(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20241031BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20241031BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M39/02
A61M39/10 130
(21)【出願番号】P 2022520196
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020077310
(87)【国際公開番号】W WO2021063990
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-09-05
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506324208
【氏名又は名称】ウノメディカル アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ストゥンペ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シェーンドルフ,ペルネレ クルーセ
(72)【発明者】
【氏名】エリクセン,イェスパー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525060(JP,A)
【文献】特表2012-515016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 39/02
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に複数の流体を投与するためのインフュージョンセットであって、前記インフュージョンセットは、ベースと、挿入部分と、コネクタとを備え、
前記ベースは、接着部分と、前記コネクタと結合するように構成されるハブと、前記挿入部分を受けるように構成される少なくとも1つの管腔とを有し、
前記挿入部分は、
ハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記ハウジングから延びる少なくとも1つの貫通要素であって、前記対象に皮下的にまたは経皮的に前記複数の流体を投与するように、前記ベースに結合され、前記ベースから延びる少なくとも1つの貫通要素
と、を有し、
前記ハウジングは、少なくとも2つの独立した流体源と、前記少なくとも1つの貫通要素との間で流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つのチャンバを有し、
前記少なくとも2つのチャンバは、互いから独立しており、
前記コネクタは、本体と、前記本体に接続され、前記ベースの前記ハブと結合するように構成される少なくとも1つのアームと、
前記少なくとも2つの独立した流体源と前記少なくとも1つの貫通要素との間の流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つの独立した流体デリバリ導管とを有
し、
前記少なくとも1つの貫通要素は、複数管腔カニューレを有する、インフュージョンセット。
【請求項2】
前記ベースは、前記ハウジングの前記少なくとも2つのチャンバと実質的に揃い、前記少なくとも2つの独立した流体源との流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つのチャネルを有する、請求項
1に記載のインフュージョンセット。
【請求項3】
前記ハウジングのそれぞれの前記チャンバは、前記少なくとも1つの貫通要素との流体的な連通のための開口と、前記コネクタの前記流体デリバリ導管の1つとの流体的な連通のための開口とを有する、請求項
1または
2に記載のインフュージョンセット。
【請求項4】
前記ハウジングの前記チャンバは、互いから間隔を有して配置される、請求項
1から
3のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項5】
前記チャンバは、前記ハウジングにおける中間壁によって仕切られている、請求項
1から
4のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの貫通要素は、穿孔部材または自己貫通カニューレを有する、請求項
1から
5のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項7】
前記複数管腔カニューレは、配置位置と第1流体源との間の流体的な連通のための遠位端を有する第1管腔と、前記配置位置と第2流体源との間の流体的な連通のための遠位端を有する第2管腔と、を有し、
前記第1管腔と、前記第2管腔とは、互いから独立している、請求項
1から6のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項8】
前記第1管腔の前記遠位端は、前記第2管腔の前記遠位端から間隔を有して配置される、請求項
7に記載のインフュージョンセット。
【請求項9】
前記第1管腔は外側管腔であって、かつ前記第2管腔は内側管腔であり、
または、前記第1管腔は内側管腔であって、かつ前記第2管腔は外側管腔である、請求項
7に記載のインフュージョンセット。
【請求項10】
前記複数管腔カニューレは、第1管腔と第2管腔との間に穿孔部材を有し、
両方の管腔は、前記カニューレの長さに沿って延び、互いから独立している、請求項
1から
9のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの管腔の近位端はノッチを含む、請求項
1から
10のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項12】
センサ部分をさらに有し、
前記センサ部分は、前記ベースから延びて、前記対象の少なくとも1つの身体特徴を特定するように構成される少なくとも1つのセンサを有する、請求項
1から
11のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項13】
前記センサ部分は、前記少なくとも1つのセンサのために、前記少なくとも1つの貫通要素の内部に管腔を有する、請求項
12に記載のインフュージョンセット。
【請求項14】
前記センサ部分は、前記挿入部分ハウジングにおける溝と、前記ベースにおける溝とをさらに有する、請求項
12または
13に記載のインフュージョンセット。
【請求項15】
前記ベースとの結合のためのキャップをさらに有する請求項
1から
14のいずれか一項に記載のインフュージョンセット。
【請求項16】
前記ベースは、前記少なくとも2つの独立した流体源との流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つのチャネルを有し、
前記キャップは、前記チャネルとの結合のために内側表面に少なくとも1つのトラックを有する、請求項
15に記載のインフュージョンセット。
【請求項17】
前記ハウジングとの結合のための前記少なくとも1つのトラックは、膜材料から形成される、請求項
16に記載のインフュージョンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフュージョンセットのためのコネクタと、患者に複数の流体を投与するためのインフュージョンセットとに関する。インフュージョンセットは、本発明のコネクタを備えてもよい。少なくとも2つの独立した流体(例えば、薬剤、ホルモン等)を、これらを必要とする患者に皮下にまたは経皮的に投与するためのコネクタまたはインフュージョンセットの使用と、少なくとも2つの独立した流体を、これらを必要とする患者に皮下にまたは経皮的に供給する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
インフュージョンセットは、先行技術からよく知られている。インフュージョンセットは通常、患者の皮膚に接着されるベースと、患者の皮下組織に挿入される針またはカニューレ等の貫通(penetrating)部材と、患者に断続的にまたは連続的に皮下的に流体を投与できるように、ベースにポンプを取り付けるコネクタとを含む。
【0003】
しかしながら、通常、単一のインフュージョンセットを通じて、一度に1つの流体のみを投与することが可能である。患者が1つより多くの流体(例えば、混合物の形態にない複数の薬剤、ホルモン等)を独立して投与する必要がある場合において、患者は、それぞれが個別のベース、貫通部材及びコネクタを有する1つより多くのインフュージョンセットを使用する必要がある。これは、1つより多くのインフュージョンセットを採用し使用することは患者にとって負担が大きく、不快感があるため、患者コンプライアンスに深刻な問題をもたらす。合併症を回避するために患者が各インフュージョンセットのために異なる注射位置を特定することを要するだけでなく、1つより多くの注射を自己投与する(self-administer)必要があり、各使用において、各インフュージョンセットを通じて同一の流体が投与されていることを保証する必要がある。
【0004】
複数の活性物質、例えば、薬剤、ホルモン等は、皮下的に投与される。皮下投与の選択は、例えば、経口投与後における劣化をもたらす口または胃の内部の物質(例えば、酸及び特定の酵素)との接触を回避するように、静脈注射等の他の方法に関連した課題及び費用を回避するように、及び/または短い投与時間を実現するように等の目的によるものであってもよい。少量の感度が高い活性物質において、皮下注射は、患者に物質を投与する有益な、安全なかつ便利な方法であるかもしれない。したがって、皮下的に投与される物質の例は、幅広く、深刻なアレルギー反応を早急に治療するためのエピネフリン、モルヒネ及びヒドロモルフォン等の鎮痛剤(pain medicaments)、メトクロプラミドまたはデキサメタゾン等の吐き気及び嘔吐のための薬剤等を含む。薬剤、ホルモン等の組み合わせは、これらと同じ利点のため、皮下的に投与されてもよい。
【0005】
複数の活性物質は、例えば、特定の治療状態または2つの密接に関連する状態を治療するように、同時にまたは順番に使用されてもよい。しかしながら、同時使用及び順番での使用は、患者に投与されるとき、これらの活性物質が互いと反応しないことを要し、これは特定の活性物質にとっては回避不可能であり、ある状況において(例えば、拮抗する組み合わせにおいて)、患者にとって問題を起こす可能性がある。活性物質の組み合わせは、例えば、カウンタバランス効果を有してもよく、カウンタバランス効果とは、そのいずれかの混合が、患者に対して、一方の活性物質の有益的な治療効果を低減させることを意味する。
