(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】制御システム、防災システム、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20241101BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G08B27/00 A ZIT
G08B17/00 F
(21)【出願番号】P 2019157422
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-04-11
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】田垣 憲一
(72)【発明者】
【氏名】神前 貴弘
【合議体】
【審判長】馬場 慎
【審判官】丸山 高政
【審判官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-64181(JP,A)
【文献】特開2008-158879(JP,A)
【文献】特開2003-151057(JP,A)
【文献】特開平6-111172(JP,A)
【文献】特開2010-152416(JP,A)
【文献】特開2013-42389(JP,A)
【文献】特開2016-123151(JP,A)
【文献】特開2015-226275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、
前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、
前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、
前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、
を備え、
前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、
前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、
前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、
前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、
前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、
制御システム。
【請求項2】
前記発生情報は、前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記出力処理部は、前記1又は複数の検知器の設置位置に関する設置情報に基づき、前記経路情報を生成する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記出力処理部は、
前記発生情報と前記設置情報とに基づき、前記1又は複数の検知器のうちの前記災害の発生を検知した検知器の設置位置を特定し、
特定した前記設置位置を前記災害の発生位置であると判定して、前記発生位置に基づき前記経路情報を生成する、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記施設は、複数の管理領域に区分され、
前記出力処理部は、前記複数の管理領域の各々を出発点として避難する場合における前記避難経路に関するパターン情報に基づいて、前記経路情報を生成する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記出力処理部は、前記災害の発生位置に基づき前記施設における複数の出口から避難口を決定して、前記避難口の位置に基づき前記経路情報を生成する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記出力処理部は、少なくとも前記施設の外周囲の環境に関する環境情報に基づいて前記経路情報を生成する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記施設は、複数の管理領域に区分され、
前記出力処理部は、前記複数の管理領域のうちのいずれかの管理領域に人が存在する場合、前記管理領域を出発点とした前記避難経路に関する前記経路情報を生成する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記外部機器は、前記施設における前記災害の発生を検知する検知器以外の機器である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記出力処理部は、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する、
請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記外部機器に対して前記制御信号の送出を行うか否かを設定する設定部を、更に備える、
請求項9又は10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記経路情報を表示する表示部を、更に備え、
前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記表示部に前記経路情報を表示させる、
請求項1~11のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器と、
を備え、
前記発生情報は、前記1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、
防災システム。
【請求項14】
制御システムの処理方法であって、
施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得ステップと、
前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、
前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理ステップと、
前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得ステップと、
を含み、
前記出力処理ステップでは、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、
前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、
前記出力処理ステップでは、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、
前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、
前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、
処理方法。
【請求項15】
