(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】内視鏡手術用電極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2022567094
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2020095740
(87)【国際公開番号】W WO2021223288
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】202010370807.X
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522427844
【氏名又は名称】安進医療科技(北京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100136146
【氏名又は名称】小谷 明生
(72)【発明者】
【氏名】趙 偉
(72)【発明者】
【氏名】郭 志剛
(72)【発明者】
【氏名】喬 剣江
(72)【発明者】
【氏名】魯 玉川
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-011083(JP,A)
【文献】特開2019-205625(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105832411(CN,A)
【文献】米国特許第06391027(US,B1)
【文献】特開2012-120881(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055700(WO,A1)
【文献】特開平07-008503(JP,A)
【文献】国際公開第2011/086753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極芯線、突没制御部材、及び、絶縁外套管を備え、
前記電極芯線は、電極チップ、同軸ケーブル、及び、電極絶縁管を備え、前記電極チップが前記同軸ケーブルを介して外部ホストの出力端子に電気的に接続され、前記電極絶縁管が前記電極チップに嵌合され、
前記絶縁外套管は、前記電極芯線に可動に外嵌され、前記電極チップが位置する端部が前記電極絶縁管から所定の距離だけ延長し、
前記突没制御部材は、前記電極チップが前記絶縁外套管から突没するように、前記絶縁外套管の移動を制御
し、
前記同軸ケーブルは、中心導線と、内から外へ前記中心導線に順次嵌合される絶縁層、導電層、及び、絶縁外被とを備え、
前記中心導線が前記電極チップに接続され、
前記中心導線と前記絶縁層との端部が前記電極絶縁管の内部に位置し、前記導電層と前記絶縁外被とが前記電極絶縁管の外部に位置する、
ことを特徴とする内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項2】
前記電極チップがピン状構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項3】
前記電極芯線は、前記電極絶縁管及び前記絶縁外被の外部にシール嵌合される絶縁内套管をさらに備え、
前記絶縁外套管が前記絶縁内套管に摺動可能に外嵌される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項4】
前記電極芯線は、同軸コネクタをさらに備え、
前記突没制御部材は、管状本体、可動部材、エンドカバー、及び、固定管を備え、
前記可動部材が、前記管状本体の一端に軸方向移動可能に嵌合され、
前記エンドカバーが、前記管状本体の他端に固定され、前記同軸コネクタに接続され、
前記同軸コネクタ及び前記固定管が前記管状本体内に設けられ、前記同軸ケーブルが、前記可動部材及び前記固定管を貫通して、前記同軸コネクタ、前記外部ホストの出力端子に電気的に接続され、
前記可動部材が前記絶縁外套管に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項5】
前記突没制御部材は、位置決めピンをさらに備え、
前記可動部材には、前記位置決めピンを固定するための位置決め孔が設けられ、
前記管状本体には、前記位置決めピンが摺動するためのガイド溝が設けられる、
ことを特徴とする請求項
4に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項6】
前記可動部材と前記管状本体とがねじ接続される、
ことを特徴とする請求項
4に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項7】
前記絶縁内套管と前記絶縁外套管とは、所定の可撓性及び剛性を有する滑らかな有機高分子材料製套管である、
ことを特徴とする請求項
