には、振動スクリーンコンベア62は、細断されたエアロゾル生成物品24の分離された構成要素、すなわち、細断されたエアロゾル生成材料26、誘導加熱可能サセプタ28、包装紙34、及びフィルタ36を第1のコンベア50から受け取るために配置される。図示の例では、振動スクリーンコンベア62は、複数の開口(図示せず)を含み、これらの開口は、非液体エアロゾル生成材料26の一部が通過することを可能にし且つ誘導加熱可能サセプタ28、包装紙34及びフィルタ36と共にエアロゾル生成材料26の残りを上側保持表面64上に保持するような大きさとされる。当業者であれば理解するように、振動スクリーンコンベア62に加えられた振動は、適切な大きさにされた非液体エアロゾル生成材料26が開口を通過して収集器(図示せず)内に入るのを促進し、この収集器は、振動スクリーンコンベア62の下方に位置決めされ得る。
【0045】
機器は、振動スクリーンコンベア62に部分的に重なるように振動スクリーンコンベア62の上方に配置される第3のコンベア70であって、
図2を参照して上述した方法のステップS2を実施するために、すなわち、誘導加熱可能サセプタ28とエアロゾル生成材料26とを分離するために配置され得る第3のコンベア70を含む。より詳細には、第3のコンベア70は、個別に且つ選択的に作動又は作動停止させることができる複数の電磁石72を含む。個々の電磁石72を作動させると、個々の電磁石72が磁化状態に置かれ、吸引磁力を発生させる。逆に、個々の電磁石72を作動停止させると、個々の電磁石72が消磁状態に置かれ、吸引磁力を発生させない。
図3では、作動させた(磁化された)電磁石72は、クロスハッチングがあることによって見分けられ、これに対して、作動停止させた(消磁された)電磁石72は、クロスハッチングがないことによって見分けられる。
【0046】
機器は、振動スクリーンコンベア62の直上に位置決めされた電磁石72を作動させて磁化状態に置くように構成される。これにより、振動スクリーンコンベア62の上側保持表面64上の誘導加熱可能サセプタ28が、磁化された電磁石72に向けて上方向に吸引される。次いで、細断された誘導加熱可能サセプタ28は、第3のコンベア70によって搬送され、第4のコンベア80上に堆積され、この第4のコンベア80は、第3のコンベア70の下方に位置決めされ、第3のコンベア70に部分的に重なる。分離された誘導加熱可能サセプタ28を第4のコンベア40上に堆積させるために、誘導加熱可能サセプタ28が第3のコンベア70から第4のコンベア80の表面上に落下できるように、電磁石72を単に作動停止させて電磁石72を消磁状態に置く。
【0047】
誘導加熱可能サセプタ28が第3のコンベア70上の電磁石72によって振動スクリーンコンベア62の上側保持表面64から除去された後に、上側保持表面64に残存する、包装紙34及びフィルタ36と共に、エアロゾル生成材料26は、振動スクリーンコンベア62の端部から吐出され、廃棄及び/又は更なる処理のために収集することができる。
【0048】
同様に、第4のコンベア80の表面に堆積された誘導加熱可能サセプタ28は、第4のコンベア80の端部から吐出することができる。再び
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、誘導加熱可能サセプタ28は、ステップS3で洗浄され、例えば、堆積物及び/又は他の汚染物質を除去するために洗われ得る。その後、誘導加熱可能サセプタ28は、誘導加熱可能サセプタ28の機械的及び/又は電気的特性を調べるためにステップS4で分析され得る。分析の結果に応じて、誘導加熱可能サセプタ28の1つ以上は、更なるエアロゾル生成物品を製造するために任意選択のステップS5で再使用することができ、又は更に処理し且つ/若しくは更なる再利用工程に供することができる。
【0049】
これまでの段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0050】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述した特徴の任意の組み合わせが、その全ての可能な変形形態にて、本開示によって包含される。
【0051】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。