(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】オートバイ用ヘルメット内に設けられた電動機器を充電するためのワイヤレス充電システム付きオートバイ
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241031BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20241031BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241031BHJP
B62J 9/14 20200101ALI20241031BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J7/00 302D
H02J7/00 V
H02J50/40
H02J7/00 301B
B62J9/14
B62J45/00
(21)【出願番号】P 2022529386
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 IB2020060752
(87)【国際公開番号】W WO2021099911
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】102019000021696
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515217546
【氏名又は名称】ピアッジオ エ チ.ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】サントゥッチ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】サッキ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】バラッキーノ,ルイジ
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187782(JP,A)
【文献】特開2007-074784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/12
H02J 50/40
B62J 9/14
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイのヘルメットを収容し、ヘルメットが配置され得る区画を画定するコンテナであって、前記区画に関連付けられ、電源に作動的に接続され得、前記ヘルメットに関連付けられた少なくとも一つの充電可能なバッテリが設けられた電動機器の少なくとも一つの無線受電装置に送電を行うように適合され、無線充電の工程中に前記バッテリを充電するようにされた少なくとも一つの無線送電装置を備えたコンテナと、
前記コンテナの前記少なくとも一つの無線送電装置に、作動的に
接続される又は接続され得る電気システムであって、オートバイのバッテリが設けられ、以下の制御を実行する電子制御装置を備えた電気システムと
を備え、
前記電子制御装置が、
前記ヘルメットの前記少なくとも一つの電動機器の少なくとも一つのバッテリの充電状態を制御し、かつ、
オートバイのバッテリの充電状態を制御し、かつ、オートバイのバッテリの充電レベルが閾値より低い場合に、ヘルメットの電動機器のバッテリの充電を停止し、
前記区画が、前記オートバイと一体に形成されており、
オートバイのシートが、前記区画の開放可能な蓋を形成し、
前記少なくとも一つの無線送電装置が、オートバイの電気システムに作動的に接続され、
前記少なくとも一つの無線送電装置がオートバイのシートに配置されている
ことを特徴とする、オートバイ。
【請求項2】
前記電子制御装置が、前記ヘルメットの前記少なくとも一つの電動機器の前記少なくとも一つのバッテリの充電レベルを使用者に示すように適合された通信インターフェイスを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のオートバイ。
【請求項3】
前記電子制御装置が、オートバイのオン状態又はオフ状態を検知するよう適合されたセンサを備え、
前記センサが、オートバイがオン状態にあると検知した場合、前記電子制御装置は、前記送電装置に電流を供給し、
前記センサが、オートバイがオフ状態にあると検知した場合、オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より高い時に、前記送電装置に電流を供給する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオートバイ。
【請求項4】
前記少なくとも一つの無線送電装置が、誘導結合型、好ましくは共振型である
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項5】
前記少なくとも一つの無線送電装置が、電流を誘導するよう適合された、少なくとも一つの電気コイル、好ましくは、平面状又は曲線状の電気コイルを備えている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項6】
前記少なくとも一つの無線送電装置が、複数の電気コイル、好ましくは、平面状又は凹状の電気コイルを備え、
