(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】帳票自動入力装置およびコンピュータが実行する帳票自動入力化処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2023117237
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000200253
【氏名又は名称】JFEシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 彰
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-172537(JP,A)
【文献】特開2022-128766(JP,A)
【文献】特開2009-128958(JP,A)
【文献】特開2001-005886(JP,A)
【文献】特開平07-121629(JP,A)
【文献】特開2009-123121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提出先からの依頼によって帳票形式の電子ファイルの所定位置に入力が求められる場合において、
登録済の既存の帳票を保存する帳票保存手段と、
項目値をデータ保存場所に保存する項目値保存手段と、
帳票の入力項目に対応付けて前記項目値保存手段のデータ保存場所と条件情報からなる項目定義情報を保持する項目定義格納手段と、
該項目定義格納手段に保持する情報に従って、前記帳票保存手段に保存する既存帳票に前記データ保存場所に保存する項目値を入力した記入済帳票を作成する帳票更新手段と、
新規に受け取った依頼帳票と前記記入済帳票とを同時に表示する帳票表示手段と、
該帳票表示手段に表示される記入済帳票の値を前記依頼帳票の入力項目へ転記操作を行う転記操作手段と、
該転記操作手段の転記操作に伴って動作し、前記項目定義格納手段で記入済帳票の項目に対応付けて格納する、前記データ保存場所と当該データが適用可能な条件情報とを有する項目定義情報を依頼帳票の入力項目に対応付けて複写して格納する複写格納手段と、
依頼帳票と同一の既存帳票が同一条件で既に前記帳票保存手段に保存されている場合に、前記帳票更新手段で得られる記入済帳票あるいは前記帳票表示手段で転記済の依頼帳票を出力する帳票出力手段と、
入力すべき値を含んだ記入済帳票が得られない場合に、前記項目定義格納手段の依頼帳票の入力項目に対して新たな項目定義情報を保持する新規項目登録手段と、
を備えたことを特徴とする、帳票自動入力装置。
【請求項2】
前記処理の履歴を用いて、アルゴリズム、統計、あるいは機械学習によって、前記項目定義情報を構成する条件情報を自動または手動で編集するか、または条件が類似する複数の項目定義情報の中から1つを選択する、条件編集手段を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の帳票自動入力装置。
【請求項3】
前記条件が類似する複数の項目定義情報を提示する手段を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の帳票自動入力装置。
【請求項4】
帳票上の配置に連携して直接結び付ける外部項目と、該外部項目を介して連携する内部項目を区別して取扱う手段を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の帳票自動入力装置。
【請求項5】
依頼帳票および既存帳票は、電子ファイルで用意される帳票に代えて、項目を配置したソフトウェアの画面表示、あるいは画面表示と帳票を併用する手段を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の帳票自動入力装置。
【請求項6】
提出先からの依頼によって帳票形式の電子ファイルの所定位置に入力が求められる場合において、
登録済の既存の帳票を保存する帳票保存処理と、
項目値をデータ保存場所に保存する項目値保存処理と、
帳票の入力項目に対応付けて前記項目値のデータ保存場所と条件情報からなる項目定義情報を保持する項目定義格納処理と、
