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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】塗工装置及び塗工方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 3/132 20060101AFI20241101BHJP
   B05C 9/04 20060101ALI20241101BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20241101BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B05C3/132
B05C9/04
B05D1/26 Z
B05D7/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020114273
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012445
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 基
(72)【発明者】
【氏名】福田 一人
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/181916(WO,A1)
【文献】特開2017-147035(JP,A)
【文献】特開平11-221512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシート状の基材の両面に対して塗液を塗布する塗工装置であって、
前記基材の厚み方向に互いに対向する一対のブロックと、
前記一対のブロック同士の隙間に前記塗液が溜まるように形成されるとともに、前記基材が通る液溜り部と、を備え、
前記液溜り部は、
前記基材の搬送方向における上流側に開口し、前記基材が導入される導入口と、
前記搬送方向における下流側に開口し、前記基材が排出される排出口と、
前記搬送方向に交差する幅方向の両側にそれぞれ位置する側面部と、を含み、
前記幅方向における少なくとも一方側の前記側面部は、前記導入口から前記排出口に亘って開口する露出口を含み、
前記露出口からは、前記基材の前記幅方向における一部が該液溜り部の外部に突出可能であり、
各前記ブロックは、略直方体状に形成されており、その長手方向が前記基材の前記搬送方向に沿うように配置されている、塗工装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記露出口は、前記幅方向における両側の前記側面部に、それぞれ含まれている、塗工装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記露出口は、前記幅方向における片側の前記側面部にのみ含まれており、
前記露出口は、鉛直方向の上方に向けて開口している、塗工装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
前記一対のブロックは、前記液溜り部に臨む面に、該液溜り部に前記塗液を供給するための塗液供給口が、それぞれ設けられており、
前記各塗液供給口は、前記液溜り部を挟んで互いに対向している、塗工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
前記隙間は、前記導入口側の方が、前記排出口側よりも広い、塗工装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記隙間は、前記搬送方向における前記導入口側から前記排出口側に向かうに従って狭くなる、塗工装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
前記一対のブロックにおける前記排出口の開口縁部は、該一対のブロックの前記搬送方向における他の部分よりも厚みが小さく、前記塗液の濡れ広がりを抑制する濡れ広がり抑制部が形成されている、塗工装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
前記隙間は、0.1mm以上1mm以下である、塗工装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つにおいて、
