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特許7579926位相リンクされた固体発電機モジュールを用いた発電システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】位相リンクされた固体発電機モジュールを用いた発電システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241031BHJP
   H03H 7/40 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 B
H03H7/40
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117819
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2021562926の分割
【原出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2023126588
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】62/855,136
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/881,458
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/881,390
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・トレンホム
(72)【発明者】
【氏名】モハマッド・カマレヒ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・シャヒーン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ガリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・ブラギロリ
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0080886(US,A1)
【文献】特開2018-160333(JP,A)
【文献】特表2013-539330(JP,A)
【文献】特開2007-115688(JP,A)
【文献】特開2002-365318(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0071292(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265910(US,A1)
【文献】特開2018-046215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00
H01J 37/32
H03H 7/30-7/54
H01L 21/3065
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムを用いた発電方法であって、
複数の固体発電機モジュールで複数の出力を生成すること;及び
結合器において、複数のチャンネルからの前記固体発電機モジュールの出力を結合し、位相最適化技術を用いて同相の結合された出力電力を生成することを含み、
前記複数のチャンネルが3つのチャンネルを含み、
前記位相最適化技術は、
前記チャンネルらをオンにすること;
第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルを決定すること;
前記第1チャンネルと前記第3チャンネルの合計に基づいて前記第2チャンネルを位相シフトさせて最適化された第2チャンネルを生成すること;及び
前記第1チャンネル及び前記最適化された第2チャンネルの合計に基づいて前記第3チャンネルを位相シフトさせることを含む、方法。
【請求項2】
前記位相最適化技術は、
少なくとも一つのチャンネルの位相シフトを決定すること;及び
前記少なくとも一つのチャンネルを位相シフトさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの追加のチャンネルが含まれ、前記位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、最適化されたチャンネルを含む他の全てのチャンネルの合計に基づいて、前記追加のチャンネルを位相シフトさせて最適化された追加のチャンネルを生成する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2チャンネルの位相シフト工程、前記第3チャンネルの位相シフト工程、及び追加のチャンネルの位相シフト工程が複数回繰り返される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記位相最適化技術は、アルゴリズムを用いて前記チャンネルの少なくとも一つについて位相シフトを決定することを含み、前記アルゴリズムは、二分法;Goertzel-Reinschアルゴリズム;又は離散フーリエ変換の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のチャンネルが3つのチャンネルを含み、
前記位相最適化技術は、
第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルを決定すること;
前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルをオンにすること;
前記第1チャンネルの出力に整合するように前記第2チャンネルを位相シフトさせること;
前記第2チャンネルをオフにし、前記第3チャンネルをオンにすること;及び
前記第1チャンネルの出力に整合するように前記第3チャンネルを位相シフトさせることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの追加のチャンネルが含まれ、前記位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、前記第1チャンネルと前記追加のチャンネルをオンし、他の全てのチャンネルをオフにし、前記第1チャンネルの出力に整合するように前記追加のチャンネルを位相シフトさせることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記同相の結合された出力電力を導波路出力に提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固体発電機モジュールは、前記固体発電機モジュールの出力がシェアされた位相を有するように位相同期回路(PLL)において接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の出力を生成するように構成された複数の固体発電機モジュール;及び
