(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】作業管理装置および準備指示方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241101BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20241101BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241101BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/00 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022510645
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012473
(87)【国際公開番号】W WO2021193800
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2020056929
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
(72)【発明者】
【氏名】前園 尚
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-373015(JP,A)
【文献】特開2011-095918(JP,A)
【文献】特開2008-010707(JP,A)
【文献】特開平02-162463(JP,A)
【文献】特開2011-048778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産オーダと、複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定する作業順決定部と、
決定した前記作業順に対応する準備指示を作成する準備指示作成部と、を備え
、
前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、
前記ネットワークを、前記生産オーダ、前記準備工程、前記複数の生産装置、前記複数の生産装置における前記準備作業、の順で階層化して表示する表示部をさらに備える、作業管理装置。
【請求項2】
生産オーダと、複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定する作業順決定部と、
決定した前記作業順に対応する準備指示を作成する準備指示作成部と、を備え、
前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、
前記複数の生産装置の階層は、生産形式に応じて前記ノードが分岐するように構成される、作業管理装置。
【請求項3】
前記複数の生産装置における前記準備作業の階層は、準備の順序に応じて前記ノードが分岐するように構成される、請求項
2に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記作業順決定部は、前記生産オーダで設定される生産開始時刻および生産終了時刻を満たす作業順を決定する、請求項
2または3のいずれかひとつに記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記作業順決定部は、前記生産開始時刻に基づく作業時刻と前記生産終了時刻に基づく作業時刻との差分から作業余裕時間を算出し、
算出した前記作業余裕時間に基づいて前記ノードをグルーピングして作業順を決定する、請求項
4に記載の作業管理装置。
【請求項6】
前記生産装置は、基板に部品を実装する部品実装装置である、請求項
2または3のいずれかに記載の作業管理装置。
【請求項7】
前記準備作業は、前記部品実装装置から離れたエリアで作業をする間接準備作業と、前記部品実装装置に対して作業をする直接準備作業とを含む、請求項
6に記載の作業管理装置。
【請求項8】
作業管理装置によって準備作業体に指示する方法であって、
生産オーダと複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定することと、
決定した前記作業順に対応する準備指示を作成することとを含
み、
前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、
前記ネットワークを、前記生産オーダ、前記準備工程、前記複数の生産装置、前記複数の生産装置における前記準備作業の順で階層化して表示することをさらに含む、準備指示方法。
【請求項9】
作業管理装置によって準備作業体に指示する方法であって、
生産オーダと複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定することと、
決定した前記作業順に対応する準備指示を作成することとを含み、
前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、
前記複数の生産装置の階層は、生産形式に応じて前記ノードが分岐するように構成される、準備指示方法。
【請求項10】
前記生産装置における前記準備作業の階層は、準備の順序に応じて前記ノードが分岐するように構成される、請求項
9に記載の準備指示方法。
【請求項11】
前記作業順を決定することは、前記生産オーダで設定される生産開始時刻および生産終了時刻を満たす作業順を決定することを含む、請求項
9または10に記載の準備指示方法。
【請求項12】
前記作業順を決定することは、
前記生産開始時刻に基づく作業時刻と前記生産終了時刻に基づく作業時刻との差分から作業余裕時間を算出することと、
算出した前記作業余裕時間に基づいてグルーピングして作業順を決定することとを含む、請求項
11に記載の準備指示方法。
【請求項13】
前記生産装置は、基板に部品を実装する部品実装装置である、請求項
9または10に記載の準備指示方法。
【請求項14】
前記準備作業は、前記部品実装装置から離れたエリアで作業をする間接準備作業と、前記部品実装装置に対して作業をする直接準備作業とを含む、請求項
13に記載の準備指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産フロアでの作業を管理する作業管理装置および準備指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などのワークを加工して実装基板などの製品を生産する複数の生産設備が設置されている生産フロアでは、複数の生産設備でワークを受け渡しながら順に加工工程を直列または並列に実行して製品が生産される。このような生産フロアで製品を生産する場合、異なる複数の工程経路が選択できるが、効率良く生産するには複数の工程経路の中から最適な経路を選択する必要がある。特許文献1では、製鉄所において原料ヤードから原料貯槽まで原料を複数のリクレーマで搬送するにあたり、在庫計画や設備使用計画等から予め作成した工程経路選択の数式モデルに基づいて、最適な工程経路を選択することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の作業管理装置は、生産オーダと、複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定する作業順決定部と、決定した前記作業順に対応する準備指示を作成する準備指示作成部と、を備え、前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、前記ネットワークを、前記生産オーダ、前記準備工程、前記複数の生産装置、前記複数の生産装置における前記準備作業、の順で階層化して表示する表示部をさらに備える。
また、本開示の他の作業管理装置は、生産オーダと、複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定する作業順決定部と、決定した前記作業順に対応する準備指示を作成する準備指示作成部と、を備え、前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、前記複数の生産装置の階層は、生産形式に応じて前記ノードが分岐するように構成される。
【0005】
本開示の準備指示方法は、作業管理装置によって準備作業体に指示する方法であって、生産オーダと複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定することと、決定した前記作業順に対応する準備指示を作成することとを含み、前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、前記ネットワークを、前記生産オーダ、前記準備工程、前記複数の生産装置、前記複数の生産装置における前記準備作業の順で階層化して表示することをさらに含む。
