(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】洋風便器装置および便座装置
(51)【国際特許分類】
E03D 5/10 20060101AFI20241101BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20241101BHJP
A47K 13/10 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D11/02 Z
A47K13/10
(21)【出願番号】P 2021052776
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正紀
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-007845(JP,A)
【文献】特開2018-062774(JP,A)
【文献】特開平08-033590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00
E03D 11/00-13/00
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、
便座と、を備えた洋風便器装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の前端の下縁の高さ位置が、閉止した前記便座の上面の高さ位置と略一致した便蓋位置とされることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項2】
ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、
便座と、を備えた洋風便器装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の後端縁の位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項3】
ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、
便座と、を備えた洋風便器装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の前後方向の略中間位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項4】
ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、を備えた洋風便器装置であって、
前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始
する動作構成とされ、
前記便蓋駆動部は、閉動作中の前記便蓋を停止させる前に駆動力を増大する構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始タイミングが前記駆動力を増大するタイミングであることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項5】
請求項1
~3のいずれか1項において、
計時部を有しており、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、前記便蓋の閉動作が開始してからの経過時間で決定されることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項6】
請求項1
~3のいずれか1項において、
前記便蓋開閉検知部は、閉動作中の前記便蓋の傾斜角度を検出可能な構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の前記傾斜角度で決定されることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項7】
便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の前端の下縁の高さ位置が、閉止した前記便座の上面の高さ位置と略一致した便蓋位置とされることを特徴とする便座装置。
【請求項8】
便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の後端縁の位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする便座装置。
【請求項9】
便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、
前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、
前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力
する動作構成とされ、