複数のチャンネルからの前記固体発電機モジュールの出力を結合し、位相最適化技術を用いて同相の結合された出力電力を生成するように構成された結合器を備え
前記複数のチャンネルが3つのチャンネルを含み、
前記位相最適化技術は、
前記チャンネルらをオンにすること;
第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルを決定すること;
前記第1チャンネルと前記第3チャンネルの合計に基づいて前記第2チャンネルを位相シフトさせて最適化された第2チャンネルを生成すること;及び
前記第1チャンネル及び前記最適化された第2チャンネルの合計に基づいて前記第3チャンネルを位相シフトさせることを含む、発電システム。
【請求項11】
前記位相最適化技術は、
前記チャンネルらの少なくとも一つについて位相シフトを決定すること;及び
前記少なくとも一つのチャンネルを位相シフトすることを含む、請求項10に記載の発電システム。
【請求項12】
少なくとも一つの追加のチャンネルを更に備え、前記位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、最適化されたチャンネルを含む他の全てのチャンネルの合計に基づいて、前記追加のチャンネルを位相シフトさせて最適化された追加のチャンネルを生成する、請求項10に記載の発電システム。
【請求項13】
前記発電システムは、前記第2チャンネルの位相シフト工程、前記第3チャンネルの位相シフト工程、及び追加のチャンネルの位相シフト工程を複数回繰り返すように構成される、請求項10に記載の発電システム。
【請求項14】
前記位相最適化技術は、アルゴリズムを用いて前記チャンネルの少なくとも一つについて位相シフトを決定することを含み、前記アルゴリズムは、二分法;Goertzel-Reinschアルゴリズム;又は離散フーリエ変換の少なくとも一つを含む、請求項10に記載の発電システム。
【請求項15】
前記複数のチャンネルが3つのチャンネルを含み、
前記位相最適化技術は、
第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルを決定すること;
前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルをオンにすること;
前記第1チャンネルの出力に整合するように前記第2チャンネルを位相シフトさせること;
前記第2チャンネルをオフにし、前記第3チャンネルをオンにすること;及び
前記第1チャンネルの出力に整合するように前記第3チャンネルを位相シフトさせることを含む、請求項14に記載の発電システム。
【請求項16】
少なくとも一つの追加のチャンネルを更に備え、前記位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、前記第1チャンネルと前記追加のチャンネルをオンし、他の全てのチャンネルをオフにし、前記第1チャンネルの出力に整合するように前記追加のチャンネルを位相シフトさせることを含む、請求項15に記載の発電システム。
【請求項17】
導波路出力を更に備え、前記発電システムは、前記同相の結合された出力電力を前記導波路出力に提供するように構成される、請求項10に記載の発電システム。
【請求項18】
前記固体発電機モジュールは、前記固体発電機モジュールの出力がシェアされた位相を有するように位相同期回路(PLL)において接続される、請求項10に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月22日に出願されたタイトル「位相リンクされた固体発電機モジュールを用いた発電システム及び方法」の米国特許出願No.16/881,458、2020年5月22日に出願されたタイトル「位相リンクされた固体発電機モジュールを用いた発電システム及び方法」の米国特許出願No.16/881,390に基づく優先権を主張し、また、2019年5月31日に出願されたタイトル「プラズマ生成のための多数の固体発電機モジュール及びスマートパレットの位相リンク付け」の米国仮出願No.62/855,136に基づく優先権を主張し、これらの内容が本明細書において完全に記載されているかの如く参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体プロセス、特には、RF又はマイクロ波電力を生成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の固体マイクロ波発電機は、通常、多数の中間の電源を結合して要求された電力出力の合計を達成している。結合された電力は、単一の電源のベクトル和であるため、チャンネル間での振幅及び位相の不均衡が電力損失に帰結する。振幅差がよく修正されるが、最先端の固体発電機において位相シフトは修正されていない。より高い電力及び効率のユニット(例えば、CVD合成ダイヤモンド成長)の市場要求は、位相関連の損失を効率的に最小化する深刻な脅威を提示している。
【0004】
発電は、半導体プロセスの最中の乾燥からプラズマ生成までの広範囲の用途で利用可能である。ストリップ(strip)、エッチング、堆積といった半導体ウェハープロセス、又は産業用ツールとハードウェアのコーティングのためのプラズマPVD(Plasma Assisted Physical Vapor Deposition)若しくはPAPCVDといったハイエンドな産業用プラズマ処理のいずれかに関して処理チャンバー内でプラズマを生成する従来のアプローチでは、RF又はマイクロ波入力の単一エントリーが用いられている。この単一エントリーは、強度と密度の両方に関して不均一なプラズマを生成させる。幾つかのシステムでは、ある程度、この短所を緩和するため、プラズマの分布のためにシャワーヘッドが使用可能である。しかしながら、シャワーヘッドは、処理チャンバー又はキャビティー内で理想的なプラズマ形成を提供することができない。半導体産業内での幾つかの既知のシステムは、幾つかの異なるRF発電機を採用し、非常に嵩張る磁気閉じ込めを用いてプラズマを操作している。そのようにすることの欠点は、各RF発電機が、発振器を持ち、それ独自の位相にセットされ、非効率、局所的な発熱、及び少ない共振を生じさせることである。
【0005】
更には、インピーダンスのチューニングは、典型的には、所定の範囲で反射電力量を測定し、取り込まれた(absorbed)順方向の電力量を最大化するように信号周波数を変えることにより行われる。この欠点は、最小値から最大値まで走査して最低の反射電力を選択する信号探索に時間を要することである。従って、この方法は、動的な状況下においてリアルタイムに効果的に実施することはできない。
【0006】
