(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び車両
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20241101BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241101BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
B60R11/02 A
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2021551478
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2020037538
(87)【国際公開番号】W WO2021066140
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019182441
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西木戸 友昭
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0177003(US,A1)
【文献】特開平09-083240(JP,A)
【文献】特開2009-282662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
B60R 11/02
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外装の凹部に配置されたアンテナ素子と、
前記凹部において前記アンテナ素子が位置する水平面から離れた位置に配置された無給電素子と、
を備え
、
(1)前記無給電素子は、1辺の長さが受信する電波の半波長以上の平板形状を有し、
前記無給電素子が配置される前記位置は、
前記平板形状の面の中心が、前記アンテナ素子の面の中心と一致し、かつ、前記アンテナ素子の面と前記平板形状の面との間隔が1/4波長に相当する位置である、
又は、
(2)前記無給電素子は、1辺の長さが受信する電波の半波長よりも短い平板形状を有し、
前記無給電素子が配置される前記位置は、
前記平板形状の1辺が、前記アンテナ素子の面の中心と一致し、かつ、前記アンテナ素子の面と前記平板形状の面との間隔が1/4波長に相当する位置である、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記移動体は、車両であり、前記凹部は、前記車両の前記外装であるルーフに設けられた、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、誘電体基板を用いて構成されたパッチアンテナであり、
前記パッチアンテナは、前記凹部の底面に配置された、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記無給電素子は、前記凹部をカバーする蓋部の裏面に取り付けられた、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、誘電体基板を用いて構成されたパッチアンテナであり、
前記パッチアンテナの第1の辺に沿った線上の第1の位置に第1の給電点が設けられ、
前記パッチアンテナの非対向の第2の辺に沿った線上の第2の位置に第2の給電点が設けられ、
前記第1の給電点及び前記第2の給電点は、時分割に給電される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアンテナ装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフ(屋根)にアンテナ装置を埋め込むことで、ルーフからのアンテナ装置の突起を無くして車両外観を損なわない技術の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ルーフに設けた窪み(別言すると、凹状のアンテナ収納部)を設け、該アンテナ収納部内にアンテナ装置を収納し、アンテナ収納部をルーフの一部を構成する収納蓋により閉塞することが開示される。このような構成により、車体外に突出する部分を有さず、車両のデザインを損なわないと共にアンテナの折損を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたアンテナ装置は、例えば、車両ルーフに埋め込んだ際の性能(又は特性)が低下し得ることについての検討が不十分である。
【0006】
本開示は、例えば、移動体の外装に埋め込まれたアンテナ装置の性能又は特性が低下することを抑制可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示におけるアンテナ装置は、移動体の外装の凹部に配置されたアンテナ素子と、前記凹部において前記アンテナ素子が位置する水平面から離れた位置に配置された無給電素子とを備える。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、アンテナ装置が移動体の外装に埋め込まれた場合に、アンテナ装置の性能又は特性の低下を抑制できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の構成を示す(a)斜視図及び(b)断面図
【
図2】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の放射パターンの一例を示す図
【
図3】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の無給電素子の保持方法の構成を示す断面図
【
図4】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置のアンテナ切り替え方法の構成を示す斜視図
【
