(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】充電制御方法、プログラム、及び充電制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241101BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20241101BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241101BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241101BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241101BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241101BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20241101BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/30
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2020156769
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 英司
(72)【発明者】
【氏名】有村 耕治
(72)【発明者】
【氏名】松田 賢一
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-289414(JP,A)
【文献】特開2019-101963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業装置のそれぞれが備える蓄電部の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値を設定する設定処理と、
前記複数の作業装置の各々を制御対象の作業装置として、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の充電を制御する充電制御処理と、を含み、
前記充電制御処理では、
前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の残量が前記第1閾値以下である緊急充電状態において、前記複数の作業装置のうち充電中の作業装置の充電開始からの充電時間
が一定の緊急充電時間に達したという緊急充電判定条件が成立すると、
前記充電中の作業装置の充電を停止させて、前記制御対象の作業装置に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力
し、
前記緊急充電指示では、前記制御対象の作業装置に対して前記蓄電部を前記緊急充電時間だけ充電するよう指示する、
充電制御方法。
【請求項2】
前記充電時間が前記緊急充電時間に達することをもって前記充電中の作業装置が充電を停止するまで、前記制御対象の作業装置が待機する、
請求項1に記載の充電制御方法。
【請求項3】
前記設定処理では、前記蓄電部の残量に対する閾値として、前記第1閾値よりも大きい第2閾値を更に設定し、
前記充電制御処理では、
前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の残量が前記第1閾値より大きく、かつ、前記第2閾値以下である通常充電状態では、通常充電判定条件が成立すると、前記制御対象の作業装置に対して充電開始を指示する通常充電指示を出力する、
前記通常充電判定条件は、
前記複数の作業装置に対して与えられる作業のタスク数に基づく条件を含む、
請求項1又は2に記載の充電制御方法。
【請求項4】
前記通常充電判定条件は、
未実行の作業の有無に関する条件を含む、
請求項3に記載の充電制御方法。
【請求項5】
前記通常充電判定条件は、
前記タスク数が所定の基準レベルよりも少ない低タスク期間であるという条件を含む、
請求項3に記載の充電制御方法。
【請求項6】
前記通常充電指示は、前記制御対象の作業装置に対して所定の通常充電時間の充電を指示し、
前記通常充電時間は、前記制御対象の作業装置が充電を開始するタイミングでの前記蓄電部の残量に基づいて設定される、
請求項3~5のいずれか1項に記載の充電制御方法。
【請求項7】
前記作業装置が実行する作業は、搬送物を搬送する搬送作業である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の充電制御方法。
【請求項8】
コンピュータシステムに、請求項1~7のいずれか1項に記載の充電制御方法を実行させるための、
プログラム。
【請求項9】
複数の作業装置のそれぞれが備える蓄電部の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値を設定する設定部と、
前記複数の作業装置の各々を制御対象の作業装置として、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の充電を制御する充電制御部と、を含み、
前記充電制御部は、
前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の残量が前記第1閾値以下である緊急充電状態において、前記複数の作業装置のうち充電中の作業装置の充電開始からの充電時間が一定の緊急充電時間に達したという緊急充電判定条件が成立すると、前記充電中の作業装置の充電を停止させて、前記制御対象の作業装置に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力し、
前記緊急充電指示では、前記制御対象の作業装置に対して前記蓄電部を前記緊急充電時間だけ充電するよう指示する、