該項目定義格納処理で保持する情報に従って、前記帳票保存処理で保存する既存帳票に前記データ保存場所に保存する項目値を入力した記入済帳票を作成する帳票更新処理と、
新規に受け取った依頼帳票と前記記入済帳票とを同時に表示する帳票表示処理と、
該帳票表示処理で表示される記入済帳票の値を前記依頼帳票の入力項目へ転記操作を行う転記操作処理と、
該転記操作処理の転記操作に伴って動作し、前記項目定義格納処理で記入済帳票の項目に対応付けて格納する、前記データ保存場所と当該データが適用可能な条件情報とを有する項目定義情報を依頼帳票の入力項目に対応付けて複写して格納する複写格納処理と、
依頼帳票と同一の既存帳票が同一条件で既に前記帳票保存処理に保存されている場合に、前記帳票更新処理で得られる記入済帳票あるいは前記帳票表示処理において転記済の依頼帳票を出力する帳票出力処理と、
入力すべき値を含んだ記入済帳票が得られない場合に、前記項目定義格納処理の依頼帳票の入力項目に対して新たな項目定義情報を保持する新規項目登録処理と、
を有することを特徴とする、
コンピュータが実行する帳票自動入力化処理
方法。
【請求項7】
前記処理の履歴を用いて、アルゴリズム、統計、あるいは機械学習によって、前記項目定義情報を構成する条件情報を自動または手動で編集するか、または条件が類似する複数の項目定義情報の中から1つを選択する、条件編集処理を有することを特徴とする、請求項6に記載の
コンピュータが実行する帳票自動入力化処理
方法。
【請求項8】
前記条件が類似する複数の項目定義情報を提示する処理を有することを特徴とする、請求項7に記載の
コンピュータが実行する帳票自動入力化処理
方法。
【請求項9】
帳票上の配置に連携して直接結び付ける外部項目と、該外部項目を介して連携する内部項目を区別して取扱うことを特徴とする、請求項6に記載の
コンピュータが実行する帳票自動入力化処理
方法。
【請求項10】
依頼帳票および既存帳票は、電子ファイルで用意される帳票に代えて、項目を配置したソフトウェアの画面表示、あるいは画面表示と帳票を併用するものであることを特徴とする、請求項6に記載の
コンピュータが実行する帳票自動入力化処理
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票自動入力装置およびコンピュータが実行する帳票自動入力化処理方法に係り、特に、所定の帳票形式の電子ファイルに入力が求められる際の作業を支援あるいは自動化するための、帳票自動入力装置およびコンピュータが実行する帳票自動入力化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばメーカーは、情報収集などの目的で、卸売り、小売りなどの得意先から形式を定めた帳票の所定の位置に情報を入力することが求められる。そこで、メーカーは、要求される、例えばCSVファイル、自社形式の計算ソフト規格書、得意先書式の計算ソフト規格書など、それぞれに指定される多様な形式で商品の帳票情報を用意する必要があった。
【0003】
情報の提供は、定型的に情報元のデータベースあるいは標準とする帳票から転記して行われることも多い。
【0004】
転記は、対象となる情報が更新されるたびに繰り返され、かつ同様の情報であっても要求元の違いによって形式や表現方法が異なることも多く、担当者にとって入力の手間のみならず、データの用意・選択は大きな作業負担である。
【0005】
そこで従来、帳票入力の支援あるいは自動化のために、各帳票の形式に合わせて、入力位置と元のデータとを紐づける定義を予め用意する方法が取られている。又、そのための入力位置の検出やデータ元を検出する手段、及び、その支援方法が考案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、帳票上の項目と、その項目に出力すべき可変データの業務データベース上の位置との関係を自動的にマッピングし、マッピング率を高めて開発工数を削減する技術が記載されている。
【0007】
又、特許文献2には、帳票のひな型である未記入フォーマット、帳票のひな型に対して値が記入済の記入済フォーマットとを受信し、受信した未記入フォーマットと記入済フォーマットとを比較して入力セルを特定し、特定した入力セルを示す帳票項目名を未記入フォーマットから取得し、特定した入力セルと取得した帳票項目名とを対応付けて出力する技術が記載されている。
