IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エスケーエレクトロニクスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】フォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/32 20120101AFI20241031BHJP
   G03F 1/00 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
G03F1/32
G03F1/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023201354
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】森山 久美子
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-071123(JP,A)
【文献】特開2015-106001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程と、
表層膜をエッチングにより除去する表層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法。
【請求項2】
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法。
【請求項3】
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法。
【請求項4】
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜と、下層膜の露出部分及び上層膜の上に重なるように形成される表層膜とを備え、下層膜上層膜及び表層膜の積層部の第1領域と、下層膜及び表層膜の積層部の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法。
【請求項5】
下層膜及び上層膜として、第1領域が遮光部の透過率よりも高い透過率の第1透過率部、第2領域が第1透過率部の透過率よりも高い透過率の第2透過率部で位相シフト部として機能するような膜を用いる
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
下層膜として、位相シフト膜を用い、
上層膜として、ハーフトーン膜を用いる
請求項5に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
下層膜として、位相シフト量が略180°となる位相シフト膜を用い、
上層膜として、位相シフト量が20°未満となるハーフトーン膜を用い、
下層膜及び上層膜の積層部の位相シフト量の合算が略180°となるように設定する
請求項5に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
下層膜として、透過率が2%以上90%以下となる位相シフト膜を用い、
上層膜として、透過率が10%以上75%以下となるハーフトーン膜を用い、
下層膜及び上層膜の積層部の透過率が0.5%以上70%以下となるように設定する
請求項5に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
第2領域は、第1透過率部のリム部として機能する
請求項5に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
フォトマスクのパターンは、ラインアンドスペースパターン、ホールパターン又はドットパターンのいずれかである
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ技術として、位相シフトマスクやハーフトーンマスクが知られている。位相シフトマスクは、透明基板の一部に位相シフト膜を備え、この部分を通過する光の位相や強度を変えることにより、解像度を向上する機能や焦点深度(DOF)を改善する機能を有するフォトマスクである。ハーフトーンマスクは、透明基板の一部にハーフトーン膜を備え、この部分を通過する光の強度を変えることにより、3階調以上の多階調を実現する機能を有するフォトマスクである。
【0003】
従来のフォトマスクの製造方法においては、遮光部を構成するパターンの描画工程(露光工程)及び半透過部を構成するパターンの描画工程の少なくとも2回の描画工程が必要となる。そして、描画工程が複数回になると、各工程で形成されるパターンの位置ずれが生じやすくなる。
【0004】
この対策として、アライメントマークの利用がある。2回目以降の描画工程に際し、1回目の描画工程で作成しておいたアライメントマークを読み取り、このアライメントマークを基準として、アライメント(位置合わせ)を行うというものである。しかし、アライメントマークを利用しても、パターンの位置ずれ(アライメントずれ)を完全に無くすことは不可能であり、最大で0.5μmのアライメントずれが生じてしまう。このため、フォトマスクの高精細化に伴い、その影響は大きくなる状況となっている。
【0005】
そこで、描画工程を1回で済ませることができるフォトマスクの製造方法が検討されている。たとえば特許文献1に記載されたフォトマスクの製造方法は、
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
i)透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
ii)第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターンと反対側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
iii)第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターンと反対側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターン(暫定パターン)とを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
iv)上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン(暫定パターン)間の下層膜の露出部分、及び、上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)のうち、第1パターンと反対側のエッジを含む部分を除く部分を覆う第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
v)第2次レジストパターン及び上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)をマスクとして、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程と、
vi)上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)をエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程とを備える。
【0006】
特許文献1に記載されたフォトマスクの製造方法によれば、パターンの位置精度が重要視されない描画工程(第2次レジストパターン形成工程)を除き、描画工程は1回で最終的に必要となるパターン寸法を画定することができる(第1次レジストパターン形成工程)。これにより、フォトマスクの製造過程において、アライメントの精度を過度に求めなくてもよくなる。所謂、自己整合的なパターン形成が行われるため、特許文献1に記載されたフォトマスクの製造方法によれば、アライメントずれが無く、フォトマスクの高精細化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-2255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載されたフォトマスクの製造方法においては、第2次レジストパターンが上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)の該当部分を確実に覆い、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン(暫定パターン)間の下層膜の露出部分が第2次レジストパターンから露出しないよう、上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)は、最大で0.5μmのアライメントずれよりも大きい幅に形成する必要がある。
【0009】
