(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
A61H7/00 322D
A61H7/00 323J
A61H7/00 323L
(21)【出願番号】P 2021031965
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 信行
(72)【発明者】
【氏名】木村 三千代
(72)【発明者】
【氏名】高谷 昭広
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-224256(JP,A)
【文献】特開2009-028087(JP,A)
【文献】特開2018-029641(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109010012(CN,A)
【文献】特開2021-000380(JP,A)
【文献】特開2011-254969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
前記座部の左右方向における外側に配置される大腿部施療部と、を備え、
前記大腿部施療部は、
下側の基部を中心側とすると共に上側の先端部を回転側として前記先端部が前記左右方向における内側に向けて回転可能な回転部材と、
前記回転部材を回転させる回転部材駆動部と、
前記回転部材の前記左右方向における内側に設けられる施療用エアバッグと、
前記座部に取り付けられ、前記回転部材を回転可能に支持する中心軸を支持する取付ベースと、を備え、
前記回転部材には、前記左右方向における外側の面に凹部が設けられており、
前記凹部に、前記回転部材駆動部の少なくとも一部が収納されている
マッサージ機。
【請求項2】
前記施療用エアバッグは、前記回転部材が起立した状態において、上方へ行くほど前記左右方向における外側に位置するように傾いている
請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記回転部材駆動部は、前記回転部材の前記左右方向における外側に設けられる回転用エアバッグを備え、
前記回転部材の前記回転用エアバッグとの接触領域の中心位置は、前記回転部材の前記施療用エアバッグとの接触領域の中心位置よりも前記基部側に位置している
請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記座部は、座部エアバッグを備える
請求項1~3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記回転部材駆動部を駆動し、前記施療用エアバッグ及び前記座部エアバッグを膨張させるように制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記施療用エアバッグを膨張させた後、前記座部エアバッグを膨張させるように制御する施療モードを実行可能である
請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記回転部材駆動部を駆動し、前記施療用エアバッグ及び前記座部エアバッグを膨張させるように制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記座部エアバッグを膨張させた後、前記施療用エアバッグを膨張させるように制御する施療モードを実行可能である
請求項4に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マッサージ機に関する。より詳細には、本開示は、座部及びエアバッグを備えるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着座者の大腿部に外側からマッサージを施す椅子式マッサージ機が開示されている。この椅子式マッサージ機は、座部、肘掛け部、背凭れ部を備えた椅子本体のうちの肘掛け部の内面に、エアバッグを有する大腿部施療部が設けられており、エアバッグが、着座者の左右の大腿部の外側面を内方に押してマッサージを施す。
【0003】
特許文献2には、着座者の大腿部に内側からマッサージを施す椅子式マッサージ機が開示されている。この椅子式マッサージ機は、座面部、背凭れ部、肘掛け部等を備え、座面部の左右方向の中央部に、膨張時に着座者の左右の大腿部の間に立ち上がるエアバッグが設けられており、このエアバッグにより大腿部の内側面を外方に押してマッサージを施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-349135号公報