【0006】
複数の活性物質の投与が重要であるが、問題を起こす例は糖尿病の管理である。糖尿病は、慢性状態であり、インスリンを生成する及び/または使用する身体の能力における欠陥によって、患者は増加した血糖値を有する。3つの主なタイプがあって、体がインスリンを生成しない1型、または体がインスリンを通常のように生成しないまたは使用しない2型を有する患者において、インスリンは、血糖値を制御するように使用される。しかしながら、時々、投与されたインスリンの量が高すぎて、低血糖または低血糖の差し迫った状態をもたらす可能性がある。このような有害な状況に対抗する及び/または正すためには、患者は、グルカゴン等の耐インスリン制御剤(regulatory agent)のいわゆる「レスキュー用量」を投与してもよい。グルカゴン及びインスリンは拮抗するホルモンであり、望まれる効果を発揮するためには、通常、互いに接触することはない。
【0007】
W02017/007968は、患者に1つまたは複数の薬剤を供給するためのインフュージョンセットについて説明する。
【発明の概要】
【0008】
先行技術において、複数の独立した流体を患者に皮下的に投与することを可能する単一のインフュージョンセットが求められている。このようなインフュージョンセットは、患者にとって快適さ及び便利さを向上させて、患者が体に装着しなければならないハードウェアの量及び使用において必要な針の本数を減少させる。インフュージョンセットは、体に入る前に流体の間でいずれかの作用を回避すべきであり、患者使用、理解及びコンプライアンスのために簡単にすべきである。さらに、1つの流体の交換が他の流体の投与を妨げないように、投与される各流体の独立した制御を可能にすることが、インフュージョンセットにとって有益である。
【0009】
本発明の第1の態様によると、インフュージョンセットのためにコネクタが設けられている。コネクタは、第1部分及び第2部分を有する本体と、少なくとも1つのアームとを有する。少なくとも1つのアームは、本体に接続され、インフュージョンセットのベースと結合するように構成される。本体の第1部分及び第2部分は、互いに除去可能及び交換可能に結合されるように構成されてもよく、それぞれは、異なるまたは少なくとも2つの独立流体源(例えば、ポンプまたは類似の構成を通じて)とコネクタとの流体的な連通(communication)を可能にするように構成される流体デリバリ導管を有する。例えば、第1部分の流体デリバリ導管は、第1流体源との流体的な連通を可能にするように構成されて、第2部分の流体デリバリ導管は、第2流体源との流体的な連通を可能にするように構成されて、第1流体源と第2流体源とは異なる流体を収容する。
【0010】
本発明の様々な実施の形態において、それぞれの流体デリバリ導管は、独立した流体経路を規定する。様々な実施の形態において、流体デリバリ導管は、2から4、2から3、または2つの独立した流体源とコネクタとの流体連通を可能にするように構成される。
【0011】
本発明の様々な実施の形態において、コネクタはさらに1つまたは複数のガイド部材を含む。このようなガイド部材は、インフュージョンセットのベースとコネクタとの結合を助けるように構成され、コネクタの本体から延びてもよい。形状及び/または大きさにおいて、ガイド部材は、望まれた機能を果たす限り、特に限定されない。しかしながら、一例として、ガイド部材は、実質的に一様な断面を有してもよい。
【0012】
本発明の様々な実施の形態において、コネクタは、少なくとも2つ、例えば、2から4、2から3、または2つの貫通要素をさらに含む。これらの貫通要素は、コネクタの本体上に配置されてもよく、例えば、インフュージョンセットへのコネクタの結合を容易にするようにコネクタの本体に結合されてもよく、及びそこから延びてもよい。本発明の様々な実施の形成において、それぞれの貫通要素は、流体デリバリ導管の1つと関連し、それぞれの貫通要素は、コネクタの本体から延びる。様々な実施の形態において、少なくとも2つの貫通要素は、流体デリバリ導管を通じて少なくとも独立した2つの流体源と流体的に連通する。
【0013】
本発明の様々な実施の形態において、少なくとも1つのアームは、コネクタの本体から延びる。コネクタは、例えば、コネクタ本体のそれぞれの部分から延びる少なくとも2つのアームを含んでもよい。形状及び/または大きさにおいて、アームは、インフュージョンセットのベースにコネクタを結合する機能を果たす限り、特に限定されない。様々な実施の形態において、アームは、一様でない断面と、インフュージョンセットのベースに接続するための結合手段とを有する。このような結合手段はアームの遠位端に配置されてもよい。様々な実施の形態において、結合手段は、フック形状を有する(hooked)端部または傾斜面を有し、インフュージョンセットのベースとの結合によって、フック形状を有する端部または傾斜面は、通常、ベース上の特徴(例えば、突出部または他の表面特徴)によって内側に押されて、よって、(例えば、ベースにおける開口または他の表面特徴を通じて)インフュージョンセットと結合または係合する。
【0014】
本発明の様々な実施の形態において、第1部分及び第2部分は相補的な表面特徴に接続され、またはそれらを通じて接続される。ある配置において、第1部分は、表面から外向きに延びる1つまたは複数の突出部またはリブを有してもよく、第2部分は表面内に形成された1つまたは複数の相補的な溝または凹部を有してもよい。代替的な配置において、第2部分は、表面から外向きに延びる1つまたは複数の突出部またはリブを有してもよく、第1部分は表面内に形成された1つまたは複数の相補的な溝または凹部を有してもよい。他の配置は、コネクタ本体の第1部分及び第2部分上に、突出部またはリブ及び相補的な溝または凹部の組み合わせを有してもよい。
【0015】
代替的には配置は、第1部分に関連した表面特徴はレールタイプの要素であることと、第2部分に関連した表面特徴はレールタイプの要素を受けて可逆的に結合するような大きさを有し、そのように構成されたチャネルであることを含んでもよい。レールタイプ要素の形状または断面は限定されておらず、長方形、三角形、円柱、半円柱、テーパ等の形状を有してもよい。
【0016】
本発明の様々な実施の形態において、第1部分及び第2部分は相補的な雄部分と雌部分とに接続され、またはそれらを通じて接続される。雄部分は、それぞれの部分からの外向きの延在部または突出部の形態を有してもよく、雌部分は内向きの溝、凹部、またはスロットの形態を有してもよい。溝、凹部、またはスロットは、例えば、リップまたは隆起したエッジ、溝/凹部/スロットのエッジに向かってネックまたは狭い断面を有してもよい。溝、凹部、またはスロットは、その遠位端において壁部をさらに含んでもよい。様々な実施の形態において、雄部分と雌部分とはバヨネット(bayonet)接続を形成する。
【0017】
本発明の様々な実施の形態において、第1部分及び第2部分は、本体の長さの少なくとも一部に沿って互いに結合されるように構成される。様々な実施の形態において、第1部分及び第2部分は流体デリバリ導管の長さの少なくとも一部に沿って互いに結合されるように構成されてもよい。
【0018】
本発明の第2の態様によると、患者に複数の流体を投与するためのインフュージョンセットが設けられている。インフュージョンセットは、ベースと、挿入部分と、コネクタとを含む。ベースは、患者の皮膚(例えば、配置(placement)位置)にインフュージョンセットを固定するように使用されてもよく、よって接着部分を含む。ベースは、コネクタと結合するように構成されるハブと、挿入部分を受けるように構成される少なくとも1つの管腔とを含む。挿入部分は、インフュージョンセット配置位置に流体を供給するための少なくとも1つの貫通要素を有し、貫通要素は、ベースに結合しそこから延びる。少なくとも1つの貫通要素は、患者に複数の(即ち、少なくとも2つの独立した)流体を皮下的にまたは経皮的に投与するように構成される。コネクタは、ベースに結合され、本体と、少なくとも1つのアームと、少なくとも2つの流体デリバリ導管とを有する。少なくとも1つのアームは、本体に接続され、ベースのハブに結合するように構成されてもよい。流体デリバリ導管は、少なくとも2つの独立した流体源と、少なくとも1つの貫通要素との間で流体的な連通を可能にするように構成されてもよい。
【0019】
本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットに含まれるコネクタは、本明細書にて定義される本発明のコネクタである。
【0020】
本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットは2つ以上の挿入部分を有する。2つ以上の挿入部分で、ベースは2以上の管腔を有し、それぞれの管腔は、それぞれの挿入部分を受けるように別体として構成される。2つ以上の挿入部分は、少なくとも2つの独立した流体源からコネクタの流体デリバリ導管を通じてインフュージョン配置位置に、それぞれ、2つ以上の流体経路を規定する。
【0021】
本発明の代替的な実施の形態において、インフュージョンセットは、単一または1つの挿入部分を有する。この配置において、ベースは、挿入部分を受けるように構成される管腔を有し、挿入部分は、ハウジングに接続され、そこから延びる少なくとも1つの貫通要素を有する。挿入部分のハウジングは、少なくとも2つの独立した流体源と少なくとも1つの貫通要素との間で流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つのチャンバを有する。少なくとも2つのチャンバは、互いから独立しており、よって、複数の流体が互いに接触することを抑制する。
【0022】
単一の管腔を有するベースは、ハウジングの少なくとも2つのチャンバと実質的に並び、少なくとも2つの独立した流体源との流体的な連通を可能にするように構成される少なくとも2つの開口をさらに有してもよい。この配置は、第1流体源からインフュージョン配置位置への流体経路が形成されることと、第2流体源からインフュージョン配置位置への別個の流体経路が形成されることとを有益的に可能にする。流体経路は、互いから独立して延びて、流体が互いに接触することを抑制する。この流体経路の一部として、挿入部分のハウジングのチャンバのそれぞれは、少なくとも1つの貫通要素との流体的な連通のための開口と、コネクタの流体デリバリ導管の1つとの流体的な連通のための開口とを有してもよい。
【0023】
本発明の様々な実施の形態において、ハウジングのチャンバは互いから離れて配置されている。例えば、チャンバを分離する中間壁または他の特徴があってもよく、よって、挿入部分の内部において流体が混ざることを抑制する。
【0024】