このため、第1領域が遮光部であり、第2領域が位相シフト部であり、かつ、第2領域が遮光部のリム部として機能するフォトマスクであって、μm単位の幅のライン(遮光部)とμm単位の幅のスペース(透過部)とが並列するラインアンドスペースパターンの形態のフォトマスクや、μm単位の大きさのホール(透過部)を有するホールパターンの形態のフォトマスクを製造する場合において、第2領域(リム部)の幅は、上層膜パターンの第2パターン(暫定パターン)の幅を含む分、大きくなり、第2パターン(暫定パターン)の幅と描画装置のビーム径との合計値よりも小さく形成することはできない。これは、第2領域(リム部)の寸法に制約が生じる結果となる。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、従来のフォトマスクの製造方法に比べ、フォトマスクのさらなる高精細化を実現することができるフォトマスクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程と、
表層膜をエッチングにより除去する表層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法である。
【0012】
なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1、実施形態2が挙げられる。
【0013】
また、もう1つの本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法である。
【0014】
なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態3、実施形態4が挙げられる。
【0015】
さらに、もう1つの本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜とを備え、下層膜及び上層膜の積層部の第1領域と、下層膜の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法である。
【0016】
なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態5、実施形態6が挙げられる。
【0017】
さらに、もう1つの本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
透明基板の上に形成される下層膜と、下層膜の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜の上に形成される上層膜と、下層膜の露出部分及び上層膜の上に重なるように形成される表層膜とを備え、下層膜上層膜及び表層膜の積層部の第1領域と、下層膜及び表層膜の積層部の第2領域とで構成されるパターンを備えるフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の上に、下層膜及び上層膜が積層されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される第1次レジストパターンを形成する第1次レジストパターン形成工程と、
第1次レジストパターンをマスクとして、上層膜の露出部分をエッチングにより除去することにより、第1領域に対応する第1パターンと、第1パターンと離隔し、第1パターン側のエッジが第2領域のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターンとを含んで構成される上層膜パターンを形成する第1次上層膜エッチング工程と、
少なくとも上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の下層膜の露出部分を覆うように表層膜を形成する表層膜形成工程と、
上層膜パターンの第1パターン、上層膜パターンの第1パターン及び第2パターン間の表層膜、及び、上層膜パターンの第2パターンのうち、少なくとも第1パターン側のエッジを含む部分を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターンのうち、他の部分の少なくとも一部を露出させる第2次レジストパターンを形成する第2次レジストパターン形成工程と、
上層膜パターンの第2パターンをエッチングにより除去する第2次上層膜エッチング工程と、
第2次レジストパターン又は表層膜をマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接する外縁部分をエッチングにより除去しつつ、かつ、第2次レジストパターン又は表層膜又は上層膜パターンの第1パターンをマスクとして、下層膜の露出部分のうち、第2領域のエッジに接しない外縁部分をエッチングにより除去しつつ、下層膜の露出部分をエッチングにより除去する下層膜エッチング工程とを備える
フォトマスクの製造方法である。
【0018】
なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態7、実施形態8が挙げられる。
【0019】
ここで、本発明に係るフォトマスクの製造方法の一態様として、
下層膜及び上層膜として、第1領域が遮光部の透過率よりも高い透過率の第1透過率部、第2領域が第1透過率部の透過率よりも高い透過率の第2透過率部で位相シフト部として機能するような膜を用いる
との構成を採用することができる。
【0020】
また、この場合、
下層膜として、位相シフト膜を用い、
上層膜として、ハーフトーン膜を用いる
との構成を採用することができる。
【0021】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法の他態様として、
下層膜として、位相シフト量が略180°となる位相シフト膜を用い、
上層膜として、位相シフト量が20°未満となるハーフトーン膜を用い、
下層膜及び上層膜の積層部の位相シフト量の合算が略180°となるように設定する
との構成を採用することができる。
【0022】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法の別の態様として、
下層膜として、透過率が2%以上90%以下となる位相シフト膜を用い、
上層膜として、透過率が10%以上75%以下となるハーフトーン膜を用い、
下層膜及び上層膜の積層部の透過率が0.5%以上70%以下となるように設定する
との構成を採用することができる。
【0023】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法のさらに別の態様として、
第2領域は、第1透過率部のリム部として機能する
との構成を採用することができる。
【0024】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法のさらに別の態様として、
フォトマスクのパターンは、ラインアンドスペースパターン、ホールパターン又はドットパターンのいずれかである
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、フォトマスクのパターンの第2領域のエッジの位置は、上層膜パターンの第2パターンの、第1パターンと反対側のエッジの位置ではなく、上層膜パターンの第2パターンの、第1パターン側のエッジの位置に基づいて規定される。これにより、第2領域の幅を設定するにあたり、上層膜パターンの第2パターンの幅は因子とならない。このため、本発明によれば、従来のフォトマスクの製造方法に比べ、フォトマスクのさらなる高精細化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1(a)は、実施形態1に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図1(b)は、図1(a)のQ-Q線断面図である。
図2図2(a)~(d)は、実施形態1に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図3図3(a)~(d)は、図2の続きの説明図である。
図4図4(a)~(d)は、図3の続きの説明図である。
図5図5(a)~(c)は、図4の続きの説明図である。
図6図6(a)は、実施形態2に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図6(b)は、図6(a)のR-R線断面図である。
図7図7(a)~(d)は、実施形態2に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図8図8(a)~(d)は、図7の続きの説明図である。
図9図9(a)~(d)は、図8の続きの説明図である。
図10図10(a)~(c)は、図9の続きの説明図である。