【文献】特開2006-255155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のマッサージ機は、着座者の大腿部の外側面又は内側面を押すマッサージを施すだけであって、大腿部の上面部を下方に押すマッサージを施しにくいという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、座部への着座者の大腿部の上面部を下方に押すマッサージを施しやすいマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のマッサージ機は、座部と、前記座部の左右方向における外側に配置される大腿部施療部と、を備える。前記大腿部施療部は、回転部材と、前記回転部材を回転させる回転部材駆動部と、施療用エアバッグと、を備える。前記回転部材は、下側の基部を中心側とすると共に上側の先端部を回転側として前記先端部が前記左右方向における内側に向けて回転可能である。前記施療用エアバッグは、前記回転部材の前記左右方向における内側に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示のマッサージ機にあっては、座部への着座者の大腿部の上面部を下方に押すマッサージを施しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のマッサージ機の機能部のブロック図である。
【
図3】
図3は、同上のマッサージ機の右側の大腿部施療部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の大腿部施療部の施療用エアバッグ及び回転用エアバッグが収縮した状態の正面図である。
【
図5】
図5は、同上の大腿部施療部の施療用エアバッグ及び回転用エアバッグが膨張した状態の正面図である。
【
図6】
図6は、同上の大腿部施療部の施療用エアバッグ及び回転用エアバッグが膨張した状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の大腿部施療部における第1施療モードでの施療を説明する正面図である。
【
図8】
図8は、同上の大腿部施療部における第2施療モードでの施療を説明する正面図である。
【
図9】
図9は、同上の第2施療モードにおける施療用エアバッグ、回転用エアバッグ及び座部エアバッグの膨張及び収縮の動作を説明する図である。
【
図10】
図10は、同上の大腿部施療部における第3施療モードでの施療を説明する正面図である。
【
図11】
図11は、同上の第3施療モードにおける施療用エアバッグ、回転用エアバッグ及び座部エアバッグの膨張及び収縮の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
マッサージ機1は、座部2と、座部2の左右方向における外側に配置される大腿部施療部6と、を備える。大腿部施療部6は、回転部材61と、回転部材61を回転させる回転部材駆動部62と、施療用エアバッグ63と、を備える。回転部材61は、下側の基部611を中心側とすると共に上側の先端部612を回転側として先端部612が左右方向における内側に向けて回転可能である。施療用エアバッグ63は、回転部材61の左右方向における内側に設けられる。これにより、着座者の大腿部9の上面部を施療用エアバッグ63が下方に向けて押しやすくなる。
【0011】
(2)詳細
以下、第1実施形態に係るマッサージ機1について、
図1~
図11を参照して詳しく説明する。
【0012】
(2.1)全体構成
図1に示すように、マッサージ機1は、マッサージを施される着座者(使用者)が着座して、主に着座者の大腿部にマッサージを施すものである。本実施形態のマッサージ機1は、使用者が着座するための本体部11と、マッサージを施すための機能部12と、を備える。
【0013】
本体部11は、座部2と、背もたれ部3と、肘掛け部4と、オットマン5と、を備えている。座部2は、使用者が着座して、臀部及び大腿部が載置される部分である。座部2の上面である座面は、マッサージ機1の設置面よりも上方に位置し、設置面に立つ一般的なサイズの成人が膝を曲げて着座しやすい高さに位置している。座部2は、フレーム等からなり着座者の体重がかかる支持体を有する座本体部(不図示)と、クッション等を有して座本体部の上端部に配置される座面部21と、を備えている。
【0014】
(2.1.1)座部
座部2及びマッサージ機1においては、設計上、着座者が着座する向きが規定される。以下の説明においては、便宜上、座部2に着座した着座者が向く方を前方とするとともにその反対を後方とし、着座者の左右をそれぞれ左方及び右方とする。
