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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20241101BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241101BHJP
   F21V 25/02 20060101ALI20241101BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20241101BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241101BHJP
   H05B 47/14 20200101ALI20241101BHJP
   H05B 47/20 20200101ALI20241101BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20241101BHJP
【FI】
H05B45/50
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21V25/02
F21V9/32
F21S2/00 370
H05B47/14
H05B47/20
H05B45/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021054357
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151332
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】茂手木 省吾
(72)【発明者】
【氏名】林 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】八木 史也
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195620(WO,A1)
【文献】特開2012-216299(JP,A)
【文献】特開2015-138045(JP,A)
【文献】特開2019-159110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
F21V 23/00
F21V 25/02
F21V 9/32
F21S 2/00
H05B 47/14
H05B 47/20
H05B 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次光を出射する励起光源と、
前記一次光と、前記一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光とを含む二次光を出射する光変換部材と、
前記一次光及び前記波長変換光のそれぞれを検出するセンサ部と、
前記センサ部が検出した前記一次光を示す信号である第1信号と、前記センサ部が検知した前記波長変換光を示す信号である第2信号とを取得する制御部と
前記光変換部材を収容する筐体とを備え、
前記制御部は、
前記第1信号の出力値と前記第2信号の出力値との比率に基づいて動作安全パラメータを決定し、
所定の閾値に対する前記動作安全パラメータ、又は、前記動作安全パラメータの正常時からの変化量に基づいて、前記励起光源を制御し、
前記筐体には、
前記光変換部材の一方面側から延びる第1貫通孔と、前記光変換部材の一方面側と対向する他方面側から延びる第2貫通孔とが形成され、
前記光変換部材が配置される凹部が形成され、
前記光変換部材と前記センサ部との間において、前記センサ部に前記二次光を導くための案内部が形成され、
前記案内部は、前記凹部から前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に至る光路と交差するように延びている
光源装置。
【請求項2】
前記センサ部は、前記光変換部材の前記二次光の出射側に配置される
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記動作安全パラメータが所定の閾値以下の場合に前記光変換部材に異常があると判定する、又は、
前記動作安全パラメータが所定の閾値以上の場合に前記光変換部材に異常があると判定する、若しくは、
前記変化量が所定値を超える場合、前記光変換部材に異常があると判定する
請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記光変換部材と前記センサ部とを連通するための穴、又は、溝である
請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記一次光及び前記波長変換光を前記センサ部へガイドすることが可能な導光部材を備える
請求項1~のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記センサ部は、前記一次光及び前記波長変換光の両方を検出する1つのセンサを有する
請求項1~のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記センサ部は、前記一次光及び前記波長変換光のそれぞれに感度を持つ複数のセンサを有する
請求項1~のいずれか1項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光を出射するレーザ装置と、レーザ光を黄色光へ変換する光変換装置と、光変換装置によって生成された黄色光を変換光センサに向けて反射するビームスプリッタと、ビームスプリッタで反射された光出力を計測する変換光センサとが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5677293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源装置において、光変換装置としての波長変換部材で波長変換された光は、ビームスプリッタによってセンサに向かって反射するため、センサの集光効率を確保することで、センサによる検出精度を確保することができる。しかし、従来の光源装置の構成では、センサの出力信号における変化量の時間微分値が小さい破損に対しては精度よく検出することができないという課題がある。