図11図11(a)は、実施形態3に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図11(b)は、図11(a)のS-S線断面図である。
図12図12(a)~(d)は、実施形態3に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図13図13(a)~(d)は、図12の続きの説明図である。
図14図14(a)~(d)は、図13の続きの説明図である。
図15図15(a)は、図14の続きの説明図である。
図16図16(a)は、実施形態4に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図16(b)は、図16(a)のT-T線断面図である。
図17図17(a)~(d)は、実施形態4に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図18図18(a)~(d)は、図17の続きの説明図である。
図19図19(a)~(d)は、図18の続きの説明図である。
図20図20(a)は、図19の続きの説明図である。
図21図21(a)は、実施形態5に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図21(b)は、図21(a)のU-U線断面図である。
図22図22(a)~(d)は、実施形態5に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図23図23(a)~(d)は、図22の続きの説明図である。
図24図24(a)~(d)は、図23の続きの説明図である。
図25図25(a)は、実施形態6に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図25(b)は、図25(a)のV-V線断面図である。
図26図26(a)~(d)は、実施形態6に係るフォトマスクの製造方法の説明図である。
図27図27(a)~(d)は、図26の続きの説明図である。
図28図28(a)~(d)は、図27の続きの説明図である。
図29図29(a)は、実施形態7に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図29(b)は、図29(a)のW-W線断面図である。
図30図30(a)は、実施形態8に係るフォトマスクの要部拡大平面図である。図30(b)は、図30(a)のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1に係るフォトマスクの構成>
図1に示すように、フォトマスク1は、透過部(白抜き部分)10と、第1透過率部(密ハッチング部分)11と、第2透過率部(疎ハッチング部分)12とを備える3階調の多階調フォトマスクである。透過部10は、透明基板2で構成される。第1透過率部11は、下層膜としての半透過膜3及び上層膜としての半透過膜4で構成される。第2透過率部12は、半透過膜3で構成される。すなわち、半透過膜3及び半透過膜4が積層されていない透明基板2の露出部分が透過部10となり、透明基板2の上に半透過膜3及び半透過膜4が積層される部分が第1透過率部11となり、透明基板2の上に半透過膜3のみが形成される部分が第2透過率部12となる。
【0028】
第1透過率部11及び第2透過率部12は、フォトマスク1のパターンを構成する。パターンは、第1領域11と、第2領域12とで構成される。第1領域11は、半透過膜3及び半透過膜4の積層部であり、第1透過率部11として機能する。第2領域12は、半透過膜3の単層部であり、第2透過率部12として機能する。
【0029】
本実施形態においては、μm単位の幅のライン(第1透過率部11)とμm単位の幅のスペース(透過部10)とが並列し(場合によっては、これらが交互に繰り返され)、フォトマスク1のパターンは、ラインアンドスペースパターンである。一例として、パターンは、フォトマスク1を用いるフォトリソグラフィにより製造される被転写基板において、ソース・ドレイン電極を形成するためのパターンとして用いられる。この場合、透過部10は、チャネル部として機能し、第1透過率部11は、電極部として機能し、第2透過率部12は、第1透過率部11のリム部として機能する。
【0030】
リム部12を設けるのは、パネル側のプロセス裕度を向上させるための対応である。たとえば、被転写基板においてソース・ドレイン電極に対応するレジストパターンのエッジを急峻にするために、リム部12が設けられる。リム部12の幅は、たとえば、0.1μm以上、又は、0.5μm以上であって、3.0μm以下の範囲である。
【0031】
透明基板2は、合成石英ガラス等の基板である。透明基板2は、フォトリソグラフィの露光工程で使用される露光光に含まれる代表波長(たとえば、i線、h線又はg線)に対して95%以上の透過率を有する。なお、露光光は、たとえば、i線、h線又はg線であってもよく、又はこれらの少なくとも2つの光を含む混合光であってもよい。あるいは、露光光は、これらの光に対して波長帯域が短波長側及び/又は長波長側へシフト又は拡張されたものであってもよい。一例として、露光光の波長帯域は、365nm~436nmのブロードバンドから300nm~450nmに拡張されたものが適用可能である。ただし、露光光は、これらに限定されるものではない。
【0032】
半透過膜3は、露光光の光学特性を調整する機能を有する機能性膜の一種であり、露光光の位相を変える機能を有する機能性膜、すなわち、位相シフト膜である。位相シフト膜は、代表波長に対する位相シフト量が略180°となるように設定される。略180°とは、180±20°の範囲内の値という意味であり、より好ましくは、180°±10°の範囲内の値という意味である。また、位相シフト膜は、露光光に含まれる代表波長に対し、透明基板2の透過率よりも低い透過率を有し、代表波長に対して2%以上90%以下の範囲内の透過率となるように設定される。
【0033】
半透過膜3は、Cr又はCr系化合物(Crの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等、以下、同様)、Ni又はNi系化合物(Niの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等、以下、同様)、Ti又はTi系化合物(Tiの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等、以下、同様)、Si系化合物(Siの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等、以下、同様)、Zr又はZr系化合物(Zrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等、以下、同様)、金属シリサイド系化合物(モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、タンタルシリサイド、ジルコニウムシリサイド又はこれらの窒化物、酸化窒化物等、以下、同様)等の公知の材質のうち、金属シリサイド系の材質が用いられる。本実施形態においては、半透過膜3は、モリブデンシリサイド化合物が用いられる。
【0034】
半透過膜4は、露光光の光学特性を調整する機能を有する機能性膜の一種であり、露光光の透過率を調整する機能を有する機能性膜、すなわち、ハーフトーン膜である。ハーフトーン膜は、露光光に含まれる代表波長に対し、透明基板2の透過率よりも低い透過率を有し、代表波長に対して10%以上75%以下の範囲内の透過率となるように設定される。半透過膜4は、半透過膜3の透過率よりも高い透過率となるように設定される。あるいは、半透過膜4は、半透過膜3の透過率と同じ透過率となるように設定される。あるいは、半透過膜4は、半透過膜3の透過率よりも低い透過率となるように設定される。また、ハーフトーン膜は、代表波長に対する位相シフト量が20°未満、より好ましくは、5°未満となるように設定される。なお、ハーフトーン膜は、窒素含有量を調整することで、フォトマスクの面内での透過率分布を改善した半透過型金属膜であってもよい。また、ハーフトーン膜は、他の元素を含有させることで、第2透過率部12における光学濃度(OD値)を変更することも可能である。なお、このような半透過膜を使用するメリットとして、パネル側のプロセス裕度を向上させるという効果を奏することが挙げられる。
【0035】
半透過膜4は、Cr又はCr系化合物、Ni又はNi系化合物、Ti又はTi系化合物、Si系化合物、Zr又はZr系化合物、金属シリサイド系化合物等の公知の材質のうち、Cr系の材質が用いられる。本実施形態においては、半透過膜4は、Cr系化合物が用いられる。なお、Cr系化合物を用いる理由は、Cr系化合物による薄膜は、被転写基板の製造工程において、フォトマスクに汚れ、異物等の付着等がある場合に行われる洗浄処理に対し、好適に耐性を有するためである。
【0036】