3に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項8】
前記同軸ケーブル、前記電極絶縁管、
及び、前記絶縁内套
管が一体成形される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【請求項9】
前記電極チップと前記電極絶縁管との間にシール材が充填されており、
前記絶縁内套管と、前記電極絶縁管及び前記同軸ケーブルとの間にシール材が充填されている、
ことを特徴とする請求項
3に記載の内視鏡手術用電極アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特に内視鏡手術用電極アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像技術の進歩及び低侵襲手術の発展に伴い、内視鏡手術は胸腔、腹腔、鼻腔、婦人科や泌尿器科などの分野で広く応用されている。開放外科手術と比べて、内視鏡手術は、医原性損傷を軽減し、手術部位の機能を最大限に保護して回復させ、回復後の患者の生活の質を高めることができる。頭蓋内内視鏡手術を例にとると、頭蓋内内視鏡手術を行う際に、通常、頭蓋に小孔をあけて内視鏡を挿入し、細長い内視鏡電極を内視鏡チャンネルを通して脳内に進入させ、内視鏡における撮像レンズを通じて病変部の状態を観察・確認しながら、内視鏡電極を制御し、高周波発生装置により組織の穿孔、凝固止血、切開などの手術操作を行う。内視鏡電極は、内視鏡チャンネル内に設けられたワイヤと、患者の体表に貼付される対極板とを備える。使用時に、ワイヤと対極板との間に高周波電圧を印加し、ワイヤを病変部位の組織に接触させることで、接触部位の組織の凝固や切開操作を行う。
【0003】
しかしながら、内視鏡手術は、一般的に脳脊髄液や注入された生理食塩水中で行われるので、むき出しのワイヤが生理食塩水中で高周波エネルギーを電極チップ部にうまく集中させることができず、高周波電流の漏洩が多く、絶縁性が悪く、漏洩した高周波電流が体に損傷を与えやすい。また、内視鏡チャンネルとワイヤとの間の空間が大きいため、ワイヤが内視鏡チャンネルを通過する際に内視鏡チャンネルを傷つけやすく、内視鏡の使用寿命に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、操作中における高周波電流の漏洩を防止するとともに、電極チップが内視鏡チャンネルを通過する際に内視鏡チャンネルを傷つけて、内視鏡の使用寿命に影響を与えることを防止する内視鏡手術用電極アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この内視鏡手術用電極アセンブリは、電極芯線、突没制御部材及び絶縁外套管を備え、
前記電極芯線は、電極チップ、同軸ケーブル及び電極絶縁管を備え、前記電極チップが前記同軸ケーブルを介して外部ホストの出力端子に電気的に接続され、前記電極絶縁管が前記電極チップに嵌合され、
前記絶縁外套管は、前記電極芯線に可動に外嵌され、前記電極チップが位置する端部が前記電極絶縁管から所定の距離だけ延長し、
前記突没制御部材は、前記電極チップが前記絶縁外套管から突没するように、前記絶縁外套管の移動を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る内視鏡手術用電極アセンブリは、電極チップ、同軸ケーブル及び電極絶縁管を設けて、電極チップを同軸ケーブルを介して外部ホストの出力端子に電気的に接続し、電極絶縁管を電極チップに嵌合することにより、絶縁性を高め、手術の際に電極チップに高周波電流の漏洩現象が発生することで、チップ部の電界強度が弱められて、近傍界効果を用いて凝固や切開を行うのに必要な電界強度に達することができず、体に予期せぬ損傷をもたらすことを防止する。突没制御部材及び絶縁外套管を設けて、絶縁外套管を電極絶縁管に可動に外嵌し、電極チップが位置する端部が電極絶縁管から所定の距離だけ延長し、電極チップが絶縁外套管内に没入するように、突没制御部材が絶縁外套管の移動を制御することにより、電極チップが内視鏡チャンネルを通過する際に絶縁外套管内に没入可能になり、病変部に進入した後に絶縁外套管から突出可能になって、後続の手術操作が行われることを確保し、電極チップが内視鏡チャンネルを通過する際に内視鏡チャンネルを傷つけて、内視鏡の使用寿命に影響を与えることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下、本発明の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、実施例の説明に使用する添付図面を簡単に説明する。