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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】導光板、及び、照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241101BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241101BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241101BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21Y115:10 500
F21Y115:15
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021059389
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155935
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】柳川 菜美子
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 理
(72)【発明者】
【氏名】中村 朗斗
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004700(JP,A)
【文献】特開2020-161358(JP,A)
【文献】特開2020-004610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面、前記主面に沿う第1方向における端部に設けられた側端面、及び、前記主面に沿い、かつ、前記第1方向と交差する第2方向における端部に設けられた、光源が発する光が入射する端面を備え、
前記主面には、前記第1方向を長手方向とする長尺プリズムが複数設けられ、
前記長尺プリズムの前記光源側の側面と前記主面とがなす角を制御角とした場合に、複数の前記長尺プリズムのうち前記第1方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、前記制御角が互いに異なる前記長尺プリズムが含まれ
前記主面には、同一の前記制御角を有する前記長尺プリズムがまとめて配置された領域であるグリッドが複数設けられ、
前記第2方向に沿って並ぶ3つの前記グリッドのうち中央の前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角は、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも大きい、または、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも小さい
導光板。
【請求項2】
導光板であって、
主面、前記主面に沿う第1方向における端部に設けられた側端面、及び、前記主面に沿い、かつ、前記第1方向と交差する第2方向における端部に設けられた、光源が発する光が入射する端面を備え、
前記主面には、前記第1方向を長手方向とする長尺プリズムが複数設けられ、
前記長尺プリズムの前記光源側の側面と前記主面とがなす角を制御角とした場合に、複数の前記長尺プリズムのうち前記第1方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、前記制御角が互いに異なる前記長尺プリズムが含まれ
前記主面には、同一の前記制御角を有する前記長尺プリズムがまとめて配置された領域であるグリッドが複数設けられ、
前記導光板の厚みをt、前記導光板に入射した光束の広がりを示す円錐形状の頂角を側方から見た角度であって、前記光束が10分の1となる角度を2θとすると、前記グリッドの前記第2方向における幅Wは、t<W<2t/tanθの関係式を満たす
導光板。
【請求項3】
前記第1方向に沿って並ぶ3つの前記グリッドのうち中央の前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角は、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも大きい、または、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも小さい
請求項に記載の導光板。
【請求項4】
前記第2方向に沿って並ぶ3つの前記グリッドのうち中央の前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角は、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも大きい、または、他の2つの前記グリッドに属する前記長尺プリズムの前記制御角よりも小さい
請求項に記載の導光板。
【請求項5】
複数の前記長尺プリズムのうち前記第2方向に沿って並ぶ第2プリズム群には、前記制御角が互いに異なる前記長尺プリズムが含まれる
請求項1~4のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項6】
複数の前記長尺プリズムは、前記第1方向、及び、前記第2方向のそれぞれにおいて整列している
請求項1~5のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項7】
複数の前記長尺プリズムは、千鳥状に配置される
請求項1~のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項8】
前記制御角が同一である前記長尺プリズムの配置は、前記主面を前記第2方向に沿って2等分する第2仮想直線に関して対称である
請求項1~のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項9】
前記主面を前記第1方向に沿う第1仮想直線によって前記光源側の第1領域と第2領域とに分けた場合に、前記第1領域に設けられた前記長尺プリズムの前記制御角の平均値は、前記第2領域に設けられた前記長尺プリズムの前記制御角の平均値よりも小さい
請求項1~のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項10】
