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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】配管支持構造及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/16 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16L3/16 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022578023
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2021027956
(87)【国際公開番号】W WO2022162974
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2021012088
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 竜太朗
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 光
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 浩平
(72)【発明者】
【氏名】青田 豊誠
(72)【発明者】
【氏名】津村 善将
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-165432(JP,U)
【文献】特開2013-174451(JP,A)
【文献】実開昭56-110326(JP,U)
【文献】特開2010-203256(JP,A)
【文献】特開2013-134229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一配管の内部に配置される第二配管の外周面に当接される板状部材と、
筒状であり、中心軸の軸線方向の一方の端部が前記板状部材に当接した状態で前記板状部材に固定される管状部材と、
前記管状部材の前記軸線方向の他方の端部を支持する台座と
を備え、
前記台座は、前記第一配管の壁部に設けられ、
前記板状部材及び前記管状部材は、前記第一配管の内部に配置され、
前記板状部材は、前記管状部材に支持される被支持部分と、前記被支持部分に囲まれる内側部分とを有し、
前記内側部分は、前記被支持部分に対して単位体積当たりの熱容量が小さい
配管支持構造。
【請求項2】
前記第一配管は、第1ガスを流通させ、
前記第二配管は、前記第1ガスとは温度が異なる第2ガスを流通させ、
前記第二配管は、前記第1ガス及び前記第2ガスが流通することで、前記第二配管の内部と前記第二配管の外部である前記第一配管の内部との間に所定の温度差が生じる環境に配置される
請求項1に記載の配管支持構造。
【請求項3】
前記第一配管は、第1ガスを流通させ、
前記第二配管は、前記第1ガスとは温度が異なる第2ガスを流通させ、
前記第二配管は、前記第1ガス及び前記第2ガスが流通することで、前記第二配管の内部と前記第二配管の外部である前記第一配管の内部との間に100℃以上の温度差が生じる環境に配置される
請求項1に記載の配管支持構造。
【請求項4】
前記板状部材は、前記軸線方向に見た場合の外形が円形状である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項5】
前記板状部材は、前記内側部分が開口されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項6】
前記板状部材は、前記内側部分に面する内周面が前記配管に溶接された状態である
請求項5に記載の配管支持構造。
【請求項7】
前記板状部材は、前記内側部分を囲うように前記中心軸の軸回り方向に間隔を空けて配置された複数の分割部材を有する
請求項5又は請求項6に記載の配管支持構造。
【請求項8】
前記管状部材は、前記軸線方向の前記板状部材側に配置される第1管状部材と、前記軸線方向の前記台座側に配置される第2管状部材とが溶接された状態で設けられる
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項9】
前記板状部材は、前記内側部分が多孔質状である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項10】
前記板状部材は、前記軸線方向について前記内側部分の厚さが前記被支持部分の厚さに比べて薄い
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項11】
前記管状部材と前記台座との間に配置される第2板状部材を更に備え、
前記第2板状部材は、前記管状部材を支持する支持部分の内側が開口されている
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項12】
前記台座は、前記管状部材を支持する台座側支持部分の内側が開口されている
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項13】
前記配管は、前記板状部材に対応する部分が、他の部分に対して単位体積当たりの熱容量が小さい