更には、処理チャンバー又は同種のもの(例えば、プラズマチューブ又は処理キャビティー)の劣化がプラズマ生成システム及びプロセスにおける懸念事項である。プラズマチューブ、処理チャンバー又は処理キャビティーは、繰り返し及び/又は連続的に過酷なプラズマ環境に晒され、プラズマチューブ、処理チャンバー及び/又は処理キャビティーの表面状態がプラズマと面の相互作用に起因して劣化する。通常、エッチングプロセスの形態において相互作用又は劣化が生じる。最も一般的には、このプロセスは、例えば、金属、又は、石英、サファイア、セラミックス、他の絶縁物といった絶縁物の面材料が、NF3又はCF4といったフッ素化プラズマ化学種又は塩素系化学種に晒される時に生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のニーズに照らして、少なくとも一つの側面において、本技術は、改善されたスループット及びより良好な歩留まりを持つ均一なプラズマの生成のシステム及び方法に関する。幾つかの場合、本技術は、処理チャンバー内で電力を結合する前、多数のRF/マイクロ波モジュールを一緒に位相リンクする。処理チャンバー内でインピーダンスが測定され、処理チャンバーのパフォーマンス特性を導出する。個々のRF発電機のインピーダンスが決定され、個々の発電機のインピーダンス(従って、位相、振幅、及び周波数)を知ることにより、処理チャンバー内のプラズマは、反射電力を最小化するために、及び/又は、半導体基板上の改善された処理パフォーマンスのためにチャンバー内で均一にプラズマを誘起するために操作及び調整される。測定されたインピーダンスは、未知の反応ガスを特定するために、及び、処理チャンバーの寿命を監視するためにも利用可能である。記述のシステム及び方法は、また、電力出力及び効率を最大化するために結合された電源の間の最適な位相シフトも決定可能である。
【0008】
少なくとも一つの側面において、本技術は、参照クロック部、複数の固体発電機モジュール、及び処理チャンバーを有するプラズマ生成システムに関する。参照クロック部は、参照信号を生成するように構成される。各固体発電機モジュールが電子スイッチにリンクされ、各電子スイッチが参照クロック部にリンクされる。各固体発電機モジュールが参照クロック部からの参照信号に基づく出力を生成するように構成される。処理チャンバーは、少なくとも2つの固体発電機モジュールの出力を受け取り、その中で固体発電機モジュールの出力を結合するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態においては、プラズマ生成システムは、処理チャンバーへの入力で信号をI/Q信号に復調するように構成されたI/Q変調器を含む。そして、プラズマ生成システムは、I/Q信号の電圧定在波比(VSWR)及び反射係数を決定し;VSWR及び反射係数に基づいて固体発電機モジュールの一つの第1インピーダンスを計算し;及び第1インピーダンスに基づいて処理チャンバー内での固体発電機モジュールの結合された出力電力の第2インピーダンスを計算するように構成される。幾つかの実施形態においては、プラズマ生成システムは、更に、第2インピーダンスに基づいて少なくとも一つの固体発電機モジュールの位相、振幅、及び周波数を調整するように構成される。
【0010】
プラズマ生成システムは、時間に亘る処理チャンバーのインピーダンスの変化を監視するように構成可能である。
幾つかの実施形態においては、プラズマ生成システムは、更に、時間に亘る処理チャンバーのインピーダンスの変化に基づいて処理チャンバーの残存寿命を決定するように構成される。プラズマ生成システムは、処理チャンバーの残存寿命に基づいて警告を発行するように構成可能である。プラズマ生成システムは、複数のガスのインピーダンス値を記憶するデータバンクを含むことができ、システムは、時間に亘る処理チャンバーのインピーダンスの変化に基づいて、データバンクを用いて、処理チャンバー内の処理ガスを特定するように構成可能である。
【0011】
幾つかの実施形態においては、固体発電機モジュールは、固体発電機モジュールの出力がシェアされた位相を有するように位相同期回路(PLL)において接続される。幾つかの場合、各固体発電機モジュールは、電子スイッチに接続されたPLL参照入力;及び電子スイッチ及びシンセサイザーに接続されたPLL参照出力にして、シンセサイザーが、第2電子スイッチに接続されて固体発電機モジュールの出力をパルス変調する、PLL参照出力を含む。
【0012】
少なくとも一つの側面において、本技術は、発電システムを用いた発電方法に関する。複数の固体発電機モジュールで複数の出力が生成される。結合器において、複数のチャンネルからの固体発電機モジュールの出力が結合され、位相最適化技術を用いて同相の結合された出力電力が生成される。
【0013】
幾つかの実施形態においては、位相最適化技術は、少なくとも一つのチャンネルの位相シフトを決定すること;及び少なくとも一つのチャンネルを位相シフトさせることを含む。幾つかの場合、複数のチャンネルが3つのチャンネルを含む。そして、位相最適化技術は、チャンネルらをオンにすることを含むことができる。第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルが決定される。第1チャンネルと第3チャンネルの合計に基づいて第2チャンネルが位相シフトされ、最適化された第2チャンネルが生成される。第1チャンネル及び最適化された第2チャンネルの合計に基づいて第3チャンネルが位相シフトされる。幾つかの実施形態においては、方法は、少なくとも一つの追加のチャンネルを含み、位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、最適化されたチャンネルを含む他の全てのチャンネルの合計に基づいて、追加のチャンネルを位相シフトさせて最適化された追加のチャンネルを生成する。幾つかの場合、第2チャンネルの位相シフト工程、第3チャンネルの位相シフト工程、及び追加のチャンネルの位相シフト工程が複数回繰り返される。
【0014】
幾つかの実施形態においては、位相最適化技術は、アルゴリズムを用いてチャンネルの少なくとも一つについて位相シフトを決定することを含み、アルゴリズムは、二分法;Goertzel-Reinschアルゴリズム;又は離散フーリエ変換の少なくとも一つを含む。幾つかの実施形態においては、複数のチャンネルが3つのチャンネルを含み、位相最適化技術は、第1チャンネル、第2チャンネル、及び第3チャンネルを決定すること;第1チャンネル及び第2チャンネルをオンにすること;第1チャンネルの出力に整合するように第2チャンネルを位相シフトさせること;第2チャンネルをオフにし、第3チャンネルをオンにすること;及び第1チャンネルの出力に整合するように第3チャンネルを位相シフトさせることを含む。
【0015】
幾つかの実施形態においては、方法は、少なくとも一つの追加のチャンネルが含まれ、位相最適化技術は、各追加のチャンネルについて、第1チャンネルと追加のチャンネルをオンし、他の全てのチャンネルをオフにし、第1チャンネルの出力に整合するように追加のチャンネルを位相シフトさせることを含む。