前記主面には、円錐状のプリズムが前記長尺プリズムの長手方向の長さ分だけ前記第1方向に連なった円錐連続プリズムが設けられる
請求項1~のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項11】
前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記円錐連続プリズムが、前記主面に設けられるプリズムの中で最も前記光源側に位置する
請求項10に記載の導光板。
【請求項12】
前記制御角が互いに異なる長尺プリズムの制御角の差は、1°以上55°以下である
請求項1~11のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の導光板と、
前記光源とを備える
照明装置。
【請求項14】
前記光源は、前記第1方向に沿うライン状の発光領域を有する
請求項13に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、及び、これを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
導光板を使用した様々な装置が提案されている。例えば、特許文献1には、導光板の一端側にしか複数の光源を配置できない場合でも、その複数の光源のうちの点灯する光源に応じて表示させるパターンを切り替え可能な導光板、及び、これを備える遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-122162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、照射面における輝度ムラを低減することができる導光板、及び、照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る導光板は、主面、前記主面に沿う第1方向における端部に設けられた側端面、及び、前記主面に沿い、かつ、前記第1方向と交差する第2方向における端部に設けられた、光源が発する光が入射する端面を備え、前記主面には、前記第1方向を長手方向とする長尺プリズムが複数設けられ、前記長尺プリズムの前記光源側の側面と前記主面とがなす角を制御角とした場合に、複数の前記長尺プリズムのうち前記第1方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、前記制御角が互いに異なる前記長尺プリズムが含まれる。
【0006】
本発明の一態様に係る照明装置は、前記導光板と、前記光源とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る導光板及び照明装置は、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置の外観図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明装置における、光源及び導光板の配置を示す図である。
図4図4は、比較例に係る導光板における長尺プリズムの配置を示す図である。
図5図5は、長尺プリズムの位置と、光源が発する光の模式的な光路とを示す図である。
図6図6は、長尺プリズムによって反射される光の配光特性シミュレーション結果を示す図である。
図7図7は、照射面における4種類の輝度分布を示す図である。
図8図8は、比較例に係る導光板に対向する照射面のY軸方向における輝度分布を示す図である。
図9図9は、実施の形態に係る導光板に対向する照射面のY軸方向における輝度分布を示す図である。
図10図10は、長尺プリズムの配置例1を示す図である。
図11図11は、長尺プリズムの配置例2を示す図である。
図12図12は、長尺プリズムの配置例3を示す第1の図である。
図13図13は、長尺プリズムの配置例3を示す第2の図である。
図14図14は、長尺プリズムの配置例3を示す第3の図である。
図15図15は、長尺プリズムの配置例4を示す図である。
図16図16は、長尺プリズムの配置例5を示す図である。
図17図17は、長尺プリズムの配置例6を示す図である。
図18図18は、長尺プリズムの配置例6の変形例を示す図である。
図19図19は、長尺プリズムの配置例7を示す図である。
図20図20は、長尺プリズムの配置例8を示す図である。
図21図21は、グリッドの幅の決定方法を説明するための図である。
図22図22は、光源の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。また、下記の実施の形態において、同一という表現は、厳密な意味ではなく、実質的に同一であることを意味する。実質的に同一とは、例えば、製造誤差や寸法公差等を含む範囲で同一という意味である。
【0011】
また、以下の実施の形態で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸方向は、導光板の厚み方向として説明される。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面上において、互いに直交する方向である。以下の実施の形態において、平面視とは、Z軸方向から見ることを意味する。
【0012】
(実施の形態)
[照明装置]
以下、実施の形態に係る照明装置について説明する。図1は、実施の形態に係る照明装置の外観図である。
【0013】
図1に示されるように、実施の形態に係る照明装置10は、ブラケットライトである。図1では、照明装置10は壁面91に設置されて天井面92に光を照射するが、壁面91に設置されて床面に光を照射してもよい。
【0014】
次に、このような照明装置10の内部構造について説明する。図2は、照明装置10の断面図である。図2に示されるように、照明装置10は、光源20と、導光板30と、透光カバー40と、反射板50と、筐体60とを備える。
【0015】
まず、光源20及び導光板30について、図2に加えて図3を参照しながら説明する。図3は、光源20及び導光板30の配置を示す図である。図3の(a)は、光源20及び導光板30をX軸方向から見た図であり、図3の(b)は、光源20及び導光板30をZ軸方向から見た図であり、図3の(c)は、光源20及び導光板30をY軸方向から見た図である。
【0016】
光源20は、導光板30の側方に位置し、導光板30の第1端面31に向けて光を発する発光モジュールである。光源20は、基板21と、発光素子22とを有する。
