(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20241031BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D21/02 410
(21)【出願番号】P 2024108587
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2023189760の分割
【原出願日】2023-11-07
【審査請求日】2024-07-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物の配布日 2023年9月29日:リスパック総合カタログ2023-2024 2023年10月11日: 新商品速報集 2023秋 2023年9月20日: バイオリデュー商品チラシ 2023年10月3日: 2023秋NEXT 単品写真集、展示写真集 ウェブサイトのアドレス 2023年10月4日、2023年10月5日:リスパックインスタライブ:risupack_official_jp 2023年9月29日:リスパック総合カタログ2023-2024:https://www.risupacknext.com/risupack_blog/%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%97 2023年10月3日:新商品速報集 2023秋:https://www.risupacknext.com/risupack_blog/%E6%96%B0%E5%95%86%E5%93%81%E9%80%9F%E5%A0%B1%E9%9B%86-2023%E7%A7%8B 2023年9月20日:バイオリデュー商品チラシ:https://www.risupacknext.com/risupack_blog/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BC-%E5%95%86%E5%93%81%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7 2023年10月16日:インスタライブ見逃し配信動画 :https://www.risupacknext.com/risupack_blog/next2023autumn_instalive?_gl=1▲*▼1cdps4f▲*▼_ga▲*▼MTUzNjY2MjMzMy4xNjUzOTc1NzQ5▲*▼_ga_7YWYFV7LQT▲*▼MTY5OTMzNzAyMC41LjEuMTY5OTMzNzAyMS4wLjAuMA..%EF%BC%89
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会の日付及び場所 公開した場所 RISUPACK NEXT 2023 秋 2023年9月20日~9月21日 大阪会場:マイドームおおさか 3F(大阪市中央区本町橋2番5号) 2023年9月26日~9月27日 名古屋会場:名古屋国際会議場 白鳥ホール(名古屋市熱田区熱田西町1番1号) 2023年9月29日 広島会場:広島コンベンションホール3F大ホール(広島市東区二葉の里3丁目5番地4号) 2023年10月3日~10月5日 東京会場:TRC東京流通センター2階Fホール(大田区平和島6-1-1) 2023年10月11日 仙台会場:サンフェスタ仙台 101号室(仙台市若林区卸町二丁目15番地の2) 2023年10月24日 福岡会場:博多国際展示場401(福岡市博多区東光2丁目22番15号) 2023年10月31日 札幌会場:ホテルエミシア札幌3Fバレスホール(札幌市厚別区厚別中央2条5丁目5-25) 公開した場所 FABEX関西2023 2023年10月11日~10月13日 インテックス大阪1・2号館(大阪府大阪市住之江区南港北1丁目5-102) 公開した場所 しまなみPACK2023 2023年10月25日~10月26日 広島県立ふくやま産業交流館 福山ビッグローズ(広島県福山市御幸町上岩成476-5字正戸476-5) 販売した日付及び場所 販売日 2023年10月17日 販売した場所 株式会社ケーホーソー(京都府京都市山科区大宅関生町60) ユータック株式会社(愛知県名古屋市中川区柳川町14-23)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 叶子
(72)【発明者】
【氏名】林 泰平
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128359(JP,A)
【文献】特開2006-103725(JP,A)
【文献】実開昭62-52128(JP,U)
【文献】実開昭60-63389(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートで成形される容器本体を備えた包装用容器であって、
