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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】工作機械およびタンク
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20241031BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241031BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241031BHJP
   B01D 33/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q11/00 U
B23Q17/00 A
B01D33/06 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023208569
(22)【出願日】2023-12-11
【審査請求日】2024-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】北出 雄平
(72)【発明者】
【氏名】船越 元気
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-012546(JP,A)
【文献】特開2022-106436(JP,A)
【文献】特開2021-020273(JP,A)
【文献】特開2019-214095(JP,A)
【文献】特開2016-016373(JP,A)
【文献】特開2015-009282(JP,A)
【文献】特開2011-240453(JP,A)
【文献】特開2007-190667(JP,A)
【文献】特開2007-125504(JP,A)
【文献】特開2003-071679(JP,A)
【文献】特許第5526253(JP,B2)
【文献】実開平04-057207(JP,U)
【文献】実開平02-048102(JP,U)
【文献】実開昭64-038236(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0123097(US,A1)
【文献】特開平11-033536(JP,A)
【文献】特開2022-090170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
B23Q 11/00
B23Q 17/00
B01D 33/06
B01D 19/02
B24B 55/03
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための第1タンクと、
前記第1タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、
前記ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための第2タンクと、
前記第1タンクの内部に発生している泡とクーラントとを前記第2タンクに送るように前記ポンプを制御する制御装置と
前記第1タンクの内部に設けられており、クーラントに含まれている異物を除去するためのフィルタ機構とを備える、工作機械。
【請求項2】
前記フィルタ機構は、外側から内側に流れ込むクーラントから前記異物を除去するように構成されているドラムフィルタである、請求項に記載の工作機械。
【請求項3】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための第1タンクと、
前記第1タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、
前記ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための第2タンクと、
前記第1タンクの内部に発生している泡とクーラントとを前記第2タンクに送るように前記ポンプを制御する制御装置と、
前記第2タンクに貯留している泡状のクーラントの上面の高さを検出するためのセンサを備え、
前記制御装置は、前記泡状のクーラントの上面の高さが所定閾値に達したことに基づいて、予め定められた異常対処処理を実行する工作機械。
【請求項4】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための第1タンクと、
前記第1タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、
前記ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための第2タンクと、
前記第1タンクの内部に発生している泡とクーラントとを前記第2タンクに送るように前記ポンプを制御する制御装置と、
前記第2タンクの内部に貯留している液状のクーラントに対して浮くように構成されているフロート式のポンプを備える工作機械。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1タンクの内部に貯留している液状のクーラントの液面が前記ポンプの吸い込み口の上側から当該吸い込み口の下側に移動するように、または前記液面が当該吸い込み口の下側から当該吸い込み口の上側に移動するように、前記ポンプを制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械およびタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2005-177900号公報)は、チップコンベアを備えた工作機械を開示している。チップコンベアは、加工中に発生したワークの切り屑を工作機械外に排出するための搬送機構である。当該切り屑は、クーラントによって加工エリアからチップコンベアに流される。