半透過膜3及び半透過膜4がこれらの膜であることで、半透過膜3及び半透過膜4の積層部(第1透過率部11)は、半透過膜3の単層部(第2透過率部12)の透過率よりも低い透過率を有し、代表波長に対して0.5%以上70%以下の範囲内の透過率となるように設定される。また、第1透過率部11は、代表波長に対する位相シフト量が略180°となるように設定される。
【0037】
半透過膜3及び半透過膜4、そして、後述する表層膜としての半透過膜7は、それぞれ材質が異なることにより、エッチング特性が異なる。すなわち、半透過膜3は、半透過膜4及び半透過膜7のそれぞれに対してエッチング選択性を有し、半透過膜4は、半透過膜3及び半透過膜7のそれぞれに対してエッチング選択性を有し、半透過膜7は、半透過膜3及び半透過膜4のそれぞれに対してエッチング選択性を有する。
【0038】
半透過膜7は、露光光の光学特性を調整する機能を有する機能性膜の一種であり、露光光の透過率を調整する機能を有する機能性膜、すなわち、ハーフトーン膜である。ハーフトーン膜は、露光光に含まれる代表波長に対し、透明基板2の透過率よりも低い透過率を有し、代表波長に対して10%以上75%以下の範囲内の透過率となるように設定される。半透過膜7は、半透過膜3又は半透過膜4の透過率よりも高い透過率となるように設定される。あるいは、半透過膜7は、半透過膜3又は半透過膜4の透過率と同じ透過率となるように設定される。あるいは、半透過膜7は、半透過膜3又は半透過膜4の透過率よりも低い透過率となるように設定される。また、ハーフトーン膜は、代表波長に対する位相シフト量が20°未満、より好ましくは、5°未満となるように設定される。なお、ハーフトーン膜は、窒素含有量を調整することで、フォトマスクの面内での透過率分布を改善した半透過型金属膜であってもよい。また、ハーフトーン膜は、他の元素を含有させることで、第2透過率部12における光学濃度(OD値)を変更することも可能である。なお、このような半透過膜を使用するメリットとして、パネル側のプロセス裕度を向上させるという効果を奏することが挙げられる。
【0039】
半透過膜7は、Cr又はCr系化合物、Ni又はNi系化合物、Ti又はTi系化合物、Si系化合物、Zr又はZr系化合物、金属シリサイド系化合物等の公知の材質のうち、適宜の材質が用いられる。
【0040】
<実施形態1に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法は、図2図5に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第1次表層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次上層膜エッチング工程(工程12)
xiii)下層膜エッチング工程(工程13)
xiv)第2次レジスト膜除去工程(工程14)
xv)第2次表層膜エッチング工程(工程15)
を備える。
【0041】
なお、第1次レジスト膜形成工程から第1次レジスト膜除去工程まで、第2次レジスト膜形成工程から第2次レジスト膜除去工程まで、をそれぞれパターニング工程という。前者のパターニング工程では、フォトマスクブランクスの上層膜(ハーフトーン膜)4がパターニングされ、後者のパターニング工程では、フォトマスクブランクスの下層膜(位相シフト膜)3がパターニングされる。
【0042】
フォトマスクブランクス準備工程(工程1)では、図2(a)に示すように、フォトマスクブランクスが準備される。フォトマスクブランクスは、透明基板2の上に下層膜3が形成され、下層膜3の上に上層膜4が形成され、これにより、透明基板2の上に、互いにエッチング特性が異なる下層膜3及び上層膜4が積層されるものである。下層膜3及び上層膜4は、それぞれ、スパッタ法、蒸着法等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)により成膜される。
【0043】
第1次レジスト膜形成工程(工程2)では、図2(b)に示すように、上層膜4の上にレジストが均一に塗布され、レジスト膜5が形成される。レジストは、塗布法、スプレイ法等により塗布される。レジストは、ポジ型でもネガ型でもよいが、本例ではポジ型とする。
【0044】
第1次描画工程(工程3)では、図2(c)に示すように、描画装置の電子ビーム又はレーザを用いてレジスト膜5に露光光が照射され、第1次レジストパターンが描画される。このとき、レジスト膜5には、露光量が異なる2つの領域が形成される。第1領域5aは、未露光領域である。第2領域5bは、所定の露光量で露光された領域である。ネガ型のレジストの場合、露光量の関係がポジ型と反対になる。なお、第1次描画工程では、レジストパターンの描画に加え、第2次描画工程における描画の位置を合わせるためのマーク(アライメントマーク)が描画される。図示しないが、アライメントマークは、たとえば、レジストパターンを囲う外囲領域の適宜の3箇所又は4箇所に形成される。
【0045】
第1次現像工程(工程4)では、図2(d)に示すように、不要なレジスト膜5(第2領域5b)が現像により除去され、第1次レジストパターン5A,5Bが形成される。第1次レジストパターン5A,5Bは、フォトマスク1のパターンの第1領域11に対応する第1パターン5Aと、第1パターン5Aと離隔し、第1パターン5A側のエッジがフォトマスク1のパターンの第2領域12のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターン5Bとを含んで構成されるパターンである。現像は、浸漬法、スピン法、パドル法、スプレイ法等により行われる。なお、第1次レジスト膜形成工程、第1次描画工程及び第1次現像工程を合わせて、第1次レジストパターン形成工程という。
【0046】
第1次上層膜エッチング工程(工程5)では、図3(a)に示すように、第1次レジストパターン5A,5Bをエッチング処理用マスクとして、上層膜4の露出部分がエッチングにより除去される。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、ウェットエッチングが好ましい。エッチャントは、エッチング液やエッチングガスが用いられる。いずれのエッチャントであっても、上層膜4に対するエッチング選択性を有するエッチャント(下層膜3をエッチングしないエッチャント)が用いられる。なお、エッチングに際し、上層膜4は、サイドエッチングも受ける。図中、上層膜4のエッジの位置が第1次レジストパターン5A,5Bのエッジの位置よりも内側にオフセットしているのはこのためである。しかし、上層膜4の膜厚、上層膜4の材質又はエッチャントの種類によっては、サイドエッチングが生じないこともある。なお、上層膜4のエッチングレートは、エッチャントの濃度、温度、エッチング時間、その他エッチャントを使用する条件を調整することにより、調整可能である。そして、上層膜4のエッチングレートを調整することにより、所望のオフセット寸法となるように調整することが可能となる。
【0047】
第1次レジスト膜除去工程(工程6)では、図3(b)に示すように、残存するレジスト膜5(第1次レジストパターン5A,5B)が除去される。レジスト膜5の除去は、アッシング法、浸漬法等により行われる。この結果、半透膜3の上には、上層膜パターン4A,4Bが形成される。上層膜パターン4A,4Bは、フォトマスク1のパターンの第1領域11に対応する第1パターン4Aと、第1パターン4Aと離隔し、第1パターン4A側のエッジがフォトマスク1のパターンの第2領域12のエッジの位置に対応する位置に設定される第2パターン4Bとを含んで構成されるパターンである。
【0048】
表層膜形成工程(工程7)では、図3(c)に示すように、全面を覆うように表層膜(ハーフトーン膜)7が形成され、これにより、透明基板2の上に、互いにエッチング特性が異なる下層膜3、上層膜4及び表層膜7が積層される。表層膜7は、スパッタ法、蒸着法等の物理気相成長法により成膜される。
【0049】
第2次レジスト膜形成工程(工程8)では、図3(d)に示すように、表層膜7の上にレジストが塗布され、レジスト膜5が形成される。方法そのものは、第1次レジスト膜形成工程と同様である。
【0050】
第2次描画工程(工程9)では、図4(a)に示すように、レジスト膜5に第2次レジストパターンが描画される。方法そのものは、第1次描画工程と同様であり、描画装置は、第1次描画工程で使用された描画装置と同じ装置である。第2次描画工程にあたり、描画装置は、第1次描画工程において下層膜のパターン形成領域を囲う外囲領域に形成されたアライメントマークを検出し、透明基板2の位置合わせを行う。
【0051】
ただし、第2次レジストパターンは、必要な箇所を覆って保護すればよいものであり、パターンの位置精度が要求されるものではない。このため、第2次描画工程では、シビアなアライメントは必要ない。
【0052】
