(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20241031BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20241031BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R25/24
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2023011061
(22)【出願日】2023-01-27
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】島本 岳
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
(72)【発明者】
【氏名】三友 歩
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-049595(JP,A)
【文献】特開2020-107074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0129427(US,A1)
【文献】特開2016-097927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00- 60/00
B60R 25/00- 99/00
E05B 1/00- 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
複数種別のキーのいずれかの操作に応じて前記車両を起動させるプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記車両を遠隔操作するための端末の端末情報が前記車両と関連付けて記憶される記憶部にアクセス可能であり、
前記記憶部に前記端末情報が記憶されている端末の操作に応じて、前記車両を自動で移動させる制御を行い、
前記車両を起動させるのに用いられた前記キーの種別に基づいて、前記記憶部における前記端末情報の
記憶又は削除の制限を行う、車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記キーは、第1種別の第1キーと、第2種別の第2キーと、を含み、
前記プロセッサは、前記第1キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を可能とし、前記第2キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を不可とする、車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第2キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を不可とする、車両の制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両の制御装置であって、
前記第1キーは、有効期限が設けられないものであり、
前記第2キーは、有効期限が設けられるものである、車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記キーは、第3種別の第3キーと、第4種別の第4キーと、を含み、
前記プロセッサは、前記第3キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を可能とし、前記第4キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を不可とする、車両の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第3キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を可能とする、車両の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両の制御装置であって、
前記第3キーは、前記車両の販売者によって提供されるものであり、
前記第4キーは、前記車両の所有者によって発行可能なものである、車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、出願人は、運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。運転支援技術の1つとして、車両の駐車を支援する駐車支援技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に対してスマートフォン等の端末を登録しておくことで、その端末を用いて車両を遠隔で移動させることが可能になる。車両を複数のユーザで共用することを想定した場合には、車両に対して各ユーザの端末の登録をどのように行うかを検討する必要がある。
【0005】