本発明の様々な実施の形態において、少なくとも1つの貫通要素は、穿孔部材(例えば、針または類似の構造)または自己貫通カニューレを有する。様々な実施の形態において、少なくとも1つの貫通要素は、複数管腔カニューレを有する。このような複数管腔カニューレは、配置位置と第1流体源との間の流体的な連通のための遠位端を有する第1管腔と、配置位置と第2流体源との間の流体的な連通のための遠位端を有する第2管腔とを有してもよい。第1及び第2管腔は、第1及び第2チャンバと同様に、流体の混合を抑制するように互いから独立している。様々な実施の形態において、第1管腔の遠位端は、第2管腔の遠位端から離れて配置される。代替的な実施の形態において、第1管腔は外側の管腔であって、第2管腔は内側の管腔であり、または第1管腔が内側の管腔であって、第2管腔が外側の管腔である。
【0025】
本発明の様々な実施の形態において、複数管腔カニューレは、第1管腔と第2管腔との間に穿孔部材を有し、両方の管腔は、カニューレの長さに沿って延び、互いから分離(独立)している。様々な実施の形態において、貫通要素の近位端は、切り欠きを形成した端部または切り欠きを含んでもよい。
【0026】
本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットは、センサ部分をさらに有する。センサ部分は先行技術に知られたいずれかのセンサ配置であってもよい。センサ部分は、患者の体の特徴の少なくとも1つ(例えば、血糖値)を特定するように構成されるベースから延びる少なくとも1つのセンサを有してもよい。様々な実施の形態において、センサ部分は少なくとも1つのセンサのために、少なくとも1つの貫通要素(例えば、本明細書にて定義される複数管腔カニューレ)において管腔を有してもよい。例えば、センサは、中央管腔に沿って延びてもよく、カニューレは、投与される2つの流体のために追加された2つの管腔を、即ち3管腔カニューレの形態として、含んでもよい。センサ部分は、挿入部分のハウジングにおける溝と、ベースにおける溝とをさらに有してもよい。
【0027】
本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットはベースとの結合のためのキャップをさらに有してもよい。キャップは、ベースとの結合のために内側表面(即ち、ユーザに露出していない表面上)にトラック(tracks)を有してもよい。様々な実施の形態において、ベースは、少なくとも2つの独立した流体源と流体的に連通することを可能にするように構成された少なくとも2つのチャネルを有し、キャップは、チャネルとの結合のためにその内側または内側表面上に少なくとも1つのトラックを有する。ハウジングとの結合のための少なくとも1つのトラックは、例えば、シリコーンゴム等の膜材料によって形成されてもよい。
【0028】
本発明の第3の態様によると、それらを必要とする患者へ、少なくとも2つの独立した流体の皮下的なまたは経皮的な供給のためのインフュージョンセットにおいて、本明細書にて定義されるコネクタの使用が提供される。
【0029】
本発明の第4の態様によると、それらを必要とする患者へ、少なくとも2つの独立した流体の皮下的なまたは経皮的な供給のために、本明細書にて定義されるインフュージョンセットの使用が提供される。
【0030】
本発明の第5の態様によると、それらを必要とする患者へ、少なくとも2つの独立した流体を皮下的にまたは経皮的に供給する方法が提供される。方法は、本明細書にて定義されるインフュージョンセットを提供すること、患者の皮膚にインフュージョンセットを配置すること、少なくとも2つの独立した流体源にコネクタのそれぞれの流体デリバリ導管を接続すること、及び、患者に少なくとも2つの独立した流体を供給することを有する。様々な実施の形態において、コネクタは、本発明によって本明細書にて定義される通りであってもよい。
【0031】
第3、第4及び第5の態様の様々な実施の形態において、少なくとも1つの流体は、第1活性物質、例えば、第1薬物または第1ホルモンを有し、及び/または、少なくとも1つの流体は、第2活性物質、例えば、第2薬物または第2ホルモンを有する。例えば、少なくとも1つの流体はインスリンを有してもよく、及び/または少なくとも1つの流体はグルカゴンを有してもよい。このような例示的な実施の形態において、コネクタ及び/またはインフュージョンセットは、インスリン治療及び糖尿病管理において便利である。同様に、少なくとも1つの流体は、モルヒネまたはヒドロモルフォン等の鎮痛剤を有してもよく、及び/または、少なくとも1つの流体はメトクロプラミドまたはデキサメタゾン等の吐き気及び嘔吐のための薬剤を有してもよい。
【0032】
これらの実施の形態は、添付の独立及び従属の請求項に記載されている。請求項に明示的に記載されているもの以外の組み合わせにおいて、従属請求項の特徴は、互いに及び独立請求項の特徴と組み合わられてもよい。
【0033】
さらに、本明細書にて説明される手法は、下記において記載されている特定の実施の形態に限定されるものでなく、本明細書にて提示される特徴のいずれかの適切な組み合わせを含み及び考慮する。例えば、コネクタ、インフュージョンセット、使用及び/または方法は、必要に応じて、下記で説明される様々な特徴のいずれか1つまたは複数を含む本明細書にて説明される手法によって提供されてもよい。
【0034】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面とともに後続の詳細な説明への参照によってより完全に理解され、異なる図面において、類似の参照符号は類似の要素を示す。図面は、発明の原理を示し、縮尺は正しくないが、相対的な寸法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】例示的な複数流体インフュージョンシステム1の透視図であって、インフュージョンポンプ(図示せず)に接続するためのチュービング10と、本発明の実施の形態によるコネクタ100と、「ピールオフ」紙の形態において接着部分を有するベース600と、ベースと結合するためのデュアル挿入部分500を収容するインサータとを有する。
【
図2】本発明の実施の形態によるコネクタ100の透視図であって、第1部分112と第2部分114とへの本体の分割を示す。
【
図4】
図2のコネクタ100の図面(a)、(b)、(c)を含む。
図4(a)は、第1及び第2本体部分のそれぞれの流体デリバリ導管116、118とともに、アーム120とガイド部材130との位置及び断面を示す前面図である。
図4(b)は、アーム120及びガイド部材130の相対的長さ及び側面プロファイルを示す側面図である。
図4(c)は、第1部分112と、第2部分114と、流体デリバリ導管116、118との間の結合を示す背面図である。
【
図6】
図2のコネクタ100の透視図であって、第1部分112と第2部分114とが分離している。結合は、第1部分上の実質的に矩形形状を有するレールまたはリブ150と第2部分における相補的な凹部160とを通じて行われる。
【
図7】本発明の他の実施の形態による
図8のコネクタ100の図面(a)、(b)、(c)、及び(d)を含む。
図7(a)は、第1部分112と第2部分114との代替的な結合を示す概略的な端面図である。
図7(b)は、概略的上面図である。
図7(c)は、第1部分112と第2部分114との代替的な結合を示す概略的な前面図である。
図7(d)は、アーム120及びガイド部材130の相対的長さ及び側面プロファイルを示す側面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態によるコネクタ100の透視図である。
【
図9】第1部分112と第2部分114が分離しているときの
図8のコネクタ100の透視図であって、結合が、第1本体部分の長さに沿った実質的に円柱状のリブまたはレール150と第2部分における相補的な凹部160とを通じていることを示す。
【
図10】本発明の他の実施の形態によるコネクタ100の図面(a)、(b)、(c)を含む。
図10(a)は、雄コネクタ部分154と雌コネクタ部分164との分離を示すコネクタの上面図である。
図10(b)及び
図10(c)は、雄コネクタ部分と雌コネクタ部分との断面を示す
図10(a)のコネクタの端面図である。
【
図11】
図10に示すコネクタの第2部分114の図面(a)、(b)を含む。
図11(a)は、雌コネクタ部分164の透視図である。
図11(b)は、
図11(a)に示す第2部分114の端面図である。
【
図12】
図10に示すコネクタの第1部分112の図面(a)、(b)を含む。
図12(a)は、雄コネクタ部分154の透視図である。
図12(b)は、
図12(a)の第1部分112の端面図である。
【
図13】本発明の他の実施の形態による
図14に示すコネクタ200の側面図である。
【
図14】カニューレ孔または流体デリバリ導管216、218を示すコネクタ200の透視図である。
【
図16】アーム220のフック形状を有する端部222を示す
図14に示すコネクタ200の上部の概略図である。
【
図17】流体デリバリ導管216、218を示す線A-Aに沿った断面図を含む。
【
図18】本発明の実施の形態によるインフュージョンセットのためのデュアル管腔ベース600とデュアル挿入部分500との透視図である。
【
図19】挿入部分500の貫通要素520を示す
図18におけるベースと挿入部分の下面図を示す。
【
図20】ベース600からの貫通要素520の延在を示す
図18の概略側面図である。
【
図21】ベース600からの貫通要素520の延在を示す
図18の概略側面図である。
【
図22】デュアル管腔630に挿入部分500がどのように配置されるかを示す
図18の透視図である。
【
図24】本発明の他の実施の形態によるベース800、即ち単一管腔ベースの図面(a)、(b)、(c)を含む。
図24(a)は、単一管腔830を示すベースの透視図である。
図24(b)は、ベースの断面
図A-A及びB-Bを含み、
図24(c)はハブ820の側面図である。
【
図25】
図24のベースの図面(a)、(b)、(c)、(d)を含む。
図25(a)はチャネル860の形状及び管腔830の底面(underside)を示す下面図である。
図25(b)は側面図であり、
図24(c)は上面図であり、
図24(d)は端面図である。
【
図26】本発明の他の実施の形態によるインフュージョンセット1の上面図である。
【
図27】ベースから延びる貫通要素420を示す
図26におけるインフュージョンセットの透視図である。
【
図28】
図26に示すインフュージョンセットの分解透視図であり、コネクタ200がどのようにベース800と結合するかと、カニューレ420及びハウジング410を有する挿入部分がどのように単一管腔830に配置されて、キャップまたはカバー700によってシールされるかと、を示す。
