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特許7579905液体分配システム及び関連機器における適応的予防保守のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液体分配システム及び関連機器における適応的予防保守のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023061154
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2020523689の分割
【原出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2023083332
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】62/579,881
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ハンド,ケント ピー.
(72)【発明者】
【氏名】サイドマン,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】エステル,ピーター ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジェルミ エー.
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-264141(JP,A)
【文献】特開2008-310579(JP,A)
【文献】特開2015-185827(JP,A)
【文献】特開2017-194398(JP,A)
【文献】特開2001-326150(JP,A)
【文献】特開2013-097752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0148137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の保守に関する通知を生成する方法であって、
前記機器に関連する第1の保守間隔推定値であって前記機器に関連する使用量メトリックに従って表現される前記第1の保守間隔推定値を前記機器の第1の経過使用量が超えることをコンピュータシステムによって判断することと、
前記第1の保守間隔推定値に関連する第1の時点に始まり、前記機器の前記第1の経過使用量が前記第1の保守間隔推定値を超えると判断することに関連する第2の時点で終了する第1の期間に及ぶ前記第1の経過使用量が前記第1の保守間隔推定値を超えていることを示す第1の通知を前記機器に関連するユーザへ送信することと、
前記機器の交換の失敗を判断することと、
前記機器の前記交換の前記失敗に関連する第2の通知を、前記機器に関連する前記ユーザへ送信することと、
前記第1の保守間隔推定値に関連する前記第1の時点から前記機器の前記交換に関連する後の第3の時点までの第2の期間における前記機器の第2の経過使用量に基づいて第2の保守間隔推定値を前記コンピュータシステムによって決定することと、
記機器に関連する検出された故障又は予防保守に関連する調整パラメータに基づいて前記第2の保守間隔推定値を、前記コンピュータシステムによって繰り返し調整し、調整された第2の保守間隔推定値を決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記機器の前記交換の指示を受信することを更に含み、
記第2の保守間隔推定値は、前記機器に関連する前記使用量メトリックに従って表現され、
前記調整パラメータに基づいて、前記調整された第2の保守間隔推定値が前記第2の経過使用量に向かって調整される程度を決定することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機器の交換の第2の失敗を判断することと、
前記機器の前記交換の前記第2の失敗に関連する第3の通知を前記機器に関連する前記ユーザへ送信することと、
を更に含み、
前記第2の通知を送信することと前記第3の通知を送信することとの間隔は、前記第1の通知を送信することと前記第2の通知を送信することとの間隔より短い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の通知の伝送媒体は、前記第1の通知及び前記第2の通知のうちの少なくとも1つの伝送媒体と異なる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の通知は、前記ユーザを含む複数の受信者又は前記ユーザと異なる受信者へ送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記機器の交換の第3の失敗を判断することと、
前記機器の交換の前記第3の失敗に関連する第4の通知を、前記機器に関連する前記ユーザへ送信することと、
を更に含み、
前記第3の通知を送信することと前記第4の通知を送信することとの間隔は、前記第1の通知を送信することと前記第2の通知を送信することとの前記間隔より短い、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年10月31日に出願された米国特許仮出願第62/579,881号の利益を主張し、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、機器の保守に関する。より具体的には、本開示は、液体分配システム及び関連機器における適応的予防保守に関する。
【背景技術】
【0003】
大部分の製造企業及び他の工業企業は、多種多様な機械、ツール、及び他の種類の機器に依存しており、多くの場合、これらの数は膨大である。例えば、製造プラントは、概して同一の製造業者及びモデルである、数十、更には数百もの機器を動作させ得る。かかる機器は、厳しい条件下で、かつ長時間にわたって動作して、摩耗に至る恐れがあり、対処しなければ、機能停止又は故障につながる。予期せぬ故障は、当該機器からの生産が失われるため、深刻な結果を有し得る。更に悪い場合には、機器の故障は、製造ライン全体を停止させ得る。
【0004】
したがって、適時に、好ましくは、製造に最も影響を及ぼさないであろう期間に、機器を交換する、又は保守を実行する必要性が存在する。機器製造業者及び供給業者は、交換又は保守間隔についての正確なスケジュールを顧客に提供することを好むが、この試みは、任意の所与のタイプの機器の動作条件の大幅なばらつきによって妨げられる。例えば、ある施設では、1日22時間、高温かつ埃の多い条件下で機器を動作させ得、一方で、別の施設では、最初の施設と同一タイプの機器を、1日12時間、清潔かつ温度と湿度が調節された条件下で動作させ得る。前者の機器が、後者の機器と比較して短い寿命に悩まされることは、少しも驚くべきことではないであろう。所与のタイプの機器の予想寿命は未知のパラメータの影響を受け得るため、機器製造業者又は供給業者は、多くの場合、自信を持って機器の保守又は交換スケジュールを提供することができない。
【0005】
本開示では、これら及び他の欠点に対処する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、適応的予防保守のためのシステム及び方法を開示する。機器の保守間隔推定値を決定する方法では、機器に関連する第1の保守間隔推定値が提供され得る。第1の保守間隔推定値は、機器に関連する使用量メトリックに従って表現されてもよい。機器が交換されたという表示が受信されてもよい。ある期間における機器の経過使用量が測定されてもよい。この期間は、第1の保守間隔推定値に関連する基準時点から、機器の交換に関連する後の交換時点までであってもよい。第2の保守間隔推定値は、機器の経過使用量に基づいて決定され得る。第2の保守間隔推定値は、機器に関連する使用量メトリックに従って表現されてもよい。
【0007】
機器の交換の理由は、第2の保守間隔推定値を決定する際の更なる根拠であってもよい。交換の理由が予防である場合、第2の保守間隔推定値は、さらに、経過使用量と第1の保守間隔推定値との差に基づいてもよい。第2の保守間隔推定値は、さらに、ユーザ定義の調整パラメータに基づいてもよい。
【0008】