前記複数の電気コイルが、予め定められた方式に従って互いに近くに配置されるか、又は部分的に互いに重ね合わせて配置される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項7】
前記電子制御装置が、前記無線送電装置のどの電気コイルが、ヘルメットに関連付けされた前記無線受電装置のコイルとより整列しているかを識別し、送電が最大になるように前記より整列した電気コイルに電流を送る
ことを特徴とする請求項6に記載のオートバイ。
【請求項8】
前記区画を画定する内面に、少なくとも一つの充電用表面送電領域を備え、
前記少なくとも一つの無線送電装置が、前記少なくとも一つの表面送電領域に設けられ、
少なくとも一つの充電すべき前記電動機器を備えたヘルメットを考慮して、
前記ヘルメットの所定の部分に配置される前記少なくとも一つの無線受電装置を備え、前記ヘルメットが前記区画に収容された時に、前記少なくとも一つの無線送電装置が、前記少なくとも一つの無線受電装置と向き合い、好ましくは、前記送電装置と前記
受電装置とが相互に軸線方向に整列した状態での送電を可能にする
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項9】
前記少なくとも一つの表面送電領域が凹状であり、前記ヘルメットが前記区画に収容された時に、ヘルメットの前記少なくとも一つの無線受電装置が設けられた前記所定の部分の凸部に前記凹状の前記表面送電領域が沿うようにされ、
前記区画にヘルメットが収容された時に、前記
凸部が、前記凹状の前記表面送電領域と接触するか、非常に近接するようにした
ことを特徴とする請求項8に記載のオートバイ。
【請求項10】
前記少なくとも一つの無線送電装置が、前記区画の
蓋、前記区画の底部、前記区画の側壁の一つ又は複数に設けられている
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項11】
前記コンテナが、トップボックスの形態であり、
オートバイへの固定用の取り外し可能な固定装置と、
前記少なくとも一つの無線送電装置をオートバイの電気システムに電気
的に接続するよう適合された電気接続装置と
を備えていることを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項12】
前記コンテナが、少なくとも一つの無線送電装置をヘルメットシェルに結合及び/又は固定する装置を備え、
前記少なくとも一つの無線送電装置及びヘルメットに関連付けられた少なくとも一つの無線受電装置が、送電に最適な相互位置で相互に接続及び/又は固定されるようにした
ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載のオートバイ。
【請求項13】
前記結合及び/又は固定する装置が、磁気吸引によって、送電装置とヘルメットとを相互結合及び/又は固定する
ことを特徴とする請求項12に記載のオートバイ。
【請求項14】
少なくとも一つの無線送電装置が、前記コンテナの前記区画の壁に非剛体的に設けられ、オートバイが移動する間、シェル内で、ヘルメットが偶発的に壁から離れた時に、送電装置がヘルメットに追従してそれが外れるのを回避するよう適合されている
ことを特徴とする請求項12又は13に記載のオートバイ。
【請求項15】
外側シェル及び運転者の頭部用の保護パットを備え、
少なくとも一つの電動機器が、少なくとも一つの充電可能なバッテリで給電されるようにされ、
さらに、前記少なくとも一つの充電可能なバッテリを電気的に充電するための無線充電モジュールを備え、
前記充電モジュールが、充電工程中に無線送電装置から受電するように適合された少なくとも一つの無線受電装置を備えている
ことを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載のオートバイ用ヘルメット。
【請求項16】
前記少なくとも一つの無線受電装置が、少なくとも一つの電気コイルを備え、前記電気コイルが、好ましくは、平面上又は凸状の形態であり、前記シェルの近くに、又は、その中に一体的に配置されている
ことを特徴とする請求項12に記載のヘルメット。
【請求項17】
電気バッテリが設けられたオートバイ用ヘルメットに関連付けられた電動機器を充電する方法であって、
・オートバイのシート下区画に画定されたコンテナ内部に、又は、オートバイに固定されたトップボックスにヘルメットを挿入する工程、及び
・前記コンテナに設けられた無線送電装置から、電気バッテリの充電を可能にするために電気バッテリに作動的に接続された前記ヘルメットに設けられた少なくとも一つの無線受電装置に、誘導的に電力を送電する工程
を備え、
・前記送電工程前に、前記ヘルメットの前記少なくとも一つの電動機器の前記少なくとも一つのバッテリの充電レベルを確認し、かつ、
オートバイのバッテリの充電レベルを確認し、
オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より低い場合、前記送電装置から前記ヘルメットの電動機器のバッテリの前記受電装置への給電を停止する
ことを特徴とし、
前記区画が、前記オートバイと一体に形成されており、
オートバイのシートが、前記区画の開放可能な蓋を形成し、
前記少なくとも一つの無線送電装置が、オートバイの電気システムに作動的に接続され、
前記少なくとも一つの無線送電装置がオートバイのシートに配置されている、
充電方法。
【請求項18】