【0017】
基板21は、図中のX軸方向に長い長尺矩形状の基板である。基板21の長手方向は、X軸方向であり、基板21の短手方向は、Z軸方向である。基板21は、導光板30の第1端面31に平行に配置される。なお、基板21の形状は、特に限定されない。
【0018】
基板21は、具体的には、樹脂基板、セラミック基板、または、メタルベース基板等のリジッド基板である。
【0019】
基板21のうち複数の発光素子22が実装された主面である実装面は、導光板30の第1端面31に対向する。複数の発光素子22は、基板21の長手方向に沿って一列に並んで配置される。
【0020】
発光素子22は、白色光を発する表面実装型(Surface Mount Device:SMD型)のLED素子である。表面実装型のLED素子とは、樹脂成型されたキャビティの中にLEDチップを実装し、かつ、当該キャビティ内に蛍光体含有樹脂を封入したパッケージ型のLED素子である。発光素子22は、発光素子22の前方に位置する導光板30の第1端面31に向けて、例えば、昼光色~電球色(色温度2600K以上7100K以下)の白色光を発する。
【0021】
なお、光源20は、ケーブル(図示せず)によって、筐体60内の電源回路(図示せず)と電気的に接続され、電源回路から供給される電力を用いて光を発する。
【0022】
導光板30は、Z軸方向から見た形状が矩形の平板状の光学部材であり、言い換えれば、導光体である。導光板30は、透明の部材であるが、透光性を有する部材であればよい。導光板30は、例えば、アクリル樹脂によって形成されるが、ポリカーボネート樹脂またはガラスなどによって形成されてもよい。
【0023】
導光板30は、第1端面31、第2端面32、第1主面33、第2主面34、第1側端面35、及び、第2側端面36を有する。
【0024】
第1端面31は、導光板30のY軸方向における端部に設けられた、光源20が発する光が入射する端面であり、例えば、平面である。第2端面32は、導光板30のY軸方向における端部に設けられた、第1端面31の反対側に位置する端面(つまり、第1端面31と背向する端面)であり、例えば、平面である。
【0025】
第1主面33は、第1端面31に入射した光を第2主面34側に反射する反射構造が設けられた主面である。第1主面33には、反射構造として、微細な長尺プリズム37が多数設けられる。
【0026】
長尺プリズム37は、第1主面33に設けられた凹部であるが、凸部であってもよい。図中では、説明のために長尺プリズム37が大きく図示されているが、実際には微細である。長尺プリズム37の長さは、例えば、4mm程度である。長尺プリズム37は、X軸方向を長手方向とする。X軸方向は、言い換えれば、第1主面33に沿う第1方向であり、第1端面31及び第2端面32が並ぶ第2方向(Y軸方向)に垂直に交差する方向である。
【0027】
図3の(a)に示されるように、長尺プリズム37は、断面が略V字状の長溝である。長尺プリズム37の光源20側の側面と第1主面33とがなす角θ1を制御角と定義した場合に、第1主面33には、互いに制御角が異なる複数のプリズムが設けられている。図3の(b)において色の異なる長尺プリズム37は、制御角が異なるプリズムを示している。以降の図面においても同様である。
【0028】
制御角が異なる長尺プリズム37が3種類図示されているが、実際には、第1主面33には、制御角が異なる長尺プリズム37が10~20種類程度設けられる。制御角が異なる長尺プリズム37の制御角の差は、例えば、1°以上55°以下である。具体的には、制御角の差の小さい組み合わせでは1°程度であり、制御角の差の大きい組み合わせでは50°を超える。長尺プリズム37の断面形状は、対称な形状(つまり、図3の(a)でθ1=θ2)であってもよいが、θ1<θ2とすることで光の取出し効率が向上される。長尺プリズム37は、例えば、レーザ加工のような熱加工によって第1主面33に形成される。
【0029】
このような長尺プリズム37は、光源20側(第1端面31側)の側面(言い換えれば、制御面)の面積が円錐状のプリズムに比べて大きいため、光制御効率が高く、配光制御性に優れている。長尺プリズム37によれば、X軸方向にワイドな配光特性を効率的に実現することができる。
【0030】
第2主面34は、第1主面33と反対側に位置する主面(つまり、第1主面33と背向する主面)である。第2主面34は平面である。第2主面34には、反射構造が設けられていないが、第1主面33同様に、反射構造として、長尺プリズム37が多数設けられていてもよい。
【0031】
第1側端面35は、導光板30のX軸方向における端部に設けられた端面である。第2側端面36は、導光板30のX軸方向における端部に設けられた、第1側端面35の反対側に位置する側端面(つまり、第1側端面35と背向する側端面)である。
【0032】
次に、透光カバー40について説明する。透光カバー40は、導光板30の第2主面34に対向するように配置される。透光カバー40は、照明装置10の外郭を構成し、かつ、導光板30が出射する光の取り出し口として機能する。透光カバー40の基材は、例えば、アクリル樹脂によって形成されるが、ポリカーボネート樹脂またはガラスなどによって形成されてもよい。
【0033】
また、透光カバー40は、導光板30から出射される光を透過するカバーである。透光カバー40は、導光板30から出射される光を拡散する機能(光拡散機能)を有してもよい。例えば、透光カバー40は、上記基材がシリカなどの光拡散材を含有することにより、光拡散機能を有してもよい。
【0034】
次に、反射板50について説明する。反射板50は、平面視形状が矩形の平板状の部材である。反射板50は、反射面が第1主面33に対向するように配置される。反射板50は、例えば、アルミニウム等の光反射性を有する金属材料によって形成され、第1主面33に対向する面が鏡面である。なお、反射板50は、白色の樹脂材料、金属膜を付加した樹脂材料、白色塗装した樹脂材料、または、白色塗装した金属材料などによって形成されてもよい。反射板50によれば、照明装置10は、片側(図10の例ではZ軸-側)にのみ効率的に光を出射することができる。なお、反射板50の平面視形状は、矩形に限定されず、その他の形状であってもよい。
【0035】