【
図29】
図29(a)は、本発明の実施の形態によるベース800の下面または底面図である。
図29(b)は、カニューレハウジングの内部におけるチャンバ412、414を示す
図29(a)のA-Aに沿った断面図である。
【
図30】
図30(a)は、本発明よる挿入部分400の透視図である。
図30(b)は断面
図A-Aであり、
図30(c)は断面
図B-Bであり、両方は、カニューレハウジングと、
図30(a)の部分400のための2つの独立した流体源のための独立したチャンバ412、414との内部を示す。
【
図31】
図31(a)は、
図30(a)に示す挿入部分400の分解透視図である。
図31(b)は、
図30(c)の断面B-Bが取られた箇所を示し、それぞれの独立チャンバ入口416を示す。
【
図32】図面(a)及び(b)を含む。
図32(a)は、
図32(b)のための断面
図A-Aが取られた箇所を示す単一管腔ベース800の側面図である。
図32(b)は、ベース800におけるチャネル860によって形成される流体経路を示す。
【
図33】図面(a)及び(b)を含む。
図33(a)は、ハウジング330の上部におけるセンサ溝340と、3管腔カニューレ320を通じたセンサパスのための点線とを示す3管腔挿入部分300の透視図である。
図33(b)は、
図31(b)と同様に、センサ溝340とチャンバ入口316とを示すカニューレの側面図を含む。
【
図34】2つの断面図を含む。
図34(a)は、ハウジング310を通じて、3管腔カニューレ320に沿ったセンサパスを示す、溝340にわたった図面A-Aである。
図34(b)は、カニューレの近位端におけるノッチ350を示す溝340及び拡大Dをわたった図面C-Cである。
【
図35】第1チャンバ312と、第2チャンバ314と、センサのための溝340に沿った3管腔カニューレ320とを示す断面図である。
【
図36】センサ部分を有するインフュージョンセット1のためのベース800の図面である。
図36(b)及び(c)は、ベースの側面図であり、
図36(a)は溝870を示す上面図である。溝870は、センサ部分を有するインフュージョンセット1のためのベース800の透視図である
図36(d)にも示されている。
図36(e)は、コネクタの流体デリバリ導管とセンサ部分の溝870との結合のためのチャネル860を示すベース800の前面の側面図である。
【
図37】ベース800との結合のための内部または内側表面におけるトラックを示すキャップ700の図面(a)から(f)を含む。インフュージョンセットのセンサ部分の一部を形成する溝730も示されている。
【
図38】図面(a)、(b)及び(c)を含む。
図38(a)は、本発明の実施の形態による挿入部分(詳細に図示せず)を含むベース800と、キャップ700との図面である。
図38(b)は、
図38(a)の実施の形態のチャネル860にわたった断面
図A-Aと、同じ実施の形態の分解図と、を含む。
図38(c)は、ベースの底面にわたった断面
図B-B、及び独立した流体経路を形成するようにキャップ700の底面におけるトラックと挿入部分300のハウジング310との間の関係を示す同じ実施の形態の分解図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特定の例及び実施の形態の特徴は本明細書にて検討及び説明される。特定の例及び実施の形態のある特徴は、従来のように実施されてもよく、簡潔の観点において、詳細に検討または説明されない。詳細に説明されていない本明細書にて検討される装置、使用及び方法の特徴は、このような特徴を実施するためのいずれかの従来の方法によって実施されてもよいと認識される。
【0037】
特段定義されない限り、本明細書にて使用される技術的用語、表記及び他の科学的用語は、この発明が属する分野において通常の能力を有する者が通常有すると理解する意味を有することを意図している。
【0038】
図示の目的において添付の図面に示すように、本発明は、インフュージョンセットにおける使用のためのコネクタと、患者にその汚染または混合なく複数の流体を皮下的に供給するためのインフュージョンセットとによって具現化される。特定の例示は、デュアル流体デリバリ及びインフュージョンシステムに対して、下記に記載される。しかしながら、当業者は、本発明のコネクタとインフュージョンセットとが2つより多くの独立した流体を供給するように使用、構成または設計されてもよいと容易に認識する。したがって、本発明はこの観点において限定されない。
【0039】
患者に単一タイプの流体を供給することに適した従来のコネクタとインフュージョンセットとにおいて(例えば、従来のインフュージョンシステムにおいて)、複数の流体の投与を監視及び独立して制御できることは不要である。従来のシステムは単一の流体のみを使用するため、流体の混合または汚染を回避すること、または一方の流体の交換を、他方の投与を妨げることなく可能にすることを特に要しない。このような問題は、患者に複数の独立した流体が供給または注入される場合においてのみ生じる。これは、グルカゴン及びインスリン等の相殺的な流体の場合において顕著であり、いずれかの汚染及び独立した流体制御の欠落は危険であってまたは致命的である可能性がある。
【0040】
本発明は、これら及び他の問題に対処する。例示的な実施の形態は、流体汚染を抑制する安全及び信頼性の高い複数流体インフュージョンシステムを提供し、ある場合においては、独立した流体制御を可能にする。したがって、本発明の装置、方法及び使用は、入院患者または外来患者環境において使用されてもよい。追加的に、これらは、自律または半自律の閉回路システムにおいて、1つまたは複数の体の特徴、例えばグルコースを制御するように使用されてもよい。
【0041】
図1は、本発明の例示的な実施の形態による複数流体インフュージョンシステム1の全体図を示す図である。図示されたインフュージョンシステム1は、例えば、2つの独立した(即ち分離した)流体を患者に供給するインフュージョンポンプ(図示せず)等のデリバリ装置への接続のための2つ分離したチューブ10を含む。システム1は本発明の例示的実施の形態によるコネクタ100を含み、コネクタ100は、患者に両方の流体を皮下的または経皮的に供給するように、ベース600とインフュージョン部分500とにチューブ10を流体的に結合する。
図1における点線は、ベースへのコネクタの結合を示す。ベース600、インフュージョン部分500及びコネクタ100の組み合わせは、本明細書にてインフュージョンセット1と称される。当業者によって理解されるように、本発明によるインフュージョンセット及び/またはコネクタの形状は限定されない。インフュージョンセットは、例えば、長方形、円形、正方形、三角形、台形、八角形、または先行技術で知られた他のいずれかの適切な形状であってもよい。
【0042】
ベース600は、接着部分610を含み、
図1の実施の形態においては、適切な感圧(pressure sensitive)接着剤が塗布されている底面表面を有する拡大されたパッドである。ベースは、任意の形状または大きさを有してもよく、長方形、円形、正方形、三角形、台形、八角形、または先行技術で知られた他のいずれかの適切な形状を含むがこれに限定されない。
図1に示すように、「剥がし」紙は、インフュージョンセットの使用の準備ができるまで、接着層を覆って保護するように設けられてもよい。他の実施の形態において、ベースは、身体に対してインフュージョンセットを保持できる適切な接着材料に固定されてもよい。
【0043】
図1において、ベース600は、インサータ20から挿入部分500を受けるように示されている。インサータは、本発明の範囲内でなく、先行技術において知られている医療機器用のためのいずれかの適切なインサータが使用されてもよい。
図1における点線は、貫通要素520を有する挿入部分500がどのようにベース600と結合するかを示す。ベース600と挿入部分500との特徴は下記でより詳細に説明される。
【0044】
使用において、剥がし紙は、ベース600が患者の皮膚に押し当てられ、配置(seat)されるときにパッドから除去されてもよい。その後、インサータ20は、挿入部分500の貫通要素520を、患者の身体の内部において選択されたインフュージョン配置位置において挿入するように使用されてもよい。先行技術のインフュージョンセットにおいて通常であるように、貫通要素520が穿孔部材(例えば、金属針)とともにカニューレを含むと、要素の挿入は、患者から針が引き出される間、カニューレを患者の身体に残してもよい。カニューレは、患者の経皮組織または皮下組織に残されてもよい。代わって、貫通要素520は、先行技術から知られている自己カニューレである場合、要素の挿入は、カニューレ自体によって実現されてもよく、穿孔部材が別途必要ない場合がある。チュービング10等は、コネクタ100をインフュージョンポンプに流体的に結合させるように使用されてもよく、複数の流体は、患者に、コネクタ100及び挿入部分500の貫通要素520を通じて、ポンプから独立して投与される。
【0045】
図2から
図9は、本発明の例示的な実施の形態によるコネクタ100に関する。
図2から
図8は、コネクタ100の透視図であって、両方、コネクタ100が2つの部分112、114に分割される本体110を有することを示す。
図2及び
図8の両方において、本体110は、第1部分と第2部分とが略同じ大きさであるように、その中心線に沿って分割される。しかしながら、本発明は、このような分割に限定されず、当業者は、一方の部分が他方より大きいように本体の分割は中心からずれてもよいと認識する。このような実施の形態は、一方の流体が他方の流体より高い体積で投与される場合において便利かもしれない。代わって、より大きい部分は2つの流体の個別の投与のために(例えば、当該部分における2つの流体デリバリ導管を通じて)使用されてもよく、より小さい部分は第3の流体の投与のために(例えば、当該部分における第3流体デリバリ導管を通じて)使用されてもよい。
【0046】
図2、
図4(a)、
図4(c)、及び
図6に示すように、流体デリバリ導管116、118は、コネクタの本体の長さを沿って延びてもよく、よって、
図1に示すチュービング10から流体デリバリ装置(例えば、インフュージョンポンプ)及びインフュージョンセットのベースまでの隙間を橋渡し(bridge)できる。それぞれの導管116、118は、流体デリバリ装置に近位な端部と、インフュージョンセットのベースに向かった遠位な端部とを有する独立したチャネルを形成する。それぞれの導管は、さらに、単一または複数の管腔を有する導管であってもよい。導管は、ウェビング(webbing)または他の方法で接合されてもよく、またはコネクタ本体において互いから完全に分離されてもよい。本発明の範囲において、流体デリバリ導管は、通常独立した流体経路(paths)を形成する。