とはいえ、第2次描画工程では、アライメントずれが必然的に発生する。そこで、第2次描画工程では、アライメントずれを考慮した第2次レジストパターンが設定される。具体的には、第2次レジストパターンは、下層膜3、上層膜4及び表層膜7の積層部に積層部のエッジから所定のラップ量でラップする(重なる)ようになっている。ラップ量は、たとえば0.3μm以上0.5μm以下の値である。
【0053】
第2次現像工程(工程10)では、図4(b)に示すように、不要なレジスト膜5(部分5b)が現像により除去され、第2次レジストパターン5Cが形成される。第2次レジストパターン5Cは、上層膜パターンの第1パターン4A(及びこの上に積層される表層膜7)、上層膜パターンの第1パターン4A及び第2パターン4B間の(下層膜3の露出部分及びこの上に積層される)表層膜7A、及び、上層膜パターンの第2パターン4Bのうち、少なくとも第1パターン4A側のエッジを含む部分(及びこの上に積層される表層膜7)を覆うとともに、上層膜パターンの第2パターン4Bのうち、他の部分の少なくとも一部(及びこの上に積層させる表層膜7)を露出させるパターンである。方法そのものは、第1次現像工程と同様である。第2次レジストパターン5Cによれば、上層膜パターンの第1パターン4Aのエッジの端面(及びこの上に積層される表層膜7のエッジの端面)、及び、上層膜パターンの第2パターン4Bのうち、少なくとも第1パターン4A側のエッジの端面(及びこの上に積層される表層膜7のエッジの端面)もレジストで覆われる。なお、「覆う」とは、第2次レジストパターン5Cが上層膜パターン4A,4Bと接する状態で上層膜パターン4A,4Bを覆うことのほか、上記のとおり、第2次レジストパターン5Cが上層膜パターン4A,4Bの上に積層された表層膜7と接する状態で上層膜パターン4A,4Bを覆うことも含む趣旨であり、「露出」とは、上層膜パターン4Bが表面を外気と接する状態で第2次レジストパターン5Cから露出することのほか、上記のとおり、上層膜パターン4Bがこの上に表層膜7が積層された状態で第2次レジストパターン5Cから露出することも含む趣旨である。なお、第2次レジスト膜形成工程、第2次描画工程及び第2次現像工程を合わせて、第2次レジストパターン形成工程という。
【0054】
第1次表層膜エッチング工程(工程11)では、図4(c)に示すように、上層膜パターンの第2パターン4Bの上に積層される表層膜7がエッチングにより除去される。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、ウェットエッチングが好ましい。エッチャントは、エッチング液やエッチングガスが用いられる。いずれのエッチャントであっても、表層膜7に対するエッチング選択性を有するエッチャント(下層膜3及び上層膜4をエッチングしないエッチャント)が用いられる。第1次表層膜エッチング工程により、上層膜パターンの第2パターン4Bの上に積層される表層膜7は、最終的にサイドエッチングされ、完全に除去される。なお、表層膜7のエッチングレートの関係によっては、表層膜7がサイドエッチングにより完全に除去されず、表層膜7の一部(特に第2次レジストパターン5Cのアンダーカット部の奥側の部分)が残存することもあり得る。このような場合でも、残存する表層膜7は、次の工程(第2次上層膜エッチング工程)で上層膜パターンの第2パターン4Bとともに除去される(リフトオフによる除去)ので、問題はない。
【0055】
第2次上層膜エッチング工程(工程12)では、図4(d)に示すように、上層膜パターンの第2パターン4Bがエッチングにより除去される。方法そのものは、第1次上層膜エッチング工程と同様である。第2次上層膜エッチング工程により、上層膜パターンの第2パターン4Bは、最終的にサイドエッチングされ、完全に除去される。この結果、第2次レジストパターン5Cの下部には、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4A側のエッジの位置と一致するエッジ(下部エッジ)が形成され、表層膜7Aには、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4A側のエッジの位置と一致するエッジが形成される。
【0056】
下層膜エッチング工程(工程13)では、図5(a)に示すように、第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)又は表層膜7Aをエッチング処理用マスクとして、下層膜3の露出部分のうち、第2領域12のエッジに接する外縁部分(図では、左側の2箇所)がエッチングにより除去されつつ、かつ、第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)又は表層膜7A又は上層膜パターンの第1パターン4Aをエッチング処理用マスクとして、下層膜3の露出部分のうち、第2領域12のエッジに接しない外縁部分(図では、右側の2箇所)がエッチングにより除去されつつ、下層膜3の露出部分がエッチングにより除去される。なお、「第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)又は表層膜7A」、「第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)又は表層膜7A又は上層膜パターンの第1パターン4A」とは、状況に応じていずれかのものが該当するものになるという意味である。図では、左側の2箇所では、表層膜7Aがエッチング処理用マスクとなり、右側の2箇所では、上層膜パターンの第1パターン4Aがエッチング処理用マスクとなる。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでも構わないが、大型サイズのフォトマスクであれば、ウェットエッチングが好ましい。エッチャントは、エッチング液やエッチングガスが用いられる。いずれのエッチャントであっても、下層膜3に対するエッチング選択性を有するエッチャント(上層膜4及び表層膜7Aをエッチングしないエッチャント)が用いられる。なお、エッチングに際し、下層膜3は、サイドエッチングも受ける。図中、下層膜3のエッジの位置が第2次レジストパターン5Cの下部エッジ及び表層膜7Aのエッジの位置よりも内側にオフセットしているのはこのためである。しかし、下層膜3の膜厚、下層膜3の材質又はエッチャントの種類によっては、サイドエッチングが生じないこともある。なお、下層膜3のエッチングレートは、エッチャントの濃度、温度、エッチング時間、その他エッチャントを使用する条件を調整することにより、調整可能である。そして、下層膜3のエッチングレートを調整することにより、所望のオフセット寸法となるように調整することが可能となる。
【0057】
第2次レジスト膜除去工程(工程14)では、図5(b)に示すように、残存するレジスト膜5(第2次レジストパターン5C)が除去される。方法そのものは、第1次レジスト膜除去工程と同様である。
【0058】
第2次表層膜エッチング工程(工程15)では、図5(c)に示すように、表層膜7(上層膜4の上に積層される表層膜7及び下層膜3の露出部分の上に積層される表層膜7A)がエッチングにより除去される。方法そのものは、第1次表層膜エッチング工程と同様である。
【0059】
<実施形態2に係るフォトマスクの構成>
図6に示すように、実施形態2に係るフォトマスク1のパターンは、μm単位の大きさのホール(透過部10)を有する(場合によっては、これが所定間隔を有して1次元配列又は2次元配列される)ホールパターンである。このため、実施形態2に係るフォトマスク1においては、下層膜3にホールパターンとなる透過部10が形成され、その周囲に第2領域12が形成される。実施形態2に係るフォトマスク1の構成は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態1に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態2に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。
【0060】
<実施形態2に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態2に係るフォトマスク1の製造方法は、図7図10に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第1次表層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次上層膜エッチング工程(工程12)
xiii)下層膜エッチング工程(工程13)
xiv)第2次レジスト膜除去工程(工程14)
xv)第2次表層膜エッチング工程(工程15)
を備える。
【0061】
