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特許7579943膜電極接合体の製造に用いられる離型フィルム
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  • 特許-膜電極接合体の製造に用いられる離型フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】膜電極接合体の製造に用いられる離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1004 20160101AFI20241031BHJP
   H01M 8/1018 20160101ALI20241031BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20241031BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241031BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241031BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
H01M8/1004
H01M8/1018
B32B7/06
B32B27/00 L
B32B27/30 B
H01M8/10 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023172951
(22)【出願日】2023-10-04
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】千足 政典
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175116(JP,A)
【文献】特開2011-161749(JP,A)
【文献】特表2022-540472(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173683(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/045888(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
B32B 7/06
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、この基材層に積層された離型層とを備えており、
上記基材層の主たる材料が、ポリエステルであり、
上記離型層の材料がアタクチックポリスチレンを含む組成物であり、この組成物において、樹脂の全量に対するアタクチックポリスチレンの比率が50質量%以上である、膜電極接合体の製造に用いられる離型フィルム。
【請求項2】
上記離型層の表面の水接触角が92°以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
上記離型層の厚さが0.1μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載の離型フィルム。
【請求項4】
上記基材層の背側面の平均粗さSaが20nm以下である、請求項1又は2に記載の離型フィルム。
【請求項5】
(1)基材層とこの基材層に積層された離型層とを備えており、上記基材層の主たる材料がポリエステルであり、上記離型層の材料がアタクチックポリスチレンを含む組成物であり、この組成物において、樹脂の全量に対するアタクチックポリスチレンの比率が50質量%以上である第一離型フィルムの表面に、電解質膜を形成し、第一積層体を得る工程、
(2)上記第一積層体を巻き取ってロールを得る工程、
(3)第二離型フィルムの表面に、触媒層を形成し、第二積層体を得る工程、
(4)上記ロールから上記第一積層体を繰り出して、上記触媒層を上記電解質膜に接合し、中間積層体を得る工程、
及び
(5)上記中間積層体を、加熱及び加圧する工程
を備えた、膜電極接合体の製造方法。
【請求項6】
上記工程(1)において、背側面の平均粗さSaが20nm以下であり、離型層の厚さが0.1μm以上5μm以下である上記第一離型フィルムの上記表面に、上記電解質膜が形成される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
(1)基材層とこの基材層に積層された離型層とを有しており、この基材層の主たる材料がポリエステルであり、この離型層の材料がアタクチックポリスチレンを含む組成物であり、この組成物において、樹脂の全量に対するアタクチックポリスチレンの比率が50質量%以上である離型フィルム、
及び
(2)上記離型フィルムに積層された電解質膜
を備えた積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、固体高分子型燃料電池の部品である膜電極接合体の製造工程で用いられる、離型フィルムを開示する。本明細書はさらに、この膜電極接合体の製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)を有している。膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、2つの触媒層とを含んでいる。それぞれの触媒層は、電解質膜の表面に接合されている。電解質膜及び触媒層は、いずれも、イオン交換樹脂層である。