本開示は、車両への端末の登録を適切に管理して、複数ユーザで車両を共用する際の利便性を高めることを目的としている。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の車両の制御装置は、複数種別のキーのいずれかの操作に応じて前記車両を起動させるプロセッサを備え、前記プロセッサは、前記車両を遠隔操作するための端末の端末情報が前記車両と関連付けて記憶される記憶部にアクセス可能であり、前記記憶部に前記端末情報が記憶されている端末の操作に応じて、前記車両を自動で移動させる制御を行い、前記車両を起動させるのに用いられた前記キーの種別に基づいて、前記記憶部における前記端末情報の記憶又は削除の制限を行う、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両への端末の登録を適切に管理して、複数ユーザで車両を共用する際の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両を示す図である。
【
図2】
図2は、演算部による記憶部の端末情報の管理内容を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両1を示す図である。
図1に示す車両1は、駆動源と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪(いずれも不図示)と、を有する自動車である。例えば、車両1は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両1の駆動源は、電動機であってもよいし、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両1の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、双方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0010】
車両1は、車両1の乗員であるユーザが指定した目標位置へ自動操舵により移動可能に構成される。
【0011】
目標位置としては、車両1を駐車する位置(以下、単に「駐車位置」とも称する)が設定され得る。すなわち、車両1は、ユーザが指定した駐車位置に自動操舵により駐車可能に構成される。以下、ユーザが指定した駐車位置への自動操舵による駐車を「自動駐車」とも称する。
【0012】
また、車両1では、自動駐車のモードとして、乗車駐車モードと、遠隔駐車モードとを選択することが可能になっている。乗車駐車モードは、車両1に搭載されたデバイスをユーザが操作して、つまり、ユーザが車両1に乗車した状態で、自動駐車を開始させるモードである。遠隔駐車モードは、車両1とは別体の端末(後述の外部装置2)をユーザが操作して、つまり、ユーザが車両1に非乗車の状態で、自動駐車の開始を遠隔で行うことが可能なモードである。遠隔駐車モードで自動駐車を行う場合には、ユーザは、スマートフォン等の外部装置2にインストールしたアプリを起動させた上で降車し、車両1の外でそのアプリを操作することで、自動駐車を開始させる。
【0013】
図1に示すように、車両1は、センサ群10と、ナビゲーション装置20と、制御装置30と、EPSシステム(電動パワーステアリングシステム)40と、通信部50と、駆動力制御システム60と、制動力制御システム70と、操作入力部80と、を備える。
【0014】
センサ群10は、車両1又は車両1の周辺に関する各種の検出値を取得する。センサ群10によって取得された検出値は、制御装置30へ送られ、車両1の自動駐車等に供される。
【0015】
センサ群10には、例えば、前方カメラ11aと、後方カメラ11bと、左側方カメラ11cと、右側方カメラ11dと、前方ソナー群12aと、後方ソナー群12bと、左側方ソナー群12cと、右側方ソナー群12dとが含まれる。これらのカメラ及びソナー群は、車両1の周辺情報を取得する外界センサとして機能し得る。
【0016】
前方カメラ11a、後方カメラ11b、左側方カメラ11c、及び右側方カメラ11dは、車両1の周辺を撮像することにより得られた周辺画像の画像データを制御装置30へ出力する。前方カメラ11a、後方カメラ11b、左側方カメラ11c、及び右側方カメラ11dによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像とも称される。また、左側方画像と右側方画像とによって構成される画像は、側方画像とも称される。
【0017】
前方ソナー群12a、後方ソナー群12b、左側方ソナー群12c、及び右側方ソナー群12dは、車両1の周辺に音波を発射するとともに、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群12aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群12aを構成するソナーは、車両1の左斜め前方、前方左側、前方右側、及び右斜め前方にそれぞれ備えられている。後方ソナー群12bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群12bを構成するソナーは、車両1の左斜め後方、後方左側、後方右側、及び右斜め後方にそれぞれ備えられている。左側方ソナー群12cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群12cを構成するソナーは、車両1の左側部前方、及び左側部後方にそれぞれ備えられている。右側方ソナー群12dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群12dを構成するソナーは、車両1の右側部前方、及び右側部後方にそれぞれ備えられている。
【0018】
