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特許7579925搬送装置、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】搬送装置、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20241031BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/68 A
H01L21/56 B
B65G49/07 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023117335
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】長野 大輝
(72)【発明者】
【氏名】中尾 聡
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-176246(JP,A)
【文献】特開2001-135701(JP,A)
【文献】特開平09-189891(JP,A)
【文献】特開2015-208804(JP,A)
【文献】特開2023-062616(JP,A)
【文献】特開2003-273187(JP,A)
【文献】特開2015-076507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/677
H01L 21/56
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物を搬送する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構と
前記成形対象物を保持する保持プレートとを備え、
前記位置決め機構は、
前記成形対象物を保持する保持爪と、
前記保持爪を移動させる保持爪移動部とを備え、
前記保持爪移動部は、前記保持爪を、前記成形対象物を保持する保持位置と、当該保持位置から退避した退避位置との間で移動させるものであり、
前記保持位置にある前記保持爪が、前記外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めし、
前記保持プレートは、前記保持位置にある前記保持爪との間で前記成形対象物を挟んで保持し、
前記保持爪は、前記保持プレートの4辺を取り囲むように設けられており、前記保持位置において前記保持プレートに接触する、搬送装置。
【請求項2】
成形対象物を搬送する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構と、
前記成形対象物に対応して平面視において矩形状をなし、前記成形対象物を保持する保持プレートと、
前記保持プレートを移動させるプレート移動部とを備え、
前記位置決め機構は、
前記成形対象物を保持する保持爪と、
前記保持爪を移動させる保持爪移動部とを備え、
前記保持爪移動部は、前記保持爪を、前記成形対象物を保持する保持位置と、当該保持位置から退避した退避位置との間で移動させるものであり、
前記保持位置にある前記保持爪が、前記外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めし、
前記保持プレートは、前記保持位置にある前記保持爪との間で前記成形対象物を挟んで保持し、
前記プレート移動部は、前記位置決め機構により位置決めされた前記成形対象物に接触する接触位置と、前記成形対象物から離れた離隔位置との間で、前記保持プレートを移動させる、搬送装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記プレート移動部により前記保持プレートが前記離隔位置とされた状態で、前記位置決め機構により前記成形対象物を位置決めし、前記位置決め機構により前記成形対象物が位置決めされた後に、前記プレート移動部により前記保持プレートを前記接触位置とする、請求項に記載の搬送装置。
【請求項4】
成形対象物を搬送する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備え、
前記成形対象物は、一面に電子部品が固定されたものであり、
前記搬送装置は、前記電子部品が上側にある第1状態で載置されている前記成形対象物を保持し、前記電子部品が下側にある第2状態として、移載ステージに渡すものである、搬送装置。
【請求項5】
成形対象物を搬送する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備え、
前記保持ユニットは、成形前の前記成形対象物及び成形後の前記成形対象物それぞれを前記ベース部材に対して共通の場所で保持する、搬送装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、
前記成形対象物を保持する保持爪と、
前記保持爪を移動させる保持爪移動部とを備え、
前記保持爪移動部は、前記保持爪を、前記成形対象物を保持する保持位置と、当該保持位置から退避した退避位置との間で移動させるものであり、
前記保持位置にある前記保持爪が、前記外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする、請求項4又は5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記成形対象物は、平面視において矩形状をなすものであり、
前記保持爪は、前記成形対象物の4辺それぞれに対応して設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記保持爪移動部は、
前記4辺それぞれに対応して設けられた前記保持爪を連動させる連動機構と、
前記連動機構を介して前記4辺それぞれに対応して設けられた前記保持爪を移動させる保持爪駆動部とを備える、請求項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記保持位置にある前記保持爪との間で前記成形対象物を挟んで保持する保持プレートをさらに備える、請求項に記載の搬送装置。
【請求項10】
成形対象物を搬送する搬送装置を有する樹脂成形装置であって、
前記搬送装置は、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備える、樹脂成形装置
【請求項11】
成形前の前記成形対象物を供給する成形対象物供給部と、
成形後の前記成形対象物を収納する成形対象物収納部と、
成形前の前記成形対象物が一時的に設置される第1移載ステージと、
