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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ドライバ回路、及びスイッチシステム
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/04 20060101AFI20241101BHJP
   H03K 17/0412 20060101ALI20241101BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20241101BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H03K17/04 E
H03K17/0412
H03K17/687 A
H02M1/08 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021522728
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2020018104
(87)【国際公開番号】W WO2020241158
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019101723
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】一柳 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 龍介
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀俊
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004988(JP,A)
【文献】特開昭63-303412(JP,A)
【文献】特開2012-222393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0258458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、
電源端子と、
前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続されるグランド端子と、
信号入力端子と、
前記電源端子と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間に設けられるスピードアップ回路と、
前記スピードアップ回路と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられるインピーダンス素子と
前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられている抵抗分圧回路と、を備え、
前記スピードアップ回路は、
第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される第2の電界効果トランジスタと、を有し、
前記ドライバ回路は、
前記第1の電界効果トランジスタのゲートと前記信号入力端子との間に接続されている第1のゲート抵抗と、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートと前記抵抗分圧回路の出力端との間に接続されている第2のゲート抵抗と、を更に備え、
前記インピーダンス素子のインピーダンスは、前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとの両方がオン状態のときの前記スピードアップ回路のインピーダンスよりも高い、
ドライバ回路。
【請求項2】
ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、
電源端子と、
前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続されるグランド端子と、
信号入力端子と、
前記電源端子と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間に設けられるスピードアップ回路と、
前記スピードアップ回路と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられるインピーダンス素子と、
前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられている抵抗分圧回路と、を備え、
前記スピードアップ回路は、
第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される第2の電界効果トランジスタと、を有し、
前記ドライバ回路は、
前記第1の電界効果トランジスタのゲートと前記信号入力端子との間に接続されているゲート抵抗を更に備え、
前記インピーダンス素子のインピーダンスは、前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとの両方がオン状態のときの前記スピードアップ回路のインピーダンスよりも高く、
前記第2の電界効果トランジスタは、
ゲート、ドレイン及びソースを有する第3の電界効果トランジスタと、ゲート、ドレイン及びソースを有し前記第3の電界効果トランジスタよりも電流容量の大きな第4の電界効果トランジスタと、をダーリントン接続して構成されており、
前記第3の電界効果トランジスタの前記ゲートが前記抵抗分圧回路の出力端に接続されており、
前記第4の電界効果トランジスタの前記ソースが前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される、
ドライバ回路。
【請求項3】
前記第2の電界効果トランジスタは、ノーマリオン型の電界効果トランジスタである、
請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項4】
ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、
電源端子と、
前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続されるグランド端子と、
信号入力端子と、
前記電源端子と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間に設けられるスピードアップ回路と、
前記スピードアップ回路と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられるインピーダンス素子と、
前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられている抵抗分圧回路と、を備え、
前記スピードアップ回路は、
第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される第2の電界効果トランジスタと、を有し、
前記ドライバ回路は、
入力端及び出力端を有し前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられているDCFL回路と、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートと前記抵抗分圧回路の出力端との間に接続されているゲート抵抗と、を更に備え、
前記DCFL回路の入力端が前記信号入力端子に接続されており、
前記第1の電界効果トランジスタのゲートが前記DCFL回路の出力端に接続されており、
前記DCFL回路の前記出力端が前記インピーダンス素子を介して前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される、
前記インピーダンス素子のインピーダンスは、前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとの両方がオン状態のときの前記スピードアップ回路のインピーダンスよりも高い、
ドライバ回路。
【請求項5】
前記半導体スイッチ素子は、前記ゲート及び前記ソースの各々を2つ有するデュアルゲート型の双方向スイッチ素子であり、
前記スピードアップ回路を2つ備え、
前記2つのスピードアップ回路のうち1つのスピードアップ回路が前記2つのゲートのうち一方のゲートである第1ゲートに接続され、残りの1つのスピードアップ回路が前記2つのゲートのうち他方のゲートである第2ゲートに接続されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記半導体スイッチ素子は、GaN系半導体スイッチ素子である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のドライバ回路。
【請求項7】
ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、
電源端子と、
前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続されるグランド端子と、
信号入力端子と、
前記電源端子に接続されている第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される第2の電界効果トランジスタと、
前記第2の電界効果トランジスタと前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられるインピーダンス素子と、
前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられている抵抗分圧回路と、を備え、
前記ドライバ回路は、
前記第1の電界効果トランジスタのゲートと前記信号入力端子との間に接続されている第1のゲート抵抗と、
前記第2の電界効果トランジスタのゲートと前記抵抗分圧回路の出力端との間に接続されている第2のゲート抵抗と、を更に備え、
前記第2の電界効果トランジスタがオンの状態で、前記信号入力端子に入力される信号の電位レベルが第1電位レベルから前記第1電位レベルよりも高い第2電位レベルに変化したときに、
前記第1の電界効果トランジスタがオンして前記インピーダンス素子を通る電流よりも大きな電流を前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに流すことで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を閾値電圧よりも大きな所定値よりも大きくし、その後、
前記インピーダンス素子を通して前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに電流を流し続けることで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を前記所定値にする、
ドライバ回路。
【請求項8】
ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、
電源端子と、
前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続されるグランド端子と、
信号入力端子と、
前記電源端子に接続されている第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される第2の電界効果トランジスタと、
前記第2の電界効果トランジスタと前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられるインピーダンス素子と、
前記電源端子と前記グランド端子との間に設けられている抵抗分圧回路と、を備え、
前記ドライバ回路は、
前記第1の電界効果トランジスタのゲートと前記信号入力端子との間に接続されているゲート抵抗を更に備え、
前記第2の電界効果トランジスタは、
ゲート、ドレイン及びソースを有する第3の電界効果トランジスタと、ゲート、ドレイン及びソースを有し前記第3の電界効果トランジスタよりも電流容量の大きな第4の電界効果トランジスタと、をダーリントン接続して構成されており、
前記第3の電界効果トランジスタの前記ゲートが前記抵抗分圧回路の出力端に接続されており、
前記第4の電界効果トランジスタの前記ソースが前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続され、
前記第2の電界効果トランジスタがオンの状態で、前記信号入力端子に入力される信号の電位レベルが第1電位レベルから前記第1電位レベルよりも高い第2電位レベルに変化したときに、
前記第1の電界効果トランジスタがオンして前記インピーダンス素子を通る電流よりも大きな電流を前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに流すことで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を閾値電圧よりも大きな所定値よりも大きくし、その後、
前記インピーダンス素子を通して前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに電流を流し続けることで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を前記所定値にする、
ドライバ回路。
【請求項9】
前記ドライバ回路は、モノリシック集積回路である、
請求項1~8のいずれか一項に記載のドライバ回路。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のドライバ回路と、前記半導体スイッチ素子と、を備える、
スイッチシステム。
【請求項11】
前記ドライバ回路は、モノリシック集積回路である、
請求項10に記載のスイッチシステム。
【請求項12】
前記スイッチシステムは、前記ドライバ回路と前記半導体スイッチ素子とが集積化されたモノリシック集積回路である、
請求項10に記載のスイッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライバ回路、及びスイッチシステムに関し、より詳細には、電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路、及びそれを備えるスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子のゲート駆動回路が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された半導体素子は、ゲート駆動型半導体素子である。半導体素子は、スイッチング回路からの信号に基づいて駆動される。スイッチング回路は、ドライブ回路と、ゲート抵抗器とコンデンサとの並列回路と、でゲート駆動回路を構成している。
【0004】
ドライブ回路は、NPNトランジスタ及びPNPトランジスタで構成されている。半導体素子を構成するゲート駆動型半導体素子は、GIT(Gate Injection Transistor)である。
【0005】
特許文献1に開示されたゲート駆動回路では、ゲート抵抗器と並列接続されたコンデンサを備えることで、高速スイッチングを可能としているので、容量の大きなコンデンサを備える必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-51165号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子のターンオン時間の短縮化を図れるドライバ回路、及びスイッチシステムを提供することにある。
【0008】
本開示に係る一態様のドライバ回路は、ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、電源端子と、グランド端子と、信号入力端子と、スピードアップ回路と、インピーダンス素子と、を備える。前記グランド端子は、前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続される。前記スピードアップ回路は、前記電源端子と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間に設けられる。前記インピーダンス素子は、前記スピードアップ回路と前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられる。前記スピードアップ回路は、第1の電界効果トランジスタと、第2の電界効果トランジスタと、を有する。前記第2の電界効果トランジスタは、前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される。前記インピーダンス素子のインピーダンスは、前記第1の電界効果トランジスタと前記第2の電界効果トランジスタとの両方がオン状態のときの前記スピードアップ回路のインピーダンスよりも高い。
【0009】
本開示に係る一態様のドライバ回路は、ゲート及び前記ゲートに対応するソースを有する電流駆動型の半導体スイッチ素子のドライバ回路であって、電源端子と、グランド端子と、信号入力端子と、第1の電界効果トランジスタと、第2の電界効果トランジスタと、インピーダンス素子と、を備える。前記グランド端子は、前記半導体スイッチ素子の前記ソースに接続される。前記第1の電界効果トランジスタは、前記電源端子に接続されている。前記第2の電界効果トランジスタは、前記第1の電界効果トランジスタに直列接続されており、前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに接続される。前記インピーダンス素子は、前記第2の電界効果トランジスタと前記半導体スイッチ素子の前記ゲートとの間のノードと、前記信号入力端子と、の間に設けられる。前記ドライバ回路は、前記第2の電界効果トランジスタがオンの状態で、前記信号入力端子に入力される信号の電位レベルが第1電位レベルから第1電位レベルよりも高い第2電位レベルに変化したときに、前記第1の電界効果トランジスタがオンして前記インピーダンス素子を通る電流よりも大きな電流を前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに流すことで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を閾値電圧よりも大きな所定値よりも大きくし、その後、前記インピーダンス素子を通して前記半導体スイッチ素子の前記ゲートに電流を流し続けることで前記半導体スイッチ素子のゲート電圧を前記所定値にする。
【0010】
本開示に係る一態様のスイッチシステムは、前記ドライバ回路と、前記半導体スイッチ素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図2図2は、同上のドライバ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3図3は、実施形態2に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図4図4は、実施形態3に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図5図5は、実施形態4に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図であるである。
図6図6は、実施形態5に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図7図7は、実施形態6に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図8図8は、同上のドライバ回路における定電流回路の動作説明図である。
図9図9は、実施形態7に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
図10図10は、同上のドライバ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図11図11は、実施形態8に係るドライバ回路を備えるスイッチシステムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係るドライバ回路1及びそれを備えるスイッチシステム3について、図1に基づいて説明する。
【0013】
(1)概要
ドライバ回路1は、電流駆動型の半導体スイッチ素子2のドライバ回路である。半導体スイッチ素子2は、ゲート21及びゲート21に対応するソース22を有する。電流駆動型の半導体スイッチ素子2は、ゲート21に電流を流すことによってターンオンし、ターンオン後もゲート21に電流が流れる素子である。電流駆動型の半導体スイッチ素子2は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を含まない。
【0014】
スイッチシステム3は、ドライバ回路1と、半導体スイッチ素子2と、を備える。半導体スイッチ素子2は、上述のゲート21及びソース22の他にドレイン23を有する。スイッチシステム3は、半導体スイッチ素子2のソース22及びドレイン23にそれぞれ接続されたソース端子32及びドレイン端子33を有する。
【0015】
(2)スイッチシステムの各構成要素
(2.1)半導体スイッチ素子
半導体スイッチ素子2は、例えば、GaN系半導体スイッチ素子である。より詳細には、半導体スイッチ素子2は、GaN系GIT(Gate Injection Transistor)である。
【0016】
