(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 1/30 20060101AFI20241101BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20241101BHJP
B65B 61/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65B1/30 C
A61J3/00 310F
B65B61/02
(21)【出願番号】P 2022199636
(22)【出願日】2022-12-14
【審査請求日】2024-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-131551(JP,A)
【文献】実開昭49-142390(JP,U)
【文献】実開昭58-49702(JP,U)
【文献】特開平5-319425(JP,A)
【文献】実開昭52-044163(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/30
A61J 3/00
B65B 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入ホッパーから投入された薬剤を包装するための包装装置であって、
2つ折りの包装帯の開口部から前記薬剤を前記包装帯に供給し、前記開口部をシールして当該包装帯を閉塞する包装装置において、
前記包装帯の幅方向に延びた発熱体を有し、当該包装帯を加熱して融着させる縦シール部と、前記包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体を有し包装帯の前記開口部を加熱して融着させる横シール部と、
前記縦シール部のうち片方の側に設けられたミシン目刃と、
当該ミシン目刃を保持するミシン目刃保持部と、
前記ミシン目刃と対向するように設けられた刃受け部と、
前記包装装置の筐体に固定された台座部と、を有し、
前記台座部には、前記縦シール部によって前記ミシン目刃が押圧される方向とは直交する方向に伸びたスリットが設けられ、前記ミシン目刃保持部は、前記スリットに嵌合することで前記台座部に着脱可能に保持されたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の包装装置において、
前記縦シール部は、前記ミシン目刃と前記包装帯を挟んで反対側に設けられた加圧部を有し、
前記加圧部が前記刃受け部を押圧することで前記刃受け部から前記ミシン目刃が露出するとともに、前記押圧が解除されて、前記刃受け部と前記ミシン目刃とが離間するときに前記刃受け部が前記ミシン目刃に付着した不要物を取り除くことを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項1に記載の包装装置において、
前記台座部と前記ミシン目刃保持部とを固定するロック部材を有し、
前記ロック部材は前記包装装置の前面側から操作可能なように設けられたことを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項1に記載の包装装置において、
前記スリットは直線状の空隙であって、
前記ミシン目刃保持部には当該空隙に嵌り合う幅の突出部が、前記スリットの長手方向に沿って設けられたことを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項1に記載の包装装置において、
前記刃受け部は、前記ミシン目刃の長手方向に沿ってスリット状に形成された刃スリットを有し、付勢手段によって前記包装帯側に向かって押圧されていることを特徴とする包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬剤を包装するための包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の長さ毎に区分された長尺の包装紙に粉体や個体を封入し、熱によってシールする包装装置が広く知られている(例えば特許文献1等参照)。
また、これらの包装装置に対して前述の薬剤を所定の数量ずつ排出するための錠剤排出装置や、散薬払出装置を加えて薬剤分包機として動作させる構成もまた知られている(例えば特許文献2~4等参照)。
さて、こうした包装装置においては、複数のローラに巻きかけられた包装紙にテンションをかけて搬送し、所定の位置でホッパー等によって薬剤を投入してヒートシール等によって封止する構成が一般的である。
【0003】
これらの包装装置において、例えば特許文献5のように、ヒートシール機構の中にミシン目刃を設けることで、ヒートシールを行う際に同時にミシン目を形成する構成が知られている。
しかしながら、一般的にヒートシール時には、熱と圧力によって融着させる目的上、かなりの圧力がかかる部位であるとともに、熱によって溶け出した包装紙の残留物が刃に付着しやすい等、ミシン目刃の切れ味の長期の維持は難しい。
こうした課題を解決するべく、刃の交換によって切れ味を維持するのが一般的ではあるものの、前述したように、圧力に耐えるだけの強靭な固定を行いつつ、交換も容易にするような構造が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-51305号公報
【文献】特開2014-188101号公報
【文献】特開2004-168427号公報
【文献】特許第3524680号公報