オートバイがオフ状態にあるかオン状態にあるかを、好ましくは、センサを介して確認し、
オートバイがオン状態にある場合、オートバイのバッテリから無線送電装置へ充電のための電流を供給する
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
オートバイがオフ状態にあるか、オン状態にあるかを、好ましくはセンサを介して確認し、
オートバイがオフ状態にある場合、オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より高い時のみ、オートバイのバッテリから無線送電装置へ電流を供給する
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイの分野に関し、より詳細には、オートバイのヘルメットに設けられた電動機器を充電するためのシステムを備えたオートバイに関する。
【0002】
本発明は、さらに、上記したオートバイで使用可能な、電動機器を備えるオートバイ用ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、保護ヘルメットを着用するオートバイ運転者は、しばしば他の人と声高に対話する必要性がある。このため、何年も前から、多くのヘルメットには、ヘッドホン及びマイクロフォンを備えたインカム装置が設けられており、オートバイ運転者は、補完装置を装着した他人と話したり、他人の声を聞いたりすることができるようになっている。
【0004】
インカム装置により、例えばオートバイ運転者は、同じオートバイに乗った同乗者と通話することが可能になる。
【0005】
近年、携帯電話の普及に伴い、インカムと携帯電話を接続し、オートバイ運転者が電話をかけることが可能になっている。
【0006】
インカム装置に関連する技術は非常に多様である。一般に、インカム装置をヘルメットから取り外して、その電源バッテリを充電することができるようにされている。
【0007】
ヘルメットを使用しない時、オートバイ運転手は、ヘルメットをオートバイの座席下収納部や後部座席のトップボックス等の特定の容器に入れ、オートバイに置いていくことがよくある。
【0008】
オートバイ運転者は、しばしば、インカム装置をヘルメットから外して充電のために持ち帰ることを忘れる。このため、再び使用する際にインカム装置の充電レベルが非常に低いか、又はゼロであり、従って装置が動作できないことが起こり得る。
【発明の概要】
【0009】
本発明の範囲は、ヘルメットに設けられた電動機器を使用する際に、常に充電しておくことができるシステムを提供することにある。
【0010】
前記範囲内において、本発明の重要な目的は、シート下区画又はトップボックス等のヘルメット用コンテナを備え、ヘルメットに関連する電動機器を充電するためのシステムと共に便利に使用でき、ヘルメットがコンテナに収容されている時に、これらの機器の充電を容易にするよう適合されたオートバイを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、電動機器を充電するためのシステム内で、例えばシート下区画又はトップボックス等のヘルメットコンテナと共に便利に使用することができるオートバイ用ヘルメットを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、特にシンプルで使用及び実施が容易な、オートバイ用ヘルメットに関連する電動機器を充電するためのシステムを提供することである。
【0013】
以下でより良く説明する、これらの目的及び他の目的は、
オートバイのヘルメットを収容し、ヘルメットが配置され得る区画を画定するコンテナであって、前記区画に関連付けられ、電源に作動的に接続され得、前記ヘルメットに関連付けられた少なくとも一つの充電可能なバッテリが設けられた電動機器の少なくとも一つの無線受電装置に送電を行うように適合され、無線充電の工程中に前記バッテリを充電するようにされた少なくとも一つの無線送電装置を備えたコンテナと、
前記コンテナの前記少なくとも一つの無線送電装置である、又は、前記無線送電装置に作動的に接続され得る電気システムであって、オートバイのバッテリが設けられ、以下の制御を実行する電子制御装置を備えた電気システムと
を備え、
前記電子制御装置が、
前記ヘルメットの前記少なくとも一つの電動機器の少なくとも一つのバッテリの充電状態を制御し、かつ、
オートバイのバッテリの充電状態を制御し、かつ、オートバイのバッテリの充電レベルが閾値より低い場合に、ヘルメットの電動機器のバッテリの充電を停止する
ことを特徴とするオートバイを通して達成される。
【0014】
従って、必要な受電装置を十分に備えたヘルメットを、例えばシート下区画やトップボックスであり得るオートバイのコンテナの内部に配置すると、そのコンテナにより、インカム装置などのヘルメットに備えられた電動機器のバッテリの充電工程を開始することができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、オートバイのコンテナは、区画を規定する内面上に、少なくとも一つの表面送電領域を備え、少なくとも1つの無線送電装置が、前記表面送電領域に設けられ、ヘルメットが、少なくとも一つの充電すべき前記電動機器を備え、かつ、ヘルメットの所定の位置に少なくとも一つの無線受電装置が配置されていることを考慮して、前記ヘルメットが前記区画に収容された時に、前記少なくとも一つの無線受電装置が、前記少なくとも一つの無線送電装置と作動的に近接し、好ましくは、整列し、送電を可能にするようにされている。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの表面送電領域は、ヘルメットを区画に収容した時に、表面送電領域が、ヘルメットの少なくとも一つの無線受電装置が設けられた部分の凸部に沿うように凹んでおり、適切には、ヘルメットを区画に収容した時に、ヘルメットの前記部分が区画の表面送電領域と接触しているか、又は非常に近接するようにされている。