【0015】
(2.1.2)背もたれ部
背もたれ部3は、座部2に着座した着座者が後方にもたれることができるように、座部2の後端部より後ろ斜め上方に向けて延びるものである。背もたれ部3は、左右方向の中央部に位置する背もたれ本体部31と、背もたれ本体部31の上部の左右両側から前方に突出する側覆い部32と、を有している。背もたれ本体部31は、その下端部が座部2の後端部に回転可能に支持されており、背もたれ本体部31の上端部は後方かつ下方に回転する。背もたれ本体部31には、その上面及び側面の後部と背面とを覆う裏カバー18が設けられている。
【0016】
(2.1.3)肘掛け部
肘掛け部4は、座部2に着座した着座者が前腕及び肘を載置するものである。肘掛け部4は、肘掛け台部40と、肘掛け本体部41と、を有する。肘掛け台部40は、座本体部の左右方向の両外側に配置され、座本体部の支持体に取り付けられる。肘掛け本体部41は、座部2の左右方向の両外側において、肘掛け台部40より上方に延びる。肘掛け本体部41は、着座者の前腕及び肘が載置される載置部42と、載置部42の左右方向の両外側において上方に延びる側壁部43と、を有する。
【0017】
(2.1.4)オットマン
オットマン5は、座部2に着座した着座者の下腿部及び足を支持するものである。オットマン5は、座部2の前側において、座面の近傍より前斜め下方に延びるオットマン本体部51を有する。オットマン本体部51は、上端部(不図示)が座部2に回転可能に支持されており、下端部511が前方かつ上方に回転する。オットマン本体部51は、上側に位置して着座者の下腿部を支持する下腿部支持部52と、下側に位置して着座者の足を支持する足支持部53と、を有する。
【0018】
(2.2)機能部
図2に示すように、機能部12は、着座者にマッサージを施すためのもので、施療部13と、施療部13の動作を制御する制御部14と、操作部15と、を有する。機能部12は、施療部13として、着座者を叩くか又は揉むことにより動的なマッサージを施す第1施療部16と、着座者に対してエアバッグを押し付けることにより静的なマッサージを施す第2施療部17と、を有する。
【0019】
(2.2.1)第1施療部
第1施療部16は、特に図示しないが、背もたれ部3の内部空間に設けられる。第1施療部16は、施療ブロックと、施療ブロックが有する一対のアームと、各アームの前端部に取り付けられる揉み玉と、を有している。施療ブロックは、背もたれ部3の内部空間に設けられるレールに沿って、内部空間を上下方向に移動可能である。本実施形態では、レールはラックを有しており、施療ブロックの第1モータ161の回転軸に取り付けられたピニオンがラックと噛み合う。第1モータ161の回転軸が回転することにより、施療ブロックが上下方向に移動する。なお、施療ブロックの上下方向の移動は、このような移動手段により移動するものでなくてもよい。
【0020】
また、アーム及び揉み玉は、施療ブロックに対して左右方向に移動可能である。本実施形態では、施療ブロックは第2モータ162を有し、第2モータ162の回転軸にボールねじが接続される。ボールねじと螺合するナットがアームに取り付けられており、第2モータ162の回転軸が回転することにより、アーム及び揉み玉が施療ブロックに対して左右方向に移動する。なお、アーム及び揉み玉の左右方向の移動は、このような移動手段により移動するものでなくてもよい。
【0021】
これにより、揉み玉は、背もたれ部3に対して上下方向及び左右方向における任意の位置に配置可能である。
【0022】
また、アーム及び揉み玉は、施療ブロックに対して前後方向に移動可能である。本実施形態では、施療ブロックは第3モータ163を有し、第3モータ163の回転軸に歯車が取り付けられる。この歯車は、アームと一体に回転する歯車と噛み合っており、第3モータ163の回転軸が回転することにより、アーム及び揉み玉が施療ブロックに対して前後方向に移動する。なお、アーム及び揉み玉の前後方向の移動は、このような移動手段により移動するものでなくてもよい。
【0023】
(2.2.2)制御部
制御部14は、施療部13の動作を制御するもので、例えばマイクロコンピュータを有し、ROM(Read Only Memory)等に記憶されたプログラムを実行することで、各要素の動作を制御する。このような制御部14として、様々な公知のものが適宜利用可能であり、特に限定されないと共に詳細な説明は省略する。制御部14は、第1施療部16の第1モータ161、第2モータ162及び第3モータ163を制御する。
【0024】
(2.2.3)操作部