【0003】
特許文献1に開示されるチップコンベアの内部には、濾過ドラムが設けられている。当該濾過ドラムは、当該濾過ドラムの外側から内側に流れ込むクーラントからワークの切り屑を除去するように構成されている。
【0004】
また、当該濾過ドラムの内部には、クーラントの噴射機構が複数設けられている。各噴射機構は、当該濾過ドラムの内部から外周面のフィルタに向けて洗浄用クーラントを噴射し、当該フィルタに詰まっている切り屑を飛ばす。これにより、濾過ドラムが逆洗浄され、濾過ドラムが切り屑で詰まることが防止される。特許文献1に開示されている濾過ドラムは、各噴射機構から噴射されるクーラントを互いに干渉させることなく噴出することで、逆洗浄時に発生する泡立ちを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-177900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クーラントが泡立つと、工作機械の外部に漏れてしまうことがある。このようなクーラントの泡立ちは、濾過ドラムの逆洗浄時だけでなく、様々な場所で発生し得る。クーラントの泡立ちが様々な場所で発生している場合、泡立ち自体を抑制することが難しい。そのため、様々な場所で発生した泡状のクーラントに対処するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例では、ワークを加工することが可能な工作機械が提供される。上記工作機械は、上記ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための第1タンクと、上記第1タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、上記ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための第2タンクと、上記第1タンクの内部に発生している泡とクーラントとを上記第2タンクに送るように上記ポンプを制御するための制御装置とを備える。処理を実行する。
【0008】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記第1タンクの内部に設けられている。クーラントに含まれている異物を除去するためのフィルタ機構を備える。
【0009】
本開示の一例では、上記フィルタ機構は、外側から内側に流れ込むクーラントから上記異物を除去するように構成されているドラムフィルタである。
【0010】
本開示の一例では、上記制御する処理は、上記第1タンクの内部に貯留している液状のクーラントの液面が上記ポンプの吸い込み口を通過するように上記ポンプを制御することを含む。
【0011】
本開示の一例では、上記工作機械は、上記第2タンクに貯留している泡状のクーラントの上面の高さを検出するためのセンサを備える。上記制御装置は、上記泡状のクーラントの上面の高さが所定閾値に達したことに基づいて、予め定められた異常対処処理を実行する。
【0012】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記第2タンクの内部に貯留している液状のクーラントに対して浮くように構成されているフロート式のポンプを備える。
【0013】
本開示の他の例では、工作機械によるワークの加工に使用されたクーラントを貯留することが可能なタンクが提供される。上記工作機械は、上記タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、上記ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための他のタンクとを備える。上記タンクは、上記ポンプが制御されることで、当該タンクの内部に発生している泡とクーラントとを上記他のタンクに送るように構成されている。
【0014】
本開示の他の例では、工作機械で用いられるタンクが提供される。上記工作機械は、ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための他のタンクと、上記他のタンクに貯留しているクーラントを上記タンクに送るためのポンプとを備える。上記タンクは、上記ポンプが制御されることで、上記他のタンクの内部に発生している泡とクーラントとが送られるように構成されている。
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】泡状クーラントの集約機構を概略的に示す概念図である。
図3】チップコンベアの外観を示す図である。
図4】チップコンベアの断面を示す図である。
図5】クーラントの循環機構の一例を示す図である。
図6】ON/OFF制御モードを説明するための図である。
図7】フロートポンプを説明するための図である。
図8】工作機械における駆動機構の構成例を示す図である。
図9】制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10】ON/OFF制御の流れを示すフローチャートである。
図11】異常監視処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
<A.工作機械100の外観>