次に、筐体60について説明する。筐体60は、光源20、導光板30、及び、反射板50を含む光源ユニットと、透光カバー40とを保持する。なお、光源ユニットは、光源20、導光板30、及び、反射板50に加えてホルダー70及び端面カバー80を備え、光源20及び導光板30はホルダー70によって一体的に保持され、反射板50は端面カバー80によって導光板30に押さえつけられる。また、筐体60は、照明装置10の外郭を構成する。筐体60は、例えば、金属材料によって形成されるが、樹脂材料によって形成されてもよい。
【0036】
[長尺プリズムの配置]
照明装置10は、導光板30における長尺プリズム37の配置により、照明装置10によって光が照射される照射面(図1の例では天井面92)における輝度ムラを低減している。以下、照明装置10が備える導光板30と比較例に係る導光板とを比較しながら輝度ムラが低減される理由について説明する。図4は、比較例に係る導光板における長尺プリズム37の配置を示す図である。
【0037】
上記図3の(b)に示されるように、導光板30においては、複数の長尺プリズム37のうちX軸方向に沿って並ぶ第1プリズム群に、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれる。図3の(b)の例では、X軸方向に並ぶ5つの長尺プリズム37によって構成される第1プリズム群の中に制御角が互いに異なる3種類の長尺プリズム37が含まれる。
【0038】
一方、図4に示されるように、比較例に係る導光板30zにおいては、複数の長尺プリズム37のうちX軸方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、同一の制御角を有する長尺プリズム37のみが含まれ、Y軸方向に沿って並ぶ第2プリズム群に、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれている。
【0039】
導光板30は、比較例に係る導光板30zよりも照射面における輝度ムラを低減することができる。この理由を説明するために、まず、光源20から長尺プリズム37までの距離と、長尺プリズム37によって反射される光の配光特性について説明する。図5は、長尺プリズム37の位置と、光源20が発する光の模式的な光路とを示す図である。図6は、長尺プリズム37によって反射される光の配光特性シミュレーション結果を示す図である。図6は、光源20に最も近い長尺プリズム37の群から、Y方向における任意の長尺プリズム37の群までの距離に応じたシミュレーション結果を示しており、図5に示される長尺プリズム37の群の位置(1)、(2)、(3)・・は、図6のグラフの系列の(1)、(2)、(3)・・に対応している。長尺プリズム37の群の位置(1)、(2)、(3)、(4)、(5)は、等間隔である。
【0040】
図5に示されるように、光源20の光軸に対して大きい出射角を有する光は、光源20の近くに位置する長尺プリズム37の群によって反射され、光源20から遠い長尺プリズム37の群までは到達しにくい。この結果、図6に示されるように、光源20に近い長尺プリズム37の群ほど、光の反射量が多くなる。また、配光特性のピークの位置についても変化し、図6では、位置(1)に設けられた長尺プリズム37の群の配光特性のピークは220°付近に位置するが、位置(5)に設けられた長尺プリズム37の群の配光特性のピークは225°付近に位置する。
【0041】
このようなシミュレーションの結果を鑑みれば、照射面における輝度分布は、長尺プリズム37の位置、及び、長尺プリズム37の制御角に応じて図7のようになると想定される。図7は、照射面における4種類の輝度分布(NA、NB、FA、FB)を示す図である。図7において縦軸は輝度を示し、横軸は照射面のY軸方向の位置を示している。
【0042】
NAは、制御角がAであり、光源20に近い位置Nに設けられた長尺プリズム37によって実現される輝度分布である。NBは、制御角がB(図7の例では、B<A)であり、位置Nに設けられた長尺プリズム37によって実現される輝度分布である。また、FAは、制御角がAであり光源20から遠い位置Fに設けられた長尺プリズム37によって実現される輝度分布であり、FBは、制御角がBであり、位置Fに設けられた長尺プリズム37によって実現される輝度分布である。なお、位置N及び位置Fは、図3の(b)、及び、図4において破線で示されている。
【0043】
上記図4に示されるように、比較例に係る導光板30zでは、X軸方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、同一の制御角を有する長尺プリズム37のみが含まれる。比較例に係る導光板30zでは、光源20から近い位置Nにおいては1種類の長尺プリズム37(例えば、制御角Aである長尺プリズム37)しか設けられておらず、光源20から遠い位置Fにおいても1種類の長尺プリズム37(例えば、制御角Bである長尺プリズム37)しか設けられていない。
【0044】
したがって、位置Nに設けられた長尺プリズム37及び位置Fに設けられた長尺プリズム37によって実現される、導光板30zに対向する照射面のY軸方向における輝度分布は、図8において破線で示されるように、NA及びFBが加算されたような形状を有する。図8は、比較例に係る導光板30zに対向する照射面のY軸方向における輝度分布を示す図である。
【0045】
これに対し、上記図3の(b)に示されるように、導光板30では、X軸方向に沿って並ぶ第1プリズム群に、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれる。具体的には、導光板30では、光源20から近い位置Nにおいて複数種類の長尺プリズム37(例えば、制御角がAである長尺プリズム37及び制御角がBである長尺プリズム37)が設けられている。導光板30では、光源20から遠い位置Fにおいても複数種類の長尺プリズム37(例えば、制御角がAである長尺プリズム37及び制御角がBである長尺プリズム37)が設けられている。このような長尺プリズム37の配置は、図6で説明した光源20から長尺プリズム37までの距離による長尺プリズム37の配光特性の違いの影響を受けにくい配置であるといえる。
【0046】
したがって、位置Nに設けられた長尺プリズム37及び位置Fに設けられた長尺プリズム37によって実現される、導光板30に対向する照射面のY軸方向における輝度分布は、図9において破線で示されるように、NA、NB、FA、及び、FBが加算されたような形状を有する。図9は、導光板30に対向する照射面のY軸方向における輝度分布を示す図である。