半導体スイッチ素子2は、例えば、基板と、バッファ層と、第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、ソース電極と、ゲート電極と、ドレイン電極と、p型層と、を備える。バッファ層は、基板上に形成されている。第1の窒化物半導体層は、バッファ層上に形成されている。第2の窒化物半導体層は、第1の窒化物半導体層上に形成されている。ソース電極、ゲート電極及びドレイン電極は、第2の窒化物半導体層上に形成されている。p型層は、ゲート電極と第2の窒化物半導体層との間に介在している。半導体スイッチ素子2では、第2の窒化物半導体層とp型層とでダイオード構造を構成する。半導体スイッチ素子2におけるゲート21は、ゲート電極と、p型層と、を含む。半導体スイッチ素子2におけるソース22は、ソース電極を含む。半導体スイッチ素子2におけるドレイン23は、ドレイン電極を含む。基板は、例えば、シリコン基板である。バッファ層は、例えば、アンドープのGaN層である。第1の窒化物半導体層は、例えば、アンドープのGaN層である。第2の窒化物半導体層は、例えば、アンドープのAlGaN層である。p型層は、例えば、p型AlGaN層である。バッファ層、第1の窒化物半導体層及び第2の窒化物半導体層のそれぞれは、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)等による成長時に不可避的に混入されるMg、H、Si、C、O等の不純物が存在してもよい。
【0017】
(2.2)ドライバ回路
(2.2.1)ドライバ回路の構成
実施形態1に係るドライバ回路1は、図1に示すように、電源端子11と、グランド端子12と、信号入力端子13と、スピードアップ回路14と、インピーダンス素子15と、を備える。
【0018】
グランド端子12は、ゲート21、ソース22及びドレイン23を有する電流駆動型の半導体スイッチ素子2のソース22に接続される。
【0019】
スピードアップ回路14は、電源端子11と半導体スイッチ素子2のゲート21との間に設けられる。
【0020】
インピーダンス素子15は、スピードアップ回路14と半導体スイッチ素子2のゲート21との間のノードN1と、信号入力端子13と、の間に設けられる。
【0021】
スピードアップ回路14は、第1の電界効果トランジスタQ1と、第2の電界効果トランジスタQ2と、を有する。
【0022】
第2の電界効果トランジスタQ2は、第1の電界効果トランジスタQ1に直列接続されており、半導体スイッチ素子2のゲート21に接続される。
【0023】
インピーダンス素子15のインピーダンスは、第1の電界効果トランジスタQ1と第2の電界効果トランジスタQ2との両方がオン状態のときのスピードアップ回路14のインピーダンスよりも高い。
【0024】
実施形態1に係るドライバ回路1は、抵抗分圧回路16を更に備える。抵抗分圧回路16は、電源端子11とグランド端子12との間に設けられている。実施形態1に係るドライバ回路1では、第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2が抵抗分圧回路16の出力端161に接続されている。
【0025】
(2.2.2)ドライバ回路の詳細
ドライバ回路1の電源端子11とグランド端子12との間には、高電位側の出力端と低電位側の出力端とを有する直流電源4が接続される。ドライバ回路1の電源端子11には、直流電源4の高電位側の出力端が接続される。ドライバ回路1のグランド端子12には、直流電源4の低電位側の出力端が接続される。直流電源4の出力電圧は、例えば、12Vである。直流電源4は、絶縁電源である。なお、直流電源4は、ドライバ回路1の構成要素ではない。
【0026】
ドライバ回路1の信号入力端子13とグランド端子12との間には、ドライバIC(IntegratedCircuit)5と信号源6との直列回路が接続される。なお、ドライバIC5及び信号源6は、ドライバ回路1の構成要素ではない。
【0027】
信号源6は、ドライブ信号(図2参照)を出力する。ドライブ信号は、例えば、電位レベルが第1電位レベルVL1(例えば、0V)と第2電位レベルVL2(例えば、12V)との間で変化する信号である。第1電位レベルVL1は、例えば、直流電源4の低電位側の出力端の電位レベルと同じ電位レベルである。第2電位レベルVL2は、例えば、直流電源4の高電位側の出力端の電位レベルと同じ電位レベルである。
【0028】
ドライバIC5は、例えば、CMOS(ComplementaryMetal-Oxide Semiconductor)インバータであり、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETとの逆直列回路を含む。この逆直列回路は、直流電源4の高電位側の出力端と低電位側の出力端との間に接続されている。この逆直列回路では、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETのドレイン同士が接続されており、pチャネルMOSFETのソースが直流電源4の高電位側の出力端に接続され、nチャネルMOSFETのソースが直流電源4の低電位側の出力端に接続されている。ドライバIC5は、信号源6から入力されるドライブ信号の電位レベルが第2電位レベルVL2のときには、pチャネルMOSFETがオフ状態、nチャネルMOSFETがオン状態となって出力信号の電位レベルが第1電位レベルVL1となる。また、ドライバIC5は、信号源6から入力されるドライブ信号の電位レベルが第1電位レベルVL1のときには、pチャネルMOSFETがオン状態、nチャネルMOSFETがオフ状態となって出力信号の電位レベルが第2電位レベルVL2となる。ドライブ信号及びドライバIC5の出力信号では、第2電位レベルVL2(例えば、12V)が論理1に対応し、第1電位レベルVL1(例えば、0V)が論理0に対応する。
【0029】
スピードアップ回路14は、半導体スイッチ素子2をより高速でターンオンさせるための回路である。
【0030】
スピードアップ回路14では、第1の電界効果トランジスタQ1と第2の電界効果トランジスタQ2とが直列接続されている。第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2の各々は、半導体スイッチ素子2と同様、GaN系GITである。実施形態1に係るドライバ回路1では、第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2の各々は、ノーマリオフ型の電界効果トランジスタである。第1の電界効果トランジスタQ1は、ゲートGQ1、ドレインDQ1、及びソースSQ1を有する。第2の電界効果トランジスタQ2は、ゲートGQ2、ドレインDQ2、及びソースSQ2を有する。スピードアップ回路14では、第1の電界効果トランジスタQ1のソースSQ1と第2電界効果トランジスタQ2のドレインDQ2とが接続されている。スピードアップ回路14では、第1の電界効果トランジスタQ1のドレインDQ1が、電源端子11と接続されている。また、スピードアップ回路14では、第2の電界効果トランジスタQ2のソースSQ2が半導体スイッチ素子2のゲート21と接続されている。
【0031】
第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2の各々の電流容量は、半導体スイッチ素子2の電流容量よりも小さい。第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2の各々のゲート幅は、半導体スイッチ素子2のゲート幅よりも小さい。第2の電界効果トランジスタQ2のゲート幅は、例えば、第1の電界効果トランジスタQ1のゲート幅と同程度であるが、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0032】
第1の電界効果トランジスタQ1は、半導体スイッチ素子2をターンオンした際に半導体スイッチ素子2のゲート21に定常オン状態のときよりも大きな電流(ゲート電流)を流して半導体スイッチ素子2のゲート電圧を一時的に、閾値電圧よりも大きな所定値Vg1(図2参照)よりも大きくするための素子である。
【0033】
ドライバ回路1では、第2の電界効果トランジスタQ2をオン状態として半導体スイッチ素子2をターンオンさせた後に、第2の電界効果トランジスタQ2をオフする。
【0034】
ドライバ回路1は、第1のゲート抵抗R1と、第2のゲート抵抗R2と、を更に備える。第1のゲート抵抗R1の一端は、信号入力端子13に接続されている。第1のゲート抵抗R1の他端は、第1の電界効果トランジスタQ1のゲートGQ1に接続されている。第2のゲート抵抗R2の一端は、抵抗分圧回路16の出力端161に接続されている。第2のゲート抵抗R2の他端は、第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2に接続されている。第1の電界効果トランジスタQ1を高速にオンする観点から、第1のゲート抵抗R1の抵抗値は、第2のゲート抵抗R2の抵抗値よりも小さい。
【0035】
インピーダンス素子15は、スピードアップ回路14と半導体スイッチ素子2のゲート21との間のノードN1と、信号入力端子13と、の間に設けられる。インピーダンス素子15の一端はノードN1に接続されている。インピーダンス素子15の他端は信号入力端子13に接続されている。インピーダンス素子15は、半導体スイッチ素子2の定常オン状態において半導体スイッチ素子2のゲート21とソース22との間に印加されるゲート電圧(上記の所定値Vg1)を決めるための素子である。インピーダンス素子15は、例えば、抵抗R5である。抵抗R5の抵抗値は、半導体スイッチ素子2がオンするゲート電流が半導体スイッチ素子2のゲート21に流れるように決めてある。ゲート抵抗R2の抵抗値と抵抗R5の抵抗値との大小関係は、第2の電界効果トランジスタQ2のゲート幅と半導体スイッチ素子2のゲート幅の大小関係と逆になるように決めてある。
【0036】
抵抗分圧回路16は、抵抗R3と抵抗R4との直列回路であり、抵抗R3を電源端子11側、抵抗R4をグランド端子12側として、電源端子11とグランド端子12との間に設けられている。抵抗分圧回路16の出力端161は、抵抗R3と抵抗R4との接続点である。抵抗分圧回路16では、第2の電界効果トランジスタQ2をオンするための電圧を出力端161から出力できるように抵抗R3の抵抗値と抵抗R4の抵抗値との比率を決められている。電源端子11とグランド端子12との間に直流電源4が接続されている状態では、抵抗分圧回路16の抵抗R3及び抵抗R4に常に電流が流れるので、抵抗R3及び抵抗R4それぞれの抵抗値が小さいと直流電源4の電力損失が大きくなる。したがって、直流電源4の電力損失を低減する観点では、各抵抗R3,R4それぞれの抵抗値は大きいほうが好ましい。ただし、第2の電界効果トランジスタQ2のゲート電圧を大きくして第2の電界効果トランジスタQ2の動作を安定させる観点では、各抵抗R3,R4それぞれの抵抗値は大きくしすぎないようにする必要がある。
【0037】
ドライバ回路1では、例えば、第2のゲート抵抗R2の抵抗値を、抵抗分圧回路16の抵抗R3の抵抗値と同じ程度にすることにより、半導体スイッチ素子2をオンさせるとき第2の電界効果トランジスタQ2がオフするまでの時間が長くなる。これにより、半導体スイッチ素子2のゲート電圧を所定値Vg1よりも一時的に大きくできる時間を長くでき、半導体スイッチ素子2のターンオン速度をより高速化できる。また、ドライバ回路1は、半導体スイッチ素子2のゲート電圧が所定値Vg1よりも大きい間は半導体スイッチ素子2に流れるドレイン電流をゲート電圧が所定値Vg1の場合のドレイン電流よりも大きくできる。これにより、ドライバ回路1は、そのアプリケーションによっては突入電流を流しきるために必要な時間を稼ぐことができる。