まず、図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0019】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械100は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、その他の切削機械、研削機械、複合加工機、5軸加工機などであってもよい。また、工作機械100は、除去加工のみを行うものに限られず、除去加工に加えて付加加工を行うものであってもよい。
【0020】
工作機械100は、たとえば、カバー体130と、チップコンベア150と、操作盤300とを含む。カバー体130は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークの加工エリアARを区画形成している。
【0021】
工作機械100は、加工エリアARにクーラントを吐出しながらワークを加工する。加工に用いられたクーラントは、ワークの切り屑を加工エリアARからチップコンベア150に流される。チップコンベア150は、クーラントからワークの切り屑を分離し、当該切り屑を排出口27から工作機械100の外に排出する。ワークの切り屑を除去したクーラントは、ワークの加工に再利用される。チップコンベア150の詳細については後述する。
【0022】
操作盤300は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ306を有する。ディスプレイ306は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、ディスプレイ306は、タッチパネルを備え、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0023】
<B.泡状クーラントの収集機構>
工作機械100は、加工エリアARにクーラントを吐出しながらワークを加工する。このとき、クーラントは、様々な要因で泡立つ。一例として、クーラントは、壁やワークに吐出した際に泡状になったり、機内を流れる過程で泡状になったりする。このようなクーラントの泡立ちは、様々な場所で発生し得る。そこで、実施の形態に従う工作機械100は、泡状クーラントを一箇所に集約する機構を有する。
【0024】
図2は、泡状クーラントの集約機構を概略的に示す概念図である。図2に示されるように、工作機械100は、上述の加工エリアARと、タンク11(第1タンク)と、タンク12(第2タンク)と、制御装置50と、ポンプ152,160とを備える。
【0025】
タンク11は、ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するように構成されている。ワークの加工中にはクーラントが泡立つため、タンク11には、液状クーラントCLLだけでなく、泡状クーラントCLBが貯まる。
【0026】
ポンプ152は、タンク11の内部に設けられており、タンク11に貯留しているクーラントを汲み上げるように構成されている。ポンプ152によって汲み上げられたクーラントは、タンク12に送られる。タンク12は、タンク11から送られたクーラントを貯留するように構成されている。
【0027】
制御装置50は、工作機械100の制御するための装置である。制御装置50は、タンク11の内部に発生している泡状クーラントCLBをタンク12に送るようにポンプ152を制御する。これにより、泡状クーラントCLBがタンク12に集められる。したがって、作業者は、泡状クーラントが工作機械100の外部に漏れることを防ぐために、タンク12内にある泡状クーラントCLBに対処するだけでよくなる。作業者は、たとえば、タンク12内に消泡剤を投入することで、泡状クーラントCLBを消失させることができる。
【0028】
好ましくは、工作機械100は、タンク11の内部に貯留している液状クーラントCLLの液面LSがポンプ152の吸い込み口SPを通過するようにポンプ152を制御する。液面LSは、液状クーラントCLLと、泡状クーラントCLBとの境界面に相当する。
【0029】
なお、制御装置50は、液面LSが吸い込み口SPの上側から下側に変化するようにポンプ152を制御してもよいし、液面LSが吸い込み口SPの下側から上側に変化するようにポンプ152を制御してもよい。図2の例では、制御装置50は、液面LSが吸い込み口SPの上側から下側に変化するようにポンプ152を制御している。
【0030】
液状クーラントCLLの液面LSがポンプ152の吸い込み口SPを通過することで、液状クーラントCLLに対して浮いている泡状クーラントCLBが吸い込み口SPから吸引される。その結果、泡状クーラントCLBがタンク11からタンク12により確実に送られる。
【0031】
なお、工作機械100が1つのタンク11のみを備える場合には、液状クーラントCLLの液面LSが吸い込み口SPよりも下側になると、液状クーラントCLLは、加工エリアARに供給されないことになる。この場合、ワークの加工を停止する必要がある。
【0032】
一方で、2つのタンク11,12が工作機械100に設けられることで、液状クーラントCLLの液面LSが吸い込み口SPよりも下側になったとしても、工作機械100は、液状クーラントCLLをタンク12から加工エリアARに供給し続けることができる。そのため、工作機械100は、加工エリアARにクーラントを供給し続けつつ、泡状クーラントCLBをタンク12に集約することができる。
【0033】
<C.チップコンベア150の構成>
次に、図3および図4を参照して、上述の図1に示されるチップコンベア150について説明する。図3は、チップコンベア150の外観を示す図である。図4は、チップコンベア150の断面を示す図である。
【0034】
チップコンベア150は、たとえば、加工エリアを区画形成するカバー体130に併設されている。チップコンベア150は、加工エリアから排出されるワークの切り屑およびクーラントを受ける。