1以上のプロセッサに請求項14に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、制御システム、防災システム、処理方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、施設からの避難を要する災害の発生に関する制御システム、当該制御システムを備える防災システム、当該制御システムの処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、住宅用火災警報器を開示する。この住宅用火災警報器は、煙、熱等の火災要因を検知する検知部と、火災を検出した時にブザー等の音響警報を出力制御する制御部とを備えている。また住宅用火災警報器には、音響警報の出力と同時に、光を床面に向けて照射する発光表示部が設けられている。この住宅用火災警報器によれば、夜間等に火災が発生した時に、足元を確保して速やかに避難経路を見つけ出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災等の施設からの避難を要する災害の発生時に、施設全体を考慮して、避難に要する時間をより短縮することが望まれる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることができる、制御システム、防災システム、処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御システムは、取得部と、出力処理部と、在・不在取得部と、を備える。前記取得部は、施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。前記出力処理部は、前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する。前記在・不在取得部は、前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する。前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出する。前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含む。前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない。
【0007】
本開示の一態様の防災システムは、上記の制御システムと、1又は複数の検知器と、を備える。前記1又は複数の検知器は、前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する。前記発生情報は、前記1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である。
【0008】
本開示の一態様の処理方法は、制御システムの処理方法である。前記処理方法は、取得ステップと、出力処理ステップと、在・不在取得ステップと、を含む。前記取得ステップにて、施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。前記出力処理ステップにて、前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する。前記在・不在取得ステップでは、前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する。前記出力処理ステップでは、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出する。前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含む。前記出力処理ステップでは、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに上記の処理方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることできる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る制御システムを備える防災システムのブロック構成図である。
【
図2】
図2は、同上の防災システムが施設(戸建の住宅)に適用される場合の概念図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムにおける経路情報を説明するための概念図である。
【
図4】
図4は、同上の制御システムにおける経路情報の画面表示に関する概念図である。
【
図5】
図5は、同上の防災システムの動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
本実施形態に係る制御システム1は、
図1に示すように、取得部11と、出力処理部12と、を備えている。ここでは、制御システム1は、一例として1つの筐体に収容された1台の制御装置10であるものとする。制御装置10は、例えば施設200(
図2参照)内に設置されるHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。ただし、制御システム1は、1つの筐体に収容された制御装置10に限定されず、複数の機能が分散的に設けられた複数台の制御装置を含んでもよいし、施設200の外部に設置されたサーバ装置を含んでもよい。
【0014】
以下では、施設200は、戸建の住宅であることを想定する。しかしながら、施設200は、集合住宅(マンション)であってもよい。更に、施設200は、住宅に限らず、非住宅として、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等であってもよい。
【0015】
取得部11は、施設200からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。以下では、災害は、火災であるものとする。ただし、災害は、火災に限定されず、水害、地震等でもよい。また災害は、ガス漏れ、不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等でもよい。
【0016】
また発生情報は、一例として、施設200に設置されて施設200における災害の発生を検知する1又は複数の検知器における災害の検知結果を示す情報であるものとする。上述の通り、ここでは災害が火災であるため、検知器は、火災検知器であることを想定する。特に、検知器は、火災の発生を検知する検知機能と、火災の発生を検知した場合に報知する警報機能とを有した、住宅用火災警報器2(以下、単に「警報器2」と呼ぶ)であることを想定する。警報器2は、例えば、火災の発生時に警報音等の音を出力する。要するに、ここでは一例として発生情報の発信源は、施設200内に設置されている警報器2である。しかし、発生情報の発信源は、施設200内の警報器2に限定されず、施設200の外部にあるサーバ装置でもよい。例えば災害が地震であれば、発生情報として、緊急地震速報に関する情報を、外部のサーバ装置から受信する構成でもよい。
【0017】
出力処理部12は、発生情報の取得をトリガとして施設200における避難経路R1(
図4参照)に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。「経路情報に応じた出力の実行」とは、例えば、外部機器3(
図1及び
図2参照)を制御するための制御信号の送出でもよいし、表示部D1(
図1参照)への経路情報の表示でもよい。
【0018】
この構成によれば、出力処理部12が経路情報を生成し、その経路情報に応じた出力を実行するため、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることできる。
【0019】
上述した制御システム1と同様の機能は、処理方法、(コンピュータ)プログラム、又は(コンピュータ)プログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る制御システム1、及び制御システム1を備える防災システム100の全体構成について、
図1~
図5を参照しながら詳しく説明する。
【0021】
(2.1)全体構成
本実施形態に係る防災システム100は、
図1に示すように、制御装置10(制御システム1)と、1又は複数(ここでは5つ)の警報器2(検知器)とを備えている。5つの警報器2は、施設200に設置されて施設200における火災(災害)の発生を検知する。また防災システム100は、
図1に示すように、1又は複数(ここでは3つ)の外部機器3と、情報端末4と、外部サーバ5と、を更に備えている。施設200は、上述の通り、戸建の住宅である。
【0022】
(2.2)警報器