【0016】
幾つかの実施形態においては、方法は、同相の結合された出力電力を導波路出力に提供することを含む。幾つかの実施形態においては、固体発電機モジュールは、固体発電機モジュールの出力がシェアされた位相を有するように位相同期回路(PLL)において接続される。
【0017】
少なくとも一つの側面において、本技術は、複数の出力を生成するように構成された複数の固体発電機モジュールと結合器を有する発電システムに関する。結合器は、複数のチャンネルからの固体発電機モジュールの出力を結合し、位相最適化技術を用いて同相の結合された出力電力を生成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次の図面を参照し、本開示のシステムが関連する技術分野の通常の知識を有するものは、どのように製造及び使用するかを即時に理解する。
【0019】
図1図1は、本技術に係るプラズマ生成システムの概略的なブロック図である。
【0020】
図2図2は、本技術に係るプラズマ生成システムの一部として含まれ得る模範の位相同期(PLL)回路の機能ブロック図である。
【0021】
図3A図3Aは、本技術に係る模範のRF発電機の回路構成のブロック図である。
【0022】
図3B図3Bは、図3Aの回路の部分のブロック図である。
図3C図3Cは、図3Aの回路の部分のブロック図である。
【0023】
図4図4は、本技術に係る別のプラズマ生成システムの概略的なブロック図である。
【0024】
図5図5は、本技術に応じて構成されたシステムの部分のI/Q変調器の回路の概略的な機能ブロック図である。
【0025】
図6図6は、模範のI/Q信号の極座標プロットを示す。
【0026】
図7図7は、本技術に係る発電機の個別及び結合された電力を比較するグラフである。
【0027】
図8A図8Aは、模範のスミスチャートである。
【0028】
図8B図8Bは、本技術に係るシステム及びプロセス内での使用のために追加された輪郭線を有する模範のスミスチャートを示す。
【0029】
図9図9は、本技術に係る模範の発電システムの概略的なブロック図である。
【0030】
図10A図10Aは、本技術に係る位相最適化法の一部を示すグラフである。
【0031】
図10B図10Bは、本技術に係る位相最適化法の別の部分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本技術は、発電機システム及び方法に関連する従来問題の多くを解決する。簡潔な要約としては、本技術は、多数の位相ロックRF又はマイクロ波パワーモジュールからの電力を結合するシステム及び方法を提供する。本明細書に開示のシステム及び方法の利点及び他の特徴は、本発明の代表的な実施形態を提示する図面と一緒に特定の好適な実施形態の後述の詳細な説明から当業者に明らかになる。本明細書では、同種のパーツを示すために同種の参照番号が用いられる。更には、「上」、「下」「遠」及び「近」といった方向付けを意味する用語は、単に、お互いの構成要素同士の位置の記述に役立つために用いられる。例えば、あるパーツの「上」面は、単に、そのパーツの「下」面とは別の面であることを説明するように意図される。方向付けを意味する用語は、絶対的な方向付け(即ち、「上側」パーツが常に上になければならないこと)を説明するために用いられない。
【0033】
ここで図1を参照すると、幾つかの模範の実施形態に係る、位相がロックされた固体RF発電機(又はマイクロ波発電機)を有するプラズマ生成システムの概略的なブロック図が、概して100で示される。システム100は、処理チャンバー122のために出力120a,120bエネルギーを生成する主電力及び制御モジュール102を含む。主電力及び制御モジュール102は、主電力及び制御モジュール102のサブモジュールである多数の固体発電機104a,104bを含む。模範の電力及び制御モジュール102が二つの固体発電機104a,104bを含むが、説明の簡素化のためだけであるものと理解されるべきである。他の場合、多数の追加の固体発電機104c,104d,104e…104n(一般化して104)を制御モジュール102に含めることができ、本明細書の教示に応じて機能することができる。例えば、幾つかの場合、電力及び制御モジュール102は、10個の固体発電機104を含むことができる。本明細書でより詳細に論述されるように、発電機104が位相リンクされ、位相ロックループ(PLL(Phase-locked loop))動作を誘導するようにシェアされたクロック信号で作動(run off)する。各固体発電機104は、RF源モジュール106a,106b及びRF負荷モジュール108a,108bを含む。RF源モジュール106a,106bが、個々の固体発電機104a,104bの周波数、位相及び電力を制御する。RF負荷モジュール108a,108bは、個別の各発電機104a、104bの負荷インピーダンスを測定し、またその負荷インピーダンスの位相及び振幅を有効には測定する。
【0034】
各固体発電機104a,104bからの出力120a,120bは、入力112a,112bに個別に発電機電力を提供し、これらは、導波路114a,114b(又は同軸ケーブル伝送具又は同種のもの)を介して処理チャンバー122にRF又はマイクロ波エネルギー128a,128bを結合する。RF又はマイクロ波エネルギー128a,128bの周波数、位相、及び電力は、導波路114a,114bを介した処理チャンバー内への入力112a,112bのカップリングの結果である。キャビティー、プラズマチューブ又は同種のものであり得る処理チャンバー122が反応チャンバーを形成する。反応チャンバー122内の処理基板124(又は半導体ウェハー又は同種のもの)は、加熱されたチャック126上で処理温度まで事前に加熱される。特定のプラズマ処理の配合表(レシピ(recipe))に必要なように、ガス入口130は、処理チャンバー122内に処理ガスを送る。
【0035】
入力112a,112bは、RF又はマイクロ波エネルギー128a,128bの周波数、位相、及び電力(f1、φ1、P1及びf2、φ2、P2)を含む。従って、RF負荷モジュール108aは、出力120a及び入力112aの間の負荷インピーダンス(及び有効には位相及び振幅)を測定する。同様、RF負荷モジュール108bは、出力120b及び入力112bの間の負荷インピーダンスを測定する。個々のRF負荷モジュール108a,108bからの測定値に基づいて、RF源モジュール104a,104bは、次に、RF又はマイクロ波エネルギー128a,128bを操作することができ、周波数、位相、及び電力を変更して処理チャンバー122内での空間パフォーマンス管理を提供する。システム100は、本明細書に記述のシステム100の機能を実行する上で必要なように、プロセッサ、データ、及び他の処理要素も含むものと理解されるべきである。
【0036】
