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特許7579860スケーラブルなインライン緩衝液希釈スキーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スケーラブルなインライン緩衝液希釈スキーム
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/82 20220101AFI20241031BHJP
   B01F 23/45 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 25/60 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/214 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20241031BHJP
   G05D 21/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01F35/82
B01F23/45
B01F25/60
B01F35/214
B01F35/71
B01F35/75
G05D21/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022539390
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020061719
(87)【国際公開番号】W WO2021133487
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】16/727,735
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522254815
【氏名又は名称】アサヒ・カセイ・バイオプロセス・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ASAHI KASEI BIOPROCESS AMERICA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,マイケル・ディ
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0243512(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0279038(US,A1)
【文献】特開平11-255809(JP,A)
【文献】特表2013-506128(JP,A)
【文献】特開2019-050423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/82
B01F 23/45
B01F 25/60
B01F 35/214
B01F 35/71
B01F 35/75
G05D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インライン緩衝液希釈システムであって、
希釈液の供給を含む容器と連通するように適合された第1の流量制御バルブと、
第1の緩衝液の供給を含む第1の容器と連通するように適合された第2の流量制御バルブと、
第2の緩衝液の供給を含む第2の容器と連通するように適合された第3の流量制御バルブと、
前記第1、第2、および第3の流量制御バルブに流体接続され、前記第1、第2、および第3の流量制御バルブを介してそれぞれある量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を受容するように構成された混合ポンプであって、前記混合ポンプが、前記量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合して希釈緩衝液を生成するようにさらに構成されている、混合ポンプと、
前記混合ポンプの下流に配置され、前記混合ポンプ内の混合を促進する背圧を生成するように構成された背圧制御バルブと、
前記混合ポンプおよび前記背圧制御バルブに連通可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量に基づいて前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を制御するように構成されており、それにより、前記混合ポンプが、様々な流体流にわたって最小混合閾値を生じさせる、コントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記第1の流量制御バルブを通る前記希釈液の流れを制限し、それによって、前記混合ポンプの上流に負圧を生成し、前記負圧が、前記第1の緩衝液の前記供給および前記第2の緩衝液の前記供給を、それぞれ前記第2の流量制御バルブおよび前記第3の流量制御バルブを通して、前記混合ポンプに駆動するように構成されている、インライン緩衝液希釈システム。
【請求項2】