前記包装用容器は、平面視略多角形であり、
前記容器本体を積み重ねた際に、容器本体同士のはまり込みを防止するスタック機構が、異なる2 つの形態で設けられており、
前記容器本体は底面と側面を備え、
前記スタック機構の形態の一方が、前記底面の辺部に設けたスタック用凸リブであり、
前記底面には、前記底面の一部が上方へ突出する補強部が設けられ、
前記スタック用凸リブは、前記側面と前記補強部に接続されており、
前記スタック機構の形態の他方が、本体側フランジ部の内側の段差部のコーナー部付近に設けたスタック用凹部であり、
前記容器本体を積み重ねた際に、上側の前記容器本体の底面が、下側の前記容器本体の前記スタック用凸リブの上に載置され、
さらに、上側の前記容器本体の前記スタック用凹部が、下側の前記容器本体の前記段差部の上に当接することを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記スタック用凸リブは、前記底面から上方へ向けて略垂直に延びる立上面を備え、
前記スタック用凸リブの上端の幅が、前記スタック用凸リブの上端の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記スタック用凸リブの上端の容器内側が、切り欠かれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
厚さが0.10mmから0.25mm以下の合成樹脂シートで成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記容器本体に嵌合可能な蓋体を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜等の食品を収容する包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。そして、包装用容器は合成樹脂シートで成形されており、近年は環境に配慮してプラスチックの使用量を減らすために、薄肉化する傾向にある。ただ、薄肉化することにより、包装用容器の強度が下がってしまう。すると、包装用容器の利用時、例えば、包装用容器を積み重ねて使用する時、包装用容器を蓋体で密閉する時など、包装用容器に外力が加わって、包装用容器が変形するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、薄肉化しても変形しにくい包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、合成樹脂シートで成形される容器本体を備えた包装用容器であって、前記容器本体を積み重ねた際に、容器本体同士のはまり込みを防止するスタック機構が、異なる2つの形態で設けられていることを特徴とする。
【0005】
上記特徴によれば、容器本体がスタックする箇所が増え、1つのスタック機構にかかる力を分散させることができる。これにより、薄肉化した包装用容器において、上方から外力が加わっても、スタック機構やその周辺の容器本体が変形することを防止できる。
【0006】
さらに、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記容器本体において、底面を備え、前記スタック機構の形態の1つが、前記底面から上方へ向けて突出するスタック用凸リブであることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、スタック用凸リブによって、上方から外力が加わっても、スタック機構やその周辺の容器本体が変形することを防止できる。
【0008】
さらに、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記底面には、前記底面から上方へ向けて突出する補強部が設けられ、前記スタック用凸リブは、前記側面と前記補強部に接続されており、前記容器本体を積み重ねた際に、上側の前記容器本体の底面が、下側の前記容器本体の前記スタック用凸リブの上に載置されることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、包装用容器の利用時(例えば、包装用容器を積み重ねて使用する時)に、上側の容器本体の底面が、下側の容器本体のスタック用凸リブ上に載置されて支持されるので、上方から外力が加わっても、容器本体が変形することを防止できる。
【0010】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記スタック用凸リブは、前記底面から上方へ向けて略垂直に延びる立上面を備え、前記スタック用凸リブの上端の幅が、前記スタック用凸リブの上端の長さよりも短いことを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、スタック用凸リブは、底面から略垂直に上下方向に延びる立上面を備えているので、上方からの外力に強く、潰れにくい。また、下側の容器本体の幅が狭いスタック用凸リブでは、上側の容器本体の底面を上方へ押し返す力が強くなるため、容器本体同士が嵌まり込むことを効果的に防止できる。