上述のように、システム100の発電機104がPLLに配置される。ここで図2を参照すると、模範のPLLの機能ブロック図が、概して200で示される。特には、PLLの様々な構成が本開示のシステムにおいて実施され得、PLL200は、そのようなシステムの一例である。模範のPLL200は、入力信号Vi202を受け取り、関連した位相で出力信号Vo210を生成する。PLL200は、周期的な信号を生成する電圧制御発振器208を有する。位相比較器204は、入力信号Vi202の位相と発振器208からの周期的な信号の位相を比較し、位相の整合を維持するように発振器208を調整する。PLL200は、ローパスフィルター又は同種のものであり得るループフィルター206も含む。ループフィルター206は、概して、ループ・ダイナミクス(loop dynamics)を決定し、発振器208の入力に適用される参照周波数エネルギーを制限するように作動する。特には、入力及び出力位相の同調(matching)は、入力及び出力周波数を同一に維持することも要求する。従って、PLL200は、加えて、入力周波数を追跡し、それに応じて出力周波数を同調させることもできる。
【0037】
ここで図3A-3Cを参照すると、模範のRF発電機の回路構成が概して300で示される。特には、図3Aは、RF発電機の回路300を図示する。図3B-3Cそれぞれは、RF発電機の回路300の部分を図示する。RF発電機は、250ワットのRF源を提供することができ、例えば、これが図示及び本明細書に記述のマイクロ波発電システムの一部として機能する。本明細書の教示に応じてシステム内に配置されたRF発電機のいずれも(例えば、RF発電機104a,104b)が、模範の回路300に即して機能することができる。回路300は、システム内のRF発電機の電気的構成の候補を教示するためだけに図示及び記述されると理解されたい。より高電力又は低電力のRF源が、他の実施形態において設けることができる。同様、本明細書に記述の回路300の全ての構成要素は、有効な回路の一例として提示され、他の場合、本明細書に図示及び記述のシステムの一部として依然として有効に機能しつつ回路が異なるように構成され得ると理解される。
【0038】
図3Bに最も良く見られるように、回路300は、PLL参照入力304(“Ref In”)、PLL参照出力302(“Reference Out”)、電子スイッチ306、参照クロック部(reference clock)308、及びシンセサイザー310を含む。参照入力304は、電子スイッチ306に接続され、これが、続いて、参照クロック部に接続される。参照クロック部308は、1MHzクロック信号といった周期的な信号を出力する。参照出力302は、スイッチ306と、2.4-2.5GHzシンセサイザーであり得るシンセサイザー310にも接続される。シンセサイザー310は、別の電子スイッチ320に接続され、これは、所望のパルス立ち上がり及び立ち下がり、及び時間幅(width times)のために信号をパルス変調するために用いられる。
【0039】
ここで図4を参照すると、本技術に係るプラズマ生成システムの一部としての模範のマイクロ波発電システムが概して400で示される。本明細書にそうでないと図示及び記述されることを除いて、システム400は、システム100と同様に機能することができ、逆も然りである。マイクロ波発電システム400は、(例えば、固体発電機104a,104bと同様に構成された)10個の接続されたRF発電機402a-jを含むが、異なる数の発電機402a-j(一般化して402)も使用可能であると理解されるべきである。RF発電機402は、幾つかの場合、電力において250ワットであり得るが、他の電力レベルも同様に使用可能である。システムコントローラ412は、発電機400の動作を制御するためにプロセッサ及びメモリーを含む。システムコントローラ412は、アルゴリズム又は同種のものといったプログラムされた指令を実行可能であり、本明細書の教示に沿うようにシステム400を動作させる。更には、システムコントローラ412は、本明細書に記述のようなデータバンクを含むメモリーを測定又は入力データの記憶のために含むことができる。発電機402からの結合された電力が処理チャンバー408に提供される。
【0040】
各RF発電機402は、個別の参照入力404及び参照出力406を含み、これらが、参照入力304及び参照出力302と同様に構成可能である。特には、参照入力404及び出力406が、PLL動作のためにRF発電機402の間で接続される。参照入力404及び出力406が各RF発電機402を同一の電子スイッチ306(図3A-3Cの回路300)に接続し、各RF発電機402を同一の参照クロック部308に同時に接続し、それらが同一の周期的な信号から動作する(operate off)。同一のクロック部308をシェアすることは、上述のようにRF発電機402間での位相同期(PLL)動作を含む。これにより全てのRF発電機402の位相がリンクされ、結合されたRF発電機402の合計電力が最も効率的、かつ電力損失がないものになる。
【0041】
例えば、ここで図7を参照すると、結合された発電機電力の模範のグラフが示される。各々の個別の発電機402からの出力電力が上側のプロット702に示される。全ての発電機402の結合した電力が下側のプロット704に示される。位相のリンク付けによって、発電機402の出力は、部分整合することなくお互いの上に重畳する。そのため、各発電機402は、振幅P1で、個別に、電力を出力する。発電機402の数をnとすると、発電機が位相リンクされ、従って、それらの結合された電力が振幅P1のn倍になる。これは、プロット704に示されるように、全ての個別の発電機の最大の和(振幅n×P1)を形成する。これは、PLL構成でもある図1の発電機104の電力の結合と同様である。対照的に、位相のリンク付けがなければ個別のRF発電機の電力の合算時の非効率に帰結する。
【0042】
再び、図3A~3Cを参照すると、図3Cに最も良く見られるように、回路300は、順方向電力検出器312と順方向/反射電力検出器314を含み、IQ変調器316を介して多数の信号を監視し、またデータを分析することによりリアルタイムでインピーダンスを測定するために使用可能である。RF信号がRFトランスコンダクタンスアンプ318の入力に適用され、次にIQ変調器316によってI/Qベースバンド信号(信号の「同相」成分に「I」が参照され、他方、「Q」が直交(無効)成分を表す)に直交LO信号を用いて復調される。直交LO信号は、LO源(例えば、シンセサイザー310)から90°位相シフト部により内部で生成される。
【0043】
ここで図5を参照すると、I/Q変調器500の回路の模範の概略的な機能ブロック図が示される。I/Q変調器316といった本明細書に記述の他のI/Q変調器もI/Q変調器500に応じて構成可能である。幾つかの特定の模範の実施形態においては、設計にテキサス・インスツルメント社の集積IQ変調器PLL/VCO又は同種の回路が包含される。TRF372017は、高パフォーマンス、高直線性、低ノイズのIQ変調器及び整数-分数(integer-fractional)PLL/VCOである。「LO」は、個別の分周器の出力として利用可能であるが、模範の実施形態ではシンセサイザー310からの参照信号である、外部LO又はVCOからの入力も受け取ることができる。