【0047】
図6及び
図9は、第1部分112と第2部分114とが互いに除去可能及び交換可能に結合するように構成されることを示す。用語「除去可能及び交換可能に結合」は、患者がコネクタを組立及び使用する際に、患者を援助するように、部分が互いに繰り返し結合及び分離されてもよいことを意味する。有利なことに、第1部分112及び第2部分114の結合は、コネクタが通常使用においてベース600に結合されるとき、患者が一方の部分を、他方の部分を除去せずに、除去できるようにする。代わって、患者は、コネクタ100がベース600から除去された後に、部分を分離できる。第1本体部分112と第2本体部分114とを通じてコネクタを繰り返し結合及び分離できる能力は、必要に応じて、患者が一方または両方の流体を交換することができるため、インフュージョンセットにおけるコネクタの使用において、大きな患者適応性を実現する。
【0048】
本体の第1部分112、及び第2部分114は、金属及び非金属を含むいずれかの適切な材料によって形成されてもよい。金属は、ばね鋼または似た材料であってもよい。ばね鋼は、主に自動車または工業的サスペンション用途において、ばねの製造において使用される鉄鋼を示すものとして、先行技術において使用される用語である。このような鋼鉄は、一般的に低合金マンガン鋼、中炭素鋼または高炭素鋼である。適切な非金属は、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を含む。通常、本体の第1部分及び第2部分はポリプロピレンから形成される。
【0049】
図2、
図3、
図5、
図6、
図7(b)、
図8、
図9は、本体の第1部分112及び第2部分114が、アーム120、ガイド部材130、及び流体デリバリ導管116、118を含んでもよいことを示す。これらの図面における例示的な実施の形態において、ガイド部材130及びアーム120の両方は本体110から外向きに延びる。加えて、ガイド部材130は、互いと同一であるように示され、一方で、アーム120は互いの鏡反射像である。
図4(a)、
図7(b)及び
図7(c)は、ガイド部材130は非均一なパターンにおいて互いから間隔を有して、アーム130の間に配置されてもよいことをさらに示し、一方で、
図4(b)及び
図7(d)は、それぞれのガイド部材130がアーム120より長いことを示す。
【0050】
しかしながら、本発明は、コネクタがインフュージョンセットのベースに不可逆的に結合可能である限り、この構造に限定されない。例えば、本体110に単一のアーム120のみがあってもよく、インフュージョンセットのベースにコネクタを結合するように機能する。有利なことに、これらの図面に示すように、それぞれの部分に1つのアーム120があってもよい。それぞれの部分にアームがあって、それぞれのアームが独立した結合手段を有すると、患者は、一方の部分を、他方の部分を分離させることなく、分離させることができて、独立した流体制御が容易になる。
【0051】
本発明の様々な実施の形態において、アーム120のみがあって、ガイド部材130がなくてもよい。それぞれの部分112、114にアーム120及び/またはガイド部材130があると、これらは同じであってもまたは異なってもよい。アーム及び/またはガイド部材は、例えば、インフュージョンセットのベース600との結合方法において異なってもよい。さらに、アーム120は、ガイド部材130より長くてもよくまたはガイド部材130と同じ長さであってもよく、アームはガイド部材130の間に配置されてもよい。
【0052】
アーム120とベース600との間の結合は限定されておらず、スナップフィット特徴の使用等のいずれかの公知の接続方法を用いてもよい。同様に、ガイド部材130(存在する場合)とベース600との結合は限定されておらず、本明細書にて定義される相補的な表面特徴を用いてもよい。
【0053】
本発明の様々な実施の形態において、アーム120は
図5に示す2つのセクション120A、120B、即ち(
図1に示すコネクタの使用においてインフュージョンポンプの位置に対して)遠位セクション120Bと、近位セクション120Aとに分割される。様々な実施の形態において、アーム120は、その間に非均一な断面積を有する少なくとも2つのセクションを有する。代替的な実施の形態において、アーム120は、例えば、
図3及び
図5に示すガイド部材130と同様に、実質的に均一な断面を有する。
【0054】
インフュージョンセットのベース600との結合において、アーム120は、「スナップフィット」結合手段を有してもよく、またはアームとベースとの相補的な表面特徴に依存してもよい。「スナップフィット」結合手段は、
図5及び
図8に明確に示すように、フック形状を有する端部122、傾斜面または同様な構造を有してもよい。例えば、
図5に示すように、「スナップフィット」結合手段122は、本実施の形態における遠位セクション120Bに設けられ、フック形状を有する端部の形態を有する。
【0055】
アーム120上に「スナップフィット」または表面特徴結合手段があると、当業者は、インフュージョンセットのベース600が、コネクタ100とベース600との係合を可能にする対応する特徴を含むと理解する。対応する特徴は、本明細書にて規定される「スナップフィット」結合手段と一致するような凹部、溝、キー溝(keyway)またはスロット、または一致する表面特徴であってもよい。
【0056】
例えば、「スナップフィット」結合手段122は、ベース600にコネクタ100を挿入する際に、患者がコネクタ100のアーム120をグリップすることによって圧縮されてもよく、この圧縮は、結合手段122がベースにおける対応する特徴(例えば、ベースのハブ)の上をスライドすることを可能にする。コネクタ100がベース600に完全に挿入されると、患者のグリップの開放は、アーム120と「スナップフィット」結合手段122の再拡大を可能にして、ベース600における一致する凹部、溝、キー溝またはスロットとの結合を可能にする。この係合は、ベース600において、少ない移動でコネクタ100が適切な位置において保持されることを可能にする。
【0057】
流体デリバリ導管116、118は、インフュージョンセットのベース600における適切な入口またはチャネルに流体を供給するように適合されている。
図2から
図9には示さないが、コネクタ100は、少なくとも2つの貫通要素を含んでもよい。これらの貫通要素は、流体デリバリ導管116、118内に配置されてもよく、そこから、例えば、ガイド部材130と同じ方向に外向きに延びてもよい。貫通要素は、流体デリバリ装置から挿入部分への流体経路を形成するように、ベースのハブにおいて取り付けられると、挿入部分を穿孔または貫通するように構成されたいずれかの適切な構造を含んでもよい。貫通要素は、インフュージョンセットの挿入部分において設けられるものとして、下記のようにさらに定義されてもよい。
【0058】
本発明の様々な実施の形態において、コネクタは、少なくとも2つの貫通要素と、本体110の各部分112、114から外向きに延びるアーム120とを有る。それぞれのアーム120は、結合手段122を有し、貫通要素は、アームの結合手段とともにコネクタをインフュージョンセットのベースに係合させてもよい。この構成において、当然、ガイド部材130は任意である。
【0059】
上述のように、第1部分112と第2部分114との間の有利な除去可能及び交換可能な結合は、
図4(c)及び
図6の例示的な実施の形態において明確に図示されている。これらの図面より、例えば、結合は、コネクタ本体110の長さの少なくとも一部の上にわたっていることを認識できる。様々な実施の形態において、結合は、コネクタ本体110の実質的な長さにわたってもよい。この構成は、複数流体インフュージョンセットにおいて使用されると、高い信頼性及び適応性を有する流体投与を保証するように強固であるが分割可能なコネクタをもたらす。認識すべき点は、少なくともインフュージョンセットのベースに隣接した領域において結合が行われることである。即ち、インフュージョンセットは、コネクタが互いから離れた分離した別個の投与領域の対に結合されていることを要しない。患者は、複数の流体の供給を受けるために単一のインフュージョンセットのみを要する。
【0060】
図4(c)の端面図及び
図6の分解図は、第1部分112が、第2部分114の内部における相補的な表面特徴160によって受けられる表面特徴150を有することを示す。本明細書にて使用される用語「表面特徴」は、それぞれの部分の表面の上、その内部に形成され、またはそこから突出し、本体部分の相互結合を可能にする、許可する、実現するまたは容易にするいずれかの適切な大きさ、形状寸法、または要素を有するいずれかの適切な構造、カプラ、コネクタ、アダプタまたは特徴を含んでもよい。適切な表面特徴の例示は、戻り止め(detent)、リブ、スロット、キー、溝、波形構造(corrugation)、くぼみ(indentation)、または他のいずれかの適切な機械的結合または取付要素を含む。ある実施の形態において、本体部分は、中間結合部分を通じて、互いに間接的に結合されてもよい。
【0061】
図4(c)及び
図6に示すように、第1部分112は、その上に形成され、そこから外向きに延びる実質的に長方形型のレールタイプの表面特徴150を含んでもよい。しかしながら、1つ以上の表面特徴が採用されると、これらは第1部分112の選択された位置に間隔をあけて配置されてもよい。第2部分114は、第1部分と対向する表面において形成される、例えば、溝または凹部160等の1つまたは複数の相補的な形状を有する表面特徴を含む。1つ以上の表面特徴が採用されると、これらは第1部分における表面特徴の位置に対応する選択された位置に配置される。したがって、その中に形成された溝または凹部160を有する第2部分114は、第1部分112の対応するレール150を受けるように適合されている。
【0062】
当業者は、本発明の第1部分112及び第2部分114によって様々な異なるタイプ及び形状の表面特徴が採用されてもよいことを容易に認識する。表面特徴は、コネクタの分離及び再結合を容易にするようにテーパを有する断面を有してもよい。当業者は、
図4(c)及び
図6に示すように、例えば、第2部分114に形成され、そこから外向きに延びる長方形型のレールタイプの表面特徴150と、第1部分112の表面内に形成された相補的な溝または凹部160との結合が、逆にされてもよいことを認識する。
【0063】
図4(c)の端面図及び