各警報器2は、一例として電池式の火災警報器である。ただし、警報器2は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電流に変換して駆動する火災警報器であってもよい。
【0023】
5つの警報器2は、いわゆる連動型の警報器であり、いずれの警報器2で火災を検出しても、他の警報器2と連動して(他の警報器2と共に)、警報音の発報を行うように構成されている。火元の位置にある警報器2(連動元)は、例えば、「ビュービュー火事です。」という警報音の発報を行う。一方、他の警報器2(連動先)は、火元の位置を特定できるような警報音の発報を行う。ここでは一例として、5つの警報器2のうちいずれか1つが親機として機能し、他の残りの警報器2が子機として機能する。親機の警報器2は、他の子機である警報器2の識別情報を記憶している。以下、親機の警報器2を第1警報器2Aと呼び、子機の警報器2を第2警報器2Bと呼ぶこともある。
【0024】
5つの警報器2は、施設200の1階における3つの部屋、廊下、及び階段の天井面にそれぞれ設置されていることを想定する。ここでは施設200は、複数の管理領域A0に区分されることを想定する(
図3参照)。以下では説明の便宜上、施設200の1階における警報器2が設置されている領域を基準に、施設200を5つの管理領域A0に区分けすることを想定する。言い換えると、警報器2が設置されていない領域(
図3では洗面所L1)を管理領域A0から除外して説明する。しかし、警報器2が設置されていない領域も、1つの管理領域A0でもよい。
【0025】
5つの管理領域A0のうち、3つの部屋をそれぞれ第1管理領域A1、第2管理領域A2、及び第3管理領域A3と呼び、玄関口L2に繋がる廊下を第4管理領域A4と呼び、更に階段を第5管理領域A5と呼ぶ。第1管理領域A1は、台所であり、勝手口L3に繋がっている。第2管理領域A2は、窓L4がある寝室である。窓L4の外側には、後述する電動窓シャッタが備え付けられている。第3管理領域A3は、居間である。第1警報器2A(親機)は、4つの第2警報器2B(子機)の全てと通信できる位置に設置されていることが好ましい。一例として、第1警報器2Aは、第5管理領域A5に設置され、4つの第2警報器2Bは、第1~第4管理領域A1~A4にそれぞれ設置される。
【0026】
以下、
図1を参照しながら警報器2について説明する。第2警報器2Bは、第1警報器2Aに対して、一部の機能を除き、実質的に共通する機能を有している。そのため、第1警報器2Aと実質的に共通する第2警報器2Bの機能については適宜に説明を省略し、第1警報器2Aの機能と異なる第2警報器2Bの機能については、省略せずに適宜に説明することもある。
【0027】
各警報器2は、
図1に示すように、制御部20、第1通信部21、第2通信部22、バッテリー23、報知部E1(作動灯24及び音響部25)、及び検知部26を有している。ただし、第2警報器2Bは、第1通信部21を備えなくてもよい。バッテリー23は、例えば、リチウム電池であり、警報器2は、バッテリー23から供給される電力によって動作する。
【0028】
制御部20は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部20の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0029】
制御部20は、自機の固有の識別情報を記憶している。特に、第1警報器2Aの制御部20は、4つの第2警報器2B及び制御装置10の固有の識別情報を記憶している。第2警報器2Bの制御部20は、第1警報器2Aの固有の識別情報を記憶している。
【0030】
制御部20は、第1通信部21、第2通信部22、報知部E1、及び検知部26等を制御する。また制御部20は、バッテリー23の直流電力から各種の回路の動作電力を生成する電源回路を制御する。
【0031】
検知部26は、火災の発生に伴う煙を検出し、煙の発生量(濃度)に応じて検知量(例えば電圧値)が変化するように構成されている。検知部26は、一例として煙を検知する光電式のセンサである。検知部26は、
図1に示すように、発光部261と、受光部262とを有している。発光部261の発光素子から照射された光が煙の粒子に反射されて生じる散乱光を、受光部262の受光素子が検出することにより、煙の発生を検出する。もちろん、検知部26は、火災の発生に伴う熱に応じて、火災の発生を検知する感熱式で構成されてもよい。制御部20は、検知部26の検知量と、閾値とを比較し、検知量が閾値を上回れば、火災が発生したと判定する。
【0032】
第1通信部21及び第2通信部22は、電波を媒体とする無線信号を送信及び受信する。第1通信部21は、制御装置10と通信するように構成されている。第2通信部22は、他の警報器2と通信するように構成されている。第1通信部21及び第2通信部22の各々は、アンテナと、送信回路と、受信回路とを有している。送信回路は、制御部20から入力されたデータを無線信号に変調し、アンテナを介して送信する。受信回路は、アンテナを介して受信した無線信号を復調し、復調したデータを制御部20に出力する。
【0033】
第1通信部21は、特定小電力無線局に準拠して無線通信を行っており、例えば920MHz帯の電波を利用して、制御装置10との無線通信を行う。一方、第2通信部22は、例えば電波法施工規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して無線通信を行っており、例えば426MHzの周波数帯の電波を利用して、他の警報器2と無線通信を行う。すなわち、制御装置10との通信に使用する周波数帯と、警報器2間の通信に使用する周波数帯とが互いに異なっている。なお、第1通信部21と第2通信部22とは、互いに一体となった1つ通信部として構成されてもよいし、アンテナ、送信回路及び受信回路の少なくとも一部が共用されてもよい。
【0034】
第1警報器2Aは、各第2警報器2Bと制御装置10の両方と通信する親機として機能するため、第1通信部21及び第2通信部22を有している。一方、子機として機能する各第2警報器2Bは、制御装置10と通信する機能を備えていない。つまり、各第2警報器2Bは、第1通信部21を有していない。要するに、各第2警報器2Bは、第1通信部21及び第2通信部22のうち第2通信部22のみを有し、制御装置10とは通信せず、第1警報器2Aと通信を行う点で相違している。5つの警報器2の全てが、制御装置10と通信する機能も備えていて、ディップスイッチ等による切り替えで、各警報器2が親機又は子機に設定されてもよく、この場合、子機に設定された警報器2は、第1通信部21を不使用としてもよい。
【0035】
報知部E1は、作動灯24及び音響部25から構成される。報知部E1は、火災の発生を報知する機能を有している。
【0036】
音響部25は、音(音波)を出力する。音響部25は、制御部20にて火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。音響部25は、電気信号を音に変換するスピーカ、及び音響回路等により構成される。音響部25は、警報音(例えば「ピー」音)を出力する。警報音は、例えば「火事です。火事です。」といった音声メッセージを含んでもよい。また音響部25は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部20が判定した場合に、その発生の旨を報知するための音(報知音)を出力する。音響部25は、動作試験時においても、警報音及び報知音を試験的に出力する。動作試験は、警報器2の筐体から露出する操作ボタンが押し操作されるか、又は筐体から導出されている引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。警報中に操作ボタンが押し操作されると、警報音の出力は停止する。
【0037】