【0005】
そこで、本開示では、光変換部材の小さな破損状態を精度よく検出することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光源装置は、一次光を出射する励起光源と、前記一次光と、前記一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光とを含む二次光を出射する光変換部材と、前記一次光及び前記波長変換光のそれぞれを検出するセンサ部と、前記センサ部が検出した前記一次光を示す信号である第1信号と、前記センサ部が検知した前記波長変換光を示す信号である第2信号とを取得する制御部と、前記光変換部材を収容する筐体とを備え、前記制御部は、前記第1信号の出力値と前記第2信号の出力値との比率に基づいて動作安全パラメータを決定し、所定の閾値に対する前記動作安全パラメータ、又は、前記動作安全パラメータの正常時からの変化量に基づいて、前記励起光源を制御し、前記筐体には、前記光変換部材の一方面側から延びる第1貫通孔と、前記光変換部材の一方面側と対向する他方面側から延びる第2貫通孔とが形成され、前記光変換部材が配置される凹部が形成され、前記光変換部材と前記センサ部との間において、前記センサ部に前記二次光を導くための案内部が形成され、前記案内部は、前記凹部から前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に至る光路と交差するように延びている
【発明の効果】
【0007】
本開示の光源装置は、光変換部材の小さな破損状態を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る光源装置を例示した断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る光源装置を例示したブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る光源装置の別の導光部材等を例示した部分断面図である。
図4図4は、光源装置の光変換部材に一次光が入射し続けたときの様子を模式的に例示した図である。
図5図5は、一次光に対する波長変換光の変換効率と時間との関係を例示した図である。
図6図6は、動作安全パラメータと時間との関係を例示した図である。
図7図7は、光源装置の波長変換部材の異常の有無を判定する処理動作を例示したフローチャートである。
図8図8は、実施の形態の変形例に係る光源装置を例示した断面図である。
図9図9は、実施の形態の変形例に係る光源装置を例示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0011】
また、以下の実施の形態において、略平行等の表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0012】
また、以下の実施の形態において、励起光源に対する蛍光部側を一方側、蛍光部に対する励起光源側を他方側と規定する。
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る光源装置について説明する。
【0014】
(実施の形態)
<構成:光源装置1>
図1は、実施の形態に係る光源装置1を例示した断面図である。図2は、実施の形態に係る光源装置1を例示したブロック図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、光源装置1は、一次光を出射する照明装置である。光源装置1は、例えば、内視鏡用照明システム、車載用照明装置、プロジェクタ等に用いられる。ここで一次光は、励起光であり、例えばレーザ光である。なお、光源装置1は、ダウンライト及びスポットライト等として用いられてもよい。例えば、光源装置1は、光ファイバに設けられたコネクタと接続されることで、照明システムを構成する。光源装置1では、一次光が蛍光部40の他方面(光学部材30側の面)に照射され、波長変換された波長変換光(蛍光)が蛍光部40の一方面から出射されることで、周囲を照明することができる。
【0016】
光源装置1は、筐体10と、複数の励起光源20と、光学部材30と、蛍光部40と、センサ部50と、制御部60と、導光部材45a、45bと、フィルタ51a、52aと、駆動回路90とを有する。
【0017】
[筐体10]
筐体10は、一方側(図面右側)から他方側(図面左側)に延びる、有底筒状の収容体である。筐体10は、ハウジング11と、支持カバー12と、第1支持部13と、第2支持部14と、第3支持部15とを有する。
【0018】
ハウジング11は、一端側と他端側とが開口した空間Kを形成し、無底筒状のケースで
ある。ハウジング11は、空間Kの内部に、光学部材30を収容している。
【0019】
支持カバー12は、光学部材30と対向するように複数の励起光源20を支持し、かつ、ハウジング11の他端側の開口を塞いでいる。
【0020】
第1支持部13は、ハウジング11の一方側に配置され、ハウジング11に固定される。第1支持部13には、蛍光部40の他方面と対向する面から延びる貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aは、複数の励起光源20が出射した一次光であり、光学部材30を透過した一次光が通過する。このため、貫通孔13aは、ハウジング11の一方側から他方側に沿って貫通し、中心線O上に配置されている。なお、貫通孔13aには、例えば、その内面が高効率で二次光を反射するような、誘電体多層膜等がコートされていてもよく、ライトパイプ、ガラスロッド等が設けられていてもよい。貫通孔14aは、第1貫通孔の一例である。