前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の前後方向の略中間位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする便座装置。
【請求項10】
便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、
前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力
する動作構成とされ、
前記便蓋駆動部は、閉動作中の前記便蓋を停止させる前に駆動力を増大する構成とされ、
前記洋風便器本体への洗浄指示の出力タイミングが前記駆動力を増大するタイミングであることを特徴とする便座装置。
【請求項11】
請求項
7~9のいずれか1項において、
便座側計時部を有しており、
前記洋風便器本体への洗浄指示が許容される便蓋位置の許容限は、前記便蓋の閉動作が開始してからの経過時間で決定されることを特徴とする便座装置。
【請求項12】
請求項
7~9のいずれか1項において、
前記便蓋開閉検知部は、閉動作中の前記便蓋の傾斜角度を検出可能な構成とされ、
前記洋風便器本体への洗浄指示が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の前記傾斜角度で決定されることを特徴とする便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便蓋を備えた洋風便器装置および洋風便器本体に取り付けて使用される便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、便器洗浄時における人の排泄物に含まれる汚染物質の拡散防止の観点から、汚染物質を含んだ飛沫が便器の外部にまで飛散しないように、便蓋を閉じた状態でボウル内の排泄物を流すことが推奨されている。
【0003】
このような便蓋が閉じた状態でのボウル洗浄を確実に実施させるために、洗浄操作部などの洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、まず便蓋を電動で自動閉止し、その後に便器の洗浄を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のものは、着座中でないかぎりは閉動作が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、便蓋が閉止してから洗浄が開始する動作構成であれば当然に、便蓋の閉動作にかかる時間分、洗浄の開始は遅れる。したがって、洗浄による便の排出やボウル内の便の残存の有無を確認したい使用者にとっては、閉動作が完了するまでの間、待たなければならず、使用者への負担となるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、飛沫の拡散を便蓋で抑制でき、かつ少しでも早く洗浄が開始される洋風便器装置および便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の洋風便器装置は、ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、便座と、を備えた洋風便器装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の前端の下縁の高さ位置が、閉止した前記便座の上面の高さ位置と略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の洋風便器装置は、ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、便座と、を備えた洋風便器装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の後端縁の位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の洋風便器装置は、ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、便座と、を備えた洋風便器装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の前後方向の略中間位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の洋風便器装置は、ボウルと、該ボウルへ洗浄水を供給し該ボウル内を洗浄する便器洗浄部と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、前記便器洗浄部に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段と、を備えた洋風便器装置であって、前記洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの前記洗浄水の供給が開始する動作構成とされ、前記便蓋駆動部は、閉動作中の前記便蓋を停止させる前に駆動力を増大する構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始タイミングが前記駆動力を増大するタイミングであることを特徴とする。