作動灯24は、光源として赤色LED(Light Emitting Diode)240、及び点灯回路等を有している。なお、作動灯24の光源の色は、特に限定されず、赤色以外でもよい。作動灯24は、通常時(火災の監視時)には消灯している。制御部20にて火災が発生したと判定した場合に、作動灯24は、警報音の発報の開始と共に、点滅(又は点灯)を開始し、警報音の発報が停止すると停止する。作動灯24から出射された光は、透光性を有した操作ボタンを介して、警報器2の筐体の外部に導出される。施設200内の人(例えば住人)は、操作ボタン越しの赤色の作動点滅を視認することで、警報器2が作動中(火災を検知中)であることを知ることができる。作動灯24は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部20が判定したとき、その発生の旨を住人に知らせるために点滅する。作動灯24の動作試験は、音響部25と同様に、操作ボタンが押し操作されるか、又は引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。
【0038】
(2.3)制御装置
制御装置10(制御システム1)は、上述の通り施設200内に設置されるHEMSコントローラである。制御装置10は、有線又は無線により、施設200に設けられた複数の電気機器と通信可能である。複数の電気機器は、例えば、照明制御装置、シャッタ制御装置、空調機器、電気錠制御装置、給湯器、及びスマートテレビ等を含み得る。ここでは、複数の電気機器のうち、シャッタ制御装置、電気錠制御装置、及び照明制御装置が、外部機器3に相当する。以下、シャッタ制御装置を第1外部機器31と呼び、電気錠制御装置を第2外部機器32と呼び、照明制御装置を第3外部機器33と呼ぶこともある。
【0039】
また制御装置10は、親機である第1警報器2Aと無線通信を行う。制御装置10は、第1警報器2Aを介して、4つの第2警報器2Bとも通信可能である。さらに制御装置10は、複数の外部機器3、情報端末4、及び施設200の外部に設置されている外部サーバ5とも通信可能である。
【0040】
以下、制御装置10の構成について具体的に説明する。制御装置10は、
図1に示すように、制御部C1、表示部D1、通信部14、及び記憶部15等を備えている。
【0041】
制御部C1は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部C1の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0042】
表示部D1は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイのような薄型のディスプレイ装置である。表示部D1は、制御部C1の制御により、各外部機器3及び警報器2から取得した機器情報を表示してもよい。表示部D1は、記憶部15に蓄積された機器情報をグラフ化して表示してもよい。機器情報は、機器の動作状況、及び消費電力に関する情報を含み得る。表示部D1は、タッチパネル式のディスプレイ装置であることを想定する。表示部D1は、表示部D1の画面上へのタッチ操作等によってユーザからの操作入力を受け付ける。
【0043】
通信部14は、第1警報器2Aと通信を行うための第1通信インタフェースを含んでいる。第1通信インタフェースは、上述の通り920MHz帯の電波を利用して、第1警報器2Aとの無線通信を行う。制御部C1は、第1通信インタフェースを通じて、第1警報器2Aから種々の情報を取得する。
【0044】
また通信部14は、施設200内のルータ等を介してネットワークNT1(
図2参照:例えばインターネット回線)に接続されている第2通信インタフェースを含んでいる。第2通信インタフェースは、ネットワークNT1を介して、情報端末4、及び外部サーバ5と通信を行う。情報端末4は、施設200のユーザ(例えば住人)が所有するスマートフォン、又はタブレット端末等である。本実施形態では、情報端末4は、スマートフォンを想定している。情報端末4には、制御装置10と通信可能とする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。外部サーバ5は、セキュリティ会社等が管理するサーバでもよいし、施設200のハウスメーカー又は工務店等が管理するサーバでもよい。外部サーバ5は、1台のサーバ装置から構成されてもよいし、複数台のサーバ装置から構成されてもよい。
【0045】
さらに通信部14は、複数の外部機器3と通信を行うための第3通信インタフェースを含んでいる。第3通信インタフェースは、例えばLANケーブル等を介して、外部機器3と通信を行なってもよいし、第1通信インタフェースと同様に、920MHz帯の電波を利用して、外部機器3と無線通信を行なってもよい。
【0046】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部15は、制御部C1のメモリでもよい。また以下に説明する記憶部15が記憶する各種の情報の少なくとも一部が、制御部C1のメモリに記憶されてもよい。
【0047】
記憶部15は、複数の外部機器3及び複数の警報器2の各々の識別子(IPアドレス等の識別情報)を記憶している。この他にも記憶部15は、情報端末4及び外部サーバ5等に関する情報(例えばIPアドレス、メールアドレス、及び電話番号等)を記憶する。
【0048】
(2.4)経路情報
ここで制御装置10(制御システム1)の制御部C1は、
図1に示すように、取得部11と、出力処理部12と、設定部13とを有している。すなわち、制御部C1は、取得部11としての機能、出力処理部12としての機能、及び設定部13としての機能を有している。言い換えると、制御システム1は、取得部11と、出力処理部12と、設定部13とを備えている。
【0049】
取得部11は、施設200からの避難を要する火災(災害)の発生に関する発生情報を取得する。具体的には、取得部11は、通信部14の第1通信インタフェースを介して、第1警報器2Aから、発生情報として、火災が発生したという検知結果を示す情報を取得する。
【0050】
出力処理部12は、発生情報の取得をトリガとして施設200における避難経路R1に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。
【0051】
ここでまず「経路情報の生成」について説明する。本実施形態では、出力処理部12は、1又は複数(ここでは5つ)の警報器2(検知器)の設置位置に関する設置情報に基づき、経路情報を生成する。記憶部15は、設置情報を予め記憶する。設置情報は、ユーザインタフェースへの操作によって登録可能となっている。本開示で言う「ユーザインタフェース」とは、タッチパネル式の表示部D1、表示部D1の横に付設されている操作ボタン、及び情報端末4のいずれかに相当するが、特に限定されない。また記憶部15は、表示部D1に施設200の間取図を画像として出力するための画像情報を予め記憶する。画像情報は、施設200の間取図(平面図)に限定されず、施設200の立体図に関する画像情報でもよい。画像情報は、施設200のハウスメーカー等が管理する外部サーバ5からダウンロードされてもよい。
【0052】
ユーザ(住人、制御装置10又は警報器2の施工者等)は、表示部D1に表示される施設200の間取図の画像を見ながら、所定領域をタッチすることで、警報器2の設置位置を登録できてもよい。またユーザは、表示部D1に表示される施設200の間取図の画像を見ながら、管理領域A0も登録できてもよい。制御部C1は、ユーザの操作入力に基づき、5つの警報器2と5つの管理領域A0とをそれぞれ一対一で対応付けした対応関係の情報を、設置情報として記憶部15に記憶する。
【0053】
本実施形態では、出力処理部12は、発生情報と設置情報とに基づき、1又は複数(ここでは5つ)の警報器2(検知器)のうちの火災(災害)の発生を検知した警報器2(検知器)の設置位置を特定する。更に出力処理部12は、特定した設置位置を火災(災害)の発生位置であると判定して、発生位置に基づき経路情報を生成する。
【0054】