【0044】
BBi502は、同相成分の正及び負に関連する差動信号のセットである。BBq504は、直交成分の正及び負に関連する差動信号のセットである。これは、90°だけ位相が異なる周期的な信号のペアを意味する。同相及び直交成分は、同一の周波数を持つ、90°だけ位相がずれた2つのシヌソイドを意味する。約束として、「I」信号が余弦波であり、「Q」信号が正弦波である。正弦波が余弦波に対して90°だけシフトされているため、これを別の方法で表現すれば、正弦波と余弦波が「直交」している。
【0045】
ここで図6を参照すると、(例えば、回路300の一部として)I/Q信号の模範の極座標プロットが概して600で示される。搬送波の周波数を僅かに変化させる波形で搬送波を変調する時、変調信号をフェザーとして取り扱うことができる。フェザーとして実部及び虚部の両方を持つ。実部は、同相又は「I」(水平軸602)に関し、虚部が直交又は「Q」(垂直軸604)に関する。変調信号の「I」及び「Q」成分の両方と搬送波信号にロックされた受信器を用いて、極座標プロット600に情報を図示可能である。RF信号は、プロットされると、振幅及び位相により極座標に、又は、x及びyベクトルの振幅としてX-Y座標に表示可能である。直交信号は、90°の混成(90-deg. hybrid)により生成される。I/Q信号の振幅及び極性が、I/Qベクトル(変調されたRF搬送波)の平行移動された(translated)振幅及び位相を決定する。振幅及び位相を知ることにより、電圧定在波比(VSWR)及び複素反射係数が計算することができる。
【0046】
図4を再び参照すると、処理チャンバー408といった単一のキャビティー又はプラズマ源内に多数の位相リンクされた発電機402を作動させることにより、リアルタイムのインピーダンス測定が、処理チャンバー408内への入力部(例えば、アンテナ)のエントリーで実行可能であり、従って、VSWRが決定可能である。VSWR及び複素反射係数を知ることで、処理チャンバー408内のマイクロ波又はRFエネルギーの位相及び振幅を計算することができる。次のものは、そのようにするための模範の、但し、排他的ではない式である。
【数1】
【0047】
上記の方程式において、ZL及びZ0が、各々、負荷及び特性負荷インピーダンスである。
は、電圧定在波比(VSWR)である。Vmaxは、VSWR最大電圧において規定された電圧最大値であり、Vminは、典型的な放射源のVSWR最小電圧において規定された電圧最小値である。
として、通常、規定される反射係数の絶対値であり、
は、複素反射係数に関連付けられた規定の位相である。Vrefは、反射電圧であり、Vfwdは、順方向又は入射電圧である。
【0048】
上述を踏まえ、システム400は、各発電機402に関連した空間インピーダンスを計算する。各発電機402の空間インピーダンスを知ることにより、システム400は、全発電機402に関する空間インピーダンスを計算することができ、処理チャンバー408内への全ての関連した入力のインピーダンスを与える。システムコントローラ412は、次に、本明細書でより詳細に論述するように、処理チャンバー408内への入力を調整して入力を操作して同調させることができる。チャンバー408内への多数のエントリーを用いることにより、また、各個別の発電機402の位相、振幅、及び周波数を調整することにより、システム400は、ある空間構成及び態様において異なる場所でプラズマを操作することができ、振幅及び密度の両方に関して理想的な均一なプラズマを生成し、本明細書に記述の従来のアプローチの欠点を軽減する。
【0049】
同様、別の例として、処理チャンバー122内に基板124(又は半導体ウェハー)が位置付けられた図1を再び参照すると、システム100は、各RF発電機出力120a,120b又は処理チャンバー入力112a,112bのインピーダンスを計算することができる。システム100は、次に、コンピュータ及びソフトウェア基準のアルゴリズムを用いて全ての入力112a,112bの位相、振幅、及び周波数を操作して同調させることができ、結果の出力をプロットする。更には、均一なプラズマ・パフォーマンスの調整のために位相、振幅及び周波数が変更可能であり、より良好なプロセス・パフォーマンス、より高速なスループット、並びにより良好及び改善された生産性及び基板又はウェハーのラン間(run to run)のより少ない変動に帰結する。多数のエントリーを用いること、及び、個々のRF又はマイクロ波入力エネルギーの位相、振幅、及び周波数を調整することにより、ある空間構成及び態様において異なる場所でプラズマを操作することができ、振幅及び密度の両方に関して理想的な均一なプラズマを生成し、また、本明細書に記述の従来のアプローチの欠点を軽減する。
【0050】
均一なプラズマの誘導により、半導体処理基板のパフォーマンスを効果的に改善することができる。均一なプラズマは、より高速なパフォーマンスを提供することができる。なぜなら、不均一なプラズマが存在すると、半導体処理を受ける基板(例えば、基板124)は、過剰なエッチング、過剰なアッシング、又は過剰な堆積といった過剰な処理に晒され、より低い大きさ又は強度のプラズマに晒されるウェハーの領域に及ぶ(to cover the areas of the wafer that are exposed to lower plasma magnitude or intensity)。本明細書に記述のこの過剰な処理を除去することにより、半導体プロセスのスループットが改善する。また、模範の実施形態に即して生成された均一なプラズマは、より高い歩留まりも提供することができ、なぜなら、通常、上述の過剰な処理(過剰なエッチング、過剰なアッシング、及び過剰な堆積)は、過剰な処理によって先行のプロセス工程により形成される下層が損傷されるため、理想的な歩留まり未満に帰結するためである。更には、均一なプラズマを用いることにより、ラン間の変動(variations from run to run)も低減可能である。均一なプラズマは、仕上がった基板124の完成のために必要な多数の工程の過程で実施される全ての単一の必要な工程に関して基板124に亘って同一の半導体パフォーマンスを提供する。
【0051】
更には、処理チャンバー又は同種のもの(例えば、プラズマチューブ又は処理キャビティー)の劣化が、プラズマ生成システム及びプロセスの懸念点のままである。幾つかの場合、システム100は、継続的又はある時間間隔で、インピーダンスを測定し、データバンク又は同種のものに時間に亘るインピーダンス変化を記憶することができる。処理チャンバー内の面が腐食すると、腐食した面のインピーダンスは、システムのデータバンク内に記憶されたインピーダンスデータと比較され、面が腐食したと決定することができる。このようにして処理キャビティーの寿命期間を正確に監視して適切な措置をとることができる。