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の配管支持構造。
【請求項14】
前記第一配管は排気ダクトであり、前記第二配管は抽気管である
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の配管支持構造
を備えたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内部にガス等の流体を流通させる配管を支持する構成として、例えば特許文献1に記載の構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-263971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の配管支持構造は、配管をクランプし、サポートとの間に補強板を設ける構成であるが、製造工数が多くなってしまう。このため、配管の外周面に板状部材を溶接により固定し、板状部材に対して管状部材等の支持構造を溶接する構成が提案されている。
【0005】
一方、配管の外周面に板状部材を溶接して固定する構成では、例えば配管の内部の温度と外部の温度とが異なる状態になると、配管と板状部材との間に温度差が生じる場合がある。この温度差により、板状部材が変形して熱応力が生じ、当該熱応力により、例えば板状部材が配管から剥離する等、配管支持構造が損傷を受ける可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、熱応力による損傷を抑制することが可能な配管支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配管支持構造は、配管の外周面に当接される板状部材と、筒状であり、前記板状部材を支持する管状部材と、前記管状部材を支持する台座とを備え、前記板状部材は、前記管状部材に支持される被支持部分と、前記被支持部分に囲まれる内側部分とを有し、前記内側部分は、前記被支持部分に対して単位体積当たりの熱容量が小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱応力による損傷を抑制することが可能な配管支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る配管支持構造がダクトの内部で配管を支持する一態様を示す図である。
図2図2は、配管支持構造の断面構成の一例を示す図である。
図3図3は、配管支持構造を配管側から見た状態を示す図である。
図4図4は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
図5図5は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
図6図6は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
図7図7は、配管支持構造を配管側から見た状態の他の例を示す図である。
図8図8は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
図9図9は、配管支持構造を配管側から見た状態の他の例を示す図である。
図10図10は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
図11図11は、配管及び配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る配管支持構造の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る配管支持構造100がダクト60の内部で配管50を支持する一態様を示す図である。配管支持構造100は、ダクト60の内部に挿入される配管50を支持する。ダクト60としては、例えばガスタービンの排気ダクトが挙げられる。この場合、ダクト60の内部を流通するガスG1は高温ガスである。なお、ダクト60は、ガスタービンの排気ダクトに限定されない。
【0012】
配管50としては、例えばガスタービンの抽気管が挙げられる。配管50は、円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。配管50は、ダクト60を流通するガスG1の流通方向に対して傾いた状態で当該ダクト60に挿入され、ダクト60内でガスG1の流通方向に沿うように屈曲される。配管50の内部を流通するガスG2は、例えば高温ガスであるガスG1よりも温度が低く、ガスG1に対して温度差を有する低温ガスである。なお、配管50は、ガスタービンの抽気管に限定されない。
【0013】
ダクト60の内部と配管50の内部との間、つまり配管50の内部と外部との間には、ガスG1とガスG2の温度に応じて所定の温度差が生じる。本実施形態に係る配管支持構造100において、ガスG1及びガスG2が流通する場合、配管50の内部と外部との間に生じうる所定の温度差は、例えば100℃以上である。この所定の温度差は、例えば夏季と冬季とで生じる温度差のような自然環境下で生じうる温度差よりも大きい。このように、配管50は、内部と外部との間に自然環境下で生じうる温度差よりも大きい所定の温度差、例えば100℃以上の温度差が生じる環境に配置される。