本実施形態では、発生情報は、火災が発生したという検知結果を示す情報に加えて、火元の位置にある警報器2(つまり連動元)の識別情報も含む。言い換えると、第1警報器2Aは、制御装置10に、火災を検知した連動元の警報器2の識別情報も送信する。出力処理部12は、記憶部15内の設置情報を参照して、連動元の警報器2がどの管理領域A0に設置されているかを特定する。出力処理部12は、該当する管理領域A0を特定すると、その管理領域A0を火災の発生位置であると判定して、発生位置に基づき経路情報を生成する。具体的には、出力処理部12は、火災の発生位置を避けるような避難経路R1、又は火災の発生位置から最も離れている出口B0(
図3参照)に向かうような避難経路R1となる経路情報を生成する。ここでは、出口B0の候補は、玄関口L2、勝手口L3及び窓L4に相当する。すなわち、出力処理部12は、火災(災害)の発生位置に基づき施設200における複数(ここでは3つ)の出口B0から避難口を決定して、避難口の位置に基づき経路情報を生成する。
【0055】
また本実施形態では、出力処理部12は、複数の管理領域A0の各々を出発点P1(
図3参照)として避難する場合における避難経路R1に関するパターン情報に基づいて、経路情報を生成する。記憶部15は、パターン情報を予め記憶する。パターン情報は、ユーザインタフェースへの操作によって登録可能となっている。ユーザは、表示部D1に表示される施設200の間取図の画像を見ながら、所定領域をタッチすることで、パターン情報を登録できてもよい。なお、
図3及び
図4は、表示部D1又は情報端末4等に表示され得る、施設200の間取図の画像の一例を示す。
【0056】
例えば、第2管理領域A2(寝室)を出発点P1として避難する避難経路R1の候補は、
図3に示すように、第1経路R11、第2経路R12、及び第3経路R13を含み得る。第1経路R11は、出発点P1→第1管理領域A1→第4管理領域A4→玄関口L2という経路である。第2経路R12は、出発点P1→第1管理領域A1→勝手口L3という経路である。第3経路R13は、出発点P1→窓L4という経路である。制御部C1は、ユーザからの操作入力によって、第1経路R11、第2経路R12、及び第3経路R13に関する情報を、第2管理領域A2(寝室)に対するパターン情報として登録可能となっている。制御部C1は、同様に、他の管理領域A0に対するパターン情報も登録可能となっている。パターン情報は、ユーザからの操作入力によって登録される以外に、制御部C1によって自動的に生成されてもよい。制御部C1は、管理領域A0と出口B0(玄関口L2、勝手口L3及び窓L4)との配置関係から、パターン情報を自動的に生成してもよい。
【0057】
また出力処理部12は、複数(ここでは5つ)の管理領域A0のうちのいずれかの管理領域A0に人が存在する場合、当該管理領域A0を出発点P1とした避難経路R1に関する経路情報を生成する。具体的には、実際に火災が発生した場合に、出力処理部12は、施設200内の人(例えば住人)が避難を開始する出発点P1を判定する。出力処理部12は、各管理領域A0における人の存否について、以下の第1情報及び第2情報の少なくとも一方に基づいて判定する。
【0058】
第1情報は、施設200の複数の管理領域A0に設置されて、人から放射される赤外線を検知する1又は複数の人感センサによる検知結果を含む情報である。例えば、出力処理部12は、ある人感センサから、人が存在することを示す検知信号を受信すれば、当該人感センサが設置されている管理領域A0に人が存在すると判定し、当該管理領域A0を出発点P1に設定する。なお、人感センサの代わりに、カメラ等の撮像装置が設置されて、撮像装置で撮像された映像から人を検知してもよい。
【0059】
第2情報は、施設200の複数の管理領域A0に設置される複数の外部機器3(電気機器)の稼働状況に関する情報である。第2情報は、外部機器3の消費電力に関する情報でもよい。例えば、出力処理部12は、ある空調機器が稼働中であることを示す信号を、当該空調機器のコントローラから受信すれば、当該空調機器が設置されている管理領域A0に人が存在すると判定し、当該管理領域A0を出発点P1に設定する。
【0060】
要するに、本実施形態の出力処理部12は、発生情報と設置情報とから火災の発生位置を判定し、更に施設200内に人が存在すれば、その人が存在する管理領域A0を出発点P1に設定する。そして、出力処理部12は、その出発点P1に対応するパターン情報の中から、火災の発生位置を避けるような(又は最も遠い)出口B0に該当する最適な避難経路R1を選定する。ただし、上述した出力処理部12の構成は単なる一例であり、火災の発生位置を判定することは必須の構成ではない。火災が発生すれば、発生位置に関わらず、固定的な1つの避難経路R1に関する経路情報が生成されてもよい。また出発点P1の設定、人の存否の判定、及び最適な避難経路R1の選定も必須の構成ではない。固定的な複数の避難経路R1に関する経路情報が生成されてもよい。
【0061】
なお、出力処理部12は、更に、少なくとも施設200の外周囲の環境に関する環境情報に基づいて経路情報を生成してもよい。この場合、記憶部15は、環境情報を予め記憶している。環境情報は、外部サーバ5からダウンロードされてもよい。環境情報は、施設200の外周囲にある道路、近隣施設(住宅、公園、商業施設、駅等)、及び街灯等に関する地図情報を含み得る。出力処理部12は、環境情報に基づいて、複数の出口B0に対して優先度を割り振る。例えば、比較的道幅の広い道路に面した出口B0、又は街灯がある道路に面した出口B0等には、高い優先度が割り振られる。一方、比較的道幅の狭い道路に面した出口B0、又は袋小路になっている道路に面した出口B0等には、低い優先度が割り振られる。出力処理部12は、避難口の候補が複数ある場合、優先度が高く設定されている出口B0を避難口に決定してもよい。各出口B0の優先度は、ユーザからの入力操作によって設定可能でもよい。
【0062】
次に「経路情報に応じた出力の実行」について説明する。ここでは一例として、出力処理部12は、第1出力と、第2出力と、第3出力の3つを実行するが、いずれか一つの出力のみを実行してもよい。
【0063】
第1出力は、外部機器3を制御するための制御信号の送出を含む。すなわち、出力処理部12は、経路情報に応じた出力の実行として、施設200における少なくとも1つの外部機器3を制御するための制御信号を送出する。外部機器3は、施設200における火災(災害)の発生を検知する警報器2以外の機器である。出力処理部12は、1又は複数の第1外部機器31(シャッタ制御装置)、1又は複数の第2外部機器32(電気錠制御装置)、及び複数の第3外部機器33(複数の照明制御装置)を制御するための制御信号を送出する。制御装置10は、通信部14より、制御対象となる外部機器3に制御信号を送信する。以下では、第1外部機器31の数は1つとし、第2外部機器32の数は2つとするが、これらの数は特に限定されない。
【0064】
第1外部機器31は、第2管理領域A2(寝室)の窓L4の外側に設置されている電動窓シャッタを制御する。第1外部機器31は、例えば、第2管理領域A2の壁面等に設置されている。第1外部機器31は、電動窓シャッタと無線通信(有線でもよい)を行い、電動窓シャッタを開閉する駆動信号を送信する。第1外部機器31は、制御装置10から制御信号を受信すると、電動窓シャッタに対して、制御信号に応じた動作(例えば開動作)を実行させるように駆動信号を送信する。
【0065】
2つの第2外部機器32は、玄関口L2のドアの電気錠と、勝手口L3のドアの電気錠とを、それぞれ制御する。一方の第2外部機器32は、例えば、第4管理領域A4(廊下)の壁面等に設置され、他方の第2外部機器32は、第1管理領域A1(台所)の壁面等に設置される。各第2外部機器32は、対応する電気錠と有線通信(無線でもよい)を行い、当該電気錠を施錠又は解錠する駆動信号を送信する。各第2外部機器32は、制御装置10から制御信号を受信すると、対応する電気錠に対して、制御信号に応じた動作(例えば解錠動作)を実行させるように駆動信号を送信する。