また、本開示の他の準備指示方法は、作業管理装置によって準備作業体に指示する方法であって、生産オーダと複数の生産装置で前記生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークを用いて、前記準備工程で発生する複数の作業の作業順を決定することと、決定した前記作業順に対応する準備指示を作成することとを含み、前記ネットワークは、前記準備工程において、前記複数の生産装置と、前記複数の生産装置における準備作業とをノードとしてリンクさせて階層化して構成され、前記複数の生産装置の階層は、生産形式に応じて前記ノードが分岐するように構成される。
【0006】
本開示によれば、最適な生産前の準備作業が指示できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装ラインの構成説明図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施の形態の部品実装システムが備える別の部品実装ラインの構成説明図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施の形態の部品実装システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施の形態の部品実装システムで使用される生産計画情報の一例の説明図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用されるライン構成情報の一例の説明図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用されるライン構成情報の一例の説明図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される基板種切替標準情報の一例の説明図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される基板種切替標準情報の一例の説明図である。
【
図6C】
図6Cは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される基板種切替標準情報の一例の説明図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される基板種切替準備標準情報の一例の説明図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される基板種切替準備標準情報の一例の説明図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される台車の配置作業標準情報の一例の説明図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で使用される台車群の配置作業標準情報の一例の説明図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された生産計画ネットワークの一例の説明図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された基板種切替ネットワークの一例の説明図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された基板種切替準備ネットワークの一例の説明図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された配置作業ネットワークの一例の説明図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された作業ネットワークの一例の説明図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で作成された作業ネットワークの一例の説明図である。
【
図14】
図14は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で算出される作業余裕時間の一例の説明図である。
【
図15】
図15は、本開示の一実施の形態の作業管理装置で決定される作業順の一例の説明図である。
【
図16】
図16は、本開示の一実施の形態の準備指示方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施の形態の説明に先立ち、従来の装置における問題点を簡単に説明する。特許文献1を含む従来技術では、接続関係が固定されている生産ラインで製品を生産するにあたって最適な作業順序を決定することができる。しかし、ライン内外で準備作業が並列または直列に実行されるような生産ラインでは、生産に最適な工程経路を決定する他、生産前の準備作業の最適な作業順も決定すする必要があり、更なる改善の余地があった。そこで本開示は、最適な生産前の準備作業が指示できる作業管理装置および準備指示方法を提供することを目的とする。
【0009】
以下に図面を用いて、本開示の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ライン、作業管理装置、印刷装置、部品実装装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。
図1は、本開示の一実施の形態の部品実装システム1の構成説明図である。部品実装システム1は、生産フロアFに配置された2本の部品実装ラインL1と部品実装ラインL2を通信ネットワーク2によって接続し、生産管理装置3によって生産を管理する構成となっている。以下、特に区別する必要がない場合は、部品実装ラインL1と部品実装ラインL2を単に「部品実装ラインL1,L2」と称する。部品実装システム1は、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリならびに通信インタフェースなどを含むコンピュータにより実現される。
【0011】
部品実装ラインL1,L2は、生産フロアFに設けられた生産エリアApに配置されている。部品実装ラインL1,L2の各々は、後述するように部品実装装置を含む複数の生産設備を連結して構成されおり、基板(ワーク)に部品を実装した実装基板(製品)を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1が備える部品実装ラインは2本である必要はなく、1本および3本以上でも良い。
【0012】
図1において、生産フロアFに設けられた生産エリアApとは異なる準備エリアAsには、配置作業支援装置4が配置されている。配置作業支援装置4は、通信ネットワーク2を介して生産管理装置3などに接続されている。配置作業支援装置4には、後述する配置作業の対象となる交換用の台車5が接続される。準備エリアAsには、配置作業の実行前、実行中、または実行後など、多様な状態の複数の台車5が保管されている。また、準備エリアAsには、生産フロアFに配置された生産設備で共通に使用される複数のスクリーンマスク、スキージ、テープフィーダ、実装ヘッド、吸着ノズル、部品などの着脱可能な要素、クリーム半田などの補充部材が保管されている。
【0013】
配置作業支援装置4に接続された台車5には、これから部品実装ラインL1,L2において生産する実装基板の生産品目(基板種)に対応する配置作業(準備作業)が行われる。作業者OPは配置作業として、指示されたテープフィーダや部品などを台車5から外す作業、台車5の指示された位置に取り付ける作業などを実行する。配置作業支援装置4に接続された台車5を含み、準備エリアAsに保管されている台車5には、部品実装ラインL1,L2における実装基板の生産と並行して配置作業を実行することができる。以下、台車5に対する配置作業を含む、生産品目を変更するために部品実装装置から離れた準備エリアAsで作業をする準備作業を間接準備作業と称する。
【0014】
部品実装ラインL1,L2において生産する実装基板の生産品目(基板種)を変更する際、作業者OPは準備エリアAsにおいて配置作業が終了した台車5を部品実装ラインL1,L2まで移動させ、部品実装装置に装着されている台車5と交換する基板種切替作業を実行する。また基板種切替作業では、作業者OPは準備エリアAsに保管されているスクリーンマスク、スキージ、テープフィーダ、実装ヘッド、吸着ノズル、部品、クリーム半田などを部品実装ラインL1,L2まで移動させて交換、補充する。以下、台車5を交換する基板種切替作業を含む、生産品目を変更するために部品実装装置などに対して作業をする準備作業を直接準備作業と称する。
【0015】
図1において、作業者OPは、準備作業で使用する作業端末Tを所持している。作業端末Tは、無線で通信して各種情報の授受を行う端末通信部Ta、表示機能と入力機能を有するタッチパネルTbを備えている。作業端末Tは、受信した各種情報を表示処理してタッチパネルTbに表示し、タッチパネルTbから入力された各種情報などを送信する。なお、表示機能と入力機能を備えていれば、タッチパネルTbでなくてもよく、例えば眼鏡型のウェアラブルデバイス等であってもよい。また、音声やジェスチャー等による入力機能を備えていてもよい。