【0008】
また本発明の便座装置は、便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の前端の下縁の高さ位置が、閉止した前記便座の上面の高さ位置と略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の便座装置は、便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の後端縁の位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の便座装置は、便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、前記便蓋は、天面部と、該天面部の周縁より垂下した周壁面部とを有し、前記便蓋が閉じた状態において前記便座を覆う形状であり、前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力する動作構成とされ、前記洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の前記便蓋の適宜な部位と、閉止した前記便座の適宜な部位との位置関係により決定され、閉動作中の前記便蓋の前記周壁面部の下縁と、閉止した前記便座の上面との側面視における交点の位置が、前記便座の開口の前後方向の略中間位置に略一致した便蓋位置とされることを特徴とする。
また、本発明の他の便座装置は、便座と、便蓋と、該便蓋の開閉を検知する便蓋開閉検知部と、前記便蓋を開閉する便蓋駆動部と、ボウルを有する洋風便器本体に対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備え、前記洋風便器本体に取り付けられる便座装置であって、前記ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、前記便蓋が開状態であれば、前記便蓋の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、前記ボウルへの洗浄水の供給を開始するように前記洋風便器本体に洗浄指示を出力する動作構成とされ、前記便蓋駆動部は、閉動作中の前記便蓋を停止させる前に駆動力を増大する構成とされ、前記洋風便器本体への洗浄指示の出力タイミングが前記駆動力を増大するタイミングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洋風便器装置、便座装置によれば、飛沫の拡散を便蓋で抑制でき、かつ少しでも早く洗浄を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る洋風便器装置の内部構成を示す基本ブロック図、(b)は同洋風便器装置の側面図である。
【
図3】(a)~(d)は、洗浄開始のタイミングの4例に対応した便蓋の状態を示す図である。
【
図4】基本動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】基本動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】基本動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図7】(a)は本発明の他の実施形態に係る洋風便器装置およびそれに用いられる、本発明の一実施形態に係る便座装置の基本ブロック図であり、(b)は同洋風便器装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係る洋風便器装置1の基本構成について記述する。
【0012】
洋風便器装置1は、ボウル12と、ボウル12へ洗浄水を供給しボウル12内を洗浄する便器洗浄部13とを備えている。また、洋風便器装置1はさらに、便蓋20と、便蓋20の開閉を検知する便蓋開閉検知部21と、便蓋20を開閉する便蓋駆動部22と、便器洗浄部13に対する洗浄指示を出力する洗浄指示手段とを備えている。
【0013】
洋風便器装置1は、洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、便蓋20が開状態であれば、便蓋20の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、ボウル12への洗浄水の供給が開始する構成とされている。
【0014】
つぎに、洋風便器装置1の詳細な構成、構造および動作について、
図1~
図6にもとづいて説明する。
図1(a)は本発明の一実施形態に係る洋風便器装置1の内部構成を示す基本ブロック図、