図5】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の構成を示す(a)斜視図、(b)断面図及び(c)上面図
【
図6】本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の放射パターンの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図2を用いて、本開示の一実施の形態を説明する。
【0015】
[1.構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置の構成を示す図であり、
図1(a)は斜視図であり、
図1(b)はXZ断面図である。なお、
図1(a)の斜視図では、構成の説明上、樹脂カバーを外した図面として示す。
図1~
図6において、X方向は、車両の前後の長さ方向であり(例えば、+Xが前、-Xが後)、Y方向は、車両の左右の幅の方向であり、Z方向は、車両の上下の高さ方向を指している。本明細書において、車両は、移動体(又はモビリティ)の一例であって、自動車、電車、あるいは小型の電動車両が含まれてよい。小型の電動車両の非限定的な一例としては、電動立ち乗り二輪車、電動カート、電動台車、又は、電動ベビーカートが挙げられる。
【0016】
図1を参照して、車両ルーフ埋込アンテナ装置100は、車両ルーフ104の凹部105に埋め込んで使用される。車両ルーフ104は、導電性金属に塗装が施されていてもよい。
図1では、車両ルーフ104の凹部105が複数の平面からなる場合を示しているが、曲面又は平面と曲面の組み合わせであってもよく、凹部105は車両ルーフ104と同様に導電性金属である。
【0017】
誘電体基板103の表面にはパッチアンテナ素子101が配置され、裏面は車両ルーフ104の導電性金属で形成されてよい。パッチアンテナ素子101は、その1辺が例えば誘電体基板103の誘電率による波長短縮を考慮した実効波長で半波長に相当する長さを有する矩形(例えば、正方形)の平板状の導体である。誘電体基板103の裏面の導電性金属は、例えば、その1辺が自由空間波長の半波長よりも長い長さを有する矩形(例えば、正方形)の平板状の導体である。例えば、28GHzでは、パッチアンテナ素子101の1辺は、2.5mm程度であってよい。誘電体基板103裏面の導電性金属の1辺は、6mm程度以上であってよく、本実施形態では例えば20mmである。
【0018】
パッチアンテナは、平面アンテナの一種であり、マイクロストリップアンテナとも呼ばれる。
【0019】
誘電体基板103は、例えば、車両ルーフ104の凹部105の底面と平行又はほぼ平行に配置されて、車両ルーフ104の導電性金属がパッチアンテナ素子101のグラウンドとして動作する。
【0020】
車両ルーフ104の開口面積は、誘電体基板103の面積より大きく、本実施形態では、車両ルーフ104の開口部の一辺は、例えば30mm程度である。
【0021】
パッチアンテナ素子101の給電点(図示せず)は、例えば無線回路のインピーダンス(一般的には50Ω)と整合が得られる位置に設けられる。
【0022】
無給電素子102は比誘電率の低い樹脂、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などで形成された樹脂カバー106と一体成型で構成されてもよい。無給電素子102の面は、パッチアンテナ素子101の面と平行又はほぼ平行に配置される。また、無給電素子102の面は、例えば、パッチアンテナ素子101より高く1/4波長程度の間隔を空けて、パッチアンテナ素子101の面の中心と無給電素子102の面の中心とが一致又はほぼ一致するように配置される。無給電素子102の1辺の長さは、例えば半波長以上である。
【0023】
[2.動作]
以上のように構成された車両ルーフ埋込アンテナ装置100について、その動作の一例を以下に説明する。
【0024】
図2は、本開示の一実施の形態に係るアンテナ装置の放射パターン図の一例であり、
図2(a)はXZ面で、
図2(b)はXY面の放射パターン図である。実線251は車両ルーフ埋込アンテナ装置100のパッチアンテナ素子101の無給電素子102を備える場合であり、破線252はパッチアンテナ素子101の無給電素子102を備えない場合のアンテナ装置の特性を示している。
図2(a)及び
図2(b)において、動作利得は単位dBiで示される。
【0025】
なお、
図1の本実施形態では無給電素子102の1辺の長さは、例えば自由空間波長の1波長に相当する10.7mmに設定し、パッチアンテナ素子101との間隔を例えば自由空間波長の1/4波長に相当する2.7mmに設定している。
【0026】
一般的に、車両ルーフ埋込アンテナ装置100が離れた基地局アンテナと通信する際は、天頂方向(+Z方向)よりも水平方向から仰角20度付近の利得が重要視されうる。
【0027】
車両ルーフ104にアンテナが埋め込まれる場合、一般的に無給電素子102がない場合は、
図2(a)の破線252に示すような放射パターンとなり、天頂方向(+Z方向(高さ方向))の利得が高く、水平方向(X方向(長さ方向))の利得が小さくなる。一方で、パッチアンテナ素子101上に配置する半波長以上の無給電素子102を配置することで、無給電素子102が+Z方向の利得を抑制し、その分が水平方向から仰角45度ぐらいの方向の利得が高くなる。これは、いわゆるローブ割れ動作と呼ばれ、
図2(a)の実線251に示すように水平方向から仰角45度ぐらいの利得を高くできる。
【0028】
本実施形態の構成では、X方向からX+仰角20度方向の利得に着目する場合、無給電素子102の有無を比較すると、無給電素子102の効果でX方向の利得で2.1dB、X+仰角20度方向の利得で1.8dBの改善効果が期待できる。
【0029】
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、車両ルーフ埋込アンテナ装置100は、車両ルーフ104の凹部105の底面に配置されたパッチアンテナ素子101とパッチアンテナ素子101より高く配置する1辺の長さが半波長以上の無給電素子102とを各面の中心が一致又はほぼ一致するように配置する。