以下に説明する図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係る手術用電極アセンブリの電極チップの部分断面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る突没制御部材の第1構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る突没制御部材の第1具体例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る管状本体の第1構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る可動部材の第1構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係る突没制御部材の第2構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係る可動部材の第2具体例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係る管状本体の第2具体例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係る固定筒の第2構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願は、2020年5月6日に提出された、出願番号が202010370807.Xで、発明の名称が「内視鏡手術用電極アセンブリ」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容が参照により本願に組み込まれる。
【0010】
以下、本発明の実施例の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。ここで、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0011】
なお、一般的には、頭蓋内内視鏡手術を行う場合に、内視鏡チャンネルは合計で3つあり、1つは病変部に生理食塩水を注入するためのもの、1つは頭蓋内にカメラを入れるためのもの、もう1つは頭蓋内に電極アセンブリを入れるためのものである。
【0012】
本発明の実施例は、
図1及び
図2に示すように、電極芯線1、突没制御部材2、絶縁外套管3を備える内視鏡手術用電極アセンブリを提供する。電極芯線1は、同軸ケーブル102を介して外部ホストの出力端子に電気的に接続され、電極絶縁管103が電極チップ101に嵌合され、絶縁外套管3は、電極芯線1に可動に外嵌され、電極チップ101が位置する端部が電極絶縁管103から所定の距離だけ延長し、突没制御部材2は、電極チップ101が絶縁外套管から突没するように、絶縁外套管3の移動を制御する。
【0013】
頭蓋内手術を行う必要がある場合に、突没制御部材2により絶縁外套管3の移動を制御して、電極チップ101を絶縁外套管3内に没入させ、電極チップ101を内視鏡チャンネルに沿って頭蓋内病変部に送る。電極チップ101が所定の位置に到達すると、突没制御部材2により絶縁外套管3の移動を制御して、電極チップ101を絶縁外套管3から突出させる。この場合に、外部ホストを用いて同軸ケーブル102を介して電極チップ101を駆動して頭蓋内病変部で穿孔、切開、凝固止血等の手術操作を行えばよい。
【0014】
本発明の実施例に係る内視鏡手術用電極アセンブリは、電極チップ101、同軸ケーブル102及び電極絶縁管103を設けて、電極チップ101を同軸ケーブル102を介して外部ホストの出力端子に電気的に接続し、電極絶縁管103を電極チップ101に嵌合することにより、絶縁性を高め、手術の際に電極チップ101に高周波電流の漏洩現象が発生することで、チップ部の電界強度が弱められて、近傍界効果を用いて凝固や切開を行うのに必要な電界強度に達することができず、体に損傷をもたらすことを防止する。突没制御部材2及び絶縁外套管3を設けて、絶縁外套管3を電極絶縁管103に可動に外嵌し、電極チップ101が位置する端部が電極絶縁管103から所定の距離だけ延長し、電極チップ101が絶縁外套管3内に没入するように、突没制御部材2が絶縁外套管3の移動を制御することにより、電極チップ1が内視鏡チャンネルを通過する際に絶縁外套管3内に没入可能になり、病変部に進入した後に絶縁外套管3から突出可能になって、後続の手術操作が行われることを確保し、電極チップ101が内視鏡チャンネルを通過する際に内視鏡チャンネルを傷つけて、内視鏡の使用寿命に影響を与えることを防止する。
【0015】
電極絶縁管103は、電気絶縁強度及び耐焼損性に優れ、例えば、セラミック管であってもよく、電極チップ101と後述する導電層1023(負極)との間の絶縁性を高めて、電極の等価インピーダンスを高めるとともに、電極チップ101と組織との間に気化切除作用が形成される際に、放電による電極チップ101と同軸ケーブル102との接続点の焼損現象を防止して、電極アセンブリ全体の耐久性を高めることができる。電極チップ及び同軸ケーブルのサイズによって、電極絶縁管103は、内径が0.4mm~1.2mmであってもよく、外径が0.8mm~2.0mmであってもよく、長さが4mm~12mmであってもよい。