【0016】
好ましくは、オートバイ用コンテナは、区画を閉じるための蓋を備え、例えば、前記蓋は、同じ区画を画定するコンテナ構造体の部分にヒンジで固定される。好ましくは、少なくとも一つの無線送電装置は、区画の蓋、区画の底部及び区画の側部のうちの一つ以上に設けられる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線送電装置は、誘導結合型であり、好ましくは共振型である。
【0018】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線送電装置は、電流を誘導するように適合された少なくとも一つの電気コイルを有する。電気コイルは、平面状であり、好ましくは、平面形状又は曲線形状である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線送電装置は、電流を誘導するように適合された複数の電気コイルを備え、前記電気コイルは、予め設定された方式に従って互いに近接して、及び/又は、互いに重ねて配置される。この場合、電子制御装置は、無線送電装置のどのコイルがヘルメットに設けられた無線受電装置のコイルとより整合しているかを識別し、そのコイルに電流をもたらすように、従って送電を最大化するように適切に適合されている。
【0020】
好ましい実施形態では、電子制御装置は、ヘルメットの少なくとも一つの電動機器の少なくとも一つのバッテリの充電レベルを使用者に伝達するように適合された通信インターフェイスを備える。
【0021】
好ましい実施形態では、電子制御装置は、オートバイがオン状態かオフ状態かを識別するように適合されたセンサを備え、前記センサが、オートバイがオン状態であることを検出した場合、電子制御装置は送電装置に電流を供給し、センサが、オートバイがオフ状態であることを検出した場合には、電子制御装置は、オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より大きい時のみ、送電装置に電流を供給する。
【0022】
好ましい実施形態によれば、オートバイのコンテナは、トップボックスの形態であり、1)オートバイに固定するための取り外し可能な固定装置と、2)少なくとも一つの無線送電装置をオートバイ電気システムのバッテリに電気的に接続するよう適合された電力接続装置とを備える。
【0023】
好ましい実施形態によれば、オートバイのコンテナは、シート下区画に設けられるか、又はシート下区画に組み込まれ、オートバイシートは、区画を閉じる蓋の一部であり、少なくとも一つの無線送電装置は、オートバイ電気システムのバッテリに動作可能に接続されている。
【0024】
好ましい実施形態では、コンテナは、少なくとも1つの無線送電装置をヘルメットシェルに結合及び/又は固定する装置を備え、それにより、少なくとも一つの無線送電装置と、ヘルメットに関連する少なくとも一つの無線受電装置とが電力伝送に最適な位置で相互に結合及び/又は固定されるようにされている。
【0025】
結合及び/又は固定装置は、好ましくは、送電装置とヘルメットとを磁気吸引によって相互に結合及び/又は固定する。この結合及び/又は固定装置は、例えば、少なくとも一つの無線送電装置上に一つ以上の磁気吸引第一要素備え、かつ、少なくとも一つの無線受電装置上に一つ以上の磁気吸引第二要素(例えば永久磁石及び対応する強磁性要素)を備えるか、又は、その逆に構成されている。
【0026】
例えば、一つ以上の永久磁石、例えば二つ又は三つが、少なくとも一つの無線送電装置上、又はその近くに設けられ、一方、二つ又は三つの強磁性要素が、少なくとも一つの無線受電装置上、若しくはその近くに、又はヘルメットシェル上又はその内部に設けられ、これらの位置は、ヘルメットがコンテナに収容される時に、無線送電装置がシェルの一部に接触し、ヘルメットの強磁性要素は無線送電装置の永久磁石の中央に位置し、受電装置と送電装置とは完全に整列又は中央に位置し、従って電力伝送が最適化されるようにされている。
【0027】
少なくとも一つの無線送電装置をヘルメットシェルに結合及び/又は固定する装置のシェルに関して、実施形態では、少なくとも一つの無線送電装置は、コンテナの区画の壁(側壁、底壁又は蓋)に非剛体的に関連付けられ、バイクが動く間、壁から離れるように誤ってヘルメットが動く場合に、送電装置がヘルメットに追従することができ、それが外れることを回避するようにされている。
【0028】
幾つかの実施形態では、オートバイは、座席下にコンテナを備え、座席は、開閉可能であり、コンテナ区画の開閉可能な蓋の少なくとも一部を形成し、少なくとも一つの無線送電装置は、オートバイ電気システムのバッテリに動作可能に接続される。
【0029】
さらなる態様によれば、本発明はまた、上述した実施形態の一つ以上によるオートバイ用ヘルメットであって、