【文献】特許第6911160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる技術的課題を解決するためのものであり、ミシン目刃の交換を容易にする構造の包装装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装装置は、投入ホッパーから投入された薬剤を包装するための包装装置であって、2つ折りの包装帯の開口部から前記薬剤を前記包装帯に供給し、前記開口部をシールして当該包装帯を閉塞する包装装置において、前記包装帯の幅方向に延びた発熱体を有し、当該包装帯を加熱して融着させる縦シール部と、前記包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体を有し包装帯の前記開口部を加熱して融着させる横シール部と、前記縦シール部のうち片方の側に設けられたミシン目刃と、当該ミシン目刃を保持するミシン目刃保持部と、前記ミシン目刃と対向するように設けられた刃受け部と、前記包装装置の筐体に固定された台座部と、を有し、前記台座部には、前記縦シール部によって前記ミシン目刃が押圧される方向とは直交する方向に伸びたスリットが設けられ、前記ミシン目刃保持部は、前記スリットに嵌合することで前記台座部に着脱可能に保持されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような包装装置によれば、ミシン目刃の交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の一例として、薬剤分包装置の外観を示した図である。
【
図2】
図1に示した薬剤分包装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した錠剤処理部の構造を示した図である。
【
図4】
図1に示した錠剤処理部の内部構造を示した図である。
【
図5】
図1の散薬処理部のうち、散薬を分配する主要部を示す図である。
【
図6】
図5に示した振動フィーダーの駆動源及び構成の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示した振動フィーダーのうち、移送部の構成の一例を示す図である。
【
図8】
図5に示した振動フィーダーと移送部の動作の一例を示す図である。
【
図9】配分円盤と振動フィーダーとの位置関係の一例を示す図である。
【
図10】散薬を下方へと移送するための掻き出し部を拡大した図である。
【
図11】薬剤分包装置の内部構造の一例を示す図である。
【
図12】
図1に示した包装装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図13】本実施形態における分包された薬剤の一例を示す図である。
【
図15】
図14に示した縦シール部の特徴部分の構成の一例を示す図である。
【
図16】縦シール部においてシールされた分包紙の模式図である。
【
図17】
図15に示したミシン目刃保持部の構成の一例を示す図である。
【
図18】ミシン目刃保持部と台座部との構成の一例を示す図である。
【
図19】本実施形態における縦シール部の動作の一例を示す図である。
【
図21】包装装置の投入ホッパー付近の構成の一例を示す拡大図である。
【
図22】投入ホッパーの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の散薬分包装置の一例である具体的な形態を、図に沿って説明する。
図においては、簡略化のため、ボルト等の締結具や、電動モータ等の駆動源、ギヤ等の伝動部材、モータドライバ等の電気回路、コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示する。
また、
図1に示すように、薬剤分包装置100の操作者Pの立つ正面側から見たときに、便宜上左から右へ向かう方向をX方向、手前側から奥側に向かう方向をY方向、下から上へ向かう方向をZ方向として示している。
【0010】
まず、本発明の薬剤分包装置100について、外観図及び内部構成図を
図1、
図2に示す。
薬剤分包装置100は、
図1に示すように、筐体101の上部に位置し操作者Pが手動で錠剤等の薬剤を投入して分包に供するための手撒き部である錠剤処理部110と、手撒き部10に配置された薬剤を下部にある後述の包装装置130へと導くための搬送部12と、を備えた錠剤処理部110と、操作者Pが1処方分を秤量した散薬等の薬剤を投入して、処方箋で指示された所定の分量に分配するための配分円盤20を備えた散薬処理部120と、これら錠剤処理部110や散薬処理部120から送られてきた錠剤・散薬を含む薬剤を包装紙によって個包装するための包装装置130と、を有する分包装置であり、散薬分包装置あるいは錠剤分包装置としても機能する。
【0011】
なお、本実施形態では、錠剤処理部110と、散薬処理部120と、包装装置130と、を一体的に含む構成について述べるが、薬剤分包装置100は、他にも錠剤を保管するとともに1つずつ錠剤落下経路11へと送り出すための錠剤カセットを有している構成であっても良く、また同様に、散薬を保管するための薬剤カセットや保管棚を有する構成であっても良い。
また、薬剤分包装置100は、本実施形態においては、後述する制御部における各機能を制御するためのアプリケーション等がインストールされた制御部140を有している。
【0012】
錠剤処理部110は、
図3に示すように、薬剤分包装置100の最上部に設けられており、引き出し可能なトレイ111と、トレイ111よりも下方においてトレイ111に投入された錠剤を搬送して薬剤分包装置100の下部へと移送するコンベア112と、トレイ111を介さずに錠剤を投入可能な錠剤投入口114と、を有している。
トレイ111は、筐体101から筐体101から操作者Pの手前側に引き出し可能であって、複数に分割された各区画111aにそれぞれ錠剤を手撒きして、トレイ111を再度内部に装着することで、各区画111aの床面が開いて下部の搬送部12へと誘導可能になっている。
搬送部12は、どのような構成であっても良いが、例えば
図4に示すように、複数の薬剤容器113と、当該薬剤容器113を動かすローラとベルトとによって構成されたコンベア112と、を備えた構造の搬送部として知られている。
【0013】