各前記ブロックは、前記基材の前記厚み方向に対称になるように配置されている、塗工装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の塗工装置を用いて、前記基材の前記幅方向における一部を前記露出口から前記液溜り部の外部に突出させながら、該基材を該塗工装置に通すことによって、該基材の該幅方向における特定の部位の両面に対して前記塗液を塗布する、塗工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗工装置及び塗工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロールtoロール法によって搬送されるシート状の基材の両面に塗膜を形成するための塗工装置に関して、種々の技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の塗布装置(塗工装置)では、先ず、連続搬送される長尺のシート状基材を塗液が溜められた浸漬槽に浸けることによって、基材の両面に対して塗液を塗布する。その後、基材を垂直方向に上昇させながら、一対の掻き落としロールによって、基材の両面における余分な塗液を掻き落とす。これにより、基材の両面に、一定の厚みの塗膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭64-7965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基材の幅方向における特定部位の両面に塗膜を選択的に形成したい場合がある。この場合、基材の幅方向において、特定部位の両面に対して塗液を塗布する一方、特定部位以外の部位に対して塗液を塗布しないようにする必要がある。
【0006】
しかし、上記特許文献1に係る塗工装置を用いて、基材の幅方向における特定部位の両面に選択的に塗膜を形成しようとした場合、基材の特定部位のみが浸漬槽に浸かるように、基材自体の向きや基材の搬送方向等を調整する必要があり、塗工工程の複雑化や塗工装置の大型化を招くという問題があった。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、搬送される基材の幅方向における特定部位の両面に選択的に塗膜を形成することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る塗工装置は、搬送されるシート状の基材の両面に対して塗液を塗布する塗工装置であって、上記基材の厚み方向に互いに対向する一対のブロックと、上記一対のブロック同士の隙間に上記塗液が溜まるように形成されるとともに、上記基材が通る液溜り部と、を備え、上記液溜り部は、上記基材の搬送方向における上流側に開口し、上記基材が導入される導入口と、上記搬送方向における下流側に開口し、上記基材が排出される排出口と、上記搬送方向に交差する幅方向の両側にそれぞれ位置する側面部と、を含み、上記幅方向における少なくとも一方側の上記側面部は、上記導入口から上記排出口に亘って開口する露出口を含み、上記露出口からは、上記基材の上記幅方向における一部が上記液溜り部の外部に突出可能である。
【0009】
本開示に係る塗工方法は、上記塗工装置を用いて、上記基材の上記幅方向における一部を上記露出口から上記液溜り部の外部に突出させながら、上記基材を上記塗工装置に通すことによって、上記基材の上記幅方向における特定の部位の両面に対して上記塗液を塗布する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、搬送される基材の幅方向における特定部位の両面に選択的に塗膜を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る塗工装置を含む塗工システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る塗工装置の正面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る塗工装置の平面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る塗工装置の側面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る塗工装置の排出口近傍を拡大して示す拡大正面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る塗工装置の側面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係る塗工装置の側面図である。
図8図8は、第4の実施形態に係る塗工装置の正面図である。
図9図9は、第4の実施形態に係る塗工装置の平面断面面図である。
図10図10は、第5の実施形態に係る塗工装置の平面断面面図である。
図11図11は、第6の実施形態に係る塗工装置の正面図である。
図12図12は、第7の実施形態に係る塗工装置の正面図である。
図13図13は、第8の実施形態に係る塗工装置の正面図である。
図14図14は、第9の実施形態に係る塗工装置の平面図である。
図15図15は、第10の実施形態に係る塗工装置の平面図である。
図16図16は、第11の実施形態に係る塗工装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0013】
<第1の実施形態>