交換の理由が機器の故障である場合、第2の保守間隔推定値は、さらに、ユーザ定義の故障パラメータに基づいてもよい。機器の故障に起因する交換は、予防交換よりも大幅な調整を、第2の保守間隔推定値にもたらし得る。決定された第2の保守間隔推定値は、決定された第2の保守間隔推定値が、第1の保守間隔推定値の所定のパーセント範囲外にある場合にのみ有効であってもよい。
【0009】
経過使用量が第1の保守間隔推定値よりも大きい場合、機器に関連するユーザへ通知が送信されてもよい。
【0010】
機器の第2の交換及び機器の第2の経過使用量などに関して、上記の方法の更なる繰り返しが行われてよい。一態様では、機器の第2の交換及び経過使用量が使用されて、別の第3の保守間隔推定値が決定されてよい。
【0011】
使用量メトリックの例としては、動作時間、作動サイクル数、動作サイクル数、物品数、及び材料の量が挙げられ得る。別の態様では、使用量メトリックは、これらの使用量メトリックのうちの少なくとも2つの集計を含んでもよい。
【0012】
場合によっては、機器は、流体ディスペンサを含んでもよい。機器の交換又は交換の理由は、ユーザ入力を介して受信されてもよい。
【0013】
別の実施形態では、機器の保守に関する通知を生成する方法を開示する。この方法は、機器の第1の経過使用量が、当該機器に関連する第1の保守間隔推定値を超えることを判定することを含み得る。第1の保守間隔推定値は、機器に関連する使用量メトリックに従って表現されてもよい。第1の通知は、ユーザへ送信されてもよく、第1の経過使用量が第1の保守間隔推定値を超えることを示してもよい。経過使用量は、第1の保守間隔推定値に関連する第1の時点に始まり、機器の第1の経過使用量が第1の保守間隔推定値を超えるとの判定に関連する第2の時点で終了する第1の期間に及んでもよい。機器の交換の失敗が判定されてもよい。機器の交換の失敗に関連する第2の通知は、機器に関連するユーザへ送信されてもよい。
【0014】
機器交換がその後示される場合、第1の保守間隔推定値に関連する時点から機器の交換に関連する時点までの経過使用量に基づいて、第2の保守間隔推定値が決定されてもよい。機器が交換されない場合、別の通知がユーザへ送信されてもよい。この通知と以前の通知との間隔は、以前の通知の間隔よりも短くてもよい。更に、第3の通知及び他の後続の通知は、以前の通知とは異なる伝送媒体を介して、並びに異なる受信者へ送信されてもよい。
【0015】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成するが、かかる図面は、諸実施形態を示し、説明と合わせて見ると、提供される方法及びシステムの諸原理を説明するのに役立つであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態による流体ディスペンサの断面図を示す。
図2】本開示の一実施形態によるデータフロー図を示す。
図3】本開示の一実施形態による決定フロー図を示す。
図4】本開示の一実施形態による方法フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示のシステム及び方法は、液体分配システム及び他の関連機器の文脈において使用され得る適応的予防保守に関する。前述の動作条件のばらつきに起因して、機器製造業者及び供給業者は、通常、信頼性の高い保守及び/又は交換スケジュールを提供することができない。本明細書に開示する適応的予防保守技術は、とりわけ、実際の動作条件下で収集された経験的データを活用して、保守間隔推定値を繰り返し精緻化することによって、この問題に対処する。
【0018】
保守間隔推定値は、合理的な信頼度レベル内で機器が故障する前に、オペレータによる当該タイプの機器の交換又は保守が必要となる時間期間を表し得る。保守間隔推定値は、機器の連続的な交換又は保守間の機器の経過使用量に従って、プロセスの各繰り返しにおいて決定されてもよい。経過使用量は、使用時間、作動サイクル数、又は分配動作数など、1つ以上の使用量メトリックに従って表されてもよい。機器交換の理由は、予防又は機器の故障であってもよい。この理由は、繰り返し調整される保守間隔推定値の決定に影響を及ぼし得る。機器の経過使用量が保守間隔推定値を超える場合、これは、機器が望ましくない故障の危険性を有することを示し得る。この事態が生じると、通知メッセージがオペレータ又は他の責任者へ送信されて、かかる事態が生じたことを通知し得る。これにより、オペレータは、機器を交換する、又は保守を実行することによって問題のある状況に対処し得る。
【0019】
図1を参照すると、電気的に操作される流体ディスペンサ又は分配ガン20は、既知の方法で流体分配マニホルドプレート24上に取り付けられた1つ以上の分配モジュール又は弁22を備える。分配弁22は、ディスペンサ本体26と、流体分配ノズル本体28と、を含む。ディスペンサ20は、通常、高粘度の流体、例えば、ホットメルト接着剤、はんだフラックス、熱グリースなどを分配するために使用されるが、ディスペンサ20又は類似のディスペンサによって低粘度の流体が分配されてもよい。更に、ディスペンサ20は、既知の方法で分配機又はシステム(図示せず)に取り付けられて、別個の量(例えば液滴又はドットとして)、あるいは、連続ビードで流体を分配する。図1に示すように、流体分配ノズル本体28と共に使用されるディスペンサ本体26は、具体的には流体30を基材32上に分配するように構成されている。基材32とディスペンサ20との相対運動は、既知の方法で提供される。
【0020】
弁棒34は、ディスペンサ本体26の内部36に取り付けられ、弁棒は、内部36を通るシャフト38を含む。図1に示すシャフト38の下端には、ノズル本体28内に位置付けられた弁座42と封止係合するボール40が取り付けられている。したがって、弁棒34及びボールは、弁座42に対して開位置と閉位置との間で往復運動し、それによって分配弁22として動作する。弁棒34が開位置にあるとき、流体は、流体源44からマニホールド24内の流体通路46を通り、入口通路48を通って受け取られる。ホットメルト接着剤の供給源44は、通常、加圧されている。矢印50は、流体の流路を示す。電機子52は、内部36に配置され、シャフト38と同軸上に位置し、好ましくはシャフト38と一体に形成される。電磁コイル54は、電機子52の周りに配設される。コイル54は、ハウジング56に収容され、電源(図示せず)に接続される。電流が供給されると、コイル54は、以下に説明するように、弁棒34を開位置へと作動させる電磁場を発生させる。
【0021】
穴58は、電機子52内へと延在して、戻しばね60を収容する。戻しばね60は、弁棒34を付勢し、より具体的には、ボール40を付勢して、閉位置にある弁座42に封止係合する。戻しばね60は通常、電磁極62との係合を通じて穴58内の圧縮下に置かれる圧縮ばねである。開位置を達成するためには、電磁コイル54が、電機子52と極62との間に十分な電磁場を発生させて、電機子52及び極62を互いに引き付ける必要がある。極62は移動できないため、電機子52は、極62に当たるまでバネ60の力に逆らって移動する。
【0022】
図2は、本開示の一実施形態による適応的予防保守のプロセスを少なくとも部分的に表すデータフロー図200を示す。前置きとして、適応的予防保守プロセスは、ある機器の交換スケジュール(例えば、計画寿命)及び/又は保守スケジュールを推定し得る。適応的予防保守プロセス、又はその一部は繰り返し実行されて、機器を交換するべき、又は他の方法で保守を実行するべき時間又は他の累積使用量メトリックを更に正確に決定し得る。動作帯域202内に収まる第1の保守間隔推定値204が、最初に決定され得る。機器がその後交換され(交換表示206に反映される)、交換理由208が決定されると、保守間隔推定値204は、少なくとも交換理由208及び交換時点の機器の経過使用量214に基づいて再計算される。プロセスの周期的部分が繰り返されて、保守間隔推定値204を適応的に精緻化し得る。経過使用量214が保守間隔推定値204に到達した場合には、通知212がオペレータ又は他の職員へ送信されて、保守間隔推定値に到達したことを通知してもよい。
【0023】
適応的予防保守プロセスは、より大きな分配システム(図1には示さず)の一部であり得る、図1に示すディスペンサ20など様々な機器タイプに関連して実行されてもよい。適応的予防保守が適用され得る他の非網羅的な例としては、ホットメルト接着剤ディスペンサシステム(噴射及び非噴射)、粉末又はスプレーコーティングシステム、押出システム、コンフォーマル(絶縁保護)コーティングシステム、並びに他の関連機器及び/又はシステムが挙げられる。他の例としては、ソレノイド、ポンプ、分配ガン、及びヒーターが挙げられる。実際に、適応的予防保守プロセスは、いくつかの測定可能な(又は少なくとも推定に適した)使用量メトリックを有する、実質的にあらゆる機器に適用され得る。