さらに、センサ群10には、車輪センサ13a、13bと、車速センサ14と、操作検出部15とが含まれる。車輪センサ13a、13bは、それぞれ車輪(不図示)の回転角度θa、θbを検出する。車輪センサ13a、13bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ13a、13bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ13a、13bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられ得る。車輪の回転角度に基づいて、車両1の移動距離が算出され得る。車輪センサ13aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ13bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0019】
車速センサ14は、車両1の車体(不図示)の走行速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御装置30へ出力する。車速センサ14は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0020】
操作検出部15は、操作入力部80を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御装置30へ出力する。操作入力部80には、例えば、自動駐車を実行させる操作を受け付ける操作ボタン、後述のキーを用いて行われるユーザ操作に応じた車両1の起動指示を検出可能な装置等が含まれ得る。操作入力部80は、後述するタッチパネル21と共通化されてもよい。
【0021】
車両1が起動していない状態とは、必要最小限の操作(例えば、ドアロック解除操作、車両1の起動操作等)の検出に必要なデバイス、外部との通信に必要なデバイス、及びセキュリティシステムに含まれるデバイス等の特定のデバイス以外のデバイスに供給される電力が最小化されて、車両1が休止状態となっていること(エンジン搭載車の場合にはエンジンが停止していることも含む)をいう。
【0022】
通信部50は、制御装置30の制御に従って、車両1とは別体の外部装置2との間で通信を行う通信インターフェイスである。外部装置2は、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器である。本形態では、一例として、外部装置2を、ユーザの所持するスマートフォンとする。制御装置30は、通信部50を介して外部装置2との間で通信を行い得る。車両1と外部装置2との通信には、例えば、セルラー回線等の移動体通信網、WI-FI(登録商標)、bluetooth(登録商標)等を採用することができる。外部装置2は、例えば、車両1の製造業者によって管理され得る。
【0023】
EPSシステム40は、舵角センサ41と、トルクセンサ42と、EPSモータ43と、レゾルバ44と、EPS ECU(EPS電子制御装置)45と、を有する。舵角センサ41は、ステアリング46の舵角θstを検出する。トルクセンサ42は、ステアリング46に加わるトルクTQを検出する。
【0024】
EPSモータ43は、ステアリング46に連結されたステアリングコラム47に対して駆動力又は反力を付与することにより、運転者によるステアリング46の操作支援や自動駐車時の自動操舵を可能とする。レゾルバ44は、EPSモータ43の回転角度θmを検出する。EPS ECU45は、EPSシステム40の全体の制御を司る。
【0025】
駆動力制御システム60は、駆動ECU61を備えている。駆動力制御システム60は、車両1の駆動力制御を実行する。駆動ECU61は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作や制御装置30からの指示に基づいて、不図示のエンジンやモータ等を制御することによって、車両1の駆動力を制御する。
【0026】
制動力制御システム70には、制動ECU71が備えられている。制動力制御システム70は、車両1の制動力制御を実行する。制動ECU71は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両1の制動力を制御する。
【0027】
ナビゲーション装置20は、例えばGPS(global positioning system)を用いて車両1の現在位置を検出するとともに、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置20は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0028】
ナビゲーション装置20には、タッチパネル21と、スピーカ22とが備えられている。タッチパネル21は、制御装置30に対する各種情報の入力を受け付ける入力装置、及び制御装置30によって制御される表示装置として機能する。すなわち、ユーザは、タッチパネル21を介して、制御装置30に対し、各種の指令を入力することが可能である。また、タッチパネル21には、各種の画面が表示される。
【0029】
スピーカ22は、ユーザに対して各種の案内情報を音声で出力する。一例として、自動駐車の際には、スピーカ22を介した音声案内が行われるようにしてもよい。具体的には、ユーザが指定した駐車位置への自動操舵による移動が開始される際に、車両1の移動が開始されることがスピーカ22を介した音声案内により行われるようにしてもよい。
【0030】