このように搬送部12によって搬送された錠剤は、後述する錠剤合流部60において、散薬と合流して、包装装置130にあって図示しない投入ホッパー70へと移動し、分包処理がなされることとなる。
【0014】
次に散薬処理部120は、
図5に示すように円環状の配分円盤20と、配分円盤20の操作者側に2つ取り付けられた収容部であるホッパー21と、それぞれのホッパー21の下方に配置されて、ホッパー21に投入された散薬の移送部となるトラフ22と、ホッパー21とトラフ22とに隣接してトラフ22の移送方向と平行に配置されたフィーダー駆動部40と、を有している。
【0015】
散薬処理部120はまた、配分円盤20において、トラフ22よりも回転方向下流側に、掻き出し部50を有している。ここでは配分円盤20を上方から見たとき、回転方向を左回りであるとして説明するが、かかる構成に限定されるものではない。
本実施形態においては、ホッパー21とトラフ22は対となって複数が平行に配置されており、掻き出し部50はこのようなホッパー21とトラフ22の最も下流側に位置する。掻き出し部50は、後述するように配分円盤20上に載置された散薬を、錠剤合流部60に向けて掻き出すように動作する。
【0016】
散薬処理部120は、スライドして引き出し可能に筐体101内部に保持されている。
かかる構成によれば、薬剤分包装置100の筐体101から散薬処理部120を引き出すことで、清掃性の向上に寄与する。
【0017】
ホッパー21とトラフ22とは、フィーダー駆動部40によって後述のように振動動作することで、ホッパー21内部に投入された散薬をトラフ22を介して配分円盤20へと移送する振動フィーダーとして動作する。
【0018】
ホッパー21は、
図5、
図6に示すように、フィーダー駆動部40からホッパー保持枠41によって支持され、その側面は下方に向かって先細るようにテーパー形状となっており、投入された散薬を最下方の開口部23からトラフ22へと投入する。ホッパー21の外側側面には、外側に向かって突出した三角形の突出部21aが設けられており、ホッパー保持枠41とかかる突出部21aとが引っかかることで支持される。
トラフ22は、
図6、
図7に示すように、フィーダー駆動部40から振動部42によって支持され、後端側である操作者側から前端側である配分円盤20側に向かって緩やかに傾斜するとともに、その先端部には、散薬が配分円盤20の央部に落下するように設けられた散薬切り出し部24と、散薬切り出し部24へ向かって先細るようにかつ傾斜度が高くなるように形成された斜面部25と、を有している。
【0019】
振動部42は、フィーダー駆動部40によって振動可能な振動板であって、フィーダー駆動部40からの信号に従って細かく振動することによって、上方に載置されたトラフ22を振動させてトラフ22の延びた方向、すなわち本実施形態ではY方向へと散薬を移送する。
【0020】
ホッパー保持枠41は、円筒状のパイプで形成され、ホッパー21のY方向側の前端側が開いた矩形の枠体であって、ホッパー21の突出部21aを下方から支持する。ホッパー保持枠41は、
図8に示すように、ホッパー保持枠41が後端側を中心に上下方向に回動することで、ホッパー21を回転軸O1を中心として弧状に上下動させることができる。
図8に示すように、ホッパー保持枠41がホッパー21を上方に持ち上げるように動作させることによって、開口部23とトラフ22との間に生じている隙間が増大して、ホッパー21に収容された散薬が効率よく下方のトラフ22へと排出される。
それと同時に、トラフ22は振動部42によって振動しているので、トラフ22上に排出された散薬は、壁面に沿って斜面部25と散薬切り出し部24とを経由して配分円盤20へと落下する。
【0021】
散薬切り出し部24は、トラフ22の幅方向の中央部に形成された凹部であって、移送方向の終端に向けて散薬が収斂するように両側面が移送方向に進むにつれて窄まる狭隘部である。散薬切り出し部24は、配分円盤20の円環央部において窪んだ凹部、最も好ましくは
図5に破線で示した凹部の最低部20aの直上に位置するように配置されており、かかる構成により、トラフ22を移送された散薬は、配分円盤20の円環の央部へと落下する。このとき、振動部42の振動の制御によって、散薬切り出し部24から落下する散薬の量は調整が可能である。通常は、
図9に示すように散薬切り出し部24から所定量ずつ散薬が落下するようになっている。
従って、配分円盤20を所定の速度で一周以上回転させることで、配分円盤20上には散薬の山が一様に分布した形で散布される。
【0022】
さて、このようにして配分円盤20の円環の央部である最低部20aに落ちる散薬は、配分円盤20の回転と、振動部42の振動とによって、配分円盤20の円環上に均一に散布される。
配分円盤20上に均一に散薬が散布されると、制御部140は、配分円盤20を所定の角度毎に回動させる。具体的には360°を1処方分としたとき、10包に分割するのであれば36°毎回転させることで、1包分に適切な量だけ掻き出し部50の近傍に集められ、掻き出し部50によって投入ホッパー70へと投入される。
【0023】
掻き出し部50は、
図10に示すように配分円盤20に周縁部が当接するように配置された円板上のディスク51と、ディスク51に取り付けられて回動することで配分円盤20上であってディスク51によって堰き止められた1包分の散薬を掬い取って掻き出すスクレーパー52と、を有している。
掻き出し部50はまた、レバー53によってZ方向に上下動可能に支持されており、ディスク51が配分円盤20と当接した状態と、配分円盤20から離間して上方に取り外された状態とに切り替えることもできる。このように上下動可能な構成とすることで、操作者Pは、1処方分の分包が終わった配分円盤20の清掃を容易に行うことができる。
【0024】
錠剤合流部60は、
図11に断面を概略化して示すように、錠剤処理部110から搬送部12を介して落下してきた錠剤と、散薬処理部120において1包ずつの量に切り出された散薬と、をそれぞれ別個の経路から、共通する落下経路となる投入ホッパー70へと誘導するための合流部である。