実施形態2に係るフォトマスク1の製造方法は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法と同じである。そこで、実施形態2に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0062】
補足すると、実施形態1に係るフォトマスク1では、1回目の描画工程で第1領域11及び第2領域12が画定され、第1領域11は、第1透過率部11として機能する。これに対し、実施形態2に係るフォトマスク1では、上層膜パターンの第2パターン4Bは、下層膜3に形成するホールパターンを形成するためのレジストパターンの寸法を画定するためのものであり、最終的には除去され、その後、ホールパターンを形成するためのレジストパターンをマスクとして下層膜3が除去され、ホールパターンが形成される。
【0063】
<実施形態3に係るフォトマスクの構成>
図11に示すように、実施形態3に係るフォトマスク1の構成は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態3に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。
【0064】
<実施形態3に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態3に係るフォトマスク1の製造方法は、図12図15に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第2次上層膜エッチング工程(工程11)
xii)下層膜エッチング工程(工程12)
xiii)第2次レジスト膜除去工程(工程13)
を備える。
【0065】
実施形態3に係るフォトマスク1の製造方法は、表層膜形成工程に係る表層膜8が薬剤である点、この薬剤が第2次レジスト膜形成工程に係るレジスト膜と一体化し(レジスト膜の下層を構成し)、レジスト膜と一体的に除去されるため、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法の表層膜エッチング工程(第1次表層膜エッチング工程及び第2次表層膜エッチング工程)が不要となる点を除き、実質的には、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法と同じである。そこで、実施形態3に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、以下に説明する異なる点以外は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0066】
表層膜形成工程(工程7)では、図13(c)に示すように、全面を覆うように薬剤が均一に塗布され、薬剤膜からなる表層膜8が形成される。薬剤は、レジストとともに現像により溶解するもので、一例として、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)である。薬剤は、塗布法、スプレイ法等により塗布される。
【0067】
実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載のうち、「表層膜7」の記載、「表層膜7A」の記載は、「表層膜8」、「表層膜8A」に読み替え、工程番号及び図番号は、適宜対応する番号に読み替えるものとする。
【0068】
<実施形態4に係るフォトマスクの構成>
図16に示すように、実施形態4に係るフォトマスク1のパターンは、ホールパターンである。実施形態4に係るフォトマスク1の構成は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態3に係るフォトマスク1の構成と同じである。また、実施形態4に係るフォトマスク1の構成は、実施形態2に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態4に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。
【0069】
<実施形態4に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態4に係るフォトマスク1の製造方法は、図17図20に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第2次上層膜エッチング工程(工程11)
xii)下層膜エッチング工程(工程12)
xiii)第2次レジスト膜除去工程(工程13)
を備える。
【0070】
実施形態4に係るフォトマスク1の製造方法は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態3に係るフォトマスク1の製造方法と同じである。そこで、実施形態4に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、実施形態1、3に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0071】
<実施形態5に係るフォトマスクの構成>
図21に示すように、実施形態5に係るフォトマスク1の構成は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態5に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。
【0072】
<実施形態5に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態5に係るフォトマスク1の製造方法は、図22図24に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)第2次レジスト膜形成工程(工程7)
viii)第2次描画工程(工程8)
ix)第2次現像工程(工程9)
x)第2次上層膜エッチング工程(工程10)
xi)下層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次レジスト膜除去工程(工程12)
を備える。
【0073】
実施形態5に係るフォトマスク1の製造方法は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法の表層膜形成工程及び表層膜エッチング工程を備えない点を除き、実質的には、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法と同じである。そこで、実施形態5に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、以下に説明する異なる点以外は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0074】
実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載のうち、
・第2次レジスト膜形成工程での「表層膜7」の記載は、「下層膜3及び上層膜4」に読み替え、
・第2次描画工程での「下層膜3、上層膜4及び表層膜7」の記載は、「下層膜3及び上層膜4」に読み替え、
・第2次現像工程での「この上に積層される表層膜7」の記載、「なお、・・・趣旨である。」の記載は削除し、「上層膜パターンの第1パターン4A及び第2パターン4B間の表層膜7A」の記載は、「上層膜パターンの第1パターン4A及び第2パターン4B間の下層膜3の露出部分」に読み替え、
・第2次上層膜エッチング工程での「表層膜7Aには、・・・エッジが形成され」の記載は削除し、
・下層膜エッチング工程での「第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)又は表層膜7A」の記載、「上層膜4及び表層膜7A」の記載、「第2次レジストパターン5Cの下部エッジ及び表層膜7Aのエッジ」の記載は、「第2次レジストパターン5C(の下部エッジ)」、「上層膜4」、「第2次レジストパターン5Cの下部エッジ」に読み替え、
・工程番号及び図番号は、適宜対応する番号に読み替えるものとする。
【0075】
<実施形態6に係るフォトマスクの構成>
図25に示すように、実施形態6に係るフォトマスク1のパターンは、ホールパターンである。実施形態6に係るフォトマスク1の構成は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態5に係るフォトマスク1の構成と同じである。また、実施形態6に係るフォトマスク1の構成は、実施形態2に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態5に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。
【0076】