【0024】
本明細書に記載の適応的予防保守プロセスは、所与のシステムの様々なレベルで適用され得る。例えば、適応的予防保守プロセスは、システム全体(又は複数のシステム)、いくつかの下位部分若しくは下位構成要素を有する機構、モジュール、若しくはアセンブリ、単一の部分若しくは構成要素、又はシステムの更により少ない態様に関連して実施され得る。図1のディスペンサ20が構成要素である分配システムを一例として取り上げると、適応的予防保守プロセスは、分配システム全体、分配システムのディスペンサ20、ディスペンサ20の分配モジュール/弁22、又は分配モジュール/弁22のノズル本体28を対象としてもよい。いくつかの態様では、適応的予防保守プロセスは、システムのいくつかの下位部分も考慮したうえで、概してシステムを対象としてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、適応的予防保守プロセスは、1つ以上のパラメータに従って動作する機器を対象としてもよい。この場合、機器は、機器の特定モデルだけでなく、関連する動作パラメータによっても識別され得る。かかる実施形態では、あるパラメータで動作するモデルの機器と、同一モデルだが、第2の異なるパラメータで動作する機器とは、プロセスのために2つの別個の「機器」と見なされ得る。動作パラメータとしては、関連材料(例えば、分配ガンによって分配される材料)又は動作サイクルの速度(例えば、材料分配の速度、ピストンポンプ又は空気ポンプの往復運動速度、ソレノイド起動速度など)が挙げられる。特定の作動パラメータは、機器交換の時間間隔に顕著な影響を与え得る。例えば、ポンプは、高速で特定のサイクル数を実行し得る。他の同一の第2のポンプは、同一サイクル数を実行するが、より低速で実行し得る。同一サイクル数を実行しているにもかかわらず、ポンプの第1の例は、高速サイクルによって生じる余分な熱に起因して、より早期の交換を必要とする場合がある。別の例として、温度又は材料のばらつきは、同様に、等しい分配サイクル数にもかかわらず、分配ガンの交換間隔に影響を及ぼし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、適応的予防保守は、機械的特性、動作特性、及び/又は環境特性の類似性を共有し得る、いくつかの別個のシステム(又はその一部)のセットに集合的に適用されてよい。例えば、ある製造プラントは、概ね同一又は類似の分配システムのアレイを収容し得、それぞれ同一の一般的な環境条件下で動作し、毎日ほぼ同一期間にわたって、及び/又は他のパラメータに従って動作する。かかるパラメータとしては、上記のパラメータが挙げられる。いくつかの態様では、保守間隔推定値204は、セット内の個別システムごとに決定されてもよく、これらの推定値は集計されて(例えば、平均化されて)、次いで総保守間隔推定値204を更に精緻化し、次いでシステムセット内の各システムに適用され得る。他の態様では、システムセット(例えば、前述の分配システムセット)は、適応的予防保守プロセスのために単一システムと見なされてもよい。
【0027】
参照しやすいように、システム、システム自体、又はシステムセットの前述の態様は、明示的に又は文脈によって別途記載のない限り、本明細書では単に「機器」と称されるものとする。更に、「機器」とは、プロセスの複数回の繰り返しにわたって同一又は類似の機器の複数の例を指し得ることが理解されるであろう。例えば、適応的予防保守プロセスに関して考察するポンプ(すなわち、「機器」)は、第1のポンプを集合的に指してもよく、第1のポンプは、第2の繰り返しにおいて同一タイプの第2のポンプが代わりに使用され、次に、第3の繰り返しにおいて同一タイプの第3のポンプが代わりに使用される。いくつかの態様では、「機器」は、連続する繰り返しにわたって概して同一の製造業者、モデルなどであるが、更に、特に機器の以前の例と比較して、1つ以上の改善点又は変更点を有する機器の例を指し得る。実際に、本開示で観察される改善点のうちの1つは、保守間隔推定値204(したがって、交換又は保守スケジュール)が、機器に影響を及ぼすこれらの又は他の変更に本質的に適合することである。この適応性は、少なくとも部分的に、プロセスの反復的性質、及び実世界での交換間隔の使用によって実現される。
【0028】
上述のように、データフロー図200に具現化した例示的な適応的予防保守プロセスは、機器を対象としてもよい。機器の1つ以上の使用量値(又は複数の使用量値の集計)は、経過使用量214によって表されてよく、使用量メトリックに関して表現されてよい。経過使用量214によって表される使用量メトリックは、例えば、機器が最初に設置されてから、若しくは使用されてからの連続的な時間間隔など継続的な時間間隔(例えば、実際の使用とは無関係の実際の「寿命」)、又は時間間隔の集計(例えば、機器が実際に動作していた時間数)を示してもよい。
【0029】
他の例として、使用量メトリックは、ピストンポンプ若しくはソレノイドの往復運動サイクル数、又は分配ガンによって実行される個々の分配の回数など、機器によって実行されるサイクル数又は個別動作を示してもよい。さらに、他の例として、使用量メトリックは、加熱された流体導管を通過する流体の量、又はコンフォーマルコーティングシステムによって処理されたプリント回路基板の数など機器の動作に関する、材料の量又は物品の数(又は他の尺度)を記述してもよい。示したように、使用量メトリックは、いくつかの使用量メトリックの集計を指し得る。例えば、ヒーターの使用量は、その動作温度及びその総動作時間の集計であってもよい。かかる総使用量メトリックは、2つ以上の使用量メトリック値又はその積分値の結果として表されてもよい。
【0030】
経過使用量214は、概して単調に増加する値であると推定される。動作数、時間間隔、処理された材料の量、又は他の使用量メトリックが増加するにつれて、経過使用量214は、同様に増加し得る。経過使用量214の増加は、図2の参照文字211によって示される。経過使用量214は、リアルタイムで更新される必要はないが、代わりに、様々な規則的若しくは不規則な間隔で、又は使用量メトリックに関連する特定の定量的マイルストーンにおいて更新されてもよい。
【0031】
適応的予防保守プロセスの様々な時点において、経過使用量214は、ゼロ又はデフォルトの開始値にリセットされてもよい。例えば、これは、機器の交換時、又はその後の保守間隔推定値204の再計算時など、プロセス又はその一部の繰り返しの開始時に生じ得る。
【0032】
経過使用量214は、適切なセンサ、カウンタ、又は機器に組み込まれたか、ないしは別の方法で関連付けられた他の測定装置などによる自動プロセスによって更新され得る。これらの測定装置は、無線送信機を装備していて、収集された使用量データを外部コンピュータシステムにアップロードしてもよい。コンピュータシステムは、使用量データを記憶する、及び/又は開示した適応的予防保守プロセスの少なくとも一部に従って使用量データを処理することができる。
【0033】
他の例では、経過使用量214は、オペレータが操作時間又は機器の他の使用量メトリックを記録するなどの手動プロセスによって収集及び/又は保持されてもよい。経過使用量214を保持する手動プロセスは、コンピュータシステムのコンピュータアプリケーションのユーザインターフェースを介して実行されてもよい。経過使用量214及び/又は経過使用量214の履歴ログは、データベース又はコンピュータシステムの他の記憶媒体に記憶されてもよい。上記のように、コンピュータシステムは、手動入力を使用して適応的予防保守プロセスの少なくとも一部を実行してもよい。自動プロセスによるか、手動プロセスによるかに関係なく、経過使用量214は、対応する使用量メトリックの推定値であってもよい。例えば、流体分配システムは、何万又は何十万の別個の流体用途を1日にわたって実行することがあるため、正確にカウントすることは非現実的である。
【0034】
場合によっては、コンピュータシステムへのユーザ入力を介してなど経過使用量214の手動での追跡及び記録は、機器に組み込まれたセンサなどを必要とする自動プロセスよりも好ましいことがある。機器にセンサ又は類似の装置を組み込むことはコストがかかり、機器製造業者に対する製造コストに悪影響を及ぼし得る。その結果、製造コストの増加は、機器の購入者に転嫁される。多くの購入者は、連続運転を厳しい条件下で行うことが多いため、短期間で機器の耐用年数を使い果たす。したがって、センサの統合による各機器の追加コストは増大する。したがって、機器製造業者は、機器の売り上げ低下を恐れて、機器へのセンサ又は他の測定装置の統合に後ろ向きであり得る。