【0038】
以下、直流電源4の出力電圧を例えば12Vとした場合について、スイッチシステム3における半導体スイッチ素子2、第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2それぞれのゲート幅と回路定数との一例を説明する。
【0039】
半導体スイッチ素子2のゲート幅は、例えば、400mmである。第1の電界効果トランジスタQ1のゲート幅は、例えば、10mmである。第2の電界効果トランジスタQ2のゲート幅は、例えば、10mmである。
【0040】
第1のゲート抵抗R1の抵抗値は、例えば、100Ωである。第2のゲート抵抗R2の抵抗値は、例えば、1kΩ~10kΩである。
【0041】
抵抗R3の抵抗値は、例えば、5kΩである。抵抗R4の抵抗値は、例えば、2kΩである。インピーダンス素子15を構成する抵抗R5の抵抗値は、例えば、500Ωである。
【0042】
(3)ドライバ回路及びそれを備えるスイッチシステムの動作
実施形態1に係るドライバ回路1は、上述のように、電源端子11と、グランド端子12と、信号入力端子13と、第1の電界効果トランジスタQ1と、第2の電界効果トランジスタQ2と、インピーダンス素子15(抵抗R5)と、を備える。
【0043】
図2は、信号源6に入力されるドライブ信号、ドライバIC5の出力信号、第1の電界効果トランジスタQ1のゲート電圧、第2の電界効果トランジスタQ2のゲート電圧、半導体スイッチ素子2のゲート電圧、及び半導体スイッチ素子2のドレイン23・ソース22間電圧の関係を模式的に示すタイミングチャートである。
【0044】
実施形態1に係るドライバ回路1は、第2の電界効果トランジスタQ2がオン状態で、信号入力端子13に入力される信号(ドライバIC5の出力信号)の電位レベルが第1電位レベルVL1から第1電位レベルVL1よりも高い第2電位レベルVL2に変化したときに、第1の電界効果トランジスタQ1がオンしてインピーダンス素子15を通る電流(例えば、1[mA])よりも大きな電流(例えば、1[A])を半導体スイッチ素子2のゲート21に流すことで半導体スイッチ素子2のゲート電圧を半導体スイッチ素子2の閾値電圧よりも大きな所定値Vg1よりも大きくし、その後、インピーダンス素子15を通して半導体スイッチ素子2のゲート21に電流を流し続けることで半導体スイッチ素子2を定常オン状態にする。
【0045】
(4)利点
実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3では、第1電界効果トランジスタQ1と第2電界効果トランジスタQ2とを用いたスピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0046】
また、実施形態1に係るドライバ回路1は、モノリシック集積回路として構成する場合に、容量の大きなコンデンサを備える必要がないので、小型化を図れる。また、実施形態1に係るスイッチシステム3は、モノリシック集積回路として構成する場合に、容量の大きなコンデンサを備える必要がないので、小型化を図れる。
【0047】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係るドライバ回路1a及びそれを備えるスイッチシステム3aについて、図3に基づいて説明する。
【0048】
実施形態2に係るドライバ回路1aは、実施形態1に係るドライバ回路1(図1参照)と略同じであり、ドライバ回路1の抵抗R4の代わりに定電流回路17を備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態2に係るドライバ回路1a及びスイッチシステム3aに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
実施形態2に係るドライバ回路1aは、実施形態1に係るドライバ回路1の抵抗分圧回路16の代わりに、抵抗R3と定電流回路17との直列回路を備える。抵抗R3は、電源端子11に接続されている。定電流回路17は、抵抗R3とグランド端子12との間に設けられている。
【0050】
ドライバ回路1aでは、第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2が抵抗R3と定電流回路17との間のノードN2に接続されている。
【0051】
定電流回路17は、例えば、ゲートGQ3、ドレインDQ3及びソースSQ3を有する電界効果トランジスタQ3を含み、この電界効果トランジスタQ3のゲートGQ3とソースSQ3とを短絡することによって構成されている。定電流回路17では、電界効果トランジスタQ3のドレインDQ3が抵抗R3に接続され、電界効果トランジスタQ3のソースSQ3がグランド端子12に接続されている。電界効果トランジスタQ3は、例えば、GaN系GITである。
【0052】
実施形態2に係るドライバ回路1a及びスイッチシステム3aは、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様、スピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0053】
また、実施形態2に係るドライバ回路1aは、電源端子11とグランド端子12との間に接続される直流電源4から電源端子11及び第1の電界効果トランジスタQ1を通して第2の電界効果トランジスタQ2に流れる電流を定電流回路17の電流に抑制でき、電力損失を低減することが可能となる。
【0054】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係るドライバ回路1b及びそれを備えるスイッチシステム3bについて、図4に基づいて説明する。
【0055】
実施形態3に係るドライバ回路1bは、実施形態1に係るドライバ回路1(図1参照)と略同じであり、抵抗R4の代わりに定電圧回路18を備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態3に係るドライバ回路1b及びスイッチシステム3bに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
実施形態3に係るドライバ回路1bは、実施形態1に係るドライバ回路1の抵抗分圧回路16の代わりに、抵抗R3と定電圧回路18との直列回路を備える。抵抗R3は、電源端子11に接続されている。定電圧回路18は、抵抗R3とグランド端子12との間に設けられている。ドライバ回路1bでは、抵抗R3と定電圧回路18との間のノードN3が、第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2に接続されている。
【0057】
定電圧回路18は、複数のダイオードD1を直列接続して構成されている。定電圧回路18では、複数のダイオードD1のうち回路的に抵抗R3に最も近いダイオードD1のアノードが抵抗R3に接続され、回路的に抵抗R3から最も遠いダイオードD1のカソードがグランド端子12に接続されている。定電圧回路18において直列接続するダイオードD1の数は、複数のダイオードD1の順方向電圧(Vf)の合計値が第2の電界効果トランジスタQ2の閾値電圧よりも大きく、かつ、第2の電界効果トランジスタQ2が壊れないように決めてある。
【0058】
実施形態3に係るドライバ回路1b及びスイッチシステム3bは、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様、スピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0059】
また、実施形態3に係るドライバ回路1bは、定電圧回路18を備えるので、電源端子11とグランド端子12との間に印加される電圧の大きさによらず、第2の電界効果トランジスタQ2に過大なゲート電圧が印加されるのを抑制することが可能となる。
【0060】
(実施形態4)
以下、実施形態4に係るドライバ回路1c及びそれを備えるスイッチシステム3cについて、図5に基づいて説明する。
【0061】
実施形態4に係るドライバ回路1cは、実施形態1に係るドライバ回路1(図1参照)と略同じであり、スピードアップ回路14の代わりにスピードアップ回路14cを備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態4に係るドライバ回路1c及びスイッチシステム3cに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
スピードアップ回路14cでは、第2の電界効果トランジスタQ2が、第3の電界効果トランジスタQ21と、第4の電界効果トランジスタQ22と、をダーリントン接続して構成されている。したがって、スピードアップ回路14cは、第1の電界効果トランジスタQ1と、第3の電界効果トランジスタQ21と第4の電界効果トランジスタQ22とのダーリントン回路により構成される第2の電界効果トランジスタQ2と、を含む。第3の電界効果トランジスタQ21及び第4の電界効果トランジスタQ22の各々は、例えば、GaN系GITである。
【0063】
第3の電界効果トランジスタQ21は、ゲートGQ21、ドレインDQ21及びソースSQ21を有する。第4の電界効果トランジスタQ22は、ゲートGQ22、ドレインDQ22及びソースSQ22を有する。第4の電界効果トランジスタQ22の電流容量は、第3の電界効果トランジスタQ21の電流容量よりも大きい。ここにおいて、第4の電界効果トランジスタQ22のゲート幅は、第3の電界効果トランジスタQ21のゲート幅よりも大きい。例えば、実施形態1に係るスイッチシステム3と同様に半導体スイッチ素子2のゲート幅が400mmの場合、実施形態4に係るドライバ回路1c及びスイッチシステム3cでは、第4の電界効果トランジスタQ22のゲート幅は、例えば、第1の電界効果トランジスタQ1のゲート幅と同じであり、一例として10mmである。これに対して、第3の電界効果トランジスタQ21のゲート幅は、例えば、1mmである。
【0064】
スピードアップ回路14cでは、第3の電界効果トランジスタQ21のゲートGQ21が抵抗分圧回路16の出力端161に接続されている。第4の電界効果トランジスタQ22のソースSQ22が半導体スイッチ素子2のゲート21に接続される。
【0065】
実施形態4に係るドライバ回路1c及びスイッチシステム3cは、スピードアップ回路14cを備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0066】
また、実施形態4に係るドライバ回路1cでは、実施形態1のドライバ回路1と比べて、第2の電界効果トランジスタQ2の電流増幅率を大きくできるので、抵抗分圧回路16の各抵抗R3,R4の抵抗値を大きくできる。これにより、実施形態4に係るドライバ回路1cでは、電力損失を低減することが可能となる。