【0003】
膜電極接合体の製造では、第一離型フィルムの上に電解質膜が形成され、第二離型フィルムの上に触媒層が形成される。この触媒層は、電解質膜に当接させられる。電解質膜及び触媒層が加熱及び加圧されることで、触媒層が電解質膜に接合される。その後、第一離型フィルムは、電解質膜から剥がされる。第一離型フィルムには、電解質膜に対する適切な密着性及び適切な剥離性が要求される。第二離型フィルムは、触媒層から剥がされる。第二離型フィルムには、触媒層に対する適切な密着性及び適切な剥離性が要求される。
【0004】
特開2014-154273公報には、基材層及び離型層を有する離型フィルムが開示されている。基材層の材質は、ポリエチレンテレフタレートである。この基材層の表面は、平滑である。従ってこの離型フィルムは、膜電極接合体の高寿命に寄与しうる。
【0005】
特開2014-175116公報には、離型層の材質がシンジオタクチックポリスチレンである離型フィルムが、開示されている。この離型フィルムは、イオン交換樹脂層に対する剥離性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-154273公報
【文献】特開2014-175116公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2014-154273公報に開示された離型フィルムの前側面に、イオン交換樹脂層の背側面が接合されることで、積層体が得られる。この積層体は、リールに巻き取られる。巻き取りにより、イオン交換樹脂層の前面側が、周回の異なる離型フィルムの背面側と接触する。基材層が平滑なので、イオン交換樹脂層の前側面は、離型フィルムの背側面と密着しうる。この密着に起因して、積層体がリールから繰り出されるとき、イオン交換樹脂層が周回の異なる離型フィルムに引っ張られる。これにより、このイオン交換樹脂層の背側面の、同じ周回の離型フィルムの前側面からの、意図されない剥離が生じうる。この現象は、ブロッキングと称されている。
【0008】
特開2014-154273公報に開示された離型フィルムの、前側面の濡れ性は不十分である。特に、イオン交換樹脂層のために、水系の又は水リッチな塗工液が使用される場合に、濡れ性の改善の要請が強い。
【0009】
特開2014-175116公報に開示された離型フィルムは、離型層の材質がシンジオタクチックポリスチレンであるが故に、耐溶剤性が高い。この離型フィルムでは、イオン交換樹脂層のための塗工液の塗布に、困難が伴う。離型層の材質が低分子量であるシンジオタクチックポリスチレンであれば、塗工がなされうる。しかし、このポリスチレンの採用は、離型フィルムに、カール、フィッシュアイ等の不良を招来する。
【0010】
特開2014-175116公報に開示された離型フィルムの、イオン交換樹脂層との密着性は、不十分である。従って、膜電極接合体の製造工程において、離型フィルムからの、イオン交換樹脂層の意図されない剥離が、生じうる。
【0011】
本出願人の意図するところは、イオン交換樹脂層の意図されない剥離が生じにくく、濡れ性に優れ、さらに膜電極接合体の生産性に寄与しうる、離型フィルムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書が開示する離型フィルムは、膜電極接合体の製造に用いられうる。この離型フィルムは、基材層と、この基材層に積層された離型層とを有する。基材層の主たる材料は、ポリエスエルである。離型層は、アタクチックポリスチレンを含む。
【発明の効果】
【0013】
この離型フィルムは、イオン交換樹脂層の意図されない剥離を抑制しうる。この離型フィルムは、濡れ性に優れる。さらにこの離型フィルムは、膜電極接合体の生産性に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係る離型フィルムの一部が示された断面図である。
図2図2は、図1の離型フィルムが用いられた膜電極接合体の製造方法が示されたフローチャートである。
図3図3は、図2の製造方法の工程の一例が示された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が説明される。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせは、例示である。本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、実施形態における構成の省略、置換等の変更が可能であり、実施形態への他の構成の付加も可能である。本明細書の開示範囲が、実施形態によって限定的に解釈されることはない。本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも、組み合わせられうる。
【0016】
[離型フィルム]