【0035】
データフロー図200の説明を続けると、動作帯域202は、経過使用量214で示される使用量メトリックの値の範囲を指してもよい。値の範囲は、機器の交換又は保守を必要とすることを適応的予防保守プロセスが推定する保守間隔を含んでもよい。加えて、経過使用量214が保守間隔推定値204に到達すると、このプロセスは、オペレータへ通知212を伝達してもよい。したがって、動作帯域202は、最小値202a~最大値202bの使用量メトリック値の範囲によって定義されてもよい。最小値202aは、経過使用量214が保守間隔推定値204を超えても、この値になる前に通知がオペレータへ伝達されることはない経過使用量214の値を表してもよい。逆に、最大値202bは、経過使用量214が保守間隔推定値204を超えていない場合であっても、この値になると通知が常にオペレータへ伝達される経過使用量214の値を表してもよい。動作帯域202は、機器の様々な工学的属性などに従って、機器の製造業者又は供給業者によって決定され得る。
【0036】
保守間隔推定値204は、機器が交換又は保守を必要とする(又は少なくとも交換若しくは保守の必要がある)と推定される経過使用量214(例えば、動作時間、動作サイクル数など)を表し得る。上記のように、保守間隔推定値204は、動作帯域202の最小値202a及び最大値202bの制約を受ける。すなわち、この関係は、以下の式によって表されてよい。
MI_MIN≦MI_EST≦MI_MAX
【0037】
MI_MINは最小値202aを表し、MI_MAXは最大値202bを表し、MI_ESTは保守間隔推定値204を表す。かかる表記は、本開示の全体を通じて式で使用されるものとする。保守間隔推定値204は、当初は以下の式で表される動作帯域202の中間点のデフォルト値であってもよい。
【数1】
【0038】
本明細書でより詳細に説明するように、保守間隔推定値204は、適応的予防保守プロセスの連続した繰り返しにわたって再計算され、更新されてもよい。加えて、経過使用量214が保守間隔推定値204に到達すると、通知212がオペレータ又は他の職員に伝達され得ることを更に説明する。
【0039】
保守間隔推定値204が最初に計算されるか、又は再計算されて、新たな値(以下に説明するいくつかの条件に従う)を決定した後、機器は、機器の交換が確認されるまで、通常の方法で動作するか、ないしは別の方法で使用されてもよい。かかる動作期間は、図2の参照文字205によって表される。
【0040】
機器又はその構成要素の交換が検出される、又は判定されると、プロセスは交換表示206を決定してもよい。換言すると、交換表示206は、機器が交換されたことを反映してもよい。機器の交換は、現在の機器を機器の別の例(例えば、同一の製造業者及びモデル)で交換することを含んでもよい。場合によっては、機器の新しい例は、同一の製造業者及びモデルであってもよいが、いくつかの改良又は他の軽微な変更を含んでもよい。
【0041】
交換表示206は、交換を決定する自動プロセスに基づいてもよい。例えば、機器は、機器が交換されたことを判定するように構成されているセンサを含んでもよい。別の例として、機器は、機器が交換されたことを同様に認識し得る、より大きなシステムの一部であってもよい。追加的に又は代替的に、交換表示206は手動プロセスに基づいてもよい。例えば、オペレータ又は他の関係職員は、コンピュータシステムで実行しているコンピュータアプリケーションのユーザインターフェースなどを介して、交換を記録してもよい。交換表示206は、コンピュータシステムに関連付けられたデータベースに記憶されてもよい。
【0042】
機器の「交換」は、機器を類似機器の別のタイプ、モデル、ブランド、その他などに交換するなど、機器が単に「変更される」場合を除外し得ることが企図される。機器の「交換」は、いくつかの動作状態(例えば、機器が機能不良であるか、又は性能が劣化している)、及び/又は機器に関する使用量メトリックに起因し得、機器の「変更」は、最初の機器の性能に対する不満、又は別の製造業者、モデル、ブランドなど新しい機器のより良好な価格など、何らかの他の理由に起因し得る。「変更」の場合、交換された機器のプロセスのデータが新しい機器に適用され得ないため、適応的予防保守のプロセスがリセットされ得る。
【0043】
データフロー図200は、主に機器の交換に関して示しているが、同一又は類似の原理が、修復、配置なしの保守、又は3つの活動の任意の組み合わせ若しくは下位の組み合わせに適用されてもよい。本明細書で使用するとき、「保守」とは、スケジュール又は設定された間隔に従って実施される活動を含む、機器の一般的な維持又は点検を指し得る。保守は機器性能の改善をもたらし得るが、機器の重大な機能不良には応答しない。一方、「修理」は、完全な故障など機器機能への悪影響を引き起こす重大な機能不良に対して行われてもよい。修理は、機器を機能状態に戻し得、交換の代わりとなり得る。
【0044】
このプロセスは、機器交換の理由又は原因(図2の交換理由208)を判定し得る。交換理由208は、機器が交換されたという表示に従って判定されてもよい。交換理由208は、交換が予防交換であった(例えば、交換時に機器は動作していた)か、又は故障に起因する交換(例えば、交換時に機器は動作しなかった)かを示す2進値であってもよい。交換の他の理由は、特定され、又は更に詳述されて、本明細書に記載する同一又は類似の原理による適応的予防保守プロセスに組み込まれ得ることが企図される。例えば、機器の故障のための交換は、ある特定の下位構成要素の故障に起因する機器の故障として、又は別の特定の下位構成要素の故障に起因する機器の故障として別個に分類されてもよい。
【0045】
交換理由208は、オペレータ又は他の職員によって示されてもよい。例えば、オペレータは、コンピュータアプリケーションのユーザインターフェース内の無線ボタンとして提示される2つの交換理由のうちの1つを選択することによって、かかる入力を提供してもよい。他の例では、交換の理由は自動プロセスを介して示され得、これは、機器が故障したかどうかを検出し、これをコンピュータシステムに送信するように機器が構成されている場合に生じ得る。
【0046】
機器交換が生じるとき(例えば、交換表示206に示されるとき)、交換時の経過使用量214が記録され得る。例えば、交換時の経過使用量214は、保守間隔推定値204が最後に決定されたときと交換が生じた時刻との使用量値の変化を表し得る。別の例として、経過使用量214は、機器が以前の繰り返しで交換されたときと、機器がプロセスの今回の繰り返しで交換されたときとの使用量値の変化を表し得る。
【0047】
新たな保守間隔推定値204は、少なくとも前回の保守間隔推定値204、交換理由208、及び/又は交換時の経過使用量214に基づいて計算されてもよい(例えば、前回の繰り返しからの保守間隔推定値204は、再計算されてもよい)。特定の設備に固有の実際の使用条件を反映したこの経験的証拠に基づいて、保守間隔推定値204は、当該特定機器が保守及び/又は交換されるべき時刻をより正確に表す値を得るために経時的に調整されてもよい。
【0048】
概して、交換理由208が予防交換を示す場合、交換時の経過使用量214に関して、交換理由208が設備故障に起因する交換を示した場合よりも小幅に、現在の保守間隔推定値204を調整することができる。機器の故障は、機器の実際の寿命(適切な使用量メトリックに関して)をより直接的に示すため、予防交換と故障に起因する交換との調整の程度のこの差は有益であり得る。その一方では、予防交換の場合には、機器が実際に故障する、仮定上の使用量値は不明である。これは、予防交換したすぐ後に機器が故障し得るためである。さらに、また、故障が、長期間(又は適切な使用量メトリックの他の増分)に対して生じないこともあり得る。
【0049】
新たな保守間隔推定値204の決定は、調整パラメータ216に更に基づいてもよい。調整パラメータ216は、交換時に経過使用量214に関して現在の保守間隔推定値204が調整され得る程度に影響を及ぼす数値であり得る。調整パラメータ216は、予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bを含んでもよい。交換理由208が予防の場合、予防パラメータ216aが用いられてよく、交換理由208が故障の場合には、故障パラメータ216bが用いられてもよい。さらに、交換理由208は、新たな保守間隔推定値204を計算する際に使用される式又は方法に影響を及ぼし得る。