【0008】
又、画面上で帳票間の対応付けを行って転記の自動化を図る技術として、特許文献3には、転記元帳票の帳票定義情報及び転記先帳票の帳票定義情報を表示装置に描画させ、転記先帳票IDに基づいて転記定義ファイルを生成して記録し、帳票索引項目の有無を判定し、転記定義の転記先、転記元の項目番号等を記録し、転記項目の有無を判定することにより、転記元情報の位置と転記先情報の位置とを表示画面で指示するだけで、転記元情報を転記先情報に自動的に転記する技術が記載されている。
【0009】
又、特許文献4には、帳票に転記すべき転記データの転記位置を制御する転記制御データを、転記済帳票のイメージを確認しながら談話的に作成し得るようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2009-128958号公報
【文献】特開2022-172537号公報
【文献】特開2001-5886号公報
【文献】特開平7-121629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、いずれにおいても、定義を用意する作業は最終的に入力作業の担当者の知見を必要とする。これは、担当者にとって普段に行わない作業であり、特に、明示的あるいは暗黙に依らず、データを選択する多様な条件が予め整理されていない状態にあって、一律に定義することは困難である。また、依頼される帳票の形式は追加あるいは変更が発生し、都度に定義を行うために時間を割く必要がある等の問題点を有していた。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、入力自動化のための定義作業が不要になり、又、事前の場合分けやルールの策定も必要としないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、提出先からの依頼によって帳票形式の電子ファイルの所定位置に入力が求められる場合において、登録済の既存の帳票を保存する帳票保存手段と、項目値をデータ保存場所に保存する項目値保存手段と、帳票の入力項目に対応付けて前記項目値保存手段のデータ保存場所と条件情報からなる項目定義情報を保持する項目定義格納手段と、該項目定義格納手段に保持する情報に従って、前記帳票保存手段に保存する既存帳票に前記データ保存場所に保存する項目値を入力した記入済帳票を作成する帳票更新手段と、新規に受け取った依頼帳票と前記記入済帳票とを同時に表示する帳票表示手段と、該帳票表示手段に表示される記入済帳票の値を前記依頼帳票の入力項目へ転記操作を行う転記操作手段と、該転記操作手段の転記操作に伴って動作し、前記項目定義格納手段で記入済帳票の項目に対応付けて格納する、前記データ保存場所と当該データが適用可能な条件情報とを有する項目定義情報を依頼帳票の入力項目に対応付けて複写して格納する複写格納手段と、依頼帳票と同一の既存帳票が同一条件で既に前記帳票保存手段に保存されている場合に、前記帳票更新手段で得られる記入済帳票あるいは前記帳票表示手段で転記済の依頼帳票を出力する帳票出力手段と、入力すべき値を含んだ記入済帳票が得られない場合に、前記項目定義格納手段の依頼帳票の入力項目に対して新たな項目定義情報を保持する新規項目登録手段と、を備えたことを特徴とする、帳票自動入力装置により、前記課題を解決するものである。
【0014】
ここで、前記処理の履歴を用いて、アルゴリズム、統計、あるいは機械学習によって、前記項目定義情報を構成する条件情報を自動または手動で編集するか、または条件が類似する複数の項目定義情報の中から1つを選択する、条件編集手段を備えることができる。
【0015】
又、前記条件が類似する複数の項目定義情報を提示する手段を備えることができる。
【0016】
又、帳票上の配置に連携して直接結び付ける外部項目と、該外部項目を介して連携する内部項目を区別して取扱う手段を備えることができる。
【0017】
又、依頼帳票および既存帳票は、電子ファイルで用意される帳票に代えて、項目を配置したソフトウェアの画面表示、あるいは画面表示と帳票を併用する手段を備えることができる。
【0018】