図1(b)は洋風便器装置1の側面図、
図2は洋風便器装置1の縦断面図である。また、
図3(a)~(d)は、便蓋20の閉動作が開始してから閉止するまでの間の洗浄開始のタイミングの4例に対応した便蓋20の状態を示す図である。
図4~
図6は洋風便器装置1の基本動作の3例を示すフローチャートである。
【0015】
まず、洋風便器装置1の構成および構造について、
図1(a)(b)および
図2にもとづいて説明する。
【0016】
洋風便器装置1は、トイレ空間内の床や壁などに固定される腰掛式の便器装置である。この洋風便器装置1の便器本体10は、上方に向けて開口したボウル12がスカート部11に囲まれるように内装され、ボウル12の上側にはボウル12の開口面に対し起倒自在とした、相互に同一の回転軸8とした便座24、便蓋20を備えている。
【0017】
便座24は中央に開口24aを有する環状座部とされ、ボウル12のリム12aの上面にクッション24cを介して載置状態(閉状態)となったときに床面に平行となって、着座可能となる。
【0018】
また、便蓋20は天面部20aと、天面部20aの周縁より垂下した周壁面部20bとを有し、便蓋20が閉じた状態において便座24を覆う形状である。便蓋20が閉じた状態では、便座24の開口24a、つまりボウル12の開口が塞がれる。なお、本実施形態の例のものは
図2に示すように、便蓋20の閉状態では側面視で便座24はその側面の全体が隠される。
【0019】
スカート部11の内部空間には、給水口14からボウル12内に洗浄水を供給しボウル12内を洗浄する便器洗浄部13が配されている。この便器洗浄部13は給水機構と排水機構とを有する。
【0020】
給水機構は、給水口14と、水道管(不図示)から供給される洗浄水をボウル12内に給水口14を通じて供給する洗浄水供給路15と、洗浄水供給路15の途中に配されている、ボウル12への給水を供給または遮断する給水弁16とを備えている。
【0021】
また排水機構は、本実施形態では可動式のトラップ17を有した構造とされる。このトラップ17は、駆動部(不図示)により封水状態、排水状態(破線で示した状態)間を回動する。図例のトラップ17は封水状態での位置にあり、排水状態ではトラップ17の開放端が排水口18に向くように位置にある。なおトラップ17はトラップケース19に囲まれて、汚水や臭気が外部に漏れないようになっている。
【0022】
また洋風便器装置1には、サイホン式やサイホンゼット式、サイホンボルテックス式、洗い落とし式などの排水機構も適用可能である。
【0023】
また、図例では、洋風便器装置1を、水洗タンク(ロータンク)を備えていない、水道直結式のタンクレスタイプとした例を示しているが、水洗タンクを備えた構成としてもよい。
【0024】
また洋風便器装置1は、上述したように、便蓋開閉検知部21と、便蓋駆動部22とを備え、さらに便蓋駆動部22に対する開閉指示を受け付ける便蓋操作部23を備えている。さらに洋風便器装置1は、便座24の開閉を検知する便座開閉検知部25と、便座24を開閉する便座駆動部26と、便座駆動部26に対する開閉指示を受け付ける便座操作部27と、着座検知部28とを備えている。
【0025】
着座検知部28としては、例えば便座24に内装された、着座/離座を検知する荷重センサーや、回転軸8の近傍より着座/離座を検知する赤外線センサーなどが採用される。便蓋開閉検知部21および便座開閉検知部25としては、開閉状態を検知でき、かつ動作中の傾斜角度を検出できる構成としたものが採用される。
【0026】
便蓋駆動部22および便座駆動部26は、それぞれモーターなどで構成されている。便蓋駆動部22は便蓋操作部23からの指示があった場合などに便蓋20を電動で開閉し(起倒させ)、便座駆動部26は便座操作部27からの指示があった場合などに便座24を電動で開閉する(起倒させる)。また、これらの駆動部は便蓋20、便座24の閉止の直前において、駆動力(閉動作速度、トルク)を変動させて便蓋20、便座24を強く押し込むように動作する。
【0027】
なお本明細書においては、便蓋20、便座24のいずれにおいても、略垂直状に起立した状態を開状態といい、略水平状に倒れ、ボウル12の開口に対し略平行とした状態を閉状態という。
【0028】
本洋風便器装置1では、便蓋20の閉動作の指示があったときに便蓋20、便座24がともに開状態であれば、まず便座24が閉動作をなし、閉止(閉状態で停止)後に、便座24の閉動作に連動するように、便蓋20が閉動作をなす。また、便座24の開動作の指示があったときに便座24、便蓋20がともに閉状態であれば、まず便蓋20が開動作をなし、開止(開状態で停止)後に、便蓋20の開動作に連動するように、便座24が開動作をなす。
【0029】
さらに洋風便器装置1は洗浄操作部29を備えている。この洗浄操作部29は、洗浄の指示を、後述する制御部5を介して便器洗浄部13に出力する大便用洗浄ボタン29aおよび小便用洗浄ボタン29bを備えている。
【0030】