【0021】
第2支持部14は、第1支持部13の一方側に配置され、第1支持部13に固定される、又は、第1支持部13を挟むようにハウジング11に固定される。これにより、第2支持部14は、第1支持部13と重ね合わされている。第2支持部14には、蛍光部40の一方面と対向する面から延びる貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aは、蛍光部40を拡散透過した一次光と、蛍光部40が出射した波長変換光とを含む二次光が通過する。このため、貫通孔14aは、第2支持部14の一方側から他方側に沿って貫通し、貫通孔13aの中心線Oと一致するように、中心線O上に配置されている。なお、貫通孔14aには、例えば、その内面が高効率で二次光を反射するような、誘電体多層膜等がコートされていてもよく、ライトパイプ、ガラスロッド等が設けられていてもよい。貫通孔13aは、第2貫通孔の一例である。
【0022】
また、第1支持部13及び第2支持部14の少なくとも一方には、蛍光部40を配置して収容するための凹部10aが形成されている。具体的には、凹部10aは、第2支持部14の他端面に形成されていてもよい。また、凹部10aは、第1支持部13の一端面と第2支持部14の他端面との両方、つまり第1支持部13から第2支持部14に跨って形成されていてもよい。本実施の形態では、第1支持部13の一端面には、蛍光部40を配置するための凹部10aが形成されている。
【0023】
凹部10aは、貫通孔13a、14aに接続され、光学部材30の中心線O上に形成されている。凹部10aに蛍光部40が配置されると、第1支持部13と第2支持部14とが蛍光部40を挟むように、蛍光部40の姿勢を支持する。具体的には、第1支持部13及び第2支持部14は、板状の蛍光部40の他方面が中心線Oと直交する姿勢となるように、蛍光部40を支持している。
【0024】
また、第1支持部13及び第2支持部14の少なくとも一方には、光変換部材41とセンサ部50との間において、センサ部50に二次光を導くための案内部13bが形成されている。また、本実施の形態において、第1支持部13及び第2支持部14の少なくとも一方には、凹部10aから第1センサ51に向かって延びる案内部13bである第1の案内部13b1と、凹部10aから第2センサ52に向かって延びる案内部13bである第2の案内部13b2とが形成されている。
【0025】
第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2は、光変換部材41とセンサ部50とを連通するための穴、又は、溝である。具体的には、第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2のそれぞれは、第2支持部14の他端面に形成されていてもよい。また、第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2のそれぞれは、第1支持部13の一端面と第2支持部14の他端面との両方、つまり第1支持部13から第2支持部14に跨って形成されていてもよい。本実施の形態において、第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2のそれぞれは、凹部10aに接続され、中心線Oと直交する方向に沿って延びてい
る。本実施の形態では、第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2は、第1支持部13に形成された溝である。
【0026】
案内部13bは、蛍光部40を拡散透過した一次光と、蛍光部40によって一次光が波長変換された波長変換光とを含む二次光が通過する。つまり、案内部13bでは、光変換部材41が出射した二次光の漏れ光が出射する。
【0027】
一次光及び二次光を含めた光の光路において、案内部13bを通過する二次光の光路は、貫通孔13aから貫通孔14aに至る光路と交差(本実施の形態では直交)している。
【0028】
また、案内部13bには、例えば、その内面が高効率で二次光を反射するような、誘電体多層膜等がコートされていてもよく、ライトパイプ、ガラスロッド等が設けられていてもよい。案内部13bの内部を通過した二次光は、筐体10の外部に出射する。
【0029】
第1支持部13及び第2支持部14は、複数の励起光源20及び蛍光部40に生じた熱を放熱するための放熱部材として機能する。
【0030】
図示はしないが、第2支持部14には、光ファイバと接続するための接続端子が設けられている。接続端子は、貫通孔14aと重なるように配置され、貫通孔14aを通過した二次光を通過させる。光ファイバは、二次光を伝送する導光部材、第2支持部14の接続端子と機械的に接続されるコネクタ、及び、導光部材を蛍光部40と対向する姿勢で保持する位置合わせ部品であるフェルール等を有する。
【0031】
第3支持部15は、支持カバー12の他方面側に配置されている。第3支持部15は、制御部60、駆動回路90及び励起光源20の基板を保持している。第3支持部15は、第1支持部13とネジ等の固定部材によって連結されることで、ハウジング11に固定される。
【0032】
本実施の形態では、支持カバー12、第1支持部13及び第2支持部14のそれぞれは、ネジ等の固定部材によってハウジング11に連結されることで、ハウジング11に固定される。こうして、ハウジング11は、支持カバー12と第1支持部13及び第2支持部14とに挟まれるように、配置されている。
【0033】
[励起光源20]