【0047】
図9に示される輝度分布は、図8に示される輝度分布よりも凹凸が少ない。つまり、導光板30は、導光板30zよりも、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【0048】
[長尺プリズムの配置例1]
以下、長尺プリズム37の他の配置例について説明する。図10は、長尺プリズム37の配置例1を示す図である。
【0049】
図3に示される導光板30においては、第1方向に沿って並ぶ第1プリズム群に、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれ、第2方向に沿って並ぶ第2プリズム群に含まれる長尺プリズム37の制御角は統一されていた。これに対し、図10に示される導光板30aにおいては、第1プリズム群だけでなく第2プリズム群にも、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれている。
【0050】
第2方向に沿って並ぶ第2プリズム群に光取り出し効率の高い長尺プリズム37(例えば制御角の大きいプリズム)のみが含まれる場合、導光板30の第2方向に沿って並ぶ長尺プリズム37の比較的光源20側で光を取り出しきってしまい、出射端面(第2端面32)側の長尺プリズム37からの光取り出しが減ることで、導光板30のプリズム描画エリアを有効活用できない可能性がある。一方、第2方向に沿って並ぶ第2プリズム群に光取り出し効率の低い長尺プリズム37(例えば制御角の小さいプリズム)のみが含まれる場合、導光板30の第2方向に沿って並ぶプリズムの間で光取り出ししきれず、導光する光が第2端面32に到達してしまい、第2主面34からの光取り出し量が減少してしまう場合がある。導光板30の光取り出しに上述のような不均一がある場合、導光板30全体の光取り出しの効率は低くなる可能性がある。
【0051】
これに対し、導光板30aのように第2プリズム群にも制御角が異なる長尺プリズム37が含まれることで、このような不均一が改善され導光板30a全体としての光取り出し効率が向上する。
【0052】
また、光源20から離れた位置に設けられた長尺プリズム37に入射する光には、当該長尺プリズム37よりも光源20側に位置する長尺プリズム37によって光路が乱された光が含まれる。そうすると、導光板30aのように、第1プリズム群だけでなく第2プリズム群にも制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれることで、光路が乱れやすくなる。光路が乱れると、光の取り出され方が変わり、各種類の長尺プリズム37から取り出される光の輝度分布の幅を広げることができる。幅の広がった光の輝度分布が合わさるときには、輝度分布が滑らかにつながり、照射面における輝度ムラが低減される。
【0053】
[長尺プリズムの配置例2]
図11は、長尺プリズム37の配置例2を示す図である。導光板30(図3)及び導光板30a(図10)においては、複数の長尺プリズム37は、マトリクス状に配置されていたが、図11に示される導光板30bにおいては、複数の長尺プリズム37は、千鳥状に配置されている。
【0054】
マトリクス状の配置においては、第1端面31から第2端面32まで長尺プリズム37が設けられないライン状の領域(例えば、図10の領域L)が形成される。これに対し、導光板30bにおいてはこのようなライン状の領域が設けられないので、光源20が発する光が長尺プリズム37に反射されることなく第2端面32に到達することが抑制される。言い換えれば、光源20が発する光が長尺プリズム37によって反射される可能性が高まり、光取り出し効率が高められる。
【0055】
なお、図11に示されるように、千鳥状の配置においては、X軸方向における端部に通常の長尺プリズム37よりも短い長尺プリズムが設けられてもよい。また、図3図10図11のいずれの配置においても、複数の長尺プリズム37は、X軸方向、及び、Y軸方向のそれぞれにおいて整列しているといえる。これにより、導光板30(あるいは、導光板30a、導光板30b)の発光面の美観が向上される。
【0056】
[長尺プリズムの配置例3]
第1主面33には、同一の制御角を有する長尺プリズム37がまとめて配置された領域であるグリッドが複数設けられてもよい。図12図14は、長尺プリズム37がグリッド単位で配置される例(長尺プリズム37の配置例3)を示す図である。
【0057】
図12図14に示される導光板30c、導光板30d、及び、導光板30eにおいて、破線で区画された領域のそれぞれがグリッドである。1つのグリッドには、制御角が同一の複数の長尺プリズム37が設けられる。グリッドは、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて、複数並んでいる。
【0058】
グリッドの総数、グリッドの大きさ、及び、グリッドの形状は特に限定されない。図12に示される導光板30c及び図13に示される導光板30dのように、複数のグリッドには、形状及び大きさが異なるグリッドが含まれてもよい。図14に示される導光板30eのように、複数のグリッドは、形状及び大きさがおおむね統一されていてもよい。
【0059】
このように、グリッド単位で制御角が統一されれば、設計者による光学設計が容易になる。また、1つのグリッドに属する複数の長尺プリズム37を1工程でまとめて形成できるので、加工に要する時間が短縮される。
【0060】
なお、X軸方向において、グリッド単位で制御角の大小関係が小刻みに変更されれば、光源20から第2端面32に向かって斜めに導光する光の光取り出し効率を改善することができる。つまり、X軸方向に沿って連続して並ぶ3つのグリッドのうち中央のグリッドに属する長尺プリズム37の制御角を、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも大きくする、または、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも小さくすることで、光取り出し効率を改善することができる。
【0061】