【0035】
チップコンベア150は、上述のタンク11を有する。タンク11は、クーラントを貯留可能なように構成されている。チップコンベア150は、クーラントに含まれているワークの切り屑をチップバケット(図示しない)に搬送するとともに、クーラントを濾過することにより清浄なクーラントをタンク11に排出する。
【0036】
チップコンベア150は、カバー体21をさらに有する。カバー体21は、チップコンベア150の外観を成す。カバー体21は、内部に空間を形成する筐体形状を有する。
【0037】
カバー体21は、その構成部位として、水平部22と、切り屑受け入れ部23と、立ち上がり部26と、排出口27とを有する。
【0038】
水平部22は、タンク11内に載置されている。水平部22は、水平方向に延在する板形状の外観を有する。立ち上がり部26は、水平部22の長手方向における一方端から立ち上がり、斜め上方向に延伸する。
【0039】
切り屑受け入れ部23は、水平部22に設けられている。切り屑受け入れ部23は、水平部22の頂面上に設けられた筐体から構成されている。切り屑受け入れ部23には、接続口24が設けられている。接続口24は、切り屑受け入れ部23を貫通する貫通孔からなる。切り屑受け入れ部23には、接続口24を通じて、切り屑搬送装置13が接続されている。切り屑搬送装置13は、たとえば、一方向に延びる樋体と、その樋体に設置されるスパイラルコンベアとを含んで構成されている。
【0040】
排出口27は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。排出口27は、鉛直下方向に向けて開口するカバー体21の開口部からなる。排出口27の下方には、切り屑を回収するためのチップバケット(図示しない)が設置される。加工エリアから排出されたワークの切り屑は、切り屑受け入れ部23よりカバー体21内に受け入れられる。切り屑は、続いて説明する切り屑搬送機構によりカバー体21の内部で搬送され、排出口27より排出されてチップバケットに回収される。
【0041】
チップコンベア150は、切り屑搬送部35をさらに有する。切り屑搬送部35は、カバー体21に収容されている。切り屑搬送部35は、カバー体21内で切り屑を搬送するための装置である。
【0042】
より具体的には、切り屑搬送部35は、一対の無端チェーン34と、駆動スプロケット37と、従動スプロケット38とを有する。
【0043】
駆動スプロケット37は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。駆動スプロケット37は、排出口27の上方に配置されている。駆動スプロケット37は、図4の紙面に直交する方向(以下、この方向を「チップコンベア150の幅方向」ともいう)に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。駆動スプロケット37には、後述のモータMD(図8参照)の出力軸が連結されている。駆動スプロケット37は、モータMDから動力が伝達されることにより回転する。
【0044】
従動スプロケット38は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部分に設けられている。従動スプロケット38は、チップコンベア150の幅方向に延びる軸(軸AX1)を中心に回転可能に支持されている。
【0045】
一対の無端チェーン34は、チップコンベア150の幅方向に距離を隔てて平行に配置されている。無端チェーン34は、駆動スプロケット37および従動スプロケット38に掛け回されるとともに、複数のガイド部材によって案内されている。駆動スプロケット37が回転すると、無端チェーン34は、図4中の矢印A(ハッチングが付された矢印)に示す方向に回動する。
【0046】
チップコンベア150は、フィルタ機構39をさらに有する。フィルタ機構39は、タンク11の内部に設けられており、加工エリアからタンク11に流れ込んだクーラントから、ワークの切り屑などの異物を除去する。これにより、加工エリアから受け入れたクーラントが濾過され、清浄なクーラントがカバー体21内からタンク11に排出される。
【0047】
フィルタ機構39は、たとえば、ドラムフィルタ46を有する。ドラムフィルタ46は、カバー体21に収容されている。ドラムフィルタ46は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部分に設けられている。ドラムフィルタ46は、外側から内側に流れ込むクーラントから切り屑などの異物を除去するように構成されている。ドラムフィルタ46は、たとえば、円筒形状を有し、その内側に内部空間47を形成している。
【0048】
ドラムフィルタ46は、その中心軸がチップコンベア150の幅方向に延びるように配置されている。ドラムフィルタ46は、その中心軸が、従動スプロケット38の回転中心である軸AX1と一致するように配置されている。ドラムフィルタ46は、軸AX1の軸方向における両端において、従動スプロケット38に接続されている。
【0049】
なお、上述では、フィルタ機構39がドラムフィルタ46を有する例について説明を行ったが、フィルタ機構39は、ドラムフィルタ46に限定されない。一例として、フィルタ機構39は、矩形のフィルタで構成されてもよいし、円形のフィルタで構成されてもよい。
【0050】
カバー体21には、クーラント排出部28が形成されている。クーラント排出部28は、カバー体21を貫通する貫通孔からなる。クーラント排出部28は、ドラムフィルタ46の内部空間47と、カバー体21の外側の外部空間とを連通させるように設けられている。切り屑受け入れ部23を通じてカバー体21内に受け入れられたクーラントは、ドラムフィルタ46の内部空間47に進入することにより濾過される。濾過されたクーラントは、クーラント排出部28を通じてタンク11に排出される。