前記背圧制御バルブは、前記混合ポンプが第1の量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合するときに、第1の背圧を生成するように構成されており、前記背圧制御バルブは、前記混合ポンプが第2の量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合するときに、前記第1の背圧とは異なる第2の背圧を生成するように構成されている、請求項1に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項3】
前記第2の量が前記第1の量未満であるとき、前記第2の背圧が前記第1の背圧未満である、請求項2に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項4】
インライン緩衝液希釈システムであって、
希釈液の供給を含む容器と連通するように適合された第1の流量制御バルブと、
第1の緩衝液の供給を含む第1の容器と連通するように適合された第2の流量制御バルブと、
第2の緩衝液の供給を含む第2の容器と連通するように適合された第3の流量制御バルブと、
前記第1、第2、および第3の流量制御バルブに流体接続され、前記第1、第2、および第3の流量制御バルブを介してそれぞれある量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を受容するように構成された混合ポンプであって、前記混合ポンプが、前記量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合して希釈緩衝液を生成するようにさらに構成されている、混合ポンプと、
前記混合ポンプの下流に配置され、前記混合ポンプ内の混合を促進する背圧を生成するように構成された背圧制御バルブと、
前記混合ポンプおよび前記背圧制御バルブに連通可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量に基づいて前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を制御するように構成されており、それにより、前記混合ポンプが、様々な流体流にわたって最小混合閾値を生じさせる、コントローラと、を備え、
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置された追加の流量制御バルブをさらに備え、前記コントローラが、前記追加の流量制御バルブにわたる圧力差を制御するように構成されている、インライン緩衝液希釈システム。
【請求項5】
前記第1の緩衝液の前記供給を含む前記第1の容器、および前記第2の緩衝液の前記供給を含む前記第2の容器をさらに備え、前記第1の容器および前記第2の容器の各々が、大気圧のみを使用して加圧される、請求項1~のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項6】
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置された導電性センサをさらに備え、前記導電性センサが、前記混合ポンプによって生成された前記希釈緩衝液の導電性を検出するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項7】
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置されたpHセンサをさらに備え、前記pHセンサが、前記混合ポンプによって生成された前記希釈緩衝液のpHを検出するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項8】
前記第2の流量制御バルブに流体結合された第1の流量計と、前記第3の流量制御バルブに流体結合された第2の流量計とをさらに備え、前記コントローラが、前記第1および第2の流量計に連通可能に接続され、前記第1および第2の流量計から、それぞれ前記第2および第3の流量制御バルブを通って流れる流体を示すデータを取得するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項9】
インライン緩衝液希釈システムであって、
希釈液の供給を含む容器と、
第1の緩衝液の供給を含む第1の容器であって、前記第1の容器が、大気圧のみを使用して加圧される、第1の容器と、
第2の緩衝液の供給を含む第2の容器であって、前記第2の容器が、大気圧のみを使用して加圧される、第2の容器と、
前記希釈液の供給の下流に配置され、前記希釈液の供給と連通するように構成された第1の流量制御バルブと、
前記第1の緩衝液の前記供給を含む前記第1の容器の下流に配置され、前記第1の容器と連通するように構成された第2の流量制御バルブと、
前記第2の緩衝液の前記供給を含む前記第2の容器の下流に配置され、前記第2の容器と連通するように構成された第3の流量制御バルブと、