【0016】
電極チップ101が電極絶縁管103の外部を通して同軸ケーブル102の導電層1023(負極)と脳脊髄液や生理食塩水中で連通することで、絶縁性を低下させることを防止するために、
図1に示すように、該手術用電極アセンブリは、電極絶縁管103及び同軸ケーブル102の絶縁外被1024の外部にシール嵌合される絶縁内套管104をさらに備える。
【0017】
電極絶縁管103は接着により絶縁内套管104に設けられてもよい。電極絶縁管103の内径と電極チップ101の外径との差が所定の閾値(所定の閾値は0よりも大きい値である)未満であるため、電極絶縁管103と電極チップ101との空間が非常に小さく、手術の際に液体が絶縁内套管104の内部に入ることを防止することができる。
【0018】
取付時に、電極チップ101と同軸ケーブル102の中心導線1021とを接続し、接続箇所を電極絶縁管103の中間位置とし、電極チップ101を電極絶縁管103から一部露出させ、電極絶縁管103と電極チップ101との間の隙間に、及び絶縁内套管104と電極絶縁管103及び同軸ケーブル102との間の隙間にシール材4を充填する(
図1参照)。このシール材4は絶縁性に優れたシリコーンゴム、セラミック接着剤などであってもよい。絶縁内套管104を電極絶縁管103及び同軸ケーブル102に外嵌するとともに、絶縁内套管104に挿入される電極絶縁管103及び一部の同軸ケーブル102を接着剤で絶縁内套管104に接着し、長い同軸ケーブル102の全部を絶縁内套管104に接着することなく、電極絶縁管103から少し離れた部分だけまで接着すればよい。
【0019】
絶縁内套管104及び絶縁外套管3は、所定の可撓性及び剛性を有する滑らかな有機高分子材料製套管であってもよく、該有機高分子材料製套管は、上記特性に加えて、電気絶縁性に優れ、生体適合性を有し、例えばポリイミド等である。絶縁内套管104に挿入される電極絶縁管103及び一部の同軸ケーブル102を絶縁内套管104に接着することにより、シールの役割を果たして、操作する際に、脳脊髄液や生理食塩水が電極チップ101と導電層1023との間に侵入することで、電極の等価インピーダンスを低下させることを防止する一方で、同軸ケーブル102の剛性を向上させることができる。同軸ケーブル102は、長さが約400mm~900mm、直径が約0.6mm~1.5mmであり、非常に柔軟であるため、一端で力強く押し付けて絶縁外套管3中を摺動させると、摩擦係数が大きいのでケーブルが曲がって摺動できなくなることがあり、移動距離の精度に影響を与える。また、同軸ケーブル102と所定の剛性を有する絶縁内套管104とを接着することで、全体の剛性が高くなって曲がりが発生しにくくなるとともに、絶縁内套管104の外面の滑らかさで電極芯線1と絶縁外套管3との摩擦係数が低下して、絶縁外套管3における摺動が容易になる。
【0020】
電極チップの極小点に高周波エネルギーが集中することを確保し、組織の凝固、切開の手術操作を円滑に行うために、電極チップ101をピン状構造とすることができる。また、電極チップ101はさらに柱状構造、シート状、又は、所定の湾曲角度を有する上述した様々な形状の構造であってもよい。組織の凝固のみに使用される場合に、電極チップ101を球状構造とすることができる。
【0021】
同軸ケーブル102の中心金属部分が通常銅線であるため、後続の切断、凝固等の手術操作を円滑に行うために、電極チップ101の材質をステンレスやタングステン線等にして、バリや鋭利な部分による組織の機械的損傷を回避するように、その端部を研磨することができる。組織癒着を防止するようにその表面に金メッキ、銀メッキ等の処理を施してもよい。
【0022】
手術の際に、予期せぬ高周波電流が体を流れて損傷を与えることを防止しつつ、電極チップ101が切断、凝固及び穿孔などの複数の機能を達成できるように、手術用電極アセンブリにおけるケーブルは同軸ケーブル102を用いることができる。
図1に示すように、同軸ケーブル102は、中心導線1021と、内から外へ中心導線1021に順次嵌合される絶縁層1022、導電層1023及び絶縁外被1024とを備える。中心導線1021が電極チップ101に接続される。中心導線1021と絶縁層1022との端部が電極絶縁管103の内部に位置し、導電層1023と絶縁外被1024とが電極絶縁管103の外部に位置する。電極チップ101を同軸ケーブル102に接続する場合に、その一端から4mm~10mm離れた位置で、絶縁外被1024及び導電層1023を除去し、中心導線1021及び絶縁層1022を保留する。電極チップ101を中心導線1021に接続し、接続方法は圧着又は半田接合であってもよい。
【0023】