【0012】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、前記スタック用凸リブの上端の内側が、切り欠かれていることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、スタック用凸リブの内側は切り欠かれているので、箸等が引っ掛かることを防止でき、箸通りが良くなる。
【0014】
さらに、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記包装用容器は、平面視略多角形であり、前記スタック用凸リブは、前記底面の辺部に設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、容器本体の辺部はコーナー部よりも撓みやすいので、スタック用凸リブを容器本体の辺部に配置することで、辺部の撓みを抑制できる。よって容器本体を積み重ねた際に、容器本体が変形して容器本体同士が深く嵌まり込むことを効果的に防止できる。
【0016】
さらに、本願発明に係る包装用容器は、合成樹脂シートで成形される容器本体を備えた平面視略多角形の包装用容器であって、コーナー部を備える側面を備え、前記コーナー部では、前記側面の上下方向の全高に沿って延出する縦リブを複数備え、前記縦リブは、太さの異なる細縦リブと太縦リブを備えていることを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、通常、縦リブが太いほうが上方からの外力に強いが、太い縦リブをシート成形すると、縦リブを成形する部分の合成樹脂シートが、局所的に引き延ばされて薄くなり、縦リブの強度が弱くなる。そこで、細縦リブと太縦リブの両方を設けることで、シートの引き延ばしが軽減され、縦リブ全体の強度が維持できるため、容器本体が変形することを防止できる。
【0018】
さらに、本願発明に係る包装用容器は、前記側面のコーナー部の中央側には前記太縦リブが、前記側面のコーナー部の端部側には前記細縦リブが、配置されていることを特徴とする。
【0019】
上記特徴によれば、コーナー部の中央側に、上方からの外力に強い太縦リブを配置することで、包装用容器の利用時(例えば、包装用容器を蓋体で密閉する時)に、コーナー部周辺が潰れにくくなる。さらに、コーナー部の端部側に、細縦リブを配置することで、コーナー部周辺が潰れにくくなることを見出した。その結果、容器本体を薄肉化しても容器本体が変形することを効果的に防止できる。
【0020】
さらに、本願発明に係る包装用容器は、前記細縦リブと前記太縦リブは、交互に配置されていることを特徴とする。
【0021】
上記特徴によれば、容器本体のシート成形時に、縦リブを成形する部分の合成樹脂シートが、局所的に引き延ばされすぎないようにして、縦リブ全体の強度を効果的に維持している。
【0022】
さらに、本願発明に係る包装用容器は、合成樹脂シートで成形され、容器本体と蓋体とからなる平面視略多角形の包装用容器であって、前記容器本体は、本体側フランジ部と、前記本体側フランジ部の内側に段差部と、前記段差部のコーナー部付近にスタック用凹部と、を備え、前記蓋体は、前記本体側フランジ部と嵌合する蓋体側フランジ部と、前記段差部に近接する平坦面を備え、前記段差部の幅は、前記容器本体の辺部より前記容器本体のコーナー部付近の方が広いことを特徴とする。
【0023】
上記特徴によれば、コーナー部周辺の段差部の幅を広くしているので、包装用容器の利用時(例えば、包装用容器を積み重ねて使用する時)に、上側の容器本体のスタック用凹部が内側にズレても、スタック用凹部が、下側の容器本体の段差部から落ちにくく、容器本体が変形することを効果的に防止できる。
【0024】
さらに、本願発明の請求項4に係る包装用容器は、厚さが0.10mmから0.25mmの合成樹脂シートで成形されていることを特徴とする。
【0025】
上記特徴によれば、厚さが0.10mmから0.25mmの薄肉の合成樹脂シートを用いてシート成形しても、容器本体が変形しにくい。
【発明の効果】
【0026】
本願発明の包装用容器は、薄肉化しても変形しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願発明の包装用容器の容器本体の全体斜視図である。
【
図3】(a)は、スタック用凸リブ周辺の拡大斜視図、(b)は、スタック用凸リブ周辺の拡大平面図、(c)は、A―A端面図、(d)は、B―B端面図である。
【
図4】(a)は、コーナー部周辺の拡大斜視図、(b)は、コーナー部周辺の拡大平面図、(c)は、C―C断面図である。
【
図5】(a)は、本願発明の包装用容器の蓋体の全体斜視図、(b)は、蓋体の側面図、(c)は、D―D端面図である。
【