(基本構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る塗工システム1を模式的に示す。塗工システム1は、基材2の両面に塗膜Fを連続的に形成するためのものである。塗工システム1は、基材供給装置10、塗工装置20及び塗液供給装置40から構成されてなる。
【0014】
基材2は、長尺のシート状に形成されている。基材2としては、例えば、金属箔、樹脂フィルム、織布、不織布、紙等がある。基材2の塗膜Fを含まない厚み寸法t(図5参照)は、例えば1mm以下である。
【0015】
基材供給装置10は、ロールtoロール法によって、基材2を、その長手方向を搬送方向(Xで示す)として連続搬送する。具体的には、基材供給装置10は、基材2を巻出機11で巻き出して巻取機12で巻き取ることによって、基材2を連続搬送する。搬送される基材2は、途中、第1ロール13及び第2ロール14を通る。
【0016】
基材2の搬送方向において、第1ロール13と第2ロール14との間には、塗工装置20が配置されている。塗工装置20は、詳細は後述するが、連続搬送されるシート状の基材2の両面に対して塗液Cを塗布して、基材2の両面に塗膜Fを形成する。塗工装置20によって両面に塗膜Fが形成された基材2は、乾燥炉(図示せず)で乾燥されて塗膜F内に含まれる揮発成分が除去された後、巻取機12に巻き取られる。
【0017】
塗工装置20の構成について、詳細に説明する。図2~5は本実施形態に係る塗工装置20を示し、図2は正面断面図(II矢視図)、図3は側面図(III矢視図)、図4は平面図(IV矢視図)、図5は後述する排出口25近傍の拡大正面図である。
【0018】
なお、本実施形態において、基材2の搬送方向(長手方向)は、鉛直方向に直交する水平方向に略一致する。また、基材2の厚み方向(Zで示す)は、鉛直方向に略一致する。基材2の幅方向(Yで示す)は、基材2の搬送方向に交差する水平方向、具体的には搬送方向に直交する水平方向に略一致する。
【0019】
塗工装置20は、図2に示すように、一対のブロック、具体的には第1ブロック21及び第2ブロック22を備える。第1ブロック21と第2ブロック22とは、基材2の厚み方向に互いに所定の間隔を空けて配置されており、基材2の厚み方向に互いに対向している。各ブロック21,22は、略直方体状に形成されており、その長手方向が基材2の搬送方向に沿うように配置されている。
【0020】
図3,4において、L1は、各ブロック21,22の長さ寸法である。L2は、各ブロック21,22の幅寸法である。L3は、各ブロック21,22の厚み寸法である。
【0021】
各ブロック21,22の長さ寸法L1は、基材2の厚み寸法t(図5参照)に対して、十分大きいことが好ましい。具体的には、各ブロック21,22の長さ寸法L1は、基材2の厚み寸法tに対して、100倍以上であることが好ましく、500倍以上であることがより好ましい。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では、各ブロック21,22の幅寸法L2は、基材2の幅寸法Bよりも小さい。
【0023】
図2に示すように、一対のブロック同士の隙間23すなわち第1ブロック21と第2ブロック22との隙間23には、塗液Cが溜まるように、液溜り部が形成されている(以下、「液溜り部23」という)。基材2が液溜り部23を通ることによって、基材2の両面に対して塗液Cが塗布されて、基材2の両面に塗膜Fが形成される。
【0024】
塗液Cは、ペースト状又はスラリー状であることが好ましく、例えば、粘度ηが1mPa・s以上の塗液Cを基材2の両面に塗布することが可能である。また、例えば、粘度ηが1Pa・s~1000Pa・sの塗液Cを適応する場合、基材2の両面に平滑に塗膜Fを形成することができるため、好ましい。
【0025】
塗液Cは、例えば、シリカ、低融点ガラス、アルミナ・酸化チタン等の金属酸化物粒子を含んだ絶縁体材料や、はんだ、銅、銀、金属被覆した粒子等の金属粒子や、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、カーボン等を含んだ導電性材料や、染料、等を用いることができる。
【0026】
Hは、第1ブロック21と第2ブロック22との隙間寸法を示す。本実施形態では、隙間寸法Hは、搬送方向及び幅方向に亘って一様である。隙間寸法Hは、基材2が通過可能なように、基材2の厚み寸法t(例えば0.1mm以下)よりも大きい。隙間寸法Hは、極力小さい方がよい。具体的には、隙間寸法Hは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましい。
【0027】
液溜り部23は、基材2の搬送方向における上流側(図2における左側)に開口する導入口24と、基材2の搬送方向における下流側(図2における右側)に開口する排出口25と、を含む。導入口24と排出口25とは、搬送方向において、互いに対向している。基材2は、導入口24から導入されて、液溜り部23を通って、排出口25から排出される。
【0028】