操作部15は、制御部14に制御を行わせるための操作信号を出力する。操作部15は、外部からの入力がなされる入力部を備えている。入力部は、制御部14及びマッサージ機1の電源のオン及びオフを切り替える電源ボタン、施療モードを選択するモード選択ボタン等を備えている。また、操作部15は表示部を備えている。操作部15は、例えばタッチパネル装置を有しており、タッチパネル装置により入力部及び表示部が構成されている。なお、操作部15は、このようなタッチパネル装置を有するものでなくてもよく、特に限定されない。操作部15は、無線又は有線により制御部14に接続される。
【0025】
(2.2.4)第2施療部
第2施療部17は、エアバッグを有し、着座者に対してエアバッグを押し付けてマッサージを施す。本実施形態の第2施療部17は、大腿部施療部6を有する。
【0026】
(2.3)大腿部施療部
大腿部施療部6は、座部2に着座した着座者の大腿部9(
図7等参照)を施療する。
図3に示すように、大腿部施療部6は、取付ベース60と、回転部材61と、回転部材61を回転させる回転部材駆動部62と、施療用エアバッグ63と、を備える。
【0027】
(2.3.1)取付ベース
取付ベース60の下部601は、座本体部の左右方向の両外側に配置され、座本体部の支持体に取り付けられる。下部601は、同じく座本体部に取り付けられる肘掛け台部40(
図1参照)と座本体部とに挟まれている。下部601の上端より上方に向けて、取付ベース60の上部602が延びている。取付ベース60の外側の面には、屈曲した板状の軸支部材604が取り付けられている。軸支部材604は、回転部材61を回転可能に支持する中心軸603を支持する。上部602は、肘掛け本体部41の内側に位置している。すなわち、右側の大腿部施療部6の上部602は、右側の肘掛け本体部41の左側に位置し、左側の大腿部施療部6の上部602は、左側の肘掛け本体部41の右側に位置している。以下の説明において、肘掛け部4及び大腿部施療部6に関して、左右方向における内側という場合には、右側の肘掛け部4及び大腿部施療部6については左側をいうものとし、左側の肘掛け部4及び大腿部施療部6については右側をいうものとする。
【0028】
(2.3.2)回転部材
回転部材61は、基部611を回転の中心側とすると共に、先端部612を回転側として、先端部612が回転可能である。本実施形態では、回転部材61は、板状をした本体部613と、軸受部材614と、を有している。軸受部材614は、本体部613の下端部にビス止め、嵌め込み等の適宜の方法により取り付けられている。軸受部材614は、外側に向けて突出する突片615と、突片615に形成される軸受としての孔616と、を有している。孔616に中心軸603が通されて、基部611側を回転の中心側として先端部612が回転可能となる。回転部材61は、
図1及び
図4に示す起立した状態から、
図5及び
図6に示す内側に傾斜した状態までの範囲内で、回転可能である。大腿部施療部6は、
図3に示すように、戻りばね66を有しており、回転部材61は、戻りばね66により
図1及び
図4に示す起立した状態となる方向に付勢される。
【0029】
(2.3.3)施療用エアバッグ
図3に示すように、施療用エアバッグ63は、回転部材61の左右方向における内側に設けられる。施療用エアバッグ63は、膨張したり収縮したりして、膨張した時に座部2への着座者を押してマッサージを施す。施療用エアバッグ63は、膨張したり収縮したりしやすい材料が選択されるもので、例えばポリエチレンにより形成される。本実施形態では、板状をした取付基部630に施療用エアバッグ63が設けられている。施療用エアバッグ63は、例えばポリエチレン等の同じ材料で形成される取付基部630と一体に形成されてもよいし、同じ材料又は異なる材料で形成される別体からなる取付基部630に取り付けられてもよい。また、一の大腿部施療部6に設けられる施療用エアバッグ63の個数は、一個又は二個以上であってもよく、特に限定されない。
【0030】
取付基部630は、外側の部分がビス止め、接着等の適宜の方法により、回転部材61に取り付けられている。これにより、施療用エアバッグ63は、回転部材61と一体的に回転する。
【0031】
(2.3.4)回転部材駆動部
回転部材駆動部62は、本実施形態では、回転用エアバッグ621を備えている。回転用エアバッグ621は、回転部材61の左右方向における外側に設けられている。板状をした取付基部620に、回転用エアバッグ621が設けられている。回転用エアバッグ621は、施療用エアバッグ63と同様に、例えばポリエチレンにより形成される。回転用エアバッグ621は、同じ材料で形成される取付基部620と一体に形成されてもよいし、同じ材料又は異なる材料で形成される別体からなる取付基部620に取り付けられてもよい。また、一の大腿部施療部6に設けられる回転用エアバッグ621の個数は、一個又は二個以上であってもよく、特に限定されない。