図6】容器本体を積み重ねた状態のコーナー部周辺の縦端面図である。
【
図7】容器本体に蓋体を取り付けた状態の包装用容器の辺部周辺の縦端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「容器内側」とは容器の中心に向かう方向のことである。
【0029】
まず、
図1から
図4には、本願発明の包装用容器の容器本体100を示す。なお、
図1は、容器本体100の全体斜視図、
図2は、容器本体100の平面図、
図3(a)は、スタック用凸リブ160周辺の拡大斜視図、
図3(b)は、スタック用凸リブ160周辺の拡大平面図、
図3(c)は、A―A端面図、
図3(d)は、B―B端面図、
図4(a)は、コーナー部103周辺の拡大斜視図、
図4(b)は、コーナー部103周辺の拡大平面図、
図4(c)は、C―C断面図である。
【0030】
図1に示すように、容器本体100は、上方に開口した浅皿型形状であり、短尺の辺部101と長尺の辺部102と、辺部101と辺部102の間のコーナー部103を備えた平面視略長方形となっている。また、容器本体100は、平坦な底面110と、当該底面110の外周111から立ち上がるように形成された側壁120と、当該側壁120の上端の本体側フランジ部130とを備える。また、本体側フランジ部130の内側には、本体側フランジ部130よりも下側に段差部140が設けられている。本体側フランジ部130には、後述する蓋体200が内外嵌合する容器側嵌合部170が設けられている。そして、この側壁120、本体側フランジ部130、段差部140、及び容器側嵌合部170は、容器本体100の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、容器側嵌合部は不連続であったり、蓋体と内嵌合する形状であってもよい。
【0031】
また、底面110には、底面110から上方へ突出する補強部150が設けられている。この補強部150は、底面110を補強するもので、底面110の周方向へ連続して設けられている。なお、補強部150は、底面110の周方向へ連続して設けられているが、これに限定されず、底面110の任意の箇所に任意の形状で設けられてもよい。例えば、補強部150は、底面の一部が上方へ突出した底上げ形状や、不連続なリブ、円形または多角形の凸ボッチ形状など、スタック用凸リブと接触できる高さの凸部であればよい。
【0032】
また、底面110には、底面110から上方へ突出するスタック用凸リブ160が設けられている。スタック用凸リブ160は、容器本体同士のはまり込みを防止するスタック機構である。スタック機構は、異なる2つの形態の、スタック用凸リブ160と後述するスタック用凹部180で構成されている。
図3に示すように、スタック用凸リブ160の内端161は補強部150に連続しており、スタック用凸リブ160の外端162は側壁120に連続している。また、スタック用凸リブ160は、底面110から上方へ向けて略垂直に延びる立上面163を備えている。そして、スタック用凸リブ160の上端164の幅L1は、スタック用凸リブ160の上端164の長さL2よりも、短くなっている。なお、スタック用凸リブ160の上端164の幅L1とは、容器本体100の平面視において側壁120と平行方向の距離のことであり、スタック用凸リブ160の上端164の長さL2とは、容器本体100の平面視において側壁120と直角方向の距離のことである。
【0033】
また、スタック用凸リブ160の上端164の内側は切り欠かれて、凹部165となっている。スタック用凸リブ160が補強部150よりも高い場合は、底面110上の食品を箸等ですくう際に、スタック用凸リブ160に箸が引っ掛かる虞がある。ただ、スタック用凸リブ160の内側は切り欠かれているので、箸等が引っ掛かることを防止でき、箸通りが良くなる。なお、スタック用凸リブ160は、補強部150よりも高くなっているが、これに限定されず、スタック用凸リブ160は補強部150と同じ高さ、又は、スタック用凸リブ160は補強部150よりも低くてもよい。また、切り欠きは傾斜した直線だけでなく、円弧や階段状であってもよい。
【0034】
また、スタック用凸リブ160は、容器本体100の辺部(101、102)に設けられており、コーナー部103には設けられていない。容器本体100の辺部(101、102)はコーナー部103よりも撓みやすいので、スタック用凸リブ160を容器本体100の辺部(101、102)に配置することで、辺部の撓みを抑制できる。よって容器本体100を積み重ねた際に、容器本体100が変形して容器本体100同士が深く嵌まり込むことを効果的に防止できる。
【0035】
また、