【0052】
ここで図8A,8Bを参照すると、本明細書に記述のシステムは、上述の技術を採用し、プラズマのインピーダンスが容量性又は誘導性のいずれであるか知ることによりどの処理ガスが処理されている最中であるかを決定するように構成される。図8Aは、スミスチャート800を示し、これは、伝送システムにおけるマイクロ波又はRF電力の特性を決定するために用いられる円形のマイクロ波又はRFインピーダンスチャートである。図8Bは、本明細書に記述のシステム内でどのようにスミスチャートが用いられるかを示すためにマーク付けされた模範のスミスチャート802を示す。スミスチャート802は、エネルギーの
の輪郭を含み、半分が容量性に指定され、他方の半分が誘導性に指定される。システムは、次に、結果とルックアップテーブルの比較により処理ガスの性質を決定することができる。幾つかの模範の実施形態において、このルックアップテーブルは、半導体基板の処理において用いられる全ての典型的なガスの特性インピーダンスを含むことができる。
【0053】
例えば、システム(例えば、システム100,400)は、全ての半導体処理ガスの包括的なデータバンクを含むことができる。特には、データバンクは、O2、N2、H2、Ar、フッ素系ガス、塩素系ガス、及びこれらの組み合わせといったプラズマ生成工程で極一般的に用いられるガスを含むことができる。これらのガスへの参照は、本開示に即して測定されたこれらの関連のインピーダンスと共にデータバンクに記憶可能である。次に、未知のガスの測定したインピーダンスをデータバンクと比較し、その未知のガスの正体を決定することができる。この処理ガスの特定のプロセスは、有益であり得る。例えば、使用中のプラズマガスのインピーダンスが記録されて工場に報告されて戻されるならば、エンド・ユーザーが半導体プロセスのレシピにおいてどのガスを用いているか決定することができる。
【0054】
処理チャンバー(例えば、処理チャンバー122、408)のインピーダンスを監視するこの技術は、処理チャンバー122、408のインピーダンスの変化を監視することにより処理チャンバー122、408の寿命又は交換時期を決定するためにも利用可能である。幾つかの場合、システム100、400は、連続的又は所定の時間間隔で、インピーダンスを測定し、時間に亘るインピーダンスの変化をプロセッサ、データバンク、又は同種のものに記憶する。処理チャンバー122、408の通常のエッチング及び劣化は、チャンバーのインピーダンスの変化に帰結し、従って、処理チャンバー122、408のエッチングの示唆になる。腐食面のインピーダンスは、システムのデータバンク内に記憶されたインピーダンスデータと比較され、その面が腐食したと決定することができる。このようにして処理チャンバー122、408の寿命期間を正確に監視して適切な措置をとることができる。これは、システム100、400により処理チャンバー122、408の寿命末期が半導体ファブのユーザーに警告されるために有益である。腐食した面とプラズマの相互作用により生じた腐食したプラズマチューブ面の劣化に起因してプラズマ処理チャンバー122、408のインピーダンスが変化するため、システム100、400は、1つ又は複数の一連のメッセージを生成することができ、それらをユーザーにディスプレイ表示して現状を通告することができる。システム100、400のステータス及び/又は、見込みの推奨又は要求されるメンテナンス措置をユーザーに忠告するべく、模範的なメッセージは、「チューブ腐食がメンテナンス時期に近づいている」、「警告:交換のためのチューブ劣化」、及び/又は他の警告又は交換メッセージ又は同種のものを含むことができる。これは、半導体プロセスにおいて特に有益である。なぜなら、半導体プロセスの「使用可能時間」が極度に重要であるためである。従って、潜在的なメンテナンス活動の前にエンド・ユーザーに知らせることは、見込みの中断時期を予期及び計画する見地から非常に有用である。
【0055】
ここで図9を参照すると、模範の発電システム900のブロック図が図示される。システム900は、本明細書においてそうでないように図示及び記述されることを除いて、先述のシステム100、400と同様に電力を生成するように構成可能である。
【0056】
システム900は、電源910により電源供給され、かつPLLにおいて接続された多数の個別の発電機モジュール902a-d(一般化して902)を含む。システム900は、高周波数デイジー・チェーニングを採用して多数のRFアンプ・チェーン及び、例えば、1.4度毎の360度の移相器のコヒーレントな活性化を許容する。4つの別々の1kw発電機モジュールが例として図示されているが、異なる数の発電機モジュール902が他の実施形態において使用可能であるものと理解されるべきであり、異なる電力の発電機モジュールも同様である。本明細書に記述の他のシステム100,400とは異なり、発電機モジュール902は、シェアされた参照クロック部に接続される必要はなく、位相最適化を達成するために他の工程が取られている。発電機モジュール902からの電力が、電力結合器904において結合され、多数のチャンネルのために最適化される。電力は、次に、導波路出力906を介してソース(本明細書では不図示)に提供可能である。ソースは、上述のように、半導体基板を処理するための又は食品を乾燥するための又は他の用途のための処理チャンバーであり得る。
【0057】
システム900は、アルゴリズム又は同種のものといったプログラムされた指令を実行してシステム900を本明細書の教示に即して動作させることができる処理モジュール908も含む。処理モジュール908は、測定された又は入力データを記憶するためにデータバンク又は同種のものといったメモリーも含むことができる。プロセッサ908は、入力/出力(I/O)装置912に接続される。I/O装置912は、ボタン、キーボード、マウス、又は既知の他の入力装置といった入力装置を含むことができ、これにより、ユーザーは、データ、制御、設定を入力することができ、又は、システム900に他の変更を加えることができる。I/O装置912は、出力部も含み、これは、ユーザーのためにシステム900に関する情報をディスプレイ表示することができる。例えば、I/O装置912は、警告光又はスクリーンといった出力性能を含み、グラフ、警告又は他の視覚指標を示すことができる。
【0058】
従来のシステムにおいては、装置からの振幅及び位相変化、不均一性、又は製造交差が、異なる発電モジュールの間の電力の不完全な合計に繋がり、結合効率の低減を引き起こしていた。対照的に、システム900は、結合器904内で電力を結合して様々なチャンネルの位相及び振幅を平衡させることができる。特には、システム900は、システム900のチャンネル間で位相を最適化する方法を採用する。システム900は、各発電機モジュール902の振幅及び位相をプログラムし、結合器904の電力出力を測定し、各発電機モジュール902の最適な位相を決定して損失を最小化しつつ電力出力を最大化する。