【0067】
(実施形態5)
以下、実施形態5に係るドライバ回路1d及びそれを備えるスイッチシステム3dについて、図6に基づいて説明する。
【0068】
実施形態5に係るドライバ回路1dは、実施形態1に係るドライバ回路1(図1参照)と略同じであり、スピードアップ回路14の代わりにスピードアップ回路14dを備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態5に係るドライバ回路1d及びスイッチシステム3dに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
スピードアップ回路14dは、スピードアップ回路14におけるノーマリオフ型の第2の電界効果トランジスタQ2の代わりに、ノーマリオン型の第2の電界効果トランジスタQ2dを備えている。第2の電界効果トランジスタQ2dは、GaN系GITである。第2の電界効果トランジスタQ2dは、ゲートGQ2d、ドレインDQ2d及びソースSQ2dを有する。ノーマリオフ型の第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2は、半導体スイッチ素子2のゲート21と同様にp型層を備えている。これに対し、ノーマリオン型の第2の電界効果トランジスタQ2dのゲートGQ2dは、例えば、第2の窒化物半導体層(例えば、アンドープのAlGaN層)の表面においてゲート21下にリセス構造を設けることで第2の窒化物半導体層の厚さをゲート21下でソース22下よりも薄くしてある。ノーマリオン型の第2の電界効果トランジスタQ2dのゲートGQ2dは、p型層を備えずに第2の窒化物半導体層にショットキー接合するゲート電極により構成されていてもよい。
【0070】
実施形態5に係るドライバ回路1d及びスイッチシステム3dは、スピードアップ回路14dを備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0071】
また、実施形態5に係るドライバ回路1dは、スピードアップ回路14dの第2の電界効果トランジスタQ2dがノーマリオン型の電界効果トランジスタなので、直流電源4の出力電圧が小さい場合(例えば、5Vの場合)でも第1の電界効果トランジスタQ1のゲート電圧を大きくすることができる。
【0072】
実施形態1に係るスイッチシステム3では、例えば、第2の電界効果トランジスタQ2及び半導体スイッチ素子2の各々の閾値電圧を+2Vとし、上記の所定値Vg1を+3Vとすると、直流電源4の出力電圧が5Vの場合、半導体スイッチ素子2のターンオン速度の高速化ができなくなる。第2の電界効果トランジスタQ2のオンしている状態でのゲート電圧が3Vとすると、半導体スイッチ素子2のターンオンのときには、第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2を通じて電流が流れ、半導体スイッチ素子2のゲート電圧が上昇する。しかしながら、半導体スイッチ素子2のゲート電圧が1Vになった時点で第2の電界効果トランジスタQ2がオフするので、半導体スイッチ素子2のゲート電圧は所定値Vg1(例えば、3V)までゆっくり上昇する。
【0073】
これに対して、実施形態5に係るスイッチシステム3dでは、例えば、第2の電界効果トランジスタQ2d及び半導体スイッチ素子2それぞれの閾値電圧を-3V、+2Vとし、上記の所定値Vg1を+3Vとすると、直流電源4の出力電圧が5Vの場合でも、半導体スイッチ素子2のターンオン速度の高速化が可能である。第2の電界効果トランジスタQ2dのオンしている状態でのゲート電圧が1Vとすると、半導体スイッチ素子2のターンオンのときには、第1の電界効果トランジスタQ1及び第2の電界効果トランジスタQ2dを通じて電流が流れ、半導体スイッチ素子2のゲート電圧が上昇する。半導体スイッチ素子2のゲート電圧が4Vになった時点で第2の電界効果トランジスタQ2dがオフし、半導体スイッチ素子2のゲート電圧は所定値Vg1(3V)までゆっくり低下する。したがって、実施形態5に係るドライバ回路1d及びスイッチシステム3dでは、半導体スイッチ素子2をターンオンさせるときに半導体スイッチ素子2のゲート電圧を一時的に所定値Vg1よりも大きな値に上昇させることができ、ターンオン時間を短縮化することが可能となる。
【0074】
(実施形態6)
以下、実施形態6に係るドライバ回路1e及びそれを備えるスイッチシステム3eについて、図7に基づいて説明する。
【0075】
実施形態6に係るドライバ回路1eは、実施形態1に係るドライバ回路1(図1)と略同じであり、抵抗R3の代わりに定電流回路19を備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態6に係るドライバ回路1e及びスイッチシステム3eに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
実施形態6に係るドライバ回路1eは、実施形態1に係るドライバ回路1の抵抗分圧回路16の代わりに、定電流回路19と抵抗R4との直列回路を備える。定電流回路19は、電源端子11に接続されている。抵抗R4は、定電流回路19とグランド端子12との間に接続されている。ドライバ回路1eでは、第2の電界効果トランジスタQ2のゲートGQ2が、定電流回路19と抵抗R4との間のノードN4に接続されている。
【0077】
定電流回路19は、例えば、ゲートGQ8、ドレインDQ8及びソースSQ8を有する電界効果トランジスタQ8を含み、この電界効果トランジスタQ8のゲートGQ8とソースSQ8とを短絡することによって構成されている。定電流回路19では、電界効果トランジスタQ8のドレインDQ8が電源端子11に接続され、電界効果トランジスタQ8のソースSQ8が抵抗R4に接続されている。電界効果トランジスタQ8は、例えば、GaN系GITである。電界効果トランジスタQ8は、ゲートGQ8とソースSQ8とが短絡されているので、ドレイン電圧をVd、ドレイン電流をIdとすると、図8に実線で示すような電圧-電流特性を有する。図8における「VCC」は、直流電源4の出力電圧である。また、図8における「VCC/R4」は、直流電源4の出力電圧を抵抗R4の抵抗値で除した値である。図8において、VCC/R4とVCCとを結んでいる直線と電圧-電流特性との交点から横軸(ドレイン電圧)に下した垂線と横軸との交点とVCCとの差分が、第2の電界効果トランジスタQ2のゲート電圧の最大値である。
【0078】
実施形態6に係るドライバ回路1e及びスイッチシステム3eは、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様、スピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0079】
また、実施形態6に係るドライバ回路1eは、定電流回路19を備えるので、直流電源4の出力電圧が変化しても第2の電界効果トランジスタQ2に流れる電流を制限でき、ドライバ回路1eの電力損失の低減及び第2の電界効果トランジスタQ2のゲート電圧の安定化を図れる。
【0080】
(実施形態7)
以下、実施形態7に係るドライバ回路1f及びそれを備えるスイッチシステム3fについて、図9に基づいて説明する。
【0081】
実施形態7に係るドライバ回路1fは、実施形態1に係るドライバ回路1と略同じであり、DCFL(Direct Coupled FET Logic)回路10を更に備える点で、実施形態1に係るドライバ回路1と相違する。実施形態7に係るドライバ回路1f及びスイッチシステム3fに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
DCFL回路10は、入力端101及び出力端102を有し電源端子11とグランド端子12との間に接続されている。
【0083】
ドライバ回路1fでは、DCFL回路10の入力端101が信号入力端子13に接続されている。また、ドライバ回路1fでは、DCFL回路10の出力端102がインピーダンス素子15を介して半導体スイッチ素子2のゲート21に接続される。
【0084】
DCFL回路10は、電界効果トランジスタQ4と電界効果トランジスタQ5とを含む論理回路である。電界効果トランジスタQ4は、ゲートGQ4、ドレインDQ4及びソースSQ4を有する。電界効果トランジスタQ5は、ゲートGQ5、ドレインDQ5及びソースSQ5を有する。電界効果トランジスタQ4は、ノーマリオン型のGaN系GITである。電界効果トランジスタQ5は、ノーマリオフ型のGaN系GITである。
【0085】
DCFL回路10では、電界効果トランジスタQ4のゲートGQ4とソースSQ4とが短絡されており、電界効果トランジスタQ4が定電流素子として動作する。
【0086】
電界効果トランジスタQ5では、ゲートGQ5が信号入力端子13と接続されている。DCFL回路10では、電界効果トランジスタQ5のゲートGQ5が入力端101を構成し、電界効果トランジスタQ4のソースSQ4と電界効果トランジスタQ5のドレインDQ5との接続点がDCFL回路10の出力端102を構成している。
【0087】
DCFL回路10は、入力端101の入力論理が1のときに出力端102から出力論理0を出力し、入力端101の入力論理が0のときに出力端102から出力論理1を出力する。DCFL回路10では、電界効果トランジスタQ5の閾値電圧以上の電位レベルを入力論理1とし、電界効果トランジスタQ5の閾値電圧未満の電位レベルを入力論理0とすると、入力論理が1の場合は、電界効果トランジスタQ5がオンで、出力端102はグランド端子12と同電位になる。
【0088】
DCFL回路10においては、入力論理が1のとき出力論理が0になるように、電界効果トランジスタQ5のオン状態でのインピーダンスが、電界効果トランジスタQ4のオン状態でのインピーダンスよりも小さい。ここにおいて、電界効果トランジスタQ5のゲート幅は、電界効果トランジスタQ4のゲート幅よりも大きい。
【0089】
また、ドライバ回路1fは、DCFL回路10と電源端子11との間に設けられた抵抗R6を更に備えているが、備えていなくてもよい。抵抗R6の抵抗値については、抵抗R5の抵抗値よりも大きくすると、抵抗R6の抵抗値によって半導体スイッチ素子2の定常オン状態でのゲート電圧が決まってしまうので、回路設計時に注意が必要である。
【0090】
また、ドライバ回路1fは、電界効果トランジスタQ5のゲートGQ5と信号入力端子13との間に設けられたゲート抵抗R7を更に備える。ゲート抵抗R7は、電界効果トランジスタQ5のゲートGQ5がドライバIC5に直結されてゲートGQ5が過電圧によって破壊されるのを防止するために設けてある。
【0091】
また、ドライバ回路1fは、ノードN1とグランド端子12との間に設けられる電界効果トランジスタQ6を更に備える。電界効果トランジスタQ6は、ゲートGQ6、ドレインDQ6及びソースSQ6を有する。電界効果トランジスタQ6は、ノーマリオフ型のGaN系GITである。電界効果トランジスタQ6は、半導体スイッチ素子2のターンオフ速度を高速化するために設けた素子であり、ドレインDQ6が半導体スイッチ素子2のゲートに接続され、ソースSQ6が半導体スイッチ素子2のソース22に接続される。電界効果トランジスタQ6は、半導体スイッチ素子2をオフさせるときに半導体スイッチ素子2のゲート電荷を引き抜く経路として、インピーダンス素子15を通らない経路を形成するために設けられている。