錠剤合流部60は、筐体101内を操作者側に向かって手前方向に斜めに傾斜して延びた錠剤落下経路61と、錠剤落下経路61の落下口を塞ぐように配置された蓋部であって、回転軸O2を中心に回動することで錠剤落下経路61の落下口を開閉するための閉鎖部材62と、を有している。
錠剤合流部60は、閉鎖部材62と一体に構成されて、押圧されることで閉鎖部材62を開く方向に移動させるために錠剤落下経路61の裏側に延びた腕部63と、腕部63に当接して腕部63を前方へと押し込むことで閉鎖部材62を回動させて錠剤落下経路61の落下口を開くための押圧部64と、閉鎖部材62の上方にあって落下口を閉じる方向に向けて閉鎖部材62を付勢する付勢部材69と、を有している。
【0025】
押圧部64の筐体101の奥側には、駆動部たる押圧部64用の駆動源である駆動源65が設けられている。押圧部64は、駆動源65によって前方に駆動されることで、押圧部64の先端が腕部63に当接して、閉鎖部材62を押し出すようにして動作する。
かかる動作によって、押圧部64による力が付勢部材69による付勢力を上回ると、閉鎖部材62が開状態となることで錠剤落下経路61の落下口が開放されて、錠剤落下経路61の下端において閉じ込められていた錠剤が、投入ホッパー70へと落下する。
他方、押圧部64は常に後方に向けて引き戻すように付勢されているので、駆動源65への信号がなくなったときには付勢部材69によって閉鎖部材62が錠剤落下経路61の落下口を塞ぐ位置に戻ることとなる。
【0026】
錠剤落下経路61の下端である閉鎖部材62及び散薬落下口の周囲には、飛散防止部材である囲い部材80が、上方へと立ち上がって散薬落下口を囲むように形成されている。囲い部材80は、投入ホッパー70の上方において、スクレーパー52によって掻き出された散薬が投入ホッパー70に落下する際の飛散を抑止する機能を有している。
なお、囲い部材80は、その形状は図示した構成に限定されるものではなく、種々の形状を取っても良いし、左右あるいは手前等に倒れ込むように取り回し可能なものであっても良い。
【0027】
錠剤合流部60は、初期状態である待機状態においては、閉鎖部材62を閉じた状態で維持しており、錠剤処理部110から錠剤が排出されてきたときには、排出された錠剤は、錠剤落下経路61の終端で閉鎖部材62によって堰き止められる。
錠剤合流部60がかかる錠剤を排出する際には、既に述べたように駆動源65を動作させて、閉鎖部材62を回動させて、錠剤を投入ホッパー70へと落下させる。
なお、このような錠剤の排出と、既に述べたスクレーパー52による散薬の掻き出しとは、基本的には同時に行われることはなく、閉鎖部材62が閉じている時には散薬の排出が行われ、閉鎖部材62が開放されている時には錠剤の排出が行われる。
このような制御は、例えば制御部140によって、スクレーパー52による散薬の掻き出しが終了し、包装装置130によって所定の分包が終了した後に駆動源65を駆動させるように制御を行うことで行われる。あるいは、スクレーパー52による掻き出しと、錠剤排出とを交互に行っても良いが、閉鎖部材62の開動作中に散薬が掻き出されると、錠剤落下経路61と閉鎖部材62との間に散薬が付着する等の虞が生じる他、所謂コンタミ等の懸念も大きくなるため、望ましくはない。
【0028】
さて、このようにして投入ホッパー70へと落下した錠剤あるいは散薬は、
図12に示すような包装装置130によって分包紙131に分包される。
包装装置130は、分包紙131の送り経路に沿って順に、分包紙131のロールを保持するとともに適度なテンションを付与して先端から順に送り出す包装帯給送部132と、分包紙131に印刷を行うプリンタ133と、分包紙131の幅方向すなわち本実施形態においては上下方向に延びた発熱体を有し、分包紙131のシール部131aを加熱して融着させる縦シール部134と、上下動して2つ折りされた分包紙131内に先端を挿抜する投入ホッパー70と、横方向に延びた発熱体を有し分包紙131を加熱して融着させる横シール部135と、分包紙131を引っ張るローラ部136と、分包紙131にミシン目を入れたり切断したりするカッター137とが設けられている。
【0029】
分包紙131は、かかる構成により
図13に示すように、所定の長さの区画に錠剤や散薬等の薬剤を封入されるとともに、網掛けで示されたシール部131aが熱によって融着された状態で、ある程度の長さで連なり下流の排出口139へと排出される。
分包紙131は、上端が開放された状態で2つ折りに包装帯給送部132から引き出されている。ここで包装帯給送部132は、例えばロール状に巻き上げられた分包紙131をリール状に送り出す包装帯保持部である。
包装帯給送部132から送り出された分包紙131は、プリンタ133によって印字され、投入ホッパー70の下部へと移動し、縦シール部134によって搬送方向の前方及び後方が封じられた後、投入ホッパー70によって薬剤を投入され、上方を封じられてカッター137によって切り取りあるいはミシン目等が入れられて排出される。
【0030】
錠剤合流部60で示したように、投入ホッパー70には、錠剤あるいは散薬の何れか1包分の分量が落ちてくるから、分包紙131の個々の内部には、1包分の薬剤が封入されることとなる。なお、
図13においては、錠剤の入った例を挙げたが、散薬等の粉剤においても同様に、熱融着した個々の区画に散薬が封入されることとなる。
【0031】
投入ホッパー70において薬剤が分包紙131に投入されたことを検知すると、横シール部135が分包紙131の上部を封止し、ローラ部136が分包紙131を所定量だけ引き込むことで、分包紙131は1包分の長さだけ搬送される。
このような動作を繰り返し行うことで、分包紙131には、それぞれの区画に1包分の薬剤が封入された1連の薬袋として、排出口139へと搬送される。
【0032】