外側シェル及び運転者の頭部用の保護パットを備え、
少なくとも一つの充電可能なバッテリで給電されるようにされた少なくとも一つの電動機器を有している
ヘルメットにおいて、
さらに、前記少なくとも一つの充電可能なバッテリの無線充電モジュールを備え、
前記充電モジュールが、充電工程中に無線送電装置から受電するように適合された少なくとも一つの無線受電装置を備えている
ことを特徴とするヘルメットに関する。
【0030】
少なくとも一つの無線受電装置は、好ましくは、シェルと保護パッドとの間に配置される。
【0031】
少なくとも一つの無線受電装置は、好ましくは、シェルによって画定された凹状の区画の内部に配置される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線送電装置は、外側シェルの内側面に近接して、又は好ましくは接触して配置される。
【0033】
好ましい実施形態によれば、充電モジュールは、少なくとも第一無線受電装置及び第二無線受電装置と、充電工程中に、一方の無線受電装置の受電効率が、他方の受電装置の受電効率より悪い場合、第一及び第二無線受電装置の効率が悪い少なくとも一つを無効にするように適合された切り替え装置とを備えている。
【0034】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線受電装置は、誘導結合型であり、好ましくは共振型である。
【0035】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの無線受電装置は、誘導電流を受け取るように適合された少なくとも一つの電気コイルを含む。
【0036】
少なくとも一つのバッテリは、好ましくは、ヘルメット構造体の内部に構成される。
【0037】
少なくとも一つの無線受電装置は、好ましくは、少なくとも一つのバッテリから間隔を空けて配置される。
【0038】
好ましい実施形態によれば、ヘルメットは、オートバイ運転者の頭部が入る領域を画定する端縁を規定する下部領域を有し、少なくとも一つのバッテリが、ヘルメットのこの下部領域に配置され、この下部領域が、好ましくは端縁から上方に約10cmにわたって延びる帯状態からなり、好ましくは、少なくとも一つの無線受電装置は、この下部領域の外側、即ちヘルメットの上部領域に設けられる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの電動サービス機器は、インカム、ヘッドホン、マイクロフォン、モバイル通信装置とのインターフェイス、オートバイ運転者が転倒した場合に遠隔地に通知を送信するための装置、オートバイの一つ以上の機能を制御するための音声装置のうちの一つ以上を有する。
【0040】
別の特徴によれば、本発明は、オートバイのヘルメットに設けられた電動サービス機器の充電システムに関し、該充電システムは、
上述した好ましい実施形態の一つ又は複数に従ったヘルメット用コンテナを有するオートバイと、
上述した好ましい実施形態の一つ又は複数に従ってオートバイ用ヘルメットと
を有する。
【0041】
別の態様によれば、本発明は、好ましくは、上述した好ましい実施形態の一つ又は複数に従った、電気バッテリが設けられたオートバイ用ヘルメットに関連付けられた電気機器を充電する方法に関し、
該方法は、
・オートバイのシート下区画に画定されたコンテナ内部に、又は、オートバイに固定されたトップボックスにヘルメットを挿入する工程、及び
・前記コンテナに設けられた無線送電装置から、電気バッテリの充電を可能にするために電気バッテリに作動的に接続された前記ヘルメットに設けられた少なくとも一つの無線受電装置に、誘導的に電力を送電する工程
を有し、
・前記送電工程前に、前記ヘルメットの前記少なくとも一つの電動機器の前記少なくとも一つのバッテリの充電レベルを確認し、かつ、
オートバイのバッテリの充電レベルを確認し、
オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より低い場合、前記送電装置から前記ヘルメットの電動機器のバッテリの前記受電装置への給電を停止する
ことを特徴とする
【0042】
好ましくは、前記方法は、オートバイがオフ状態にあるかオン状態にあるかを、好ましくは、センサを介して確認し、オートバイがオン状態にある場合、オートバイのバッテリから無線送電装置へ受電のための電流を供給する。
【0043】
また、好ましくは、前記方法は、オートバイがオフ状態にあるか、オン状態にあるかを、好ましくはセンサを介して確認し、オートバイがオフ状態にある場合、オートバイのバッテリの充電レベルが所定の閾値より高い時のみ、オートバイのバッテリから無線送電装置へ電流を供給する。
本発明は、以下の説明及び本発明の非限定的な実施形態を示す添付図面に従うことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明によるオートバイの一部の概略図であり、この図には、二つのヘルメットを収容するシート下区画と、第三のヘルメットを収容するトップボックスとが示されている。
【
図2】本発明に係るヘルメットの概略図であり、この図には、ヘルメットの電気サービス装置(electric service device)に接続された無線受電装置が概略的に示されている。
【
図3】本発明に係るコンテナの区画の一部の概略図であり、無線送電装置がコンテナの区画の内面に対して示されている。
【