【0051】
<D.クーラントの循環機構>
次に、図5を参照して、クーラントを循環機構について説明する。図5は、クーラントの循環機構の一例を示す図である。
【0052】
工作機械100は、クーラントの循環機構の構成として、タンク11と、タンク12と、吐出部125と、チップコンベア150と、水位センサ151と、ポンプ152と、水位センサ155と、ポンプ160と、流路R1,R2A~R2C,R3とを含む。
【0053】
吐出部125は、加工エリアARの内部に設けられており、ワークや加工エリアARにクーラントを吐出する。これにより、吐出部125は、ワークの加工により生じた切り屑をチップコンベア150に排出する。吐出部125は、1つ以上の吐出機構で構成される。図5の例では、吐出部125は、吐出機構125A~125Cで構成されている。
【0054】
タンク12には、クーラントが貯蔵されている。タンク12は、流路R1の一端に繋がっている。流路R1の他端は、流路R2A~R2Cに分岐している。
【0055】
流路R2Aは、吐出機構125Aと繋がっている。吐出機構125Aは、たとえば、流路R2Aに繋がっているクーラントノズル(図示しない)を有し、流路R2Aに圧送されたクーラントを当該クーラントノズルから主軸に向けて吐出する。主軸は、工具を回転する工具主軸であってもよいし、ワークを回転するワーク主軸であってもよい。クーラントが主軸に吐出されることで、主軸に付着したワークの切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0056】
流路R2Bは、吐出機構125Bと繋がっている。吐出機構125Bは、加工エリアARの天井に設けられている。吐出機構125Bは、流路R2Bに圧送されたクーラントを加工エリアAR全体に向けて吐出する。これにより、加工エリアAR内にあるワークの切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0057】
流路R2Cは、吐出機構125Cと繋がっている。吐出機構125Cは、流路R2Cに圧送されたクーラントをベッドBDの壁面に向けて吐出する。これにより、ベッドBD上に溜まっている切り屑がチップコンベア150に排出される。
【0058】
ポンプ160は、その駆動に伴って、上述のタンク12に貯留されたクーラントを流路R1に圧送する。これにより、ポンプ160は、タンク12から吐出部125にクーラントを送る。
【0059】
なお、流路R2A~R2Cのそれぞれにはバルブが設けられてもよい。当該バルブは、タンク12から吐出機構125A~125Cに向けて圧送されるクーラントの流量を制御する制御弁である。なお、当該バルブは、必ずしも流路R2A~R2C上に設けられる必要はなく、ポンプ160と一体的に構成されてもよい。
【0060】
上述の通り、チップコンベア150は、タンク11と、フィルタ機構39とを有する。フィルタ機構39は、クーラントに含まれる切り屑などの異物を捕獲可能に構成されている。フィルタ機構39を通過したクーラントは、チップコンベア150のカバー体21内からタンク11に排出される。これにより、タンク11は、加工エリアARに吐出されたクーラントを受ける。
【0061】
タンク11の内部には、水位センサ151が設けられている。好ましくは、水位センサ151は、フィルタ機構39を通過するクーラントの流れの方向においてフィルタ機構39よりも下流側に配置される。水位センサ151としては、タンク11内の液状クーラントの水位に相関する物理量を検出可能なセンサであれば任意の種類のセンサが採用され得る。一例として、水位センサ151は、フロートスイッチであってもよいし、重量センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。
【0062】
また、タンク11には、クーラントを汲み上げるためのポンプ152が設けられている。好ましくは、ポンプ152は、フィルタ機構39を通過するクーラントの流れの方向においてフィルタ機構39よりも下流側のクーラントを汲み上げるように構成されている。ポンプ152は、フィルタ機構39を通過したクーラントを汲み上げ、流路R3を通じて当該クーラントをタンク12に送る。タンク12内のクーラントは、ポンプ160によって流路R1を再び圧送される。
【0063】
タンク12の内部には、水位センサ155が設けられている。水位センサ155は、タンク12内の泡状クーラントの上面の高さを検出するためのセンサである。水位センサ155としては、タンク12内の泡状クーラントの上面の高さに相関する物理量を検出可能なセンサであれば任意の種類のセンサが採用され得る。一例として、水位センサ155は、距離センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。
【0064】
<E.ポンプ152の制御態様>
次に、図6を参照して、上述のポンプ152の制御態様について説明する。図6は、ポンプ152の制御モードの一例であるON/OFF制御モードを説明するための図である。
【0065】
ON/OFF制御モードでは、制御装置50は、タンク11内の水位CHが閾値th1,th2の間で増減するようにポンプ152を制御する。
【0066】