図1に、離型フィルム2が示されている。この離型フィルム2は、基材層4と離型層6とを有している。離型層6は、基材層4に積層されている。基材層4は、背側面8と前側面10とを有している。離型層6は、背側面12と前側面14とを有している。離型フィルム2が、基材層4と離型層6との間に位置する他の層を有してもよい。
【0017】
[基材層]
基材層4の典型的な材料は、ポリエステルである。後述されるように、離型フィルム2は、膜電極接合体の製造工程で用いられる。この製造工程において、離型フィルム2は昇温する。さらにこの離型フィルム2には、製造工程において張力がかかる。ポリエステルから形成された基材層4は、高温環境下で張力がかかっても伸びにくい。この基材層4は、膜電極接合体の製造工程における離型フィルム2の伸びを抑制しうる。伸びにくい離型フィルム2は、膜電極接合体の製造工程において、後述される電解質膜又は触媒層の、意図されない剥離を抑制しうる。
【0018】
基材層4に、ポリエステルと他の樹脂とが併用されてもよい。この場合、樹脂の全量に対するポリエステルの比率は、50質量%以上である。換言すれば、基材層4の主たる材料は、ポリエステルである。ポリエステルの比率は70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。この比率が100質量%であってよい。基材層4の材質が、樹脂と添加剤とを含む組成物であってもよい。
【0019】
好ましいポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンナフタレートが例示される。ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0020】
離型フィルム2の伸びの抑制の観点から好ましい基材層4は、延伸フィルムである。一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムが、基材層4として用いられうる。強度の観点から、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムにおける縦方向延伸倍率及び横方向延伸倍率のそれぞれは、1.5以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3.0以上が特に好ましい。
【0021】
基材層4の平均粗さSaは、20nm以下が好ましい。換言すれば、基材層4の表面は、平滑性に優れる。後述されるように、離型層6は薄い。従って、この離型層6の表面状態には、基材層4の表面状態が反映されうる。表面の平滑性に優れた基材層4により、表面の平滑性に優れた離型層6が達成されうる。後述されるように、この離型層6は、膜電極接合体の高寿命に寄与しうる。膜電極接合体の高寿命の観点から、基材層4の平均粗さSaは15nm以下がより好ましく、13nm以下が特に好ましい。達せされうる平均粗さSaの下限値は、1nmである。
【0022】
図1に示されるように、基材層4の前側面10は、離型層6に被われている。従って、平均粗さSaは、背側面8にて測定される。測定に適した装置は、非接触表面形状計測システム(「VertScan2.0」、菱化システム社)である。測定条件は、以下の通りである。
モード:WAVE
対物レンズ倍率:5倍
0.5×Tubeレンズ
【0023】
図1において矢印T1は、基材層4の厚さを表す。厚さT1は、1μm以上300μm以下が好ましい。厚さT1が1μm以上である基材層4は、膜電極接合体の製造工程において、離型フィルム2の伸びを抑止しうる。この観点から、厚さT1は10μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。厚さT1が300μm以下である基材層4は、膜電極接合体の生産性を阻害しない。この観点から、厚さT1は200μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。
【0024】
[離型層]
離型層6は、樹脂フィルムである。離型層6に適した樹脂は、アタクチックポリスチレンである。後述されるように、膜電極接合体の製造工程では、離型フィルム2の上に、電解質膜が形成される。離型フィルム2には、この電解質膜に対する密着性が必要である。膜電極接合体の製造工程では、離型フィルム2の上に、触媒層も形成される。離型フィルム2には、触媒層に対する密着性が必要である。離型層6は、電解質膜又は触媒層と、直接に接触する。材質がアタクチックポリスチレンである離型層6は、電解質膜及び触媒層に対する密着性に寄与しうる。
【0025】
アタクチックポリスチレンは、非晶質である。アタクチックポリスチレン樹脂は、芳香族ビニルモノマーのラジカル重合によって得られうる。芳香族ビニルモノマーとして、スチレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルキシレン、p-エチルスチレン、p-イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン及び2,4-ジメチルスチレンのようなアルキル置換スチレン;メトキシスチレン及びエトキシスチレンのようなアルコキシ置換スチレン;o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-ブロモスチレン及びo-フルオロスチレンのようなハロゲン置換スチレン;α-アルキル置換スチレン;アリール置換スチレン;並びにビニルナフタレンが、例示される。2種以上のモノマーから、アタクチックポリスチレンが得られてもよい。離型層6が、2種以上のアタクチックポリスチレンを含んでもよい。