複数の励起光源20のそれぞれは、半導体発光素子レンズが含まれており、略コリメートされた一次光を出射する。複数の励起光源20のそれぞれは、出射する一次光の光軸が略平行となるように、基板21に実装されている。複数の励起光源20のそれぞれは、基板21の同一面に配置されている。つまり、基板21の光学部材30側には、複数の励起光源20が配置されている。
【0034】
複数の励起光源20のそれぞれは、光学部材30の第1面31に光を入射させるように、配置されている。複数の励起光源20は、光学部材30に向けて一次光を出射することで、光学部材30等を介して蛍光部40の他方面に一次光を入射させる。具体的には、複数の励起光源20及び基板21は、一次光の光軸が光学部材30の第1面31と交差するように支持カバー12に固定されている。また、複数の励起光源20は、基板21を介して支持カバー12に熱的に接続されている。一次光の光軸は、励起光源20が出射する一次光の光軸であり、一方から他方に沿った方向と略平行な光軸である。
【0035】
なお、本実施の形態では、8つの励起光源20を用いているが、7以下又は9以上の励起光源20を用いてもよい。また、本実施の形態では、4つの励起光源20を用いてもよ
い。本実施の形態では、励起光源20が出射する一次光は、紫色から青色までの波長帯域のうちの所定の波長の光である。また、本実施の形態における複数の励起光源20のそれぞれの出力は、ワット級(例えば1ワット以上)の光出力である。
【0036】
また、本実施の形態では、8つの励起光源20を一組の励起光源20として用いているが、複数組の励起光源20を用いてもよい。この場合、光学部材30は、一組の励起光源20と一対一で対応する数だけ設けられる。
【0037】
励起光源20は、半導体レーザによって構成されており、例えばInGaN系レーザダイオードで構成されているが、励起光源20は、出射する一次光が蛍光部40の光変換部材41を励起できるのであれば、他の波長の半導体レーザ又はLED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0038】
なお、励起光源20が出射する一次光の出力は、駆動回路90によって制御される。また、励起光源20には、蛍光部40を励起しないレーザ光が一次光として含まれていてもよい。
【0039】
[光学部材30]
光学部材30は、透光性の凸レンズある。光学部材30は、複数の励起光源20から出射された一次光を集光して、蛍光部40の他方面に入射させる。
【0040】
光学部材30は、励起光源20が出射する一次光の光軸と交差するようにハウジング11内に配置されている。具体的には、光学部材30は、複数の励起光源20が出射した一次光が光学部材30に直接入射するように、つまり、複数の励起光源20のそれぞれの光軸と光学部材30の中心線Oとが略平行となるようにハウジング11内に配置されている。光学部材30の中心線Oは、光学部材30の中心を通過し、光学部材30の第1面31及び第2面32に略垂直な線分(主軸)である。
【0041】
光学部材30は、第1面31と、第2面32とを有する。光学部材30では、第1面31が曲面であり、第2面32が平面である凸レンズである。第1面31は、複数の励起光源20と対向する面であり、複数の励起光源20が出射した一次光が直接的に入射する面である。第2面32は、第1面31と反対側の面であり、第1面31から入射して内部を透光した一次光が出射する面である。本実施の形態では、第1面31は、半球状の面をなしている。
【0042】
[蛍光部40]
蛍光部40は、複数の励起光源20のそれぞれが出射して光学部材30で集光された一次光を波長変換光に変換する蛍光体(光学部材)であり、一次光と一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光とを含む二次光を出射する。具体的には、蛍光部40は、波長変換光を出射するとともに、光学部材30で集光された一次光を拡散及び透過させる板状をなしている。
【0043】
蛍光部40は、他方面に入射された一次光を波長変換して一方面から出射する。より具体的には、蛍光部40には、光学部材30で集光された一次光が他方面に入射される。蛍光部40の他方面に入射された一次光の少なくとも一部は、波長変換されて、一方面から出射される。
【0044】
蛍光部40は、第1支持部13及び第2支持部14に接触した状態で、第1支持部13と第2支持部14との間に配置されている。蛍光部40は、他方面が光学部材30の中心線Oと交差する姿勢となるように、ハウジング11に形成されている凹部10aに配置さ
れて固定されている。言い換えれば、蛍光部40は、第1支持部13の貫通孔13aの一方側の開口を塞ぎ、かつ、第2支持部14の貫通孔14aの一方側の開口を塞ぐように配置されている。また、蛍光部40は、第1センサ51と第2センサ52との間であり、かつ、貫通孔13a及び貫通孔14aとの間に配置されている。
【0045】
蛍光部40は、平板状のプレートである。本実施の形態では、蛍光部40は、例えば、透光部42と、光変換部材41(蛍光体層)とを有する。図示はしないが、蛍光部40は、AR(anti-reflective)層、反射膜を有していてもよい。この場合、蛍光部40は、AR層、透光部42、反射膜、及び、光変換部材41がこの並び順で積層された多層構造体である。
【0046】
透光部42は、透光性を有する基板であり、例えば、サファイア等で構成されている。なお、透光部42には、熱伝導率の高いサファイア基板を用いているがこれには限定されない。透光部42として、サファイア基板の代わりに、ガラス等の透明基板を用いてもよい。
【0047】
光変換部材41は、一次光と一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光とを含む二次光を出射する波長変換部材である。具体的には、光変換部材41は、光学部材30で集光された一次光の一部を波長変換することで波長変換光を出射するとともに、波長変換されない残りの一次光が拡散透過されて通過することで、一次光と波長変換光とからなる二次光を出射する。