本発明は、又、提出先からの依頼によって帳票形式の電子ファイルの所定位置に入力が求められる場合において、登録済の既存の帳票を保存する帳票保存処理と、項目値をデータ保存場所に保存する項目値保存処理と、帳票の入力項目に対応付けて前記項目値のデータ保存場所と条件情報からなる項目定義情報を保持する項目定義格納処理と、該項目定義格納処理で保持する情報に従って、前記帳票保存処理で保存する既存帳票に前記データ保存場所に保存する項目値を入力した記入済帳票を作成する帳票更新処理と、新規に受け取った依頼帳票と前記記入済帳票とを同時に表示する帳票表示処理と、該帳票表示処理で表示される記入済帳票の値を前記依頼帳票の入力項目へ転記操作を行う転記操作処理と、該転記操作処理の転記操作に伴って動作し、前記項目定義格納処理で記入済帳票の項目に対応付けて格納する、前記データ保存場所と当該データが適用可能な条件情報とを有する項目定義情報を依頼帳票の入力項目に対応付けて複写して格納する複写格納処理と、依頼帳票と同一の既存帳票が同一条件で既に前記帳票保存処理に保存されている場合に、前記帳票更新処理で得られる記入済帳票あるいは前記帳票表示処理において転記済の依頼帳票を出力する帳票出力処理と、入力すべき値を含んだ記入済帳票が得られない場合に、前記項目定義格納処理の依頼帳票の入力項目に対して新たな項目定義情報を保持する新規項目登録処理と、を有することを特徴とする、コンピュータが実行する帳票自動入力化処理方法により、同様に前記課題を解決するものである。
【0019】
ここで、前記処理の履歴を用いて、アルゴリズム、統計、あるいは機械学習によって、前記項目定義情報を構成する条件情報を自動または手動で編集するか、または条件が類似する複数の項目定義情報の中から1つを選択する、条件編集処理を有することができる。
【0020】
又、前記条件が類似する複数の項目定義情報を提示する処理を有することができる。
【0021】
又、帳票上の配置に連携して直接結び付ける外部項目と、該外部項目を介して連携する内部項目を区別して取扱うことができる。
【0022】
又、依頼帳票および既存帳票を、電子ファイルで用意される帳票に代えて、項目を配置したソフトウェアの画面表示、あるいは画面表示と帳票を併用するものとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、担当者が従来から行っている、入力の元情報が表示された帳票/画面(以下、記入済帳票)の項目値を格納先である帳票(以下、依頼帳票)の入力位置に転記する作業を装置上で疑似的に実現しながら、装置内で格納先帳票の項目に実際の値を格納するとともに、記入済帳票の項目に既に紐づけられている元データ項目とその項目が適用可能な条件が記述された情報を依頼帳票の項目に対して複写する。
【0024】
これによって、以降は、同じ帳票に対して適用条件に合致した場合に、本発明によって紐づけられた項目の値を自動入力することができる。
【0025】
なお、適用条件が合致しない場合は、条件の類似度によって入力候補を示して、入力を支援することができる。
【0026】
このようにして、従来の転記作業による帳票入力を担当者が当方式を実現するシステム上で行うことで、入力自動化のための定義作業が不要となる。また、事前の場合分けやルールの策定も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】同じく同一帳票同一配置でも条件によって項目が異なる例を示す図
【
図6】同じく帳票への項目定義情報の複写操作の例を示す図
【
図8】同じく項目の選択に用いる条件情報の例を示す図
【
図9】同じく処理の履歴に基づく項目の選択の例を示す図
【
図10】同じく処理の履歴に基づく項目の選択の具体例を示す図
【
図11】同じく条件情報の類似度による入力支援の例を示す図
【
図12】同じく外部項目と内部項目を分けて扱う手段の基本的な構成例を示す図
【
図13】同じく外部項目と内部項目を分けて扱う手段の具体例を示す図
【
図14】同じく外部項目と内部項目の紐づけの変更の具体例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0029】
本発明に係る帳票自動入力装置は、