制御装置30は、車両1全体を統括制御する装置(コンピュータ)である。制御装置30は、例えば、入出力部31と、演算部32と、記憶部35と、を備える。入出力部31は、演算部32の制御に従って、制御装置30の内部と外部との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。記憶部35は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含んで構成され、車両1の動作を制御するための各種情報(例えばデータやプログラム)を記憶する。演算部32は、例えばCPU(central processing unit)等のプロセッサにより構成され、記憶部35等に記憶されたプログラムを実行することによって車両1の各構成要素を制御する。
【0031】
車両1を起動することが可能なキーには、物理キーと電子キー(仮想キー)があり、具体的には、以下のA、B、Cが含まれる。
A:車両1の販売者から車両1の所有者に提供される物理キー
B:車両1の販売者から車両1の所有者に提供されるメイン電子キー
C:車両1の所有者が任意に発行可能なサブ電子キー
【0032】
物理キーは、構造物としての鍵を有するもの、鍵は有さず、車両1に自身の存在を知らせるための無線信号を送出可能なもの、又は、鍵を有し且つ上記無線信号を送出可能なもの等である。
【0033】
例えば、操作入力部80に錠が含まれ、物理キーの鍵がこの錠に差し込まれると、操作検出部15によって起動操作が検出され、起動指示が制御装置30に送信される。操作入力部80に起動ボタンが含まれ、操作検出部15は、例えば、物理キーから送出される無線信号を通信部50で受信している状態で起動ボタンの押下を検出すると、起動操作を検出し、起動指示を制御装置30に送信してもよい。制御装置30の演算部32は、この起動指示を受けると、各部への電力供給を開始して、車両1を起動する。物理キーを錠に差し込む操作や、物理キーを所持した状態で起動ボタンを押下する操作は、車両1を起動させるための操作を構成する。
【0034】
電子キーは、その提供を受けたユーザの所持する外部装置2にインストールされたアプリによって管理される。電子キーの提供を受けたユーザは、自身の所持する外部装置2のアプリを操作することで、電子キーの情報を、通信部50を介して制御装置30に送信する。制御装置30の演算部32は、通信部50を介して電子キーの情報を受信すると、車両1の起動指示を受け付けて、各部への電力供給を開始し、車両1を起動する。電子キーを送信するための上記アプリの操作は、車両1を起動させるための操作を構成する。
【0035】
なお、上記のアプリは、電子キーの情報を、外部装置2に搭載されている無線タグに記憶するようにしてもよい。この場合には、電子キーの提供を受けたユーザの所持する外部装置2の無線タグが、通信部50に含まれる無線タグリーダに近づくと、電子キーの情報が、通信部50を介して制御装置30に送信される構成とすればよい。この場合の無線タグを無線タグリーダに近づける操作は、車両1を起動させるための操作を構成する。
【0036】
車両1の所有者は、外部装置2にインストールしたアプリ等を用いてサブ電子キーを発行可能である。サブ電子キーとしては、有効期限が設けられた一次利用キーと、有効期限が設けられない非一次利用キーとを発行可能である。
【0037】
一次利用キーは、例えば車両1をカーシェアリングサービスのために所有している所有者が、カーシェアリングサービスの利用者のために発行するものである。非一次利用キーは、例えば、車両1の所有者が、自身の家族や友人と車両1を共用する場合に、その家族や友人のために発行するものである。
【0038】
制御装置30の演算部32は、車両1を目標位置(駐車位置)に自動的に駐車させる駐車支援制御を行う。例えば、演算部32は、入出力部31等を介して自動駐車を実行させる操作を受け付けると、駐車支援制御を実行する。演算部32が行う駐車支援制御には、遠隔駐車モードにおいて行う第1駐車支援制御と、乗車駐車モードにおいて行う第2駐車支援制御と、が含まれる。
【0039】
演算部32は、車両1が備える表示装置(ここではタッチパネル21とする)を制御する。演算部32は、例えば、自動駐車を実行させる操作を受け付けたことに応じて、自動駐車関連画面をタッチパネル21に表示し得る。ユーザは、この自動駐車関連画面において、駐車位置を設定する。
【0040】
ユーザは、乗車駐車モードにて自動駐車を開始したい場合には、この自動駐車関連画面を操作して、自動駐車の開始指示を制御装置30に対して入力する。この開始指示を受けた演算部32は、第2駐車支援制御の実行を開始する。ユーザは、遠隔駐車モードにて自動駐車を開始したい場合には、この自動駐車関連画面に表示される遠隔駐車モードへの遷移手順を参照して、必要な作業を行う。
【0041】
例えば、ユーザは、車両1のシフトをパーキングに入れ、外部装置2のアプリを起動し、車両1から降りてドアロックを行い、その後、アプリを操作して、自動駐車の開始指示を制御装置30に対して入力する。演算部32は、この開始指示を受けて第1駐車支援制御の実行を開始する。
【0042】
ユーザが初めて遠隔駐車モードにて自動駐車を開始する場合には、そのユーザの所持する外部装置2の情報(例えば装置の識別情報又はユーザを特定する情報等)を、車両1と関連付けて登録する処理(以下、ユーザ登録とも称する)が必要である。ユーザ登録は、特に限定されるものではないが、一例として、次の手順で行われる。
【0043】