【0048】
光変換部材41は、一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光を出射する蛍光体を含み、当該蛍光体をガラス等のセラミック、シリコーン樹脂等からなる透明材料であるバインダに分散されて保持されている。光変換部材41は、例えばYAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体、カズン系蛍光体、エスカズン系蛍光体、又は、BAM(Ba、Mg、Al)系蛍光体等であり、一次光の種類に応じて適宜選択することができる。なお、バインダは、セラミック、シリコーン樹脂に限定されるものではなく、透明ガラス等のその他の透明材料を用いてもよい。
【0049】
また、光変換部材41は、例えば、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体等であってもよく、一次光により、赤色光、緑色光、青色光等の波長変換光を出射してもよい。この場合、これらの赤色光、緑色光、青色光の波長変換光を混ぜて白色光としてもよい。
【0050】
本実施の形態では、光変換部材41は、例えば、励起光源20からの青色の一次光の一部を吸収して緑色~黄色の波長変換光と、光変換部材41により吸収されず出射された青色の一次光とが合わさり、疑似的な白色の波長変換光を出射する。なお、光変換部材41は、励起光源20が青色の一次光を出射する場合、青色の一次光の一部を吸収して、緑色~黄色に波長変換する複数種類の蛍光体を含んでいてもよい。
【0051】
光変換部材41は、温度が高くなると変換効率が下がる温度消光特性を有する。波長変換に伴う損失は熱に変わるため、光変換部材41の放熱性を確保することは重要である。そこで、光変換部材41に生じる熱を、サファイア基板等を介して放熱しやすくするために、蛍光部40は、ハウジング11及び第1支持部13のそれぞれに接触されていることが好ましい。
【0052】
また、AR層は、透光部42に対して一次光を高効率で透過させることができ、光の効率を高めることができる。また、反射膜は、誘電体多層膜等のダイクロイックミラーであり、青色の波長帯域から紫色の波長帯域までの一次光が透過し、青色の波長帯域から紫色の波長帯域以外の波長帯域の光を反射する。つまり、反射膜は、一次光を高効率で透過さ
せ、波長変換光を反射させることができる。
【0053】
[導光部材45a、45b]
導光部材45aは第1センサ51と第1の案内部13b1の開口との間、及び、導光部材45bは第2センサ52と第2の案内部13b2の開口との間に配置されている。図1に示す導光部材45a、45bは、例えば、ライトパイプである。本実施の形態では、導光部材45a、45bのそれぞれは、図3に示すように、筐体10の外部に設けられているが、少なくとも一部が筐体10の内部に設けられていてもよい。図3は、実施の形態に係る光源装置1の別の導光部材45b等を例示した部分断面図である。図3に示す導光部材45a、45bは、透光性の光ファイバである。図3に示すように、第1センサ51及び第2センサ52は、蛍光部40よりも一方側に配置されている。この場合、導光部材45aは一部が屈曲して第1センサ51に延び、導光部材45bは一部が屈曲して第2センサ52に延びていてもよい。
【0054】
導光部材45a、45bのそれぞれは、一次光及び波長変換光をセンサ部50へガイドすることが可能である。具体的には、導光部材45aは、第1の案内部13b1の開口から出射された二次光を、フィルタ51aを介してセンサ部50の第1センサ51にガイドする。また、導光部材45bは、第2の案内部13b2の開口から出射された二次光を、フィルタ52aを介してセンサ部50の第2センサ52にガイドする。導光部材45a、45bは、例えば、光ファイバ又はライトパイプ等である。なお、本実施の形態では、導光部材45a、45bを設けているが、光源装置1の必須の構成要件ではなく、設けられていなくてもよい。
【0055】
[センサ部50]
センサ部50は、一次光及び波長変換光のそれぞれを検出する。センサ部50は、一次光及び波長変換光のそれぞれに感度を持つ複数のセンサを有する。つまり、本実施の形態では、センサ部50は、一次光に感度を持つセンサである第1センサ51と、波長変換光に感度を持つセンサである第2センサ52とを有する。第1センサ51及び第2センサ52は、センサの一例である。
【0056】
センサ部50は、光変換部材41の二次光の出射側に配置される。具体的には、センサ部50の第1センサ51は、蛍光部40を透過して第1の案内部13b1の開口から出射された二次光を受光できるように、フィルタ51aを介して、第1の案内部13b1の開口と対向して配置されている。また、センサ部50の第2センサ52は、蛍光部40を透過して第2の案内部13b2の開口から出射された二次光を受光できるように、フィルタ52aを介して、第2の案内部13b2の開口と対向して配置されている。言い換えれば、第1センサ51は、蛍光部40から第1の案内部13b1の長手方向に沿った位置に配置され、第2センサ52は、蛍光部40から第2の案内部13b2の長手方向に沿った位置に配置される。このため、第1センサ51及び第2センサ52は、複数の励起光源20から貫通孔14aに至るまでの一次光及び二次光の進行方向と略直交する方向に配置されている。
【0057】
本実施の形態では、センサ部50は、蛍光部40を透過した二次光を受光する透過型である。
【0058】
センサ部50は、蛍光部40の異常を検出する。具体的には、第1センサ51及び第2センサ52は、蛍光部40から出射された二次光を検出することによって、蛍光部40における光変換部材41の異常を検出する。ここで、光変換部材41の異常とは、蛍光部40の破損、蛍光部40の劣化によって一次光の出力が波長変換光の出力よりも大きくなること、一次光の漏れ等である。第1センサ51は、異常を検出するための、一次光を示す