なお、洗浄操作部29は本体操作部(不図示)、リモコン(不図示)のいずれにも配されていることが望ましい。これらには、各種の操作や設定などができる操作スイッチや操作ボタンなども設けてある。リモコンとしては赤外線通信のものが好適に用いられる。リモコンには送信部(不図示)、便器本体10には受信部(不図示)が設けてあることはいうまでもない。
【0031】
洗浄操作部29の操作は洗浄指示手段として作用するが、さらに、着座検知部28により検知された、着座中から離座への状態変化も洗浄指示手段として作用する。つまり、着座中のときに便座24から立ち上がった際には、洗浄ボタンの操作に代えて自動洗浄がなされる。
【0032】
また、大便用洗浄ボタン29aおよび小便用洗浄ボタン29bの両方を設けずに、1つの洗浄ボタンで洗浄指示を出力する構成としてもよい。つまり、その場合のボウル12への洗浄水の水量としては、大便用大容量、小便用小容量の区別がなく、大便用大容量の1種類のみとされる。
【0033】
洋風便器装置1は、前記制御対象(便器洗浄部13の給水弁16や便蓋駆動部22、便座駆動部26など)を制御する一方、洗浄操作部29や便蓋開閉検知部21、便座開閉検知部25、着座検知部28などの出力信号を受ける制御部5を備えている。この制御部5はCPUやMPUなどのプロセッサおよび種々のプログラムを含んで構成される。洋風便器装置1はさらに、計時部6および電源部(不図示)を備えている。
【0034】
また、本実施形態に係る洋風便器装置1は、装置の異常や状態、ガイダンスを音や音声合成で報知するスピーカなどで構成された報知部7を備えている。なお報知部7としては、音出力のものに代えてあるいは加えて、LEDなどのディスプレイを備えた構成としてもよい。
【0035】
洋風便器装置1はさらに、ボウル12内を脱臭する脱臭装置、便座24を温める加熱装置、局部を洗浄する局部洗浄装置などの各種機能装置を備えた構成としてもよい。
【0036】
上述したように、本洋風便器装置1は、洗浄指示があったときに、便蓋20が開状態であれば便蓋20の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間にボウル12への洗浄水の供給が開始する構成とされる。ようするに、洗浄開始のタイミングは便蓋20の閉動作の開始後であればよい。
【0037】
洗浄による飛沫のボウル12の外部への拡散防止と、洗浄指示後に洗浄をより早くすることとのバランスを考慮して、例えば便蓋20が閉状態の便座24とのなす傾斜角度θが略30度となってから洗浄が開始されることが望ましい(
図1(b)参照)。この略30度という角度は、洗浄開始が許容される上限値とすることが、飛沫拡散防止の観点から望ましい。
【0038】
このように、洗浄水の供給動作の開始は、便蓋20の閉動作における、便蓋20の閉動作中の、ある位置から、閉止位置までの洗浄開始許容範囲内でなされればよい。その洗浄開始許容範囲のうちの、便蓋20が最も早く到達するタイミング(位置)を、便蓋位置の許容限という。この許容限としては、上記のように略30度であってもよいし、その他の種々の便蓋位置であってもよい。
【0039】
この洗浄開始許容範囲内の洗浄開始のタイミング(位置)に到達したことの判断は、便蓋開閉検知部21による検出角度でなされてもよいし、計時部6が計時する経過時間でなされてもよい。いずれについても、洗浄開始のタイミング(位置)までの便蓋20の到達時間または傾斜角度θをあらかじめ計測し、定数として記憶しておき、実測値と定数との比較により洗浄開始のタイミング(位置)に到達したことが判断されればよい。
【0040】
また、許容限として、上記の略30度という許容限に代えて、以下に説明する種々の許容限であってもよい。また、略30度は、洋風便器装置1が有する、飛沫拡散を防止するための絶対的な非常限(便蓋20がこれ以上開いていれば飛沫拡散が多量となる限度位置)として位置付けてもよい。つまり、部位同士の位置関係により規定された許容限が略30度よりも大きくなる場合は、許容限を略30度とすればよい。
【0041】
例えば、洗浄水の供給動作の開始が許容される便蓋位置の許容限は、閉動作中の便蓋20の適宜な部位と、便座24の適宜な部位との位置関係で決定されるようにしてもよい。例えば、
図3(a)~(d)に示した4例の状態を上記許容限としてもよい。
【0042】
図3(a)では、閉動作中の便蓋20の周壁面部20bの前端20cの下縁20caの高さ位置が便座24の上面24bの高さ位置と略一致しており、この便蓋位置を許容限としてもよい。つまり、便蓋20が
図3(a)の状態となってから閉止するまでの間に、洗浄水の供給動作が開始される。
【0043】
図3(b)では、閉動作中の便蓋20の周壁面部20bの下縁20baと、閉状態の便座24の上面24bとの側面視における交点Xの位置が、閉状態の便座24の開口24aの前後方向の略中間位置に位置しており、この便蓋位置を許容限としてもよい。つまり、便蓋20が
図3(b)の状態となってから閉止するまでの間に、洗浄水の供給動作が開始される。