成形後の前記成形対象物が一時的に設置される第2移載ステージと、
前記各移載ステージと成形型との間で成形前の前記成形対象物及び成形後の前記成形対象物の受け渡しを行う受け渡し機構とを備え、
前記搬送装置は、前記成形対象物供給部及び前記第1移載ステージの間で成形前の前記成形対象物の受け渡しを行い、前記成形対象物収納部及び前記第2移載ステージの間で成形後の前記成形対象物の受け渡しを行う、請求項10に記載の樹脂成形装置。
【請求項12】
前記受け渡し機構は、
成形前の前記成形対象物を搬送する成形前搬送部と、
成形後の前記成形対象物を搬送する成形後搬送部とを有する、請求項11に記載の樹脂成形装置。
【請求項13】
前記成形対象物は、一面に電子部品が固定されており、
前記成形対象物供給部は、前記電子部品が上側にある第1状態で成形前の前記成形対象物を供給し、
前記第1移載ステージでは、前記電子部品が下側にある第2状態で成形前の前記成形対象物が設置される、請求項11又は12に記載の樹脂成形装置。
【請求項14】
成形対象物に対して樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、
送装置により前記成形対象物を搬送する搬送工程と、
前記成形対象物に樹脂成形を行う樹脂成形工程とを備え、
前記搬送装置は、
前記成形対象物を保持する保持ユニットと、
前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、
前記保持ユニットは、
前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、
前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備える、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置として、特許文献1に示すものが考えられている。この樹脂モールド装置は、ロボットハンドを備えた搬送ロボットを用いて、ワークの供給マガジンからの取出し、あるいは、成形品の収納マガジンへの収納等を行うものである。ここで、ロボットハンドには、多関節ロボットの先端にワークの形状に応じたフォーク状の部材に吸着機構を備えた機構が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-145548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ロボットハンドに対してワークを位置決めする構成については開示されていない。ロボットハンドに対するワークの位置決めが不十分であると、ロボットハンドが置くワークの位置が不適切となるため、エラーが通知され、樹脂モールド装置の動作が停止してしまう。エラーを通知しない構成とした場合には、ロボットハンドがワークを不適切な位置に配置してしまい、その後の処理で不具合が生じ、結果として、外観不良等の樹脂成形品の不良が生じてしまう。
【0005】
なお、ロボットハンドに位置決めピンを設け、ワークに形成された位置決め用孔に位置決めピンを差し込んで位置決めすることも考えられるが、ワークの反りや位置ずれ等により、位置決めピンが位置決め用孔に差し込めない場合がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、位置決めピンを用いることなく、成形対象物を位置決めして保持することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る搬送装置は、成形対象物を搬送する搬送装置であって、前記成形対象物を保持する保持ユニットと、前記保持ユニットを移動させる多関節のアーム部とを備え、前記保持ユニットは、前記アーム部の先端部に接続されるベース部材と、前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、位置決めピンを用いることなく、成形対象物を位置決めして保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態の樹脂成形装置の構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の樹脂成形モジュールの構成を示す模式図である。
図3】同実施形態の基板供給部及び成形品収納部の構成を模式的に示すとともに、それらと各移載ステージとの間の成形前基板の搬送動作及び樹脂成形品の搬送動作を示す図である。
図4】同実施形態の第1搬送機構において保持爪が保持位置にある状態を模式的に示す長手方向に直交する断面図である。
図5】同実施形態の第1搬送機構において保持爪が退避位置にある状態を模式的に示す長手方向に直交する断面図である。
図6】同実施形態の第1搬送機構において保持プレートが離隔位置にある状態を模式的に示す短手方向に直交する断面図である。
図7】同実施形態の第1搬送機構において保持プレートが接触位置にある状態を模式的に示す短手方向に直交する断面図である。
図8】同実施形態の保持爪移動部における連動機構の構成を示す模式図である。
図9】同実施形態の保持ユニットによる成形前基板の位置決め・保持動作及び搬送動作を示す模式図である。
図10】同実施形態の保持ユニットによる樹脂成形品の位置決め・保持動作及び搬送動作を示す模式図である。
図11】変形実施形態の基板供給・収納モジュールの構成(2段構成)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0011】
本発明に係る技術1の搬送装置は、成形対象物を搬送する搬送装置であって、前記成形対象物を保持する保持ユニットと、前記保持ユニットを移動させる多関節アーム部とを備え、前記保持ユニットは、前記多関節アーム部の先端部に接続されるベース部材と、前記成形対象物の外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めする位置決め機構とを備えることを特徴とする。
この搬送装置であれば、成形対象物の外周端面に接触してベース部材に対して成形対象物を位置決めするので、位置決めピンを用いることなく、成形対象物を位置決めして保持することができる。その結果、成形対象物を適切な位置に搬送することができ、その後の処理で成形対象物の位置ずれによるエラーの通知を回避して、樹脂成形の動作が停止することを防止できる。また、エラーを通知しない構成とした場合には、成形対象物の位置ずれによって外観不良等の樹脂成形品の不良が発生することを防止することができる。
【0012】