図3,4に示すように、液溜り部23は、基材2の幅方向における両側にそれぞれ位置する側面部26を含む。側面部26は、幅方向一方側の第1側面部26a及び幅方向他方側の第2側面部26bから構成されている。第1側面部26aと第2側面部26bとは、幅方向において、互いに対向している。
【0029】
幅方向における少なくとも一方側の側面部26は、露出口29を含む。本実施形態では、図4に示すように、露出口29は、幅方向における両側の側面部26すなわち第1側面部26a及び第2側面部26bに、それぞれ含まれている。各露出口29は、第1側面部26a及び第2側面部26b各々において、導入口24側(上流側)から排出口25側(下流側)に亘って、開口している(図2参照)。すなわち、第1側面部26a及び第2側面部26bは、開放されている。
【0030】
図4に示すように、露出口29からは、基材2の幅方向における一部が、液溜り部23の外部に突出可能である。
【0031】
第1ブロック21における液溜り部23に臨む面には、液溜り部23に塗液Cを供給するための塗液供給口30が設けられている。本実施形態では、塗液供給口30は、第1ブロック21の幅方向中央部において、搬送方向に並んで、複数(例えば3個)設けられている。なお、塗液供給口30は、1個でもよい。
【0032】
ここで、塗液供給装置40(図1参照)は、塗液Cを塗工装置20に供給するための装置であり、供給ポンプ41及び供給路42で構成されている。塗液供給口30は、供給路42を介して供給ポンプ41に連通している。供給ポンプ41によって圧送された塗液Cは、供給路42を通って、塗液供給口30から液溜り部23に供給される。これにより、液溜り部23に塗液Cが溜められる。塗液供給口30の断面形状は、例えば円形や楕円形である。塗液供給口30の直径は、例えば1mm以上であることが好ましい。また、供給ポンプ41による塗液Cの供給速度は、排出口25から排出される塗液Cの排出速度に略一致することが好ましい。
【0033】
図示しないが、塗工装置20は、塗液排出機構を備えてもよい。塗液排出機構は、塗工停止時において、液溜り部23に溜められた塗液Cを取り除くものである。
【0034】
(塗工の態様)
塗工装置20によって基材2の両面に対して塗液Cを塗布して、基材2の両面に塗膜Fを形成する態様(塗工の態様)について説明する。
【0035】
先ず、図3に示すように、基材2の幅方向において、塗液Cを塗布する部位を特定して、これを特定部位Pとする。また、幅方向における特定部位P以外の部位を、塗液Cを塗布しない非特定部位Qとする。
【0036】
本実施形態では、基材2の幅方向中間部2bを特定部位Pとする。一方、基材2の幅方向における特定部位P(幅方向中間部2b)以外の部位である幅方向両端部2aを、それぞれ非特定部位Qとする。
【0037】
図3,4に示すように、基材2の特定部位Pが液溜り部23を通る一方、基材2の各非特定部位Qが液溜り部23を通らないように、基材2の幅方向位置を調整する。具体的には、塗工装置20を通る基材2の各非特定部位Q(幅方向両端部2a各々)を、各露出口29から液溜り部23の外部に突出させる。
【0038】
基材2が塗工装置20を通ることによって、基材2の特定部位Pの両面に対して塗液Cが塗布されて、基材2の特定部位Pの両面に塗膜Fが形成される。一方、基材2の各非特定部位Qの両面には、塗液Cが塗布されないので、塗膜Fが形成されない。
【0039】
基材2が排出口25から排出される際、排出口25の近傍において、基材2の特定部位Pの両面に塗布された塗液Cに対して、強いせん断力が加わる。このため、図5に示すように、基材2の塗膜Fを含めた厚み寸法Tは、排出口25(液溜り部23)の隙間寸法Hに対して、やや小さくなる。これにより、塗膜Fの表面が平滑化されて、外観上良好となる。
【0040】
(作用効果)
本実施形態によれば、幅方向における少なくとも一方側の側面部26に露出口29が含まれているので、塗工装置20を通る基材2の幅方向における一部を、露出口29から液溜り部23の外部に突出させることができる。
【0041】
すなわち、基材2の幅方向において、塗液Cを塗布する部位を特定部位P、特定部位P以外の塗液Cを塗布しない部位を非特定部位Qとする。そして、基材2の非特定部位Qを露出口29から液溜り部23の外部に突出させながら、基材2を塗工装置20に通す。これにより、基材2の非特定部位Qの両面に対して塗液Cを塗布することなく、基材2の特定部位Pの両面に対して塗液Cを塗布することができる。
【0042】
したがって、搬送される基材2の幅方向における特定部位Pの両面に選択的に塗膜Fを形成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、露出口29が幅方向両側の第1側面部26a及び第2側面部26bにそれぞれ含まれているので、基材2の幅寸法Bが各ブロック21,22の幅寸法(液溜り部23の幅寸法)L2よりも大きい場合に、基材2の幅方向両端部2aの両方を、各露出口29から液溜り部23の外部に突出させることができる。