図4】本発明に係るコンテナの区画の一部の概略図であり、無線送電装置がコンテナの区画の内面に対して
図3とは異なる位置で示されている。
【
図5】本発明に係るコンテナの区画の一部の概略図であり、無線送電装置がコンテナの区画の内面に対して
図3及び
図4とは異なる位置で示されている。
【
図6】本発明によるコンテナの区画の一部と、前記区画に収容されたヘルメットの一部との概略図であり、この図では、ヘルメットに設けられた二つの無線受電装置と、区画に設けられた無線送電装置とが強調表示されている。
【
図7】無線送電装置に関連する本発明のヘルメットの充電モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面を参照すると、オートバイ用ヘルメットを収容する本発明による第一コンテナは、全体として符号10で示されており、この第一コンテナ10は、例えば、全体が符号50で示されたオートバイのシート下領域に設けられている。
【0046】
詳細には、コンテナ10は、オートバイ50のシート51の下に、例えば、一対のヘルメット40を収容するように適合された区画11を画定している。
【0047】
シート51は、公知の方法で(矢印f方向)に開閉することができる。即ち、シート51は、オートバイ50の構造体に対して符号Xの位置でヒンジ止めされ、コンパートメント11を開閉することができるようにされ、実際には、この実施例では、コンパートメント11の蓋、又はその一部を形成している。
【0048】
少なくとも一つの無線送電装置12が、コンパートメント11に設けられている。前記送信装置12は、ヘルメット40に設けられた電動機器41の無線受電装置44に電流を誘導するように適合されており、以下でより詳細に説明するように、前記電動機器41は、無線充電工程中にバッテリを再充電するために、充電式電気バッテリ42(
図2参照)を備えている。
【0049】
この実施例では、無線送電装置12は、誘導結合型、より好ましくは共振型であり、従って、適切な電気伝送回路(それ自体既知であり、図には示されていない)が設けられている。ヘルメット40の無線受電装置44は、機能的に相補的であり、即ち、誘導性共振結合型である。受電-送電部品は、例えば、WPC(ワイヤレスパワーコンソーシアム)の企業や、PMA(パワーマターアライアンス)の企業等によって開発された公知のタイプのものが使用され得る。
【0050】
無線送電装置12は、オートバイ50の電気システム52に動作可能に接続され、詳細には、オートバイの電気サービスに電力を供給する電気バッテリ53に動作可能に接続されている。
【0051】
例えば、無線送電装置12は、電磁場を生成するように適合された、複数の電気コイル15を備えている。電気コイルは、平面的であり、即ち、その巻線は、主に、軸方向に従ってではなく、径方向に従って配置される。これらの平面的な電気コイルは、予め設定された方式に従って、互いに近接して、又は部分的に重ねて配置される。この送電装置の一例は、電気コイルの構造とその相互配置に関して、本出願に含まれる米国特許US10,206,474号に開示されている。
【0052】
少なくとも一つの送電面領域16が、区画11の内面上の予め決められた位置に設けられており、送電面領域16は、ヘルメットが区画内に収容された時に、ヘルメットの所定の部分46と相互作用するように、即ち、対面するように適合されている。無線送電装置12は、この送電面領域16に設けられている。
【0053】
送電面領域16は、例えば、区画の底壁の表面上に画定されている。他の実施形態において、領域16が、区画の側面に画定され得ることは明らかである。
【0054】
例えば、送電装置12は、送電領域を画定するために、区画の内面に直接配置され得、また、送電装置12は、区画の表面の下、例えば、区画の壁厚に設けられた隙間に配置されてもよい。これらの実施例では、送電装置12は、例えば、(
図3に示すように)表面に直接固定されてもよく、(
図4に示すように)隙間に配置されてもよく、さらには、(
図5に示すように)同区画の壁に設けられ、区画に向かって開口する相補的ポケットに配置されてもよい。
【0055】
送電装置12を含む送電領域は、好ましくは、ヘルメットの電動機器41の無線受電装置44を含む部分の凸形状に本質的に一致する凹形状を有する。ヘルメットを区画11に収容する時、送電領域は、ヘルメットの受電装置44を含む部分46に可能な限り近づけられ、従って、送電能力が最適化され得る。幾つかの実施形態では、送電面領域16は、ヘルメットの無線受電装置44を含む部分46に一致するように形成されており、その結果、送電面領域16と前記ヘルメットの一部分46が相互に接触するようにされている。
【0056】
送電領域16の形状を考慮すると、幾つかの構成、例えば、図示の実施例の構成では、送電装置が、送電面領域16に適合するように、又は送電面領域16を規定するように凹形状を有し得ることは明らかである。他の実施例では、送電装置が平坦であるか、若しくは、実質的に平坦であり得、又は、異なる形状を有し得ることも明らかである。
【0057】
従って、様々な構成に基づいて、ヘルメットが区画に収容される時に、ヘルメットの一部分46は、送電面領域と接触しているか、又は非常に近い位置にある。
【0058】
無線送電装置12をコンテナ10の区画の底壁以外の位置に配置してもよく、例えば、シート51の下の蓋によって規定される区画11の上部に設けてもよく(送電装置12')、又は、区画の側壁に配置してもよい(送電装置12'')ことは明らかである。従って、必要に応じて、一つ又は複数の無線送電装置を設けることができる。