【0016】
生産フロアFには、準備エリアAsに保管されている交換用のスクリーンマスク、テープフィーダ、実装ヘッド、吸着ノズル、部品、クリーム半田、台車5などを部品実装ラインL1,L2まで移動させる搬送車Vが配備されている。搬送車Vは、無線で通信して各種情報の授受を行う搬送車通信部Vaを備えている。搬送車Vは、受信した指示と、図示省略する生産フロアFに設置されたビーコン、搬送車Vが内蔵する各種センサ(GPS(Global Positioning System)端末、障害物センサ等)、カメラなどを使用して自ら収集する情報とに基づいて、自律して生産フロアFの所定の位置間を移動する。
【0017】
図1において、部品実装システム1は、通信ネットワーク2に接続された作業管理装置6を備えている。作業管理装置6は、生産オーダや部品実装ラインL1,L2の構成など情報に基づいて準備作業を決定し、準備指示を作業順に配置作業支援装置4、作業者OPが使用する作業端末T、搬送車Vなどの準備作業体に指示(送信)する。作業管理装置6は、無線で作業端末Tの端末通信部Ta、搬送車Vの搬送車通信部Vaと通信する作業無線通信部6aを備えている。作業管理装置6は、作業無線通信部6aを介して作業端末T、搬送車Vに作業指示を送信する。
【0018】
次に
図2Aを参照して、部品実装ラインL1の詳細な構成を説明する。
図2Aは、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1の構成説明図である。部品実装ラインL1には、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、基板(ワーク)を搬送する搬送部7を備えた生産設備が連結されている。部品実装ラインL1において互いに連結された搬送部7は、前側の前側搬送レーン7Fと後側の後側搬送レーン7Rを構成する。すなわち、部品実装ラインL1は、前側搬送レーン7Fと後側搬送レーン7Rを並列に備えている。
【0019】
前側搬送レーン7Fには、上流側から下流側に向けて、基板供給装置M1、印刷装置M2、基板振分け装置M3、部品実装装置M4、部品実装装置M5、基板振分け装置M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8が連結されている。後側搬送レーン7Rには、上流側から下流側に向けて、基板供給装置M9、印刷装置M10、基板振分け装置M3、部品実装装置M4、部品実装装置M5、基板振分け装置M6、リフロー装置M11、基板回収装置M12が連結されている。
【0020】
図2Aにおいて、基板供給装置M1,M9は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、収納部から取り出した基板を下流側の生産設備に供給する。印刷装置M2,M10は、上流側から搬入された基板の電極にスクリーンマスクを介してクリーム半田を印刷(堆積)する。なお、印刷装置M2,M10は、ディスペンサによって基板にクリーム半田を堆積する構成でもよい。基板振分け装置M3,M6は、上流側から基板を受け取って下流側に搬出する搬送部7を有する振分け機構を備えている。基板振分け装置M3は2基の振分け機構を備えており、基板振分け装置M6は1基の振分け機構を備えている。
【0021】
基板振分け装置M3の前側の振分け機構は上流側の前側搬送レーン7Fから下流側の後側搬送レーン7Rの間を前後に移動する(矢印a)。基板振分け装置M3の後側の振分け機構は上流側の後側搬送レーン7Rから下流側の前側搬送レーン7Fの間を前後に移動する(矢印b)。基板振分け装置M6の振分け機構は、上流側の前側搬送レーン7Fと後側搬送レーン7Rを含み、下流側の前側搬送レーン7Fと後側搬送レーン7Rの間を前後に移動する(矢印c)。基板振分け装置M3,M6は、生産管理装置3などからの指令に従って、上流側の前側搬送レーン7Fまたは後側搬送レーン7Rから受け取った基板を下流側の前側搬送レーン7Fまたは後側搬送レーン7Rのいずれかに振り分けて搬出する。
【0022】
図2Aにおいて、部品実装装置M4,M5は、前側搬送レーン7Fを構成する搬送部7と後側搬送レーン7Rを構成する搬送部7を備えたデュアルレーンタイプであり、それぞれの搬送部7により上流側から搬入された基板に部品を実装する。リフロー装置M7,M11は基板加熱部を備えており、基板を上流側から下流側に搬送しながら部品が搭載された基板を所定の温度で加熱してクリーム半田を融解させた後に固化させて部品を基板に半田付けする。基板回収装置M8,M12は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、上流側の生産設備が搬出する基板を受け取って収納部に回収する。
【0023】
次に
図2Bを参照して、部品実装ラインL2の詳細な構成を説明する。
図2Bは、部品実装システム1が備える部品実装ラインL2の構成説明図である。部品実装ラインL2には、上流側から下流側に向けて、基板(ワーク)を搬送する搬送部7を備えた基板供給装置M13、印刷装置M14、部品実装装置M15、部品実装装置M16、リフロー装置M17、基板回収装置M18などの生産設備が直列に連結されている。部品実装ラインL2において互いに連結された搬送部7は、搬送レーン7Mを構成する。
【0024】
部品実装装置M15,M16は、搬送部7を1基のみ備えたシングルレーンタイプであり、上流側から搬入された基板に部品を実装する。基板供給装置M13、印刷装置M14、リフロー装置M17、基板回収装置M18は、部品実装ラインL1が備える基板供給装置M1,M9、印刷装置M2,M10、リフロー装置M7,M11、基板回収装置M8,M12と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、スクリーンマスク、スキージ、クリーム半田は、印刷装置M2、印刷装置M10、印刷装置M14で共用される。また、台車5、テープフィーダ、実装ヘッド、吸着ノズル、部品は、デュアルレーンタイプの部品実装装置M4,M5とシングルレーンタイプの部品実装装置M15,M16で共用される。
【0025】
図2A、
図2Bにおいて、部品実装ラインL1では前側搬送レーン7Fおよび後側搬送レーン7Rによって、また部品実装ラインL2では搬送レーン7Mによって、上流側から下流側の生産設備に基板を受け渡しながら、基板に対して生産作業が実行される。なお、部品実装ラインL1と部品実装ラインL2は、同じ構成であってもよい。また、部品実装ラインL1,L2は、生産する実装基板の種類、生産量に応じて、生産設備の構成などが自在に変更される。
【0026】
次に
図3を参照して、部品実装システム1が備える機能のうち、実装基板(製品)の生産オーダを実行するための準備工程で発生する準備作業を管理する準備作業管理に関する構成について説明する。
図3は、部品実装システム1の構成を示すブロック図である。
図3において、部品実装システム1が備える生産管理装置3、作業管理装置6は、通信ネットワーク2を介して相互に各種情報、指示の送受信を行う。
【0027】
生産管理装置3は、管理通信部10、計画立案部11、管理記憶部12を備えている。管理記憶部12は記憶装置であり、生産オーダ情報12a、生産データ情報12b、フロア構成情報12c、部材情報12d、台車情報12e、作業者情報12f、生産計画情報12gなどを記憶している。作業管理装置6は、作業通信部20、作業無線通信部6a、表示部21、情報取得部22、ネットワーク作成部23、表示処理部24、作業順決定部25、準備指示作成部26、実績収集部27、準備指示送信部28、作業記憶部29を備えている。
【0028】
図3において、作業記憶部29は記憶装置であり、生産計画29a、生産データ29b、ライン構成情報29c、基板種切替標準情報29d、基板種切替準備標準情報29e、配置作業標準情報29f、生産計画ネットワーク情報29g、基板種切替ネットワーク情報29h、基板種切替準備ネットワーク情報29i、配置作業ネットワーク情報29j、作業ネットワーク情報29k、作業余裕時間29l、準備指示29m、実績情報29nなどを記憶している。
【0029】
生産管理装置3の管理通信部10は、通信ネットワーク2を介して作業管理装置6、その他の装置と各種情報、指示の送受信を行う。作業管理装置6の作業通信部20は、通信ネットワーク2を介して生産管理装置3、配置作業支援装置4、その他の装置と各種情報、指示の送受信を行う。作業管理装置6の作業無線通信部6aは、無線を介して作業端末T、搬送車Vとの間で各種情報や指示を送受信する。作業管理装置6の表示部21は液晶パネルなどの表示装置であり、作業記憶部29が記憶する各種情報を表示画面に表示する。
【0030】
図3において、生産管理装置3の管理通信部10は、図示省略する受注管理装置から、生産オーダに関する情報を取得する。生産オーダには、部品実装システム1において生産する実装基板を特定する基板種名(生産品目)、生産枚数、生産納期などが含まれている。管理通信部10は、生産オーダを1単位のロットとして管理するための固有のオーダ番号Wを発行し、生産オーダにオーダ番号Wを関連付けて生産オーダ情報12aとして管理記憶部12に記憶させる。なお、受注管理装置は、受注以外の管理機能を備えていてもよく、購買、経理、出荷等も管理するERP(Enterprise Resources Planning)であってもよい。