本発明に係る技術2の搬送装置は、上記の技術1の構成に加えて、前記位置決め機構は、前記成形対象物を保持する保持爪と、前記保持爪を移動させる保持爪移動部とを備え、前記保持爪移動部は、前記保持爪を、前記成形対象物を保持する保持位置と、当該保持位置から退避した退避位置との間で移動させるものであり、前記保持位置にある前記保持爪が、前記外周端面に接触して前記ベース部材に対して前記成形対象物を位置決めすることが望ましい。
この構成であれば、保持爪によってベース部材に対して成形対象物を位置決めするので、成形対象物を位置決めしながらも、同時に、その位置決めした成形対象物を保持することができる。
【0013】
本発明に係る技術3の搬送装置は、上記の技術2の構成に加えて、前記成形対象物は、平面視において矩形状をなすものであり、前記保持爪は、前記成形対象物の4辺それぞれに対応して設けられていることが望ましい。
この構成であれば、平面視において矩形状をなす成形対象物を確実に保持しつつ、成形対象物をベース部材に対して位置決めすることができる。
【0014】
本発明に係る技術4の搬送装置は、上記の技術3の構成に加えて、前記保持爪移動部は、前記4辺それぞれに対応して設けられた前記保持爪を連動させる連動機構と、前記連動機構を介して前記4辺それぞれに対応して設けられた前記保持爪を移動させる保持爪駆動部とを備えることが望ましい。
この構成であれば、4辺それぞれに対応して設けられた保持爪により成形前基板を一挙に位置決めすることができる。また、4辺それぞれに対応して設けられた保持爪を共通の保持爪駆動部により移動させることができ、保持ユニットの大型化を回避することができる。
【0015】
本発明に係る技術5の搬送装置は、上記の技術2乃至4の何れか1つの構成に加えて、前記保持位置にある前記保持爪との間で前記成形対象物を挟んで保持する保持プレートをさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、保持爪により位置決めされた成形対象物を保持プレート及び保持爪で挟んでいるので、確実に成形対象物を保持することができ、搬送時に成形対象物がずれることを防止できる。
【0016】
本発明に係る技術6の搬送装置は、上記の技術5の構成に加えて、前記保持プレートは、前記成形対象物に対応して平面視において矩形状をなすものであり、前記保持爪は、前記保持プレートの4辺を取り囲むように設けられており、前記保持位置において前記保持プレートに接触することが望ましい。
この構成であれば、保持爪が保持位置において保持プレートに接触するので、物理的に保持爪を保持位置に留めることができる。その結果、ベース部材に対して成形対象物を確実に位置決めすることができる。
【0017】
本発明に係る技術7の搬送装置は、上記の技術5又は6の構成に加えて、前記位置決め機構により位置決めされた前記成形対象物に接触する接触位置と、前記成形対象物から離れた離隔位置との間で、前記保持プレートを移動させるプレート移動部をさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、位置決め機構による位置決め動作と保持プレートによる保持動作とを別々に行うことができる。その結果、保持プレートが位置決め機構による位置決め動作を邪魔しないようにできる。
【0018】
具体的に本発明に係る技術8の搬送装置は、上記の技術7の構成に加えて、前記プレート移動部により前記保持プレートが前記離隔位置とされた状態で、前記位置決め機構により前記成形対象物を位置決めし、前記位置決め機構により前記成形対象物が位置決めされた後に、前記プレート移動部により前記保持プレートを前記接触位置とすることが望ましい。
この構成であれば、保持プレートが位置決め機構による成形対象物の位置決めを邪魔することがなく、位置決めされた成形対象物を保持プレートにより確実に保持することができる。
【0019】
本発明に係る技術9の搬送装置は、上記の技術1乃至8の何れか1つの構成に加えて、一面に電子部品が固定された前記成形対象物を搬送することができる。
ここで、樹脂成形装置では、前記電子部品が上側にある第1状態(チップアップ状態)で成形対象物が収容されており、前記電子部品が下側にある第2状態(チップダウン状態)で成形対象物が移載ステージや成形型等に設置される構成のものがある。この樹脂成形装置に用いるためには、本技術9の搬送装置は、前記電子部品が上側にある第1状態で載置されている前記成形対象物を保持し、前記電子部品が下側にある第2状態として、移載ステージに渡すものであることが望ましい。
この構成であれば、成形前の成形対象物を第1状態で収容することができ、成形前の成形対象物において電子部品とは反対側の裏面(成形型に保持される面)に塵埃が付着することを防止できる。その結果、樹脂成形品の外観不良を防止できる。
【0020】
本発明に係る技術10の搬送装置では、前記保持ユニットは、成形前の前記成形対象物及び成形後の前記成形対象物それぞれを前記ベース部材に対して共通の場所で保持することができる。本発明に係る技術10では、保持ユニットに成形対象物を位置決めするための位置決めピンが設けられていない構成であり、成形前の成形対象物と成形後の成形対象物とを区別なく保持することができる。
この構成であれば、成形前の成形対象物及び成形後の成形対象物それぞれに対して搬送機構を設ける必要がなく、搬送機構の設置スペースを小型化することができ、樹脂成形装置の設置スペースを小型化することができる。
【0021】
また、上記の技術1乃至10の何れか1つの搬送装置を有する樹脂成形装置も本発明の一態様である。
【0022】
本発明に係る技術12の樹脂成形装置は、上記の技術11に加えて、成形前の前記成形対象物を供給する成形対象物供給部と、成形後の前記成形対象物を収納する成形対象物収納部と、成形前の前記成形対象物が一時的に設置される第1移載ステージと、成形後の前記成形対象物が一時的に設置される第2移載ステージと、前記各移載ステージと成形型との間で成形前の前記成形対象物及び成形後の前記成形対象物の受け渡しを行う受け渡し機構とを備え、前記搬送装置は、前記成形対象物供給部及び前記第1移載ステージの間で成形前の前記成形対象物の受け渡しを行い、前記成形対象物収納部及び前記第2移載ステージの間で成形後の前記成形対象物の受け渡しを行うことが望ましい。
この構成であれば、受け渡し機構により成形対象物を各移載ステージ及び成形型の間で受け渡している間に、成形対象物供給部から成形前の成形対象物を第1移載ステージに搬送し、第2移載ステージから成形後の成形対象物を成形対象物収納部に収納することができる。その結果、成形対象物供給部から成形型に成形前の成形対象物を搬送し、成形型から成形後の成形対象物を成形対象物収納部に収容するまでの時間を短くすることができる。