【0066】
複数の第3外部機器33は、第1管理領域A1~第5管理領域A5の壁面等にそれぞれ設置されている。各第3外部機器33は、対応する管理領域A0の天井面等に設置されている照明器具と無線通信(有線でもよい)を行い、照明器具を点灯、調光、又は消灯する信号を送信する。各第3外部機器33は、制御装置10から制御信号を受信すると、対応する照明器具に対して、制御信号に応じた動作(例えば調光率100%の全点灯)を実行させるように信号を送信する。
【0067】
第2出力は、表示部D1への経路情報の表示を含む。すなわち、表示部D1は、経路情報を表示する。出力処理部12は、経路情報に応じた出力の実行として、表示部D1に経路情報を表示させる。具体的には、出力処理部12は、表示部D1に、施設200の間取図の画像と共に経路情報を提示させる。経路情報は、
図4に示すように、間取図の画像に重畳させるような矢印H1によって避難経路R1が分かるように提示されてもよいし、避難経路R1に該当する1又は複数の管理領域A0及び出口B0の画像領域を点滅表示させてもよい。
図4の例では、避難口に決定された出口B0(勝手口L3及び窓L4)を点滅表示させている。表示部D1は、出発点P1に該当する管理領域A0が他の管理領域A0と区別できるように表示することが望ましい(
図4の例では、出発点P1となる第2管理領域A2をドットハッチングで示す)。表示部D1は、火災の発生位置が分かるように表示することが望ましい。表示部D1は、経路情報として、例えば「廊下に出て玄関口から避難してください」といったメッセージを文字で提示してもよい。
【0068】
第2出力は、音声メッセージの出力を更に含んでもよい。出力処理部12は、制御装置10に備え付けのスピーカ等から、避難経路R1を指定する音声メッセージを出力させてもよい。
【0069】
第2出力は、住人が携帯する情報端末4の表示部への経路情報の表示を含んでもよい。出力処理部12は、通信部14から情報端末4に経路情報を送信して、表示部D1への提示と同様に、間取図の画像に重畳させるような矢印H1によって避難経路R1が分かるように、情報端末4の表示部に表示させてもよい。また第2出力は、インターネット接続可能なテレビジョン受信機(スマートテレビ)の表示部への経路情報の表示を含んでもよい。
【0070】
第3出力は、情報提供として外部サーバ5への経路情報の送出を含む。出力処理部12は、通信部14から外部サーバ5に経路情報を送信する。具体的には、例えば、制御装置10は、外部サーバ5に対して、施設200で火災が発生した旨を通知すると共に、制御装置10によってどのような避難経路R1が選定されたかを通知する。外部サーバ5の側では、制御装置10が選定した避難経路R1に対するデータ分析等を行うことができる。
【0071】
ところで、上述した第1出力~第3出力の全てが実行されることは、施設200の住人が望まない場合が有り得る。具体的には、ある特定の外部機器3には、制御信号の送出を望まない場合が有り得る。また住人の家族内で子供が所有する情報端末4には、経路情報の表示を望まない場合も有り得る。
【0072】
そこで、本実施形態の制御部C1の設定部13は、上述した第1出力~第3出力の有効又は無効を設定する。すなわち、設定部13は、各外部機器3に対して制御信号の送出を行うか否かを設定する。また設定部13は、表示部D1及び情報端末4の表示部に対して経路情報の表示を行うか否かを設定する。また設定部13は、外部サーバ5に対して経路情報の送出を行うか否かを設定する。設定部13は、ユーザインタフェースを介して、例えば表示部D1(情報端末4の表示部でもよい)に設定画面を表示させて、表示部D1へのタッチ操作等によりユーザからの入力を受け付ける。このように制御部C1が設定部13を有していることで、外部機器3に対する制御の可否を容易に設定できる。
【0073】
特に、制御装置10は、ユーザインタフェースを介して、「在(在宅)」又は「不在(外出)」を申請するための操作入力を受け付けるように構成されてもよい。制御装置10は、住人が外出する際に住人から「不在」の申請を受け付けることで、少なくとも第1出力の実行を無効に切り替えてもよい。要するに、住人が外出中に警報器2が火災を検知した場合、住人が施設200内に居ないにも関わらず、ドアの電気錠が勝手に解錠されると、施設200のセキュリティが低下する可能性がある。このように「不在」の申請により第1出力の実行が無効になることで、施設200のセキュリティの低下が抑制される。制御装置10は、住人が帰宅して「在」の申請を受け付けることで、第1出力の実行を有効に切り替える。
【0074】
(2.5)動作説明
以下、防災システム100における動作について
図5を参照しながら説明する。以下では、一例として、施設200の住人が夜間に第2管理領域A2(寝室)で就寝中に、第3管理領域A3(居間)で火災が発生したことを想定する。
【0075】
第3管理領域A3に設置されている警報器2(第2警報器2B)は、火災を検知する(ステップS1)。警報器2は、警報音を発報し(ステップS2)、警報信号を親機である第1警報器2Aに送信する(ステップS3)。第1警報器2Aは、警報器2から警報信号を受信すると、自機も警報音を発報し、他の警報器2へも警報信号を送信して、警報音の発報を連動させる(ステップS4)。さらに第1警報器2Aは、発生情報を含む信号を、制御装置10へ送信する(ステップS5)。
【0076】
制御装置10は、発生情報を含む信号を受信すると、発生情報と設置情報とから、火災の発生位置が第3管理領域A3(居間)であると判定する(ステップS6)。また制御装置10は、第2管理領域A2(寝室)に設置されている人感センサ等から受信する検知信号から、住人が第2管理領域A2に存在していると判定し、第2管理領域A2を出発点P1に設定する(ステップS7)。制御装置10は、火災の発生位置が玄関口L2に比較的近い居間であるため、その出発点P1に対応するパターン情報の中で、避難口が玄関口L2に設定されている第1経路R11を除外する。ここでは一例として、制御装置10は、避難口が勝手口L3に設定されている第2経路R12と、避難口が窓L4に設定されている第3経路R13の2つを避難経路R1として選定する(ステップS8)。制御装置10は、この2つの避難経路R1に関する経路情報を生成する(ステップS9)。
【0077】
そして、制御装置10は、経路情報に応じた第1出力~第3出力を実行する。
【0078】
制御装置10は、第1出力として、施設200にある複数の外部機器3のうち、この2つの避難経路R1上に存在する外部機器3を制御対象に定めて、制御信号を送信する(ステップS10)。すなわち、制御装置10は、第1外部機器31に制御信号を送信して、窓L4の電動窓シャッタに開動作をさせる。また制御装置10は、勝手口L3側の第2外部機器32に制御信号を送信して、勝手口L3のドアの電気錠を開錠させる。さらに制御装置10は、第1管理領域A1、第2管理領域A2及び勝手口L3に設置されている第3外部機器33に制御信号を送信して、対応する照明器具を点灯させる。制御対象となった外部機器3は、制御信号を受信すると、対応する制御を実行する(ステップS11)。
【0079】
制御装置10は、第2出力として、表示部D1に経路情報を表示させる(ステップS12)。また制御装置10は、第2出力として、通信部14から情報端末4に経路情報を含む信号を送信する(ステップS13)。情報端末4は、経路情報を含む信号を受信すると、自機の表示部に経路情報を表示する(ステップS14)。制御装置10は、第3出力として、通信部14から外部サーバ5に経路情報を通知する(ステップS15)。
【0080】
このように本実施形態では、出力処理部12が、発生情報の取得をトリガとして施設200における避難経路R1に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。したがって、火災(災害)の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることできる。また発生情報が、警報器2における火災の検知結果を示す情報であるため、避難に要する時間を更に短縮できる。また警報器2の設置情報に基づき、経路情報を生成するため、より信頼性の高い経路情報を生成できる。また出力処理部12は、火災の発生位置に基づき避難口を決定して、その避難口の位置に基づき経路情報を生成するため、より信頼性の高い経路情報を生成できる。