【0031】
管理通信部10は、図示省略する製品情報管理装置から生産オーダに対応する基板種の基板サイズ、スクリーンマスク種類、スキージ種類、実装される部品種、実装位置、リフロー温度など生産に必要な情報を含む生産データを取得して生産データ情報12bとして管理記憶部12に記憶させる。また、管理通信部10は、図示省略するライン管理装置から生産フロアFに配置されている部品実装ラインL1,L2を構成する生産設備の種類、配列、配置作業支援装置4の数などの情報を取得してフロア構成情報12cとして管理記憶部12に記憶させる。また、管理通信部10は、図示省略する部材管理装置から生産オーダの実装基板の生産に使用する部品、スクリーンマスク、吸着ノズルなどの在庫状況を取得して部材情報12dとして管理記憶部12に記憶させる。
【0032】
図3において、管理通信部10は、作業管理装置6から台車5の状態(部品実装ラインL1,L2で生産に使用中、準備エリアAsで配置作業中、準備エリアAsに保管中など)や台車5に装着されているテープフィーダ、部品(供給している部品種)などの情報を取得して台車情報12eとして管理記憶部12に記憶させる。また、管理通信部10は、図示省略する作業者管理装置から生産フロアFで作業する作業者OPを特定する情報毎に勤務時間、作業スキルレベルなどの情報を含む作業者情報12fを取得して管理記憶部12に記憶させる。
【0033】
図3において、生産管理装置3の計画立案部11は、生産オーダ情報12a、生産データ情報12b、フロア構成情報12c、部材情報12d、台車情報12e、作業者情報12fに基づいてシミュレーションを実行して、1日や1週間などの所定の期間に部品実装システム1において実装基板を生産するのに最適な生産計画を作成(立案)する。作成された生産計画は、生産計画情報12gとして管理記憶部12に記憶される。なお、最適な生産計画を立案(作成)には、各生産オーダ情報12aで設定される納期を満たすような最適な生産計画を立案(作成)するものであれば、シミュレーションのほか、機械学習等の手法を用いてもよい。
【0034】
生産計画には、実装基板を生産する部品実装ラインL1,L2を特定する情報、生産開始時刻、生産終了時刻、生産枚数、生産に使用する台車5(台車群)を特定する情報、作業者OPの人数などがオーダ番号Wに関連付けされている。なお、生産管理装置3は、図示省略する生産計画立案装置などの他の装置で作成された生産計画情報12gを受信して管理記憶部12に記憶してもよい。
【0035】
ここで、
図4を参照して、生産計画情報12gを生産時刻に沿って表示した例を説明する。
図4は、部品実装システム1で使用される生産計画情報12gの一例の説明図である。
図4では、生産計画情報12gに含まれる生産オーダ毎の生産計画が部品実装ラインL1,L2毎に生産時刻に沿って表示されている。現時点では、部品実装ラインL1ではオーダ番号W1の生産オーダに従い、部品実装ラインL2ではオーダ番号W2の生産オーダに従い、それぞれの生産品目の実装基板が生産中である。
【0036】
部品実装ラインL1では、オーダ番号W1の次に、オーダ番号W3、オーダ番号W4、オーダ番号W7の生産品目の実装基板の生産がこの順番で計画されている。同様に、部品実装ラインL2では、オーダ番号W2の次に、オーダ番号W5、オーダ番号W6の生産品目の実装基板の生産がこの順番で計画されている。各生産オーダの実装基板の生産時間を表す長方形の左辺が生産開始時刻、右辺が生産終了時刻を示している。例えば、オーダ番号W5の実装基板の生産は、生産開始時刻T22に生産を開始し、生産終了時刻T23に生産を終了すると計画されている。
【0037】
図4において、生産計画情報12gには、部品実装ラインL1,L2で使用する複数の台車5で構成される台車群Zの割り当てと、準備エリアAsにおける台車群Zの台車5への配置作業の順番も含まれている。この例では、準備エリアAsには配置作業支援装置4が2台配置されており、2つの台車群Zに並行して配置作業を実行するように計画されている。生産フロアFには、部品実装ラインL1の部品実装装置M4,M5または部品実装ラインL2の部品実装装置M15,M16に装着して使用する4群の台車群Z1~Z4が用意されている。
【0038】
オーダ番号W1の実装基板の生産には台車群Z1が割り当てられている。オーダ番号W1の生産が生産終了時刻T11に終了した後、生産開始時間T12にオーダ番号W3の生産が開始されるまでの間に、部品実装ラインL1から台車群Z1の台車5を取り外し、オーダ番号W3の生産用に配置作業された台車群Z3の台車5を取り付ける基板種切替作業が計画されている。取り外された台車群Z1の台車5は準備エリアAsに搬送されて、オーダ番号W6の生産用の配置作業が計画されている。台車群Z1へのオーダ番号W6の配置作業は、オーダ番号W1の生産終了時刻T11からオーダ番号W6の生産開始時刻T24までの間に計画されている。
【0039】
図4において、オーダ番号W3の生産からオーダ番号W4への生産に変更する生産終了時刻T13から生産開始時刻T14の間の基板種切替作業では、台車5の交換はなく、台車5に取り付けられているテープフィーダおよび部品の交換が計画されている。すなわち、オーダ番号W3とオーダ番号W4は、同一の台車群Z3を使用する同一のグループとして計画されている。
【0040】
図3において、作業管理装置6の作業通信部20は、生産管理装置3の管理記憶部12が記憶している生産計画情報12g、生産データ情報12bの中から生産の準備作業に必要な情報をそれぞれ取得し、生産計画29a、生産データ29bとして作業記憶部29に記憶させる。ライン構成情報29cは、生産フロアFに設置されている部品実装ラインL1,L2の生産設備の構成を、複数の生産設備の階層として記述した情報である。
【0041】
ここで
図5Aおよび
図5Bを参照して、
図2に示す部品実装ラインL1,L2のライン構成情報29cの例について説明する。
図5Aは、
図2Aに示す部品実装ラインL1のライン構成情報29cの一例の説明図である。
図5Bは、
図2Bに示す部品実装ラインL2のライン構成情報29cの一例の説明図である。
【0042】
ライン構成情報29cでは、各生産設備において印刷作業や部品実装作業などの生産作業を実行する範囲を一つの生産設備ノードとして記述する。また、部品実装ラインL1,L2の上流側にスタートノードNs、下流側にエンドノードNeが配置される。また、準備作業が不要な生産設備(例えば、基板供給装置M1,M9,M13)は、記述が省略される。すなわち、その生産設備ノードは無いものとして前後の生産設備ノードが接続される。
【0043】
図5Aにおいて、印刷装置M2、印刷装置M10、リフロー装置M7、リフロー装置M11の各々は、一つの生産設備ノードとして記述される。デュアルレーンタイプの部品実装装置M4,M5は、それぞれ前側の部品実装装置M4F、部品実装装置M5Fと後側の部品実装装置M4R、部品実装装置M5Rの生産設備ノードが並列に記述される。
【0044】
図5Bにおいて、印刷装置M14、部品実装装置M15、部品実装装置M16、リフロー装置M11の各々は、1つの生産設備ノードとして記述される。各生産設備ノードは、生産時の基板の搬送方向(上流側から下流側)、すなわち生産作業順の向きを有する有向グラフを形成するようにリンクされる。このように、複数の生産設備の階層であるライン構成情報29cは、生産形式に応じてノードが直列、並列に分岐するように構成される。これにより、部品実装ラインL1において前側搬送レーン7Fのみ生産品目(基板種)を変更するような場合であっても、後述するように準備指示を作成することができる。
【0045】
図3において、基板種切替標準情報29dは、部品実装ラインL1,L2が備える生産設備において実装基板を生産するために実行される準備作業を、生産設備における準備作業の階層として記述した情報である。基板種切替標準情報29dには、その生産設備における直接準備作業としてあり得る全ての準備作業が記述される。
【0046】
ここで
図6A~
図6Cを参照して、基板種切替標準情報29dの例について説明する。
図6A~
図6Cは、作業管理装置6で使用される基板種切替標準情報29dの例の説明図である。基板種切替標準情報29dは、機能やオプションなどが異なる生産設備毎に作成される。
図6Aは、印刷装置M2、印刷装置M10、印刷装置M14に共通の基板種切替標準情報29dを示している。印刷装置M2,M10,M14では、直接準備作業として「レーン幅変更」「スクリーンマスク交換」「スキージ交換」「クリーム半田補充」が同時に実行可能である。これらの準備作業ノードは、スタートノードNsとエンドノードNeの間に有向グラフを形成するように並列にリンクされる。
【0047】