【0044】
隙間寸法Hを例えば0.1mm~1mmと小さくすることによって、隙間寸法H[mm]に対する塗液Cの粘度η[Pa・s]の比率ρ[kg/(m・s)×10]を、極力大きくすることができる。比率ρを大きくする(好ましくは75以上にする)ことによって、塗液Cが液溜り部23から漏出することを抑制する上で有利になる。なお、塗液Cの粘度ηを大きくすることによっても、比率ρを大きくすることができる。
【0045】
塗液Cの粘度ηを例えば1Pa・s~1000Pa・sにすることによって、塗液Cの液溜り部23からの漏出抑制、塗膜Fの表面粗さの改善、供給路42における塗液Cの圧損の低減等を、実現することができる。
【0046】
基材2の搬送方向が水平方向に略一致するため、液溜り部23に溜められた塗液Cは、その鉛直方向(厚み方向)下方に位置する第1ブロック21によって支えられる。これにより、塗液Cが液溜り部23から漏出することを抑制する上でより有利になる。
【0047】
各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きくすることによって、基材2の特定部位Pの両面への塗工抜けを抑制し、被覆率を高めることができる。
【0048】
塗液供給口30の直径を例えば1mm以上と大きくすることによって、液溜り部23に供給される塗液Cの圧力損失を低減することができる。
【0049】
例えばディップコーティング法では、上方の導入口から浸漬槽内に基材を導入して、浸漬槽内に基材を通して、上方の排出口から基材を排出する。このため、基材2の搬送方向を何度も変える必要があり、装置が大型且つ複雑になる。また、大量の塗液Cを浸漬槽内に溜める必要があるため、特に高価な塗液Cを用いる場合には、コスト面で不利となる。本実施形態によれば、導入口24と排出口25とを基材2の搬送方向において互いに対向させているので、ディップコーティング法に比較して、装置を小型且つ簡素にすることができるともに、塗液Cの量を少なくして低コスト化を図ることができる。
【0050】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る塗工装置20について、図6を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0051】
本実施形態では、基材2の幅方向一方側2cを特定部位Pとする。一方、基材2の幅方向他方側2dを非特定部位Qとする。
【0052】
本実施形態では、基材2の幅方向一方側の側面2eにも塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される。ここで、各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きくすることによって、基材2の幅方向一方側の側面2eに塗液Cが十分に回り込むようになる。
【0053】
例えばスリットダイを用いた塗工方法では、基材2の側面2eに塗液Cを塗布することは、難しい。したがって、基材2の側面2eに塗液Cを塗布することができるという観点において、本実施形態に係る塗工装置20は、スリットダイに対して有利である。
【0054】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る塗工装置20について、図7を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0055】
本実施形態では、基材2の幅寸法Bは、各ブロック21,22の幅寸法(液溜り部23の幅寸法)L2よりも小さい。また、基材2の幅方向全体を特定部位Pとし、非特定部位Qを設けない。すなわち、基材2の幅方向全体の両面に塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される(全面塗り)。
【0056】
このように、基材2の幅方向における一部を、必ずしも、露出口29から液溜り部23の外部に突出させる必要はない。
【0057】
本実施形態では、基材2の幅方向両側の側面2eにも塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される。
【0058】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る塗工装置20について、図8,9を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。なお、図9は、図8におけるIX-IX断面図である。
【0059】
本実施形態では、第1ブロック21及び第2ブロック22は、液溜り部23に臨む面に、塗液供給口30が、それぞれ複数設けられている。各塗液供給口30は、液溜り部23に塗液Cを供給するためのものであり、供給路42を介して供給ポンプ41に連通している。
【0060】