薬剤分包装置100は、上述のような各部の構成により、錠剤あるいは散薬等の薬剤を、分包紙131に1包分に個包装することができる分包装置である。
なお、包装装置130の構成は、本実施形態では分包紙131を横方向に搬送する形式についてのみ述べるが、その他、分包紙を所定の幅で区切って、区切られた室内に薬剤を封入可能な包装機であればどのような構成であっても良く、かかる構成に限定されるものではない。
【0033】
このような包装装置の構成について
図14を用いて説明する。
本実施形態では、分包紙131は、2つ折りにされた状態でロール状になって包装帯給送部132に保持されている。
分包紙131は、包装帯給送部132から複数のローラ159に巻きかけられた状態で既に述べたようにプリンタ133、縦シール部134、投入ホッパー70、横シール部135、ローラ部136を経て排出口139へと排出される。
分包紙131は、静止時にはテンションが一定の状態で保持されており、駆動源が取り付けられているローラ部136が所定の距離、例えば1包分の長さ80mm分だけ回転して分包紙131を引っ張りだすことで、分包紙131のロール状の部分が回転して包装帯給送部132から同じ長さ分だけ引き出される。
【0034】
このようなローラ部136が引き込んだ際に生じるテンションを打ち消すために、包装帯給送部132の出口近傍には、搬送経路を短縮することで分包紙131にかかる負荷を低減するテンション調整機構150が設けられている。
【0035】
テンション調整機構150は、例えば所定の強さ以上のテンションがかかった時に巻きかけられたローラが移動してテンションを緩和する構造であっても良いし、ローラ部136が引き込んだ際に包装帯給送部132を回転させてテンションの増大を緩和するものであっても良い。
【0036】
縦シール部134は、分包紙131の幅方向、本実施形態ではZ方向に伸びた発熱体である縦シールヒータ1341と、分包紙131を挟んで反対側に縦シールヒータ1341に対向して配置された縦シールヒータ対向板1342と、を有している。
縦シールヒータ1341側には、
図15に示すように、縦シールヒータ対向板1342の側に向かって押圧するための加圧部1343が設けられている。
加圧部1343が縦シールヒータ1341を突き出すようにして縦シールヒータ対向板1342に向かって押し当てることで、間に通されている分包紙131が挟まれた状態で加熱され、溶融することで2つ折りの分包紙131が閉じられて融着される。
ローラ部136が引き込んだ際には、閉じられた部分は搬送方向に向かって1包分の長さだけ移動するから、加圧部1343が縦シールヒータ1341を押圧し、押圧を解除した後にローラ部136が分包紙131を引き込むと、2つ折りにされた分包紙131は、1包分の長さ毎に幅方向に融着部分であるシール部131aが形成されることとなる。
【0037】
縦シール部134を通過した時点では、このような融着部分は、
図16にシール部131aとして例示するように縦方向だけに形成される。したがって搬送方向に対する上端部分、すなわち+Z方向側の端部は開口部131bとして開放された状態で搬送されている。
【0038】
また、必要な場合には、かかる縦シール部134において、例えば縦シールヒータ対向板1342側に、ミシン目刃保持部160を設けても良い。
ミシン目刃保持部160は、例えば
図17に示すように、縦シールヒータ対向板1342と押圧スプリング161を介して接続されるとともに、押圧スプリング161の中軸162を介してミシン目刃の切断部を構成する三角刃1344を保持する。
三角刃1344は、縦シールヒータ対向板1342の内側に対向するように設けられており、縦シールヒータ対向板1342上にスリット状に形成された開口孔1345を通過可能な幅に長手方向に断続的に複数設けられている。なお、
図17に示した三角刃1344の間隔及びサイズは、かかる構成をわかりやすく図示したものに過ぎず、実際にはミシン目を形成できる程度に細かな三角刃1344が断続的に多数形成されている態様で取り付けられている。
このような構造とすれば、加圧部1343による押圧時に縦シールヒータ対向板1342が-Y方向に後退することを利用して、シール部131aにおいて融着させながら分包紙131に穴を開けることができるので、シール部131aに三角刃1344の間隔と等しいミシン目を形成することができる。このように、三角刃1344は本実施形態では、ミシン目刃として機能し、また縦シールヒータ対向板1342はかかるミシン目刃に対する刃受け部として機能する。
【0039】
また、本実施形態においては、三角刃1344のうちの1つについて、分包紙131の幅方向に刃があるとともに、長手方向にも刃がある十字刃1347を設けるとしても良い。かかる十字刃1347を設けることによれば、
図16で示したように形成されるミシン目に加えて、ミシン目と直交するように分包紙131の長手方向に切れ込みが入った状態でシール部131aが形成される。
かかる分包紙131の長手方向に形成された切れ込みによって、一包に個包装された薬剤を取り出すときには、まずミシン目部分を切り離した後、この切れ込み部分を手でちぎることにより容易に開封することが可能となる。
また、このような十字刃1347を設ける際には、十字刃1347に対向する開口孔1345の位置に、
図17に示すような膨出部として円形開口部1346を設けることがより好ましい。
【0040】
さて、本実施形態におけるミシン目刃保持部160について、
図18を用いてさらに詳しく説明する。
ミシン目刃保持部160は、包装装置130の筐体に取り付けられた台座部180に嵌合するように、±X方向側の側壁面に、Z方向に沿って真っすぐに伸びた突出部163と、-Y方向側の側面に設けられて、ミシン目刃保持部160との間に台座部180を挟み込むことでミシン目刃保持部160と台座部180とを固定する固定用ネジ164と、を有している。なお、本実施形態では、包装装置130の筐体は薬剤分包装置100の筐体101と同一であるものとして扱っている。