より具体的には、まず、制御装置50は、ポンプ152をOFFにする。これにより、タンク11からタンク12へのクーラントの排出が停止する。一方で、制御装置50は、加工中には上述のポンプ160を駆動し続ける。これにより、タンク12のクーラントが工作機械100内の加工エリアARに吐出され、ワークの加工に使用されたクーラントは、タンク11に貯留する。結果として、タンク11内のクーラント量は増加していき、タンク12内のクーラント量は減少していく。このとき、制御装置50は、タンク11内における水位CHを上述の水位センサ151から定期的に取得し、水位CHが閾値th1を上回ったか否かを判断する。閾値th1は、ポンプ152の吸い込み口SPの位置よりも高い位置に設定されている。閾値th1は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0067】
制御装置50は、水位CHが閾値th1を上回ったと判断した場合、ポンプ152を駆動する。このとき、制御装置50は、タンク11からタンク12へのクーラントの排出量がタンク12から加工エリアARへのクーラントの吐出量よりも多くなるようにポンプ152を制御する。一例として、制御装置50は、設定可能な内の最大回転数(たとえば、50Hz~60Hz)でポンプ152を駆動する。これにより、タンク11内のクーラント量は減少していき、タンク12内のクーラント量は増加していく。
【0068】
次に、制御装置50は、上述の水位センサ151の出力値に基づいて、タンク11内における水位CHが閾値th2を下回ったか否かを判断する。閾値th2は、ポンプ152の吸い込み口SPの位置よりも低い位置に設定されている。閾値th2は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御装置50は、タンク11内のクーラント量が閾値th2を下回ったと判断した場合、ポンプ152の駆動を停止する。
【0069】
以上のように、制御装置50は、ON/OFF制御モードでは、タンク11内の水位CHが閾値th1,th2の間で増減するようにポンプ152を制御する。これにより、タンク11内の液面の高さが変動し、タンク11内の液面に浮遊している油や、泡状クーラントCLBが、ポンプ152の吸い込み口SPからタンク12に排出される。
【0070】
<F.フロートポンプ170>
次に、図7を参照して、タンク12に設けられているフロートポンプ170について説明する。図7は、フロートポンプ170を説明するための図である。
【0071】
図7に示されるように、タンク12の内部にはフロートポンプ170が設けられている。フロートポンプ170は、タンク12の内部に貯留している液状クーラントCLLに対して浮くように構成されているフロート式のポンプである。フロートポンプ170は、液状クーラントCLLの液面に浮いているため、液状クーラントCLL上に浮遊している油分や、泡状クーラントCLBを吸引することができる。
【0072】
吸引された油分や泡状クーラントCLBは、フロートポンプ170に接続されている排出管(図示しない)を通じて、工作機械100の外部に排出される。好ましくは、吸引された油分や泡状クーラントCLBは、異物の分離装置に排出される。異物が分離されたクーラントは、ワークの加工に再利用される。
【0073】
<G.駆動機構>
次に、図8を参照して、工作機械100における各種の駆動機構について説明する。図8は、工作機械100における駆動機構の構成例を示す図である。
【0074】
図8に示されるように、工作機械100は、駆動機構に係る構成として、制御装置50と、モータドライバ111A~111Dと、モータMA~MDと、上述のポンプ152,160と、上述のフロートポンプ170と、上述のチップコンベア150とを含む。
【0075】
上述のように、ポンプ152は、流路R3(図5参照)にクーラントを圧送するための装置である。ポンプ152には、モータMAが接続されている。モータMAは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0076】
モータMAは、モータドライバ111Aによって駆動される。モータドライバ111Aは、制御回路およびインバータなどで構成される。モータドライバ111Aは、制御装置50から制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた周波数の交流電流をモータMAに出力する。これにより、モータMAの回転数が変化し、上述の流路R3に圧送されるクーラントの流量が制御される。
【0077】
上述のように、ポンプ160は、流路R1(図5参照)にクーラントを圧送するための装置である。ポンプ160には、モータMBが接続されている。モータMBは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0078】
モータMBは、モータドライバ111Bによって駆動される。モータドライバ111Bは、制御回路およびインバータなどで構成される。モータドライバ111Bは、制御装置50から制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた周波数の交流電流をモータMBに出力する。これにより、モータMBの回転数が変化し、上述の流路R1に圧送されるクーラントの流量が制御される。
【0079】
上述のように、フロートポンプ170は、タンク12の内部に貯留している液状クーラントCLLに対して浮くように構成されているフロート式のポンプである。フロートポンプ170には、モータMCが接続されている。モータMCは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0080】
モータMCは、モータドライバ111Cによって駆動される。モータドライバ111Cは、制御回路およびインバータなどで構成される。モータドライバ111Cは、制御装置50から制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた周波数の交流電流をモータMCに出力する。これにより、モータMCの回転数が変化し、タンク12から吸い上げられるクーラントの流量が制御される。