図6の分解図に示すように、本体の部分(ここでは、第2部分114)内に形成される表面特徴は、リップまたは隆起したエッジ162によって、狭まった断面(例えば、ネック)を有してもよい。この狭まった断面は、本体の長さに沿ってもよく、または溝/凹部の形状が他の本体部分における表面特徴と一致するとの理解の上で、本体の長さの一部に沿ってもよい。有利なことに、リップまたは隆起したエッジ162は、患者がレールタイプの表面特徴150と部分とを分離させて外すことをできるため、一方の部分を、他方の部分を除去することなく、除去することを容易にする。
図6は、溝160におけるレールタイプの表面特徴150の配置を示す点線を含み、一方の部分(ここでは112)が、他方(ここでは114)を除去することなく、除去されてもよいことを示す。これは、先行技術におけるコネクタに対する大きな改善であり、インフュージョンセットを通じた流体供給において患者に向上した適応性を提供する。
【0064】
第1部分112と第2部分114との間の結合の代替的な実施の形態が
図7から
図9に示されている。
図7(a)及び
図7(c)の端面図は、
図9の分解図とあわせて、一方の部分(例えば、112)に実質的に円柱状なレールタイプの突出部150が形成され、他方の部分(例えば、114)の内部に相補的な凹部160が形成されることを示す。凹部160への円柱状のレール150の配置は、
図9における点線で示されている。
図6に示すように、レールは本体の長さに沿って形成されるが、本発明は、この構成に限定されない。加えて、凹部160は、各部分を互いから独立した除去及び交換を容易にするようにリップ162を有する。
図2から
図6と
図7から
図9との間の対応する特徴には同一の参照符号が付されている。
【0065】
第1部分112と第2部分114との間の結合のさらなる代替的な実施の形態が
図10、
図11及び
図12に示されている。
図10(a)に図示されるコネクタは、雄コネクタ部分154(
図10(c))を有する第1部分112と、雌コネクタ部分164(
図10(b))を有する第2部分114とを有する。雄コネクタ部分154は、雌コネクタ部分164内の内部溝と一致するリブ領域154Aを有する。代わって、雄コネクタ部分は、雌コネクタ部分内の内部スレッドと一致する外部スレッドを有してもよい。雄雌結合は、雄コネクタ部分が第2部分にあって、雌コネクタ部分が第1部分にあるように逆にされてもよい。
【0066】
雄コネクタ部分154は、
図12(a)及び
図12(b)からより明確に認識でき、雌コネクタ部分164は、
図11(a)及び
図11(b)から認識できる。この例示的な実施の形態において、雌コネクタ部分164は、凹部における端面壁164Aを有し、これは、コネクタがインフュージョンセットのベースに取り付けられている間、雄コネクタ部分を有する部分のみが分離及び再結合できることを意味する。特定の実施の形態において、この除去機構は、どの流体が連続的に投与されるかを制御するように患者または臨床医によって使用できるため、有益的である。例えば、インスリンは、雌コネクタ部分を有する部分を通じて投与されてもよく、よって、連続的な投与が保証され、グルカゴンは、インフュージョンセットへの取付及び分離における適応性によって、雄コネクタ部分を有する部分を通じて投与されてもよい。
【0067】
本図面に示されていないが、コネクタ本体の部分の1つは、そこに結合したバヨネットスタイルのコネクタの雌部分を有してもよい。バヨネットスタイルのコネクタの雄部分等の対応する特徴要素は、他の本体部分に結合されてもよい。
【0068】
本発明におけるコネクタは、
図1に示すように、インフュージョンセットにおいて使用されてもよい。
図1によって例示されるインフュージョンセットは、接着部分610とデュアル挿入部分500とを有するベース600を含む。本例示的実施の形態のベース600は、
図18から
図23に示すように、デュアル管腔ベースである。
【0069】
ベース600は、その形状、大きさ及び接着部分において
図1に関して上記で説明される。しかしながら、
図22も、ベース600がハブ620と2つの管腔630とを有し、それぞれが挿入部分500を受けることを示す。管腔630におけるそれぞれの挿入部分500の配置は
図22における点線によって示されている。
【0070】
ハブ630は、ベースがコネクタ(図示せず)に結合できるように、内部に形成される開口640を有する。本発明の様々な実施の形態において、ハブ630は、コネクタとの結合のために1つまたは複数の相補的な特徴、例えば、フック形状を有する端部122、傾斜面等の「スナップフィット」結合手段との結合のために1つまたは複数の開口640を有する。このような結合手段とベースとの結合は、上述されており、下記の実施の形態とともに、
図18から
図23に示す実施の形態にも同様に適用される。開口640とともに、ハブ630は、例えば、コネクタ100のアーム120を受けるように、コネクタを受けるように、開口650を有してもよい。
【0071】
デュアル管腔ベース600における管腔630は、特に限定されておらず、挿入部分500の相補的な表面特徴と一致または係合するように、いずれかの適切な表面特徴等を有してもよい。表面特徴は、本明細書にて定義するものであってもよい。
図22は、例えば、挿入部分(図示せず)のハウジングにおける相補的な突出部と嵌合するような形状を有する凹み632を、各管腔630において示す。
【0072】
図18、
図19、
図20及び
図23に示すように、挿入部分500は、その内部に実質的にフラッシュフィット(flush fit)を形成し、金属針、カニューレ等の貫通要素520がベース600の底面または下面から突出できるように、管腔630によって受けられる。加えて、管腔630における挿入部分500の係合は、挿入部分500のポート512から貫通要素520への流体経路(pathway)を容易にする。
【0073】
図20及び
図21は、特に貫通要素520がどのようにベース600の下面または底面から突出するかを示す。貫通要素520は、投与する流体、患者の特徴等によって、異なるながさ、形状及び/またはプロファイルを有してもよい。例えば、貫通要素520は、中空、中実、半分または他の分数の針を含んでもよく、18ゲージから29ゲージ等の範囲における直径を有してもよい。この針は通常金属によって形成される。代わって、貫通要素520は、セラミック、プラスチック、複合材料、シリコンマイクロ針、生分解性物質、疎水性物質等の非金属材料によって形成される穿孔部材を含んでもよい。
【0074】
本発明の様々な実施の形態において、貫通要素520はカニューレを含む。カニューレは、金属針または非金属の穿孔部材とともに使用されてもよく、または自己貫通カニューレであってもよい。当業者は、様々な貫通要素のための適切な材料を認識している。自己貫通カニューレは、例えば、コネクタ本体部分の材料として上述された熱可塑性樹脂から形成されてもよく、別の穿孔部材とともに使用されるカニューレは、PTFE等の柔らかい、不活性なプラスチック材料であってもよい。1つより多くの貫通要素520が使用されると、
図20に示すように、これらの要素は同一であってもよくまたは異なってもよい。具体的には、要素は、金属または非金属等の同じ材料から形成されてもよい。代わって、要素は異なってもよく、異なる材料から形成されてもよい。
【0075】
本発明の他の実施の形態において、
図26、
図27及び
図28に示すようなインフュージョンセット1が提供される。
図26は、インフュージョンセット1がベース800とコネクタ200とを含むことを示す。この例示的な実施の形態におけるコネクタ200は、
図13から
図17においてより詳細に示されている。
【0076】
図14はコネクタ200の透視図であって、本発明の本実施の形態のコネクタが本体210と、アーム220と、流体デリバリ導管216、218とを有することを示す。アーム220は、
図2から
図9において上述された実施の形態によって構成されてもよい。具体的には、アームは遠位部分と近位部分とを有し、遠位部分は、コネクタをインフュージョンセットのベースに取り付けるように結合手段222を有する。結合手段222は、
図14、
図16及び
図17において、フック形状を有する端部として示されているが、上述されたいずれかの形態を有してもよく、
図2から
図9におけるコネクタについて上述された方法と同様に、インフュージョンセットのベース800と「スナップフィット」をさらに形成してもよい。
【0077】
図13から
図17に示すコネクタ200は、
図2から
図9のコネクタと同様に、ガイド部材(図示せず)を有してもよい。
【0078】
図13は、
図14におけるコネクタ200の側面図である。
図15は、流体デリバリ導管216、218の端面プロファイルを示す端面図である。このような導管の断面図(A-A)は
図17において示されている。
図17から、導管がコネクタ本体の長さに沿って延びて、本体を通じて流体経路を設けることを認識できる。
図17からは、導管216、218がその長さに沿って均一でない形状を有してもよいことも認識できる。代替的な実施の形態において導管は、その長さに沿って実質的に均一な形状を有してもよく、例えば、導管は実質的に筒状であってもよい。導管はアレーを形成してもよく、互いに同心円状であってもよい。本発明は、少なくとも2つの独立した流体の供給のための独立したチャネルであることを維持する限り、この観点において限定されない。
【0079】
図26におけるベース800の例示的な実施の形態は、
図24及び
図25に示されている。特に
図24(a)(ベースの透視図)から、ベース800がハブ820とその内部に形成された単一の管腔830とを有することを認識できる。管腔830は1つまたは複数の壁を有し、
図24(a)は、これらの壁が特徴、例えば、凹み832を有してもよく、凹み832は、下記のように、その内部に受ける挿入部分への流体経路を形成することと関与する。
図24(b)は、少なくとも管腔の上部が挿入部分のハウジングの上部、例えば、
図28におけるハウジング410の上部の形状と嵌合するような形状を有してもよい。
【0080】
図24(b)の断面A-Aは、ハブ820を通じた管腔830のプロファイルを示す。この例示的な実施の形態において、管腔830は、下部より大きい幅を有する上部、テーパ断面を有する。
図28から、この形状がどのようにカニューレハウジング410に対応するかを認識できる。管腔830は、しかしながら、この形状に限定されず、挿入部分の対応する特徴と嵌合するいずれかの形状または大きさであってもよい。
図24(b)の断面A-Aは、コネクタと凹みまたは他の特徴832との結合のための開口850の位置も示す。
【0081】
図24(b)の断面B-Bは、この例示的な実施の形態において、チャネル860の横プロファイルとともに、ベース800上におけるハブ820のフィット及び位置を示す。
図24(a)、
図24(b)及び