絶縁層1022を設け、中心導線1021と絶縁層1022との端部が電極絶縁管103の内部に位置し、導電層1023と絶縁外被1024とが電極絶縁管103の外部に位置することにより、同軸ケーブル102全体の絶縁効果を確保している。
【0024】
中心導線1021、電極チップ101、人体組織、絶縁外套管3、絶縁内套管104、絶縁外被1024、導電層1023の間に回路が形成され、体表に対極板を貼付した時に高周波電流が直接体を流れて損傷を与えることを防止し、そして、この回路は電極チップ101の体に接触する部分だけで熱が発生し、接触面積が小さく、切断、凝固及び穿孔の機能を実現することができる。導電層1023はメッシュ状又は金属薄膜状であってもよい。
【0025】
また、同軸ケーブル102の特性インピーダンスは、外部ホスト(電磁メス手術システムホスト)の出力ケーブルの特性インピーダンスよりも大きい。本発明の電極アセンブリの等価負荷インピーダンスは、電極チップ101と同軸ケーブル102の導電層1023との間の物理的構造及び絶縁距離により決定される。通常、生理食塩水、絶縁外套管3の壁、及び同軸ケーブルの絶縁外被等を備えるが、その大きさが実際の測定により得られ、通常同軸ケーブル102の特性インピーダンスよりも大きい。電磁メス手術システムホストから内視鏡手術用電極アセンブリへの等価負荷を段階的に調整することにより、高周波電気信号を電極チップ101と導電層1023との間に効率的に伝送し、様々な伝送媒体間の反射を低減して、電極チップ101と組織との間に近傍界効果が発生する条件を満たし、組織の気化切除の手術効果を発揮することができる。
【0026】
本願では、操作時に、高周波電流(200kHz~30MHz)を使用しているので、上記同軸ケーブル102を使用することにより、高周波信号の伝送損失を低減し、後続の手術操作を円滑で正確に行うことを確保することができる。
【0027】
電極チップ101の突没制御を容易にするために、
図2に示すように、電極芯線1は、同軸コネクタ105をさらに備える。突没制御部材2は、管状本体201、可動部材202、エンドカバー203及び固定管204を備える。可動部材202が管状本体201の一端に軸方向移動可能に嵌合される。エンドカバー203が、管状本体201の他端に固定され、同軸コネクタ105に接続される。同軸コネクタ105及び固定管204が管状本体201内に設けられ、同軸ケーブル102が、可動部材202及び固定管204を貫通して、同軸コネクタ105、外部ホストの出力端子に電気的に接続され、可動部材202が絶縁外套管3に接続される。
【0028】
電極チップ10が絶縁外套管3から突没するように制御する必要がある場合には、可動部材202を管状本体201に沿って軸方向移動するように制御するだけでよく、こうして絶縁外套管3が移動し、電極チップ101が絶縁外套管3から突没するようになる。手術を行う必要がある場合には、外部ホストを利用してエンドカバー203に固定された同軸コネクタ105、同軸ケーブル102を介して順次電気エネルギーを電極チップ101に伝送し、電極チップ101の操作を制御すればよい。
【0029】
固定管204は、固定管204内の同軸ケーブル102の操作中の湾曲を防止するのに十分な剛性を確保できる限り、金属管であってもよい。
【0030】
さらに、可動部材202は、様々な方式で管状本体201に沿って軸方向移動することができ、例えば、第1の例としては、
図3、
図4及び
図5に示すように、該突没制御部材2は、位置決めピン206をさらに備える。可動部材202には、位置決めピン206を固定するための位置決め孔2021が設けられている。管状本体201には、位置決めピン206が摺動するためのガイド溝2011が設けられている。
【0031】
これにより、電極チップ101が絶縁外套管3から突没するように制御する必要がある場合に、位置決めピン206がガイド溝2011を移動するように、可動部材202を回転させるだけでよい。この過程で、位置決めピン206のガイド溝における移動距離に基づいて、電極チップ101の突没距離を制御することができる。
【0032】
ガイド溝2011の構造は、弧状構造、ストリップ構造などの様々な構造であってもよく、可動部材202の軸方向移動を確保できる限り、その配置方向が管状本体201の軸方向と一致してもよいし、管状本体201の軸方向に対して45°、60°等の所定の角度をなしてもよい。また、
図4に示すように、可動部材202が所定の距離移動したことを提示するように、ガイド溝2011にジグザグ構造を設けてもよい。位置決めピン206がジグザグ構造の頂点を通過する場合に、可動部材202を手に持つことで、ガタンという感覚を感じることができ、操作者に電極チップ101の突没距離を提示することができる。
【0033】
第2の例としては、可動部材202と管状本体201とをねじ接続することができる。具体的には、管状本体201の内壁に雌ねじが設けられ、可動部材202の外壁に該雌ねじに螺合される雄ねじが設けられ、使用時に、可動部材202を回転させるだけでよい。