【0023】
本発明に係る技術13の樹脂成形装置は、上記技術12の構成に加えて、前記受け渡し機構は、成形前の前記成形対象物を搬送する成形前搬送部と、成形後の前記成形対象物を搬送する成形後搬送部とを有することが望ましい。
この構成であれば、共通の受け渡し機構により、成形前の成形対象物及び成形後の成形対象物を搬送することができる。その結果、受け渡し機構が各移載ステージと成形型との間を一往復する間に、成形前の成形対象物の受け渡しと成形後の成形対象物の受け渡しを行うことができ、それらの搬送に掛かる時間を短くすることができる。
【0024】
本発明に係る技術14の樹脂成形装置は、上記の技術12又は13の構成に加えて、前記成形対象物は、一面に電子部品が固定されており、前記成形対象物供給部は、前記電子部品が上側にある第1状態(チップアップ状態)で成形前の前記成形対象物を供給し、前記第1移載ステージでは、前記電子部品が下側にある第2状態(チップダウン状態)で成形前の前記成形対象物が設置されることが望ましい。
この構成であれば、搬送装置の多関節アーム部によって保持ユニットを表裏反転させることで、成形対象物供給部により第1状態で供給される成形前の成形対象物を第2状態として第1移載ステージに搬送することができる。つまり、搬送装置により搬送される前は、成形前の成形対象物を第1状態にできるので、成形前の成形対象物において電子部品とは反対側の裏面(成形型に保持される面)に塵埃が付着することを防止できる。その結果、樹脂成形品の外観不良を防止できる。
【0025】
その上、成形対象物に対して樹脂成形する樹脂成形品の製造方法であって、上記の技術1乃至10の何れか一項に記載の搬送装置により前記成形対象物を搬送する搬送工程と、前記成形対象物に樹脂成形を行う樹脂成形工程とを備える樹脂成形品の製造方法も、本発明の一態様である。
【0026】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0027】
<樹脂成形装置の全体構成>
第1実施形態の樹脂成形装置100は、一面に電子部品Wxが固定された成形対象物である基板Wを、樹脂材料Jを用いた樹脂成形により樹脂封止して樹脂成形品Pを製造するものである。なお、以下では、樹脂成形前の成形対象物(基板W)を「成形前基板W」といい、樹脂成形後の成形対象物(基板W)を「成形済基板W」又は「樹脂成形品P」という。
【0028】
ここで、基板Wとしては、平面視において矩形状をなすものであり、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、リードフレーム、シリコンウエハ、ガラスウエハ等を挙げることができる。その他、基板Wは、配線が施されていないキャリアであってもよい。
【0029】
また、樹脂材料Jとしては、例えば粉粒体状樹脂(顆粒状樹脂を含む)、液状樹脂等を挙げることができる。また、電子部品Wxとしては、例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子、又はこれら電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された形態の電子部品を挙げることができる。
【0030】
この樹脂成形装置100は、図1に示すように、基板供給・収納モジュールAと、2つの樹脂成形モジュールBと、樹脂材料供給モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。なお、各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれの構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0031】
基板供給・収納モジュールAは、図1に示すように、成形前基板Wを供給する基板供給部2と、成形済基板W(樹脂成形品P)を収容する成形品収納部3と、成形前基板Wが一時的に設置される第1移載ステージ4と、樹脂成形品Pが一時的に設置される第2移載ステージ5と、成形前基板Wを基板供給部2から第1移載ステージ4に搬送し、樹脂成形品Pを第2移載ステージ5から成形品収納部3に搬送する搬送装置である第1搬送機構6と、各移載ステージ4、5と樹脂成形モジュールBの成形型10、11との間で成形前基板W及び樹脂成形品Pの搬送すなわち受け渡しを行う受け渡し機構である第2搬送機構7とを備えている。なお、基板供給・収納モジュールAの各部の具体的構成は、後述する。
【0032】
各樹脂成形モジュールBは、図2に示すように、基板Wを保持する第1型である上型10と、キャビティ11Cが形成された第2型である下型11と、上型10及び下型11を型締めする型締め機構12とを有する。上型10は、上部固定盤(不図示)に上プラテン101を介して設けられている。下型11は、型締め機構12により昇降する可動盤102に下プラテン103を介して設けられている。
【0033】
ここで、上型10は、基板Wの裏面(電子部品Wxが固定されていない面)を吸着して保持するものである。上型10の下面には吸引口(不図示)が形成されており、上型10の内部には吸引口に繋がる吸引流路(不図示)が形成されている。この吸引流路は外部の吸引装置(不図示)に接続されている。
【0034】
また、下型11は、基板Wに固定された電子部品Wx及び樹脂材料Jを収容するキャビティ11Cを有している。具体的に下型11は、キャビティ11Cの底面を形成する底面部材111と、当該底面部材111を取り囲む側面部材112とを有している。この底面部材111の上面と側面部材112の内周面によってキャビティ11Cが形成される。また、側面部材112は、底面部材111に対して相対的に上下移動可能に設けられている。具体的に側面部材112は、下型11のベースプレート113に対してコイルばね等の複数の弾性部材114によって支持されている。さらに、下型11は、樹脂成形品Pの離型性を向上させるために離型フィルムFで覆われる。また、側面部材112の上面に、空気やガスを排出するためエアベント(不図示)を設けても良い。その他、上型10及び下型11の周囲には、樹脂成形時に成形型10、11の周囲を真空引きするための側壁部及びOリング等のシール部材等からなる密閉構造13が設けられている。
【0035】
本実施形態の型締め機構12は、サーボモータ等の回転を直線移動に変換するボールねじ機構を用いて可動プラテンを昇降させる直動方式のものである。なお、型締め機構12としては、その他、サーボモータ等の動力源を例えばトグルリンクなどのリンク機構を用いて可動プラテンに伝達するリンク方式のもの等であっても良い。
【0036】