また、Y軸方向において、グリッド単位で制御角の大小関係が小刻みに変更されれば、照射面の輝度ムラの低減、光学設計の精度向上、及び、光取り出しの均一化などの効果が得られる。また、長尺プリズム37のパターンが模様の様に見え、その模様が目を引くため、長尺プリズム37の加工バラツキ等による外観上の違和感を低減することができる。つまり、Y軸方向に沿って連続して並ぶ3つのグリッドのうち中央のグリッドに属する長尺プリズム37の制御角を、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも大きくする、または、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも小さくすることで、上記の効果が得られる。
【0062】
[長尺プリズムの配置例4]
図15は、長尺プリズム37の配置例4を示す図である。図15において、色の異なる長尺プリズム37は、色が濃いほど制御角が大きいことを示す。図15に示される導光板30fにおいては、制御角が同一である長尺プリズム37の配置が左右対称となっている。例えば、図15で黒色の長尺プリズム37の配置は、第2仮想直線L2に関して対称である。濃いグレーの長尺プリズム37の配置、薄いグレーの長尺プリズム37の配置、及び、白色の長尺プリズム37の配置についても同様に、第2仮想直線L2に関して対称である。なお、第2仮想直線L2は、第1主面33をY軸方向に沿って2等分する仮想的な直線である。
【0063】
このような導光板30fは、X軸方向(左右方向)に対称な配光を実現することができ、照射面におけるX軸方向の輝度ムラを低減することができる。
【0064】
[長尺プリズムの配置例5]
図16は、長尺プリズム37の配置例5を示す図である。図16において、色の異なる長尺プリズム37は、色が濃いほど制御角が大きいことを示す。図16に示される導光板30gにおいては、第1主面33をX軸方向に沿う第1仮想直線L1によって光源20側の第1領域R1と第2領域R2とに分けた場合に、第1領域R1に設けられた長尺プリズム37の制御角の平均値は、第2領域R2に設けられた長尺プリズム37の制御角の平均値よりも小さい。つまり、導光板30gにおいては、長尺プリズム37の制御角は、平均的には、光源20から離れるほど大きくなる。
【0065】
このように、ワイド光を生み出す、制御角が小さい長尺プリズム37が光取り出し効率が高い光源20側の位置に設けられることで、ワイド光を効率的に取り出すことができる。制御角の大きい長尺プリズム37が第2端面32側の位置に設けられることで、当該長尺プリズム37に浅い角度で入射した光を効率的に取り出すことができ、導光板30g全体の光取り出し量を増やすことができる。
【0066】
[長尺プリズムの配置例6]
図17は、長尺プリズム37の配置例6を示す図である。図17に示される導光板30hにおいては、長尺プリズム37だけでなく、円錐連続プリズム38が設けられている。円錐連続プリズム38は、円錐状のプリズム(円錐状の凹部または凸部)が、長尺プリズム37の長手方向の長さ分だけX軸方向に連なったプリズムである。1つの円錐連続プリズム38に含まれる円錐プリズムの数は特に限定されない。
【0067】
導光板30hにおいては、導光板30bのような千鳥状の配置において、長尺プリズム37の一部が円錐連続プリズム38に置き換えられたような配置が採用されているが、導光板30または導光板30aのようなマトリクス状の配置において、長尺プリズム37の一部が円錐連続プリズム38に置き換えられたような配置が採用されてもよい。円錐連続プリズム38をどの位置に配置するかは経験的または実験的に適宜定められればよい。図18は、長尺プリズムの配置例6の変形例を示す図である。例えば、図18に示される導光板30iのように、グリッド内に存在する全ての長尺プリズム37が円錐連続プリズム38に置き換えられてもよい。
【0068】
円錐連続プリズム38は、長尺プリズム37と配光特性が大きく異なる。このように長尺プリズム37との配光特性の違いが大きい円錐連続プリズム38が設けられれば、長尺プリズム37だけでは実現できない照射面の輝度分布が実現される。この結果、照射面の輝度ムラが低減される。
【0069】
なお、導光板30hまたは導光板30iの第1主面33には、例えば、1種類の円錐連続プリズム38が設けられるが、制御角が異なる複数種類の円錐連続プリズム38が設けられてもよい。
【0070】
[長尺プリズムの配置例7]
図19は、長尺プリズム37の配置例7を示す図である。図19に示される導光板30jにおいては、X軸方向に沿って並ぶ複数の円錐連続プリズム38によって構成されるプリズム列38aが、第1主面33に設けられるプリズムの中で最も光源20側の位置(Y軸方向)に設けられている。言い換えれば、X軸方向に沿って並ぶ複数の円錐連続プリズム38が、第1主面33に設けられるプリズムの中で最も光源20側に位置する。複数の円錐連続プリズム38によって構成されるプリズム列38aは、第1側端面35近傍から第2側端面36の近傍にまでわたっており、長尺プリズム37を含まない。
【0071】
このように最も光源20側の位置に設けられたプリズム列38aは、導光板30j内でプリズム列38aによって反射された後に導光板30jの外部に出射されずに導光板30j内で導光を続ける成分の導光方向を適度に乱すことができる。この結果、長尺プリズム37によって反射される光も乱されるため、照射面の輝度ムラ、特に、すじ状の輝度ムラを低減することができる。
【0072】
なお、上記導光方向を乱すことなどを目的として、導光板30jにおいては、上記のプリズム列38aに含まれる円錐連続プリズム38の制御角と、上記のプリズム列38aに含まれない円錐連続プリズム38の制御角とは異なってもよい。
【0073】
[長尺プリズムの配置例8]
図20は、長尺プリズム37の配置例8を示す図である。図20に示される導光板30kにおいては、X軸方向に沿って並ぶ複数の円錐連続プリズム38によって構成されるプリズム列38aと、X軸方向に沿って並ぶ複数の長尺プリズム37によって構成されるプリズム列37aとが設けられている。複数の円錐連続プリズム38によって構成されるプリズム列38aは、第1側端面35近傍から第2側端面36の近傍にまでわたっており、長尺プリズム37を含まない。複数の長尺プリズム37によって構成されるプリズム列37aは、第1側端面35近傍から第2側端面36の近傍にまでわたっており、円錐連続プリズム38を含まない。
【0074】
導光板30kにおいては、Y軸方向におけるプリズム列の並びは、1つのプリズム列38aの隣に、2列以上(図20では3列)のプリズム列37aが設けられ、その隣に1つのプリズム列38aが設けられる、というパターンの繰り返しとなる。このような導光板30kは、発光面の美観が向上されている。