本実施形態では、各塗液供給口30は、円形の丸穴である。各ブロック21,22に設けられた塗液供給口30の個数は、互いに等しい。また、各塗液供給口30は、液溜り部23を挟んで、厚み方向に互いに対向している。
【0061】
本実施形態によれば、第1ブロック21及び第2ブロック22から液溜り部23に対して、基材2の厚み方向に互いに対向するように塗液Cを供給するので、この時の液圧によって、基材2を液溜り部23における厚み方向の中央近傍に規制することができる。これにより、基材2の両面に対して安定的に均一に塗液Cを塗布することができるので、基材2の両面に良質な塗膜Fを形成することができる。また、基材2を液溜り部23における厚み方向の中央近傍に規制することによって、基材2が各ブロック21,22に接触することを抑制して、基材2の両面に形成された塗膜Fの損傷を防ぐことができる。
【0062】
<第5の実施形態>
第5の実施形態に係る塗工装置20について、図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0063】
本実施形態では、各塗液供給口30は、各ブロック21,22の長手方向(基材2の搬送方向)に延びる楕円形の長穴である。各塗液供給口(長穴)30の幅は、例えば1mm以上であることが好ましい。その他の構成は、第4の実施形態と同様である。
【0064】
<第6の実施形態>
第6の実施形態に係る塗工装置20について、図11を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0065】
本実施形態では、第1ブロック21及び第2ブロック22における排出口25の開口縁部31は、各ブロック21,22の搬送方向における他の部分よりも厚みが小さく、塗液Cの濡れ広がりを抑制する濡れ広がり抑制部Mが形成されている。
【0066】
すなわち、濡れ広がり抑制部Mは、各ブロック21,22における排出口25の開口縁部31の厚み寸法L3’を、各ブロック21,22の搬送方向における他の部分の厚み寸法L3よりも小さくすることによって、形成されている。厚み寸法L3’は、極力小さい方がよく、例えば5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
【0067】
基材2の両面に塗布された塗液Cは、基材2が排出口25から排出されると、各ブロック21,22における排出口25側の面に濡れ広がることがある。そこで、本実施形態によれば、各ブロック21,22における排出口25の開口縁部31の厚み寸法L3’を小さくすることによって、塗液Cが濡れ広がる面の面積を小さくしている。これにより、塗液Cが各ブロック21,22における排出口25側の面に濡れ広がることを抑制して、基材2の両面に安定的に均一に塗膜Fを形成することができる。
【0068】
<第7の実施形態>
第7の実施形態に係る塗工装置20について、図12を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0069】
本実施形態では、第1ブロック21と第2ブロック22との隙間(液溜り部)23は、導入口24側の方が、排出口25側よりも広い。具体的には、導入口24における隙間寸法H1は、排出口25における隙間寸法H2よりも大きい。
【0070】
本実施形態によれば、導入口24における隙間寸法H1を大きくすることによって、導入口24における基材2と各ブロック21,22との接触を抑制することができる。また、排出口25における隙間寸法H2を所定の値にすることによって、基材2の両面に形成される塗膜Fの厚みを決定することができる。
【0071】
<第8の実施形態>
第8の実施形態に係る塗工装置20について、図13を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0072】
本実施形態では、第7の実施形態に加えて、第1ブロック21と第2ブロック22との隙間(液溜り部)23は、基材2の搬送方向における導入口24側から排出口25側に向かうに従って狭くなっている。すなわち、第1ブロック21と第2ブロック22との隙間(液溜り部)23は、テーパ状に形成されている。
【0073】
本実施形態によれば、第7の実施形態の効果に加えて、液溜り部(隙間)23における塗液Cの滞留を抑制することができる。
【0074】
<第9の実施形態>
第9の実施形態に係る塗工装置20について、図14を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0075】
本実施形態では、基材2には、複数のパンチ穴3が空けられている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0076】
本実施形態によれば、基材2に空けられたパンチ穴3の内周面にも塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される。ここで、各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きくすることによって、パンチ穴3の内周面に塗液Cが十分に回り込むようになる。