樹脂材料供給モジュールCは、図1に示すように、移動テーブル14と、移動テーブル14上に載置される樹脂材料収容部15と、樹脂材料収容部15に樹脂材料Jを計量して投入する樹脂材料投入機構16と、樹脂材料収容部15を搬送して下型11のキャビティ11Cに樹脂材料Jを供給する樹脂材料搬送機構17とを有する。ここで、樹脂材料収容部15は、離型フィルムFを保持する保持枠を用いて構成されており、樹脂材料投入機構16により保持枠に保持された離型フィルムF上に樹脂材料Jが投入される。
【0037】
移動テーブル14は、樹脂材料供給モジュールC内において、樹脂材料投入機構16による樹脂投入位置と樹脂材料搬送機構17に樹脂材料収容部15を渡すための搬送位置との間で移動する。
【0038】
また、樹脂材料搬送機構17は、樹脂材料Jを収容した樹脂材料収容部15を樹脂材料供給モジュールCから樹脂成形モジュールBに搬送し、樹脂成形モジュールBにおいて離型フィルムF及び樹脂材料Jを成形型10、11に供給する。その後、樹脂材料搬送機構17は、樹脂材料Jを供給した後の樹脂材料収容部15を樹脂成形モジュールBから樹脂材料供給モジュールCに搬送する。本実施形態の樹脂材料搬送機構17は、樹脂材料Jを収容した樹脂材料収容部15を搬送する樹脂材料搬送部171と、下型11のキャビティ11Cから使用済みの離型フィルムFを回収するフィルム回収部172とを有している。
【0039】
<基板供給・収納モジュールAの各部の具体的構成>
基板供給・収納モジュールAは、図1に示すように、基板供給部2、成形品収納部3、第1移載ステージ4、第2移載ステージ5、第1搬送機構6及び第2搬送機構7を備えている。
【0040】
基板供給部2は、図1及び図3に示すように、成形前基板Wが収納された収納ボックス21と、収納ボックス21から成形前基板Wを取り出す取り出し機構22とを備えている。収納ボックス21は、複数の成形前基板Wを上下多段に収納するものである。また、収納ボックス21は、成形前基板Wを、電子部品Wxが上側にある第1状態(所謂チップアップ状態)で収納している。収納ボックス21は、樹脂成形装置100から取り出し可能に構成されている。取り出し機構22は、収納ボックス21から1つの成形前基板Wを例えば挟んで取り出し、基板供給部2の成形前基板ステージ23に成形前基板Wを位置させる。なお、収納ボックス21と成形前基板ステージ23の間には、ガイドレール24が設けられている。
【0041】
なお、成形前基板ステージ23は、ガイドレール24をスライドする構成であってもよい。この場合、成形前基板ステージ23が収納ボックス21近傍に位置する状態で、取出し機構22は、収納ボックス21から成形前基板Wを取り出し、取り出した成形前基板Wを成形前基板ステージ23に配置する。成形前基板ステージ23では、例えば、成形前基板Wを吸着して保持する。その後、成形前基板ステージ23は、ガイドレール24に沿って収納ボックス21から離れる方向に移動する。その他、基板供給部2には、例えば、成形前基板W上に電子部品Wxが適切に配置されているか否かを確認する確認機構(不図示)が設けられている。この構成では、例えば、成形前基板ステージ23がガイドレール24を移動している間に、確認機構は、上方から、成形前基板Wに電子部品Wxが適切に配置されているか否かを確認する。確認機構は、レーザ変位計又はカメラ等である。
【0042】
成形品収納部3は、図1及び図3に示すように、樹脂成形品Pが収納される収納ボックス31と、当該収納ボックス31に樹脂成形品Pを収納する収納機構32とを備えている。収納ボックス31は、複数の樹脂成形品Pを上下多段に収納するものである。また、収納ボックス31は、樹脂成形品Pを、樹脂封止された電子部品Wxが上側にある第1状態(所謂チップアップ状態)で収納している。収納ボックス31は、樹脂成形装置100から取り出し可能に構成されている。収納機構32は、成形品収納部3の樹脂成形品ステージ33にある樹脂成形品Pを押すことによって収納ボックス31に収納する。なお、収納ボックス31と樹脂成形品ステージ33との間には、ガイドレール34が設けられている。また、収納機構32は、樹脂成形品Pを挟んで収納ボックス31の近傍まで移動させてもよい。この場合においては、樹脂成形品Pが収納ボックス31近傍まで移動した後、収納機構32等により樹脂成形品Pを押して収納ボックス31に収納する。
【0043】
ここで、基板供給部2及び成形品収納部3は、図1では便宜上、前後方向に並んで配置されている状態を示しているが、樹脂成形装置100(基板供給・収納モジュールA)の設置スペースを小型化するために、図3に示すように、本実施形態の基板供給部2及び成形品収納部3は、上下に配置されている。なお、基板供給部2及び成形品収納部3は、どちらが上に配置されても良い。また、基板供給部2及び成形品収納部3を横並びに配置しても良い。
【0044】
第1移載ステージ4は、図1及び図3に示すように、基板供給部2により供給された成形前基板Wが一時的に設置されるものであり、第2搬送機構7に成形前基板Wを渡すために用いられる。ここで、第1移載ステージ4には、成形前基板Wが、電子部品Wxが下側にある第2状態(所謂チップダウン状態)で設置される。第1移載ステージ4は、第2状態の成形前基板Wの端部を引っ掛けて保持する保持爪(不図示)を有しており、当該保持爪を開閉させることにより、第2状態の成形前基板Wを保持する。なお、第1移載ステージ4には、成形前基板Wに形成された位置決め用孔に差し込まれる位置決めピン41が設けられていても良い(図3参照)。
【0045】
第2移載ステージ5は、図1及び図3に示すように、樹脂成形された樹脂成形品Pが一時的に載置されるものであり、第2搬送機構7から樹脂成形品Pを受け取るものである。ここで、第2移載ステージ5には、樹脂成形品Pが、樹脂封止された電子部品Wxが下側にある第2状態(所謂チップダウン状態)で設置される。第2移載ステージ5は、第2状態の樹脂成形品Pの端部を引っ掛けて保持する保持爪(不図示)を有しており、当該保持爪を開閉させることにより、第2状態の樹脂成形品Pを保持する。
【0046】
なお、第1移載ステージ4及び第2移載ステージ5は、図1及び図3に示すように、左右方向に横並びに配置されており、また、それらの高さ位置は同じ高さとされている。
【0047】
第1搬送機構6は、図1に示すように、基板供給部2及び第1移載ステージ4の間で成形前基板Wを受け渡し、第2移載ステージ5及び成形品収納部3の間で樹脂成形品Pを受け渡すものである。この第1搬送機構6は、平面視において、基板供給部2及び成形品収納部3と、各移載ステージ4、5との間に設けられている。
【0048】
具体的に第1搬送機構6は、成形前基板W及び樹脂成形品Pをそれぞれ保持する保持ユニット61と、当該保持ユニット61を移動させる多関節アーム部62とを有している。