【0092】
また、ドライバ回路1fは、電界効果トランジスタQ6のゲートGQ6と信号入力端子13との間に設けられたゲート抵抗R8を更に備える。ゲート抵抗R8は、電界効果トランジスタQ6のゲートGQ6がドライバIC5に直結されてゲートGQ6が過電圧によって破壊されるのを防止するために設けてある。電界効果トランジスタQ6のターンオン速度を速くして半導体スイッチ素子2のターンオフ速度を速める観点では、ゲート抵抗R8の抵抗値は、小さいほうが好ましい。
【0093】
また、ドライバ回路1fは、ゲート抵抗R8に並列接続された電界効果トランジスタQ7を更に備える。電界効果トランジスタQ7は、ゲートGQ7、ドレインDQ7及びソースSQ7を有する。電界効果トランジスタQ7は、ノーマリオフ型のGaN系GITである。電界効果トランジスタQ7のソースSQ7は、ゲート抵抗R8における電界効果トランジスタQ6側の一端に接続され、ドレインDQ7は、ゲート抵抗8における信号入力端子13側の他端に接続されている。電界効果トランジスタQ7は、ゲートGQ7とソースSQ7とを短絡してあり、ダイオードとして機能する。電界効果トランジスタQ7は、電界効果トランジスタQ6のターンオフ速度を高速化するための素子である。
【0094】
以下、直流電源4の出力電圧を例えば12Vとした場合について、スイッチシステム3fにおける半導体スイッチ素子2、各電界効果トランジスタQ1、Q2、Q4~Q7それぞれのゲート幅と各抵抗R2~R8の回路定数との一例を説明する。
【0095】
半導体スイッチ素子2のゲート幅は、例えば、400mmである。第1の電界効果トランジスタQ1のゲート幅は、例えば、10mmである。第2の電界効果トランジスタQ2のゲート幅は、例えば、10mmである。電界効果トランジスタQ4のゲート幅は、例えば、0.1mmである。電界効果トランジスタQ5のゲート幅は、例えば、1mmである。電界効果トランジスタQ6のゲート幅は、例えば、10mmである。電界効果トランジスタQ7のゲート幅は、例えば、1mmである。第2のゲート抵抗R2の抵抗値は、例えば、1kΩである。抵抗R3の抵抗値は、例えば、5kΩである。抵抗R4の抵抗値は、例えば、2kΩである。インピーダンス素子15を構成する抵抗R5の抵抗値は、例えば、500Ωである。抵抗R6の抵抗値は、例えば、100Ωである。ゲート抵抗R7の抵抗値は、例えば、5kΩである。ゲート抵抗R8の抵抗値は、例えば、1kΩである。
【0096】
図10は、信号源6に入力されるドライブ信号、ドライバIC5の出力信号、第1の電界効果トランジスタQ1(第1のFET)のゲート電圧、第2の電界効果トランジスタQ2(第2のFET)のゲート電圧、半導体スイッチ素子2のゲート電圧、半導体スイッチ素子2のドレイン・ソース間電圧、電界効果トランジスタQ5(第5のFET)のゲート電圧、及び電界効果トランジスタQ6(第6のFET)のゲート電圧の関係を模式的に示すタイミングチャートである。
【0097】
上述の実施形態1に係るドライバ回路1は、第2の電界効果トランジスタQ2がオン状態で、信号入力端子13に入力される信号(ドライバIC5の出力信号)の電位レベルが第1電位レベルVL1から第1電位レベルVL1よりも高い第2電位レベルVL2に変化したときに、第1の電界効果トランジスタQ1がオンしてインピーダンス素子15を通る電流よりも大きな電流を半導体スイッチ素子2のゲート21に流すことで半導体スイッチ素子2のゲート電圧を半導体スイッチ素子2の閾値電圧よりも大きな所定値Vg1よりも大きくし、その後、インピーダンス素子15を通して半導体スイッチ素子2のゲート21に電流を流し続けることで半導体スイッチ素子2を定常オン状態にする。
【0098】
実施形態7に係るドライバ回路1f及びスイッチシステム3fは、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様、スピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0099】
また、実施形態7に係るドライバ回路1fでは、DCFL回路10を備えることにより、半導体スイッチ素子2のターンオフ速度の高速化を図ることが可能となる。
【0100】
また、実施形態7に係るドライバ回路1fでは、DCFL回路10を備えることにより、モノリシック集積回路により構成することが可能となる。
【0101】
ドライバ回路1fは、電界効果トランジスタQ4を備えている場合、抵抗R6はあってもなくてもよい。また、ドライバ回路1fが抵抗R6を備えている場合、電界効果トランジスタQ4はあってもよいし、なくてもよい。電界効果トランジスタQ4を備えることにより、直流電源4の出力電圧が変化してもおおよそ定電流が流れるので、扱いやすい。直流電源4の出力電圧が決まっていれば電界効果トランジスタQ4と抵抗R6とのうち抵抗R6のみを備えていてもよい。抵抗R6のみの場合の抵抗R6の抵抗値は、例えば、10kΩである。
【0102】
(実施形態8)
以下、実施形態8に係るドライバ回路1g及びそれを備えるスイッチシステム3gについて、図11に基づいて説明する。
【0103】
実施形態8に係るドライバ回路1gは、電流駆動型の半導体スイッチ素子2Aのドライバ回路である。実施形態8に係るドライバ回路1g及びスイッチシステム3gに関し、実施形態1に係るドライバ回路1及びスイッチシステム3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
半導体スイッチ素子2Aは、ゲート21及びソース22の各々を2つ有するデュアルゲート型の双方向スイッチ素子である。2つのゲート21と2つのソース22とは一対一に対応する。以下では、説明の便宜上、2つのゲート21の一方を第1ゲート21Aと称し、他方を第2ゲート21Bと称することもある。また、2つのソース22のうち第1ゲート21Aに対応するソース22を第1ソース22Aと称し、第2ゲート21Bに対応するソース22を第2ソース22Bと称することもある。
【0105】
以下、半導体スイッチ素子2Aについて簡単に説明してから、ドライバ回路1g及びスイッチシステム3gについて説明する。
【0106】
半導体スイッチ素子2Aは、GaN系GITの一種である。半導体スイッチ素子2Aは、例えば、基板と、バッファ層と、第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、第1ソース電極と、第1ゲート電極と、第2ゲート電極と、第2ソース電極と、第1p型層と、第2p型層と、を備える。バッファ層は、基板上に形成されている。第1の窒化物半導体層は、バッファ層上に形成されている。第2の窒化物半導体層は、第1の窒化物半導体層上に形成されている。第1ソース電極、第1ゲート電極、第2ゲート電極及び第2ソース電極は、第2の窒化物半導体層上に形成されている。第1p型層は、第1ゲート電極と第2の窒化物半導体層との間に介在している。第2p型層は、第2ゲート電極と第2の窒化物半導体層との間に介在している。半導体スイッチ素子2Aでは、第1ソース22Aは、第1ソース電極を含む。第1ゲート21Aは、第1ゲート電極と、第1p型層と、を含む。第2ゲート21Bは、第2ゲート電極と、第2p型層と、を含む。第2ソース22Bは、第2ソース電極を含む。基板は、例えば、シリコン基板である。バッファ層は、例えば、アンドープのGaN層である。第1の窒化物半導体層は、例えば、アンドープのGaN層である。第2の窒化物半導体層は、例えば、アンドープのAlGaN層である。第1p型層及び第2p型層の各々は、例えば、p型AlGaN層である。バッファ層、第1の窒化物半導体層及び第2の窒化物半導体層のそれぞれは、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)等による成長時に不可避的に混入されるMg、H、Si、C、O等の不純物が存在してもよい。
【0107】
半導体スイッチ素子2Aでは、第2の窒化物半導体層は、第1の窒化物半導体層とともにヘテロ接合部を構成する。第1の窒化物半導体層においては、ヘテロ接合部の近傍に、2次元電子ガス(Two-Dimensional Electron Gas)が発生している。2次元電子ガスを含む領域(以下、「2次元電子ガス層」ともいう)は、nチャネル層(電子伝導層)として機能することが可能である。
【0108】
以下では、説明の便宜上、第1ゲート21Aと第1ソース22Aとの間に第1閾値電圧(例えば、1.3V)以上の電圧が印加されていない状態を、第1ゲート21Aがオフ状態ともいう。また、第1ゲート21Aと第1ソース22Aとの間に第1ゲート21Aを高電位側として第1閾値電圧以上の電圧が印加されている状態を、第1ゲート21Aがオン状態ともいう。また、第2ゲート21Bと第2ソース22Bとの間に第2閾値電圧(例えば、1.3V)以上の電圧が印加されていない状態を、第2ゲート21Bがオフ状態ともいう。また、第2ゲート21Bと第2ソース22Bとの間に第2ゲート21Bを高電位側として第2閾値電圧以上の電圧が印加されている状態を、第2ゲート21Bがオン状態ともいう。
【0109】
半導体スイッチ素子2Aは、上述の第1p型層及び第2p型層を備えることにより、ノーマリオフ型のトランジスタを実現している。
【0110】
半導体スイッチ素子2Aは、第1ゲート21A及び第2ゲート21Bそれぞれに与えられる第1ゲート電圧及び第2ゲート電圧の組み合わせに応じて、双方向オン状態と、双方向オフ状態と、第1のダイオード状態と、第2のダイオード状態と、を切替可能である。第1ゲート電圧は、第1ゲート21Aと第1ソース22Aとの間に印加される電圧である。第2ゲート電圧は、第2ゲート21Bと第2ソース22Bとの間に印加される電圧である。双方向オン状態は、双方向(第1方向A1及び第1方向A1とは反対の第2方向A2)の電流を通過させる状態である。双方向オフ状態は、双方向の電流を阻止する状態である。第1のダイオード状態は、第1方向A1の電流を通過させる状態である。第2のダイオード状態は、第2方向A2の電流を通過させる状態である。
【0111】
半導体スイッチ素子2Aでは、第1ゲート21Aがオン状態で、かつ第2ゲート21Bがオン状態である場合に双方向オン状態となる。半導体スイッチ素子2Aでは、第1ゲート21Aがオフ状態で、かつ第2ゲート21Bがオフ状態である場合に双方向オフ状態となる。半導体スイッチ素子2Aでは、第1ゲート21Aがオフ状態で、かつ第2ゲート21Bがオン状態である場合に第1のダイオード状態となる。半導体スイッチ素子2Aでは、第1ゲート21Aがオン状態で、かつ第2ゲート21Bがオフ状態である場合に第2のダイオード状態となる。
【0112】
次に、ドライバ回路1g及びスイッチシステム3gについて説明する。
【0113】