図6Bは、部品実装装置M4F、部品実装装置M4R、部品実装装置M5F、部品実装装置M5R、部品実装装置M15、部品実装装置M16に共通の基板種切替標準情報29dを示している。部品実装装置M4F,M4R,M5F,M5R,M15,M16では、同時に実行可能である「レーン幅変更」「台車交換」「フィーダ交換」「部品交換」「実装ヘッド交換」「吸着ノズル交換」の他、前の作業が終了しないと開始できない縦続作業がある。
【0048】
例えば、「台車交換」後にその台車5に「フィーダ交換」を実行する準備作業、「フィーダ交換」後にそのテープフィーダに「部品交換」を実行する準備作業、「実装ヘッド交換」後にその実装ヘッドに「吸着ノズル交換」を実行する準備作業は縦続作業となる。同時に実行可能な準備作業の準備作業ノードは並列に、縦続作業の準備作業ノードは直列に、スタートノードNsとエンドノードNeの間に有向グラフを形成するようにリンクされる。
【0049】
図6Cは、リフロー装置M7、リフロー装置M11、リフロー装置M17に共通の基板種切替標準情報29dを示している。リフロー装置M7,M11,M17では、「加熱温度変更」の準備作業ノードがスタートノードNsとエンドノードNeの間に有向グラフを形成するようにリンクされる。このように、生産設備における準備作業の階層である基板種切替標準情報29dは、準備の順序に応じてノードが直列または並列に分岐するように構成される。
【0050】
図3において、基板種切替準備標準情報29eは、部品実装ラインL1,L2が備える生産設備において実装基板を生産するために、準備エリアAsなど生産設備から離れたエリアで作業する間接準備作業のうち台車5に対する配置作業を除く準備作業を、生産設備毎に記述した情報である。基板種切替準備標準情報29eでは、その生産設備に対する間接準備作業として有り得る全ての準備作業が記述される。配置作業標準情報29fは、部品実装装置M4F,M4R,M5F,M5R,M15,M16において部品実装作業をするための準備エリアAsにおける間接準備作業である配置作業を、台車5(または、台車群Z1~Z4)毎に記述した情報である。
【0051】
ここで
図7Aおよび
図7Cを参照して、基板種切替準備標準情報29eの例について説明する。
図7Aおよび
図7Cは、作業管理装置6で使用される基板種切替準備標準情報29eの例の説明図である。基板種切替準備標準情報29eは、生産設備毎に作成される。なお、間接準備作業が必要ないリフロー装置M7,M11,M17は、基板種切替準備標準情報29eが作成されない。
図7Aは、印刷装置M2、印刷装置M10、印刷装置M14に共通の基板種切替準備標準情報29eを示している。印刷装置M2,M10,M14では、同時に実行可能な「スクリーンマスク準備」「スキージ準備」「クリーム半田準備」の準備作業ノードが、スタートノードNsとエンドノードNeの間に並列に有向グラフを形成するようにリンクされる。
【0052】
図7Bは、部品実装装置M4F、部品実装装置M4R、部品実装装置M5F、部品実装装置M5R、部品実装装置M15、部品実装装置M16に共通の基板種切替準備標準情報29eを示している。部品実装装置M4F,M4R,M5F,M5R,M15,M16では、同時に実行可能な「フィーダ準備」「部品準備」「実装ヘッド準備」「吸着ノズル準備」の準備作業ノードが、スタートノードNsとエンドノードNeの間に並列に有向グラフを形成するようにリンクされる。
【0053】
ここで
図8を参照して、配置作業標準情報29fの例について説明する。
図8Aは、作業管理装置6で使用される台車の配置作業標準情報29fの一例の説明図である。
図8Bは、作業管理装置6で使用される台車群の配置作業標準情報29fの一例の説明図である。
図8Aは、1台の台車5を配置作業支援装置4に接続して実行する配置作業の配置作業標準情報29fである。台車5では、縦続的に実行される「台車準備」「部品準備」「フィーダ準備」「フィーダ外し」「フィーダ移動」「フィーダ付け」「部品付け」の準備作業ノードが、スタートノードNsとエンドノードNeの間に直列に有向グラフを形成するようにリンクされる。なお、ここで言う接続とは物理的な接続の他、無線通信による仮想的な接続を含む。
【0054】
図8Bは、4台の台車5-1~5-4で構成される台車群Z1~Z4に対する配置作業の配置作業標準情報29fである。台車群Z1~Z4では、縦続的に実行される「台車5-1配置作業」「台車5-2配置作業」「台車5-3配置作業」「台車5-4配置作業」の階層が、スタートノードNsとエンドノードNeの間に直列に有向グラフを形成するようにリンクされる。台車5-1~5-4の各々の階層には、
図8Aに示す1台の台車5の準備作業ノードが階層化してリンクされる。
【0055】
図3において、ネットワーク作成部23は、内部処理部として生産計画ネットワーク作成部23a、基板種切替ネットワーク作成部23b、基板種切替準備ネットワーク作成部23c、配置作業ネットワーク作成部23d、作業ネットワーク作成部23eを備えている。生産計画ネットワーク作成部23aは、生産計画29aに基づいて、生産フロアFにおける実装基板の生産を生産オーダ単位の生産計画ノードとして生産順にリンクした生産計画ネットワークを作成する。作成された生産計画ネットワークは、生産計画ネットワーク情報29gとして作業記憶部29に記憶される。
【0056】
ここで
図9を参照して、生産計画ネットワーク作成部23aによって作成された生産計画ネットワークの例について説明する。
図9は、作業管理装置6で作成された生産計画ネットワークの一例の説明図である。
図9の生産計画ネットワークは、
図4に示す生産計画情報12gに含まれるオーダ番号W1~W7の生産オーダの生産計画の生産計画ネットワークである。
【0057】
部品実装ラインL1の階層は、オーダ番号W1、オーダ番号W3、オーダ番号W4、オーダ番号W7の生産計画ノードを有している。また、部品実装ラインL2の階層は、オーダ番号W2、オーダ番号W5、オーダ番号W6の生産計画ノードを有している。オーダ番号W1~W7の生産計画ノードはそれぞれ、生産開始時刻を保持するスタートノードNs1~Ns7と生産終了時刻を保持するエンドノードNe1~Ne7を有している。例えば、オーダ番号W6の生産計画ノードは、生産開始時刻T24を保持するスタートノードNs6と、生産終了時刻T25を保持するエンドノードNe6を有している。
【0058】
図9において、部品実装ラインL1の生産計画ノードは、生産順に直列にスタートノードNsとエンドノードNeの間にリンクされている。また、部品実装ラインL2の生産計画ノードは、生産順に直列にスタートノードNsとエンドノードNeの間にリンクされている。そして、部品実装ラインL1の生産計画ノードの階層と部品実装ラインL2の生産計画ノードの階層は、並列にスタートノードNsとエンドノードNeの間にリンクされている。
【0059】
図3において、基板種切替ネットワーク作成部23bは、生産計画29a、生産データ29b、ライン構成情報29c、基板種切替標準情報29dに基づいて、部品実装ラインL1,L2が備える生産設備において実行される直接準備作業の準備作業ノードをリンクして形成された有向グラフである基板種切替ネットワークを作成する。基板種切替ネットワークは、生産オーダ毎(オーダ番号W1~W7の各々毎)に作成される。作成された基板種切替ネットワークは、基板種切替ネットワーク情報29hとして作業記憶部29に記憶される。
【0060】
ここで
図10を参照して、基板種切替ネットワーク作成部23bによる基板種切替ネットワークの作成処理ついて具体的に説明する。
図10は、作業管理装置6で作成された基板種切替ネットワークの一例の説明図である。
図10は、部品実装ラインL2においてオーダ番号W6の生産オーダに基づいて実装基板を生産するために実行される直接準備作業の基板種切替ネットワークを示している。基板種切替ネットワーク作成部23bは、部品実装ラインL2のライン構成情報29cの各生産設備ノードに、基板種切替標準情報29dに含まれる生産設備の複数の準備作業ノードを階層化してリンクさせる。
【0061】
次いで基板種切替ネットワーク作成部23bは、直前のオーダ番号W5の生産データ29bとオーダ番号W6の生産データ29bを比較して、準備作業が不要な準備作業ノードを削除する。この例では、印刷装置M14はオーダ番号W5とオーダ番号W6で同じスキージを使用するため、「スキージ交換」の準備作業ノードが削除されている。部品実装装置M15と部品実装装置M16は、台車交換により必要なテープフィーダの交換と部品の交換が完了するため、「フィーダ交換」と「部品交換」の準備作業ノードが削除されている。また、部品実装装置M16では実装ヘッドの交換がないため、「実装ヘッド交換」の準備作業ノードが削除されている。
【0062】
なお、直接準備作業が予定されない生産設備の生産設備ノードは、基板種切替ネットワークから削除される。例えば、リフロー装置M17において「加熱温度変更」の準備作業が不要な場合は、リフロー装置M17の生産設備ノードが基板種切替ネットワークから削除される。スタートノードNsには、開始時刻としてオーダ番号W5の生産が終了する生産終了時刻T23が保持される。エンドノードNeには、終了時刻としてオーダ番号W6の生産が開始される生産開始時刻T24が保持される。すなわち、スタートノードNsの開始時刻は生産計画29aとして取り得る最も早い時刻であり、エンドノードNeの終了時刻は生産計画29aとして取り得る最も遅い時刻である。