【0050】
予防交換の場合、新たな保守間隔推定値は、少なくとも部分的に、現在の保守間隔推定値204と経過使用量214との差に基づいてよい。例えば、新たな保守間隔推定値204は、以下の式に従って計算され得る。
MI_NEW=MI_EST+K_PRV*(EL_USE-MI_EST)
【0051】
MI_NEWは、典型的には新たな保守間隔推定値204を表し、EL_USEは交換時の経過使用量214を表し、K_PRVは予防パラメータ216aを表す。ここでも、MI_ESTは、現在の保守間隔推定値204(すなわち、再計算されている保守間隔推定値204)を表す。
【0052】
予防パラメータ216aは、交換時に経過使用量214に関して現在の保守間隔推定値204が調整され得る程度に影響を及ぼし得る。上記の式で使用されるように、予防パラメータ216aは、0~1の値である。一方では、予防パラメータ216aが0である場合、保守間隔推定値204は、全く調整されない。すなわち、新たな保守間隔推定値204は、現在の保守間隔推定値204と等しくなる。他方では、予防パラメータ216aが1である場合、新たな保守間隔推定値204は経過使用量214と等しくなり、最大の調整が可能となる。
【0053】
一部の中間的な予防パラメータ216aでは、保守間隔推定値204は、現在の保守間隔推定値204と交換時の経過使用量214との差の一部のみで調整されることになる。例えば、予防パラメータ216aが0.5である場合、保守間隔推定値204は、現在の保守間隔204と経過使用量214との中間に調整され得る。この例示的実施では、より高い値は、保守間隔推定値204に対してより大きい調整をもたらし、より低い値は、より小さい調整をもたらすであろう。経過使用量214がこれらの繰り返しにわたって同一又は類似の量のままであると仮定すると、保守間隔推定値204は、4回の繰り返しにわたって経過使用量214の6.3%以内である。ここでもまた、経過使用量214がこれらの繰り返しにわたって同一又は類似の量のままであると仮定すると、0.63の予防パラメータ216aは、3回の繰り返し後に経過使用量214の5%以内の保守間隔推定値204をもたらす。
【0054】
機器の故障に起因して機器が交換された場合、新たな保守間隔推定値204は、経過使用量214と、故障パラメータ216bなどオペレータ定義のパラメータとの乗積に基づいてもよい。故障パラメータ216は、1未満の値であってもよく、したがって、新たな保守間隔推定値204は、経過使用量214の一部と等しくてもよい。一例として、新たな保守間隔推定値204は、以下の式に従って計算され得る。
MI_NEW=K_FLR*EL_USE
【0055】
K_FLRは、故障パラメータ216bを表す。上記のように、MI_ESTは現在の保守間隔推定値204を表し、MI_NEWは新たな保守間隔推定値204を表し、EL_USEは交換時の経過使用量214を表す。
【0056】
理解され得るように、故障に起因して機器が交換されると、保守間隔推定値204は、典型的には機器が予防的に交換された場合よりも迅速に、交換時に経過使用量214に向かって移動し得る。故障パラメータ216bから生じる調整の程度は、故障に起因した機器の交換時の望ましい調整の程度であると認識される。場合によっては、機器オペレータは、機器が故障するまで意図的に動作させられるプロセスのいくつかの繰り返しを実行してもよい。これにより、オペレータは、故障した機器を犠牲にしつつも、この意図的な初期介入なしにプロセスが実行された場合と比較して、合理的に正確な保守間隔推定値204をより迅速に決定することができてもよい。
【0057】
予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bは、機器製造業者のエンジニアなど機器製造業者によって設定されてもよい。他の例では、機器を使用するオペレータが、予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bを設定してもよい。いずれの場合でも、例えば、パラメータは、より積極的な調整を続けるように設定されてもよく、したがって、予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bは、より高い値に設定されてもよい。逆に、より控えめなアプローチが好ましい場合があり、したがって、予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bには、より低い値が選択されてもよい。予防パラメータ216a及び/又は故障パラメータ216bは、プロセスの繰り返し間に調整されてもよく、又は複数回の繰り返しにわたって一定のままであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、保守間隔推定値204の再計算は、保守間隔推定値204における「ドリフト」を防止する工程を含み得る。すなわち、保守間隔推定値204に対する微調整は、無効である。潜在的な新たな保守間隔推定値204が、現在の保守間隔推定値204に対して一定限度内にある場合、現在の保守間隔推定値204は調整されず、プロセス(又はその一部)の以降の繰り返しは、現在の未調整の保守間隔推定値204を使用して続行される。新たに再計算された保守間隔推定値204を使用するかどうかを判定する指定された制限は、潜在的な新たな保守間隔推定値204と現在の保守間隔推定値204との最小許容パーセント差を示すパーセント値によって表されてもよい。保守間隔推定値204を調整するか否かは、以下のアルゴリズムに従って決定され得る。
【数2】
【0059】
ADJ_LMTは、現在有効である保守間隔推定値204から、新たに計算されたがまだ有効ではない保守間隔推定値204までの最小許容相対変化をパーセント値で表す。上記の式で使用するために、ADJ_LMTは、10進法形式で表されなければならない(例えば、5%ではなく.05)。上記の式を要約するために、現在の保守間隔推定値204から予想される新たな保守間隔推定値204までの潜在的なパーセント変化(10進法形式)は、2つの間の非負の差を決定し、その差を現在の保守間隔推定値204で除算することによって計算される。その値が指定の許容可能な変化率よりも大きい場合、新たな保守間隔推定値204は、現在の保守間隔推定値204の代わりとなって、以降の繰り返しに使用される。更に、その値が指定の許容可能な変化率以下の場合、新たな保守間隔推定値204は無効であり、現在の保守間隔推定値204が以降の繰り返しで繰り越される。
【0060】
新たな保守間隔推定値204に対する現在の保守間隔推定値204の調整は、動作帯域202によって更に制約され得る。例えば、新たに計算された保守間隔推定値204が、動作帯域202に達しない、又はその境界を超えている場合、当該保守間隔推定値204は、プロセスの以降の繰り返しでは使用されない。他の例では、新たに計算された保守間隔推定値204が最大値202bを超える場合、保守間隔推定値204は最大値202bを想定してもよい。同様に、新たに計算された保守間隔推定値204が最小値202aを下回る場合、保守間隔推定値204は最小値202aとして設定されてもよい。
【0061】
経過使用量214が保守間隔推定値204に等しいか又はそれを超える場合、通知212が生成され、機器に関連するオペレータ又は他の職員に伝達されてもよい。すなわち、機器に関連する現在の経過使用量214が保守間隔推定値204に等しいか又はそれを超えるとき、通知212が生成され、伝達される。現在の経過使用量214は、保守間隔推定値204が算出された前回、又は機器が交換された時点に関してであってもよい。経過使用量が保守間隔推定値204を超えたという判定は、コンピュータシステムのコンピュータアプリケーションでその表示を入力し得るオペレータによって実行され得る。この判定は、追加的に又は代替的にコンピュータシステムによって実行されてもよい。経過使用量214は、リアルタイムで、又は定期的若しくは不規則的であり得る、より低頻度の間隔でポーリングされてもよいことに更に留意されたい。通知212の生成及び/又は送信において、類似の遅延が発生し得る。
【0062】