ドライバ回路1gは、スピードアップ回路14を2つ備える。以下では、2つのスピードアップ回路14のうち半導体スイッチ素子2Aの第1ゲート21Aに接続されるスピードアップ回路14を第1スピードアップ回路14Aと称し、第2ゲート21Bに接続されるスピードアップ回路14を第2スピードアップ回路14Bと称することもある。
【0114】
第1スピードアップ回路14Aと第2スピードアップ回路14Bとは、同じ回路構成を有している。
【0115】
また、ドライバ回路1gは、電源端子11、グランド端子12及び信号入力端子13のセットを2つ備えており、2つのセットが2つのスピードアップ回路14に一対一に対応している。以下では、説明の便宜上、2つのセットのうち一方のセットにおける電源端子11、グランド端子12及び信号入力端子13を第1電源端子11A、第1グランド端子12A及び第1信号入力端子13Aと称し、他方のセットにおける電源端子11、グランド端子12及び信号入力端子13を第2電源端子11B、第2グランド端子12B及び第2信号入力端子13Bと称することもある。第1電源端子11A、第1グランド端子12A及び第1信号入力端子13Aは、半導体スイッチ素子2Aの第1ゲート21A及び第1ソース22Aに対応し、第2電源端子11B、第2グランド端子12B及び第2信号入力端子13Bは、半導体スイッチ素子2Aの第2ゲート21B及び第2ソース22Bに対応している。
【0116】
また、ドライバ回路1gは、抵抗分圧回路16を2つ備えており、2つの抵抗分圧回路16が、上述の2つのセットに一対一に対応している。図11では、第1電源端子11A、第1グランド端子12A及び第1信号入力端子13Aに対応する抵抗分圧回路16を第1抵抗分圧回路16Aとし、第2電源端子11B、第2グランド端子12B及び第2信号入力端子13Bに対応する抵抗分圧回路16を第2抵抗分圧回路16Bとしてある。
【0117】
また、ドライバ回路1gは、インピーダンス素子15を2つ備えている。ドライバ回路1gでは、2つのインピーダンス素子15の一方のインピーダンス素子15が第1ゲート21Aと第1信号入力端子13Aとの間に設けられ、他方のインピーダンス素子15が第2ゲート21Bと第2信号入力端子13Bとの間に設けられている。
【0118】
以下では、説明の便宜上、ドライバ回路1gの第1電源端子11Aと第1グランド端子12Aとの間に接続される直流電源4を第1直流電源4Aと称し、第2電源端子11Bと第2グランド端子12Bとの間に接続される直流電源4を第2直流電源4Bと称することもある。また、ドライバ回路1gの第1信号入力端子13Aと第1グランド端子12Aとの間に接続されるドライバIC5と信号源6との直列回路についても、ドライバIC5を第1ドライバIC5Aとし、信号源6を第1信号源6Aと称することもある。また、ドライバ回路1gの第2信号入力端子13Bと第2グランド端子12Bとの間に接続されるドライバIC5と信号源6との直列回路についても、ドライバIC5を第2ドライバIC5Bとし、信号源6を第2信号源6Bと称することもある。
【0119】
第1直流電源4Aと第2直流電源4Bとは、互いの出力電圧が同じであるが、異なってもよい。
【0120】
第1信号源6Aと第2信号源6Bとは、互いの第2電位レベルVL2が同じであるが、異なってもよい。
【0121】
実施形態8に係るドライバ回路1g及びスイッチシステム3gは、2つのスピードアップ回路14を備えることにより、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子2Aのターンオン時間の短縮化を図れる。
【0122】
また、実施形態8に係るドライバ回路1gは、モノリシック集積回路として構成する場合に、容量の大きなコンデンサを備える必要がないので、小型化を図れる。また、実施形態8に係るスイッチシステム3gは、モノリシック集積回路として構成する場合に、容量の大きなコンデンサを備える必要がないので、小型化を図れる。
【0123】
上記の実施形態1~8は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1~8は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0124】
例えば、実施形態1に係るドライバ回路1における抵抗分圧回路16は、少なくとも2つの抵抗R3,R4を備えていればよく、3つ以上の抵抗が直列接続された構成としてもよい。
【0125】
また、スピードアップ回路14は、第1の電界効果トランジスタQ1と第2の電界効果トランジスタQ2とに加えて、第2の電界効果トランジスタQ2に直列接続又は並列接続された1以上の電界効果トランジスタを含んでいてもよい。
【0126】
また、定電流回路17、定電圧回路18及び定電流回路19それぞれの回路構成は、一例であり、特に限定されないが、上記の構成を採用することにより、モノリシック集積回路の形成が容易になる。
【0127】
また、スイッチシステム3~3fの半導体スイッチ素子2におけるp型層は、p型AlGaN層に限らず、例えば、p型GaN層であってもよいし、p型金属酸化物半導体層であってもよい。p型金属酸化物半導体層は、例えば、NiO層である。NiO層は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属を不純物として含んでいてもよい。また、NiO層は、例えば、不純物として添加されたときに一価となる銀、銅等の遷移金属を含んでいてもよい。スイッチシステム3gの半導体スイッチ素子2Aにおける第1p型層及び第2p型層の各々についても、半導体スイッチ素子2におけるp型層と同様である。
【0128】
半導体スイッチ素子2及び半導体スイッチ素子2Aの各々は、バッファ層と第1の窒化物半導体層との間に、1層以上の窒化物半導体層を含んでいてもよい。また、バッファ層は、単層構造に限らず、例えば、超格子構造を有していてもよい。
【0129】
また、半導体スイッチ素子2及び半導体スイッチ素子2Aの各々における基板は、シリコン基板に限らず、例えば、GaN基板、SiC基板、サファイア基板等であってもよい。
【0130】
半導体スイッチ素子2Aは、例えば、マルチレベルインバータ、調光器、交流-交流電力変換を行うマトリクスコンバータ等の電気装置に適用できる。
【0131】
(態様)
以上説明した実施形態等から本明細書には以下の態様が開示されている。
【0132】
第1の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、ゲート(21)及びゲート(21)に対応するソース(22)を有する電流駆動型の半導体スイッチ素子(2;2A)のドライバ回路であって、電源端子(11)と、グランド端子(12)と、信号入力端子(13)と、スピードアップ回路(14;14c;14d)と、インピーダンス素子(15)と、を備える。グランド端子(12)は、半導体スイッチ素子(2;2A)のソース(22;22A,22B)に接続される。スピードアップ回路(14;14c;14d)は、電源端子(11;11A,11B)と半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)との間に設けられる。インピーダンス素子(15)は、スピードアップ回路(14;14c;14d)と半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)との間のノード(N1)と、信号入力端子(13;13A,13B)と、の間に設けられる。スピードアップ回路(14;14c;14d)は、第1の電界効果トランジスタ(Q1)と、第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)と、を有する。第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)は、第1の電界効果トランジスタ(Q1)に直列接続されており、半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)に接続される。インピーダンス素子(15)のインピーダンスは、第1の電界効果トランジスタ(Q1)と第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)との両方がオン状態のときのスピードアップ回路(14;14c;14d)のインピーダンスよりも高い。
【0133】
第1の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子(2;2A)のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0134】
第2の態様に係るドライバ回路(1;1c;1d;1f;1g)は、第1の態様において、抵抗分圧回路(16)を更に備える。抵抗分圧回路(16)は、電源端子(11)とグランド端子(12)との間に設けられている。第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート(Q2G)が抵抗分圧回路(16)の出力端(161)に接続されている。
【0135】
第2の態様に係るドライバ回路(1;1c;1d;1f;1g)では、抵抗分圧回路(16)によって第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート電圧を決めることができる。
【0136】
第3の態様に係るドライバ回路(1a)は、第1の態様において、抵抗(R3)と、定電流回路(17)と、を更に備える。抵抗(R3)は、電源端子(11)に接続されている。定電流回路(17)は、抵抗(R3)とグランド端子(12)との間に設けられている。第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート(Q2G)が抵抗(R3)と定電流回路(17)との間のノード(N2)に接続されている。
【0137】
第3の態様に係るドライバ回路(1a)は、例えば、電源端子(11)とグランド端子(12)との間に接続される直流電源(4)から電源端子(11)及び第1の電界効果トランジスタ(Q1)を通して第2の電界効果トランジスタ(Q2)に流れる電流を定電流回路(17)の電流に抑制でき、電力損失を低減することが可能となる。
【0138】
第4の態様に係るドライバ回路(1b)は、第1の態様において、抵抗(R3)と、定電圧回路(18)と、を更に備える。抵抗(R3)は、電源端子(11)に接続されている。定電圧回路(18)は、抵抗(R3)とグランド端子(12)との間に設けられている。定電圧回路(18)は、複数のダイオード(D1)を直列接続して構成されている。ドライバ回路(1b)では、抵抗(R3)と定電圧回路(18)との間のノード(N3)が、第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート(GQ2)に接続されている。
【0139】
第4の態様に係るドライバ回路(1b)は、電源端子(11)とグランド端子(12)との間に印加される電圧の大きさによらず、第2の電界効果トランジスタ(Q2)に過大なゲート電圧が印加されるのを抑制することが可能となる。
【0140】