突出部163は、台座部180のZ方向に沿って形成されたスリット181に嵌合するように設けられた突起であって、ミシン目刃保持部160が台座部180に対してまっすぐに挿入されるように、スリット181と突出部163との幅W1が等しくなるように設けられている。突出部163は、かかる幅W1でZ方向に沿って形成されているので、「空隙に嵌り合う幅の突出部」として機能する。
【0041】
このようなスリット181を設けることによって、台座部180とミシン目刃保持部160との位置決めを容易に行えるとともに、スリット181によってミシン目刃保持部160の移動方向がZ方向のみに規制される。したがって、縦シールヒータ対向板1342が強く押圧されたときにも、ミシン目刃保持部160が押圧方向に沿って移動してしまうことがなく、位置ずれを抑制することができる。
なお、
図15、
図18に示すように、突出部163は、突出した部分が一定の幅を維持したままZ方向に沿ってある程度の長さをもって形成された突条突出部であることが望ましいが、かかる構成に限定されるものではなく、円柱のような形状の突出部としても良い。
【0042】
台座部180は、包装装置130の筐体に強固に固定され、少なくともミシン目刃保持部160の設置時において、ミシン目刃保持部160の3方向を囲むようにZ方向に伸びた3面の壁面を備える固定用の台座である。
ここで、『強固に』とは例えば加圧部1343からの加圧力と、それによって変形する押圧スプリング161の反作用と、を合わせても移動することがない程度に固定されたことを示している。
例えば本実施形態においては、台座部180は、上述したミシン目刃保持部160を取り囲んで位置するZ方向に伸びた側壁面182、183と、固定用ネジ164によって固定される手前側壁面184と、手前側壁面184の下端からXY平面に沿って伸びたバッキングプレート185と、で構成され、かつバッキングプレート185が包装装置130の筐体101に複数個所でねじ止めされることで固定されている。
なお、ここではミシン目刃保持部160の側面4方のうち、+Y方向以外の3方向を囲んで位置するように壁面を示したが、ミシン目刃保持部160の4方を囲むように、+Y方向側にも壁面を設けて+Y方向側への倒れ込みを防止するような構成にしても良い。
【0043】
通常、このような縦シールヒータ対向板1342は、加圧部1343からの押圧を受けきるために、強めの付勢力を備えた押圧スプリング161で分包紙131側すなわち+Y方向側に向かって付勢されている。このように押圧スプリング161は、縦シールヒータ対向板1342を分包紙131側に向かって押圧する付勢手段である。
既に述べたように、縦シール部134において、分包紙131が所定の位置にて停止されると、加圧部1343と、押圧スプリング161とによって分包紙131は両側から加圧され、同時に縦シールヒータ1341の加熱によって溶着されることとなる。
すなわち、ミシン目刃保持部160には、押圧スプリング161が押し返す弾性力と同じだけの反力が-Y方向にかかることとなるので、ミシン目刃保持部160及び台座部180はかかる荷重を支えられるだけの強度で筐体に固定される必要がある。
本実施形態では、バッキングプレート185が包装装置130の筐体に複数個所でねじ止めされることで、台座部180が包装装置130の筐体に固定されている。
【0044】
このような構成により、
図19(a)に示すように縦シールヒータ対向板1342は押圧スプリング161によって押し返されつつも±Y方向に移動可能であって、ミシン目刃保持部160は固定されている。こうした構造によって、加圧部1343が縦シールヒータ1341を移動させて縦シールヒータ対向板1342との間で分包紙131を押圧すると、
図19(b)に示すように縦シールヒータ対向板1342に開けられた開口孔1345から三角刃1344が露出する。
露出した三角刃1344は、溶着された分包紙131のシール部131aを突き破って、シール部131aに縦方向のミシン目を形成する。
このとき、
図20に示すように溶けた分包紙131の破片S等が三角刃1344に付着してしまい、三角刃1344の切れ味の悪化等につながってしまうことが知られている。
【0045】
そこで、かかる押圧が解除されるときには、開口孔1345と三角刃1344とが離間するときに、縦シールヒータ対向板1342側に三角刃1344に付着した不要物を取り除くように、開口孔1345の幅及び長さは、三角刃1344の刃に沿って嵌合する大きさで開けられている。
【0046】
かかる構成によれば、三角刃1344が開口孔1345から露出して分包紙131のシール部131aに三角刃1344の大きさの破線を形成した後で、加圧部1343の離間時には、三角刃1344が再度縦シールヒータ対向板1342内部に収納されるときに開口孔1345に三角刃1344の先端に付着した破片Sが引っかかることで、三角刃1344の刃先から不要物を除去して三角刃1344の切れ味を維持することができる。
【0047】
このような構成において、三角刃1344のメンテナンス方法あるいは刃先を交換する場合の動作について述べる。
既に述べたように、本実施形態では、固定用ネジ164によって手前側壁面184がミシン目刃保持部160との間に挟み込まれることで、台座部180とミシン目刃保持部160とがロックされている。
このように、固定用ネジ164は、台座部180とミシン目刃保持部160とを固定するロック部材として機能する。
【0048】
操作者は、固定用ネジ164を緩めることで、垂直上方に向かってミシン目刃保持部160を縦シールヒータ対向板1342と共に引き抜くことができる。
ここで、メンテナンス時には、操作者は引き抜かれたミシン目刃保持部160を新しいものに交換しても良いし、縦シールヒータ対向板1342の開口孔1345の様子を見て、汚れや目詰まりがある場合には、先端の尖ったピンのような部材を用いて不要物を除去、あるいは包装装置130の筐体に付属のクリーナーで吸い取り等を行う等の清掃作業を行うことができる。