【0030】
図1及び
図2を参照して説明したように、このような構成により、車両ルーフからの突起がないために車両の外観の美観が損なわれず、ルーフに埋め込んでも水平面の利得を高めることができる。
【0031】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0032】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0033】
実施の形態では、アンテナ素子の一例として誘電体基板103で構成したパッチアンテナの場合を説明したが、アンテナ素子としては所望の周波数において電磁波を送受信するものであればよい。アンテナ素子は、例えば、線状アンテナやループ状アンテナなどであってもよい。したがって、アンテナ素子は、誘電体基板で構成したパッチアンテナに限定されない。誘電体基板で構成したパッチアンテナであれば容易且つ安価にアンテナ装置を実現できるメリットはある。
【0034】
実施の形態では、無給電素子102の1辺の長さを1波長として説明したが、半波長以上~1波長程度であれば、同様の効果を得ることができる。
【0035】
図1に示した実施の形態では、パッチアンテナ素子101と無給電素子102との間隔を1/4波長程度として説明したが、0.1波長~1波長程度であれば、同様の効果を得ることができる。
【0036】
図3は、本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置300の無給電素子の保持方法の構成を示す断面図である。
図1に示した実施の形態では、無給電素子102を凹部105内の空間に保持(別言すると、「空中保持」)する方法の一例として、樹脂カバー106に無給電素子102を取り付ける(例えば、同一成型)ことを説明した。これに対し、例えば
図3に示すように、比誘電率の低い樹脂、例えばABS樹脂などを用いて形成されたスペーサ107によって無給電素子102を誘電体基板103上の凹部105内の空間に保持しても同様の効果を得ることができる。スペーサ107の形状は、無給電素子102を凹部105の空間に保持できればよく、柱状や壁状でもよい。
【0037】
図4は、本開示の一実施の形態に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置400のアンテナ切り替え方法の構成を示す斜視図である。
図1に示した実施の形態では、パッチアンテナ素子101の給電点を1か所として説明した。
図4に示すように、車両ルーフ埋込アンテナ装置400は、1か所目の給電点110の位置から90度回転させた位置に2か所目の給電点111を設ける。これらの2つの給電点110及び111に対する給電は、例えば、高周波スイッチ112によって時分割に切り替えられる。このような給電の時分割切替によって、水平面(XY面)において複合的に(あるいは擬似的な)無指向性アンテナの特性を実現できる。高周波スイッチ112は、制御信号により制御され、給電点110及び給電点111からの出力をスイッチ112で切り替えて無線部へ提供する。
【0038】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などが行われてよい。
【0039】
(実施の形態2)
以下、
図5~
図6を用いて、本開示の他の実施の形態を説明する。
【0040】
[1.構成]
図5は、実施の形態2に係る車両ルーフ埋込アンテナ装置500の構成を示す図であり、
図5(a)は斜視図であり、
図5(b)はXZ断面図であり、
図5(c)はZ方向から見た正面図である。
【0041】
なお、
図5において、
図1と同一の符号を付すものは同一の構成要素を示す。
【0042】
無給電素子202の面は、パッチアンテナ素子101の面と平行又はほぼ平行に配置され、パッチアンテナ素子101より高く1/4波長程度の間隔を空けて、パッチアンテナ素子101の面の中心と無給電素子202の1辺とが一致又はほぼ一致するように配置し、無給電素子202の1辺の長さが半波長以下となるように設定する。
【0043】
なお、無給電素子202は、
図1(b)で示したように、車両ルーフ凹部105を覆う樹脂カバー(図示せず)に取り付けられてもよいし樹脂カバーと一体成型されてもよい。あるいは、無給電素子202は、例えば
図3に示したように、誘電体基板103に設けたスペーサ107を用いて誘電体基板103上(別言すると、凹部105内の空間内)に保持されてもよい。
【0044】
[2.動作]
以上のように構成された車両ルーフ埋込アンテナ装置500について、その動作の一例を以下に説明する。
【0045】
図6は、アンテナ装置の放射パターン図の一例であり、
図6(a)はXZ面であり、
図6(b)はXY面の放射パターン図である。実線651は車両ルーフ埋込アンテナ装置500のパッチアンテナ素子101の無給電素子202がある場合であり、破線652は無給電素子202がない場合の特性を示している。
図6(a)及び
図6(b)において、動作利得は単位dBiで示される。
【0046】
なお、
図5の実施形態では無給電素子202の1辺の長さは、例えば自由空間波長の半波長から0.1波長短い4.3mmに設定し、パッチアンテナ素子101との間隔を例えば自由空間波長の1/4波長の2.7mmに設定している。
【0047】
一般的に、車両ルーフ埋込アンテナ装置500が離れた基地局アンテナと通信する際は、天頂方向(+Z方向(高さ方向))よりも水平方向から仰角20度付近の利得が重要視されうる。
【0048】
車両ルーフ104にアンテナ装置が埋め込まれる場合、一般的に無給電素子202がない場合は、
図6(a)の破線652に示すような放射パターンとなり、天頂方向(+Z方向)の利得が高く、水平方向(X方向)の利得が小さくなる。一方、パッチアンテナ素子101上に配置する半波長以下の無給電素子202をパッチアンテナ素子101の中心からずらして配置することで、無給電素子202が+Z方向の利得を抑制し、その分、水平方向の利得が高くなるいわゆるローブ割れ動作が生じる。その結果、