【0049】
多関節アーム部62は、例えば垂直多関節型のロボット(例えば6つの関節を有する多関節ロボット)である。多関節アーム部62は、保持ユニット61の位置及び姿勢を制御することができる。具体的に多関節アーム部62は、成形前基板W又は樹脂成形品Pを保持した保持ユニット61を表裏反転させることができる。また、多関節アーム部62は、保持ユニット61を、基板供給部2と第1移載ステージ4との間、及び、成形品収納部3と第2移載ステージ5との間で移動させるものである。なお、第1搬送機構6の具体的構成は、後述する。
【0050】
第2搬送機構7は、図1に示すように、基板供給・収納モジュールAと樹脂成形モジュールBとの間を行き来するものであり、基板供給・収納モジュールAと樹脂成形モジュールBとに亘って設けられたレール(不図示)に沿って移動する。この第2搬送機構7は、第1移載ステージ4に一時的に設置された成形前基板Wを受け取って、樹脂成形モジュールBの上型10に搬送する。また、成形前基板Wの樹脂成形後に、第2搬送機構7は、樹脂成形モジュールBの上型10から樹脂成形品Pを受け取って、第2移載ステージ5に搬送する。
【0051】
本実施形態の第2搬送機構7は、図1及び図3に示すように、成形前基板Wを搬送する基板搬送部71と、樹脂成形品Pを搬送する成形品搬送部72とを有している。なお、基板搬送部71には、成形前基板Wに形成された位置決め用孔に差し込まれる位置決めピン711が設けられていても良い(図3参照)。そして、第2搬送機構7は、基板搬送部71及び成形品搬送部72が同時に移動するように構成されている。基板搬送部71及び成形品搬送部72は、第1移載ステージ4及び第2移載ステージ5の配置関係に対応して設けられている。本実施形態では、第1移載ステージ4及び第2移載ステージ5が、左右方向に横並びで配置されていることから、基板搬送部71及び成形品搬送部72も、それに対応して、左右方向に横並びに配置されている。また、基板搬送部71及び成形品搬送部72の高さ位置も同じ高さである。
【0052】
この構成により、第2搬送機構7が基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBの間を一往復する間に、成形前基板Wを第1移載ステージ4から上型10に搬送する動作と、樹脂成形品Pを上型10から第2移載ステージ5に搬送する動作を行うことができる。
【0053】
<第1搬送機構6の具体的構成>
そして、本実施形態の第1搬送機構6は、成形前基板W及び樹脂成形品Pをそれぞれ位置決めして保持できるように構成されている。
【0054】
具体的に保持ユニット61は、図4図8に示すように、多関節アーム部62の先端部621に接続されるベース部材63と、成形前基板W又は樹脂成形品Pの外周端面Waに接触してベース部材63に対して成形前基板W又は樹脂成形品Pを位置決めする位置決め機構64とを備えている。なお、図4図6及び図7では、成形前基板Wを保持した例を示しているが、樹脂成形品Pも同様に保持することができる。
【0055】
ベース部材63は、成形前基板Wに対応して平面視において矩形状をなすものである(図8参照)。このベース部材63の長手辺部側が多関節アーム部62の先端部621に接続される(図4及び図5参照)。なお、多関節アーム部62の先端部621は、図4の左右方向に延びる軸周りに回転可能に構成されており、これにより、保持ユニット61を表裏反転することができる。
【0056】
本実施形態の位置決め機構64は、成形前基板W又は樹脂成形品Pを位置決めするだけでなく、それらを保持するものであり、図4図8に示すように、成形前基板W又は樹脂成形品Pを保持する保持爪641と、保持爪641を移動させる保持爪移動部642とを備えている。
【0057】
保持爪641は、ベース部材63に対して共通の場所で成形前基板W及び樹脂成形品Pの端部を引っ掛けて保持するものであり、成形前基板W及び樹脂成形品Pの4辺それぞれに対応して設けられている。各保持爪641は、ベース部材63に回転可能に設けられており、成形前基板W又は樹脂成形品Pを保持する保持位置R(図4参照)と、保持位置Rから退避した退避位置Q(図5参照)との間で回転可能とされている。
【0058】
そして、各保持爪641は、保持位置Rにおいて、その自由端部が成形前基板W又は樹脂成形品Pの端部に引っ掛かることにより、成形前基板W及び樹脂成形品Pそれぞれを保持する。また、各保持爪641は、保持位置Rにおいて、その自由端部の内面が、成形前基板W又は樹脂成形品Pの外周端面Waに接触して、成形前基板W及び樹脂成形品Pそれぞれをベース部材63に対して共通の場所で位置決めする。成形前基板W又は樹脂成形品Pがベース部材63に対して位置決めされることにより、成形前基板W及び樹脂成形品Pが後述する保持プレート65の保持面65aに対しても位置決めされることになる。
【0059】
保持爪移動部642は、保持爪641を、成形前基板W又は樹脂成形品Pを保持する保持位置Rと、当該保持位置Rから退避した退避位置Qとの間で移動させるものである。
【0060】
具体的に保持爪移動部642は、図4図8に示すように、4辺それぞれに対応して設けられた保持爪641を連動させる連動機構642aと、連動機構642aを介して4辺それぞれに対応して設けられた保持爪641を移動させる保持爪駆動部642bを有している。なお、図6図8には、保持爪駆動部642bの図示は省略している。
【0061】
連動機構642aは、4辺それぞれに対応して設けられた保持爪641を連動させて、それら保持爪641を同時に保持位置Rと退避位置Qとで切り替えるものである。具体的に連動機構642aは、特に図8に示すように、各辺に設けられた1又は複数の保持爪641が接続される接続軸642a1と、各辺の接続軸642a1を互いに連結させる連結部642a2とを有している。各接続軸642a1は、ベース部材63に対して各辺に沿った軸周りに回転可能に設けられており、この接続軸642a1が軸周り回転することにより各保持爪641が保持位置R及び退避位置Qの間で移動する。
【0062】
図8に示す例では、互いに対向する長辺部の接続軸642a1が連結部642a2により連結されており、各長辺部の接続軸642a1に1つの短辺部の接続軸642a1が連結部642a2により連結された構成である。長辺部の接続軸642a1同士を連結する連結部642a2としては、例えばリンク機構を用いることができ、長辺部の接続軸642a1及び短辺部の接続軸642a1を連結する連結部642a2としては、例えばユニバーサルジョイントを用いることができる。その他、連動機構642aとしては、歯車機構を用いたものであっても良い。