信号である第1信号を制御部60に出力し、第2センサ52は波長変換光を示す信号である第2信号を制御部60に出力する。
【0059】
センサ部50は、フォトダイオード、及び、信号受信が可能な撮像素子等の受光素子で構成されている。センサ部50には、受光素子で受信するための増幅回路及び受信したアナログ信号をデジタル信号に変換する回路が接続されていてもよい。
【0060】
また、本実施の形態において、センサ部50は、筐体10の外側に配置されている。これにより、励起光源20等の熱源から離すことで、センサ部50の劣化及び検出精度を確保することができる。
【0061】
[制御部60]
制御部60は、センサ部50が検出した一次光を示す信号である第1信号と、センサ部50が検知した波長変換光を示す信号である第2信号とを取得する。制御部60は、第1信号の出力値(出力電圧)と第2信号の出力値(出力電圧)との比率に基づいて動作安全パラメータを決定する。
【0062】
ここで、動作安全パラメータについて、図4及び図5を用いて説明する。図4は、光源装置1の光変換部材41に一次光が入射し続けたときの様子を模式的に例示した図である。図5は、一次光に対する波長変換光の変換効率と時間との関係を例示した図である。図5の破線は、時間の経過に応じて変化する一次光の出力に対する波長変換光の出力の変換効率を示し、図5の実線は、時間の経過に応じて光源装置1から出射される光の出力を示している。
【0063】
図4のa、b及びcに示すように、光変換部材41が一次光を波長変換光に変換する際に、波長変換に伴う損失は熱に変わるため、光変換部材41は、時間の経過とともに、温度が高くなる。しかし、上述したように、光変換部材41は温度が高くなると変換効率が下がる温度消光特性を有するため、図4のcに示すように、温度消光時では蛍光部40に応力が加わり、蛍光部40が変形する。これにより、図5の破線に示すように、一定時間を経過すると、蛍光部40は応力によって異常が発生し、場合によっては蛍光部40にクラックが生じたりする。そして、一次光を蛍光部40に入射させ続ければ、蛍光部40に応力が加わり続けるため、図4のc及び図5の破線に示すように、蛍光部40の破損に至ってしまう。すると、一次光が筐体10から漏れてしまうことがある。このため、このような事態が生じないように、光変換部材41の劣化の状態を事前に予測する必要がある。
【0064】
そこで、図6に示すように、蛍光部40の異常発生時から破損に至るまでの間に、異常判定基準値としての所定の閾値、又は、図6に示すように、所定時間において動作安全パラメータの正常時からの変化量ΔSを設けることで、光源装置1を安全に動作させる。図5の破線の例では、所定の閾値以上が動作安全パラメータとなる。また、図6は、動作安全パラメータと時間との関係を例示した図である。
【0065】
また、制御部60は、少なくとも1つの所定の閾値に対する動作安全パラメータ(所定の閾値と動作安全パラメータとの比較)、又は、動作安全パラメータの正常時からの変化量ΔSに基づいて、励起光源20を制御する。具体的には、制御部60は、第1センサ51及び第2センサ52のそれぞれから取得した第1信号及び第2信号に基づいて、蛍光部40つまり光変換部材41における異常の有無を判定する。より具体的には、動作安全パラメータが一次光の出力に対する波長変換光の出力の変換効率を示すとき、動作安全パラメータが所定の閾値以下の場合に光変換部材41に異常があると判定する。また、動作安全パラメータが波長変換光の出力に対する一次光の出力の割合(1/変換効率)を示すとき、動作安全パラメータが所定の閾値以上の場合に光変換部材41に異常があると判定す
る。また、動作安全パラメータが正常時のパラメータに対する変化量ΔSを示すとき、変化量ΔSが所定値を超える場合、光変換部材41に異常があると判定する。
【0066】
例えば、制御部60は、第1信号及び第2信号に基づいて、蛍光部40に異常があると判定した場合、複数の励起光源20の駆動を停止させてもよく、蛍光部40に異常があることを示す情報を周囲に報知してもよい。例えば、制御部60は、蛍光部40に異常があると判定した場合において、動作安全パラメータが異常判定基準値を下回った場合(閾値以下の場合に対応)又は動作安全パラメータが異常判定基準値を上回った場合(閾値以上の場合に対応)、駆動回路90を制御することで、複数の励起光源20に供給する電力を停止させる。また、制御部60は、第1信号及び第2信号に基づいて、蛍光部40に異常がないと判定した場合、何ら報知をしなくてもよく、蛍光部40が正常であることを示す情報を周囲に報知してもよい。このように、制御部60は、光源装置1の蛍光部40の状態をモニタリングすることができる。
【0067】
[フィルタ51a、52a]
フィルタ51aは、第1センサ51と第1の案内部13b1の開口との間、フィルタ52aは、第2センサ52と第2の案内部13b2の開口との間に配置される。第1センサ51と第1の案内部13b1の開口との間のフィルタ51aは、一次光以外の光、例えば、青色の波長帯域以外の波長帯域の光を吸収して遮光してもよい。また、第2センサ52と第2の案内部13b2の開口との間のフィルタ52aは、波長変換光以外の光、例えば、青色の波長帯域の光を吸収して遮光してもよい。これにより、センサ部50が検出したい波長帯域の光以外の光を遮光することができるため、センサ部50による光変換部材41の異常を検出するためのSN比を向上させることができる。
【0068】
[駆動回路90]
駆動回路90は、電力線等によって電力系統と電気的に接続され、電力を複数の励起光源20及びセンサ部50のそれぞれに供給する。また、駆動回路90は、複数の励起光源20のそれぞれが一次光を出射するように、複数の励起光源20のそれぞれの出力を駆動制御する。また、駆動回路90は、制御部60に制御されることで、複数の励起光源20のそれぞれの駆動を停止させたりする。