<実施形態6に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態6に係るフォトマスク1の製造方法は、図26図28に示すとおりであり、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)第2次レジスト膜形成工程(工程7)
viii)第2次描画工程(工程8)
ix)第2次現像工程(工程9)
x)第2次上層膜エッチング工程(工程10)
xi)下層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次レジスト膜除去工程(工程12)
を備える。
【0077】
実施形態6に係るフォトマスク1の製造方法は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態5に係るフォトマスク1の製造方法と同じである。そこで、実施形態4に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、実施形態1、5に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0078】
<実施形態7に係るフォトマスクの構成>
図29に示すように、実施形態7に係るフォトマスク1のパターンは、上層膜4が下層膜3の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜3の上に形成され、表層膜7が下層膜3の露出部分及び上層膜4の上に重なるように形成され、第2透過率部12が下層膜3及び表層膜7で構成され、第2領域12が下層膜3及び表層膜7の積層部であるラインアンドスペースパターンである。実施形態7に係るフォトマスク1の構成は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態1に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態7に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。なお、図29においては、下層膜3のエッジの位置が表層膜7のエッジの位置よりも内側にオフセットし、表層膜7のエッジ部が突出している(オーバーハング)が、これは図面上の誇張した記載によるものであって、実物において過度なオーバーハング部が形成されるわけではない。
【0079】
一例として、下層膜3は、位相シフト膜であり、上層膜4は、ハーフトーン膜であり、表層膜7は、ハーフトーン膜であり、下層膜3の透過率は、高透過(10~90%)であり、上層膜4の透過率は、高透過(10~75%)であり、表層膜7の透過率は、高透過(10~75%)であり、第1透過率部11のリム部として機能する第2透過率部12の位相角は、略180°(たとえば、下層膜3の位相角は、160~180°、上層膜4の位相角は、0°を超えて20°以下(低位相)、表層膜7の位相角は、0°を超えて20°以下(低位相))である。
【0080】
<実施形態7に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態7に係るフォトマスク1の製造方法は、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第1次表層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次上層膜エッチング工程(工程12)
xiii)下層膜エッチング工程(工程13)
xiv)第2次レジスト膜除去工程(工程14)
を備える。
【0081】
実施形態7に係るフォトマスク1の製造方法は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法の工程1~工程14と同じである。すなわち、実施形態7に係るフォトマスク1の製造方法は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法において、工程14までを行い、工程15を行わないものと同じである。そこで、実施形態7に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0082】
<実施形態8に係るフォトマスクの構成>
図30に示すように、実施形態8に係るフォトマスク1のパターンは、上層膜4が下層膜3の周辺領域の少なくとも一部が露出するように下層膜3の上に形成され、表層膜7が下層膜3の露出部分及び上層膜4の上に重なるように形成され、第2透過率部12が下層膜3及び表層膜7で構成され、第2領域12が下層膜3及び表層膜7の積層部であるホールパターンである。実施形態8に係るフォトマスク1の構成は、パターンの形態が異なる点を除き、実質的には、実施形態2、7に係るフォトマスク1の構成と同じである。そこで、実施形態8に係るフォトマスク1の構成についての記載は、実施形態1、7に係るフォトマスク1の構成についての記載と同様であるとして、省略する。なお、図30においては、下層膜3のエッジの位置が表層膜7のエッジの位置よりも内側にオフセットし、表層膜7のエッジ部が突出している(オーバーハング)が、これは図面上の誇張した記載によるものであって、実物において過度なオーバーハング部が形成されるわけではない。
【0083】
<実施形態8に係るフォトマスクの製造方法>
実施形態8に係るフォトマスク1の製造方法は、
i)フォトマスクブランクス準備工程(工程1)
ii)第1次レジスト膜形成工程(工程2)
iii)第1次描画工程(工程3)
iv)第1次現像工程(工程4)
v)第1次上層膜エッチング工程(工程5)
vi)第1次レジスト膜除去工程(工程6)
vii)表層膜形成工程(工程7)
viii)第2次レジスト膜形成工程(工程8)
ix)第2次描画工程(工程9)
x)第2次現像工程(工程10)
xi)第1次表層膜エッチング工程(工程11)
xii)第2次上層膜エッチング工程(工程12)
xiii)下層膜エッチング工程(工程13)
xiv)第2次レジスト膜除去工程(工程14)
を備える。
【0084】
実施形態8に係るフォトマスク1の製造方法は、実施形態2に係るフォトマスク1の製造方法の工程1~工程14と同じである。すなわち、実施形態8に係るフォトマスク1の製造方法は、実施形態2に係るフォトマスク1の製造方法において、工程14までを行い、工程15を行わないものと同じである。そこで、実施形態8に係るフォトマスク1の製造方法についての記載は、実施形態1に係るフォトマスク1の製造方法についての記載と同様であるとして、省略する。
【0085】
<各実施形態に係るフォトマスクの製造方法による効果>
【0086】
上記実施形態に係るフォトマスク1の製造方法によれば、パターンの位置精度が重要視されない描画工程(第2次描画工程)を除き、描画工程は1回で最終的に必要となるパターン寸法を画定することができる(第1次描画工程)。これにより、フォトマスク1の製造過程において、アライメントの精度を過度に求めなくてもよくなる。このため、上記実施形態に係るフォトマスク1の製造方法によれば、アライメントずれが無く、フォトマスク1の高精細化を実現することができる。
【0087】
また、上記実施形態に係るフォトマスク1の製造方法によれば、フォトマスク1のパターンの第2領域12のエッジの位置は、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4Aと反対側のエッジの位置ではなく、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4A側のエッジの位置に基づいて規定される。これにより、第2領域12の幅を設定するにあたり、上層膜パターンの第2パターン4Bの幅は因子とならない。このため、上記実施形態に係るフォトマスク1の製造方法によれば、従来のフォトマスクの製造方法に比べ、フォトマスクのさらなる高精細化を実現することができる。
【0088】
また、実施形態1、2、7、8に係るフォトマスク1の製造方法によれば、一例として、下層膜3は、金属シリサイド系の膜であり、表層膜7は、金属シリサイド系以外の膜であり、かつ、下層膜3及び上層膜4のそれぞれとエッチング特性が異なる膜である。金属シリサイド系の膜は、位相シフト膜としての特性が高いという利点があるが、レジストとの密着性が悪いという欠点がある(あくまでも現時点における本願出願人の認識)。表層膜7が設けられると、第2次レジスト膜形成工程に係るレジストは、下層膜3ではなく、下層膜3よりもレジストとの密着性が良い表層膜7(密着補助膜)と接することになる。このため、実施形態1~3、7、8に係るフォトマスク1の製造方法によれば、高精細化なフォトマスクを歩留まり良く製造することができる。
【0089】