前記第1、第2、および第3の流量制御バルブに流体接続され、前記第1、第2、および第3の流量制御バルブを介してそれぞれある量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を受容するように構成された混合ポンプであって、前記混合ポンプが、前記量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合して希釈緩衝液を生成するようにさらに構成されている、混合ポンプと、
前記混合ポンプの下流に配置され、前記混合ポンプ内の混合を促進する背圧を生成するように構成された背圧制御バルブと、
前記混合ポンプおよび前記背圧制御バルブに連通可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量に基づいて前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を制御するように構成されており、それにより、前記混合ポンプが、様々な流体流にわたって最小混合閾値を生じさせる、コントローラと
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置された追加の流量制御バルブと、を備え、前記コントローラが、前記追加の流量制御バルブにわたる圧力差を制御するように構成されている、インライン緩衝液希釈システム。
【請求項10】
前記背圧制御バルブは、前記混合ポンプが第1の量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合するときに、第1の背圧を生成するように構成されており、前記背圧制御バルブは、前記混合ポンプが第2の量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合するときに、前記第1の背圧とは異なる第2の背圧を生成するように構成されている、請求項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項11】
前記第2の量が前記第1の量未満であるとき、前記第2の背圧が前記第1の背圧未満である、請求項10に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項12】
インライン緩衝液希釈システムであって、
希釈液の供給を含む容器と、
第1の緩衝液の供給を含む第1の容器であって、前記第1の容器が、大気圧のみを使用して加圧される、第1の容器と、
第2の緩衝液の供給を含む第2の容器であって、前記第2の容器が、大気圧のみを使用して加圧される、第2の容器と、
前記希釈液の供給の下流に配置され、前記希釈液の供給と連通するように構成された第1の流量制御バルブと、
前記第1の緩衝液の前記供給を含む前記第1の容器の下流に配置され、前記第1の容器と連通するように構成された第2の流量制御バルブと、
前記第2の緩衝液の前記供給を含む前記第2の容器の下流に配置され、前記第2の容器と連通するように構成された第3の流量制御バルブと、
前記第1、第2、および第3の流量制御バルブに流体接続され、前記第1、第2、および第3の流量制御バルブを介してそれぞれある量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を受容するように構成された混合ポンプであって、前記混合ポンプが、前記量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合して希釈緩衝液を生成するようにさらに構成されている、混合ポンプと、
前記混合ポンプの下流に配置され、前記混合ポンプ内の混合を促進する背圧を生成するように構成された背圧制御バルブと、
前記混合ポンプおよび前記背圧制御バルブに連通可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量に基づいて前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を制御するように構成されており、それにより、前記混合ポンプが、様々な流体流にわたって最小混合閾値を生じさせる、コントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記第1の流量制御バルブを通る前記希釈液の流れを制限し、それによって、前記混合ポンプの上流に負圧を生成し、前記負圧が、前記第1の緩衝液の前記供給および前記第2の緩衝液の前記供給を、それぞれ前記第2の流量制御バルブおよび前記第3の流量制御バルブを通して、前記混合ポンプに駆動するように構成されている、インライン緩衝液希釈システム。
【請求項13】
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置された導電性センサをさらに備え、前記導電性センサが、前記混合ポンプによって生成された前記希釈緩衝液の導電性を検出するように構成されている、請求項12のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項14】
前記混合ポンプと前記背圧制御バルブとの間に配置されたpHセンサをさらに備え、前記pHセンサが、前記混合ポンプによって生成された前記希釈緩衝液のpHを検出するように構成されている、請求項13のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項15】