【0049】
このように取り外して清掃や交換を行った後、操作者は、ミシン目刃保持部160を再度台座部180へと挿入し、固定用ネジ164を締めることで台座部180に固定する。
このとき、スリット181が突出部163と嵌合するように位置合わせをすることによって、台座部180とミシン目刃保持部160の位置決めが自動的になされるので、固定時にネジの締結の左右差等による方向のずれなどを気にする必要がなく、簡易に固定を行うことができる。
【0050】
また、かかるスリット181は、加圧部1343からの押圧方向であるY方向とは直行するZ方向に沿って形成されているため、押圧されたときにも位置ずれなどを起こす懸念が少なく、精度よく位置決めを行いながらも、ミシン目刃保持部160の交換が容易となる。
【0051】
このような縦シール部134でのミシン目の形成あるいは縦方向のシール部131aの形成を行った後、投入ホッパー70の挿入によって薬剤が投入される。
【0052】
本実施形態では、
図21に示すように、投入ホッパー70は、先端部72をシール部131aにかからない程度に+Z方向に上昇させた状態でローラ部136が分包紙131を引き込み、投入ホッパー70の真下にシール部131aで区切られた区画が位置したときに、
図22に示すように薬剤を排出するために投入ホッパー70を下方へと移動させる。
すなわち、本実施形態では、ローラ部136が分包紙131を引き込み、前後端を溶着された所定の区画が所定位置に到達したことを条件として、2つ折りにされた分包紙131の上部に開いた開口部131bに投入ホッパー70が挿入される。
【0053】
投入ホッパー70は、先端部72から上方に向けてY方向に広がった形状をしており、かかる膨らみ部分の間から散薬投入口71から落下してきた散薬や、錠剤合流部60から落とされた錠剤等の薬剤を分包紙131の区画内へと投入する。
したがって、開口部131bに投入ホッパー70の先端部72よりも上方が挿入されると、分包紙131の2重になった部分は、間に投入ホッパー70の一部が入ることでY方向に互いに広がるように動作し、分包紙131にかかるテンションが増大する。
このように2つ折りの分包紙131がY方向に押し広げられるときには、投入ホッパー70が2つ折りの分包紙131の厚み方向の中心部に綺麗に位置するように配置されていたとしても、広がったことによって撓みが発生、あるいは+Y方向側の面と-Y方向側の面とで位置がずれてしまう等のことは生じ得る。
【0054】
一方、投入ホッパー70の挿入によって生じるこのような撓みや、テンションの増大する量は、せいぜいが投入ホッパー70のY方向への膨らみの距離程度のものでしかないため、ローラ部136の引き込み動作によって生じるテンションの増大と比べると微小なものである。
しかしながら、微小なずれとはいえ開口部131bにおいて生じると、後述する横シール部135によるシール時に、撓みなどが生じたまま溶着されてしまい、分包紙131の密閉性の低下につながることもあるため、挿入時のずれを最小化するような技術が求められている。
【0055】
そこで、本実施形態では、簡易な構成でこうしたテンションの増大を抑制するべく、投入ホッパー70よりも分包紙131の搬送方向上流側に、分包紙131を挟持可能なように互いに分包紙131を挟んで配置された一対の挟持部材として、第1挟持コロ73と、第2挟持コロ74と、を有している。
第1挟持コロ73は、Z方向の軸に沿って従動して回転可能な表面がシリコンゴムで覆われたコロであって、±Y方向に移動可能に設置されている。第1挟持コロ73は、例えばステンレス製のコロの表面にシリコンゴムを取り付けたものであっても良い。
【0056】
また、第2挟持コロ74は、Z方向の軸に沿って従動して回転可能なステンレス製のコロであり、表面には分包紙131との摩擦を大きくするためにローレット加工が施されている。
【0057】
第1挟持コロ73は、ローラ部136の引き込みが行われる前には分包紙131と離間した位置で待機しており、ローラ部136の引き込みが終わってから、投入ホッパー70が挿入されるよりも前の何れかのタイミングにおいて+Y方向に移動して、分包紙131を第2挟持コロ74とともに挟持するように制御されている。
すなわち、投入ホッパー70が挿入されるときには、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とがニップ部を形成するように何れも分包紙131に対して±Y方向の両側に当接した状態で位置しており、かかる挟持状態で投入ホッパー70が開口部131bに挿入される。
【0058】
このとき、金属製の第2挟持コロ74に対して、シリコンゴムで覆われた第1挟持コロ73が押圧するように分包紙131を挟持するとともに、かかる2つのコロによって生じるニップ部は、分包紙131が搬送方向に移動したときに何れも搬送方向に向かって回転可能である。
このような回転によれば、投入ホッパー70の挿入によって生じる分包紙131のX方向への引張力を打ち消すように第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが回転することで、分包紙131がテンションの増大を打ち消すように移動する。
【0059】
ここで、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが何れも従動回転するコロであるので、かかる第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とで分包紙131を挟持しておけば、分包紙131が搬送方法である-X方向に引っ張られたときには第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが従動して分包紙131が送り出される。
このようにシンプルな構成で投入ホッパー70の挿入時の分包紙131の位置ずれを防止することができる。