【0014】
図2は、配管支持構造100の断面構成の一例を示す図である。図3は、配管支持構造100を配管50側から見た状態を示す図である。図2及び図3に示すように、配管支持構造100は、板状部材10と、管状部材20と、スライドプレート(第2板状部材)30と、台座40とを備える。配管支持構造100は、配管50の屈曲部分の先端側を支持する。
【0015】
板状部材10は、配管50の外周面51に当接され、例えば完全溶け込み溶接、隅肉溶接等の溶接により配管50に接合される。板状部材10は、配管50を支持する支持方向、つまり、後述する管状部材20の中心軸AXの軸線方向から見た場合に円形状である。
【0016】
板状部材10は、被支持部分11と、内側部分12とを有する。被支持部分11は、板状部材10の外周面を含み、後述する管状部材20に支持及び接合される環状の部分である。
【0017】
内側部分12は、配管50の支持方向(中心軸AXの軸線方向)から見た場合に被支持部分11の内側に配置される円形状の部分である。内側部分12は、被支持部分11に対して、単位体積当たりの熱容量が小さい。本実施形態において、内側部分12は、開口されている。このため、板状部材10は、当該内側部分12の単位体積当たりの熱容量が被支持部分11と同様である構成に比べて、熱による変形量が小さくなっている。板状部材10は、内側部分12において熱変形が生じないため、全体として熱変形を抑制可能な構成となっている。
【0018】
管状部材20は、中心軸AXを中心とした円筒状であり、例えば溶接等により板状部材10に固定される。管状部材20は、一方の端面20aが板状部材10に当接された状態で板状部材10を支持する。
【0019】
スライドプレート30は、管状部材20と台座40との間に配置される。スライドプレート30は、管状部材20の他方の端面20bに当接された状態で管状部材20を支持する。スライドプレート30は、管状部材20を支持する支持部分31と、当該支持部分31の内側に設けられる開口部分32とを有する。スライドプレート30に開口部分32が設けられることにより、上記の板状部材10と同様、スライドプレート30における熱変形が抑制される。
【0020】
台座40は、スライドプレート30を介して管状部材20を支持する。台座40は、スライドプレート30を支持する支持部分(台座側支持部分)41と、当該支持部分41の内側に設けられる開口部分42とを有する。台座40に開口部分42が設けられることにより、上記の板状部材10及びスライドプレート30と同様、台座40における熱変形が抑制される。
【0021】
上記の配管50に配管支持構造100を設置する場合、まず、配管50の外周面51の所定の位置に板状部材10を位置決めし、当該板状部材10を溶接により配管50に接合する。板状部材10を接合した後、当該板状部材10の被支持部分11に管状部材20の端面20aを当接し、当該管状部材20を完全溶け込み溶接により板状部材10に接合する。
【0022】
管状部材20を接合した後、スライドプレート30の支持部分31を管状部材20の他方の端面20bに当接し、当該スライドプレート30を完全溶け込み溶接により管状部材20に接合する。スライドプレート30を接合した後、当該スライドプレート30を支持するように台座40を配置する。このとき、開口部分42がスライドプレート30の開口部分32と対応するように台座40を配置する。
【0023】
以上のように、本実施形態に係る配管支持構造100は、配管50の外周面51に当接される板状部材10と、筒状であり、中心軸AXの軸線方向の一方の端面20aが板状部材10に当接した状態で板状部材10に固定される管状部材20と、管状部材20の軸線方向の他方の端面20を支持する台座40とを備え、板状部材10は、軸線方向に見て管状部材20が当接する被支持部分11の内側の内側部分12が、被支持部分11に対して単位体積当たりの熱容量が小さい。
【0024】
この構成によれば、板状部材10において熱変形が発生しやすい内側部分12の熱容量を被支持部分11に対して小さくすることにより、配管50と板状部材10との温度差による板状部材10の熱変形を抑制できる。これにより、板状部材10に熱応力が生じることを抑制できるため、当該熱応力による配管支持構造100の損傷を抑制することが可能となる。
【0025】
本実施形態に係る配管支持構造100において、配管50は、内部と外部との間に所定の温度差が生じうる環境に配置される。所定の温度差は、内部と外部との間に自然環境下で生じうる温度差よりも大きく、例えば100℃以上の温度差である。この構成では、配管50の内部と外部との間に自然環境下で生じうる温度差よりも大きい所定の温度差が生じる場合においても、配管50と板状部材10との温度差による板状部材10の熱変形を抑制できる。
【0026】
本実施形態に係る配管支持構造100において、板状部材10は、軸線方向に見た場合の外形が円形状である。従って、配管50と板状部材10との温度差による板状部材10の熱変形をより確実に抑制できる。
【0027】
本実施形態に係る配管支持構造100において、板状部材10は、内側部分12が開口されている。従って、板状部材10は、内側部分12が開口されていない場合に比べて、熱変形を生じうる部分が少なくなるため、熱応力による配管支持構造100の損傷をより確実に抑制できる。
【0028】