前記第1の容器が、前記第1の緩衝液の前記供給を収容する第1のコンテナを備え、前記第2の容器が、前記第2の緩衝液の前記供給を収容する第2のコンテナを備え、前記第1および第2のコンテナの各々が、使い捨て材料から作製される、請求項14のいずれか一項に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項16】
前記使い捨て材料が、ガンマ安定プラスチック材料を含む、請求項15に記載のインライン緩衝液希釈システム。
【請求項17】
様々な流体流にわたって希釈緩衝液を生成する方法であって、
希釈液の供給を含む容器と連通するように適合された第1の流量制御バルブ、第1の緩衝液の供給を含む第1の容器と連通するように適合された第2の流量制御バルブ、および第2の緩衝液の供給を含む第2の容器と連通するように適合された第3の流量制御バルブを提供することと、
ある量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を混合ポンプに誘導することと、
前記量の前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液を前記混合ポンプ内で混合し、それによって希釈緩衝液を生成することと、
前記混合ポンプの下流に配置された背圧制御バルブを介して、前記混合ポンプ内の混合を促進する背圧を生成することと、
前記混合ポンプおよび前記背圧制御バルブに連通可能に接続されたコントローラを介して、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量に基づいて前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を制御することと、を含み、
前記コントローラが、前記第1の流量制御バルブを通る前記希釈液の流れを制限し、それによって、前記混合ポンプの上流に負圧を生成し、前記負圧が、前記第1の緩衝液の前記供給および前記第2の緩衝液の前記供給を、それぞれ前記第2の流量制御バルブおよび前記第3の流量制御バルブを通して、前記混合ポンプに駆動するように構成されている、方法。
【請求項18】
前記制御することは、前記混合ポンプ内で混合されている前記希釈液、前記第1の緩衝液、および前記第2の緩衝液の前記量が減少するときに、前記背圧制御バルブによって生成された前記背圧を減少させることを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、インライン緩衝液希釈システムに関し、より具体的には、様々な流体流にわたってスケーラブルであるインライン緩衝液希釈システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構成液体の所望の濃度または他の特性(例えば、pH、導電性、光学密度、屈折率など)を生じさせるために、2つ以上の液体を一緒に混合することが一般的である。実際、ブレンドと称されることがあるこの混合は、多くの産業セグメントにとって基本的である。一例として、分析または精製のための混合物の分離を可能にするために、クロマトグラフィーカラムに提供されるブレンド液体を作成するためにブレンドシステムを使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
新規であると考えられる本開示の特徴が、特に添付の特許請求の範囲に記載される。本開示は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。添付の図面では、同様の参照番号は、いくつかの図において同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の教示に従って構築されたインライン緩衝液希釈システムの一例の概略図である。
図2図1のインライン緩衝液希釈システムで使用される混合ポンプの斜視図である。
図3図2の混合ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、本開示の教示に従って構築されたインライン緩衝液希釈システム100の一例を示す。インライン緩衝液希釈システム100は、概して、1つ以上の所望の特徴(例えば、所望のpH、所望の導電性、所望の温度、所望の光学密度、所望の屈折率など)を有する希釈液を生じさせる方法で、2つ以上の液体を混合するように構成される。同時に、インライン緩衝液希釈システム100は、インライン緩衝液希釈システム100が所与の用途に応じてスケーラブルであるように、様々な流体流にわたって最小混合閾値を生じさせるように構成される。
【0006】