【0063】
図3において、基板種切替準備ネットワーク作成部23cは、生産計画29a、生産データ29b、ライン構成情報29c、基板種切替準備標準情報29eに基づいて、部品実装ラインL1,L2が備える生産設備において実行される間接準備作業の準備作業ノードをリンクして形成された有向グラフである基板種切替準備ネットワークを作成する。基板種切替準備ネットワークは、生産オーダ毎(オーダ番号W1~W7の各々毎)に作成される。作成された基板種切替準備ネットワークは、基板種切替準備ネットワーク情報29iとして作業記憶部29に記憶される。
【0064】
ここで
図11Aを参照して、基板種切替準備ネットワーク作成部23cによる基板種切替準備ネットワークの作成処理ついて具体的に説明する。
図11Aは、作業管理装置6で作成された基板種切替準備ネットワークの一例の説明図である。
図11Aは、部品実装ラインL2においてオーダ番号W6の生産オーダに基づいて実装基板を生産するために部品実装ラインL2から離れたエリアで実行される間接準備作業の基板種切替準備ネットワークを示している。基板種切替準備ネットワーク作成部23cは、部品実装ラインL2のライン構成情報29cの各生産設備ノードに、基板種切替準備標準情報29eに含まれる生産設備の複数の準備作業ノードを階層化してリンクさせる。
【0065】
次いで基板種切替準備ネットワーク作成部23cは、基板種切替準備標準情報29eに間接準備作業が含まれない生産設備を基板種切替準備ネットワークから削除する。この例では、間接準備作業がないリフロー装置M17が基板種切替準備ネットワークから削除される。次いで基板種切替準備ネットワーク作成部23cは、オーダ番号W6の基板種切替ネットワークを参照して、間接準備作業が不要な準備作業ノードを削除する。
【0066】
この例では、印刷装置M14は「スキージ交換」がされないため、「スキージ準備」の準備作業ノードが削除されている。部品実装装置M15と部品実装装置M16は、「フィーダ交換」と「部品交換」がされないため、「フィーダ準備」と「部品準備」の準備作業ノードが削除されている。また、部品実装装置M16では「実装ヘッド交換」がされないため、「実装ヘッド準備」の準備作業ノードが削除されている。エンドノードNeには、終了時刻としてオーダ番号W5の生産が終了する生産終了時刻T23が保持されている。すなわち、エンドノードNeの終了時刻は生産計画29aとして終了すべき最も遅い時刻である。
【0067】
このように、基板種切替ネットワークと基板種切替準備ネットワークは、複数の生産設備で生産オーダを実行するための準備工程(基板種切替、基板種切替準備)において、複数の生産設備と、生産設備における準備作業(直接準備作業、間接準備作業)とを生産設備ノードと準備作業ノードとしてリンクさせて階層化して構成される。
【0068】
図3において、配置作業ネットワーク作成部23dは、生産計画29a、生産データ29b、配置作業標準情報29fに基づいて、準備エリアAsにおいて実行される配置作業(間接準備作業)をリンクして形成された有向グラフである配置作業ネットワークを作成する。配置作業ネットワークは、生産オーダ毎(オーダ番号W1~W7の各々毎)に作成される。作成された配置作業ネットワークは、配置作業ネットワーク情報29jとして作業記憶部29に記憶される。
【0069】
ここで
図11Bを参照して、配置作業ネットワーク作成部23dによる配置作業ネットワークの作成処理について具体的に説明する。
図11Bは、作業管理装置6で作成された配置作業ネットワークの一例の説明図である。
図11Bは、オーダ番号W6の生産オーダに基づいて実装基板を生産するために準備エリアAsで実行される配置作業(間接準備作業)の配置作業ネットワークを示している。配置作業ネットワーク作成部23dは、配置作業標準情報29fの台車群Z1(台車5-1~5-4)の台車群ノードに台車5-1~5-4の準備作業ノードを階層化してリンクさせる。
【0070】
この例では、台車群Z1を構成する台車5-1、台車5-2、台車5-3、台車5-4のそれぞれで順番に実行される配置作業(「台車準備」から「部品付け」)の準備作業ノードが、スタートノードNsとエンドノードNeの間に直列にリンクされている。スタートノードNsには、開始時刻として直前に台車群Z1を使用するオーダ番号W1の生産が終了する生産終了時刻T11が保持されている。エンドノードNeには、終了時刻としてオーダ番号W5の生産が終了する生産終了時刻T23が保持されている。すなわち、スタートノードNsの開始時刻は生産計画29aとして取り得る最も早い時刻であり、エンドノードNeの終了時刻は生産計画29aとして終了すべき最も遅い時刻である。
【0071】
図3において、作業ネットワーク作成部23eは、生産計画ネットワーク情報29g、基板種切替ネットワーク情報29h、基板種切替準備ネットワーク情報29i、配置作業ネットワーク情報29jに基づいて、生産計画ネットワーク、基板種切替ネットワーク、基板種切替準備ネットワーク、配置作業ネットワークを生産オーダ(オーダ番号W1~W7)に基づき関連付く順序でリンクさせた作業ネットワークを作成する。作成された作業ネットワークは、作業ネットワーク情報29kとして作業記憶部29に記憶される。表示処理部24は、作業記憶部29に記憶される作業ネットワーク情報29kに基づいて、作業ネットワークを表示部21に表示させる。
【0072】
ここで
図12、
図13を参照して、表示部21に表示された作業ネットワークの例と、作業ネットワーク作成部23eによる作業ネットワークの作成処理について説明する。
図12および
図13は、作業管理装置6で作成された作業ネットワークの例の説明図である。
図12には、部品実装ラインL1において生産が計画されているオーダ番号W3、オーダ番号W4の生産計画を含む作業ネットワークが表示されている。
図13には、部品実装ラインL2において生産が計画されているオーダ番号W5、オーダ番号W6の生産計画を含む作業ネットワークが表示されている。
【0073】
図12、
図13において、作業ネットワーク作成部23eは、基板種切替ネットワークのスタートノードNsに、生産計画ネットワークの直前に生産されるオーダ番号(生産オーダ)の生産計画のエンドノードNeをリンクさせる。また、作業ネットワーク作成部23eは、基板種切替ネットワークのエンドノードNeを、生産計画ネットワークの同一のオーダ番号(生産オーダ)の生産計画のスタートノードNsにリンクさせる。
【0074】
また、作業ネットワーク作成部23eは、基板種切替準備ネットワークのエンドノードNeと、配置作業ネットワークのエンドノードNeを、同一のオーダ番号(生産オーダ)の基板種切替ネットワークのスタートノードNsにリンクさせる。また、作業ネットワーク作成部23eは、配置作業ネットワークのスタートノードNsに、生産計画ネットワークの直前にその台車群を使用したオーダ番号(生産オーダ)の生産計画ノードのエンドノードNeをリンクさせる。
【0075】
図12、
図13において、リンクされた基板種切替ネットワーク、基板種切替準備ネットワーク、配置作業ネットワークは、複数の生産設備で生産オーダを実行するための準備工程ネットワークを構成する。すなわち、準備工程ネットワークは、生産オーダと準備工程(基板種切替、基板種切替準備、配置作業)とを関連付く順序でリンクさせて構成されたネットワークである。
【0076】
ここで、
図13に表示されたオーダ番号W6の準備工程ネットワークの詳細について説明する。基板種切替ネットワークのオーダ番号W6のスタートノードNsには、オーダ番号W5の生産計画のエンドノードNe5がリンクされている。また、基板種切替ネットワークのオーダ番号W6のエンドノードNeは、オーダ番号W6の生産計画のスタートノードNs6にリンクされている。すなわち、オーダ番号W6の基板種切替作業(直接準備作業)は、オーダ番号W5の生産終了時刻T23とオーダ番号W6の生産開始時刻T24の間に実行されるように準備工程ネットワークが作成されている。
【0077】
基板種切替準備ネットワークのオーダ番号W6のエンドノードNeは、基板種切替ネットワークのオーダ番号W6のスタートノードNsにリンクされている。すなわち、オーダ番号W6の基板種切替準備作業(間接準備作業)は、オーダ番号W6の基板種切替準備作業を開始する時(オーダ番号W5の生産終了時刻T23)までに終了するように準備工程ネットワークが作成されている。配置作業ネットワークのオーダ番号W6のエンドノードNeは、基板種切替ネットワークのオーダ番号W6のスタートノードNsにリンクされている。
【0078】
また、配置作業ネットワークのオーダ番号W6のスタートノードNsには、オーダ番号W1の生産計画のエンドノードNe1がリンクされている。すなわち、オーダ番号W6の配置作業(間接準備作業)は、オーダ番号W1の生産終了時刻T11の後に開始され、オーダ番号W6の基板種切替準備作業を開始する時(オーダ番号W5の生産終了時刻T23)までに終了するように準備工程ネットワークが作成されている。なお、