【0026】
離型層6の耐熱性の観点から、アタクチックポリスチレンの重量平均分子量は1万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、15万以上が特に好ましい。製造容易の観点から、重量平均分子量は100万以下が好ましく、50万以下がより好ましく、35万以下が特に好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって、ポリスチレン換算にて測定される。
【0027】
離型層6の材料が、アタクチックポリスチレン脂及び添加剤を含む組成物であってもよい。離型層6の材料が、アタクチックポリスチレン及び他の樹脂を含む組成物であってもよい。離型層6の材料が、アタクチックポリスチレン、他の樹脂及び添加剤を含む組成物であってもよい。いずれの組成物においても、樹脂の全量に対するアタクチックポリスチレンの比率は、50質量%以上が好ましい。換言すれば、離型層6の主たる材料がアタクチックポリスチレンであることが、好ましい。アタクチックポリスチレンの比率は70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。この比率が100質量%であってよい。
【0028】
離型層6の組成物に含まれうる添加剤として、充填剤;ワックス、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドのような滑剤;帯電防止剤;酸化防止剤、熱安定剤及び光安定剤のような安定剤;難燃剤;粘度調整剤;増粘剤並びに消泡剤が、例示される。組成物が、有機粒子又は無機粒子を含んでもよい。
【0029】
離型層6の表面の水接触角は、92°以下が好ましい。水接触角が92°以下である離型フィルム2は、イオン交換樹脂層との密着性に優れる。この観点から、この水接触角は90°以下がより好ましく、89°以下が特に好ましい。図1に示されるように、離型層6の背側面12は、基材層4と重なっている。従って、水接触角は、前側面14にて測定される。アタクチックポリスチレンは、小さな水接触角に寄与しうる。
【0030】
図1において矢印T2は、離型層6の厚さを表す。厚さT2は、0.1μm以上20μm以下が好ましい。厚さT2が0.1μm以上である離型層6は、基材層4と十分に密着しうる。この観点から、厚さT2は0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。厚さT2が20m以下である離型層6は、膜電極接合体の生産性を阻害しない。この観点から、厚さT2は10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
【0031】
[厚さの比]
離型層6の厚さT2の、基材層4の厚さT1に対する比(T2/T1)は、5/1以上1/10以下が好ましく、3/1以上1/5以下がより好ましく、2/1以上1/3以下が特に好ましい。
【0032】
[離型フィルムの製造方法]
離型層6の、基材層4への積層方法として、コーティング法、共押出法、押出ラミネート法、圧着法及び接着剤法が例示される。離型層6の平滑の点から、コーティング法が好ましい。コーティング法では、アタクチックポリスチレンを含む溶液又は分散液が、基材層4にコートされる。溶液及び分散液の溶媒として、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘキサノン及びシクロヘキセンのような脂環式炭化水素;ジクロロメタン及びジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素;N-メチル-2-ピロリドンのような環状アミド;並びにジオキサンのような環状エーテルが、例示される。2種以上の溶媒が、併用されてもよい。
【0033】
好ましいコーティング法として、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、リバースコーター法、バーコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、スクリーンコーター法、スプレー法及びスピナー法が例示される。汎用性の観点から、ブレードコーター法及びバーコーター法が好ましい。
【0034】
コーティング法により、塗膜が得られる。この塗膜が乾燥させられて、離型層6が得られる。この離型層6は、基材層4に密着している。
【0035】
基材層4とは異なる表面の上に、コーティング法等によって離型層6が形成されてもよい。この離型層6が、接着層を介して基材層4に積層される。接着層は、接着剤又は粘着剤から形成されうる。接着剤として、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びポリアミド系接着剤が例示される。粘着剤として、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤及びシリコーン系粘着剤が例示される。接着層の厚さは、1μm以上40μm以下が好ましい。