図24(c)に示すように、ハブ820はチャネル860を含んでもよい。これらのチャネル860はいずれかの形状または大きさであってもよい。本発明の様々な実施の形態において、これらのチャネル860は、(コネクタを通じて)少なくとも2つの独立した流体源と挿入部分(図示せず)と流体経路を形成するように構成される。
【0082】
図25(a)は、例えば、管腔830の方向において、チャネル860がテーパ断面を有し、その全長に沿って互いから分離していることを示す。チャネル860は、当然、コネクタと挿入部分との間で、少なくとも2つの個別の流体経路を形成するいずれかの断面を有してもよい。
図32(b)(
図32(a)の断面)は、例えば、チャネル860が、挿入部分のハウジングの外部に向かって延びてハウジングの外部を囲む流体経路を形成してもよいことを示す。下記においてより詳細に説明するように、
図32における実施の形態は、少なくとも2つの独立した流体経路にしっかり分割するように、チャネル860との結合のために内側表面にトラックを有するキャップ要素との使用のためのものである。
【0083】
図28は、チャネル860がコネクタ200と結合するように使用されてもよいことを示す。図示された実施の形態において、コネクタ200は、流体デリバリ導管216、218として自己貫通カニューレを有し、これらのカニューレは、投与される流体のために2つの独立した流体経路を形成するように、チャネル860の出口またはポートに配置される膜または隔膜880を穿孔または貫通する。このような膜または隔膜880は、シリコーンゴム等の穿孔部材から知られているいずれかの適切な材料にから形成されてもよく、チャネル860のネックの一部として通常形成される。
【0084】
図28は、ハウジング410に接続され、ハウジング410から延びる貫通要素420を有する挿入部分400の例示的な実施の形態を示す。挿入部分は、キャップ要素またはシール700によって覆われている。この例示的な実施の形態において、カニューレ420は、複数管腔カニューレである。
図28から、管腔830は、挿入部分400の特徴(例えば、ポートまたはチャンバ入口)と結合するように、例えば、凹み832等の壁(例えば、内壁)における少なくとも1つの特徴を含む。
【0085】
それぞれの図示された実施の形態の挿入部分は、例えば、プログラム可能な外部インフュージョン装置によって、インスリンまたは他の活性物質の投与のために、長期間にわたって連続的な及び/またはプログラム可能な態様で、患者に流体を供給するように使用されてもよい。
【0086】
図28における挿入部分400とベース800と管腔830との内部における配置は、
図29においてさらに示されている。
図29(a)は、
図26におけるインフュージョンセットの底面であって、
図25(a)と同様に、チャネル860がテーパ断面を有し、管腔830と貫通要素820とに向かって延びることを示す。それぞれのチャネルは、コネクタから貫通要素への独立した流体経路を形成する。
図29(a)は、コネクタのアーム220がどのようにベース800と結合するかも示す。
【0087】
図29(b)は、チャネル860にわたって延びる
図29(a)における断面A-Aである。
図29(b)から、コネクタ200が、まず、流体デリバリ装置(図示せず)と流体経路を形成するように、本体からチャネル860内に延びる貫通要素216、218を有することを認識できる。
図29(b)は、挿入部分400がハウジング410から延びる貫通要素420を有することを示し、ハウジング410は、一方のチャンバに収容された流体が、他方のチャンバに収容された流体と接触できない点において、互いから独立した少なくとも2つの内部チャンバを有する。ハウジング410の内部におけるチャンバ412、414は、
図30及び
図31においてより明確に図示される。この例示的な実施の形態において、ハウジングは、2つのチャンバを有するが、本発明はこの構成に限定されない。ハウジングは、2つまたは3つ以上のチャンバを有してもよく、各チャンバは、独立した流体源と流体的に連通している。
【0088】
最後に、
図29(b)は、挿入部分400がどのように管腔830内で配置されている(sits)かを示し、管腔の1つまたは複数の壁の特徴、例えば、凹み832が、流体経路を形成するように挿入部分400の特徴と一致または対応できることを示す。当業者は、少なくとも2つの独立した流体を供給するためには、少なくとも2つの独立した流体経路があって、よって、流体経路を形成するように、挿入部分の少なくとも2つの特徴と一致または対応する管腔の壁の少なくとも2つの特徴があると理解する。
【0089】
この例示的な実施の形態において、管腔830の壁(例えば、内壁)における凹み832は、挿入部分400のハウジング410におけるチャンバ(ここではチャンバ412)のためのポートまたは入口と実質的に揃う。管腔壁における凹み832と挿入部分400のハウジング410におけるポートまたは入口との位置合わせは、ベースに結合されたコネクタから、挿入部分へ、及び最終的にはインフュージョンセットの配置位置を通じて患者への流体経路を形成する。
【0090】
図30(a)及び
図31(a)は、
図27、
図28及び
図29の挿入部分400に関して、この挿入部分400が、貫通要素(例えば、カニューレ)420とハウジング410とによって構成されてもよく、ハウジングが上部またはカバー430を含むことを示す。
図30(a)及び
図31(a)の両方から、ハウジング410(ここではその上部またはカバー430)が、ベースにおける流体経路との結合のために入口またはポート416を含むことを認識できる。
【0091】
図30(b)における断面
図A-Aは、貫通要素420がハウジング410から延びて、上部またはカバー430がハウジング410をシールできることを示す。
図30(c)における断面
図B-Bは、この例示的な実施の形態におけるハウジング410の内部はチャンバ412、414を規定する1つまたは複数の壁を有することを示す。チャンバ412、414は、互いから分離され、間隔を有して配置され、本実施の形態において、分離は、ハウジングにおける中間または分割壁418によって実現される。チャンバは、いずれかの形状及び大きさであってもよく、本発明の様々な実施の形態において、チャンバは、ハウジングの内側容積の大半(>50%)を占める。
図30(c)より、図示された実施の形態において、カバー430はその内側表面の長さに沿って延びる壁418を有し、よって、カバー430がハウジング410をシールするように配置されると、チャンバ412、414が形成される。代わって、チャンバ412、414は、完全にハウジング410の内部において形成されてもよく、カバー430はその後で内側チャンバの上に配置される。
【0092】
図31(b)に示すように、チャンバ412、414はハウジング410の反対側に配置されてもよく、それぞれ個別のポートまたは入口416を有する。各ポートまたは入口416は、ハウジング410の上部430において、または本明細書にて説明されるコネクタの流体デリバリ導管を通じて流体源との流体的な連通を提供するいずれかの適切な位置において配置されてもよい。流体経路は、独立した流体デリバリ導管から、入口416を通じてチャンバ412、414及び貫通要素420へ形成される。対応して、それぞれのチャンバ412、414は、貫通要素420の管腔と流体的に連通した出口をさらに有する。これは
図30(c)から認識できる。
図30(c)の実施の形態における貫通要素420は、2つの管腔に囲まれた穿孔部材422を有する複数管腔カニューレであって、それぞれの管腔は、互いから独立しており、カニューレの長さに沿って延びる。しかしながら、チャンバ412、414は、個別の穿孔部材を含まない複数管腔カニューレ、例えば、硬い自己貫通カニューレと流体的に連通した出口を有してもよい。混合または汚染を回避するように、それぞれのチャンバ412、414は、カニューレの1つの管腔のみと流体的に連通する。
【0093】
本発明における使用のための複数管腔カニューレ(例えば、
図30(c)に示すカニューレ420)は2つまたは3つ以上の管腔を含み、それぞれの管腔は、インフュージョン配置位置におけるカニューレの出口に特定の流体を供給するように適合されてもよい。カニューレの複数の管腔は、独立したチャネルであって、それぞれのチャネル自体が、単一または複数管腔チャネルであってもよい。複数の管腔は、アレーまたは同心円状の管腔として配置されてもよい。このように、第1個別流体経路が第1流体のみのために形成され、第2個別流体経路は、第2流体のみのために形成される。様々な実施の形態において、第1管腔(即ち、第1流体と流体的に連通した管腔)は外側管腔であって、第2管腔は内側管腔である。代替的な実施の形態において、第1管腔は内側管腔であって、第2管腔は外側管腔である。他の実施の形態において、管腔は、それぞれの管腔の遠位端が互いから離れているように、カニューレの長さに沿って並んで配置される。
【0094】
図30(b)に示すように、複数管腔貫通要素420は、近位端において、ノッチ付き端部450を有してもよい。このようなノッチ付き端部は、インフュージョンセットにおける貫通要素の回転を抑制し、よって、収容された流体が混合することと、それぞれのチャンバと貫通要素の管腔との間で患者の内部へ流れることとを回避できるため、有益的である。ノッチ付き端部は、インフュージョンセットの製造において導入されてもよく、よって、セットの使用において、流体汚染を回避するための簡単かつ信頼性が高い機構である。
【0095】
上述のように、
図32は、
図32(b)としてチャネル860の断面A-Aを含む。この断面図は、単一の管腔830と、管腔に向かって延びて実質的に囲むチャネル860とを有するベース800の例示的な実施の形態である。図示された実施の形態において、管腔は円形であるが、本発明はこの形状に限定されない。管腔は、例えば、実質的に長方形、三角形または類似の形状を有してもよい。管腔の形状にかかわらず、チャネル860は、管腔のエッジの周り(例えば、円周)を延びてもよく、よって、コネクタから挿入部分への流体経路を形成する。チャネル860は管腔の全周に沿って延びてもよく、少なくとも2つの独立した部分に分割される(図示せず)。
図32(b)に図示された実施の形態において、チャネル860は閉じた遠位端862をそれぞれ有する。本明細書における説明より、
図32(b)に図示されたチャネル860は、挿入部分(図示せず)と2つの独立した流体経路を形成し、その内側表面にトラックを有するカバーまたはキャップ(図示せず)と、ハウジングのチャンバ入口と揃う管腔の1つまたは複数の壁における特徴とともに使用されてもよい。このようなカバーまたはキャップは
図37に示されて、下記において説明される。
【0096】
図37は、インフュージョン部分をベースにシールし、よって