充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御方法、プログラム、及び充電制御システムに関する。より詳細には、本開示は、作業を実行する作業装置の充電を制御する充電制御方法、プログラム、及び充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、充電器と充電制御装置を備える移動ロボット充電システムを開示する。充電器は、複数の移動ロボット(作業装置)のバッテリ(蓄電部)の充電を行う。充電制御装置は、複数の移動ロボットのそれぞれについて、放電中及び充電中のそれぞれで充電残量に応じた優先度を設定する。充電制御装置は、充電器が充電可能な最大数の移動ロボットを充電中に、新たに充電が必要になった移動ロボットの優先度が、充電中の移動ロボットの優先度よりも高い場合、充電中の移動ロボットのうち優先度が最も低い移動ロボットの充電を停止させる。そして、充電制御装置は、新たに充電が必要になった移動ロボットを充電器まで自動走行させて充電作業を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の移動ロボット充電システムでは、新たに充電が必要になった移動ロボットの優先度と、充電中の移動ロボットの優先度とを比較するため、充電中の移動ロボットについてもバッテリの残量を常時監視し、残量に応じた優先度を設定する必要がある。これにより、充電制御装置と複数の移動ロボットとの間の通信トラフィックが増大する可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、作業装置との通信による通信トラフィックを低減可能な充電制御方法、プログラム、及び充電制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の充電制御方法は、設定処理と、充電制御処理と、を含む。前記設定処理は、複数の作業装置のそれぞれが備える蓄電部の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値を設定する。前記充電制御処理は、前記複数の作業装置の各々を制御対象の作業装置として、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の充電を制御する。前記充電制御処理では、緊急充電状態において、緊急充電判定条件が成立すると、前記充電中の作業装置の充電を停止させて、前記制御対象の作業装置に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。前記緊急充電状態は、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の残量が前記第1閾値以下である状態である。前記緊急充電判定条件は、前記複数の作業装置のうち充電中の作業装置の充電開始からの充電時間が一定の緊急充電時間に達したという条件である。前記緊急充電指示では、前記制御対象の作業装置に対して前記蓄電部を前記緊急充電時間だけ充電するよう指示する。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータシステムに、前記充電制御方法を実行させるための、プログラムである。
【0008】
本開示の一態様の充電制御システムは、設定部と、充電制御部と、を含む。前記設定部は、複数の作業装置のそれぞれが備える蓄電部の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値を設定する。前記充電制御部は、前記複数の作業装置の各々を制御対象の作業装置として、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の充電を制御する。前記充電制御部は、緊急充電状態において、緊急充電判定条件が成立すると、前記充電中の作業装置の充電を停止させて、前記制御対象の作業装置に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。前記緊急充電状態は、前記制御対象の作業装置が備える前記蓄電部の残量が前記第1閾値以下である状態である。前記緊急充電判定条件は、前記複数の作業装置のうち充電中の作業装置の充電開始からの充電時間が一定の緊急充電時間に達したという条件である。前記緊急充電指示では、前記制御対象の作業装置に対して前記蓄電部を前記緊急充電時間だけ充電するよう指示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、作業装置との通信による通信トラフィックを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る充電制御システムによって充電が制御される作業装置が作業を行う作業エリアの模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、同上の充電制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の作業装置が備える蓄電部の残量に対して設定される閾値の説明図である。
【
図4】
図4は、同上の充電制御システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、同上の作業装置が備える蓄電部の残量の時間変化を示すグラフである。
【
図6】
図6は、同上の作業装置が行う作業のタスク数の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係る充電制御システム1は、
図1に示すように、所定の作業エリアA1において作業を実行する複数の作業装置2の充電を制御するためのシステムである。
【0012】
作業装置2は、蓄電部24(
図2参照)を備え、蓄電部24に蓄えられている電気エネルギを利用して、作業を実行する。以下の実施形態において、作業装置2は、サーバ装置3からの指示を受けて、作業エリアA1内で搬送物を搬送する搬送作業を行う搬送装置である。つまり、作業装置2が実行する「作業」は、搬送物を搬送する搬送作業である。この種の搬送装置は、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット及びドローン等を含み得る。本開示でいう移動ロボットは、例えば、車輪型、クローラ型又は脚型(歩行型を含む)のロボットである。なお、作業装置2が行う作業は、搬送物を搬送する搬送作業に限定されず、例えば、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を有していてもよい。