図5に示した無給電素子202がある場合は、アンテナ装置では、
図6(a)の実線651に示すように水平方向の利得を高くできる。
【0049】
本実施形態の構成では、X方向からX+仰角20度方向の利得に着目する場合、無給電素子202の有無を比較すると、無給電素子202の効果でX方向の利得で2.1dB、X+仰角20度方向の利得で1.3dBの改善効果が期待できる。
【0050】
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、車両ルーフ埋込アンテナ装置500は、車両ルーフ104の凹部105の底面に配置されたパッチアンテナ素子101とパッチアンテナ素子101より高く配置する1辺の長さが半波長より短い無給電素子202とをパッチアンテナ素子101の面の中心と無給電素子202との1辺とが一致するように配置する。
【0051】
このような構成により、アンテナ装置が移動体の外装に埋め込まれた場合に、アンテナ装置の性能又は特性の低下を抑制できる。移動体の外装は、車両ルーフ以外にボンネット、トランク、ドア(フロント及びリア)、車両の底面などを含む。
【0052】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0053】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0054】
実施の形態では、無給電素子202の1辺の長さを半波長より0.1波長短いとして説明したが、半波長より0.1~0.25波長短い構成であれば、同様の効果を得ることができる。
【0055】
図5に示した実施の形態では、パッチアンテナ素子101の面の中心と無給電素子202の1辺とが一致又はほぼ一致する配置について説明したが、本開示は、当該配置に限られない。例えば、無給電素子202の1辺がパッチアンテナ素子101の上部空間に位置する範囲であれば(例えば、パッチアンテナ素子101の中心±半波長)、同様の効果が期待できる。別言すると、無給電素子202とパッチアンテナ素子101とは、平面視において互いに部分的に重なる範囲において配置されてよい。
【0056】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0057】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0058】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0059】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0060】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0061】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0062】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0063】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0064】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0065】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
<本開示のまとめ>
【0066】
本開示におけるアンテナ装置は、移動体の外装の凹部に配置されたアンテナ素子と、前記凹部において前記アンテナ素子が位置する水平面から離れた位置に配置された無給電素子と、を備える。
【0067】
本開示のアンテナ装置において、前記移動体は、車両であり、前記凹部は、前記車両の前記外装であるルーフに設けられる。
【0068】
本開示のアンテナ装置において、前記アンテナ素子は、誘電体基板を用いて構成されたパッチアンテナであり、前記パッチアンテナは、前記凹部の底面に配置される。
【0069】
本開示のアンテナ装置において、前記無給電素子は、1辺の長さが受信する電波の半波長以上の平板形状を有し、前記無給電素子が配置される前記位置は、前記平板形状の面の中心が、前記アンテナ素子の面の中心と一致し、かつ、前記アンテナ素子の面と前記平板形状の面との間隔が1/4波長に相当する位置である。
【0070】
本開示のアンテナ装置において、前記無給電素子は、1辺の長さが受信する電波の半波長よりも短い平板形状を有し、前記無給電素子が配置される前記位置は、前記平板形状の1辺が、前記アンテナ素子の面の中心と一致し、かつ、前記アンテナ素子の面と前記平板形状の面との間隔が1/4波長に相当する位置である。
【0071】
本開示のアンテナ装置において、前記無給電素子は、前記凹部をカバーする蓋部の裏面に取り付けられる。
【0072】
本開示のアンテナ装置において、前記アンテナ素子は、誘電体基板を用いて構成されたパッチアンテナであり、前記パッチアンテナの第1の辺に沿った線上の第1の位置に第1の給電点が設けられ、前記パッチアンテナの非対向の第2の辺に沿った線上の第2の位置に第2の給電点が設けられ、前記第1の給電点及び前記第2の給電点は、時分割に給電される。
【0073】
本開示のアンテナ装置を備える車両。
【0074】
2019年10月2日出願の特願2019-182441の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、例えば、車両のルーフに埋め込むアンテナ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
100 車両ルーフ埋込アンテナ装置
101 パッチアンテナ素子
102 無給電素子
103 誘電体基板
104 車両ルーフ
105 凹部
106 樹脂カバー
107 スペーサ
110 給電点
111 給電点
112 高周波スイッチ
202 無給電素子
300 車両ルーフ埋込アンテナ装置
400 車両ルーフ埋込アンテナ装置
500 車両ルーフ埋込アンテナ装置