図32(b)のチャネル860におけるシールされた流体経路を形成するように使用されてもよいキャップ要素700の
図37(a)から
図37(f)を含む。キャップ要素700は、いずれかの適切な機構によってベース及び/または挿入部分に結合または固定されてもよい。図示された例示において、キャップは、その底面に形成された複数のトラックを含み、トラックは、例えば、ベースのハブ及び/または挿入部分のハウジングにおける対応するトラックと嵌合するように適合される。これらのトラックは限定されておらず、キャップ700をベース及び/または挿入部分に結合するようにいずれかの適切な形態を取ってもよい。
【0097】
様々な実施の形態において、キャップは、ベースと結合するように、その内側表面において、少なくとも1つのトラック710を有する。
図37(b)及び
図37(e)から、トラック710が内側表面のエッジに沿って延びてもよく、その長さにおいて少なくとも1つの溝を含んでもよいことを認識できる。しかしながら、本発明は、このトラック構成に限定されない。ベースと結合するためのトラック710は、患者の安全性を向上させるように、及びインフュージョンセットの誤った使用を抑制するように、除去不可能な態様において、キャップ700をベースに有益的に固定してもよい。よって、トラック710は、キャップの他の部分と同じ材料、例えば、ポリプロピレン等のプラスチック材料によって形成されてもよい。
【0098】
様々な実施の形態において、キャップ700は、ベースにおけるチャネルと、挿入部分のハウジングと結合するように、その内側表面に少なくとも1つのトラック720をさらに有してもよい。上述のように、このトラック720は、ベースと挿入部分のハウジングとにおける1つまたは複数のチャネルと結合してもよく、よって、コネクタから挿入部分への少なくとも2つの独立してシールされた流体経路を形成する。シールされた流体経路を形成する要求に応じて、トラック720の材料は、トラック710の材料と異なってもよい。本発明の様々な実施の形態において、トラック720は、シリコーンゴム等の膜材料によって形成されてもよい。代わって、トラック720の材料は、トラック710の材料と同じであってもよい。トラック720は、その内部に少なくとも2つの溝722を有してもよく、溝722は、挿入部分の少なくとも2つの入口及び/または管腔の壁における表面特徴と揃うようにトラックに配置される。
【0099】
図37(e)に示すように、トラック710とトラック720との両方は、
図33、
図34、
図35及び
図36に開示されるセンサ部分の一部を形成する溝730を有してもよい。本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットはセンサ部分を含む。具体的には、センサ部分は、複数管腔貫通要素の管腔の1つの内部に配置されるセンサと、インフュージョン配置位置から流体デリバリ装置へ延びる経路とを含む、この経路は挿入部分のハウジングにおける溝340と(例えば、
図33(a)、
図33(b)、
図34、
図35(b)参照)、ベースにおける溝870と(例えば、
図36(a)及び
図36(d)参照)、キャップ700における1つまたは複数の溝730と(
図37参照)を含んでもよい。それぞれの溝は、センサがインフュージョン配置位置における患者の1つまたは複数の身体の特徴を監視し、流体デリバリ装置(例えば、インフュージョンポンプ等)にその情報を送信するように、実質的に位置合わせされる。
【0100】
センサ部分を有するインフュージョンセットのための挿入部分は
図33、
図34及び
図35に示されている。特に、
図33は、3管腔カニューレ320と、挿入部分300としてハウジング310との図面33(a)及び
図33(b)を含む。3管腔カニューレは、上述のデュアル管腔カニューレに対応してもよく、ただし、ハウジング、例えば、ハウジングの上部330における溝340と、センサを受けるための追加の管腔とをさらに含む。
図33(a)の点線は、センサ経路が溝340からカニューレ320の内部に形成されてもよいことを示す。
【0101】
センサ経路は
図34及び
図35から認識できる。デュアル管腔カニューレの説明と重複するこれらの図面の特徴は、対応する参照符号、例えば、第1チャンバ312、第2チャンバ314及び分割壁318とともに図示されている。
【0102】
図33(b)は、チャンバ入口316の相対位置を示す。
図35(b)における断面
図B-Bは、中間壁318によって分離されるチャンバ312、314を示す。
図34は
図34(a)及び
図34(b)を含む。
図34(a)は、上部330とセンサ溝340とにわたった断面
図A-Aであって、318によって分割されるチャンバ312、314を示し、そこを通じて複数管腔カニューレ320の内部に延びるセンサ経路を有する。
【0103】
図34(b)は上部330とセンサ溝340とにわたった他の断面
図C-Cである。しかしながら、この図面は、50:1の縮尺で詳細Dを含み、個別のチャンバの間でその回転を抑制するカニューレ320のノッチ付き端部350を示す。このノッチ付き端部は、本明細書にて説明されるいずれかの複数管腔貫通要素に含まれてもよい。
【0104】
センサ部分を有するインフュージョンセットのためのベースが
図36(a)から
図36(e)に示されている。ベースは、主に、例えば、
図26に示されているベースに対応しており、ただし、ハブ820はセンサ経路のためのその内部に形成された溝870をさらに有する。溝870は、管腔830から延びてもよく、コネクタに向かうセンサ経路を形成するように管腔830に受ける挿入部分における溝と実質的に揃うように配置されてもよい。
【0105】
図36(d)は、ベース800の透視図であって、溝870がどのように管腔830から延びるかを示す。
図36(d)から、チャネル860がどのように、遠位端862と凹み832とともにその内部に形成されるかを認識できる。類似の特徴は
図36(a)から認識できる。
図36(a)は、カバー700がベース800とどのように係合するかを理解するように、
図37のカバー700とトラック710、720との底面と比較されてもよい。
【0106】
複数管腔貫通要素の1つの管腔の内部に配置されたセンサは、先行技術において知られているいずれかの適切なセンサであってもよい。一般的な操作において、生物的サンプル(例えば、血液または他の流体)、またはその一部はセンサに(間接的にまたは直接的に)接触して、1つまたは複数の身体の特徴の測定を可能にする。したがって、センサは、対象の分析物質、または流体における分析物質の濃度または有無を示す物質の濃度を測定してもよい。本発明の例示的な実施の形態において、センサは、生体内または生体外における分析物質の指標として、酸素が存在する環境において、分析物質(例えば、グルコース)と酵素(例えば、グルコース酸化酵素)との間の酵素反応の生成物または反応物(例えば、H2O2)を検知するタイプであってもよい。このようなセンサは、通常、分析物質を測定するように、電流測定、電量測定、伝導性測定、及び/または電位差測定の技術を使用する。
【0107】
本発明の様々な実施の形態において、インフュージョンセットのセンサ部分は、血糖値を監視し、自動化及び/または半自動化された薬物インフュージョンポンプとともに使用されてもよい。追加的な実施の形態において、センサ部分は、ホルモン、コレステロール、薬品濃度、pH、酸素濃度、ウィルス量(例えば、HIV)等の他の薬剤、特徴または組成のレベルを特定するように使用されてもよい。
【0108】
図38は、
図36のベース800と、
図37のカバー700と、挿入部分300とがどのように互いに結合するかを示す。
図38(a)は、組み立てられたベース800と、カバー700と、挿入部分とに関与する。挿入部分の貫通要素320は、ベース800の底面から延びるように示されて、カバー700は、ベースの内部における挿入部分をシールするように示されている。
図38(b)は、チャネル860に対する挿入部分ハウジング310の位置を示すようにチャネル860にわたった縦方向の断面A-Aと、様々な要素の分解図とを含む。分解図において、挿入部分300において形成されるチャンバ入口316が管腔の1つまたは複数の壁における凹み832と揃うこと、及び、ハウジング310の上部における溝340がハブ820における溝870と揃うことを示す。
【0109】
図38(c)は、管腔830における挿入部分300の位置と、センサ経路340の両側におけるチャンバ312、314の位置を示すように、ベース800と貫通要素320との底面にわたった断面B-Bを含む。
図38(c)の分解図において、カバー700がその底面においてトラック720を有することを示し、トラック720は、挿入部分ハウジング310における入口316と揃う。
【0110】
本発明に係るコネクタとインフュージョンセットとは、患者に少なくとも2つの独立した流体を注入または供給することに適している。流体は活性物質を含むが、活性物質は限定されず、先行技術において知られているいずれかの薬物、酵素、抗原、ホルモン、ビタミン等を含んでもよい。特定の実施の形態において、インフュージョンセットは、外部のインフュージョン装置またはポンプと結合されてもよい。外部のインフュージョン装置に結合されると、インフュージョンセットは、(例えば、
図1に示すような)取り外しケーブルまたはチューブを含んでもよく、水泳、シャワーをする等の際に、患者の体からインフュージョンセットを完全に除去することを要せず、患者が装置またはポンプからインフュージョンセットを容易に取り外せる。特定の実施の形態は、人間における使用に向けられているが、代替的な実施の形態において、インフュージョンセットは動物において使用されてもよい。
【0111】
本明細書にて説明される様々な実施の形態は、請求項に記載された特徴の理解及び開示を支援するためにおいてのみ記載されている。これらの実施の形態は、実施の形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的及び/または排他的ではない。本明細書にて説明される利点、実施の形態、例示、機能、特徴、構造及び/または他の態様は、請求項または請求項と同等な限定によって定義される本開示の範囲に対する限定であると認識されるべきでなく、他の実施の形態が使用されてもよく、請求項に記載された開示の範囲から離脱することなく改造がなされてもよいと理解されよう。本開示の様々な実施の形態は、本明細書にて具体的に説明される開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段等以外のもの適切な組み合わせを適切に有してもよく、これから構成されてもよく、またはこれから本質的に構成されてもよい。加えて、本開示は、現在請求項に記載されていないが、将来的に請求項に記載される他の開示を含んでもよい。