【0013】
作業エリアA1には、作業装置2を充電するための充電器4が設置されている。作業エリアA1には、充電器4により充電中の作業装置2以外の作業装置2の進入を禁止する充電エリアA2が設定されている。また、作業エリアA1には、充電器4が作業装置2を充電している場合に、充電器4が空くのを待っている別の作業装置2が待機する充電待機エリアA3が、充電エリアA2に隣接して設定されている。
【0014】
ここにおいて、充電器4の数は、作業エリアA1で使用される作業装置2の数よりも少なく、
図1の例では2台の作業装置2に対して1台の充電器4が設置されている。換言すると、充電器4で同時に充電可能な作業装置2の数(以下、「充電可能台数」と言う。)よりも、作業エリアA1で使用される作業装置2の数の方が多くなっている。そのため、充電可能台数よりも多い数の作業装置2で蓄電部24の充電が必要になると、充電器4が使用中のために充電待ちを行う作業装置2が発生し、作業(例えば搬送作業)を実行可能な作業装置2の数が少なくなるという問題もある。なお、以下の説明において、2台の作業装置2を区別する場合、作業装置2A,2Bと表記する場合もある。以下の説明では作業装置2の台数が2台であるが、作業装置2の台数は2台に限定されず、3台以上でもよい。
【0015】
本実施形態の充電制御システム1は、
図2に示すように、設定部31と、充電制御部32とを備える。
【0016】
設定部31は、複数の作業装置2A,2Bのそれぞれが備える蓄電部24の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値(緊急充電判定閾値)L1を設定する(
図3参照)。
【0017】
充電制御部32は、複数の作業装置2A,2Bの各々を制御対象の作業装置2X(作業装置2A又は2B)として、制御対象の作業装置2X(作業装置2A又は2B)が備える蓄電部24の充電を制御する。
【0018】
充電制御部32は、緊急充電状態R1において、緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置2Xに対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。緊急充電状態R1は、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の残量が第1閾値L1以下である状態である。緊急充電判定条件は、複数の作業装置2のうち充電中の作業装置2の充電開始からの充電時間に基づく条件を含む。
【0019】
ここにおいて、充電制御部32による蓄電部24の充電の制御は、充電制御部32が制御対象の作業装置2Xに対して緊急充電指示を出力し、制御対象の作業装置2Xに緊急充電指示に応じた充電(以下、緊急充電ともいう)を行わせることで、蓄電部24の充電を間接的に制御することを含む。なお、充電制御部32による蓄電部24の充電の制御は、蓄電部24を充電する充電器4の動作を直接制御することを含んでもよい。
【0020】
本実施形態の充電制御システム1では、蓄電部24の残量が第1閾値L1以下である緊急充電状態R1になった場合に、所定の緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置2Xに対して緊急充電指示を出力する。ここで、緊急充電判定条件は、充電中の作業装置2の充電開始からの充電時間に基づく条件を含むものであるため、充電時間に基づいて緊急充電判定条件が成立するか否かを判断でき、充電中の作業装置2について蓄電部24の残量を常時監視する必要がない。したがって、本実施形態によれば、充電中の作業装置2から蓄電部24の残量を取得するために充電中の作業装置2と通信を行う必要が無く、充電中の作業装置2との間の通信トラフィックを低減した充電制御システム1を実現できる。
【0021】
(2)詳細
(2.1)構成
以下、本実施形態に係る充電制御システム1の構成について、
図1~
図4を参照して、詳細に説明する。以下に示す、数値、形状、材料、構成要素の位置、複数の構成要素間の位置関係及び接続関係等は、一例であって、本開示を限定する主旨ではない。また、以下で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0022】
以下では、充電制御システム1の制御対象である作業装置2が、無人搬送車である場合を例として説明する。作業装置2としての無人搬送車は、作業エリアA1内を移動しつつ、搬送物の搬送という作業を実行する。
【0023】
本開示でいう「作業エリア」は、複数の作業装置2が配備される空間であって、作業装置2は、例えばサーバ装置3からの指示を受けて、この作業エリアA1内を移動する。作業エリアA1は、一例として、倉庫、工場、建設現場、店舗(ショッピングモールを含む)、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港又は駐車場等である。また、例えば、船舶、鉄道車両又は飛行機の内部等、移動体の内部に作業装置2が配備されている場合には、移動体の内部が作業エリアA1になる。本実施形態では、作業エリアA1が倉庫である場合を例に説明する。
【0024】
充電制御システム1は、
図1及び
図2に示すように、サーバ装置3と、作業エリアA1に設置された中継装置5とを備える。中継装置5は、作業エリアA1において作業を行う作業装置2とサーバ装置3との間の通信を中継する。
【0025】
図1は、作業エリアA1の模式的な平面図である。本実施形態では、倉庫であって、外壁81で囲まれた空間が作業エリアA1となる。本実施形態で想定している作業エリアA1には、搬送物を作業エリアA1内に搬入したり搬出したりするための出入口82,83がある。作業エリアA1は、作業エリアA1内に配置された隔壁84によって区切られている。この作業エリアA1には、上述した充電器4が1台設置されている。なお、充電器4の台数は1台に限定されず、作業エリアA1において使用される作業装置2の台数等に応じて、充電器4の台数は適宜変更が可能である。また、
図1では作業装置2の台数が2台であるが、作業装置2の台数は2台に限定されず、3台以上でもよい。
図1では中継装置5を1台のみ図示しているが、作業エリアA1には中継装置5が複数台配置されていてもよい。また、