【0059】
好適には、
図1に示すように、本発明のコンテナは、トップボックス60によって構成することができ、従って、コンテナは、オートバイに取り外し可能に固定するための、例えば、ブラケットシステム等の公知のタイプの装置61と、この実施例において符号12''で示される送電装置を、オートバイの電気システム52、詳細には、そのバッテリ53に電気的に接続されるように適合された電力接続装置62とを備えている。前記電力接続装置62は、例えば、送電装置12''に作動的に接続され、かつ、電気システムに作動的に接続されている電気ケーブルの補完プラグと接続されるように適合されたプラグから成り得る。
【0060】
シート下コンテナについて説明したことは、トップボックス60によって画定されるコンテナの場合にも適用される。トップボックス60は、(方向f'に従って開くことができる)蓋によって上部で閉じられた区画11'のために設けられる。送電装置12'''は、例えば、区画の底壁若しくは側壁、又は蓋に設けられる。送電装置は、先の実施例のものと同様に、区画の側壁に配置することができる。
【0061】
有利には、オートバイ電気システム52は、電子制御装置70を有し、該電子制御装置70は、上述の無線充電システムを介して充電されるべきヘルメットの電動機器のバッテリ42の充電状態中の制御を行い、かつ、バッテリの充電レベルを使用者(運転者)に伝えるように適合されたインターフェイスを提供する。
【0062】
電子制御装置70は、オートバイ50のバッテリ53の充電状態中の制御を行うことができ、また、バッテリ充電レベルが、予め決めた閾値より低い場合にヘルメットの電動機器のバッテリ42の充電を停止するシステムを有し得、オートバイのバッテリが停止することを防ぎ、その操作や作動を回避するようにされ得る。
る。また、電子制御装置70は、送電装置12のどのコイル15がヘルメットに関連する受電装置のコイルとより整合しているかを識別し、このコイルに電流をもたらし、従って送電力を最大化するように適合されている。
【0063】
また、電子制御装置70は、オートバイがオフであるかオンであるかを識別するように適合されたセンサ70Aを有し得る。より詳細には、センサ70Aが、オートバイがオンであることを検出した場合、電子制御装置70は、ヘルメットのバッテリ42(又は他の機器)の充電を可能にするように、送電装置12に電流を供給することを可能にする。逆に、センサ70Aが、オートバイがオフであることを検出した場合、電子制御装置70は、バッテリ53の充電レベルが所定の閾値と等しいか、又は、それより高い場合にのみ、送電装置12への電流供給を可能にする。
【0064】
コンテナ10は、ヘルメット40をコンテナの内部の適切な位置に維持するように適合された複数の位置決め手段を有し得、区画内の送電領域と無線受電装置が設けられたヘルメット領域とが相互に適切に近接するか、又は接触し、送電を最適化するようにされ得る。これらの位置決め手段は、例えば、ヘルメットが所定の方向及び位置を取ることを強制する区画内の仕切りを有し得、それにより、送電領域に対するその適切な接近(又はその接触)を確保するようにされ得る。
【0065】
位置決め手段は、簡単な視覚インジケータを有し得、これら視覚インジケータは、区画とヘルメットとの両方に設けられ、区画には、例えば、送電領域を表示する視覚インジケータが設けられ、ヘルメットには、受電装置の位置を表示する視覚インジケータが設けられ、その結果、例えば、(送電領域と受電装置に設けられた)二つの視覚インジケータを互いに近づけるように位置決めすることによって、使用者に区画内におけるヘルメットの位置を表示するようにされ得る。
【0066】
図示されていない実施形態によれば、コンテナは、無線送電装置をヘルメットシェルに結合及び/又は固定するための装置を有し得る。このようにして、ヘルメットに関連付けられた送電装置及び受電装置は、相互に偶発的にずれる危険なしに、送電に最適な位置に相互に結合又は固定され得る。結合及び/又は固定装置は、磁力吸引によって送電装置及びヘルメットを相互に結合及び/又は固定するように構成され得る。例えば、送電装置に対応して一つ又は複数の永久磁石が設けられ、かつ、例えば、三つの磁石が互いに整列されず、三つのそれぞれの強磁性体が永久磁石と同様に相互に配置されてヘルメットのシェルの内部(又はその逆)に設けられ、ヘルメットが区画内にある時に、永久磁石が強磁性体に結合され、送電装置がヘルメットに固定され、好ましくは、ヘルメットの受電装置が最適な方法で中心決めされるようにされる。
【0067】
送電装置をヘルメットシェルに結合及び/又は固定するための装置に関して、一実施形態では、送電装置は、壁(側壁、底壁又は蓋)に非剛体的に設けられ得、即ち、区画の壁に剛体的に一体化されないようにされ得る。この構成では、オートバイが動いている間に区画の壁に対してヘルメットが大きく偶発的に移動しても、送電装置は、ヘルメットの動きに少なくとも部分的に追従することができる。
【0068】
ヘルメット40(
図2参照)に関しては、公知のヘルメットの典型的な構造を有し、特に、オートバイ運転者の頭部のための外側シェル40A及び内側保護パッド40Bを備えている。上述したように、前記ヘルメットには、充電可能な電気バッテリ42によって駆動される電動機器41が設けられている。
【0069】