図1に示すように、インライン緩衝液希釈システム100は、概して、第1の流量制御バルブ104、第2の流量制御バルブ108、および第3の流量制御バルブ112を含む。この例では比例ピンチバルブの形態をとる第1の流量制御バルブ104は、希釈液(例えば、水)の供給を含む容器116と流体連通するように適合されている。この例では同じく比例ピンチバルブの形態をとる第2の流量制御バルブ108は、第1の緩衝液(例えば、リン酸塩、塩、pH焼戻し、アルコール、有機物、栄養素など)の供給を含む第1の容器120と流体連通するように適合されている。この例では同じく比例ピンチバルブの形態をとる第3の流量制御バルブ112は、第1の緩衝液とは異なる第2の緩衝液(例えば、リン酸塩、塩、pH焼戻し、アルコール、有機物、栄養素など)の供給を含む第2の容器124と流体連通するように適合されている。容器116、第1の容器120、および第2の容器124は、インライン緩衝液希釈システム100の一部であることができるが、そうである必要はないことが理解されよう。インライン緩衝液希釈システム100は、図1に示すように、追加の流量制御バルブ(例えば、流量制御バルブ128、132)を含むことができ、これは今度は、追加の緩衝液の容器(例えば、第3の緩衝液の供給を含む第3の容器136、および第4の緩衝液の供給を含む第4の容器140)と流体連通するように適合されることも理解されよう。
【0007】
また、図1に示されているように、インライン緩衝液希釈システム100はまた、概して、混合ポンプ144と、インライン緩衝液希釈システム100の動作を制御するために(有線または無線接続を介して)混合ポンプ144およびインライン緩衝液希釈システム100の他の構成要素に連通可能に接続されたプログラム可能なロジックコントローラの形態のコントローラ148と、を含む。図2および図3は、システム100内で使用され得る混合ポンプ144の1つの具体例を示す。図2および図3に示す混合ポンプ144は、例えば、Levitronixによって製造された単回使用の混合ポンプである。この例における混合ポンプ144は、したがって、入口ポート156、出口ポート160、および入口ポート156と出口ポート160との間に配置された混合チャンバ164を有するハウジング152、ならびに混合チャンバ148内の流体を混合するためにハウジング152内で回転可能であるインペラ168を含む。
【0008】
図1に戻ると、混合ポンプ144は、第1、第2、および第3の流量制御バルブ104、108、および112の下流に配置され、それらに流体接続されている。コントローラ148は、第1、第2、および第3の流量制御104、108、および112を制御し、その結果、それぞれ第1、第2、および第3の流量制御バルブ104、108、および112は、希釈液、第1の緩衝液、および第2の緩衝液の各々の所望の量(および所望の総量)を、入口ポート160を介して混合ポンプ144に供給する。コントローラ148はまた、混合ポンプ144のインペラ168を回転させ、それによって、供給された希釈液、第1の緩衝液、および第2の緩衝液を、1つ以上の所望の特性を有する希釈緩衝液へと混合する。混合によって生成された希釈緩衝液は、次に、出口ポート160を介して混合ポンプ144から出力される。
【0009】
依然として図1を参照すると、インライン緩衝液希釈システム100は、混合ポンプ144の下流に配置され、かつコントローラ148によって制御される背圧制御バルブ172をさらに含む。コントローラ148は、この例ではパイロット駆動の背圧レギュレータである背圧制御バルブ172に、混合ポンプ144によって感知され、次いで、混合ポンプ144内の混合を促進する背圧を生成させる。背圧の生成は混合ポンプ144の効率を低下させるが、このような背圧の使用は、混合ポンプ144に流入し、混合される流体の量(この場合は、希釈液、第1の緩衝液、および第2の緩衝液の量)に応じて(コントローラ148を介して)調整可能な再循環または混合変数を効果的に作成する。例えば、混合ポンプ144に流入し、混合される流体の量が増加するとき、コントローラ148は、背圧制御バルブ172に、生成される背圧を増加させることによって、再循環変数を増加させ、それによって、さらなる再循環を駆動し、このより高い流量レベルで混合ポンプ144内で十分な混合が行われることを確実にすることができる。逆に、混合ポンプ144に流入し、混合される流体の量が減少するとき、コントローラ148は、背圧制御バルブ172に、生成される背圧を減少させることによって、再循環変数を減少させ、それによって、(このより低い流量レベルではより少ない再循環が必要であるため)より少ない再循環を駆動するが、それでも、混合ポンプ144内で十分な混合が行われることを確実にすることができる。
【0010】
混合ポンプ144に流入し、混合される流体に基づいて、背圧制御バルブ172によって生成される背圧を調整することによって、混合ポンプ144における混合は、様々な流体流にわたって効果的に正規化される。この例では、混合ポンプ144における混合は、毎分2~20リットルと同量の範囲にわたって効果的に正規化される。しかしながら、他の例では、流体流の範囲は変化し得る。いずれの場合でも、混合ポンプ144は、この範囲の流体流にわたって、最小混合閾値を有するか、または生じる。言い換えると、混合ポンプ144は、混合ポンプ144に流入し、混合される流体の量に関係なく、この範囲内の任意の量の流体流で最小混合閾値を有するか、または生じる。
【0011】