【0032】
取付基部620は、外側の部分が、ビス止め、接着等の適宜の方法により、取付ベース60の上部602の内側の部分に取り付けられている。また、取付基部620は、内側の部分が、ビス止め、接着等の適宜の方法により、回転部材61に取り付けられている。
【0033】
(2.3.5)座部エアバッグ
図1に示すように、大腿部施療部6(第2施療部17)は、本実施形態では、更に座部エアバッグ65を備えている。座部エアバッグ65は、座面部21に設けられている。座部エアバッグ65として、座面部21への着座者の右側の大腿部に対応する位置に右側の座部エアバッグ65が設けられ、左側の大腿部に対応する位置に左側の座部エアバッグ65が設けられている。
【0034】
(2.3.6)空気供給部
図2に示すように、大腿部施療部6(第2施療部17)は、空気供給部64を有している。空気供給部64は、施療用エアバッグ63、回転用エアバッグ621及び座部エアバッグ65の各エアバッグへの空気の供給及び供給の停止、空気量、空気圧等を調節可能である。空気供給部64は、エアポンプ641と、エアポンプ641から各エアバッグに至る給気流路(不図示)と、各エアバッグからの排気流路(不図示)と、各給気流路及び各排気流路に設けられる弁642と、を有している。弁642は、例えば電磁弁等からなる開閉弁であってもよいし、流量調整弁であってもよい。エアポンプ641及び弁642は、制御部14に制御される。なお、空気供給部64は、上記のような構成を備えるものでなくてもよく、特に限定されない。
【0035】
図1に示すように、大腿部施療部6のうち少なくとも回転部材61及び施療用エアバッグ63は、回転部材61が起立すると共に施療用エアバッグ63が収縮している状態で、座部2に着座した着座者の大腿部9の左右方向における外側に配置される。また、この状態においては、回転部材61は、基部611が下側に位置すると共に先端部612が上側に位置しており、先端部612は内側に向けて回転可能である。なお、回転部材61が起立すると共に施療用エアバッグ63が収縮している状態で、回転部材61及び施療用エアバッグ63の一部が、平面視において座部2と重なってもよい。
【0036】
(2.4)動作
大腿部施療部6の動作について説明する。制御部14は、回転部材駆動部62を駆動させ、かつ、施療用エアバッグ63及び座部エアバッグ65を膨張させるように制御可能である。本実施形態では、回転部材駆動部62は回転用エアバッグ621を有するものであり、大腿部施療部6を動作させるにあたって、制御部14は、エアバッグを駆動させる第2施療部17(
図2参照)を制御すればよい。
【0037】
図1及び
図4に示すように、着座者は、回転部材61が起立すると共に施療用エアバッグ63が収縮している状態で、座部2に着座する。その後、大腿部施療部6による各施療モードで施療することができる。本実施形態では、第1施療モード~第3施療モードが実行可能であり、以下に説明する。
【0038】
(2.4.1)第1施療モード
第1施療モードは、座部エアバッグ65を膨張させず、施療用エアバッグ63を膨張させるように制御部14が制御する施療モードである。第1施療モードでは、
図4に示す回転部材61が起立する状態において、空気供給部64により、回転用エアバッグ621及び施療用エアバッグ63を膨張させる。
図7に示すように、回転用エアバッグ621が膨張することにより、回転部材61の上端部(先端部612)が内側に向けて斜め下方に移動するように回転部材61が回転する。更に、施療用エアバッグ63が膨張することにより、回転した回転部材61に対して施療用エアバッグ63が更に斜め下方に向けて膨張して、着座者の大腿部9の上面部を施療用エアバッグ63が上方又は斜め上方より下方に向けて押しやすくなる。
【0039】
これにより、着座者の大腿部9の上面部は、施療用エアバッグ63により下方に向けて押されるマッサージを受けやすくなる。ここで、
図4に示すように、回転部材61の回転の中心となる中心軸603は、座面部21の上面から高さH0の高さに位置している。高さH0は、一般的なサイズの成人が着座面に着座した時の着座面からの大腿部9の高さの範囲内に決められることが好ましい。本実施形態では、高さH0は、一般的なサイズの成人の着座面からの大腿部9の高さの概ね半分程度の高さとなっている。高さH0が高い程、座面部21に着座した着座者の大腿部9の上面部を施療用エアバッグ63により押しやすくなる。言い換えると、高さH0が高い程、施療用エアバッグ63により押す前記大腿部9の上面部の位置をより内側にしやすくなる。