図1に構成を示す如く、登録済の既存の帳票(既存帳票と称する)10を保存する帳票保存部100と、項目値20をデータ保存場所に保存する項目値保存部120と、帳票の入力項目に対応付けて前記項目値保存部120のデータ保存場所と条件情報30からなる項目定義情報40を保持する項目定義格納部130と、該項目定義格納部130に保持する情報に従って、前記帳票保存部100に保存する既存帳票10に前記データ保存場所に保存する項目値20を入力した記入済帳票50を作成する帳票更新部140と、新規に受け取った依頼帳票(新規帳票とも称する)60と前記記入済帳票50とを同時に表示する帳票表示部150と、該帳票表示部150に表示される記入済帳票50の値を前記依頼帳票60の入力項目へ転記操作を行う転記操作部160と、該転記操作部160の転記操作に伴って動作し、前記項目定義格納部130で記入済帳票50の項目に対応付けて格納する、前記データ保存場所と当該データが適用可能な条件情報30とを有する項目定義情報40を依頼帳票60の入力項目に対応付けて複写して格納する複写格納部170と、依頼帳票60と同一の既存帳票10が同一条件で既に前記帳票保存部100に保存されている場合に、前記帳票更新部140で得られる記入済帳票50あるいは前記帳票表示部150で転記済の依頼帳票70を出力する帳票出力部180と、入力すべき値を含んだ記入済帳票50が得られない場合に、前記項目定義格納部130の依頼帳票60の入力項目に対して新たな項目定義情報40を保持する新規項目登録部190と、前記処理の履歴を用いて、アルゴリズム、統計、あるいは機械学習によって、前記項目定義情報40を構成する条件情報30を自動または手動で編集するか、または条件が類似する複数の項目定義情報40の中から1つを選択する、条件編集部200と、を備えている。
【0030】
ここで、前記項目定義情報40は、帳票上の配置に対応付けて元データを保存している場所(項目)と、その適用が可能な条件情報30を組み合わせたものである。
【0031】
なお、条件編集部200は、不要であれば省略可能である。
【0032】
【0033】
まず、ステップS1000で、依頼帳票60を受け取って帳票表示部150に表示する。
【0034】
次いでステップS1100に進み、帳票保存部100で既に登録済の既存帳票10であるか否かを判定する。判定結果が否である場合には、ステップS1200に進み、転記元の既存帳票10を選択する。
【0035】
次いでステップS1220に進み、登録済の定義情報により既存帳票10の各項目の値を取得する。
【0036】
次いでステップS1300に進み、既存帳票10の各項目に値を入力する。
【0037】
次いでステップS1400に進み、依頼帳票60と既存帳票10を帳票表示部150に表示する。
【0038】
次いでステップS1500に進み、既存帳票10に該当項目があるか否かを判定する。判定結果が正の場合にはステップS1600に進み、値を依頼帳票60の該当配置に、例えばドラッグアンドドロップ又はコピーアンドペーストにより転記する。
【0039】
次いでステップS1620に進み、紐づく項目定義情報40を該当配置に複写する。
【0040】
一方、前記ステップS1500の判定結果が否であり、既存帳票10に該当項目が無いと判定されるときには、ステップS1640に進み、新規項目登録部190により新たな項目を作成する。
【0041】
次いでステップS1660に進み、依頼帳票60の該当配置に紐づける。
【0042】
ステップS1620又はステップS1660終了後、ステップS1700に進み、全ての配置に転記又は複写済か否かを判定する。判定結果が否である場合には、ステップS1720に進み、既存帳票10を入れ替えるか否かを判定する。
【0043】
ステップS1720の判定結果が否である場合には、ステップS1500に戻る。一方、ステップS1720の判定結果が正の場合には、ステップS1200に戻る。
【0044】
ステップS1700の判定結果が正の場合には、ステップS1740に進み、依頼帳票60を登録済依頼帳票80として帳票保存部100に保存する。
【0045】
一方、前記ステップS1100の判定結果が正であり、既に登録済であると判定されるときには、ステップS1800に進み、登録済の項目定義情報40により依頼帳票60の各項目の値を取得する。
【0046】
次いでステップS1820に進み、依頼帳票60の各項目に値を入力する。