加えて、この例では、コントローラ148は、混合ポンプ144のすぐ上流に負圧を生成する方法で第1の流量制御バルブ104を制御する。より具体的には、コントローラ148は、第1の流量制御バルブ104を通る希釈液の流れを制限し、これは、今度は、混合ポンプ144のすぐ上流に負圧(すなわち、圧力が大気圧よりも小さい)を生成する。この負圧の生成は、第1の容器120内の第1の緩衝液および第2の容器124内の第2の緩衝液を、それぞれ第2の流量制御バルブ108および第3の流量制御バルブ112を通して、混合ポンプ144に自動的に駆動する役割を果たす。これにより、次に、第1の緩衝液の第1の容器120および第2の緩衝液の第2の容器124を、大気圧を超える圧力(場合によっては、大気圧を十分に超える圧力)に外部加圧する必要がなくなり、これは本来なら、第1の緩衝液および第2の緩衝液を、それらのそれぞれの流量制御バルブ108、112を通して混合ポンプ144に駆動するために行わなければならないものである。代わりに、第1の緩衝液の第1の容器120および第2の緩衝液の第2の容器124は、大気圧のみを使用して加圧されて、第1の緩衝液および第2の緩衝液を、それらのそれぞれの流量制御バルブ108、112を通して混合ポンプ144に駆動することができる。したがって、第1の緩衝液の第1の容器120および第2の緩衝液の第2の容器124は各々、例えば、それぞれの緩衝液を収容し、プラスチック材料もしくはポリマー材料、または(ガンマ線に耐えることができる)ガンマ安定プラスチックのようなフィルム材料などの使い捨て材料で作製された単回使用または使い捨てのコンテナ(例えば、単回使用のバッグ)の形態をとることができる。しかしながら、他の例では、第1の容器120および/または第2の容器124は、非使い捨て材料(例えば、ステンレス鋼または任意の他の金属材料)で作製されたコンテナまたは他のハウジングの形態をとることができる。
【0012】
この例におけるインライン緩衝液希釈システム100は、1つの追加の制御バルブ-流量制御バルブ176をさらに含む。この例では比例ピンチバルブの形態をとる流量制御バルブ176は、混合ポンプ144と背圧制御バルブ172との間に配置される。このように位置付けられて、流量制御バルブ176は、混合ポンプ144から背圧制御バルブ172への希釈緩衝液の流量を制御するように構成されている。
【0013】
また、インライン緩衝液希釈システム100は、インライン緩衝液希釈システム100の適切な動作を確実にするために、コントローラ148に連通可能に接続され、インライン緩衝液希釈システム100の動作中にコントローラ148にフィードバックを提供する、複数の異なるセンサを含む。この例では、図1に示すように、インライン緩衝液希釈システム100は、第1の流量計200、第2の流量計204、第3の流量計206、第1の圧力センサ208、第2の圧力センサ212、導電性センサ216、およびpHセンサ220を含む。しかしながら、他の例では、インライン緩衝液希釈システム100は、より多い、より少ない、および/または異なるセンサ(例えば、異なる特性センサ)を含むことができる。例として、インライン緩衝液希釈システム100は、導電性センサ216またはpHセンサ220を含む必要はない。別の例として、インライン緩衝液希釈システム100が流量制御バルブ128、132、ならびに第3および第4の容器136、140を含むとき、インライン緩衝液希釈システム100は、第3の容器136と流量制御バルブ128との間に配置された第4の流量計221、および第4の容器140と流量制御バルブ132との間に配置された第5の流量計222を含むことができる。他の例では、流量計221、222は、インライン緩衝液希釈システム100において、それぞれ、流量制御バルブ128、132の後(すなわち、その下流)に位置付けることができる。
【0014】
図1に示すように、第1の流量計200は、第1の流量計200が、第2の流量制御バルブ108を通って(混合ポンプ144に)流れる第1の緩衝液の量を示すデータをコントローラ148に提供するように、第1の緩衝液の第1の容器120と第2の流量制御バルブ108との間に配置される。第2の流量計204は、第2の流量計204が、第3の流量制御バルブ112を通って(混合ポンプ144に)流れる第2の緩衝液の量を示すデータをコントローラ148に提供するように、第2の緩衝液の第2の容器124と第3の流量制御バルブ112との間に配置される。他の例では、流量計200、204は、インライン緩衝液希釈システム100において、それぞれ、流量制御バルブ108、112の後に位置付けることができる。
【0015】
第3の流量計206は、混合ポンプ144と背圧制御バルブ172との間に、より具体的には、流量制御バルブ176と導電性およびpHセンサ216、220との間に配置される。このように配置されて、第3の流量計206は、流量制御バルブ176を通って流れる希釈緩衝液の量を示すデータをコントローラ148に提供する。
【0016】