通知212は、保守間隔推定値204を超えたことを示してもよく、したがって、機器の故障リスクが増加し得ることをオペレータに通知する。通知212は、機器の製造業者、モデル、及びシリアル番号、並びに機器の位置など機器の識別子を更に含んでもよい。通知212は、保守間隔推定値204、保守間隔推定値204を超えた時点の経過使用量214の値、及び経過使用量214の現在値を示してもよい。
【0063】
通知212は、いくつかの形態で実現されてもよい。例えば、通知212は、電子メール、テキストメッセージ、又は自動電話メッセージを介してオペレータ又は他の職員に伝達されてもよい。別の例として、通知212は、コンピュータシステムで実行しているコンピュータアプリケーションのユーザインターフェースに提示されてもよい。ユーザインターフェースは、機器の使用量の表示、機器交換の発生、及び交換の理由など様々なユーザ入力又は自動入力を受け入れるために使用される同一のコンピュータアプリケーションで実装されてもよい。
【0064】
保守間隔推定値204が最初に超えられると、通知212が送信されてもよい。機器が交換されていない(又は実際に故障していない)場合、後続の通知212は、オペレータへ送信されてもよい。後続の通知212は、使用量メトリック、時間、又は他の因子に対して設定された間隔で生じてもよい。後続の通知212の間隔は、機器が交換されていない場合、徐々に短くなり得る。すなわち、オペレータは、機器が交換されていない時間が長いほど、より頻繁に通知が送信される。より頻繁な通知212に加えて、後続の通知212は、他の形態の通信を介して送信され得る。例えば、最初の通知212は電子メールを介して送信されてもよく、その一方で、後続の通知212は、テキストメッセージ又は自動電話を介して送信されてもよい。通知212の受信者もまた、エスカレーションしてもよい。例えば、通知212は、最初にフロアオペレータへ送信されてもよい。後続の通知212は、代わりに、オペレータの監督者又はマネージャへ送信されてもよい。後続の通知212は、1つ以上の閾値を超えて増加する経過使用量214に従って送信されてもよい。これらの閾値は、保守間隔推定値204を超えた現在の経過使用量214の特定のパーセント閾値(例えば、保守間隔推定値204の20%ごと)を表し得る。
【0065】
適応的予防保守法はまた、本明細書に記載する態様のうちのいずれかに対する記録機能を含んでもよい。例えば、保守間隔推定値204を超える経過使用量214が発生すると、機器の識別子、超過時刻、及び特定の経過使用量214など関連情報が記録されてもよい。機器交換が発生した場合もまた、機器の識別子、交換時刻、交換の理由、及び関連する経過使用量214の値が記録されてもよい。生成され、伝達されたすべての通知212はまた、通知212の時刻、手段、及び受信者、関連する機器の識別子、関連する保守間隔推定値204、保守間隔推定値204を超えた時点での経過使用量214の値、通知212の時点での経過使用量214などが記録されてもよい。当該記録は、オペレータ対話について既に上述したコンピュータシステムなどコンピュータシステムの記憶装置内で実施されてもよい。
【0066】
一態様では、開示する適応的予防保守プロセス及びその様々な実施形態は、保守間隔推定値204の決定及び/又は再計算の際に使用されるデータ入力をフィルタリング及び/又は平滑化するために追加の技術を用いてもよい。例えば、かかる技術は、機器の直近の交換時に経過使用量214を表すデータ入力に適用されてもよい。一例として、経過使用量214の入力は、より最近のデータ点に、それらのより最近のデータ点に先行するデータ点と比較してより少ない重みを与えるような方法でフィルタリングされてもよい。例えば、このデータフィルタリングは、1つ以上のタイプの移動平均分析を使用して効果を得てもよい。移動平均分析としては、例えば、単純移動平均(simple moving average、SMA)、累積移動平均(cumulative moving average、CMA)、加重移動平均(weight moving average、WMA)、及び指数加重移動平均(exponential weighted moving average、EWMA)が挙げられ得る。
【0067】
保守間隔推定値204の決定又は再計算に使用される経過使用量214の入力データを平滑化し、フィルタリングするための例示的な技術では、以下の式が実施され得る。
FILT_EL_USE=K*MI_EST+(1-K)*EL_USE
【0068】
この式では、EL_USEは、機器の直近の交換時の経過使用量214を表す。MI_ESTは、現在の保守間隔推定値204(すなわち、再計算前)を表す。Kは0~1の値を表し、Kの値が低いほど応答性が高くなり、一方、Kの値が高いほど応答性が低下する。最後に、FILT_EL_USEは、フィルタリングされた経過使用量214を表す。実際の経過使用量214(EL_USE)ではなく、フィルタリングされた経過使用量214は、新たな保守間隔推定値204を再計算又は決定する際に入力として使用されてもよい。累積的効果では、対応する交換の時点における複数の経過使用量をフィルタリング又は平滑化して、そうでなければ異常経過使用量、つまりはずれ経過使用量(すなわち、経過使用量の入力セットにおける「ノイズ」)に与えられる重みを低減し得る。
【0069】
別の態様では、機器の複数の別個の設備からのデータは、第三者によって一元的に収集され、機器の公差の理解を深めるために使用されてもよい。別個の設備はそれぞれ、同一又は類似の機器を、同一又は類似の動作条件下で使用し得る。第三者は、設備ごとに独立して決定された保守間隔推定値204を分析し、それによって、機器の総保守間隔推定値204を決定してもよい。この総保守間隔推定値204により、以前は不可能であった、機器製造業者が顧客に推奨保守又は交換スケジュールを提供することが可能になり得る。
【0070】
図3は、適応的予防保守の一実施形態の条件フローを示すフロー図300を示す。図3に示す実施形態は、上記の技術を活用して、より最近のデータ点により少ない重みを与え、より最近のデータ点に先行する、より初期のデータ点に比較的より多くの重みを与えることによって入力データのフィルタリング及び平滑化を行い得る。例示的な技術としては、移動平均(SMA)、累積移動平均(CMA)、加重移動平均(WMA)、及び指数加重移動平均(EWMA)などの移動平均が挙げられ得る。
【0071】
フロー図300は、機器、使用量メトリック、経過使用量、保守間隔推定値、通知などに関して論じており、これらは、図2に関連して説明したいくつかの態様に類似している。最初に、工程302において、ある機器の経過使用量(例えば、図2の経過使用量214)が、保守間隔推定値(例えば、図2の保守間隔推定値204)を超える。いくつかの例として、経過使用量は、累積動作時間、作動サイクル数、又はコーティングされた基材の数など使用量メトリックの観点で表され得ることが想起されるであろう。通知(例えば、図2の通知212)は、保守間隔推定値を超えたことを通知するために、機器に関連するオペレータ又は他の職員に送信される。上記のように、通知は、電子メール、テキスト、又はコンピュータアプリケーションのユーザインターフェースを介して送信されてもよい。
【0072】
工程302に先立って、機器は動作中であり、経過使用量は、この期間中又はこの期間の一部において追跡又は記録されていることが理解されるであろう。実際に、工程318では、機器は、関連する経過使用量が保守間隔推定値に到達する前であっても故障する。この場合、保守間隔推定値は、図2に関連して記載した方法などで低減する。その後、使用量メトリックをリセットする。機器は、この故障時に交換してもよい。交換すると仮定すると、その後、機器は動作に戻ってもよい。
【0073】
工程304において、ユーザに追加の通知を送信して、保守間隔推定値を超えたこと、及び機器がまだ交換されていないことを再認識させる。通知の送信後、工程302又は工程304などで伝達した通知に応答して、オペレータが機器を交換したかどうかを判定する。交換した場合、工程306において、保守間隔推定値は変更しない。すなわち、この現在の保守間隔推定値は、交換された機器を使用したプロセスの以降の繰り返しに繰り越される。加えて、適応速度を低減する。適応速度とは、交換時点の現在の経過使用量及び/又は後の経過使用時間量が、新たな、つまり再計算された保守間隔推定値を決定する際に与えられる重みの程度を指し得る。例えば、上記の式「FILT_EL_USE=KMI_EST+(1-K)EL_USE」では、適応速度は「(1-K)」として表される。その後、経過使用量をリセットする。次いで、機器は動作に戻ってもよい。