図1は作業エリアA1の一例に過ぎず、作業エリアA1の配置は適宜変更が可能である。
【0026】
サーバ装置3は、例えば作業エリアA1の外部に設置されており、インターネット等の通信ネットワークNT1を介して、複数の中継装置5に接続されている。
【0027】
サーバ装置3と複数の作業装置2の各々とは、互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又は通信ネットワークNT1若しくは中継装置5等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、サーバ装置3と複数の作業装置2の各々とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、複数の作業装置2の各々は、複数の中継装置5のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。そのため、サーバ装置3と複数の作業装置2とは、少なくとも通信ネットワークNT1及び中継装置5を介して、間接的に通信を行うことになる。
【0028】
要するに、各中継装置5は、各作業装置2とサーバ装置3との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。中継装置5は、通信ネットワークNT1を介して、サーバ装置3と通信する。本実施形態では一例として、中継装置5と作業装置2との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は通信免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。また、通信ネットワークNT1は、インターネットに限らず、例えば、作業エリアA1内又は作業エリアA1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよい。
【0029】
次に、作業装置2について
図1及び
図2を参照してより詳細に説明する。作業装置2は、例えば、作業エリアA1の床面等からなる平坦な移動面80を自律走行する。作業装置2は、第1制御部20と、第1通信部21と、走行装置22と、充放電回路23と、蓄電部24と、検知部25とを備える。なお、作業エリアA1において使用される複数の作業装置2の各々には個別の識別情報が設定されている。
【0030】
第1通信部21は、中継装置5及び通信ネットワークNT1を介してサーバ装置3(サーバ装置3の第2通信部33)と通信する。ここで、第1通信部21は中継装置5との間で無線通信方式により通信を行う。
【0031】
走行装置22は、作業装置2に設けられた複数の車輪の少なくとも一部を駆動することによって作業装置2を走行させる。複数の車輪の少なくとも一部は駆動輪である。駆動輪は例えばオムニホイールのような全方向移動型車輪である。走行装置22は、第1制御部20から入力される制御指令に基づいて駆動輪を駆動することによって、作業装置2を走行させる。
【0032】
蓄電部24は、例えばリチウムイオン電池、又はニッケル水素電池等の二次電池である。
【0033】
充放電回路23は、蓄電部24への充電と蓄電部24からの放電とを制御する。充放電回路23は、作業装置2が充電器4に接続された状態で、充電器4から供給される電気エネルギを蓄電部24に蓄える。また、充放電回路23は、蓄電部24から電気エネルギを放電させることによって、第1制御部20、第1通信部21及び走行装置22に電力を供給する。すなわち、作業装置2は、蓄電部24に蓄えられた電気エネルギを利用して作業を行う。
【0034】
検知部25は、作業エリアA1内で作業装置2が存在する現在位置に関する現在位置情報等を検知する。検知部25は、例えば、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は作業エリアA1内の複数箇所に配置されている。検知部25は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、作業装置2の現在位置を測定する。なお、検知部25は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。作業装置2は、検知部25が検知した現在位置の情報と当該作業装置2の識別情報とを第1通信部21からサーバ装置3へ所定の送信時間間隔(例えば1秒間隔)で定期的に送信する。なお、作業装置2は、サーバ装置3からの送信要求等に応じて、検知部25が検知した現在位置の情報と当該作業装置2の識別情報とを第1通信部21からサーバ装置3へ不定期に送信してもよい。
【0035】
また、検知部25は、作業装置2の動作状態、及び作業装置2の周辺状況等を検知してもよい。作業装置2の動作状態は、作業装置2が有する蓄電部24の残量、作業装置2が走行中か停止中かを表す状態、作業装置2の速度(及び速度変化)、作業装置2に作用する加速度、及び作業装置2の姿勢等を含み得る。検知部25は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて作業装置2の動作状態を検知する。また、検知部25は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて作業装置2の周辺状況を検知する。作業装置2の周辺状況には、例えば、作業装置2の進行方向の前方に存在する物体(障害物等)の有無、及び物体の位置(距離及び方位)等が含まれる。障害物には、他の作業装置2及び人も含まれる。なお、作業装置2は、例えばサーバ装置3からの送信要求に応じて、検知部25が検知した蓄電部24の残量の情報と当該作業装置2の識別情報とを、第1通信部21からサーバ装置3へ送信する。
【0036】
第1制御部20は、例えば、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、第1制御部20の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。第1制御部20は、例えばサーバ装置3から搬送物の搬送指令を受信すると、検知部25が検知した現在位置情報、周辺の作業装置2の動作状態及び周辺状況等の検知結果に基づいて、走行装置22を制御して作業装置2を自律的に走行させる。第1制御部20は、作業装置2の走行制御を行うことによって、サーバ装置3から指示された搬送物を搬送先まで搬送する。