【0060】
投入ホッパー70が挿入され、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが従動回転して分包紙131が拡がり、分包紙131の縦シールされた区画に上方の開口部131bから薬剤が投入されると、投入ホッパー70は再度上昇するとともに、第1挟持コロ73も-Y方向へと移動して分包紙131の挟持状態が外れた後、ローラ部136が分包紙131を搬送方向下流へ向かって引き込むように回転する。
このように投入ホッパー70を分包紙131から抜き取るときには、分包紙131は抜き取った分だけ緩んでいることとなるが、ローラ部136の引き込み量は、既に述べたように1包分の長さ80mm分であり、投入ホッパー70の挿抜によって生じる僅かな撓みよりも大きいので、結果として分包紙131は初期のテンションを保った状態で搬送される。
【0061】
また、投入ホッパー70の下には、かかる1包分の引き込み搬送によってシール部131aで区切られた区画が位置することとなるので、以下同様の操作を繰り返すことによって、分包紙131のテンションを維持したまま区画内に薬剤が次々と投入される。
また、搬送された後の開口部131bは、横シール部135のX方向に伸びたヒータ1351によって、縦シール部134と同様にして融着される。ここでヒータ1351は、「包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体」である。
【0062】
<1>
本実施形態では、包装装置130は投入ホッパー70から投入された薬剤を包装するための包装装置であって、2つ折りの分包紙131の開口部131bから薬剤を供給し、開口部131bをシールして分包紙131を閉塞する包装装置である。
また、分包紙131の幅方向であるZ方向に延びた発熱体である縦シールヒータ1341を有し、分包紙131を加熱して融着させる縦シール部134と、分包紙131の長手方向であるX方向に沿って延びたヒータ1351を有し分包紙131の開口部131bを加熱して融着させる横シール部135と、縦シール部134のうち片方の側に設けられたミシン目刃1344と、三角刃1344を保持するミシン目刃保持部160と、三角刃1344と対向するように設けられた刃受け部1342と、包装装置130の筐体に固定された台座部180と、を有し、台座部180には、縦シール部134によって三角刃1344が押圧される方向とは直交する方向に伸びたスリット181が設けられ、ミシン目刃保持部160は、スリット181に嵌合することで台座部180に着脱可能に保持されることを特徴とする。
かかる構成によれば、ミシン目刃をミシン目刃保持部ごと交換することで容易にミシン目刃のメンテナンスが可能になる。
【0063】
<2>
また本実施形態では、<1>で述べた構成に加えて、縦シール部134は、三角刃1344と分包紙131を挟んで反対側に設けられた加圧部1343を有し、加圧部1343が縦シールヒータ対向板1342を押圧することで三角刃1344が露出するとともに、押圧が解除されて、縦シールヒータ対向板1342と三角刃1344とが離間するときに縦シールヒータ対向板1342が三角刃1344に付着した不要物を取り除くことを特徴とする。
かかる構成によれば、ミシン目刃に付着した不要物が縦シールヒータ対向板1342によって取り除かれるので、ミシン目刃を傷めることなく、切れ味を維持することができる。
【0064】
<3>
また、本実施形態では、<1>または<2>で述べた構成に加えて、台座部180とミシン目刃保持部160とを固定する固定用ネジ164を有している。固定用ネジ164は、台座部180の手前側壁面184をミシン目刃保持部160の壁面との間で挟むように固定するものであり、包装装置130の前面側から操作可能なように設けられる。
かかる構成によれば、操作者が包装装置130の前面側から容易にミシン目刃保持部160の着脱が可能となるので、メンテナンス性が向上する。
【0065】
<4>
また、本実施形態では、<1>乃至<3>の何れかで述べた構成に加えて、スリット181は直線状の空隙であって、ミシン目刃保持部160にはスリット181に嵌り合う幅の突出部163が、スリット181の長手方向に沿って設けられている。
かかる構成によれば、台座部180とミシン目刃保持部160との位置決めを容易に行えるとともに、縦シールヒータ対向板1342が強く押圧されたときにも、ミシン目刃保持部160が押圧方向に沿って移動してしまうことがなく、位置ずれを抑制することができる。
【0066】
<5>
また本実施形態では、<1>乃至<4>の何れかで述べた構成に加えて、縦シールヒータ対向板1342は、三角刃1344の長手方向に沿ってスリット状に形成された開口孔1345を形成し、付勢手段たる押圧スプリング161によって分包紙131側に向かって押圧されている。
かかる構成によれば、加圧部1343によって押圧されるまでは三角刃1344が縦シールヒータ対向板1342に隠れる形で配置され、加圧部1343によって縦シールヒータ対向板1342が押圧されることで三角刃1344が露出して、シール部131aにミシン目を形成することができる。
【符号の説明】
【0067】
20…配分円盤
60…錠剤合流部
61…落下経路(錠剤落下経路)
62…閉鎖部材
70…投入ホッパー
71…散薬投入口
100…薬剤分包装置
102…載置面
110…錠剤処理部
120…散薬処理部
130…包装装置
131…包装帯(分包紙)
132…包装帯保持部(包装帯給送部)
134…縦シール部
135…横シール部
136…ローラ部
160…ミシン目刃保持部
161…押圧スプリング(付勢手段)
163…突出部
164…固定用ネジ(ロック部材)
180…台座部
181…スリット
1341…縦シールヒータ(包装帯の幅方向に伸びた発熱体)
1342…縦シールヒータ対向板(刃受け部)
1343…加圧部
1344…三角刃(ミシン目刃)
1345…開口孔(刃スリット)