【0069】
駆動回路90は、複数の励起光源20のそれぞれが出射する一次光を調光する機能を有してもよい。また、駆動回路90は、パルス信号に基づいて、複数の励起光源20のそれぞれを駆動する発振器等で構成されていてもよい。
【0070】
<光の動作>
このような光源装置1において、複数の励起光源20のそれぞれから出射した一次光は、光学部材30の第1面31に入射し、光学部材30を透光することで第2面32から出射して集光されながら、貫通孔13aを通過して蛍光部40の他方面に入射する。蛍光部40の他方面に入射した一次光は、一部が光変換部材41で吸収されて波長変換光を出射し、残りの一部の一次光が波長変換されずに蛍光部40を透過する。蛍光部40から出射した波長変換光及び一次光を含む二次光は、貫通孔14aを通過して光源装置1の外部に出射され、光ファイバに入射して、光ファイバを導光し先端部へと導かれ、先端部から出射する。先端部から出射した光は、所定の個所を照明することができる。また、蛍光部40から出射した波長変換光及び一次光を含む一部の二次光は、第1の案内部13b1及び第2の案内部13b2を通過してフィルタ51a、52aを介し、第1センサ51及び第2センサ52に入射することで、波長変換光及び一次光が検出される。
【0071】
<制御部60の処理動作>
光源装置1における制御部60の処理動作について、図7等を用いて説明する。
【0072】
図7は、光源装置の波長変換部材の異常の有無を判定する処理動作を例示したフローチャートである。
【0073】
図2及び図7に示すように、第1センサ51は、一次光を示す信号である第1信号を制御部60に出力し、第2センサ52は波長変換光を示す信号である第2信号を制御部60に出力する。制御部60は、センサ部50が検出した一次光を示す信号である第1信号と、センサ部50が検知した波長変換光を示す信号である第2信号とを取得する(S11)。
【0074】
制御部60は、第1信号の出力値と第2信号の出力値との比率に基づいて動作安全パラメータを決定する(S12)。
【0075】
制御部60は、第1センサ51及び第2センサ52のそれぞれから取得した一次光を示す情報及び波長変換光を示す情報に基づいて、蛍光部40つまり光変換部材41における異常の有無を判定する。つまり、制御部60は、動作安全パラメータが所定の閾値以下の場合、又は、動作安全パラメータが所定の閾値以上の場合、若しくは、変化量ΔSが所定値を超える場合、光源装置1に異常があると判定する。具体的には、制御部60は、動作安全パラメータが一次光の出力に対する波長変換光の出力の変換効率を示すとき、動作安全パラメータが所定の閾値以下の場合、動作安全パラメータが波長変換光の出力に対する一次光の出力の割合を示すとき、動作安全パラメータが所定の閾値以上の場合、又は、動作安全パラメータが正常時に対する変化量ΔSを示すとき、変化量ΔSが所定値を超える場合に光変換部材41に異常があると判定する。
【0076】
制御部60は、光変換部材41に異常があると判定した場合(S13でYES)、駆動回路90を制御することで、複数の励起光源20に供給する電力を停止させ、複数の励起光源20の駆動を停止させる(S14)。そして、制御部60は、処理動作を終了する。
【0077】
また、制御部60は、光変換部材41に異常がないと判定した場合(S13でNO)、複数の励起光源20の駆動を継続させる(S15)。そして、制御部60は、処理動作を終了する。
【0078】
[作用効果]
次に、本実施の形態における光源装置1の作用効果について説明する。
【0079】
上述したように、本実施の形態に係る光源装置1は、一次光を出射する励起光源20と、一次光と、一次光の少なくとも一部を波長変換した波長変換光とを含む二次光を出射する光変換部材41と、一次光及び波長変換光のそれぞれを検出するセンサ部50と、センサ部50が検出した一次光を示す信号である第1信号と、センサ部50が検知した波長変換光を示す信号である第2信号とを取得する制御部60とを備える。そして、制御部60は、第1信号の出力値と第2信号の出力値との比率に基づいて動作安全パラメータを決定し、所定の閾値に対する動作安全パラメータ、又は、動作安全パラメータの正常時からの変化量ΔSに基づいて、励起光源20を制御する。
【0080】
例えば、センサの出力信号における変化量の時間微分値が小さい破損つまり、ゆっくりと光変換部材が劣化する場合に対しては、光変換部材の破損を事前に検出することができない場合がある。特に、励起光源から出射される一次光の出力が高い場合では、光変換部材が破損した場合、励起光源の駆動を即座に停止することが求められる。
【0081】
そこで本実施の形態によれば、動作パラメータを決定することで、所定の閾値に対する
動作安全パラメータ、又は、動作安全パラメータの正常時からの変化量ΔSによって、光変換部材41の異常を検知することができる。
【0082】
したがって、この光源装置1では、光変換部材41の小さな破損状態を精度よく検出することができる。
【0083】
特に、光変換部材41に異常がある場合、制御部60は、励起光源20の駆動を停止させたり、光変換部材41に異常がない場合、制御部60は、励起光源20の駆動を継続させたりすることができる。このため、光源装置1の安全性を確保しながら使用することができる。
【0084】
特に、動作安全パラメータの正常時からの変化量ΔSに基づいて、励起光源20を制御する場合よりも、動作安全パラメータと所定の閾値とを比較することで、励起光源20の制御する場合の方が、より素早く判定することで、励起光源20の制御も素早く実行することができるため、光源装置1の安全性の確保をより実現し易い。
【0085】
また、本実施の形態に係る光源装置1において、センサ部50は、光変換部材41の二次光の出射側に配置される。