本実施形態に係る配管支持構造100において、管状部材20と台座40との間に配置されるスライドプレート30を更に備え、スライドプレート30は、管状部材20を支持する支持部分31の内側が開口されている。また、台座40は、管状部材20を支持する支持部分41の内側が開口されている。従って、配管支持構造100の全体において熱変形を生じうる部分が少なくなるため、熱応力による配管支持構造100の損傷をより確実に抑制できる。
【0029】
図4は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図4に示す配管支持構造200は、上記した配管支持構造100と同様、板状部材10と、管状部材20と、スライドプレート30と、台座40とを備える。配管支持構造200では、板状部材10の被支持部分11のうち、開口された内側部分12に面する内周面11aが、配管50に対して溶接部13を介して溶接された状態となっている。このため、板状部材10がより強固に配管50に接合された構成となっている。他の構成については、上記した配管支持構造100と同様である。
【0030】
このように、本実施形態に係る配管支持構造200では、板状部材10の内周面11aが配管50に対して溶接部13を介して溶接されるため、板状部材10をより強固に配管50に接合することができる。従って、熱応力による配管支持構造200の損傷をより確実に抑制できる。
【0031】
図5は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図5に示す配管支持構造300は、板状部材10と、管状部材320と、スライドプレート30と、台座40とを備え、板状部材10の内側部分12に面する内周面11aが、配管50に対して溶接部13を介して溶接された状態となっている。また、配管支持構造300において、管状部材320は、軸線方向において板状部材10側の第1管状部材21と、軸線方向において台座40側の第2管状部材23との2つの部材が溶接部22を介して溶接された状態で設けられる。他の構成については、上記した配管支持構造200と同様である。
【0032】
上記の配管50に配管支持構造300を設置する場合、上記同様に、まず、配管50に完全溶け込み溶接により板状部材10を接合し、当該板状部材10の被支持部分11に完全溶け込み溶接により第1管状部材21を接合する。このとき、第1管状部材21の台座側の端部から、第1管状部材21と被支持部分11との接合部分を内周側から確認することができる。これにより、第1管状部材21と被支持部分11との間の溶接に不具合がないかどうかを確認することができる。第1管状部材21を接合した後、当該第1管状部材21に第2管状部材22を溶接により接合する。
【0033】
このように、本実施形態に係る配管支持構造300では、管状部材20は、軸線方向において板状部材10側の第1管状部材21と、軸線方向において台座40側の第2管状部材23との2つの部材が溶接された状態で設けられるため、例えば板状部材10に第1管状部材21を接合した場合、第1管状部材21と被支持部分11との間の接合に不具合がないかどうかを確認することができる。
【0034】
図6及び図7は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図6は断面構成を示し、図7は配管50側から見た構成を示す。図6及び図7に示す配管支持構造400は、板状部材410と、管状部材20と、スライドプレート30と、台座40とを備える。配管支持構造400は、板状部材410の内側部分14が多孔質状となっている。これにより、内側部分14が多孔質状ではなく被支持部分11と同様に中実状である場合に比べて、単位体積当たりの熱容量が小さくなる。このため、内側部分14における熱変形を抑制し、熱応力の発生を抑制できる。
【0035】
このように、本実施形態に係る配管支持構造400において、板状部材410は、内側部分14が多孔質状である。したがって、内側部分14の単位体積当たりの熱容量を小さくすることができるため、内側部分14における熱変形を抑制し、熱応力の発生を抑制できる。
【0036】
図8及び図9は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図8は断面構成を示し、図9は配管50側から見た構成を示す。図8及び図9に示す配管支持構造500は、板状部材510と、管状部材20と、スライドプレート30と、台座40とを備える。
【0037】
配管支持構造500において、板状部材510は、複数の分割部材511を有する。複数の分割部材511は、内側部分512を囲うように中心軸AXの軸回り方向に間隔513を空けて配置される(図9参照)。図9に示す例では、分割部材511が中心軸AXの軸回り方向に4つ配置され、各間隔513が等しくなっている構成が示されているが、これに限定されない。分割部材511は、3つ以下又は5つ以上であってもよい。また、間隔513は、少なくとも1つが他と異なってもよい。
【0038】
上記の間隔513は、熱変形が生じない部分である。このように、板状部材510においては、内側部分512の開口部分に加えて、中心軸AXの軸回り方向についても熱変形が生じない間隔513を含んだ構成となる。このため、板状部材510は、より熱変形を抑制可能となる。
【0039】