図13では、オーダ番号W1の生産計画のエンドノードNe1とオーダ番号W6の配置作業ネットワークのスタートノードNsをリンクして形成された有向グラフの表示が省略されている。
【0079】
図13において、表示部21においてオーダ番号W6の基板種切替ネットワークが所定の操作(例えば、マウスによるダブルクリック)により選択されると、
図10に示す基板種切替ネットワークの階層が表示される。同様に、オーダ番号W6の基板種切替準備ネットワークが選択されると
図11Aに示す基板種切替準備ネットワークの階層が表示され、オーダ番号W6の配置作業ネットワークが選択されると
図11Bに示す配置作業ネットワークの階層が表示される。
【0080】
すなわち、表示部21は、準備工程ネットワークを、生産オーダ、準備工程(基板種切替、基板種切替準備、配置作業)、複数の生産設備(生産設備ノード)、生産設備における準備作業(準備作業ノード)の順で階層化して表示する。なお、
図12において、同一のグループであるオーダ番号W3からオーダ番号W4に変更する準備工程には、準備エリアAsにおける配置作業(間接準備作業)がないため、オーダ番号W4の準備工程ネットワークに配置作業ネットワークは存在しない。
【0081】
図3において、作業順決定部25は、内部処理部として作業余裕時間算出部25aを備えている。作業余裕時間算出部25aは、作業ネットワーク情報29kに基づいて、準備工程ネットワークのスタートノードNsが保持する時刻に基づく作業時刻とエンドノードNeが保持する時刻に基づく作業時刻との差分から各準備作業ノードの作業余裕時間29lを算出する。算出された作業余裕時間29lは、作業記憶部29に記憶される。例えば、オーダ番号W6の基板種切替ネットワークでは、オーダ番号W5のエンドノードNe5の生産終了時刻T23に基づく作業時刻とオーダ番号W6のスタートノードNs6の生産開始時刻T24に基づく作業時刻から各準備作業ノードの作業余裕時間29lが算出される。
【0082】
ここで、
図14を参照して作業余裕時間算出部25aによる作業余裕時間29lの算出工程について説明する。
図14は、作業管理装置6で算出される作業余裕時間29lの算出工程の一例の説明図である。ここでは、簡素化された準備工程ネットワークを参照して、作業余裕時間29lの算出工程について説明する。
図14において、準備工程ネットワークには、スタートノードSとエンドノードEの間に準備作業ノードN1、準備作業ノードN2、準備作業ノードN3が直列にリンクされ、準備作業ノードN1とエンドノードEの間に準備作業ノードN4がリンクされている。
【0083】
スタートノードSは着手可能時刻RDとして「9:00」を保持し、エンドノードEは完了時刻DDとして「10:00」を保持している。準備作業ノードN1と準備作業ノードN2では、作業エリアA1において作業予定時間MHが「10分」と「20分」の準備作業が計画されている。同様に、準備作業ノードN3では作業エリアA2で作業予定時間MHが「10分」の準備作業が計画され、準備作業ノードN4では作業エリアA3において作業予定時間MHが「25分」の準備作業が計画されている。
【0084】
図14において、まず、作業余裕時間算出部25aは、時間の流れに従って各ノードの最速開始時刻ESと最速完了時刻EFを算出する。具体的には、スタートノードSは着手可能時刻RD(9:00)が最速開始時刻ESと最速完了時刻EFになる。準備作業ノードN1は、直前のスタートノードSの最速完了時刻EF(9:00)が最速開始時刻ESとなり、最速開始時刻ESに作業予定時間MH(10分)を加算した時刻(9:10)が最速完了時刻EFとなる。
【0085】
以下同様に、準備作業ノードN2と準備作業ノードN4の最速開始時刻ESは準備作業ノードN1の最速完了時刻EF(9:10)となる。また、準備作業ノードN2と準備作業ノードN4の最速完了時刻EFは、それぞれ(9:30)と(9:35)となる。準備作業ノードN3の最速開始時刻ESは準備作業ノードN2の最速完了時刻EF(9:30)となり、最速完了時刻EFは(9:40)となる。エンドノードEの最速開始時刻ESと最速完了時刻EFは、準備作業ノードN3の最速完了時刻EF(9:40)と準備作業ノードN4の最速完了時刻EF(9:35)のうちの遅い方の時刻(9:40)となる。
【0086】
図14において、次いで作業余裕時間算出部25aは、時間の流れとは反対方向に準備作業ノードN1~N4の各々の最遅開始時刻LSと最遅完了時刻LFを算出する。具体的には、エンドノードEは完了時刻DD(10:00)が最遅開始時刻LSと最遅完了時刻LFになる。準備作業ノードN3と準備作業ノードN4は、直後のエンドノードEの最遅開始時刻LS(10:00)が最遅完了時刻LFとなる。準備作業ノードN3の最遅開始時刻LSは、最遅完了時刻LF(10:00)から作業予定時間MH(10分)を減算した時刻(9:50)となる。同様に、準備作業ノードN4の最遅開始時刻LSは、時刻(9:35)となる。
【0087】
同様に、準備作業ノードN2の最遅完了時刻LFは準備作業ノードN3の最遅開始時刻LS(9:50)であり、最遅開始時刻LSは時刻(9:30)となる。準備作業ノードN1の最遅完了時刻LFは、準備作業ノードN2の最遅開始時刻LS(9:30)と準備作業ノードN4の最遅開始時刻LS(9:35)のうちの早い方の時刻(9:30)となる。準備作業ノードN1の最遅開始時刻LSは、(9:20)となる。スタートノードSの最遅完了時刻LFと最遅開始時刻LSは、準備作業ノードN1の最遅開始時刻LS(9:20)となる。
【0088】
図14において、次いで作業余裕時間算出部25aは、準備作業ノードN1~N4の各々の作業余裕時間29l(Slack)を算出する。具体的には、準備作業ノードN1~N4の各々の最遅開始時刻LSから最速開始時刻ESを引いた時間が作業余裕時間29lとなる。準備作業ノードN1では、最遅開始時刻LS(9:20)から最速開始時刻ES(9:00)を引いた時間(20分)が作業余裕時間29lとなる。同様に、準備作業ノードN2と準備作業ノードN3の作業余裕時間29lは(20分)、準備作業ノードN4の作業余裕時間29lは(25分)となる。
【0089】
このように、作業余裕時間算出部25aは、生産開始時刻(スタートノードSの着手可能時刻RD)に基づく作業時刻(最速開始時刻ES)と生産終了時刻に(エンドノードEの完了時刻DD)基づく作業時刻(最遅開始時刻LS)との差分から準備作業ノードN1~N4の各々の作業余裕時間29l(Slack)を算出する。算出された作業余裕時間29lは作業記憶部29に記憶される。
【0090】
図3において、作業順決定部25は、作業余裕時間算出部25aが算出した作業余裕時間29lに基づいて準備作業ノードN1~N4をグルーピングして、生産オーダで設定される生産開始時刻(スタートノードSの着手可能時刻RD)および生産終了時刻(エンドノードEの完了時刻DD)を満たす作業順を決定する。
【0091】
ここで、
図15を参照して、作業順決定部25が2名の作業者OP1,OP2に準備作業ノードN1~4を割り当てて、作業順を決定する決定工程について説明する。
図15は、作業管理装置6で決定される作業順の決定工程の一例の説明図である。まず、作業順決定部25は、作業余裕時間29lが20分と短い準備作業ノードN1,N2,N3を一つのグループとし、作業余裕時間29lが25分の準備作業ノードN4を別のグループとしてグルーピングする。次いで作業順決定部25は、作業余裕時間29lが短いグループで最速開始時刻ESが早い方から準備作業ノードN1~N4を順に作業者OP1,OP2に割り当てる。この例では、作業者OP1に同じ作業エリアA1の準備作業ノードN1と準備作業ノードN2を割り当て、作業者OP2に作業エリアA2の準備作業ノードN3を割り当てる。
【0092】
次いで作業順決定部25は、残りの準備作業ノードN4を作業予定時間MHの合計時間が短い作業者OPの方に割り当て可能かを検討する。この時点で、作業者OP1の作業予定時間MHの合計は30分、作業者OP2の作業予定時間MHの合計は10分であり、作業順決定部25は準備作業ノードN4を作業者OP2に割り当て可能かを検討する。準備作業ノードN4の最速開始時刻ES(9:10)は準備作業ノードN3の最速開始時刻ES(9:30)より早いため、作業順決定部25は準備作業ノードN4を準備作業ノードN3の前に割り当て可能かを検討する。ここでは、準備作業ノードN4の最速完了時刻EFは9:35となり、準備作業ノードN3の作業完了時刻は9:45となり最遅完了時刻LF(10:00)より早いため、割り当て可能と判断される。
【0093】
図3において、作業順決定部25は上述の決定工程に則って、作業ネットワーク情報29kに記憶されている準備工程ネットワークを用いて、複数の生産設備で生産オーダを実行するための準備工程で発生する準備作業の作業順を決定する。準備指示作成部26は、作業順決定部25が決定した作業順に対応する準備作業を準備作業ノード単位で実行するための準備指示29mを作成する。作成された準備指示29mは、作業記憶部29に記憶される。