【0037】
次に、サーバ装置3について
図1及び
図2を参照してより詳細に説明する。サーバ装置3は、第2制御部30と、第2通信部33とを備える。
【0038】
第2通信部33は、通信ネットワークNT1を介して中継装置5と通信する。第2通信部33は、通信ネットワークNT1及び中継装置5を介して、複数(本実施形態では2台)の作業装置2の各々と通信する。第2通信部33と中継装置5との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
【0039】
第2制御部30は、例えば、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、第2制御部30の機能(例えば、設定部31及び充電制御部32等の機能)が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0040】
設定部31は、複数の作業装置2がそれぞれ有する蓄電部24の残量に対する閾値として、
図3に示すように、少なくとも第1閾値L1と、第1閾値L1よりも大きい第2閾値(通常充電判定閾値)L2とを設定する。第1閾値L1及び第2閾値L2は、制御対象の作業装置2Xに対して充電が必要なレベルを複数段階で判定するための閾値である。具体的には、第2閾値L2は、蓄電部24の充電が必要であるか否かを判定するための閾値である。第1閾値L1は、蓄電部24を充電するにあたり、作業よりも充電を優先するか、充電よりも作業を優先するかを判定するための閾値である。本実施形態では、蓄電部24の残量が第1閾値L1以下である状態を、作業よりも充電を優先して行う緊急充電状態R1という。また、蓄電部24の残量が第1閾値L1よりも大きく、かつ、第2閾値L2以下である状態を、充電の必要はあるが充電よりも作業を優先する通常充電状態R2という。なお、蓄電部24の残量が第2閾値L2よりも高く、かつ、100%未満である状態を、充電の必要はないが、作業が少ない閑散期であれば繁忙期に備えて残量を100%に近づけるための充電(以下、追加充電という)を追加で行ってもよい追加充電状態R3という。
【0041】
緊急充電状態R1では蓄電部24の残量に余裕がないため、充電制御システム1は、作業よりも充電を優先させて、作業装置2に蓄電部24を充電させる。つまり、緊急充電状態R1では、充電制御システム1は、作業装置2に与える新たな作業がある場合でも、作業装置2に蓄電部24を充電させる。
【0042】
通常充電状態R2では蓄電部24の残量に比較的余裕があるので、充電制御システム1は、充電よりも作業を優先させるように、作業装置2の充電を制御する。つまり、通常充電状態R2では、充電制御システム1は、作業装置2に与える新たな作業がない場合に、作業装置2に蓄電部24を充電させる。
【0043】
ここにおいて、2台の作業装置2の蓄電部24の残量が同時期に第1閾値L1以下となった場合、作業エリアA1には充電器4が1台しか設置されていないため、同時には1台の作業装置2の蓄電部24しか充電できない。したがって、充電器4が1台目の作業装置2の蓄電部24を充電する間に、他の1台の作業装置2が有する蓄電部24の残量は減少を続けることになる。そのため、充電器4が1台目の作業装置2の蓄電部24を充電し終わるまでの間に、他の1台の作業装置2の蓄電部24の残量が枯渇しないように第1閾値L1の値は設定されている。本実施形態では、蓄電部24が満充電の状態を残量100%とした場合に、第1閾値L1が例えば30%の充電レベルに設定され、第2閾値L2が例えば80%の充電レベルに設定される。なお、第1閾値L1及び第2閾値L2の設定値は一例であり、作業装置2の台数、充電可能台数、作業装置2が行う作業のタスク数等に応じて適宜変更が可能である。
【0044】
充電制御部32は、複数(本実施形態では例えば2台)の作業装置2A,2Bの各々を制御対象の作業装置2Xとし、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の充電を制御する。なお、制御対象の作業装置2Xが充電制御部32から充電開始の指示を受けた場合に、この作業装置2Xが作業を実行中であれば、作業装置2Xは作業を終了してから充電開始の指示に基づいて充電を行っている。
【0045】
充電制御部32は、緊急充電状態R1において、充電器4の充電可能台数よりも充電中の作業装置2の台数(以下、充電台数という)が少ない場合、つまり充電器4に空きがある場合は、制御対象の作業装置2Xに充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。すなわち、制御対象の作業装置2Xが緊急充電状態R1となった場合に、充電器4に空きがあれば、充電制御部32は、制御対象の作業装置2Xに緊急充電指示を出力して、蓄電部24を充電させる。
【0046】
一方、充電制御部32は、緊急充電状態R1において、充電器4の充電可能台数と充電台数とが同じである場合、つまり充電器4に空きがない場合は、緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置2Xに充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。すなわち、制御対象の作業装置2Xが緊急充電状態R1であり、充電器4に空きがない場合、充電制御部32は、緊急充電判定条件が成立すると、充電中の作業装置2の充電を停止させ、制御対象の作業装置2Xに緊急充電指示を出力して、蓄電部24を充電させる。
【0047】
ところで、充電中の作業装置2が備える蓄電部24の残量が所定値に達すると充電を停止させ、制御対象の作業装置2Xに充電を開始させる場合、充電制御システム1は、充電中の作業装置2が備える蓄電部24の残量を逐次監視する必要がある。充電制御システム1が充電中の作業装置2を含む全ての作業装置2の蓄電部24の残量を監視する場合は、充電制御システム1と作業装置2との間の通信トラフィックが増大する可能性がある。
【0048】