【0086】
例えば、励起光源側にセンサ部を配置することで、光変換部材から励起光源側に戻る光を検出することもできるが、この場合、少ない光量で検出する必要があるため、光変換部材の小さな破損状態を十分に検出できない場合がある。しかし、本実施の形態によれば、光変換部材41から出射された二次光の一部を検出することで、S/N比を確保することができるため、光変換部材の小さな破損状態を精度よく検出することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る光源装置1において、制御部60は、動作安全パラメータが所定の閾値以下の場合に前記光変換部材に異常があると判定する、又は、動作安全パラメータが所定の閾値以上の場合に前記光変換部材に異常があると判定する、若しくは、変化量ΔSが所定値を超える場合、光変換部材41に異常があると判定する。
【0088】
これによれば、動作パラメータによって、光変換部材41に異常があるか否かを精度よくに判定することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る光源装置1において、光変換部材41を収容する筐体10を備える。そして、筐体10には、光変換部材41とセンサ部50との間において、センサ部50に二次光を導くための案内部13bが形成されている。
【0090】
これによれば、光変換部材41から直接出射された二次光をセンサ部50に案内することができるため、センサ部50は、一次光及び波長変換光を精度よく検出することができるようになる。
【0091】
また、本実施の形態に係る光源装置1において、案内部13bは、光変換部材41とセンサ部50とを連通するための穴、又は、溝である。
【0092】
これによれば、穴、又は、溝を筐体10に形成するだけで、光変換部材41から出射された二次光の一部を取り出すことができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る光源装置1は、一次光及び波長変換光をセンサ部50へガイドすることが可能な導光部材45a、45bを備える。
【0094】
これによれば、光変換部材41から出射された二次光の一部をできるだけ損失なくセンサ部50へガイドすることができるため、センサ部50は、一次光及び波長変換光をより精度よく検出することができるようになる。
【0095】
また、本実施の形態に係る光源装置1において、センサ部50は、一次光及び波長変換光のそれぞれに感度を持つ複数のセンサを有する。
【0096】
これによれば、一次光及び波長変換光のそれぞれを検出することができるため、センサ部50は、一次光及び波長変換光をより精度よく検出することができるようになる。
【0097】
(実施の形態の変形例)
本変形例では、センサ部50が1つのセンサ53で構成されている点、第1の案内部13b1だけが形成されている点、第2センサ側のフィルタ及び第2センサ側の導光部材が設けられていない点等で実施の形態の光源装置と相違する。本変形例おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0098】
図8は、実施の形態の変形例に係る光源装置1aを例示した断面図である。図9は、実施の形態の変形例に係る光源装置1aを例示したブロック図である。
【0099】
本変形例において、図8及び図9に示すように、センサ部50は、一次光及び波長変換光の両方を検出する1つのセンサを有する。このため、光源装置1aには、第2センサ、第2センサ側のフィルタ及び第2センサ側の導光部材が設けられておらず、凹部10aから第2センサに向かって延びる案内部13bである第2の案内部も形成されていない。このため、センサ部50のセンサ53は、一次光を示す信号である第1信号、及び、波長変換光を示す信号である第2信号を制御部60に出力する。
【0100】
このような、本変形例に係る光源装置1aにおいて、センサ部50は、一次光及び波長変換光の両方を検出する1つのセンサ53を有する。
【0101】
これによれば、一次光及び波長変換光のそれぞれの検知を1つのセンサ53で行うことができ、かつ、センサ部50の大型化を抑制することができるため、光源装置1aの大型化と、部品点数の削減とにより、光源装置1aの製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0102】
(その他変形例等)
以上、本開示に係る光源装置について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0103】
例えば、上記実施の形態に係る光源装置に含まれる各部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0104】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0105】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0106】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0107】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0108】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0109】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1、1a 光源装置
10 筐体
13b 案内部
20 励起光源
41 光変換部材
45a、45b 導光部材
50 センサ部
51 第1センサ(センサ)
52 第2センサ(センサ)
53 センサ
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9