【0081】
さらに出力処理部12は、火災の発生位置を特定した上で経路情報を生成するため、例えば避難する人が誤って火災の発生位置に向かう可能性を低減できる。また出力処理部12は、複数の管理領域A0の各々を出発点P1として避難する場合におけるパターン情報に基づいて、経路情報を生成するため、その管理領域A0に対応した経路情報を生成できる。特に、出力処理部12は、人が存在する管理領域A0を出発点P1とした避難経路R1に関する経路情報を生成するため、より信頼性の高い経路情報を生成できる。なお、複数の人が、複数の管理領域A0にわたって存在する場合、出力処理部12は、各人が存在する管理領域A0を出発点P1とした避難経路R1を複数生成してもよい。
【0082】
例えば夜間等のように施設200の住人が就寝中である時間帯では、施設200の照明器具は消灯していて、施設200のドアの電気錠は施錠されている可能性が高い。同様に施設200の電動窓シャッタも閉じている可能性がある。実際に火災が発生して住人が避難する際に、暗闇の中で照明器具を点灯させるために壁スイッチを探す、ドアの錠を開錠する、及び電動窓シャッタを開けるといった行動は、避難時間を遅延する行動になり得る。特にこれらの行動は、子供や高齢者等の住人にとっては、避難時間の大きな遅延となり得る。この点で本実施形態では、出力処理部12は、経路情報に応じた第1出力の実行として、制御対象の外部機器3に制御信号を送信する。言い換えれば、出力処理部12は、避難経路R1を確保するように外部機器3を制御するように構成されている。そのため、避難に要する時間を更に短縮できる。避難経路R1上の照明器具が点灯するため、住人にとっては、単に壁スイッチを操作する手間が省けるだけでなく、その明かりが避難経路R1を指し示すものであると視覚的に認識できる。
【0083】
また本実施形態では、出力処理部12は、経路情報に応じた第2出力の実行として、表示部D1や情報端末4の表示部に経路情報を表示させる。つまり、経路情報が視覚的に出力されるため、避難経路R1に対する認識性が向上される。
【0084】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。上記実施形態に係る制御システム1は、処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。処理方法は、取得ステップと、出力処理ステップと、を含む。取得ステップにて、施設200からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。出力処理ステップにて、発生情報の取得をトリガとして施設200における避難経路R1に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。
【0085】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0086】
本開示における制御システム1(制御装置10)は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0087】
また、制御システム1及び防災システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム1及び防災システム100に必須の構成ではない。制御システム1及び防災システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、制御システム1及び防災システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されてもよい。さらに、制御システム1及び防災システム100の少なくとも一部の機能、例えば、制御システム1及び防災システム100の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0088】
基本例では、出力処理部12は、人感センサ、撮像装置、又は電気機器の稼働状況に基づいて、人が存在している管理領域A0を判定して出発点P1を設定している。しかし、出力処理部12は、ユーザインタフェースに対する人(住人)からの操作入力に応じて、出発点P1を設定してもよい。例えば、制御装置10は、ユーザインタフェースを介して住人から「就寝」を申請するための操作入力を受け付けると、以降、火災が発生した場合に、出発点P1を第2管理領域A2(寝室)に自動的に設定してもよい。
【0089】
基本例では、出力処理部12は、第1出力の実行として、避難経路R1上にある複数の照明器具を点灯させるように制御信号を送信している。しかし、出力処理部12は、第1出力の実行として、複数の照明器具を消灯させるように制御信号を送信してもよい。例えば、出力処理部12は、避難経路R1上にある複数の照明器具を点灯させて、それ以外の照明器具を消灯させるように制御信号を送信してもよい。また出力処理部12は、第1出力の実行として、避難経路R1上にある複数の照明器具を点滅させるように制御信号を送信してもよいし、調光率100%未満で調光させるように制御信号を送信してもよい。また出力処理部12は、避難経路R1を視認させるために、複数の照明器具に対して、全点灯、調光点灯、点滅点灯、及び消灯を組み合わせて制御してもよい。例えば、出力処理部12は、避難経路R1以外の照明器具を全点灯させて、避難経路R1上の照明器具を点滅させてもよいし、避難経路R1以外の照明器具を50%の調光率で調光点灯させて、避難経路R1上の照明器具を全点灯させてもよい。
【0090】
基本例における各警報器2は、例えば、照明光を出力する照明部を有してもよい。この場合、出力処理部12は、第1出力の実行として、例えば、避難経路R1上にある照明器具を点灯させる代わりに、避難経路R1上にある警報器2の照明部を点灯させるように親機である第1警報器2Aに制御信号を送信してもよい。第1警報器2Aは、受信した制御信号に基づき、制御対象に選ばれた警報器2に対して、照明部を点灯させる信号を送信する。
【0091】
ところで、基本例では、一例として災害が火災であることを想定して、5つの警報器2は、全て火災警報器であった。しかし、「(1)概要」の欄でも説明した通り、災害は、ガス漏れ、不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等でもよい。防災システム100は、検知器として、少なくとも1つのガス検知器を備えてもよい。すなわち、基本例の複数の警報器2は、例えば、1つ以上の火災警報器と1つ以上のガス警報器とを含んでもよいし、全ての警報器2が、火災警報器の代わりにガス警報器であってもよい。
【0092】
以下、複数の警報器2が1つ以上のガス警報器を含む場合について、具体的に説明する。ガス警報器(警報器2)は、施設200に設置されて施設200におけるガスの発生を検知する。検知対象のガスは、特に限定されず、LP(Liquefied Petroleum)ガス、メタン、プロパン、水素、及びガソリン等の可燃性ガス、並びに、CO等の有毒ガスを含み得る。
【0093】
出力処理部12は、火災(災害)の発生位置とガス(災害)の発生位置とに基づき施設200における複数の出口B0から避難口を決定して、避難口の位置に基づき経路情報を生成する。特に出力処理部12は、経路情報の生成の際に、ガス警報器の検知結果(ガス濃度に関する情報を含んでもよい)から、候補となる複数の避難経路R1におけるガスの危険度合を判定して、危険度合の最も低い避難経路R1を選定してもよい。
【0094】