【0047】
前記ステップS1740又はステップS1820終了後、ステップS1900に進み、入力済の依頼帳票(転記済帳票と称する)70を出力する。
【0048】
以下、図面を参照しながら具体的なイメージを説明する。
【0049】
図3に示す如く、新たな形式の帳票に記入する際に、既存の帳票(複数も可)10からドラッグアンドドロップ又はコピーアンドペーストなどの操作によりデータを転記又は複写すると同時に、帳票10上に記載された項目と元データの格納場所の紐づけとその適用条件を保持して、次回以降に依頼帳票60へのデータ入力を自動化する。具体的には、
図4に示す如く、値をドラックアンドドロップ又はコピーアンドペーストなどの従来の転記操作を行いながら、背後で項目定義情報40を記録する。
【0050】
これに対して従来は、依頼の都度に既存の帳票10から転記を行うか、帳票間のマッピングを行ってからデータを転送していた。
【0051】
新規の依頼帳票60への項目定義情報40の登録のイメージを
図5に示す。既存帳票10の表示画面からの転記による帳票作成の背後で、帳票の項目定義情報40を複写する。ここで、元データ項目を直接紐づけるのではなく、作業者が理解する既存帳票10、10’を介在させる。これにより実担当者の知見を作業の中で定義化する。
【0052】
図5は、同一帳票、同一配置でも条件(
図5は提出先)によって項目が異なる例を示した図であり、
図5の上段の提出先Aへの新規帳票Aでは、登録済既存帳票Xの配置x1の値v1が新規帳票Aの配置a1に値v1として入力され、登録済既存帳票Xの配置x1の項目f1が新規帳票Aの配置a1の項目f1に紐づけられ、登録済既存帳票Xの配置x1の条件c1が新規帳票Aの配置a1の条件c1に紐づけられる。
【0053】
一方、
図5の上段と提出先が違う
図5の下段の提出先Bへの新規帳票Aでは、登録済既存帳票Yの配置y2の値v2が新規帳票Aの配置a1に値v2として入力され、登録済既存帳票Yの配置y2の項目f2が新規帳票Aの配置a1の項目f2に紐づけられ、登録済既存帳票Yの配置y2の条件c2が新規帳票Aの配置a1の条件c2に紐づけられる。
【0054】
既に定義済みの既存帳票10からの転記によって項目定義情報40を依頼帳票60に紐づける具体例を
図6に示す。既存登録は矢印A、転記操作は矢印B、新規登録は矢印Cで示す。
【0055】
依頼帳票60の項目ごとに介在させる既存帳票10を変えることができる。ここで、配置同士のマッピングはせず、既存帳票10に紐づく項目と条件情報30を依頼帳票60の配置に割り当てる。対象が存在する限り、既存帳票10を特定する必要が無く、帳票の独立性を維持できる。適宜切換えて利用可能である。
【0056】
登録された項目定義情報40を元に対象帳票の自動作成を行う具体例を
図7に示す。ここで、「条件」は「項目」の値を対象の「提出先」「帳票」の「配置」に入力できる条件情報30を示す。条件情報30が合致するものが既存帳票10にない場合は、新たに「項目」の登録を行う。その条件情報30に該当する「項目」も既存にない場合は、新規に「項目」を作成して割り当てる。この時、同時に設定する「条件」の値は編集可能である。そして、作成時に実体が格納されている「項目」の値を取得する。
【0057】
ここで、元情報は、v1、v2、… → v1’、v2’、…のように都度更新される。
【0058】
前記項目定義情報40の条件情報30とは、「項目」の値を対象の「帳票」の「配置」入力できる条件を示す。要求される帳票およびその付帯情報と「条件」の合致によって「項目」の適用を判断する。条件情報30は、アルゴリズム、統計、機械学習、あるいは操作者の判断などの手段によって定めることができる。
【0059】
例えば、選択する「項目」が、必要な詳細度合い、提出する帳票の用途、相手方に開示できるレベルに依存すると考えられる場合は、
図8に示す如く、それらを条件情報30として設定する。
【0060】
条件情報30の例としては、詳細度(1~5)、用途分類(事前、判定、開発、製造)、開示度(1~5)等が考えられる。
【0061】
履歴で用いられた値は遡って変更しないが、項目定義情報40において格納する条件30の値は、統計、機械学習、あるいは操作者の判断などの手段によって設定あるいは編集することができる。条件情報30の定義とその値の一方あるいは両方を機械学習などによって定めてもよい。