【0036】
[膜電極接合体の製造方法]
図2に、膜電極接合体の製造方法の一例が示されている。この製造方法は、電解質膜の形成(STEP1)、前側触媒層の形成(STEP2)、接合(STEP3)、剥離(STEP4)、背側触媒層の形成(STEP5)、接合(STEP6)及び剥離(STEP7)を含んでいる。
【0037】
電解質膜の形成(STEP1)では、まず、この電解質膜の樹脂が溶媒に溶解され、第一塗工液が得られる。好ましい溶媒として、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール及び1-ブタノールのようなアルコール;アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン;ジオキサン及びテトラヒドロフランのようなエーテル;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシドが、例示される。
【0038】
この第一塗工液が、図1に示された離型フィルム2(第一離型フィルム)の離型層6の上にコートされる。好ましいコーティング法として、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、リバースコーター法、バーコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、スクリーンコーター法、スプレー法及びスピナー法が例示される。コーティングにより、塗膜が得られる。
【0039】
この塗膜が、加熱される。加熱温度は80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下が特に好ましい。加熱により塗膜が乾燥し、図3に示される電解質膜16が得られる。乾燥が、常温でなされてもよい。この電解質膜16は、第一離型フィルム2aに密着している。第一離型フィルム2aには、電解質膜16の背側面18が当接している。電解質膜16の前側面20は、露出している。
【0040】
第一離型フィルム2aと電解質膜16とは、第一積層体22aを構成する。この第一積層体22aは、リールに巻き取られる。巻き取りにより、第一ロールが形成される。この第一ロールは、第一積層体22aの、複数の周回を有する。この第一ロールでは、電解質膜16の前側面20に、周回の異なる第一離型フィルム2aが当接する。第一ロールは、所定期間、保管される。
【0041】
前側触媒層の形成(STEP2)では、まず、この触媒層の樹脂が溶媒に溶解され、第二塗工液が得られる。好ましい溶媒は、第一塗工液に関して前述された溶媒と同じである。この第二塗工液が、第二離型フィルム2bの離型層6(図1参照)の上にコートされる。本実施形態では、第二離型フィルム2bの仕様は、第一離型フィルム2aの仕様と同じである。好ましいコーティング法は、第一塗工液に関して前述されたコーティング法と同じである。コーティングにより、塗膜が得られる。
【0042】
この塗膜が、加熱される。加熱温度は50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上120℃以下が特に好ましい。加熱により塗膜が乾燥し、図3に示される前側触媒層24が得られる。乾燥が、常温でなされてもよい。この前側触媒層24は、第二離型フィルム2bに密着している。第二離型フィルム2bには、前側触媒層24の前側面26が当接している。前側触媒層24の背側面28は、露出している。
【0043】
第二離型フィルム2bと前側触媒層24とは、第二積層体22bを構成する。この第二積層体22bは、他のリールに巻き取られる。巻き取りにより、第二ロールが形成される。この第二ロールは、第二積層体22bの、複数の周回を有する。この第二ロールでは、前側触媒層24の背側面28に、周回の異なる第二離型フィルム2bが当接する。第二ロールは、所定期間、保管される。
【0044】
接合(STEP3)では、第一ロールから第一積層体22aが繰り出される。第一離型フィルム2aは電解質膜16に対する密着性に優れているので、第一離型フィルム2aの表面が平滑であっても、繰り出し時のブロッキングが抑制されうる。換言すれば、電解質膜16は、周回の異なる第一離型フィルム2aに付着しない。接合(STEP3)ではさらに、第二ロールから第二積層体22bが繰り出される。第二離型フィルム2bは前側触媒層24に対する密着性に優れているので、第二離型フィルム2bの表面が平滑であっても、繰り出し時のブロッキングが抑制されうる。換言すれば、前側触媒層24は、周回の異なる第二離型フィルム2bに付着しない。
【0045】
この第二積層体22bの前側触媒層24の背側面28が、第一積層体22aの電解質膜16の前側面20と合わされる。これにより、第一離型フィルム2a、電解質膜16、前側触媒層24及び第二離型フィルム2bを含む積層体が得られる。この積層体は、中間積層体とも称される。
【0046】