【0075】
[グリッドの幅]
長尺プリズム37がグリッド単位で配置される場合、1つのグリッドのY軸方向の幅W(図14に図示)をどのように決定するかについては検討の余地がある。グリッドの幅W小さくすると長尺プリズム37の加工が複雑になり、加工に時間とコストがかかるが、照射面の輝度ムラは小さくなる。一方、グリッドの幅Wを大きくすると長尺プリズム37の加工は容易になるが、輝度ムラは比較的大きくなる。
【0076】
ここで、グリッドの幅Wは、導光板30e(あるいは導光板30f、導光板30g)内における光の反射回数(以下、バウンド回数とも記載される)に基づいて、以下のように定められてもよい。図21は、グリッドの幅Wの決定方法を説明するための図である。
【0077】
図21に示されるように、導光板30eに入射した全光束は、広がり(図21で円錐形状で示される立体角)を持って伝搬する。ここで、導光板30eの厚みをtとすると、導光板30e内における光のバウンド回数は、導光板30eの厚みtが大きいほど少なくなる。導光板30hの厚みtが大きいほど、1バウンドの周期が長くなる。つまり、厚みtが大きいほどグリッドの幅Wを大きくすることができる。
【0078】
具体的には、入射光として導光板30e内を導光する光のうち最も深い角度で導光する光はアクリルの場合約43°で導光する。この光のうち、導光板30eに入射後に第1主面33で反射した光がn回バウンドして再び第1主面33に到達する、とすると、導光板30eに入射後に第2主面34で反射した光はn+1/2回バウンドして第1主面33に到達する。このときの二つの光のY軸方向における距離は約tである。したがってW>tであれば、最も深い角度で入射した光(アクリルの場合43°)がn回目とn+1回目のバウンドで違うグリッドで反射するので、十分グリッドの効果を得られる。
【0079】
また、導光板30eに入射した光束が10分の1となる立体角を2θとすると、導光板30eに入射した光の9割は、Y軸方向において2t/tanθの距離があれば、第1主面33で反射した後、第2主面34において1度バウンドしてもう一度第1主面33に到達するものと考えられる。つまり、第1主面33のあるグリッドで反射した光が第2主面34で反射し再度第1主面33に到達する際に、導光板30h内を導光する光の少なくとも1割は隣のグリッドで反射することになる。したがって、グリッドのY方向の幅はW<2t/tanθであることが望ましい。
【0080】
そこで、グリッドのY軸方向における幅Wは、例えば、t<W<2t/tanθの関係式を満たすように定められる。幅Wがこのような関係式を満たせば、現実的な加工時間及びコストで、照射面の輝度ムラが許容範囲となる導光板30eを実現することができる。
【0081】
[変形例]
照明装置10は、導光板30に代えて、導光板30a~30kのいずれかを備えてもよい。また、照明装置10が備える導光板には、配置例1~8の2つ以上が任意に組み合わされた長尺プリズム37の配置が適用されてもよい。例えば、照明装置10が備える導光板には、配置例3のようにグリッド単位で長尺プリズム37が配置されつつ、X軸方向に沿うグリッドの境界線として配置例7のようなプリズム列38aが設けられてもよい。
【0082】
また、光源20は、いわゆるSMD型の発光モジュールであるが、光源20の具体的態様は特に限定されない。例えば、光源20として、COB(Chip On Board)型の発光モジュールが用いられてもよい。図22は、このような光源の変形例を示す図である。
【0083】
光源20aにおいて、複数の発光素子22aのそれぞれは、例えば、青色LEDチップであり、基板21の長手方向に沿って一列に並んで配置される。
【0084】
複数の発光素子は、蛍光体を含む封止部材23によってライン状に封止される。封止部材23の基材は、例えば、シリコーン樹脂であるが、エポキシ樹脂またはユリア樹脂などであってもよい。封止部材23には、例えば、黄色蛍光体または緑色蛍光体の少なくとも一方が含まれる。封止部材23には、黄色蛍光体または緑色蛍光体の少なくとも一方に加えて赤色蛍光体が含まれてもよい。
【0085】
このような光源20aは、白色光が発せられるライン状の発光領域を有し、光源20に比べて照射面における輝度ムラ(粒感)を低減することができる。
【0086】
なお、照明装置10に用いられる光源は、単色のLEDであってもよいし、複数種類の単色LEDを組み合せて混色させるタイプの発光モジュールであってもよい。複数種類の単色LEDは、例えば、RGBの3種類の単色LEDであるが、その他の組み合わせであってもよい。
【0087】
[効果等]
以上説明したように、導光板30は、第1主面33、第1主面33に沿う第1方向における端部に設けられた側端面(第1側端面35、第2側端面36)、及び、第1主面33に沿い、かつ、第1方向と交差する第2方向における端部に設けられた、光源が発する光が入射する第1端面31を備える。第1主面33には、第1方向を長手方向とする長尺プリズム37が複数設けられる。長尺プリズム37の光源20側の側面と第1主面33とがなす角を制御角とした場合に、複数の長尺プリズム37のうち第1方向に沿って並ぶ第1プリズム群には、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれる。第1方向は、上記実施の形態ではX軸方向であり、第2方向は、上記実施の形態ではY軸方向である。
【0088】
このような導光板30は、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【0089】
また、導光板30aにおいては、複数の長尺プリズム37のうち第2方向に沿って並ぶ第2プリズム群には、制御角が互いに異なる長尺プリズム37が含まれる。
【0090】
このような導光板30aは、導光板30a全体の光取り出しの不均一を改善し、光取り出し効率を向上することができる。また、導光板30aの内部で光路が乱されやすくなることで、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【0091】
また、導光板30においては、複数の長尺プリズム37は、第1方向、及び、第2方向のそれぞれにおいて整列している。
【0092】
このような導光板30は、導光板30の発光面の美観を向上することができる。
【0093】
また、導光板30bにおいては、複数の長尺プリズム37は、千鳥状に配置される。