図4に示すように、段差部140のコーナー部103付近には、スタック用凹部180が設けられている。スタック用凹部180は、容器本体同士のはまり込みを防止するスタック機構である。そして、スタック用凹部180は、スタック用凸リブ160とは異なる形態となっており、具体的には、このスタック用凹部180は、段差部140の下方に配置され、外側へ凹んだ形状をしている。ここで、容器本体100を薄肉化すると、容器本体100がスタックした際などにかかる力によって、容器本体100が変形しやすくなるが、異なる2つの形態のスタック機構を備えることで、容器本体100がスタックする箇所が増え、1つのスタック機構にかかる力を分散させることができる。これにより、上方から外力が加わっても、スタック機構やその周辺の容器本体が変形することを防止できる。また、容器本体100のコーナー部103では、側壁120の上下方向の全高に沿って延出する縦リブ190が複数設けられている。
【0036】
縦リブ190は、太縦リブ191と細縦リブ192を備えている。太縦リブ191は、細縦リブ192よりも幅が太いリブとなっている。そして、太縦リブ191はコーナー部103の中央104側に配置され、細縦リブ192はコーナー部103の端部105側に配置されている。容器本体100のコーナー部103は、後述する蓋体200を嵌合させて密閉する際に、指で押されやすい部分であるため、上方から外力がかかりやすい。そのため、コーナー部103の中央104側に、上方からの外力に強い太縦リブ191を配置することで、コーナー部103周辺が潰れにくくなる。その結果、容器本体100を薄肉化しても容器本体100が変形することを効果的に防止できる。一方で、コーナー部103の端部105に細縦リブ192を配置することで、コーナー部103周辺が潰れにくくなることを見出した。その結果、容器本体100を薄肉化しても容器本体100が変形することを効果的に防止できる。
【0037】
また、太縦リブ191は、幅が広いため表面積が大きい。そのため、容器本体100のシート成形時に、太縦リブ191を成形する部分の合成樹脂シートは大きく引き延ばされてより薄肉化されることから、太縦リブ191自体の強度は弱くなりやすい。一方で、細縦リブ192は、太縦リブ191よりも幅が狭いため表面積が小さい。そのため、容器本体100のシート成形時に、細縦リブ192を成形する部分の合成樹脂シートは、太縦リブ191よりは引き延ばされないから、細縦リブ192自体の強度が維持されやすい。そこで、太縦リブ191と細縦リブ192の両方を設けることで、容器本体100のシート成形時に、シートの引き延ばしが軽減され、縦リブ全体の強度が維持できるため、容器本体が変形することを防止できる。さらに、
図4に示すように、コーナー部103の中央104に細縦リブ192を更に設けて、太縦リブ191と細縦リブ192を交互に配置した。これにより、容器本体100のシート成形時に、縦リブ190を成形する部分の合成樹脂シートが、局所的に引き延ばされすぎないようにして、縦リブ190全体の強度を効果的に維持している。
【0038】
また、
図4(b)に示すように、コーナー部103側に配置されたスタック用凹部180周辺の段差部140の幅L3は、スタック用凹部180から離れた辺部102側の段差部140の幅L4よりも、広くなっている(幅L3>幅L4)。
【0039】
なお、容器本体100は、厚さが0.10mmから0.25mm(ミリメートル)程度の薄肉の合成樹脂シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、容器本体100の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたもの、紙や金属などを用いることができる。特に、本願発明の容器本体100では、厚さが0.25mm以下の薄肉の合成樹脂シートを用いてシート成形しても、後述するように、容器本体100が変形しにくい。また、容器本体100は、平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略楕円形、平面視略多角形など、任意の形状であってもよい。
【0040】
次に、
図5には、本願発明の包装用容器の蓋体200を示す。なお、
図5(a)は、蓋体200の全体斜視図、
図5(b)は、蓋体200の側面図、
図5(c)は、D―D端面図である。
【0041】
図5に示すように、蓋体200は、下方に開口した浅皿型形状であり、短尺の辺部201と長尺の辺部202と、辺部201と辺部202の間のコーナー部203を備えた平面視略長方形となっている。また、蓋体200は、平坦な天面210と、当該天面210の外周211から下方へ連続する側壁220と、当該側壁220の下端の蓋体側フランジ部230とを備える。また、蓋体側フランジ部230の内側には、蓋体側フランジ部230よりも下側に平坦面240が設けられている。蓋体側フランジ部230には、容器本体100の容器側嵌合部170に内外嵌合する蓋体側嵌合部270が設けられている。そして、この側壁220、蓋体側フランジ部230、平坦面240、及び蓋体側嵌合部270は、蓋体200の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、蓋体側嵌合部は不連続であったり、容器本体と内嵌合する形状であってもよい。