【0081】
上述のチップコンベア150(図4参照)には、モータMDが接続されている。モータMDは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0082】
モータMDは、モータドライバ111Dによって駆動される。モータドライバ111Dは、制御回路およびインバータなどで構成される。モータドライバ111Dは、制御装置50から制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた周波数の交流電流をモータMDに出力する。これにより、モータMDの回転数が変化し、チップコンベア150におけるコンベアの回転速度が制御される。
【0083】
<H.制御装置50>
次に、図9を参照して、上述の制御装置50について説明する。図9は、制御装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0084】
制御装置50は、工作機械100を制御するための装置である。制御装置50の装置構成は、任意である。制御装置50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。一例として、制御装置50は、PLC(Programmable Logic Controller)と、CNC(Computer Numerical Control)との少なくとも1つを含む。
【0085】
制御装置50は、制御回路201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、通信インターフェイス204,205と、補助記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス209に接続される。
【0086】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0087】
制御回路201は、制御プログラム222などの各種プログラムを実行することでCPUユニット20の動作を制御する。制御プログラム222は、工作機械100内の各種装置を制御するための命令を規定している。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0088】
通信インターフェイス204は、LAN(Local Area Network)ケーブル、WLAN(Wireless LAN)、またはBluetooth(登録商標)などを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。
【0089】
通信インターフェイス205は、フィールドネットワークを用いて外部機器と定周期通信を行なうためのインターフェイスである。フィールドネットワークとしては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。制御装置50は、たとえば、通信インターフェイス305を介して、上述のポンプ152、上述のポンプ160、および上述のフロートポンプ170などとの通信を実現する。
【0090】
補助記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置220は、制御プログラム222および設定パラメータ224などの各種情報を格納する。設定パラメータ224には、制御プログラム222の実行時に参照される各種パラメータが規定される。一例として、設定パラメータ224は、上述の閾値th1,th2(図6参照)や後述の閾値th3(図11参照)などを規定している。
【0091】
制御プログラム222および設定パラメータ224の格納場所は、補助記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0092】
なお、制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット20が構成されてもよい。
【0093】
<I.ポンプ制御処理に係るフローチャート>
次に、図10を参照して、上述の図6で説明したON/OFF制御のフローについて説明する。図10は、ON/OFF制御の流れを示すフローチャートである。
【0094】
図10に示される処理は、制御装置50が上述の制御プログラム222を実行することにより行われる。なお、図10に示される処理の一部または全部は、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0095】
ステップS110において、制御装置50は、上述のポンプ152をOFFにする。これにより、タンク11からタンク12へのクーラントの排出が停止する。一方で、制御装置50は、加工中には上述のポンプ160を駆動し続ける。結果として、タンク11内のクーラント量は増加していき、タンク12内のクーラント量は減少していく。
【0096】
ステップS120において、制御装置50は、上述の水位センサ151の出力値に基づいて、タンク11内の水位CHが閾値th1を超えたか否かを判断する。上述のように、閾値th1は、ポンプ152の吸い込み口SPの位置よりも高い位置に設定されている。制御装置50は、タンク11内の水位CHが閾値th1を超えたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御装置50は、ステップS120の処理を再び実行する。
【0097】