【0094】
このような導光板30bにおいては、光源20が発する光が長尺プリズム37によって反射される可能性が高まり、光取り出し効率が高められる。
【0095】
また、導光板30eにおいては、第1主面33には、同一の制御角を有する長尺プリズム37がまとめて配置された領域であるグリッドが複数設けられる。
【0096】
このような導光板30eは、設計者による光学設計が容易である。また、1つのグリッドに属する複数の長尺プリズム37を1工程でまとめて形成できるので、加工に要する時間が短縮される。
【0097】
また、導光板30eにおいては、第1方向に沿って並ぶ3つのグリッドのうち中央のグリッドに属する長尺プリズム37の制御角は、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも大きい、または、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも小さい。
【0098】
このような導光板30eは、光源20から第2端面32に向かって斜めに導光する光の光取り出し効率を改善することができる。
【0099】
また、導光板30eにおいては、第2方向に沿って並ぶ3つのグリッドのうち中央のグリッドに属する長尺プリズム37の制御角は、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも大きい、または、他の2つのグリッドに属する長尺プリズム37の制御角よりも小さい。
【0100】
このような導光板30eによれば、照射面の輝度ムラの低減、光学設計の精度向上、及び、光取り出しの均一化などの効果が得られる。また、長尺プリズム37のパターンが模様の様に見え、その模様が目を引くため、長尺プリズム37の加工バラツキ等による外観上の違和感を低減することができる。
【0101】
また、導光板30eにおいては、導光板30eの厚みをt、導光板30eに入射した光束が10分の1となる立体角を2θとすると、グリッドの第2方向における幅Wは、t<W<2t/tanθの関係式を満たす。
【0102】
このように、幅Wがこのような関係式を満たせば、現実的な加工時間及びコストで、照射面の輝度ムラが許容範囲となる導光板30eを実現することができる。
【0103】
また、導光板30fにおいては、制御角が同一である長尺プリズム37の配置は、第1主面33を第2方向に沿って2等分する第2仮想直線L2に関して対称である。
【0104】
このような導光板30fは、第1方向に対称な輝度分布を実現することができ、照射面における第1方向の輝度ムラを低減することができる。
【0105】
また、導光板30gにおいては、第1主面33を第1方向に沿う第1仮想直線L1によって光源20側の第1領域R1と第2領域R2とに分けた場合に、第1領域R1に設けられた長尺プリズム37の制御角の平均値は、第2領域R2に設けられた長尺プリズム37の制御角の平均値よりも小さい。
【0106】
このように、導光板30gは、ワイド光を効率的に取り出すことができる。また、導光板30gは、導光板30g全体の光取り出し量を増やすことができる。
【0107】
また、導光板30hにおいては、第1主面33には、円錐状のプリズムが長尺プリズム37の長手方向の長さ分だけ第1方向に連なった円錐連続プリズム38が設けられる。
【0108】
このような導光板30hは、長尺プリズム37だけでは実現できない輝度分布を実現することで、照射面の輝度ムラを低減することができる。
【0109】
また、導光板30jにおいては、第1方向に沿って並ぶ複数の円錐連続プリズム38が、第1主面33に設けられるプリズムの中で最も光源20側に位置する。
【0110】
このような導光板30jは、照射面の輝度ムラ、特に、すじ状の輝度ムラを低減することができる。
【0111】
また、導光板30においては、制御角が互いに異なる長尺プリズム37の制御角の差は、1°以上55°以下である。
【0112】
このような導光板30は、制御角の差が1°以上55°以下となる複数種類の長尺プリズム37によって、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【0113】
また、照明装置10は、導光板30と、光源20とを備える。
【0114】
このような照明装置10は、照射面における輝度ムラを低減することができる。
【0115】
また、例えば、光源20aは、第1方向に沿うライン状の発光領域を有する。
【0116】
このような光源20aを備える照明装置10は、照射面における輝度ムラ(粒感)を低減することができる。
【0117】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0118】
上記実施の形態では、照明装置としてブラケットライトが例示されたが、本発明は、その他の照明装置として実現されてもよい。例えば、本発明は、屋外に設置されるポールライトとして実現されてもよいし、住宅などの壁の下方に設置され、ユーザの足元を照らすフットライトとして実現されてもよい。本発明は、デスクスタンドなどの照明装置として実現されてもよい。本発明は、導光板を用いたその他の照明装置として実現されてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態では、光源として、LEDを用いた発光モジュールが用いられたが、光源としては、有機EL(Electro-Luminescence)素子または無機EL素子等のLED以外の固体発光素子を含む発光モジュールが用いられてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、導光板として平面視形状が矩形の導光板が例示されたが、照明装置にはその他の形状の導光板が用いられてもよい。
【0121】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
10 照明装置
20 光源
21 基板
22 発光素子
30、30a~30k、30z 導光板
31 第1端面
32 第2端面
33 第1主面
34 第2主面
35 第1側端面
36 第2側端面
37 長尺プリズム
37a、38a プリズム列
38 円錐連続プリズム
40 透光カバー
50 反射板
60 筐体
70 ホルダー
80 端面カバー
91 壁面
92 天井面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22