本発明のヘルメットの形態及び形状は、様々な態様であり得る。例えば、
図1では、シート下区画に二つのオープンフェイスヘルメットが配置される、一方、トップボックスにはフルフェイスヘルメットが配置されている。
【0070】
ヘルメットは、充電式バッテリ42を充電するための無線充電モジュール43を備え、前記充電モジュール43は、充電回路43Aと、充電工程中にヘルメットが収容されているコンテナ11の無線送電装置12から受電するように適合された無線受電装置44とを備えている。
【0071】
受電装置44は、送電装置12からの電力にコヒーレントな方法で電力を受電するように適合されている。
【0072】
従って、受電装置44は、この実施例では、誘導結合型、特に共振型であり、送電装置12によって生成された磁場を受信するように適合された電気コイル45を備えている。送電装置12によって生成された磁場は、受電装置44の電気コイル45に誘導電流を誘導する。
【0073】
受電装置44は、ヘルメットが収容されるコンテナ11の送電装置12に受電装置44を最適に結合するように適合された、ヘルメットの所定の位置、例えばヘルメットの上部領域49に設けられる。
【0074】
受電装置44は、好ましくは、シェル40Aによって画定された凹状の空間に配置され、より詳細には、好ましくは、シェル40Aの内側面に近接するように又は接触するように、内側シェルと保護パッド40Bとの間に配置される。有利には、受電装置44の電気コイル45は平面的であり、好ましくはヘルメットのシェル40Aに一体化されている。受電装置44の電気コイル45は、送電装置12と構造的及び機能的に類似しており、従って、さらなる技術的詳細については、本明細書の該当箇所を参照されたい。
【0075】
安全上の理由から、ヘルメットに関連する電気/電子部品の大部分は、ヘルメットの下部領域47(オートバイ運転者の頭が入る領域を区切る端縁48を有する領域)に配置されており、大きな衝撃を受けた場合に、これらの部品がオートバイ運転者の頭蓋に向かって移動しないようにされている。
【0076】
この下部領域47は、好ましくは、例えば、下端縁48から上方に10cmの高さの帯状部分によって画定される。
【0077】
受電装置44は、縮小された寸法を有し、従って、受電装置44は、ヘルメットの上部領域49、即ち、下部領域47を形成する上記帯状部分の外側の領域に収容され得る。
【0078】
適切には、充電式バッテリ42は、無線充電モジュール43及び電動機器41の任意の他の部分と同様に、下部領域47に配置される。受電装置44は、例えば、下部領域47に設けられた無線充電モジュール43の一部に有線接続される。
【0079】
また、無線充電モジュール43は、第一無線受電装置44の近傍に配置された一つの第二無線受電装置44´(又は複数の第二無線受電装置44´)を有し得る。このようにして、無線充電モジュール43は、二つの受電装置44及び44´のうちどちらが他よりも受電効率が悪いかを検出するように適合され、さらに、充電モジュールは、上記米国特許US10,206,474号に開示された受電装置について説明された装置と類似した、充電工程中に、他の受電装置よりも受電効率が悪い受電装置を無効化するよう適合された切り替え装置43B(複数の受電装置を備えた充電モジュール43のシェルを示すために、補助受電装置44´及び切り替え装置が破線で示している
図7参照)を有する。
【0080】
ヘルメット40に設けられた電動機器41は、インカム、ヘッドホン、マイク、携帯通信装置とのインターフェイス、オートバイ運転者が転倒した場合に遠隔地に通知を送るための装置、オートバイの一つ以上の機能を制御するための音声装置のうちの一つ以上を有し得る。
【0081】
送電装置12は、運転者の携帯装置を充電するためにも適応される。例えば、(ヘルメットに使用される充電システムに適合するタイプの)誘導によって充電されるように適合された携帯電話を、アクティブ充電工程中に送電領域16に対応するようにシート下区画の底部に置くことによって、携帯電話の充電回路が、その電池を少なくとも部分的に充電するように誘導電力を受電する。
【0082】
操作上の観点から、使用者(運転者)は、ヘルメットの一つ又は複数の受電装置44を含む部分が送電領域16に対応して(接触して、又は近接して)配置されるように注意しながら、ヘルメットをシート下区画又はトップボックスに配置し得る。
【0083】
センサ70Aがオートバイの電源が入っていることを検出すると、送電が実行される。
【0084】
センサ70Aがオートバイの電源が入っていない状態(非走行状態)であることを検出した場合でも、オートバイに給電するバッテリが十分に充電されている場合には、送電が行われ得る。逆に、オートバイに給電するバッテリが十分に充電されていない場合には、送電は実行されない。
【0085】
充電システムにより、ヘルメットに関連する電動機器のバッテリが充電されるまで、充電が行われ得る。オートバイの電気システムのバッテリの充電レベルが低すぎる場合、充電システムは給電を停止し、オートバイの良好な運転状態を確保する。
【0086】
図示実施例は、純粋に本発明の可能な非限定的な実施形態を表しており、本発明に基づく概念の範囲から逸脱することなく、形態及び配置を変更してもよいことは理解される。添付の特許請求の範囲における符号は、上述の説明及び添付の図面に照らしてその読み取りを容易にする目的でのみ提供され、いかなる形でも保護範囲を制限するものではない。