【0094】
実績収集部27は、配置作業支援装置4、作業端末T、搬送車Vから準備作業の実績を収集する。また、実績収集部27は、部品実装ラインL1,L2の生産設備から生産作業の実績を収集する。収集された準備作業の実績と生産作業の実績は、実績情報29nとして作業記憶部29に記憶される。準備指示送信部28は、準備指示29m、実績情報29nに基づいて、準備指示29mを配置作業支援装置4、作業端末T、搬送車Vに送信する。すなわち、準備指示送信部28は、準備指示29mが終了した旨の実績情報や生産オーダの生産が終了した旨の実績情報が収集されると、次の順番の準備指示29mを送信する。これによって、最適な生産前の準備作業が指示できる。
【0095】
次に
図16に沿って、
図9~
図15を参照しながら、作業管理装置6により複数の生産設備で生産オーダを実行するための準備指示29mを作成して指示(送信)する準備指示方法について説明する。
図16は、本開示の一実施の形態の準備指示方法のフロー図である。まず、生産計画ネットワーク作成部23aは、生産計画29aに基づいて、生産オーダ単位の実装基板の生産計画を生産計画ノードとして形成された有向グラフを生産順にリンクした生産計画ネットワークを作成する(ST1:生産計画ネットワーク作成工程)(
図9参照)。
【0096】
次いで基板種切替ネットワーク作成部23bは、生産計画29a、生産データ29b、ライン構成情報29c、基板種切替標準情報29dに基づいて、生産設備において実行される複数の直接準備作業の準備作業ノードを生産設備単位の生産設備ノードに階層化してリンクした基板種切替ネットワークを作成する(ST2:基板種切替ネットワーク作成工程)(
図10参照)。次いで基板種切替準備ネットワーク作成部23cは、生産計画29a、生産データ29b、ライン構成情報29c、基板種切替準備標準情報29eに基づいて、生産設備外で実行される複数の間接準備作業の準備作業ノードを生産設備単位の生産設備ノードに階層化してリンクした基板種切替準備ネットワークを作成する(ST3:基板種切替準備ネットワーク作成工程)(
図11A参照)。
【0097】
図16において、次いで配置作業ネットワーク作成部23dは、生産計画29a、生産データ29b、配置作業標準情報29fに基づいて、準備エリアAsにおける配置作業(間接準備作業)の準備作業ノードを作業順にリンクして形成された有向グラフである配置作業ネットワークを作成する(ST4:配置作業ネットワーク作成工程)(
図11B参照)。次いで作業ネットワーク作成部23eは、作成された生産計画ネットワーク、基板種切替ネットワーク、基板種切替準備ネットワーク、配置作業ネットワークを生産オーダに基づき関連付く順序でリンクさせて準備工程ネットワークを作成する(ST5:準備工程ネットワーク作成工程)(
図12、
図13参照)。
【0098】
このように、準備工程ネットワークは、準備工程(基板種切替、基板種切替準備、配置作業)における複数の生産設備ノードと、生産設備における準備作業ノードとをリンクさせて階層化して構成される。複数の生産設備の階層は、生産形式に応じて生産設備ノードが直列または並列に分岐するように構成される(例えば、
図5参照)。生産設備における準備作業の階層は、準備の順序に応じて準備作業ノードが直列または並列に分岐するように構成される(例えば、
図6、
図7参照)。
【0099】
図16において、次いで作業余裕時間算出部25aは、生産計画ネットワークのスタートノードNsが保持する生産開始時刻(着手可能時刻RD)に基づく作業時刻(最速開始時刻ESまたは最遅開始時刻LS)とエンドノードNeが保持する生産終了時刻(完了時刻DD)に基づく作業時刻(最遅開始時刻LSまたは最速開始時刻ES)との差分から各準備作業ノードの作業余裕時間29l(
図14に示すSlack)を算出する(ST6:余裕時間算出工程)。次いで作業順決定部25は、算出された作業余裕時間29lに基づいて準備作業ノードをグルーピングして、生産オーダで設定される生産開始時刻および生産終了時刻を満たす作業順を決定する(ST7:作業順決定工程)(例えば、
図15参照)。
【0100】
このように、生産オーダと複数の生産設備で生産オーダを実行するための準備工程とを関連付く順序でリンクさせて構成された準備工程ネットワークを作成し(ST1~ST5)、準備工程ネットワークを用いて準備工程で発生する作業の作業順を決定する(ST6~ST7)。次いで準備指示作成部26は、決定された作業順に対応する準備作業を準備作業ノード単位で実行するための準備指示29mを作成する(ST8:準備指示作成工程)。次いで準備指示送信部28は、作成された準備指示29mを配置作業支援装置4、作業端末T、搬送車Vに送信する(ST9:準備指示送信工程)。これによって、最適な生産前の準備作業が指示できる。
【0101】
上記説明したように、本実施の形態の作業管理装置6は、生産オーダと複数の生産設備(印刷装置M2,M10,M14、部品実装装置M4,M5,M15,M16、リフロー装置M7,M11,M17)で生産オーダを実行するための準備工程(基板種切替、基板種切替準備、配置作業)とを関連付く順序でリンクさせて構成された準備工程ネットワーク(作業ネットワーク情報29k)を用いて、準備工程で発生する作業の作業順を決定する作業順決定部25と、決定した作業順に対応する準備指示29mを作成する準備指示作成部26と、を備える。これによって、最適な生産前の準備作業が指示できる。
【0102】
なお、上記に説明した作業管理装置6は1台のコンピュータで構成されているが、作業管理装置6の機能を複数のコンピュータで分散処理する作業管理システムとして構成するようにしてもよい。例えば、作業ネットワークを作成する機能(ネットワーク作成部23)、準備指示29mを作成する機能(作業順決定部25、準備指示作成部26)、準備指示29mを配置作業支援装置4、作業端末T、搬送車Vに送信する機能(準備指示送信部28)を、それぞれ異なるコンピュータで処理するようにしてもよい。
【0103】
なお上記は、基板に部品を実装する部品実装装置M4,M5,M15,M16を含む複数の生産設備で構成される部品実装ラインL1,L2における実装基板の生産前の準備作業を例に準備指示の作成を説明したが、準備指示の作成はこれに限定されることはない。例えば、準備作業は半導体を製造する半導体製造ラインにおける半導体の製造前の準備作業であっても、電気機器を組立てる組立て生産ラインにおける電気機器の組立て前の準備作業であっても、食品加工製品を生産する食品加工ラインにおける食品加工製品の生産前の準備作業であってもよい。
【0104】
なお、作業指示方法におけるステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本開示は、作業指示方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD-ROMなどである非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0105】
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリおよび入出力回路などのハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路などから取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路などに出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0106】
また、上記実施の形態の部品実装システム1に含まれる各構成要素は、専用または汎用の回路として実現されてもよい。
【0107】
また、上記実施の形態の部品実装システム1に含まれる各構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。
【0108】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0109】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、部品実装システム1に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0110】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示の作業管理装置および準備指示方法は、最適な生産前の準備作業が指示できるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0112】
6 作業管理装置
As 準備エリア(部品実装装置から離れたエリア)
M2、M10、M14 印刷装置(生産設備)
M4、M5、M15、M16 部品実装装置(生産設備)
M7、M11、M17 リフロー装置(生産設備)