演算部32は、タッチパネル21に表示させた自動駐車関連画面に、ユーザ登録に必要な情報(車両1と外部装置2との間の通信認証に必要な情報等)を示す二次元コードを表示させ、この二次元コードを外部装置2で読み取るように、ユーザに指示を行う。ユーザは、自身の所持する外部装置2のアプリを起動し、そのアプリで上記二次元コードを読み取る。外部装置2のアプリは、二次元コードから取得した情報に基づいて、外部装置2の端末情報を、通信部50を介して制御装置30に送信する。演算部32は、外部装置2から端末情報を受信すると、その端末情報を、車両1の情報と関連付けて、記憶部35に記憶する。
【0044】
以上の処理により、記憶部35に端末情報が記憶された外部装置2であれば、アプリを操作することで、車両1の自動駐車(第1駐車支援制御)を開始させることが可能となる。なお、演算部32は、外部装置2の端末情報を、記憶部35ではなく、外部サーバの記憶部に、車両1の情報と関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0045】
演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーの種別に基づいて、記憶部35における端末情報の管理(制限)を行う。
図2は、演算部32による記憶部35の端末情報の管理内容を説明する模式図である。
【0046】
図2に示すように、演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーが物理キー又はメイン電子キーであった場合には、外部装置2の端末情報の記憶部35への記憶を可能(すなわち、ユーザ登録を許可)とし、記憶部35に記憶されている外部装置2の端末情報の削除を可能とする。
【0047】
演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーが非一次利用キーであった場合には、外部装置2の端末情報の記憶部35への記憶を可能(ユーザ登録を許可)とし、記憶部35に記憶されている外部装置2の端末情報の削除を不可とする。
【0048】
なお、非一次利用キーは、その発行時において、ユーザ登録を可と不可のいずれにするかを設定できるようにしてもよい。この場合、演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーが、ユーザ登録不可の設定がなされた非一次利用キーであった場合には、外部装置2の端末情報の記憶部35への記憶を不可とし、記憶部35に記憶されている外部装置2の端末情報の削除を不可とする。演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーが、ユーザ登録可の設定がなされた非一次利用キーであった場合には、外部装置2の端末情報の記憶部35への記憶を可とし、記憶部35に記憶されている外部装置2の端末情報の削除を不可とする。
【0049】
演算部32は、車両1を起動させるのに用いられたキーが一次利用キーであった場合には、外部装置2の端末情報の記憶部35への記憶を不可(ユーザ登録を禁止)とし、記憶部35に記憶されている外部装置2の端末情報の削除を不可とする。
【0050】
以上のように、車両1の制御装置30は、車両1を起動させるのに用いられたキーの種別に基づいて、ユーザ登録の可否や、既に登録されている外部装置2の登録の解除等の権限を管理する。これにより、物理キー又はメイン電子キーを所持する車両1の所有者は、車両1に登録される外部装置2を容易に管理することができる。
【0051】
非一次利用キーを所持するユーザは、既に登録されている外部装置2の登録の解除はできないものの、外部装置2の車両1への登録は可能となる。このため、非一次利用キーを所持するユーザは、外部装置2を用いた自動駐車の機能を享受することができる。車両1の所有者にとっては、非一次利用キーを所持するユーザによって、自身の所持する外部装置2の端末情報が削除されることはない。このため、遠隔駐車モードで自動駐車を行いたいときに、それが直ぐに実行できなくなるような事態を防ぐことができる。
【0052】
一次利用キーを所持するユーザは、外部装置2の登録と、既に登録されている外部装置2の登録の解除とのいずれも行うことはできない。一次利用キーを所持するユーザは、車両1を頻繁に利用する者ではないため、自動駐車に慣れていない可能性が高い。このようなユーザに対しては、外部装置2の登録ができないようにしておくことで、慣れていない状態で自動駐車の機能が使用されるのを防ぐことができる。また、車両1の所有者にとっては、一次利用キーを所持するユーザによって、自身の所持する外部装置2の端末情報や、家族又は友人の所持する外部装置2の端末情報が削除されることはない。このため、所有者とその家族等が遠隔駐車モードで自動駐車を行いたいときに、それが直ぐに実行できなくなるような事態を防ぐことができる。
【0053】
以上、本開示の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本開示は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、前述した実施形態では、車両として、四輪の自動車を例示したが、これに限られない。本開示の技術が適用可能な車両は、二輪の自動車(いわゆる自動二輪車)であってもよいし、セグウェイ(登録商標)等であってもよい。
【0055】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0056】
(1) 車両(車両1)の制御装置(制御装置30)であって、