【0074】
工程310、工程304でオペレータが機器を交換しなかった場合、保守間隔推定値を増加させる。保守間隔推定値の増加は、保守間隔推定値が増加した時点又は別の特定時点における機器の経過使用量に基づいてもよい。適応速度を更に低減する。さらに、通知は、オペレータへ引き続き送信するが、その後の送信頻度が増加する(すなわち、通知は、機器を交換しなかった場合よりもすぐに送信する)。
【0075】
工程312において、機器が故障したかどうかを判定する。機器が故障していない場合、フロー300は工程304に戻り、ユーザへは、今すぐには送信しないが、追加の通知をより頻繁に送信する。機器が故障した場合、工程314において、保守間隔推定値を低減する。これは、故障(又は後続の交換)時点での経過使用量、及び任意の交換が故障に起因するという事実に基づいてもよい。上記のように、機器は、故障後に交換してもよい。経過使用量をリセットする。機器は動作中に戻ってもよい。通知頻度も増加させてもよい。
【0076】
図4は、機器の保守間隔推定値を決定し、次いで、多数回の繰り返しにわたって精緻化する方法400を示す。方法400の説明において、保守間隔推定値、機器、使用量メトリック、通知、機器交換、経過使用量などを参照するが、これらは、図2に関連して説明したものと同一又は類似である。
【0077】
工程402において、第1の保守間隔推定値を決定する。第1の保守間隔推定値は、ある機器に関連してもよく、この機器に関連する使用量メトリックの値として表現されてもよい。いくつかの例として、使用量メトリックは、ポンプの作動サイクル数、ヒーターの動作時間、又は機器設置以降の合計時間を指してもよい。工程402が方法400の最初の繰り返し中に行われる場合、第1の保守間隔推定値は、機器製造業者によって示される値などデフォルト値であってもよい。代替的に、第1の保守間隔推定値は、方法400の以前の繰り返し(例えば、工程410の第2の保守間隔推定値)から決定され、繰り越された保守間隔推定値であってもよい。保守間隔推定値は、動作帯域に限定されてもよい。
【0078】
工程404において、機器が交換されたという表示を受信する。この表示は、自動プロセスを介して受信してもよい。例えば、機器、又は機器がその一部であるシステムは、機器が交換されたことを示すセンサを装備してもよい。他の例では、オペレータが交換を記録してよい。オペレータによって手動で入力されたか、及びセンサから受信したかどうかにかかわらず、交換の表示を受信するためにコンピュータを使用してもよい。
【0079】
工程406において、機器の経過使用量を測定する、及び/又は受信する。経過使用量は、第1の保守間隔推定値に関連する基準時点から、機器の交換に関連する後の第2の時点までの期間中に、機器の使用量メトリックに関して機器の総使用量を反映してもよい。
【0080】
場合によっては、基準時点は、第1の保守間隔推定値を決定する時点であり得る。他の例では、基準時点は、方法400の以前の繰り返しで機器が以前に交換された時点、又は方法400の以前の繰り返しでの交換に続いて機器がサービスを行った、若しくは動作を開始した時点であり得る。
【0081】
第2の時点は、工程404で参照した交換を実行した(又は、当該交換の表示を受信した)時刻を指し得る。機器が故障前に交換された場合、この時点が好ましい場合がある。あるいは、第2の時点は、機器が故障し、したがって工程404に示す交換を生じさせる時点を指し得る。交換前に機器が故障した場合、この時点が適切であり得る。
【0082】
さらに、別の代替として、第2の時点は、機器が故障した時点、又は機器を交換し時点のうちの早い方を指してもよい。一例では、基準時点は、機器が最初にサービスを行った、又は動作を開始した時刻であってもよく、第2の時点は、故障、又は予防交換に起因するかどうかにかかわらず、機器がサービスを終了した時刻、又は動作を停止した時刻であってもよい。
【0083】
経過使用量は、機器に関連する、センサなどから直接収集されたデータ又はオペレータが入力したデータに基づいて、コンピュータシステムによって決定され得る。あるいは、経過使用量は、オペレータによってコンピュータシステムに入力されてもよい。経過使用量が推定値であり得ることに留意すると、一例では、オペレータは、機器が動作していた日数及び毎日の推定作動サイクル数、推定動作数、推定使用時間などに基づいて、経過使用量の推定値を計算し得る。この推定経過使用量は、コンピュータシステムに入力してもよい。
【0084】
工程408において、工程404で参照した機器交換の理由の表示を受信する、及び/又は判定する。想到される使用事例では、交換の理由は、予防又は機器の故障のいずれかであり得る。予防交換を行う決定は、機器の経過使用量及び保守間隔の推定値に基づいてもよい。例えば、予防交換は、保守間隔推定値に近づく、等しい、又はそれを超える経過使用量に応答してもよい。交換の理由は、予防又は故障に限定されるものではなく、性能の劣化(例えば、閾値外の性能値)など他の理由が挙げられ得る。交換の理由の表示は、コンピュータシステムのユーザインターフェースへのオペレータ入力を介してコンピュータシステムによって受信され得る。
【0085】
工程410において、第2の保守間隔推定値を決定する。第2の保守間隔推定値は、機器の経過使用量(工程406)及び機器の交換の理由(工程408)に基づいてもよい。いくつかの態様では、第2の保守間隔推定値は、機器の交換の理由(工程408)を考慮せずに、機器の経過使用量(工程406)に基づいてもよい。第2の保守間隔推定値は、図2に関連して説明する技術など、本明細書に記載する技術のいずれかに従って決定してもよい。
【0086】
第2の保守間隔推定値は、ほとんどの場合、経過使用量に関して調整される。この経験的アプローチを使用して、現行の保守間隔推定値(この図では第1及び第2の保守間隔推定値として具体化される)は、複数回の繰り返しにわたって精緻化して、機器を交換するべき理論的に理想的な間隔に至ることができる。
【0087】
第2の保守間隔推定値は、また、第2の保守間隔推定値が経過使用量に関する調整であるかどうか、又はどの程度の調整であるかに影響し得る調整パラメータ(例えば、図2の調整パラメータ216)に従って決定してもよい。調整パラメータは、ユーザ定義であって、調整の程度の制御などを行ってもよい。いくつかの態様では、調整パラメータは、故障前(例えば、図2の予防パラメータ216a)に、又は故障に起因して(例えば、図2の故障パラメータ216b)、機器が予防保守として交換されたかどうかに応じて異なり得る。予防交換は、交換が機器の故障に応答した場合と比較して、第1の保守間隔推定値と第2の保守間隔推定値との間の調整の程度を小さくする傾向にあってもよい。
【0088】
工程410の終了時に、第2の保守間隔推定値は、方法400の更なる繰り返しに関して繰り越されてもよい。したがって、例示する方法400に関して、後続の繰り返しにおける工程402の第1の保守間隔推定値は、現在終了した繰り返しの第2の保守間隔推定値の値を想定してもよい。図2に示す表現とより類似している、更にいくつかの実施例では、現行の保守間隔推定値は、機器交換のたびに単純に再計算されてもよい。
【0089】
これまでに詳述したように、経過使用量が保守間隔推定値に等しいか又はそれを超える場合、通知(例えば、図2の通知212)は、オペレータ又は他の当事者に送信されてもよい。通知は、概して方法400の任意の時点で送信されてもよい。機器がその後交換されない場合、追加の通知は、短縮された通知間隔で、及び/又は追加の送信手段を介して、より多数の及び/又は異なる受信者へ送信されてもよい。
【0090】
様々な工程は、同時実施など任意の実行可能な順序で実行されてもよい。しかしながら、工程406及び408は、任意の順序で、並びに/又は互いの1つ以上及び工程404と同時に実行されてよいことに特に留意されたい。例えば、工程404、406、及び408は、同時に実行されてよい。別の例として、工程404及び406は同時に実行されてもよく、工程408はその後実行されてよい。別の例として、工程404及び408は同時に実行されてよく、工程406はその後に実行される。更に別の例として、工程404は最初に実行されてよく、工程406及び408は、その後同時に実行されてよい。
【0091】