第5の態様に係るドライバ回路(1c)では、第2の態様において、第2の電界効果トランジスタ(Q2)は、第3の電界効果トランジスタ(Q21)と、第4の電界効果トランジスタ(Q22)と、をダーリントン接続して構成されている。第3の電界効果トランジスタ(Q21)は、ゲート(GQ21)及びソース(SQ21)を有する。第4の電界効果トランジスタ(Q22)は、ゲート(GQ22)及びソース(SQ22)を有する。第4の電界効果トランジスタ(Q22)の電流容量は、第3の電界効果トランジスタ(Q21)の電流容量よりも大きい。第3の電界効果トランジスタ(Q21)のゲート(GQ21)が抵抗分圧回路(16)の出力端(161)に接続されている。第4の電界効果トランジスタ(Q22)のソース(SQ22)が半導体スイッチ素子(2)のゲート(21)に接続される。
【0141】
第5の態様に係るドライバ回路(1c)では、第2の電界効果トランジスタ(Q2)の電流増幅率を大きくできるので、抵抗分圧回路(16)の各抵抗(R3,R4)の抵抗値を大きくできる。これにより、第5の態様に係るドライバ回路(1c)では、電力損失を低減することが可能となる。
【0142】
第6の態様に係るドライバ回路(1d)では、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、第2の電界効果トランジスタ(Q2d)は、ノーマリオン型の電界効果トランジスタである。
【0143】
第6の態様に係るドライバ回路(1d)では、電源端子(11)とグランド端子(12)との間に印加される電圧が小さい場合(例えば、5Vの場合)でも第1の電界効果トランジスタ(Q1)のゲート電圧を大きくすることができる。
【0144】
第7の態様に係るドライバ回路(1e)は、第1の態様において、定電流回路(19)と、抵抗(R4)と、を更に備える。定電流回路(19)は、電源端子(11)に接続されている。抵抗(R4)は、定電流回路(19)とグランド端子(12)との間に設けられている。第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート(GQ2)が定電流回路(19)と抵抗(R4)との間のノード(N4)に接続されている。
【0145】
第7の態様に係るドライバ回路(1e)では、電源端子(11)とグランド端子(12)との間に印加される電圧が変化しても第2の電界効果トランジスタ(Q2)に流れる電流を制限でき、電力損失の低減及び第2の電界効果トランジスタ(Q2)のゲート電圧の安定化を図れる。
【0146】
第8の態様に係るドライバ回路(1f)は、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、DCFL回路(10)を更に備える。DCFL回路(10)は、入力端(101)及び出力端(102)を有し電源端子(11)とグランド端子(12)との間に設けられている。DCFL回路(10)の入力端(101)が信号入力端子(13)に接続されている。DCFL回路(10)の出力端(102)がインピーダンス素子(15)を介して半導体スイッチ素子(2)のゲート(21)に接続される。
【0147】
第8の態様に係るドライバ回路(1f)では、半導体スイッチ素子(2)のターンオフ時間の短縮化を図れる。
【0148】
第9の態様に係るドライバ回路(1g)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、半導体スイッチ素子(2A)は、ゲート(21)及びソース(22)の各々を2つ有するデュアルゲート型の双方向スイッチ素子である。ドライバ回路(1g)は、スピードアップ回路(14)を2つ備える。2つのスピードアップ回路(14)のうち1つのスピードアップ回路(14)が2つのゲート21のうち一方のゲート(21)である第1ゲート(21A)に接続され、残りの1つのスピードアップ回路(14)が2つのゲート21のうち他方のゲート(21)である第2ゲート(21B)に接続される。
【0149】
第9の態様に係るドライバ回路(1g)は、半導体スイッチ素子(2A)のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0150】
第10の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、第1~9の態様のいずれか一つにおいて、半導体スイッチ素子(2;2A)は、GaN系半導体スイッチ素子である。
【0151】
第10の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)では、GaN系半導体スイッチである半導体スイッチ(2;2A)のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0152】
第11の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、ゲート(21)及びゲート(21)に対応するソース(22)を有する電流駆動型の半導体スイッチ素子(2;2A)のドライバ回路であって、電源端子(11)と、グランド端子(12)と、信号入力端子(13)と、第1の電界効果トランジスタ(Q1)と、第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)と、インピーダンス素子(15)と、を備える。グランド端子(12)は、半導体スイッチ素子(2;2A)のソース(22)に接続される。第1の電界効果トランジスタ(Q1)は、電源端子(11)に接続されている。第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)は、第1の電界効果トランジスタ(Q1)に直列接続されており、半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)に接続される。インピーダンス素子(15)は、第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)と半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)との間のノード(N1)と、信号入力端子(13)と、の間に設けられる。ドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、第2の電界効果トランジスタ(Q2;Q2d)がオンの状態で、信号入力端子(13)に入力される信号の電圧レベルが第1電位レベル(VL1)から第1電位レベル(VL1)よりも高い第2電位レベル(VL2)に変化したときに、第1の電界効果トランジスタ(Q1)がオンしてインピーダンス素子(15)を通る電流よりも大きな電流を半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)に流すことで半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート電圧を閾値電圧よりも大きな所定値(Vg1)よりも大きくし、その後、信号入力端子(13)からインピーダンス素子(15)を通して半導体スイッチ素子(2;2A)のゲート(21)に電流を流し続けることで半導体スイッチ素子(2;2A)を定常オン状態にする。
【0153】
第11の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子(2;2A)のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0154】
第12の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)では、第1~11の態様のいずれか一つにおいて、ドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、モノリシック集積回路である。
【0155】
第12の態様に係るドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、小型化を図れる。
【0156】
第13の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)は、第1~11の態様のいずれか一つのドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)と、半導体スイッチ素子(2;2A)と、を備える。
【0157】
第13の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)では、容量の大きなコンデンサを用いずに半導体スイッチ素子(2;2A)のターンオン時間の短縮化を図れる。
【0158】
第14の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)では、第13の態様において、ドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)は、モノリシック集積回路である。
【0159】
第14の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)では、ドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)の小型化を図れる。
【0160】
第15の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)では、第13の態様において、スイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)は、ドライバ回路(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f;1g)と半導体スイッチ素子(2;2A)とが集積化されたモノリシック集積回路である。
【0161】
第15の態様に係るスイッチシステム(3;3a;3b;3c;3d;3e;3f;3g)は、小型化を図れる。
【符号の説明】
【0162】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g ドライバ回路
2、2A 半導体スイッチ素子
21 ゲート
21A 第1ゲート
21B 第2ゲート
22 ソース
22A 第1ソース
22B 第2ソース
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g スイッチシステム
10 DCFL回路
101 入力端
102 出力端
11 電源端子
12 グランド端子
13 信号入力端子
14、14c、14d スピードアップ回路
15 インピーダンス素子
16 抵抗分圧回路
161 出力端
17 定電流回路
18 定電圧回路
19 定電流回路
D1 ダイオード
N1 ノード
N2 ノード
Q1 第1の電界効果トランジスタ
Q2、Q2d 第2の電界効果トランジスタ
Q21 第3の電界効果トランジスタ
Q22 第4の電界効果トランジスタ
Vg1 所定値
VL1 第1電位レベル
VL2 第2電位レベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11