【0077】
<第10の実施形態>
第10の実施形態に係る塗工装置20について、図15を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0078】
本実施形態では、基材2の幅方向両側の側面は、ノコギリ形状に形成されており、複数の歯4が設けられている。その他の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0079】
本実施形態によれば、各歯4の搬送方向両側の側面にも塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される。ここで、各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きくすることによって、各歯4の搬送方向両側の側面に塗液Cが十分に回り込むようになる。
【0080】
<第11の実施形態>
第11の実施形態に係る塗工装置20について、図16を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0081】
本実施形態では、露出口29は、幅方向における片側の側面部26にのみ含まれている。具体的には、露出口29は、幅方向における他方側の第2側面部26bにのみ含まれている。すなわち、幅方向における一方側の第1側面部26aは、閉塞している。
【0082】
また、第1側面部26aは、鉛直方向下方に臨んでいる。一方、第2側面部26bは、鉛直方向上方に臨んでいる。すなわち、露出口29は、鉛直方向上方に向けて開口している。
【0083】
本実施形態によれば、露出口29の個数が1つだけなので、上記実施形態に比べて、塗液Cが液溜り部23から漏出することを抑制する上で有利になる。
【0084】
また、第2側面部26bに含まれた露出口29を鉛直方向上方に向けて開口させることによって、第1側面部26aを液溜り部23の鉛直方向下方に位置付けることができる。これにより、液溜り部23に溜められた塗液Cを、閉塞した第1側面部26aで支えることができる。
【0085】
<その他の実施形態>
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0086】
基材2の形状を例えば櫛歯形状や梯子形状にしてもよい。櫛歯形状の場合、各櫛歯の搬送方向両側の側面にも、塗液Cが塗布されて、塗膜Fが形成される。櫛歯同士の間隔は、0.1mm以上1.mm以下であることが好ましい。ここで、各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きく、例えば100倍以上にすることによって、各櫛歯の搬送方向両側の側面に塗液Cが十分に回り込むようになる。基材2の形状が梯子形状の場合も、概ね櫛歯形状の場合と同様である。
【0087】
基材2を多孔質材で形成してもよい。この場合、多孔質材の各孔の内部に塗液Cが浸透して、塗膜Fが形成される。各ブロック21,22の長さ寸法L1を基材2の厚み寸法tに対して十分大きく、例えば500倍以上にすることによって、各孔の内部に塗液Cが十分に浸透するようになる。
【0088】
上記実施形態では、基材2の搬送方向は、鉛直方向に直交する水平方向に略一致したが、これに限定されない。基材2は、例えば鉛直方向上方から下方へ、また鉛直方向下方から上方へ搬送されてもよい。
【0089】
供給ポンプ41を設ける代わりに、供給タンクに圧縮空気を導入して圧力送液してもよい。
【0090】
第4,5の実施形態では、各ブロック21,22に設けられた各塗液供給口30は、液溜り部23を挟んで厚み方向に互いに対向したが(図8参照)、これに限定されない。各塗液供給口30は、搬送方向や幅方向に互いにずれて位置してもよい。
【0091】
第6の実施形態では、濡れ広がり抑制部Mは、各ブロック21,22における排出口25の開口縁部31の厚み寸法L3’を、各ブロック21,22の搬送方向における他の部分の厚み寸法L3よりも小さくすることによって形成されているが、これに限定されない。濡れ広がり抑制部Mは、例えば、各ブロック21,22における排出口25側の面の濡れ性を制御することによって、形成されてもよい。濡れ性を制御する方法として、表面粗さを制御する方法、塗液Cとの親和性が低い材料を用いて膜を形成する方法、PTFE等のフッ素系樹脂を用いる方法等がある。
【0092】
上記実施形態では、塗工装置20は、ロールtoロール法によって連続搬送される基材2の両面に対して塗液Cを塗布するために用いられるが、これに限定されない。塗工装置20は、例えば、ベルトコンベヤによって搬送されるガラス基板の両面に対して塗液Cを塗布するために用いられてもよい。
【0093】
本開示に係る塗工方法は、上記実施形態に係る塗工装置20を用いて、基材2の幅方向における一部を露出口29から液溜り部23の外部に突出させながら、基材2を塗工装置20に通すことによって、基材2の幅方向における特定部位Pの両面に対して塗液Cを塗布する。