【0063】
保持爪駆動部642bは、図4及び図5に示すように、連動機構642aにより連結された複数の保持爪641を保持位置R及び退避位置Qの間で移動させるものである。この保持爪駆動部642bは、何れかの辺に設けられた接続軸642a1を回転させるものであり、例えばエアシリンダを用いて構成することができる。
【0064】
さらに、保持ユニット61は、表裏反転した場合であっても、成形前基板W又は樹脂成形品Pを確実に保持するために、図4図7に示すように、成形前基板W又は樹脂成形品Pを保持するための保持面65aを有する保持プレート65をさらに備えている。
【0065】
保持プレート65は、成形前基板Wに対応して平面視において矩形状をなすものである。この保持プレート65は、保持位置Rにある保持爪641との間で成形前基板W又は樹脂成形品Pを挟んで保持する。
【0066】
具体的に保持プレート65は、第1状態の成形前基板Wの電子部品Wx又は第1状態の樹脂成形品Pの樹脂成形部分を収容する収容部651が形成されており、当該収容部651の周囲に、成形前基板W又は樹脂成形品Pの周縁部を保持する保持面65aが形成されている。また、この保持プレート65は、プレート移動部66によってベース部材63に対して昇降移動する。
【0067】
また、保持プレート65は、成形前基板W又は樹脂成形品Pの4辺それぞれに対応して設けられた保持爪641の内側に設けられている。つまり、保持爪641は、保持プレート65の4辺を取り囲むように設けられることになる。そして、保持プレート65は、4辺の保持爪641の内側において昇降移動する。さらに、保持爪641は、保持位置Rにおいて保持プレート65の外周端面に接触して、保持爪641が保持位置Rに物理的に停止するように構成されている。
【0068】
プレート移動部66は、位置決め機構64により位置決めされた成形前基板W又は樹脂成形品Pに保持面65aが接触する接触位置T(図7参照)と、成形前基板W又は樹脂成形品Pから保持面65aが離れた離隔位置U(図6参照)との間で、保持プレート65を移動させるものである。プレート移動部66は、図6及び図7に示すように、保持プレート65を接触位置T及び離隔位置Uの間でガイドするガイド機構661と、保持プレート65を移動させるプレート駆動部662とを有している。ガイド機構661は、ベース部材63に設けられたガイド部661aと、保持プレート65に設けられ、ガイド部661aに沿ってスライドするスライド部661bとを有する。プレート駆動部662は、例えばエアシリンダを用いて構成することができる。
【0069】
ここで、第1搬送機構6の動作について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9では、成形前基板Wを搬送する例を示し、図10では、樹脂成形品Pを搬送する例を示している。
【0070】
第1搬送機構6は、プレート移動部66により保持プレート65が離隔位置Uとされた状態で、位置決め機構64の保持爪641により成形前基板W又は樹脂成形品Pを位置決めして保持する(図9(a)→(b)、図10(a)→(b)参照)。そして、第1搬送機構6は、位置決め機構64の保持爪641により成形前基板W又は樹脂成形品Pが位置決めされた後に、プレート移動部66により保持プレート65を接触位置Tとする(図9(b)→(c)、図10(b)→(c)参照)。保持プレート65を接触位置Tに移動させることで、位置決めされた成形前基板W又は樹脂成形品Pが保持爪641及び保持プレート65により保持される。この状態で、第1搬送機構6は、多関節アーム部62により保持ユニット61を表裏反転させることで(図9(d)→(e)、図10(d)→(e)参照)、成形前基板W又は樹脂成形品Pの第1状態及び第2状態の切り替えを安定して行うことができる。
【0071】
<第1搬送機構6及び第2搬送機構7の動作>
次に、第1搬送機構6及び第2搬送機構7の搬送動作について図3図9及び図10を参照して説明する。
【0072】
まず、基板供給部2の収納ボックス21から取り出し機構22により成形前基板ステージ23に成形前基板Wを載置する(図3参照)。ここで、成形前基板ステージ23において、成形前基板Wは、第1状態(所謂チップアップ状態)である。
【0073】
成形前基板ステージ23にある成形前基板Wを保持する場合に、第1搬送機構6の多関節アーム部62は、保持ユニット61を成形前基板ステージ23の上方に移動させる。このとき、保持ユニット61の保持爪641は、退避位置Qとされている(図9(a)参照)。
【0074】
そして、保持ユニット61を成形前基板Wを保持するための高さ位置に移動させて、保持爪移動部642により保持爪641を保持位置Rにする(図9(b)参照)。これにより、保持爪641が成形前基板Wの外周端面Waに接触して、成形前基板Wがベース部材63に対して位置決めされるとともに、保持爪641によって保持される。この保持爪641により成形前基板Wが保持されるまでは、保持プレート65は、離隔位置Uとされている。
【0075】
保持爪641が成形前基板Wを保持した後に、プレート移動部66が離隔位置Uにある保持プレート65を接触位置Tに移動させる(図9(c)参照)。これにより、位置決めされた成形前基板Wが保持爪641及び保持プレート65に挟まれて保持される(図9(d)参照)。この状態とされた後に、第1搬送機構6の多関節アーム部62は、保持ユニット61を表裏反転させるとともに、第1移載ステージ4に移動させる(図9(e)参照)。
【0076】
以上の動作により、第1搬送機構6は、成形前基板ステージ23にある第1状態の成形前基板Wを保持し、成形前基板Wを第2状態として、第1移載ステージ4に搬送して渡す。ここで、第1搬送機構6は、保持爪641の保持を解除することにより、成形前基板Wを第1移載ステージ4に渡す。
【0077】
次に、第2搬送機構7は、第1移載ステージ4にある第2状態の成形前基板Wを受け取り(図3参照)、上型10に搬送して上型10に成形前基板Wを渡す。ここで、第2搬送機構7は、第1移載ステージ4から成形前基板Wを受け取る際に、樹脂成形品Pを保持している場合には、第2移載ステージ5に第2状態の樹脂成形品Pを渡す(図3参照)。
【0078】
第2移載ステージ5に樹脂成形品Pが設置された場合に、第1搬送機構6の多関節アーム部62は、保持ユニット61を第2移載ステージ5の下方に移動させる。このとき、保持ユニット61の保持爪641は、退避位置Qとされている(図10(a)参照)。
【0079】