また基本例では、避難経路R1に関するパターン情報が、ユーザインタフェースへの操作によって記憶部15に登録可能である点を説明した。ここで可燃性ガス、有毒ガス等の危険度合も考慮した避難経路R1に関するパターン情報が記憶部15に登録可能でもよい。
【0095】
ユーザは、例えば、表示部D1に表示される施設200及びその周辺の地図画像を見ながら、施設200に隣接する駐車場(ガソリンを考慮)、及びガスボンベの設置場所等を記憶部15に登録できてもよい。出力処理部12は、経路情報を生成する際に、登録された駐車場及びガスボンベの設置場所を避けるような避難経路R1を選定してもよい。また出力処理部12は、登録された駐車場又はガスボンベの設置場所に比較的近い位置に設置されているガス警報器(警報器2)の検知結果を取得して、避難経路R1の選定に反映させてもよい。
【0096】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る制御システム(1)は、取得部(11)と、出力処理部(12)と、を備える。取得部(11)は、施設(200)からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。出力処理部(12)は、発生情報の取得をトリガとして施設(200)における避難経路(R1)に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。第1の態様によれば、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることできる。
【0097】
第2の態様に係る制御システム(1)に関して、第1の態様において、発生情報は、施設(200)に設置されて施設(200)における災害の発生を検知する1又は複数の検知器(警報器2)における災害の検知結果を示す情報である。第2の態様によれば、施設(200)における災害の検知結果の取得をトリガとして経路情報に応じた出力を実行するため、避難に要する時間を更に短縮できる。
【0098】
第3の態様に係る制御システム(1)に関して、第2の態様において、出力処理部(12)は、1又は複数の検知器(警報器2)の設置位置に関する設置情報に基づき、経路情報を生成する。第3の態様によれば、より信頼性の高い経路情報を生成できる。
【0099】
第4の態様に係る制御システム(1)に関して、第3の態様において、出力処理部(12)は、発生情報と設置情報とに基づき、1又は複数の検知器(警報器2)のうちの災害の発生を検知した検知器の設置位置を特定する。更に出力処理部(12)は、特定した設置位置を災害の発生位置であると判定して、発生位置に基づき経路情報を生成する。第4の態様によれば、災害の発生位置を特定した上で経路情報を生成するため、例えば避難する人が災害の発生位置に向かう可能性を低減できる。
【0100】
第5の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、施設(200)は、複数の管理領域(A0)に区分される。出力処理部(12)は、複数の管理領域(A0)の各々を出発点(P1)として避難する場合における避難経路(R1)に関するパターン情報に基づいて、経路情報を生成する。第5の態様によれば、避難を開始する出発点(P1)がいずれの管理領域(A0)であっても、その管理領域(A0)に対応した経路情報を生成できる。
【0101】
第6の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、出力処理部(12)は、災害の発生位置に基づき施設(200)における複数の出口(B0)から避難口を決定して、避難口の位置に基づき経路情報を生成する。第6の態様によれば、より信頼性の高い経路情報を生成できる。
【0102】
第7の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、出力処理部(12)は、少なくとも施設(200)の外周囲の環境に関する環境情報に基づいて経路情報を生成する。第7の態様によれば、より信頼性の高い経路情報を生成できる。
【0103】
第8の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、施設(200)は、複数の管理領域(A0)に区分される。出力処理部(12)は、複数の管理領域(A0)のうちのいずれかの管理領域(A0)に人が存在する場合、当該管理領域(A0)を出発点(P1)とした避難経路(R1)に関する経路情報を生成する。第8の態様によれば、より信頼性の高い経路情報を生成できる。
【0104】
第9の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、出力処理部(12)は、経路情報に応じた出力の実行として、施設(200)における少なくとも1つの外部機器(3)を制御するための制御信号を送出する。外部機器(3)は、施設(200)における災害の発生を検知する検知器(警報器2)以外の機器である。第9の態様によれば、避難に要する時間を更に短縮できる。
【0105】
第10の態様に係る制御システム(1)に関して、第9の態様において、出力処理部(12)は、避難経路(R1)を確保するように外部機器(3)を制御する。第10の態様によれば、避難に要する時間を更に短縮できる。
【0106】
第11の態様に係る制御システム(1)は、第9の態様又は第10の態様において、外部機器(3)に対して制御信号の送出を行うか否かを設定する設定部(13)を、更に備える。第11の態様によれば、外部機器(3)に対する制御の可否を容易に設定できる。
【0107】
第12の態様に係る制御システム(1)は、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、経路情報を表示する表示部(D1)を、更に備える。出力処理部(12)は、経路情報に応じた出力の実行として、表示部(D1)に経路情報を表示させる。第12の態様によれば、経路情報が視覚的に出力されるため、避難経路に対する認識性が向上される。
【0108】
第13の態様に係る防災システム(100)は、第1~第12の態様のいずれか1つにおける制御システム(1)と、1又は複数の検知器(警報器2)と、を備える。1又は複数の検知器は、施設(200)に設置されて施設(200)における災害の発生を検知する。発生情報は、1又は複数の検知器における災害の検知結果を示す情報である。第13の態様によれば、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることが可能な制御システム(1)を備えた防災システム(100)を提供できる。
【0109】
第14の態様に係る処理方法は、制御システム(1)の処理方法である。処理方法は、取得ステップと、出力処理ステップと、を含む。取得ステップにて、施設(200)からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する。出力処理ステップにて、発生情報の取得をトリガとして施設(200)における避難経路(R1)に関する経路情報を生成して、経路情報に応じた出力を実行する。第14の態様によれば、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることが可能な処理方法を提供できる。
【0110】
第15の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様における処理方法を実行させるためのプログラムである。第15の態様によれば、災害の発生時に避難に要する時間の短縮を図ることが可能な機能を提供できる。
【0111】
第2~第12の態様に係る構成については、第1の態様に係る制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 制御システム
11 取得部
12 出力処理部
13 設定部
2 警報器(検知器)
3 外部機器
100 防災システム
200 施設
A0 管理領域
B0 出口
D1 表示部
P1 出発点
R1 避難経路