【実施例
【0094】
<設定条件>
(実施例)
基材2として、厚み0.1mmのSUS304材を用いた。
【0095】
塗液Cとして、粘度ηが約100Pa・sの導電性ペーストを用いた。塗液Cの粘度ηは、回転式粘度計(Thermo Scientific Mars40、HAAKE製)を用いて測定した。なお、粘度ηの測定条件は、ステージの直径20mm、測定子の直径20mm、角度1°、測定ギャップ0.05mm、せん断速度1/秒、測定温度25℃とした。
【0096】
第1の実施形態に係る塗工装置20(図1~5参照)を用いた。具体的には、塗工装置20は、卓上型塗工装置(ミニラボ、康井精機製)を用いた。第1ブロック21及び第2ブロック22は、SUS304材により形成した。各ブロック21,22の長さ寸法L1を40mm、幅寸法L2を50mm、厚み寸法L3を10mmとした。各ブロック21,22の幅方向中央に、直径2mmの円形の供給口を、10mm間隔で搬送方向に並べて、計3個ずつ設けた。
【0097】
供給ポンプ41として、モーノポンプ(3HMC010F、兵神装備製)を用いた。基材供給装置10の巻出側トルク及び巻取側トルクは、いずれも60N・mとした。
【0098】
第1ブロック21と第2ブロック22との隙間寸法Hは、シムを用いて、任意に設定した。塗工速度(搬送速度)は、任意に設定した。
【0099】
塗膜Fの形成後、熱風乾燥炉(DKM-400、ヤマト科学製)を用いて、設定温度200℃、ファン回転数500rpmにて、30分間乾燥し、乾燥膜を得た。
【0100】
(比較例)
本開示とは異なる従来の塗工装置を用いた。塗液C及び基材2の条件は、実施例と同じである。
【0101】
<測定条件>
塗膜Fの膜厚を、マイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて測定した。膜厚は、塗膜F形成後における基材2の厚み寸法Tから、塗膜F形成前における基材2の厚み寸法tを差し引いた値とした(図5参照)。膜厚平均値は、膜厚を塗工方向(搬送方向)に5mm間隔で5点測定して、その測定値より算出した。膜厚バラツキは、5点の測定値より標準偏差3σを計算し、これを膜厚平均値で割った値(パーセント表示)とした。表面粗さは、ワンショット3D形状測定機(VR-3200、Keyence製)を用いて、算術平均粗さを測定した。
【0102】
<測定結果>
(実施例1)
隙間寸法Hを0.2mm、塗工速度(搬送速度)を毎分0.2mとした。平均膜厚は7.6μm、膜厚バラツキは28%、表面粗さは2.5μmであり、良好な結果が得られた。
【0103】
(実施例2)
隙間寸法Hを0.2mm、塗工速度(搬送速度)を毎分0.5mとした。平均膜厚は14.8μm、膜厚バラツキは29%、表面粗さは2.0μmであり、良好な結果が得られた。
【0104】
(実施例3)
隙間寸法Hを0.2mm、塗工速度(搬送速度)を毎分1mとした。平均膜厚は17.9μm、膜厚バラツキは29%、表面粗さは2.8μmであり、良好な結果が得られた。
【0105】
(実施例4)
実施例1に対して、基材2に切込み部を形成した。その他の条件は、実施例1と同じである。基材2の切込み部の側面にも塗膜Fが形成された。
【0106】
(比較例1)
ロール転写を用いた。ロールと基材2との隙間を0mm、塗工速度(搬送速度)を毎分1mとした。平均膜厚は7.2μm、膜厚バラツキは65%、表面粗さは3.8μmであり、膜厚バラツキ及び表面粗さが実施例1~4よりも悪化した。
【0107】
(比較例2)
スリットダイを用いた。スリットダイと基材2との隙間を0.05mm、塗工速度(搬送速度)を毎分1mとした。平均膜厚は15.0μm、膜厚バラツキは31%、表面粗さは3.3μmであり、比較例1に比べて良好な結果が得られた。しかし、これ以上膜厚を小さくすると、塗布抜けが発生して、均一な塗膜の形成が困難であった。
【0108】
(比較例3)
比較例2に対して、基材2に切込み部を形成した。その他の条件は、比較例2と同じである。基材2の切込み部の側面には、塗膜Fが形成されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示は、塗工装置及び塗工方法に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0110】
X 搬送方向
Y 幅方向
Z 厚み方向
P 特定部位
Q 非特定部位
H 隙間寸法
H1 隙間寸法
H2 隙間寸法
C 塗液
F 塗膜
M 濡れ広がり抑制部
2 基材
20 塗工装置
21 第1ブロック(一対のブロック)
22 第2ブロック(一対のブロック)
23 液溜り部(隙間)
24 導入口
25 排出口
26 側面部
26a 第1側面部
26b 第2側面部
29 露出口
30 塗液供給口
31 開口縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16