このように、本実施形態に係る配管支持構造500において、板状部材510は、内側部分12を囲うように中心軸AXの軸回り方向に間隔513を空けて配置された複数の分割部材511を有する。この構成により、板状部材510は、熱変形を生じうる部分をより少なくすることができるため、より熱変形を抑制可能となり、熱応力による配管支持構造500の損傷をより確実に抑制できる。
【0040】
図10は、配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図10に示す配管支持構造600は、板状部材610と、管状部材20と、スライドプレート30と、台座40とを備える。配管支持構造600では、板状部材610の内側部分612の厚さが被支持領域611の厚さに比べて薄くなっている。より具体的には、内側部分612は、管状部材20側の面が凹んだ状態で形成される。なお、内側部分612は、配管50側の面が凹んだ状態で形成されてもよいし、管状部材20側及び配管50側の面の両側が凹んだ状態で形成されてもよい。
【0041】
このように、本実施形態に係る配管支持構造600において、板状部材610は、軸線方向について内側部分612の厚さが被支持領域611の厚さに比べて薄い。この構成により、板状部材610は、熱変形を生じうる部分をより少なくすることができるため、熱応力による配管支持構造600の損傷をより確実に抑制できる。
【0042】
図11は、配管及び配管支持構造の断面構成の他の例を示す図である。図11に示す例では、配管50Aに開口部52が設けられている。配管50Aを支持する配管支持構造としては、例えば配管支持構造100を例に挙げて示しているが、これに限定されず、上記した配管支持構造200、300、400、500、600のいずれかであってもよい。配管50Aは、板状部材10の内側部分12に対応する部分に開口部52を有する。開口部52は、板状部材10の内側部分12と寸法が対応するように形成される。なお、配管50Aは、板状部材10に対応する部分が、他の部分に対して単位体積当たりの熱容量が小さい構成であればよい。つまり、配管50Aは、開口部52に代えて、板状部材10に対応する部分に、薄肉部(凹部)、多孔質部を有する構成であってもよい。なお、配管50Aに凹部が設けられる場合、凹部は配管50Aの内周面側に配置されてもよいし、外周面側に配置されてもよい。
【0043】
この配管50Aに配管支持構造100を設置する場合、まず、配管50Aの開口部52と板状部材10の内側部分12との位置合わせを行う。その後、板状部材10を配管50Aの外周面51に当接し、完全溶け込み溶接により板状部材10を配管50Aに接合する。その後、板状部材10の被支持部分11に完全溶け込み溶接により管状部材20を接合する。
【0044】
このように、配管50Aは、板状部材10に対応する部分が、他の部分に対して単位体積当たりの熱容量が小さいため、配管50A側の熱変形を抑制できる。例えば、配管50Aに開口部52が設けられる場合、当該開口部52に対応する位置に配管支持構造100を設置する。これにより、配管50A側においても、熱変形が生じうる部分を少なくすることができるため、熱応力による配管支持構造100の損傷を抑制できる。
【0045】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、配管50、50Aがダクト60内に配置された構成を例に挙げて説明したが、ダクト60に限定されない。配管50、50Aは、内部と外部との間に、例えば100℃以上の範囲であり夏季と冬季とで生じる温度差よりも大きい温度差が生じうる環境であれば、ダクト60とは異なる配管内に配置された構成であってもよいし、配管内ではなく炉内又は室内の空間に配置された構成であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、ダクト60に供給されるガスG1が高温ガスであり、配管50、50Aを流通するガスG2が低温ガスである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ガスG1よりもガスG2の方が高温であってもよい。このように、配管50、50Aの内部が高温であり、外部が低温となる場合においても、配管50、50Aと板状部材10との間に温度差が生じうるが、上記実施形態における構成により、当該温度差による板状部材10の熱変形を抑制できる。なお、ガスG1よりもガスG2の方が高温である場合においても、上記同様に配管50、50Aの内部と外部との間に生じうる所定の温度差は、例えば100℃以上の範囲であり、夏季と冬季とで生じる温度差よりも大きい。
【符号の説明】
【0047】
10,410,510,610 板状部材
11 被支持部分
11a 内周面
12,14,512,612 内側部分
13,22 溶接部
20,320 管状部材
20a,20b 端面
21 第1管状部材
22 第2管状部材
30 スライドプレート(第2板状部材)
31,41 支持部分
32,42 開口部分
40 台座
50,50A 配管
51 外周面
52 開口部
60 ダクト
100,200,300,400,500,600 配管支持構造
511 分割部材
513 間隔
611 被支持領域
AX 中心軸
G1,G2 ガス
図1
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図11