第1の圧力センサ208は、第1、第2、および第3の流量制御バルブ104、108、および112と、混合ポンプ144との間に配置され、その結果、第1の圧力センサ208は、第1、第2、および第3の流量制御バルブ104、108、および112の下流の、ならびに混合ポンプ144の上流の圧力を示すデータをコントローラ148に提供する。第1の圧力センサ208はまた、混合ポンプ144のすぐ上流に負圧が存在することを確実にするのに役立ち、これは、上述したように、第1の容器120からの第1の緩衝液および第2の容器124からの第2の緩衝液を、それらのそれぞれの流量制御バルブ108、112を横断して混合ポンプ144に自動的に駆動する(ならびにそれによって、第1の容器120および第2の容器124を外部加圧する必要をなくす)ように働く。一方、第2の圧力センサ212は、第2の圧力センサ212が、混合ポンプ144の下流だが背圧制御バルブ172の上流の圧力を示すデータをコントローラ148に提供するように、混合ポンプ144と背圧制御バルブ172との間に配置される。
【0017】
また、導電性センサ216は、混合ポンプ144と背圧制御バルブ172との間であるが、第2の圧力センサ212の下流の位置に配置される。導電性センサ216は、混合ポンプ144によって出力された希釈緩衝液の導電性を測定し、その測定された導電性を示すデータをコントローラ148に提供し、それによって、希釈緩衝液が所望の導電性を有することを確実にするのに役立つ。他の例では、導電性センサ216は、インライン緩衝液希釈システム100内の他の場所に位置付けることができる。pHセンサ220は、同様に、第2の圧力センサ212の下流の位置で、混合ポンプ144と背圧制御バルブ172との間に配置される。pHセンサ220は、混合ポンプ144によって出力された希釈緩衝液のpHレベルを測定し、測定されたpHレベルを示すデータをコントローラ148に提供し、それによって、希釈緩衝液が所望のpHを有することを確実にするのに役立つ。他の例では、pHセンサ220は、インライン緩衝液希釈システム100内の他の場所に位置付けることができる。
【0018】
任意選択的に、図1に示すように、インライン緩衝液希釈システム100は、混合ポンプ144によって出力された希釈緩衝液からガス気泡を除去するように構成された気泡トラップ224を含み得る。この例では、気泡トラップ224は、希釈緩衝液が混合ポンプ144を出た後に、かつ導電性センサ216およびpHセンサ220によって希釈緩衝液に関する任意のデータが取得される前に、気泡トラップ224が希釈緩衝液からガス気泡を除去するように構成されるように、混合ポンプ144と導電性センサ216およびpHセンサ220との間に配置される。他の例では、気泡トラップ224は、インライン緩衝液希釈システム100内の他の場所に位置付けることができる。
【0019】
任意選択的に、インライン緩衝液希釈システム100は、図1に明示的に示されていない任意の数の追加の構成要素を含んでもよい。いくつかの例では(例えば、1つ以上の所望の特性が所望の温度を含むとき)、インライン緩衝液希釈システム100は、気泡トラップ224の代わりに、またはそれに加えて、熱交換器を含んでもよい。次いで、熱交換器は、コントローラ148が所望の温度を有する希釈液を生成するのを助けるように、混合ポンプ144と導電性センサ216およびpHセンサ220との間に配置される。いくつかの例では(例えば、インライン緩衝液希釈システム100が第4の容器140を含むとき)、インライン緩衝液希釈システム100は、熱交換器、ポンプ、センサ(例えば、圧力センサ、気泡センサなど)、圧力レギュレータ、または第4の容器140と第5の流量計222との間に配置された他の構成要素を含んでもよい。いくつかの例では、インライン緩衝液希釈システム100は、導電性センサ216およびpHセンサ220と第3の流量計206との間に配置されたセンサ(例えば、温度センサ、密度センサ、光学センサなど)を含んでもよい。
【0020】
最後に、インライン緩衝液希釈システム100の上述の構成要素は、それらの間に延びる導管を使用して一緒に接続されることが理解されよう。さらに、インライン緩衝液希釈システム100の上述の構成要素は、1つ以上の異なる材料から作製され得ることが理解されよう。上述のように、第1の緩衝液の第1の容器120、および第2の緩衝液の第2の容器124は各々、例えば、使い捨て材料で作製されたコンテナの形態をとることができる。インライン緩衝液希釈システム100の他の構成要素、例えば、第1、第2、および第3の流量制御バルブ104、108、および112、混合ポンプ144、ならびにシステム100の様々な構成要素を接続する導管も、好ましくは、プラスチック材料もしくはポリマー材料、または(ガンマ線に耐えることができる)ガンマ安定プラスチックのようなフィルム材料など、単回使用または使い捨ての材料から作製される。しかしながら、いくつかの例では、導管および/またはインライン緩衝液希釈システム100の他の構成要素は、代わりに金属材料(例えば、ステンレス鋼)から作製されてもよい。
【0021】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に関して多種多様の修正、変更、および組み合わせを行うことができ、そのような修正、変更、および組み合わせは、本発明の概念の範囲内であると見なされることを認識するであろう。
図1
図2
図3