【0034】
また、
図6及び
図7に示すように、該突没制御部材2は、雌ねじが可動部材202の雄ねじに接続され、雄ねじが管状本体201の雌ねじに接続されて接着されるねじ接続リング205をさらに備える。可動部材202には、可動部材202の上方への移動位置を規制するための位置規制リング2022が設けられている(
図6及び
図7参照)。管状本体201の外壁には、位置指示用板ばねを取り付けるための環状溝が設けられている(
図6及び
図8参照)。板ばね2012の180°対向する位置に弾性突起を2つ有する。可動部材202は、可動部材202に接着された固定筒207をさらに備える。固定筒207の内壁の180°対向する位置に長手方向の凹溝2071が2つ設けられ(
図9参照)、この凹溝2071が板ばね2012の弾性突起と係合することで、手で感じられる位置決めを提供する。
【0035】
これにより、電極チップ101が絶縁外套管3から突没するように制御する必要がある場合に、可動部材202の雄ねじが、管状本体201に固定されたねじ接続リング205の雌ねじに沿って移動して、可動部材202が長手方向に移動するように、手で可動部材202の固定筒207を回転させるだけでよい。この過程で、可動部材202のねじ接続リング205における移動距離に基づいて、電極チップ101の突没距離を制御することができる。固定筒207を回転させる際に、管状本体201における板ばね2012の弾性突起が、180°回転する度に、固定筒207の内壁における長手方向の凹溝に入り、操作者が回転力の変化を感じることができ、操作者に電極チップ101が所定の距離突没したことを提示することができる。
【0036】
電極チップ101と電極絶縁管103との間隔が大きいため、電極チップ101の揺れを防止するとともに、優れた絶縁性及びシール性を確保するために、電極チップ101と電極絶縁管103との間にシール材4を充填することができる(
図1参照)。
【0037】
絶縁内套管104及び絶縁外套管3は、優れた電気絶縁性、耐摩耗性、滑り性及び物理的機械的強度を具備するために、その材質をポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンなどとすることができる。
【0038】
同軸ケーブル102、電極絶縁管103、絶縁内套管104の間のシール性や接続性を確保するために、同軸ケーブル102、電極絶縁管103、絶縁内套管104を一体成形することができる。
【0039】
以上のようにして、本発明の実施例に係る内視鏡手術用電極アセンブリは、ピン状の電極チップ101を設けることにより、電極チップ101の極小点に高周波エネルギーが集中することを確保し、組織の凝固、切開の手術操作を円滑に行うことを実現する。電極チップ101に電極絶縁管103及び絶縁内套管104を外嵌することにより、電極チップ101のチップ部の絶縁性を向上させ、電極チップ101が灌流液中で高周波電流の漏洩現象が発生することで、チップ部の電界強度が弱められて、近傍界効果を用いて凝固や切開を行うのに必要な電界強度に達することができないことを防止し、そして、高周波電流漏洩による患者への傷害を低減して、手術をより安全且つ有効にし、とても小さいパワーで気化や切開操作を実現することができる。突没制御部材2及び絶縁外套管3を設けて、絶縁外套管3を電極絶縁管103に可動に外嵌し、電極チップ101が位置する端部が電極絶縁管103から所定の距離だけ延長し、電極チップ101が絶縁外套管3内に没入するように、突没制御部材2が絶縁外套管3の移動を制御することにより、電極チップ101が内視鏡チャンネルを通過する際に絶縁外套管3内に没入可能になり、病変部に進入した後に絶縁外套管3から突出可能になって、後続の手術操作が行われることを確保し、電極チップ101が内視鏡チャンネルを通過する際に内視鏡チャンネルを傷つけて、内視鏡の使用寿命に影響を与えることを防止する。
【0040】
以上説明した具体的な実施例により、本発明の目的、技術的手段及び有益な効果を詳細に説明した。上記の説明は、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。本発明の精神及び原則の範囲内で行われるあらゆる修正、同等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 電極芯線
101 電極チップ
102 同軸ケーブル
1021 中心導線
1022 絶縁層
1023 導電層
1024 絶縁外被
103 電極絶縁管
104 絶縁内套管
105 同軸コネクタ
2 突没制御部材
201 管状本体
2011 ガイド溝
2012 板ばね
202 可動部材
2021 位置決め孔
2022 位置規制リング
203 エンドカバー
204 固定管
205 ねじ接続リング
206 位置決めピン
207 固定筒
2071 凹溝
3 絶縁外套管
4 シール材