【0042】
なお、蓋体200は、厚さが約0.22mmから0.25mm(ミリメートル)程度の薄肉の合成樹脂シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたもの、紙や金属などを用いることができる。また、蓋体200は、平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略楕円形、平面視略多角形など、任意の形状であってもよい。
【0043】
次に、
図6には、容器本体100を積み重ねた状態のコーナー部103周辺の縦端面図、
図7には、容器本体100に蓋体200を取り付けた状態の包装用容器300の辺部102周辺の縦端面図を示す。
図6に示すように、容器本体100が積み重ねられた際には、上側の容器本体100のスタック用凹部180が、下側の容器本体100の段差部140の上に当接する。そのため、容器本体100同士が深く嵌まり込んで、容器本体100を取り出しにくくなることを防止している。また、
図7に示すように、包装用容器300を密閉するように、容器本体100に蓋体200を取り付けた際は、蓋体200の蓋体側フランジ部230が容器本体100の本体側フランジ部130に密着して嵌合している。蓋体200の平坦面240は、容器本体100の段差部140に近接しているので、外部からの異物等の侵入を防止できる。なお、容器本体100の段差部140と蓋体200の平坦面240の間は、2mm以下であることが好ましい。
【0044】
ここで、容器本体100を構成する合成樹脂シートを薄肉化した場合、容器本体100の剛性が低くなるので、容器本体100のコーナー部103周辺に外力が集中した際に、スタック用凹部180が潰れたり、スタック用凹部180が内側にズレたりして、容器本体100が変形することで、容器本体100同士が深く嵌まり込んでしまう虞がある。
【0045】
しかしながら、
図6に示すように、コーナー部103周辺の段差部140の幅L3を広くしているので、スタック用凹部180が内側にズレても、スタック用凹部180が段差部140から落ちにくく、容器本体100が変形することを効果的に防止できる。その結果、容器本体100が変形して容器本体100同士が深く嵌まり込んで、容器本体100を取り出しにくくなることを防止している。一方で、段差部140の幅を広くすると、それだけ、容器本体100の段差部140と蓋体200の平坦面240の間に、容器本体100に収容された食品等が噛み込み易くなる。そこで、
図7に示すように、コーナー部103以外の辺部102では、段差部140の幅L4を幅L3よりも狭くしたことで、食品等が噛み込むことを効果的に防止している。
【0046】
また、
図6に示すように、上側の容器本体100の底面110が、下側の容器本体100のスタック用凸リブ160上に載置されて支持されるので、上方から外力が加わっても、容器本体100が変形することを防止でき、その結果、容器本体100同士が深く嵌まり込むことを防止できる。また、スタック用凸リブ160は、側壁120と補強部150をつなぐように設けられている。そして、スタック用凸リブ160が上方から押されて下方へ撓む場合があっても、作用反作用の法則により、側壁120と補強部150が、スタック用凸リブ160を両側から引っ張るため、スタック用凸リブ160が潰れにくく、多少潰れても、元の形状に復帰しやすい。
【0047】
また、
図3に示すように、スタック用凸リブ160は、底面110から略垂直に上下方向に延びる立上面163を備えているので、上方からの外力に強く、潰れにくい。また、スタック用凸リブ160の上端164の幅L1は、上端164の長さL2よりも短くなっている。そのため、
図6に示すように、スタック用凸リブ160の上端164と、積み重ねられた上側の容器本体100の底面110との接触面積が小さくなることから、上側の容器本体100の底面110にかかる圧力(単位面積あたりにかかる圧力)が大きくなる。すると、下側の容器本体100の幅が狭いスタック用凸リブ160では、上側の容器本体100の底面110を上方へ押し返す力が強くなるため、容器本体100同士が嵌まり込むことを効果的に防止できる。
【0048】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0049】
100 容器本体
110 底面
120 側面
150 補強部
160 スタック用凸リブ
300 包装用容器
【要約】
【課題】
薄肉化しても変形しにくい包装用容器を提供する。
【解決手段】
合成樹脂シートで成形される容器本体100を備えた包装用容器300であって、容器本体100を積み重ねた際に、容器本体100同士のはまり込みを防止するスタック機構が、異なる2つの形態で設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1