この中間積層体が、加熱され、かつ加圧される。加熱の温度は、80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上180℃以下がより好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。加圧の圧力は、0.1MPa以上20MPa以下が好ましく、0.5MPa以上15MPa以下がより好ましく、1MPa以上10MPa以下が特に好ましい。加熱及び加圧により、前側触媒層24が電解質膜16に堅固に密着する。前述の通り、それぞれの離型フィルム2は、柔軟でかつ延びにくい基材層4を有している。さらに、この離型フィルム2は、イオン交換樹脂層に対する適度な密着性を有する離型層6を含んでいる。従って、加熱及び加圧の工程において、第一離型フィルム2aの電解質膜16からの意図されない剥離が、抑制されうる。さらに、第二離型フィルム2bの前側触媒層24からの意図されない剥離が、抑制されうる。
【0047】
剥離(STEP4)では、第一離型フィルム2aが電解質膜16から剥がされる。剥離により、電解質膜16の背側面18が露出する。前述の通り、離型層6の表面は平滑である。従って、電解質膜16において、背側面18の平滑が達成されうる。
【0048】
背側触媒層の形成(STEP5)では、まず、この触媒層の樹脂が溶媒に溶解され、第三塗工液が得られる。好ましい溶媒は、第一塗工液に関して前述された溶媒と同じである。この第三塗工液が、第三離型フィルム2cの離型層6(図1参照)の上にコートされる。本実施形態では、第三離型フィルム2cの仕様は、第一離型フィルム2aの仕様と同じである。好ましいコーティング法は、第一塗工液に関して前述されたコーティング法と同じである。コーティングにより、塗膜が得られる。
【0049】
この塗膜が、加熱される。好ましい加熱温度は、第二塗工液に関して前述された温度と同じである。加熱により塗膜が乾燥し、図3に示された背側触媒層30が得られる。乾燥が、常温でなされてもよい。この背側触媒層30は、第三離型フィルム2cに密着している。第三離型フィルム2cには、背側触媒層30の背側面32が当接している。背側触媒層30の前側面34は、露出している。
【0050】
第三離型フィルム2cと背側触媒層30とは、第三積層体22cを構成する。この第三積層体22cは、さらに他のリールに巻き取られる。巻き取りにより、第三ロールが形成される。この第三ロールは、第三積層体22cの、複数の周回を有する。この第三ロールでは、背側触媒層30の前側面34が、周回の異なる第三離型フィルム2cに当接する。第三ロールは、所定期間、保管される。
【0051】
接合(STEP6)では、第三ロールから第三積層体22cが繰り出される。第三離型フィルム2cは触媒層に対する密着性に優れているので、第三離型フィルム2cの表面が平滑であっても、繰り出し時のブロッキングが抑制されうる。換言すれば、背側触媒層30は、周回の異なる第三離型フィルム2cに付着しない。
【0052】
この第三積層体22cの背側触媒層30の前側面34が、電解質膜16の背側面18と合わされる。これにより、第三離型フィルム2c、背側触媒層30、電解質膜16、前側触媒層24及び第二離型フィルム2bを含む積層体が得られる。この積層体が、加熱され、かつ加圧される。加熱の温度は、80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上180℃以下がより好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。加圧の圧力は、0.1MPa以上20MPa以下が好ましく、0.5MPa以上15MPa以下がより好ましく、1MPa以上10MPa以下が特に好ましい。加熱及び加圧により、背側触媒層30が電解質膜16に堅固に密着する。前述の通り、それぞれの離型フィルム2は、柔軟でかつ延びにくい基材層4を有している。さらに、この離型フィルム2は、イオン交換樹脂層に対する適度な密着性を有する離型層6を含んでいる。従って、加熱及び加圧の工程において、第二離型フィルム2bの前側触媒層24からの意図されない剥離が、抑制されうる。さらに、第三離型フィルム2cの背側触媒層30からの意図されない剥離が、抑制されうる。
【0053】
剥離(STEP7)では、第二離型フィルム2bが前側触媒層24から剥がされ、第三離型フィルム2cが背側触媒層30から剥がされる。これらの剥離により、背側触媒層30、電解質膜16及び前側触媒層24からなる積層体が得られる。この積層体にさらにガス供給層等が積層されて、膜電極接合体が得られる。前述の通り、電解質膜16の背側面18は平滑である。従って、背側触媒層30は、電解質膜16に堅固に接合される。この接合は、膜電極接合体の長寿命に寄与する。
【0054】
第二離型フィルム2bの仕様が、第一離型フィルム2aの仕様と異なってもよい。第三離型フィルム2cの仕様が、第一離型フィルム2aの仕様と異なってもよい。
【実施例
【0055】
以下、実施例の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本明細書で開示された範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0056】
[実施例1]