【0059】
システム900は、電力出力を最大化するべく様々な最適化技術を採用するアルゴリズムを実行することができる。そのような最適化技術の一つは、2つのチャンネルの位相整合のために二分法を実行することを含む。システム900の電力出力をプロットすることで、システム900の結合された電力出力は、位相角P(θ)の関数として、単峰性である(即ち、一つの最小値/最大値のみ有する)と見ることができる。従って、幾つかの場合、二分法は、最適値を探索するために適用可能である。例えば、本明細書においてP(θ)のために表記法(notation)f(x)が用いられる。f(x)に間隔が与えられると、f(b)がf(a)及びf(c)の両方未満であるようなa<b<cの3連点がある時に最小値がカッコで囲まれる。そのような場合、関数(正則(nonsingular))が間隔[a,c]において最小値を持つ。二分法アルゴリズムは、次に、a及びbの間又はb及びcの間のいずれかで新しい点xを選択する。本例に関しては、b及びcの間で点xが選択されると仮定する。次に、関数f(x)が評価される。
【0060】
f(b)<f(x)ならば、新しい3連点のカッコ付けは、図10Aのグラフ1000aに示されるように(a;b;x)になる。f(b)>f(x)ならば、新しい3連点のカッコ付けは、図10Bのグラフ1000bに示されるように(b;x;c)になる。いずれの場合においても、新しい三連点は、横座標にあり、その縦座標が、いままでに達成された最適な最小値である。このプロセスは、間隔が十分に小さくなるまで繰り返され、これは、システム900のチップ解像度(chip resolution)の限界に基づき得る。従って、間隔がシステム900のチップ解像度に一致するまで多数回の繰り返しが実行される。
【0061】
最適な切り分け間隔(bracketing interval)(a;b;c)は、次の方程式により与えられるように、aからの部分距離(fractional distance)0.38197とbからの部分距離0.61803のその中間点bを持つ。
【数2】
【0062】
方程式5及び6の分数は、「黄金分割」である。従って、次に用いられる点は、分数0.38197であり、これは、(三連点の中央値から測定して)2つの間隔のうちより大きいものに置かれる。この方法は、最小値又は最大値の電力出力のいずれかを探索するために適用可能であることに留意されたい。最小値の探索することは、幾つかの場合、最小値の近傍において勾配がより大きいため、より強健及び高速なアプローチであり得る。更には、最小値の使用により、後で振幅最適化を行うことができる。最小値の使用において、システム900が最悪の構成の領域に強いられることがマイナス面である。
【0063】
位相角P(θ)の関数としてシステム900の結合された電力出力の振幅も周期的な関数である。従って、三角法の補間(Trigonometric interpolation)を用いることができ、即ち、三角関数の有限和は、次の方程式のいずれかに応じて周期的な関数を補間するために使用可能である。
【数3】
【0064】
k及びbkを評価するため、Goertzel-Reinschアルゴリズム又は直接離散フーリエ変換アルゴリズムを使用可能である。本例では、第1の係数a1及びb1だけが関心の対象であり、より複雑なフーリエ級数解析は、追加の利益を生むことなくただ複雑さを加えるだけである。幾つかの場合、この方法は、先述の二分法よりも強靱かつ高速であり得る。しかしながら、この方法は、最悪の場合の構成の領域の位相値を含む全ての位相範囲において値を要求する。
【0065】
上述の模範の方法は、2つのアンプ(例えば、2つの発電機モジュール902)が結合器904を駆動する時の最適化を記述するために用いられる。2つの発電機モジュール902が結合器904を駆動し、4つのチャンネルが、結合器904の出力において結合される時、最適化は、まずチャンネル1及び2を同調(tuning)させることにより実施可能である。上述のアルゴリズムに応じて、チャンネル2の最適化が実施されてチャンネル1に整合する。チャンネル2は、次にオフされて、チャンネル3がオンにされる。上述のアルゴリズムに応じて、チャンネル3の最適化が実施されてチャンネル1に整合する。チャンネル3は、次にオフされて、チャンネル4がオンにされる。上述のアルゴリズムに応じて、チャンネル4の最適化が実施されてチャンネル1に整合する。全てのチャンネルがチャンネル1に整合するように最適化され、従って、全体の位相の整合が達成される。
【0066】
追加の発電機モジュール902が用いられる時、一度に一つのチャンネルでチャンネル最適化を為すことができ、続いて必要に応じて繰り替えられる。4チャンネルを想定すると、チャンネル1が一定に維持され得る(周期性0)。チャンネル2は、チャンネル1の周期性で回転可能である。チャンネル3は、続いてチャンネル2の周期性で回転可能である。チャンネル4は、続いてチャンネル3の周期性で回転可能である。これにより結合器904から出る異なる周波数の同時出力が可能になる。
【0067】
例えば、4つの発電機モジュール902が結合器904を駆動している時の4つのチャンネルの最適化は、次のように行うことができる。まず、全てのチャンネルがオンにされる。次に、上述のアルゴリズムの一つで他のチャンネルの合計に整合するようにチャンネル2の最適化が実行される。これは、チャンネル2をチャンネル1,3及び4の元の合計に整合させる。チャンネル3の最適化は、上述のアルゴリズムの一つで他のチャンネルの合計に整合するように実行可能であり、チャンネル3は、チャンネル1及び4と、これに加えてチャンネル2の改良の合計に整合される。チャンネル4の最適化は、上述のアルゴリズムの一つで、チャンネル2及び3の改良を含む他のチャンネルの合計に整合するように実行可能である。これらのチャンネル2~4の最適化工程は、続いて、システム900全体の所望の正確さのために整合が十分であるまで繰り返し可能である。
【0068】
本明細書に開示の構成要素の全ての方向付け及び配置は、単なる例として用いられている。更には、関連分野の当業者により、幾つかの要素の機能が、代替の実施形態において、より少ない要素又は単一の要素によって実行され得るものと理解される。同様、幾つかの実施形態においては、任意の機能要素は、提示の実施形態に関して記述されたものよりも、より少ない、又は異なる動作を実行し得る。また、説明のために別個に示された機能要素は、特定の実施において他の機能要素内に組み込まれ得る。
【0069】
好適な実施形態に関して本技術を記述したが、当業者は、本技術の精神又は範囲から逸脱することなく本技術に様々な変更及び/又は修正をすることができるものと即時に理解するだろう。例えば、各請求項は、当初請求されていないとしても多数従属項の態様における任意の又は全ての請求項を防御し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B