【0062】
項目定義情報40の履歴に基づいて値を得る方法では、提出先と帳票が同一でも、値の取得元が複数存在する場合がある。この場合には、
図9に例示する如く、処理や基準によって求められた、もっともらしさの高い条件情報30に紐づく「項目」の値を取得する。
【0063】
判断例としては、平均的な条件に最も近い、最近の履歴、統計で頻度が高い、機械学習で最も高い重み付けである、・・・等がある。
【0064】
処理の履歴やアルゴリズム、統計、機械学習、あるいは操作者の判断によって、もっともらしさの高い条件情報30に対応する項目を選択する具体例を
図10に示す。
【0065】
条件情報30の「条件」が合致しない場合に、履歴をもとに指定された条件(例えば詳細度、用途分類、開示度)に対して、例えば距離が近い(類似度の高い)順に候補を提示する具体例を
図11に示す。
【0066】
図12に、帳票の表現(項目の用途)に近い項目名称を付与して、項目の検索および判断が容易となるよう、帳票に直接結びつける項目(帳票配置への連携)を示す外部項目300と、内容を表現する項目名称を付与して、項目値の計算・更新および確認を容易とするためのデータを保持する項目(外部項目連携)を示す内部項目400でデータを分ける基本的な構成例を示す。ここで、外部項目300は、データベースとして帳票の提出先から参照可能とすることができ、値の実体は内部項目400から取得する。
【0067】
一方、内部項目400は、帳票の提出が求められる社内からの元情報の更新を反映し、外部項目300で必要となるデータを予め用意しておく。
【0068】
ここで、外部項目300を設けるのは、内部項目400が同じでも転記時点で既存と同一か判断できない場合、後から変更したい場合などのために自由度を備えるためである。外部項目300を設ければ、提出先向けデータベースを外部項目300だけで構成できる。外部項目300が同じであれば、帳票間で同一の内容である。
【0069】
一方、内部項目400が同じであれば、内部で保持するデータが同一である。
【0070】
外部項目300が既存と同一とみなせない場合は、新規に外部項目を作成する。該当する内部項目400(元情報)がない場合は、新規に内部項目を作成する。
【0071】
図13に示す如く、履歴で外部項目に結び付く複数の内部項目の中から選択を可能とする。また、帳票の配置に結び付く複数の外部項目からの選択を可能とする。
【0072】
ここで、項目定義情報40は、帳票上の配置に対して、割り当て項目(外部項目)、および元データの格納場所(内部項目)と、項目が適用できる条件(条件情報)である。
【0073】
外部項目300と内部項目400の紐づけの変更の具体例を
図14に示す。
【0074】
本発明の適用対象は、特定の分野に限定されず、様々な分野の帳票作成に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
10…既存帳票
20…項目値
30…条件情報
40…項目定義情報
50…記入済帳票
60…依頼帳票(新規帳票)
70…転記済帳票
80…登録済依頼帳票
100…帳票保存部
120…項目値保存部
130…項目定義格納部
140…帳票更新部
150…帳票表示部
160…転記操作部
170…複写格納部
180…帳票出力部
190…新規項目登録部
200…条件編集部
300…外部項目
400…内部項目
【要約】
【課題】所定の帳票形式の電子ファイルに入力が求められる際の作業を支援あるいは自動化する。
【解決手段】担当者が従来から行っている、入力の元情報が表示された帳票/画面(記入済帳票50)の項目値20を格納先である帳票(依頼帳票60)の入力位置に転記する作業を装置上で疑似的に実現しながら、装置内で格納先帳票の項目に実際の値を格納するとともに、記入済帳票50の項目に既に紐づけられている元データ項目とその項目が適用可能な条件が記述された情報を依頼帳票60の項目に対して複写する。これによって、以降は、同じ帳票に対して適用条件に合致した場合に、本帳票処理方式によって紐づけられた項目の値を自動入力することができる。適用条件が合致しない場合は、条件の類似度によって入力候補を示して入力を支援する。
【選択図】
図1