10質量%のアタクチックポリスチレン(「G100C」、東洋スチレン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た。一方、基材層として、易接着層付きポリエステルフィルム(「コスモシャイン(登録商標)A4100」、東洋紡社)を準備した。このポリエステルフィルムの、厚さは50μmでり、表面粗さSaは6nmであった。このポリエステルフィルムの易接着層の表面に、ワイヤーバー#10にて塗工液を塗布し、塗膜を得た。この塗膜を、100℃の温度下で1分間保持し、乾燥させて、実施例1の離型フィルムを得た。
【0057】
[実施例2]
基材層として、ポリエステルフィルム(「ルミラー(登録商標)T60」、東レ社)を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2の離型フィルムを得た。このポリエステルフィルムの、厚さは75μmでり、表面粗さSaは13nmであった。
【0058】
[実施例3]
10質量%のアタクチックポリスチレン(「G200C」、東洋スチレン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、実施例3の離型フィルムを得た。
【0059】
[実施例4]
10質量%のアタクチックポリスチレン(「G320C」、東洋スチレン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、実施例4の離型フィルムを得た。
【0060】
[実施例5]
10質量%のアタクチックポリスチレン(「H350」、東洋スチレン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、実施例5の離型フィルムを得た。
【0061】
[実施例6]
10質量%のアタクチックポリスチレン(「H485」、東洋スチレン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、実施例6の離型フィルムを得た。
【0062】
[比較例1]
10質量%の環状オレフィン樹脂(「TOPAS-6015」、ポリプラスチック社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、比較例1の離型フィルムを得た。
【0063】
[比較例2]
10質量%の環状オレフィン樹脂(「ZEONEX480R」、日本ゼオン社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、比較例2の離型フィルムを得た。
【0064】
[比較例3]
10質量%の環状オレフィン樹脂(「ARTONF3500」、JSR社)を、90質量%のトルエンに溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、比較例3の離型フィルムを得た。
【0065】
[比較例4]
10質量%のポリアリレート樹脂(「UNIFINER M-2040」、ユニチカ社)を、70質量%のトルエンと20質量%のメチルエチルケトンとの混合液に溶解して塗工液を得た他は実施例1と同様にして、比較例4の離型フィルムを得た。
【0066】
[比較例5]
基材層として、ポリエステルフィルム(「ルミラー(登録商標)T60」、東レ社)を用いた他は比較例1と同様にして、比較例5の離型フィルムを得た。このポリエステルフィルムの、厚さは75μmであり、表面粗さSaは12nmであった。
【0067】
[比較例6]
基材層として、ポリエステルフィルム(「ダイヤホイル(登録商標)T100」、三菱ケミカル社)を用いた他は比較例1と同様にして、比較例6の離型フィルムを得た。このポリエステルフィルムの、厚さは75μmであり、表面粗さSaは36nmであった。
【0068】
[比較例7]
比較例7の離型フィルムとして、市販の樹脂フィルム(「HN-200」、クラボウ社)を準備した。この樹脂フィルムの材質は、シンジオタクチックポリスチレンであった。この樹脂フィルムの、厚さは35μmであり、表面粗さSaは72nmであった。
【0069】
[ブロッキング]
塗工液として、イオン交換樹脂溶液(「Nafion(登録商標)20dispersion Solution DE2020CS type」、デュポン社)を用意した。離型フィルムの離型層の上にこの塗工液を塗布し、塗膜を得た。この塗膜を、100℃の温度下で3分間保持し、離型フィルムとイオン交換樹脂層との積層体を得た。イオン交換樹脂層の厚さは、10μmであった。この積層体から、2枚の試験片を切り出した。それぞれの試験片のサイズは、10cm×15cmであった。一方の試験片のイオン交換樹脂層に、他方の試験片の離型フィルムを当接させた。これらの試験片の上を、荷重が2kgfであるローラを2往復通過させて加圧した。これらの試験片を、温度が23℃であり、湿度が65%Rhである環境下に24時間保持した。一方の試験片から、他方の試験片を、0.5から1.0秒の時間で剥がした。一方の試験片の状態を目視で観察し、下記の基準に基づいて格付けした。
A:イオン交換樹脂層が、離型フィルムから、大幅に剥がれた。
B:イオン交換樹脂層が、離型フィルムから、わずかに剥がれた。
C:イオン交換樹脂層は、離型フィルムから全く剥がれなかった。