【0044】
図3(c)では、閉動作中の便蓋20の周壁面部20bの下縁20baと、閉状態の便座24の上面24bとの側面視における交点Xの位置が、閉状態の便座24の開口24aの後端縁24aaに位置しており、この便座位置を許容限としてもよい。つまり、便蓋20が
図3(c)の状態となってから閉止するまでの間に、洗浄水の供給動作が開始される。
【0045】
図3(d)では、閉動作中の便蓋20の周壁面部20bの前端20c位置が便座24の前端位置に略一致しており、この便座位置を許容限としてもよい。つまり、便蓋20が
図3(d)の状態となってから閉止するまでの間に、洗浄水の供給動作が開始される。
【0046】
以上のように、便蓋位置の許容限は種々のものが想定され、さまざまな形状の洋風便器装置1に対応して、つまり便蓋20の形状や回転軸8の位置や、便蓋20と便座24との位置関係などを考慮して、
図3の4例に限らず、適切なものを採用すればよい。便蓋20と便座24とが同一の回転軸8で動作しないものであってもよく、その場合も、両者の位置関係などを考慮して適切な許容限を採用すればよい。また、ボウル12内の溜め水の量や洗浄水の量、水圧などを考慮して適切な許容限が決定されればよい。
【0047】
なお、許容限自体を洗浄開始のタイミング(位置)としてもよい。
図3の4例はいずれも、許容限が洗浄開始のタイミング(位置)である場合を示したものであり、つまり便蓋20が
図3に示した状態に到達したタイミングに洗浄が開始される。
【0048】
また、洗浄開始許容範囲における洗浄開始のタイミング(位置)は、便蓋20の閉動作中に便蓋開閉検知部21により検出された傾斜角度θや、計時部6が計測する閉動作の開始からの経過時間で決定されればよい。なお、便蓋20や便座24の適宜な位置にセンサーを設けて、洗浄開始許容範囲内における洗浄開始のタイミング(位置)が検出されるようにしてもよい。
【0049】
このように傾斜角度θや経過時間で洗浄開始のタイミング(位置)を決定するために、種々の試験等により定数値を定めておけばよい。例えば定数値を記憶部(不図示)に保存しておき、変化する傾斜角度θや経過時間の実測値と比較して洗浄開始のタイミング(位置)が判定されればよい。
【0050】
なお、略30度を許容限の非常限と位置付ける場合には、定数値を設定入力する際に、定数値が略30度、あるいはそれに相当する時間を超えていれば、略30度、あるいはそれに相当する時間に置き換えて保存すればよい。また、
図4、
図5で後述する動作の中で非常限を超えているかどうかをチェックしてもよい。
【0051】
ついで、この洋風便器装置1の上記4例の動作について、
図4および
図5のフローチャートにもとづいて説明する。これらの動作はいずれも、洗浄指示手段により洗浄指示があったときの制御部5による動作である。
【0052】
図3の4例のいずれも基本動作は共通しており、便蓋開閉検知部21が検知する傾斜角度θにもとづき洗浄開始を判断する
図4の動作か、あるいは計時部6により計測した経過時間にもとづき洗浄開始を判断する
図5の動作が実行される。
【0053】
以下の動作説明においては、便蓋20の開閉状態の検知や便座24の開閉状態の検知は各検知部によるものであるが、それらの検知部の動作の説明については省略する。また、便蓋20の開閉動作や便座24の開閉動作は各駆動部によるものであるが、それらの駆動部の動作の説明については記述を省略する。
【0054】
まず、
図4の動作について、ステップS101~S110で示されるフローチャートに沿って説明する。
図4の例では、洗浄開始のタイミング(位置)を決定するために、傾斜角度θ(例えば、便蓋20と便座24のなす角度)の実測値の比較対象である、傾斜角度θの定数値が用いられる。
【0055】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が閉状態であれば、その後すぐにボウル12の洗浄が実行される(S101のY、S102)。洗浄終了後には、使用者のボウル12内の確認のために、便蓋20を開動作させ、開状態となってから一定時間後に、開状態となった便蓋20を閉動作させて、閉止させる動作がなされてもよい。
【0056】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が開状態であり、便座24も開状態であれば、便座24の閉動作が開始される(S101のN、S103のY、S104)。そして、便座24が閉止するのを待って、便蓋20の閉動作が開始される(S105のY、S106)。
【0057】
つぎに、便蓋20の傾斜角度θの実測値が定数値に一致するまで待ち、一致あるいは超過したタイミングで洗浄が開始される(S107、S108)。その後、便蓋20は閉止する。
【0058】
また、S103において便座24が閉状態であり、かつ離座状態であれば、便蓋20の閉動作が開始され、以下、上記と同様の動作が実行され、洗浄が開始される(S103のN、S109のY、S106~S108)。
【0059】