そして、保持ユニット61を樹脂成形品Pを保持するための高さ位置に移動させて、保持爪移動部642により保持爪641を保持位置Rにする(図10(b)参照)。これにより、保持爪641が樹脂成形品Pの外周端面Waに接触して、樹脂成形品Pがベース部材63に対して位置決めされるとともに、保持爪641によって保持される。この保持爪641により樹脂成形品Pが保持されるまでは、保持プレート65は、離隔位置Uとされている。
【0080】
保持爪641が樹脂成形品Pを保持した後に、プレート移動部66が離隔位置Uにある保持プレート65を接触位置Tに移動させる(図10(c)参照)。これにより、位置決めされた樹脂成形品Pが保持爪641及び保持プレート65に挟まれて保持される(図10(d)参照)。この状態とされた後に、第1搬送機構6の多関節アーム部62は、保持ユニット61を表裏反転させるとともに、成形品収納部3の樹脂成形品ステージ33に移動させる(図10(e)参照)。ここで、第1搬送機構6が保持爪641の保持を解除することにより、樹脂成形品ステージ33に第1状態(所謂チップアップ状態)の樹脂成形品Pが載置される。
【0081】
樹脂成形品ステージ33に第1状態で樹脂成形品Pが載置された後に、成形品収納部3の収納機構32は、樹脂成形品ステージ33にある樹脂成形品Pを押して収納ボックス31に収納する(図3参照)。
なお、樹脂成形品ステージ33に第1状態で樹脂成形品Pが載置された後に、成形品収納部3の収納機構32は、前述したように、樹脂成形品Pを挟んで収納ボックス31近傍まで移動させてもよい。この場合においては、前述したように樹脂成形品Pが収納ボックス31近傍まで移動した後、収納機構32等により樹脂成形品Pを押して収納ボックス31に収納する。
【0082】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、第1搬送機構6が成形前基板Wの外周端面Waに接触してベース部材63に対して成形前基板Wを位置決めするので、位置決めピンを用いることなく、成形前基板Wを位置決めして保持することができる。その結果、成形前基板Wを適切な位置に搬送することができ、その後の処理で成形前基板Wの位置ずれによるエラーの通知を回避して、樹脂成形の動作が停止することを防止できる。また、エラーを通知しない構成とした場合には、成形前基板Wの位置ずれによって外観不良等の樹脂成形品Pの不良が発生することを防止することができる。
【0083】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0084】
例えば、成形品収納部3は第1状態(所謂チップアップ状態)の樹脂成形品Pを収納する構成であったが、第2状態(所謂チップダウン状態)の樹脂成形品Pを収納する構成としても良い。この場合、第1搬送機構6は、第2移載ステージ5から樹脂成形品ステージ33に樹脂成形品Pを搬送する際に、保持ユニット61を表裏反転しない構成となる。
【0085】
また、前記実施形態の第1搬送機構6は、成形前基板W及び樹脂成形品Pの両方を搬送する共通のものであったが、成形前基板Wを搬送する第1搬送機構6と樹脂成形品Pを搬送する第1搬送機構6とを別々に備える構成であっても良い。同様に、第2搬送機構7は、成形前基板W及び樹脂成形品Pの両方を搬送する共通のものであったが、成形前基板Wを搬送する第2搬送機構7と樹脂成形品Pを搬送する第2搬送機構7とを別々に備える構成であっても良い。
【0086】
さらに、前記実施形態の第1搬送機構6は、保持ユニット61を表裏反転させる構成であったが、保持ユニット61を表裏反転させない構成としても良い。
【0087】
また、保持爪移動部642は、対向する辺に設けられた保持爪641同士の間隔を拡大又は縮小することによって、保持位置Rと退避位置Qとを切り替えるものものであっても良い。
【0088】
その上、前記実施形態の位置決め機構64は、保持爪641を用いて成形対象物を保持する機能を有しているが、成形対象物を保持する機能を有さずに、成形対象物の外周端面に接触して位置決めする機能のみを有するものであっても良い。この場合、保持ユニット61は、位置決め機構64とは別に、位置決め機構64により位置決めされた成形対象物を保持する保持部を有する構成となる。
【0089】
加えて、保持ユニット61は、保持プレート65を有さない構成としても良い。この場合、例えば保持爪641に成形対象物Wの端部が入る凹部を形成し、当該凹部が成形対象物の外周端面に接触するともに、成形対象物Wの表面及び裏面を挟む構成とすることが考えられる。この構成により、表裏反転した場合であっても、成形対象物Wの平面方向に位置決めされた状態を維持することができる。
【0090】
その上、樹脂成形モジュールBに多段の成形型10、11を有する構成としても良い。この場合、第2搬送機構7は、図11に示すように、多段の成形型10、11に対応して複数の基板搬送部71及び複数の成形品搬送部72を有する構成となる。また、第1移載ステージ4及び第2移載ステージ5も、図11に示すように、多段の成形型10、11に対応して、多段構成となる。この構成において、第1搬送機構6は、成形前基板ステージ23から多段の第1移載ステージ4に1つ1つ成形前基板Wを搬送し、多段の第2移載ステージ5から樹脂成形品ステージ33に1つ1つ樹脂成形品Pを搬送する。
【0091】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
100・・・樹脂成形装置
W・・・成形前基板(成形対象物)
Wx・・・・・・電子部品
P・・・樹脂成形品(成形対象物)
Wa・・・外周端面
2・・・基板供給部(成形対象物供給部)
3・・・成形品収納部(成形対象物収納部)
4・・・第1移載ステージ
5・・・第2移載ステージ
6・・・第1搬送機構(搬送装置)
7・・・第2搬送機構(受け渡し機構)
61・・・保持ユニット
62・・・多関節アーム部
621・・・先端部
63・・・ベース部材
64・・・位置決め機構
641・・・保持爪
642・・・保持爪移動部
R・・・保持位置
Q・・・退避位置
642a・・・連動機構
642b・・・保持爪駆動部
65・・・保持プレート
T・・・接触位置
U・・・離隔位置
66・・・プレート移動部
【要約】
【課題】位置決めピンを用いることなく、成形対象物を位置決めして保持する。
【解決手段】成形対象物Wを搬送する搬送装置6であって、成形対象物Wを保持する保持ユニット61と、保持ユニット61を移動させる多関節アーム部62とを備え、保持ユニット61は、多関節アーム部62の先端部621に接続されるベース部材63と、成形対象物Wの外周端面に接触してベース部材63に対して成形対象物Wを位置決めする位置決め機構64とを備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11