本方法及びシステムは、多くの他の一般的用途、又は特殊用途のコンピューティングシステム環境又は構成で動作可能であり得る。上記システム及び方法と共に用いるのに好適であり得るコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ノート型デバイス、及びマルチプロセッサシステムを含むが、これらに限定されない。追加的な例は、セットトップボックス、プログラム可能な消費者向け電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの任意のものを含む分散コンピューティング環境などを含む。
【0092】
開示した方法及びシステムの処理は、ソフトウェア構成要素によって実行されてもよい。開示したシステム及び方法は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどコンピュータ実行可能命令の一般的コンテクストにおいて記述され得る。概してプログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象的なデータタイプを実現する、コンピュータコード、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。開示した方法は、通信ネットワークを介して繋がっているリモートの処理用デバイスによりタスクが実行される、グリッドベースの分散コンピューティング環境において実行されてもよい。分散コンピューティング環境においては、プログラムモジュールは、ローカルの、及びリモートの、メモリストレージデバイスを含むコンピュータ記憶媒体に置かれていてもよい。
【0093】
さらに、当業者は、本明細書に開示するシステム及び方法が、コンピューティングデバイスの形態の汎用コンピューティングデバイスを介して実施され得ることを理解するであろう。コンピューティングデバイスの構成要素は、1つ以上のプロセッサ、システムメモリ、及び、例えばプロセッサをシステムメモリと結合するなど、様々なシステムの構成要素同士を結合するシステムバスを含み得るが、これらに限定されない。複数のプロセッサの場合、システムは、並列コンピューティングを利用してもよい。
【0094】
例示のために、かかるプログラム及び構成要素は、時として、コンピューティングデバイスの異なる記憶構成要素に存在し、かつコンピュータのデータプロセッサによって実行されることを認識したうえで、アプリケーションプログラム及びオペレーティングシステムなどその他の実行可能なプログラム構成要素は、本明細書において個別のブロックとして図示されている。サービスソフトウェアの実装は、何らかの形のコンピュータ可読媒体に記憶されるか、かかる媒体を介して送信されてもよい。開示したすべての方法は、コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータ可読命令によって実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であり得る。制限する意図ではなく例示として、コンピュー可読媒体は、「コンピュータ記憶媒体」と、「通信媒体」と、を含んでもよい。「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなど情報の記憶のための任意の方法又は技術で実現される媒体であって、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含む。例示のコンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイス、又は所望の情報を記憶するために使用可能であり、かつコンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。以下においては、数値の範囲は、「約」をつけたある特定の値から、及び/又は、「約」をつけた他の特定の値に至るものとして表現される場合がある。そのようにして1つの範囲が表現されると、他の実施形態においては、当該ある特定の値から、及び/又は、他の当該特定の値に至る範囲が含まれる。同様に、ある値が「約」を前につけて、近似的値によって示される場合、当該ある特定の値は他の実施形態においても有効であると理解されねばならない。更に、そのような範囲のそれぞれの端点は、他の端点との関連において、及び他の端点とは独立して、有効であると理解されねばならない。
【0096】
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別途記載のない限り、範囲内に収まるそれぞれ別個の値に個別に言及する簡略な方法とすることを単に意図するものであり、それぞれ別個の値は、本明細書において個別に列挙されているように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載するすべての方法は、本明細書に別途記載のない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。
【0097】
「任意選択可能な」又は「任意選択可能に」という表現は、それ以下に説明される出来事又は状況が、発生してもしなくてもよいことを意味し、且つ、当該説明が、そのような出来事又は状況が発生した場合もしない場合も含むことを意味する。
【0098】
本明細書の説明及び「特許請求の範囲」を通じて、「comprise(含む)」という用語及び、例えば「comprising」及び「comprises」のような、その変化した語形は、「含むがそれに限定されない」ということを意味し、かつ例えば、他の構成要素、整数、又は工程などを排除しないことを意図する。「例示的な」という用語は、「~の例」ということを意味し、かつ、それが好ましい又は理想の実施形態であることを伝えようという意図はない。「Such as」は制限的な意味では使用されず、説明の目的のために使用される。
【0099】
開示する方法及びシステムを実行するために用いられ得る構成要素を開示する。これらの及びその他の構成要素が本明細書で開示されるが、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群等が開示されているものの、それぞれの様々な個別の並びに集合的な組み合わせ及びそれらの組み合わせを並び替えたものを具体的に言及したものが明示的に開示されていないとしても、本明細書においてはそれらがすべての方法及びシステムに対して、考慮され説明されているものと理解される。この原則は、本出願のすべての態様に対して適用されるが、開示される方法の工程に限定されない。したがって、実行され得る様々な追加的工程が存在する場合、これらの追加的工程のそれぞれは、開示する方法の任意の特定の実施形態又は、これらの組み合わせと共に実行され得ることが理解されるべきである。
【0100】
好ましい実施形態及び特定の実施例に関連して方法及びシステムを説明してきたが、本明細書に記載の実施形態は、あらゆる点で限定的ではなく例示的であることを意図するので、本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。
【0101】
特にそうでないと明示的にことわらない限り、本明細書において記載されているいかなる方法も、その複数の工程をある特定の順序で実行することを必要とするものとして理解することを全く意図されていない。したがって、方法の請求項が実際に、その複数の工程が従うべき順序を指定していない場合、又は複数の工程が特定の順序に制限されるということが具体的に、「特許請求の範囲」又は説明において記述されていない場合、いかなる点においても、ある順序が暗示されているということを意図するものでは全くない。これは、工程の配置又は動作フローに関する論理の問題、文法構成又は句読点に由来する平明な意味、本明細書に記載の実施形態の数又はタイプなど、解釈のあらゆる非明確な根拠にも該当する。
【0102】
本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく、様々な修正及び変更を施し得ることは当業者には明らかであろう。明細書及びそこに開示される実践を考慮すれば、他の実施形態が当業者には明らかであろう。明細書及び例が、あくまでも例示的なものとして考慮されて、以下に続く「特許請求の範囲」により、その真の範囲及び精神が示されるということが意図されている。
【符号の説明】
【0103】
204 保守間隔推定値
214 経過使用量
400 方法
図1
図2
図3
図4