ステップS122において、制御装置50は、上述のポンプ152をONにする。これにより、タンク11内のクーラントは、タンク12に排出される。一方で、制御装置50は、加工中には上述のポンプ160を駆動し続ける。このとき、制御装置50は、タンク11からタンク12へのクーラントの排出量がタンク12から加工エリアARへのクーラントの吐出量よりも多くなるようにポンプ152を制御する。結果として、タンク11内のクーラント量は減少していき、タンク12内のクーラント量は増加していく。
【0098】
ステップS130において、制御装置50は、上述の水位センサ151の出力値に基づいて、タンク11内の水位CHが閾値th2を下回ったか否かを判断する。上述のように、閾値th2は、ポンプ152の吸い込み口SPの位置よりも低い位置に設定されている。制御装置50は、タンク11内の水位CHが閾値th2を下回ったと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御装置50は、ステップS130の処理を再び実行する。
【0099】
<J.異常監視処理に係るフローチャート>
上述のように、工作機械100は、泡状クーラントCLBをタンク11からタンク12に集約する。このとき、工作機械100は、タンク12内における泡状クーラントCLBの量を監視し、泡状クーラントCLBの量が閾値に達した場合に、予め定められた異常対処処理を実行する。
【0100】
以下では、図11を参照して、当該異常監視処理に係る制御のフローについて説明する。図11は、異常監視処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
図11に示される処理は、制御装置50が上述の制御プログラム222を実行することにより行われる。なお、図11に示される処理の一部または全部は、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0102】
ステップS150において、制御装置50は、上述の水位センサ155の出力値に基づいて、タンク12内の泡状クーラントの上面の高さが所定の閾値th3に達したか否かを判断する。制御装置50は、タンク12内の泡状クーラントの上面の高さが所定の閾値th3に達したと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS152に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御装置50は、ステップS150の処理を再び実行する。
【0103】
ステップS152において、制御装置50は、予め定められた異常対処処理を実行する。一例として、当該異常対処処理は、タンク12内の泡状クーラントの量が許容量を超えたことを作業者に知らせるための報知処理を含む。当該報知処理は、たとえば、異常発生を示すメッセージを上述のディスプレイ306に表示することで実現される。あるいは、当該報知処理は、工作機械100に設けられている異常ランプ(図示しない)を点灯することで実現される。
【0104】
異常対処処理の他の例として、制御装置50は、上述のフロートポンプ170(図7参照)の駆動を開始する処理を含む。これにより、タンク12に溜まっている泡状クーラントがタンク12の外部に排出される。なお、フロートポンプ170は、異常対処処理時にのみ駆動されていてもよいが、常に駆動されていてもよい。
【0105】
異常対処処理の他の例として、制御装置50は、工作機械100を停止する処理を含む。これにより、工作機械100は、泡状クーラントがタンク12から溢れることを防止することができる。
【0106】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
11 タンク、12 タンク、13 切り屑搬送装置、20 CPUユニット、21 カバー体、22 水平部、23 切り屑受け入れ部、24 接続口、26 立ち上がり部、27 排出口、28 クーラント排出部、34 無端チェーン、35 切り屑搬送部、37 駆動スプロケット、38 従動スプロケット、39 フィルタ機構、46 ドラムフィルタ、47 内部空間、50 制御装置、100 工作機械、111A モータドライバ、111B モータドライバ、111C モータドライバ、111D モータドライバ、125 吐出部、125A 吐出機構、125B 吐出機構、125C 吐出機構、130 カバー体、150 チップコンベア、151 水位センサ、152 ポンプ、155 水位センサ、160 ポンプ、170 フロートポンプ、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 通信インターフェイス、209 内部バス、220 補助記憶装置、222 制御プログラム、224 設定パラメータ、300 操作盤、305 通信インターフェイス、306 ディスプレイ、AR 加工エリア、AX1 軸、BD ベッド、CH 水位、CLB 泡状クーラント、CLL 液状クーラント、LS 液面、MA モータ、MB モータ、MC モータ、MD モータ、R1 流路、R2A 流路、R2B 流路、R2C 流路、R3 流路、SP 吸い込み口、th1 閾値、th2 閾値、th3 閾値。
【要約】
【課題】様々な場所で発生した泡状のクーラントに対処するための技術を提供する。
【解決手段】ワークを加工することが可能な工作機械は、ワークの加工に使用されたクーラントを貯留するための第1タンクと、第1タンクに貯留しているクーラントを汲み上げるためのポンプと、ポンプによって汲み上げられたクーラントを貯留するための第2タンクと、第1タンクの内部に発生している泡とクーラントとを第2タンクに送るようにポンプを制御するための制御装置とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11