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
【0070】
[剥離力]
塗工液として、イオン交換樹脂溶液(「Nafion(登録商標)DS2020CS」、デュポン社)を準備した。このイオン交換樹脂溶液の固形分は、21質量%±1質量%であった。離型フィルムの上に、メイヤーバーにてこの塗工液を塗布し、塗膜を得た。この塗膜を、100℃の温度下で3分間保持し、乾燥させた。さらにこの塗膜に、160℃の温度下で30分間保持する熱処理を施して、離型フィルムとイオン交換樹脂層との積層体を得た。イオン交換樹脂層の厚さは、4μmであった。この積層体から、試験片を切り出した。この試験片において、離型フィルムからイオン交換樹脂層を剥離させ、剥離力を測定した。条件は、以下の通りである。
装置:オートグラフ「AGS-X」、島津製作所社
試験片の幅;25mm
角度:180°
速度:600mm/min
この結果が、下記の表1及び2に示されている。比較例3及び4の離型フィルムでは、イオン交換樹脂層は剥離しなかった。
【0071】
[取扱い性]
剥離力の測定に用いた試験片と同じ試験片を、準備した。この試験片に、加熱処理を施した。この試験片の表面を目視で観察し、下記の基準に基づいて格付けした。
A:折れジワが、生じている。
B:折れジワが、やや生じている。
C:折れジワは、生じていない。
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
表1及び2から明らかな通り、各実施例の離型フィルムは、諸性能に優れている。この評価結果から、この離型フィルムの優位性は明らかである。
【0075】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態を開示する。
【0076】
[項目1]
基材層と、この基材層に積層された離型層とを備えており、
上記基材層の主たる材料が、ポリエステルであり、
上記離型層がアタクチックポリスチレンを含む、
膜電極接合体の製造に用いられる離型フィルム。
【0077】
[項目2]
上記離型層の表面の水接触角が92°以下である、項目1に記載の離型フィルム。
【0078】
[項目3]
上記離型層の厚さが0.1μm以上5μm以下である、項目1又は2に記載の離型フィルム。
【0079】
[項目4]
上記基材層の背側面の平均粗さSaが20nm以下である、項目1から3のいずれかに記載の離型フィルム。
【0080】
[項目5]
(1)基材層とこの基材層に積層された離型層とを備えており、上記基材層の主たる材料がポリエステルであり、上記離型層がアタクチックポリスチレンを含む第一離型フィルムの表面に、電解質膜を形成し、第一積層体を得る工程、
(2)上記第一積層体を巻き取ってロールを得る工程、
(3)第二離型フィルムの表面に、触媒層を形成し、第二積層体を得る工程、
(4)上記ロールから上記第一積層体を繰り出して、上記触媒層を上記電解質膜に接合し、中間積層体を得る工程、
及び
(5)上記中間積層体を、加熱及び加圧する工程
を備えた、膜電極接合体の製造方法。
【0081】
[項目6]
上記工程(1)において、背側面の平均粗さSaが20nm以下であり、離型層の厚さが0.1μm以上5μm以下である上記第一離型フィルムの上記表面に、上記電解質膜が形成される、項目5に記載の製造方法。
【0082】
[項目7]
(1)基材層とこの基材層に積層された離型層とを有しており、この基材層の主たる材料がポリエステルであり、この離型層がアタクチックポリスチレンを含む離型フィルム、
及び
(2)上記離型フィルムに積層された電解質膜
を備えた積層体。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明された離型フィルムは、イオン交換樹脂からなる種々の成形品の製造に、適している。
【符号の説明】
【0084】
2・・・離型フィルム
2a・・・第一離型フィルム
2b・・・第二離型フィルム
2c・・・第三離型フィルム
4・・・基材層
6・・・離型層
8・・・基材層の背側面
10・・・基材層の前側面
12・・・離型フィルムの背側面
14・・・離型フィルムの前側面
16・・・電解質膜
18・・・電解質膜の背側面
20・・・電解質膜の前側面
22a・・・第一積層体
22b・・・第二積層体
22c・・・第三積層体
24・・・前側触媒層
26・・・前側触媒層の前側面
28・・・前側触媒層の背側面
30・・・背側触媒層
32・・・背側触媒層の背側面
34・・・背側触媒層の前側面
【要約】
【課題】イオン交換樹脂層の意図されない剥離が生じにくく、濡れ性に優れ、さらに膜電極接合体の生産性に寄与しうる、離型フィルム2の提供。
【解決手段】離型フィルム2は、膜電極接合体の製造に用いられる。この離型フィルム2は、基材層4と、この基材層4に積層された離型層6とを有する。基材層4の主たる材料は、ポリエステルである。離型層6は、アタクチックポリスチレンを含む。好ましくは、基材層4の背側面の平均粗さSaは、20nm以下である。好ましくは、離型層6の厚さは、0.1μm以上5μm以下である。好ましくは、離型層6の表面の水接触角は、92°以下である。
【選択図】図1
図1
図2
図3