複数種別のキーのいずれかの操作(物理キーの差込、物理キーを所持した状態での起動ボタンの押下、電子キーのキー情報の入力操作(外部装置2のタッチ、アプリの操作によるキー情報の送信等))に応じて前記車両を起動させるプロセッサ(演算部32)を備え、
前記プロセッサは、
前記車両を遠隔操作するための端末(外部装置2)の端末情報が前記車両と関連付けて記憶される記憶部(記憶部35又は外部サーバの記憶部)にアクセス可能であり、
前記記憶部に前記端末情報が記憶されている端末の操作に応じて、前記車両を自動で移動させる制御(第1駐車支援制御)を行い、
前記車両を起動させるのに用いられた前記キーの種別に基づいて、前記記憶部における前記端末情報の制限を行う、車両の制御装置。
【0057】
(1)によれば、例えば、車両に対して必ず1つは提供される物理キーによって車両を起動した場合には、記憶部への端末情報の記憶や削除に制限を設けず、車両の所有者が任意に発行可能な電子キー(サブ電子キー)によって車両を起動した場合には、記憶部への端末情報の記憶や削除に制限を設けることで、所有者以外の特定のユーザ(家族や友人)にのみ車両の遠隔操作を許可したり、所有者以外のユーザが所有者の端末情報を削除できなくしたり、といったことが可能になる。このように、キーの種別に基づいて記憶部の情報を管理できることで、複数ユーザが車両を利用する場合の利便性を高めることができる。
【0058】
(2) (1)に記載の車両の制御装置であって、
前記キーは、第1種別の第1キー(物理キー、メイン電子キー、サブ電子キー(非一次利用キー))と、第2種別の第2キー(サブ電子キー(一次利用キー))と、を含み、
前記プロセッサは、前記第1キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を可能とし、前記第2キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を不可とする、車両の制御装置。
【0059】
(2)によれば、第1キーを使うユーザは、自身の所持する端末の端末情報を記憶部に記憶できるため、その端末を用いて車両を遠隔操作することができる。一方、第2キーを使うユーザは、記憶部への端末情報の記憶が不可となるため、所持する端末を用いて車両を遠隔操作することはできない。このように、ユーザによって遠隔操作の可否を管理でき、複数ユーザが車両を利用する場合の利便性や安全性を高めることができる。
【0060】
(3) (2)に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第2キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を不可とする、車両の制御装置。
【0061】
(3)によれば、第2キーを使うユーザは、記憶部に記憶されている端末情報の削除が不可となる。このため、記憶部の情報が不必要に削除されてしまうのを防ぐことができ、複数ユーザが車両を利用する場合の利便性や安全性を高めることができる。
【0062】
(4) (2)又は(3)に記載の車両の制御装置であって、
前記第1キーは、有効期限が設けられないものであり、
前記第2キーは、有効期限が設けられるものである、車両の制御装置。
【0063】
(4)によれば、有効期限のある第2キーを使うユーザには、記憶部への情報の記憶や削除に制限をかけることができる。例えばカーシェアリングで車両を利用する場合に、その利用者が記憶部の情報を編集できなくなるため、不特定多数のユーザが車両を利用する場合でも、車両の管理者が、車両を容易に管理可能となる。
【0064】
(5) (1)に記載の車両の制御装置であって、
前記キーは、第3種別の第3キー(物理キー、メイン電子キー)と、第4種別の第4キー(サブ電子キー)と、を含み、
前記プロセッサは、前記第3キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を可能とし、前記第4キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部に記憶されている前記端末情報の削除を不可とする、車両の制御装置。
【0065】
(5)によれば、第3キーを使うユーザは、例えば、他者の所持する端末の端末情報を記憶部から削除できる。また、第4キーを使うユーザには、記憶部からの情報の削除に制限をかけることができる。このため、不特定多数のユーザが車両を利用する場合でも、車両の管理者が、車両を容易に管理可能となる。
【0066】
(6) (5)に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第3キーの操作に応じて前記車両を起動した場合には、前記記憶部への前記端末情報の記憶を可能とする、車両の制御装置。
【0067】
(6)によれば、第3キーを使うユーザは、記憶部への端末情報の記憶と削除のいずれも可能なため、端末を用いた車両の遠隔操作が可能になると共に、不特定多数のユーザが車両を利用する場合でも、車両を容易に管理可能となる。
【0068】
(7) (6)に記載の車両の制御装置であって、
前記第3キーは、前記車両の販売者によって提供されるものであり、
前記第4キーは、前記車両の所有者によって発行可能なものである、車両の制御装置。
【0069】
(7)によれば、車両の所有者は、自身の発行した第4キーを使うユーザに対しては、記憶部からの情報の削除に制限をかけることができる。このため、所有者が車両を容易に管理可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
30 制御装置
32 演算部
35 記憶部