また、S109において着座状態が検出された場合には、便蓋20を閉動作させることなく、洗浄が開始される(S109のN、S110)。
【0060】
ついで、
図5の動作について、ステップS201~S212で示されるフローチャートに沿って説明する。
図5の例では、洗浄開始のタイミング(位置)を決定するために、経過時間の実測値の比較対象である、経過時間の定数値が用いられる。
【0061】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が閉状態であれば、その後すぐにボウル12の洗浄が実行される(S201のY、S202)。洗浄終了後には、使用者のボウル12内の確認のために、便蓋20を開動作させ、開状態となってから一定時間後に、開状態となった便蓋20を閉動作させて、閉止させる動作がなされてもよい。
【0062】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が開状態であり、便座24も開状態であれば、まず便座24の閉動作が開始される(S201のN、S203のY、S204)。そして、便座24が閉止するのを待って、便蓋20の閉動作が開始される(S205のY、S206)。
【0063】
つぎに、経過時間の定数値にもとづいてタイマーを開始し、タイムアップするまで待ち、タイムアップしたタイミングで洗浄が開始される(S207、S208Y、S210)。なお、タイムアップまでに便蓋20が閉止した場合は、タイムアップ前であっても洗浄が開始される(S208、S209)。これは、経過時間の定数値が便蓋20の閉動作時間よりも大きい場合を考慮したものである。便蓋20の閉止前に洗浄が開始された場合は、その後、便蓋20は閉止する。
【0064】
また、S203において便座24が閉状態であり、かつ離座状態であれば、便蓋20の閉動作が開始され、以下、上記と同様の動作が実行され、洗浄が開始される(S203のN、S211のY、S206~S210)。
【0065】
また、S211において着座状態が検出された場合には、便蓋20を閉動作させることなく、洗浄が開始される(S211のN、S212)。
【0066】
以上のように、ボウル12の洗浄の際には、
図1(b)の例や
図3の4例に示すように便蓋20がおおむね閉まった状態で洗浄水がボウル12に流される。そのため、ボウル12からの飛沫の拡散は抑制される。また、これらの例のように完全に閉止する前のタイミングで洗浄が開始されるため、少しでも早くボウル12の洗浄が行われ、洗浄の確認をしたい使用者の待ち時間を短縮することができる。
【0067】
例えば、不特定多数の利用者があるトイレや、頻繁に利用されるトイレでは、飛沫拡散防止の観点から、
図3(a)(b)などを採用することが望ましい。一方、家庭などのトイレでは、
図3(c)(d)などを採用してもよい。
【0068】
ついで、
図6のフローチャート(ステップS301~S310)で示された動作について説明する。本図の動作は、閉動作中において便蓋駆動部22が駆動力を変更したタイミングを洗浄開始のタイミングとするものである。
【0069】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が閉状態であれば、その後すぐにボウル12の洗浄が実行される(S301のY、S302)。洗浄終了後には、使用者のボウル12内の確認のために、便蓋20を開動作させ、開状態となってから一定時間後に、開状態となった便蓋20を閉動作させて、閉止させる動作がなされてもよい。
【0070】
洗浄指示を受けたときに便蓋20が開状態であり、便座24も開状態であれば、まず便座24の閉動作が開始される(S301のN、S303のY、S304)。そして、便座24が閉止するのを待って、便蓋20の閉動作が開始される(S305のY、S306)。
【0071】
つぎに、便蓋駆動部22による駆動力アップのタイミングを待ち、そのタイミングで洗浄が開始される(S307、S308)。その後、便蓋20は閉止する。
【0072】
また、S303において便座24が閉状態であり、かつ離座状態であれば、便蓋20の閉動作が開始され、以下、上記と同様の動作が実行され、洗浄が開始される(S303のN、S309のY、S306~S308)。
【0073】
また、S309において着座状態が検出された場合には、便蓋20を閉動作させることなく、洗浄が開始される(S309のN、S310)。
【0074】
この駆動力アップのタイミングは、上述したように便蓋20の閉止の直前であり、つまり
図3(a)の状態か、あるいはさらに閉止に近づいた状態である。この動作によっても、上記の例と同様の効果が奏される。
【0075】
洋風便器装置1としては、便座24と便蓋20とが一体として取り替え可能なものであってもよい。特に
図7に示すような便座装置30が後付けされた(あるいは取り替えられた)洋風便器装置3であってもよい。
図7(a)(b)にもとづいて、本発明の他の実施形態に係る洋風便器装置3およびそれに用いられる便座装置30の各基本構成について説明する。