それに対して、本実施形態では、緊急充電判定条件が、充電中の作業装置2の充電開始からの充電時間に基づく条件を含み、充電制御部32は、充電中の作業装置2の充電時間に基づいて緊急充電指示を出力するか否かを判断する。したがって、充電制御システム1は、充電中の作業装置2が備える蓄電部24の残量を監視する必要が無く、充電制御システム1と作業装置2との間の通信トラフィックを低減することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、緊急充電判定条件は、充電中の作業装置2の充電時間が一定の緊急充電時間CT1(
図5参照)に達したという条件を含む。また、本実施形態では、充電制御部32は、制御対象の作業装置2Xに対して一定の緊急充電時間CT1の充電を指示する緊急充電指示を出力し、緊急充電指示を受けた作業装置2は、充電器4から電力供給を受けて蓄電部24を緊急充電時間CT1充電する。つまり、緊急充電指示を受けた作業装置2は、充電器4から電力供給を受けて蓄電部24を緊急充電時間CT1充電すると緊急充電を終了する。
【0050】
ここにおいて、緊急充電時間CT1は、例えば、緊急充電状態にある作業装置2の蓄電部24を、その残量が第1閾値L1を超える程度まで充電するのに必要な時間に設定されている。したがって、作業装置2の蓄電部24が緊急充電時間CT1充電されると、蓄電部24の残量は第1閾値L1を超え、通常充電状態になるものと想定される。充電制御部32は、充電中の作業装置2の充電時間が緊急充電時間CT1に達するという緊急充電判定条件が成立すれば、充電中の作業装置2の充電が終了したと判断し、制御対象の作業装置2Xに対して緊急充電開始指示を出力する。ここで、充電時間が緊急充電時間に達することをもって充電中の作業装置2が充電を停止するまで、制御対象の作業装置2Xは待機する。すなわち、緊急充電開始指示を受けた制御対象の作業装置2Xは、実行中の作業(例えば搬送作業)を終了すると、充電待機エリアA3に移動し、充電エリアA2に他の作業装置2が存在すれば、充電待機エリアA3で待機する。充電エリアA2にいる他の作業装置2が充電を終了して充電エリアA2の外に出ると、制御対象の作業装置2Xは充電エリアA2に移動し、充電器4から電力供給を受けて蓄電部24を充電する。
【0051】
なお、充電中の作業装置2が緊急充電を終了した場合に、充電待ちの他の作業装置2が存在しなければ、緊急充電を終了した作業装置2は蓄電部24の充電を継続してもよい。充電中の作業装置2が緊急充電を終了した場合に、蓄電部24の残量が第1閾値L1以下であった場合、この作業装置2は再び緊急充電状態となり、充電制御部32によって蓄電部24の充電が制御される。
【0052】
また、充電制御部32は、制御対象の作業装置2Xが通常充電状態R2において、通常充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置2Xに対して充電開始を指示する通常充電指示を出力する。通常充電状態R2は、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の残量が第1閾値L1より大きく、かつ、第2閾値L2以下である状態である。ここで、通常充電判定条件は、複数の作業装置2に対して与えられる作業のタスク数に基づく条件を含む。通常充電状態R2は、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の残量に比較的余裕がある状態であり、充電よりも作業を優先させる状態である。充電制御部32は、複数の作業装置2に与える作業を管理するサーバ装置から作業のタスク数に関する情報を取得し、タスク数に基づく通常充電判定条件が成立するか否かを判断する。なお、サーバ装置3が、複数の作業装置2に与える作業を管理する作業管理機能を有していてもよく、その場合、充電制御部32は作業管理機能から作業のタスク数に関する情報を取得すればよい。そして、充電制御部32は、タスク数に基づく通常充電判定条件が成立する場合に、制御対象の作業装置2Xへ通常充電指示を出力し、通常充電判定条件が成立しない場合には、制御対象の作業装置2Xへ通常充電指示を出力しない。したがって、制御対象の作業装置2Xが通常充電状態R2であれば、作業のタスク数に基づく通常充電判定条件が成立する場合のみ充電を行わせることで、制御対象の作業装置2Xに充電よりも作業を優先して行わせることができ、作業の遅れを抑制できる。
【0053】
ここにおいて、通常充電判定条件は、未実行の作業の有無に関する条件を含んでいる。具体的には、通常充電判定条件は、未実行の作業がない、つまり未実行の作業のタスク数がゼロであるという条件を含んでいる。ここで、未実行の作業とは、作業装置2によって現に実行されていない作業を少なくとも含み、作業装置2に対して実行が指示されていない作業を含んでもよい。
【0054】
通常充電状態R2において、未実行の作業がある場合、つまり通常充電判定条件が不成立の場合、充電制御部32は制御対象の作業装置2Xに充電を行わせない。言い換えると、制御対象の作業装置2Xに対して、新たに与える作業が存在する場合、充電制御部32は制御対象の作業装置2Xに充電を行わせない。これにより、作業を実行可能な作業装置2の台数が減って、未実行の作業が実行されなかったり、その実行が遅れたりする可能性を低減できる。一方、通常充電状態R2において、未実行の作業がない場合、つまり通常充電判定条件が成立する場合、充電制御部32は制御対象の作業装置2Xに充電(以下、通常充電ともいう)を行わせる。言い換えると、制御対象の作業装置2X以外の作業装置2で新たなタスクの実行が可能な場合、充電制御部32は制御対象の作業装置2Xに充電を行わせる。これにより、未実行の作業の実行が行われなかったり、その実行が遅れたりする可能性を低減しつつ、制御対象の作業装置2Xを充電できる。つまり、制御対象の作業装置2Xに対して充電よりも作業を優先して行わせることができ、作業の遅れが発生するのを抑制できる。なお、未実行の作業の有無に関する条件は、未実行の作業がないという条件に限定されず、未実行の作業の数が所定数以下であるという条件でもよい。
【0055】
なお、充電制御部32が出力する通常充電指示は、制御対象の作業装置2Xに対して所定の通常充電時間CT2(