【0040】
また、施療用エアバッグ63の中心位置631の中心軸603からの高さH1についても同様に、高さH1が高い程、施療用エアバッグ63により押す前記大腿部9の上面部の位置をより内側にしやすくなる。ただし、高さH0又は高さH1を高くすると、施療用エアバッグ63が膨張せず回転部材61が起立している状態における施療用エアバッグ63の高さが高くなってしまうため、この点において好ましくない。
【0041】
また、回転部材61の回転用エアバッグ621との接触領域の中心位置622は、回転部材61の施療用エアバッグ63との接触領域の中心位置632よりも基部611側に位置している。ここで、中心位置622は、例えば、回転部材61の回転用エアバッグ621との接触領域の重心位置であり、中心位置632は、例えば、回転部材61の施療用エアバッグ63との接触領域の重心位置である。なお、中心位置622及び中心位置632は、接触領域の重心位置でなくてもよく、特に限定されない。
【0042】
中心位置622が中心位置632より基部611側に位置することにより、中心軸603を中心とする施療用エアバッグ63の回転半径よりも、中心軸603を中心とする回転用エアバッグ621の回転半径を小さくでき、回転部材駆動部62のコンパクト化を図りやすい。
【0043】
また、回転部材61が起立した状態において、回転部材61は、中心軸603よりも長さW1だけ内側に位置している。これにより、回転部材61の起立した状態における左右方向の位置が中心軸603の位置と同じ場合と比較して、回転部材61が回転した時に回転部材61及び施療用エアバッグ63がより大腿部9に近づいて、大腿部9を強く押しやすくなる。
【0044】
(2.4.2)第2施療モード
次に、
図8及び
図9に基づいて第2施療モードについて説明する。第2施療モードは、施療用エアバッグ63を膨張させた後、座部エアバッグ65を膨張させるように制御部14が制御する施療モードである。
図9に示すように、第2施療モードでは、回転用エアバッグ621及び施療用エアバッグ63を膨張させた後、座部エアバッグ65を膨張させる。回転用エアバッグ621及び施療用エアバッグ63を膨張させた後、座部エアバッグ65を膨張させるまでは、
図7に示す第1施療モードと同様である。その後、座部エアバッグ65を膨張させて、
図8に示すように大腿部9を上方に押し上げる。
【0045】
これにより、着座者の大腿部9は、施療用エアバッグ63と座部エアバッグ65とにより上下方向において挟持され、着座者の大腿部9の上面部は、施療用エアバッグ63により下方に向けてより強く押され、強いマッサージを受けやすくなる。
【0046】
(2.4.3)第3施療モード
次に、
図10及び
図11に基づいて第3施療モードについて説明する。第3施療モードは、座部エアバッグ65を膨張させた後、施療用エアバッグ63を膨張させるように制御部14が制御する施療モードである。
図11に示すように、第3施療モードでは、座部エアバッグ65を膨張させた後、回転用エアバッグ621及び施療用エアバッグ63を膨張させる。
【0047】
これにより、
図10に示すように、着座者の大腿部9の主に側面部が施療用エアバッグ63により内側に押されるため、大腿部9の上面部だけでなく側面部のマッサージも受けやすくなる。
【0048】
(3)変形例
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0049】
上記の実施形態においては、マッサージ機1が対象とする施療者は、一般的なサイズの施療者を想定していた。ここで、一般的なサイズとは、男性については、日本人の成人男性のサイズの平均値を中心として概ね8割の成人男性が該当する範囲をいうものとする。同様に、一般的なサイズとは、女性については、日本人の成人女性のサイズの平均値を中心として概ね8割の成人女性が該当する範囲をいうものとする。そして、一般的なサイズとは、日本人の成人男性の一般的なサイズと日本人の成人女性の一般的なサイズを合わせた範囲をいうものとしている。なお、本開示のマッサージ機1が対象とする着座者のサイズは、一般的な日本人の成人のサイズに限定されるものではなく、例えば他国や多数の国々の一般的な成人のサイズとしてもよいし、更に、成人ではなく子供のサイズとしてもよいし、更に、一般的なサイズでなくてもよい。
【0050】