また、実施形態3、4に係るフォトマスク1の製造方法によれば、一例として、下層膜3は、金属シリサイド系の膜であり、表層膜8は、薬剤の膜である。金属シリサイド系の膜は、位相シフト膜としての特性が高いという利点があるが、レジストとの密着性が悪いという欠点がある(あくまでも現時点における本願出願人の認識)。表層膜8が設けられると、第2次レジスト膜形成工程に係るレジストは、下層膜3ではなく、下層膜3よりもレジストとの密着性が良い表層膜8(密着助剤)と接することになる。このため、実施形態4~6に係るフォトマスク1の製造方法によれば、高精細化なフォトマスクを歩留まり良く製造することができる。
【0090】
また、上記実施形態に係るフォトマスク1の製造方法において、第1次レジストパターンの両側の第2パターン5B,5B(上層膜パターンの両側の第2パターン4B,4B)の位置を変更することにより、両側の第2領域(リム部)12,12のそれぞれの幅を個別かつ任意に設定することができる。この場合、一方の第2領域(リム部)12の幅が大きく、他方の第2領域(リム部)12の幅が小さいといった左右非対称のパターンを形成することも可能である。
【0091】
また、実施形態7、8に係るフォトマスク1の製造方法によれば、工程(実施形態1、2に係るフォトマスク1の製造方法の第2次表層膜エッチング工程)を省略することができる。また、実施形態7、8に係るフォトマスク1の製造方法によれば、追加工により両側の第2領域(リム部)12,12のいずれか一方だけ表層膜7を除去する等、後に様々な階調に調整することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0092】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0093】
各図面においては、下層膜(半透過膜)3、上層膜(半透過膜)4、表層膜(半透過膜)7、表層膜(薬剤膜)8が誇張して厚く記載されている。しかし、これは便宜上であって、各膜のそれぞれの膜厚は、適宜個別に設定される。なお、一例として、半透過膜4の膜厚は、半透過膜3の膜厚と同じ程度か、半透過膜3の膜厚よりも厚いか、半透過膜3の膜厚よりも薄い。半透過膜7の膜厚は、半透過膜3の膜厚よりも薄い。薬剤膜8は、さらに膜厚が薄い。
【0094】
また、上記実施形態においては、フォトマスクのパターンの第2領域12は、リム部である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第2領域は、他の機能部であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態においては、リム部12は、第1透過率部11の両側に形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。リム部は、第1透過率部の片側にのみ形成されるようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態においては、下層膜は、位相シフト膜であり、上層膜は、ハーフトーン膜である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。下層膜は、ハーフトーン膜、上層膜は、位相シフト膜であってもよい。あるいは、下層膜は、位相シフト膜、上層膜は、遮光膜であってもよい。また、これらの場合、下層膜及び上層膜の積層部は、遮光部として機能するものであってもよい。要は、下層膜及び上層膜(及び表層膜)のそれぞれは、遮光膜、位相シフト膜、ハーフトーン膜といった露光光の光学特性を調整する機能を有する各種の機能性膜の中から任意のものを選択し、下層膜及び上層膜(及び表層膜)の任意の組み合わせの積層構造を採用することができる。なお、遮光膜とは、露光光の光学特性を調整する機能を有する機能性膜の一種であり、露光光を遮光する機能を有する機能性膜である。遮光膜は、露光光に含まれる代表波長に対して1%以下の透過率を有する。あるいは、遮光部における光学濃度(OD値)が2.7以上を満たせばよい。一例として、遮光膜は、第1成膜層と、第2成膜層とを備える積層構造である。第1成膜層は、金属膜で構成され、遮光性を目的とする。第2成膜層は、金属酸化物膜で構成され、反射抑制を目的とする。この場合、第1成膜層の透過率が1%より高くても、第1成膜層及び第2成膜層の積層透過率が1%以下であればよい。
【0097】
また、下層膜及び上層膜(及び表層膜)は、上記実施形態において例示された材質に限定されず、要は、互いにエッチング特性が異なることを前提として、それぞれ、Cr系の材質、Ni系の材質、Ti系の材質、Si系の材質、Zr系の材質又は金属シリサイド系の材質のいずれか、又はさらに別の材質から、対応する被転写形状、部位に合わせて選択することができる。
【0098】
また、上記実施形態においては、表層膜は、下層膜とレジストとの密着性が良くないことを補うために設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。表層膜は、レジストとの密着性を向上させるという目的ではなく、あるいは、この目的に加え、露光光の光学特性を調整する機能を有する機能性膜を追加で設けるという目的で設けられるものであってもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、下層膜及び上層膜の2層構造である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。本発明に係るフォトマスクの製造方法を適用できる層構成であれば、上記の下層膜及び上層膜の他に、他の膜が形成される場合を排除しない。たとえば、i)上層膜と下層膜との界面にエッチングストッパ膜等の中間膜が形成されてもよい。あるいは、ii)上層膜の上面に他の膜が形成されてもよい。あるいは、iii)下層膜の下面に他の膜が形成されてもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、フォトマスクのパターンは、少なくとも一部の領域においてμm単位の幅のライン(第1透過率部11)とμm単位の幅のスペース(透過部10)とが並列する(場合によっては、これらが交互に繰り返される)ラインアンドスペースパターンである。あるいは、上記実施形態においては、フォトマスク1のパターンは、少なくとも一部の領域においてμm単位の大きさのホール(透過部10)を有する(場合によっては、これが所定間隔を有して1次元配列又は2次元配列される)ホールパターンである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。フォトマスクのパターンは、少なくとも一部の領域においてμm単位の大きさのドット(第1透過率部)を有する(場合によっては、これが所定間隔を有して1次元配列又は2次元配列される)ドットパターンであってもよい。もちろん、これら以外のパターンであってもよい。要は、本発明方法により実施できるパターンであれば、パターンの種類は限定されない。
【0101】
また、上記実施形態2、4、6、8においては、ホール(透過部10)の形状(リム部(第2透過率部12)との境界線)は、矩形であり、リム部(第2透過率部12)の形状(第1透過率部11との境界線)は、矩形である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ホールの形状、リム部の形状は、円形、多角形等の他の形状であってもよい。また、ホールの形状とリム部の形状は、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…フォトマスク、10…透過部、11…第1透過率部(第1領域)、12…第2透過率部(第2領域)、2…透明基板、3…下層膜(半透過膜)、4…上層膜(半透過膜)、4A…上層膜パターンの第1パターン、4B…上層膜パターンの第2パターン、5…レジスト膜、5a…第1領域、5b…第2領域、5A…第1次レジストパターンの第1パターン、5B…第1次レジストパターンの第2パターン、5C…第2次レジストパターン、7…表層膜(半透過膜)、8…表層膜(薬剤膜)
【要約】
【課題】従来のフォトマスクの製造方法に比べ、フォトマスクのさらなる高精細化を実現することができるフォトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】フォトマスクのパターンの第2領域のエッジの位置(半透過膜3のエッジの位置)は、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4Aと反対側のエッジの位置ではなく、上層膜パターンの第2パターン4Bの、第1パターン4A側のエッジの位置に基づいて規定される。これにより、第2領域の幅(半透過膜3の露出部分の幅)を設定するにあたり、上層膜パターンの第2パターン4Bの幅は因子とならない。このため、本発明によれば、従来のフォトマスクの製造方法に比べ、フォトマスクのさらなる高精細化を実現することができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30