図5参照)の充電を指示するものである。ここで、通常充電時間CT2は、制御対象の作業装置2Xが充電を開始するタイミングでの蓄電部24の残量に基づいて設定される。充電制御部32は、制御対象の作業装置2Xから、作業装置2Xが充電を開始するタイミングでの蓄電部24の残量を取得し、この残量に基づいて通常充電時間CT2を設定する。充電制御部32は、作業装置2Xが充電(通常充電)を開始するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12に基づき、第2閾値L2よりも大きい所定の充電レベル(例えば90%)まで蓄電部24を充電するのに要する時間を通常充電時間CT2に設定する。すなわち、緊急充電状態R1で行う緊急充電での充電時間(緊急充電時間CT1)は一定の時間長であるが、通常充電状態R2で行う通常充電での充電時間(通常充電時間CT2)は、充電を開始するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12に応じて時間長が設定される。例えば、充電を開始するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12が小さいほど通常充電時間CT2は長くなり、充電を開始するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12が大きいほど通常充電時間CT2は短くなる。これにより、通常充電が終了するタイミング(時点t4,t14,t24)では、蓄電部24の残量B13が所定の充電レベルに達するように、通常充電を実行させることができる。
【0056】
(2.2)動作説明
本実施形態の充電制御システム1の動作を
図4に基づいて説明する。
【0057】
サーバ装置3は、複数の作業装置2(2A,2B)のうち充電中ではない作業装置2と定期的に通信を行い、当該作業装置2が有する蓄電部24の残量の情報及び識別情報を取得する。
【0058】
図4は、作業装置2Bが充電中で、作業装置2Aが充電以外の作業を実行中の場合の動作を説明するフローチャートである。
【0059】
サーバ装置3は、充電中ではない作業装置2Aを制御対象の作業装置2Xとし、制御対象の作業装置2X(作業装置2A)と定期的に通信を行って、制御対象の作業装置2X(作業装置2A)から蓄電部24の残量の情報を取得する。制御対象の作業装置2X(作業装置2A)から蓄電部24の残量B1の情報を取得すると、充電制御部32は、作業装置2Aの蓄電部24の残量B1と第1閾値L1との高低を比較する(S1)。
【0060】
蓄電部24の残量B1が第1閾値L1以下である場合(S1:Yes)、充電制御部32は、作業装置2Aが緊急充電状態R1であると判断する。ここで、充電制御部32は、緊急充電状態R1である作業装置2Aが作業(搬送作業)を実行中であれば、作業を継続して行わせる。そして、緊急充電状態R1である作業装置2Aが作業を終了すると、充電制御部32は、充電器4に空きがあるか否かを判断する(S6)。なお、充電制御部32は、緊急充電状態R1である作業装置2Aが作業を実行中である場合、作業を中断させてステップS6の処理に移行してもよく、中断した作業は他の作業装置2に引き継がせてもよい。充電制御部32は、複数の作業装置2の各々が充電中であるか否かを示す情報を保持しており、ステップS6では、充電器4の充電可能台数と充電中の作業装置2の数(充電台数)とに基づいて、充電器4に空きがあるか否かを判断する。
【0061】
ステップS6の判断において、充電器4に空きがある場合(S6:Yes)、充電制御部32は、緊急充電状態R1である作業装置2Aに対して緊急充電指示を出力し、作業装置2Aに充電を開始させる(S10)。
【0062】
ステップS6の判断において、充電器4に空きがない場合に(S6:No)、充電中の作業装置2Bが通常充電を行っていれば、充電制御部32は、通常充電中の作業装置2Bに充電を終了させる。そして、充電制御部32は、緊急充電状態R1である作業装置2Aに対して緊急充電指示を出力し、作業装置2Aに充電を開始させる(S10)。
【0063】
ステップS6の判断において、充電器4に空きがない場合に(S6:No)、充電中の作業装置2Bが緊急充電を行っていれば、充電制御部32は、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(緊急充電時間CT1)が経過したか否かを判断する(S7)。
【0064】
ステップS7の判断において、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(緊急充電時間CT1)が経過していない場合(S7:No)、充電中の作業装置2Bに充電動作を継続させる(S8)。
【0065】
そして、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(緊急充電時間CT1)が経過すると、充電制御部32は充電中の作業装置2Bに充電を停止するよう指示し、作業装置2Bに充電を終了させる(S9)。これにより、緊急充電を行っている作業装置2Bは、一定の緊急充電時間CT1充電を行って充電を終了する。
【0066】
そして、緊急充電を行っている作業装置2Bが充電を終了すると、充電制御部32は、緊急充電状態R1である作業装置2Aに対して緊急充電指示を出力し、作業装置2Aに充電を開始させる(S10)。
【0067】
また、ステップS1の判断において、蓄電部24の残量B1が第1閾値L1より大きい場合(S1:No)、充電制御部32は、蓄電部24の残量B1と第2閾値L2との高低を比較する(S2)。
【0068】
ステップS2の判断において、蓄電部24の残量B1が第2閾値L2よりも大きければ(S2:No)、充電制御部32は蓄電部24の充電が不要であると判断し、ステップS1に戻って次回の処理に備える。
【0069】
ステップS2の判断において、蓄電部24の残量B1が第2閾値L2以下であれば(S2:Yes)、充電制御部32は、蓄電部24の残量B1が第1閾値L1より大きく、かつ、第2閾値L2以下である通常充電状態R2であると判断する。制御対象の作業装置2X(作業装置2A)が通常充電状態R2である場合、充電制御部32は、複数の作業装置2による作業の実行状況を管理するサーバ装置3、又は、作業装置2Aから取得した情報に基づいて、作業装置2Aが作業を実行中であるか、又は、未実行の作業(残タスク)があるかを判断する(S3)。
【0070】