【0076】
なお本実施形態では、
図7(b)に例示した洋風便器装置3は、可動式のトラップ17を有したものであってもよいし、サイホン式のトラップを有したものであってもよい。なお、洋風便器装置3のボウル12やトラップ17等の内部構造については、
図2のものと同様であるため、縦断面図を省略する。これらについては
図2を参照して説明する。
【0077】
具体的には洋風便器装置3は、ボウル12と、ボウル12へ洗浄水を供給しボウル12内を洗浄する便器洗浄部13と、便座装置30と、便器洗浄部13に対し洗浄の指示を出力する洗浄操作部29とを備えている。
【0078】
便座装置30は、洋風便器装置3の洋風便器本体3A(便座装置30を除く部位)とは着脱可能な別体とされている。便座装置30は、便蓋40、便蓋開閉検知部41、便蓋駆動部42、便蓋操作部43、便座44、便座開閉検知部45、便座駆動部46、便座操作部47、着座検知部48、ボウル洗浄操作部49、便座側制御部35、便座側計時部36、報知部37を備えている。また、便座装置30、洋風便器本体3A間では信号の送受が可能とされている。
【0079】
なお、便座装置30を除く洋風便器装置3の構成は
図1のものとおおむね同様であるため、詳細な説明は省略する。また、便座装置30が備える、便蓋40、便蓋開閉検知部41、便蓋駆動部42、便蓋操作部43、便座44、便座開閉検知部45、便座駆動部46、便座操作部47、着座検知部48についても
図1のものとおおむね同様であり、その説明を省略する。
【0080】
図7の洋風便器装置3は、ボウル洗浄操作部49を備えており、便座装置30側より便器洗浄部13に対しボウル12の洗浄指示が出力できる構成とされている。具体的には、便座装置30は便座側制御部35を備え、ボウル洗浄操作部49より洗浄の指示があったときに、便座側制御部35がこれを受けて、洋風便器本体3A側の制御部5を通じて、便器洗浄部13を制御してボウル12の洗浄ができるようになっている。また、便座側制御部35が直接、便器洗浄部13を制御する構成としてもよい。
【0081】
なお、図
7(a)に示すように、洋風便器装置3は便座装置30側のボウル洗浄操作部49だけではなく、洋風便器本体3A側の洗浄操作部29をも含んだ構成とされている。つまり、
図7のものは、洗浄操作部29、ボウル洗浄操作部49のいずれでも洗浄指示ができる構成とされている。また、洋風便器本体3A側に洗浄操作部29を設けずに、ボウル洗浄操作部49でのみ洗浄指示ができる構成であってもよい。なお、ボウル洗浄操作部49も大便用洗浄ボタンと小便用洗浄ボタンとを有することが望ましい。
【0082】
ボウル洗浄操作部49の操作はボウル洗浄指示手段として作用するが、さらに、着座検知部48により検知された、着座中から離座への状態変化もボウル洗浄指示手段として作用する。つまり、着座中のときに便座44から立ち上がった際には、洗浄ボタンの操作に代えて自動洗浄がなされる。
【0083】
この洋風便器装置3も、
図1の洋風便器装置1と同様、
図5~
図7に示した動作が可能とされ、便蓋40の閉動作の開始後、便蓋40の閉止前の種々のタイミングにおいて洗浄が開始される。
【0084】
以上のように、本便座装置30は、便座44と、便蓋40と、便蓋40の開閉を検知する便蓋開閉検知部41と、便蓋40を開閉する便蓋駆動部42とを備えている。また便座装置30は、洋風便器本体3Aに対する洗浄指示を受け付けるボウル洗浄指示手段と、を備えた、洋風便器本体3Aに取り付けられる装置である。
【0085】
この便座側制御部35は、ボウル洗浄指示手段による洗浄指示があったときに、便蓋40が開状態であれば、便蓋40の閉動作が開始し、その後、閉止するまでの間に、ボウル12への洗浄水の供給を開始するように洋風便器本体3Aに洗浄指示を出力する。
【0086】
また、便座装置30は、洋風便器本体3Aの洗浄操作部29による洗浄指示を受け付けた場合にも、ボウル洗浄操作部49の洗浄指示による動作と同様の動作が実行されるようにしてもよい。
【0087】
なお、便座装置30としては
図7のものには限らない。便座装置30としては例えば、局部洗浄装置を備えた構成であってもよいし、種々(例えば局部洗浄装置)の操作や設定ができる便座側操作部を有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、3 洋風便器装置
3A 洋風便器本体
5 制御部
12 ボウル
13 便器洗浄部
20 便蓋
20a 天面部
20b 周壁面部
20ba 下縁
20c 前端
20ca 下縁
21 便蓋開閉検知部
22 便蓋駆動部
23 便蓋操作部
24 便座
24a 開口
24aa 後端縁
24b 上面
25 便座開閉検知部
26 便座駆動部
27 便座操作部
30 便座装置
35 便座側制御部
36 便座側計時部
40 便蓋
41 便蓋開閉検知部
42 便蓋駆動部
43 便蓋操作部
44 便座
45 便座開閉検知部
46 便座駆動部
47 便座操作部
X 交点