回転部材61は、板状をしていなくてもよく、アーム状、フレーム状等、形状は特に限定されない。
【0051】
回転部材駆動部62は、回転用エアバッグ621を備えたものでなくてもよい。例えば、回転部材駆動部62はモータを備え、このモータの駆動力により回転部材61を回転させてもよい。
【0052】
マッサージ機1は、第2施療部17により膨張するエアバッグを、背もたれ部3、肘掛け部4又はオットマン5に有してもよい。
【0053】
マッサージ機1は、座部2、肘掛け部4及びオットマン5等の表面に、適宜のカバーを有してもよい。カバーは、布、天然又は人工皮革、樹脂等、適宜の素材により形成可能である。
【0054】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様のマッサージ機1は、座部2と、座部2の左右方向における外側に配置される大腿部施療部6と、を備える。大腿部施療部6は、回転部材61と、回転部材61を回転させる回転部材駆動部62と、施療用エアバッグ63と、を備える。回転部材61は、下側の基部611を中心側とすると共に上側の先端部612を回転側として先端部612が左右方向における内側に向けて回転可能である。施療用エアバッグ63は、回転部材61の左右方向における内側に設けられる。
【0055】
第1の態様では、着座者の大腿部9の上面部を施療用エアバッグ63が下方に向けて押しやすくなる。
【0056】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、回転部材駆動部62は、回転部材61の左右方向における外側に設けられる回転用エアバッグ621を備える。回転部材61の回転用エアバッグ621との接触領域の中心位置622は、回転部材61の施療用エアバッグ63との接触領域の中心位置632よりも基部611側に位置している。
【0057】
第2の態様では、施療用エアバッグ63の回転半径よりも回転用エアバッグ621の回転半径を小さくできて、回転部材駆動部62のコンパクト化を図りやすい。
【0058】
第3の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、座部2は、座部エアバッグ65を備える。
【0059】
第3の態様では、より多彩なマッサージを施しやすくなる。
【0060】
第4の態様は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、回転部材駆動部62を駆動し、施療用エアバッグ63及び座部エアバッグ65を膨張させるように制御可能な制御部14を備える。制御部14は、施療用エアバッグ63を膨張させた後、座部エアバッグ65を膨張させるように制御する施療モードを実行可能である。
【0061】
第4の態様では、着座者の大腿部9が施療用エアバッグ63と座部エアバッグ65とにより上下方向において挟持され、着座者の大腿部9の上面部は、施療用エアバッグ63により下方に向けてより強く押され、強いマッサージを受けやすくなる。
【0062】
第5の態様は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、回転部材駆動部62を駆動し、施療用エアバッグ63及び座部エアバッグ65を膨張させるように制御可能な制御部14を備える。制御部14は、座部エアバッグ65を膨張させた後、施療用エアバッグ63を膨張させるように制御する施療モードを実行可能である。
【0063】
第5の態様では、大腿部9の上面部だけでなく側面部のマッサージも受けやすくなる。
【符号の説明】
【0064】
1 マッサージ機
11 本体部
12 機能部
13 施療部
14 制御部
15 操作部
16 第1施療部
161 第1モータ
162 第2モータ
163 第3モータ
17 第2施療部
18 裏カバー
2 座部
21 座面部
3 背もたれ部
31 背もたれ本体部
32 側覆い部
4 肘掛け部
40 肘掛け台部
41 肘掛け本体部
42 載置部
43 側壁部
5 オットマン
51 オットマン本体部
511 下端部
52 下腿部支持部
53 足支持部
6 大腿部施療部
60 取付ベース
601 下部
602 上部
603 中心軸
604 軸支部材
61 回転部材
611 基部
612 先端部
613 本体板部
614 軸受部材
615 突片
616 孔
62 回転部材駆動部
620 取付基部
621 回転用エアバッグ
622 中心位置
63 施療用エアバッグ
630 取付基部
631 中心位置
632 中心位置
64 空気供給部
641 エアポンプ
642 弁
65 座部エアバッグ
66 戻りばね
9 大腿部
H0 高さ
H1 高さ
W1 長さ