ステップS3の判断において、作業装置2Aが作業を実行中であるか、又は、未実行の作業があれば(S3:Yes)、充電制御部32は作業装置2Aに対して充電開始指示を出力せず、作業装置2Aは作業(タスク)を継続するか新たな作業を実行する(S4)。作業装置2Aは、実行中の作業(タスク)が終了していなければ(S5:No)、ステップS4に戻って作業を継続する。一方、作業装置2Aは、実行中の作業を終了すると(S5:Yes)、ステップS1に戻ってステップS1以降の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS3の判断において、作業装置2Aが作業を実行中ではなく、未実行の作業もない場合(S3:No)、充電制御部32は、通常充電判定条件が成立していると判断する。そして、通常充電状態R2において通常充電判定条件が成立すると、充電制御部32は、充電器4に空きがあるか否かを判断する(S6)。
【0072】
ステップS6の判断において、充電器4に空きがある場合(S6:Yes)、充電制御部32は、通常充電状態R2である作業装置2Aに対して通常充電指示を出力し、作業装置2Aに充電を開始させた後(S10)、ステップS1の処理に戻る。
【0073】
ステップS6の判断において、充電器4に空きがない場合に(S6:No)、充電中の作業装置2Bが緊急充電を行っていれば、充電制御部32は、緊急充電を行っている作業装置2Bの充電を優先させる。すなわち、充電制御部32は、制御対象の作業装置2Aに対して通常充電指示を出力せず、処理を終了する。一方、充電中の作業装置2Bが通常充電を行っていれば、充電制御部32は、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(通常充電時間CT2)が経過したか否かを判断する(S7)。
【0074】
ステップS7の判断において、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(通常充電時間CT2)が経過していない場合(S7:No)、充電中の作業装置2Bに充電動作を継続させ(S8)、ステップS1の処理に戻る。
【0075】
そして、充電中の作業装置2Bの充電開始から充電時間(通常充電時間CT2)が経過すると、充電制御部32は充電中の作業装置2Bに充電を停止するよう指示し、作業装置2Bに充電を終了させた後(S9)、ステップS1の処理に戻る。これにより、通常充電を行っている作業装置2Bは、通常充電時間CT2充電を行って充電を終了する。
【0076】
充電制御システム1は、複数の作業装置2A,2Bの各々を制御対象の作業装置2Xとして、上述したステップS1~S10の動作を繰り返し実行することで、作業装置2A,2Bの各々の充電を制御する。
【0077】
ここで、充電制御システム1が作業装置2Aの充電を制御する動作を
図5に基づいて説明する。
図5において期間DC1は、作業装置2Aが作業を行い、蓄電部24が放電している期間である。また、期間CG1は作業装置2Aが緊急充電を行う期間であり、期間CG2は作業装置2Aが通常充電を行う期間である。また、期間CG3は、作業装置2Aが通常充電を行った後に残量B1を100%に近づけるために追加で充電する期間である。
【0078】
充電制御システム1の充電制御部32は、作業装置2Aが充電中ではなく作業を行っている期間DC1において、作業装置2Aから蓄電部24の残量B1の情報を定期的に取得する。作業装置2Aが作業を行うことに伴って蓄電部24の残量B1が低下し、時点t1において蓄電部24の残量B1が第1閾値L1以下になると、充電制御部32は作業装置2Aが緊急充電状態R1であると判断する。このとき、作業装置2Aが作業を実行中であれば、充電制御部32は、作業装置2Aに作業を継続して行わせる。そして、時点t2において作業装置2Aが作業を終了し、充電器4に空きがあれば、充電制御部32は作業装置2Aに対して緊急充電時間CT1の充電を指示する緊急充電指示を出力する。
【0079】
緊急充電指示を受けた作業装置2Aは、充電エリアA2に移動し、充電器4から電力供給を受けて蓄電部24を充電する。ここで、緊急充電状態R1の作業装置2Aは緊急充電時間CT1の充電を行い、時点t2から緊急充電時間CT1が経過した時点t3では、蓄電部24の残量B1は第1閾値L1よりも大きく、かつ、第2閾値L2以下となるので、作業装置2Aは通常充電状態R2となる。このように、緊急充電状態R1の作業装置2Aが緊急充電時間CT1の充電を行うことで、蓄電部24の残量B1が枯渇する事態を回避でき、作業装置2Aは充電後に作業を行うことができる。
【0080】
時点t3において、通常充電判定条件が不成立であるか、又は、充電待ちの他の作業装置2が存在する場合、充電制御部32は、作業装置2Aの充電を停止させ、作業装置2Aに作業を実行させることができる。
【0081】
一方、時点t3において通常充電判定条件が成立していれば、充電制御部32は、時点t3から通常充電時間CT2が経過するまで蓄電部24を充電する通常充電を実行させる通常充電指示を作業装置2Aに対して出力する。ここで、充電制御部32は、通常充電を開始するタイミング(時点t3)での蓄電部24の残量B12を作業装置2Aから取得する。そして、充電制御部32は、蓄電部24を時点t3での残量B12から所定レベル(例えば90%)以上になるまで充電するのに要する時間を通常充電時間CT2として算出する。
【0082】
時点t3から通常充電時間CT2が経過した時点t4では、蓄電部24の残量B1は第2閾値L2よりも大きい値に充電されている。時点t3から通常充電時間CT2が経過すると、充電制御部32は、通常充電が終了したと判断し、充電を停止させる停止指示を作業装置2Aに出力する。作業装置2Aは、充電制御システム1から停止指示を受け取ると、充電を終了して充電エリアA2の外に移動し、作業を実行可能な状態となる。なお、時点t4において、未実行の作業のタスク数が作業を実行可能な作業装置2の数よりも少なく、緊急充電状態となった作業装置2が存在しない場合、充電制御部32は、追加充電を指示する追加充電指示を作業装置2Aに出力し、作業装置2Aに追加充電を実行させてもよい(期間CG3)。
【0083】
時点t4で充電を終了すると、作業装置2Aが作業を行うことに伴って蓄電部24の残量B1が低下する。蓄電部24の残量B1が第1閾値L1より大きく、かつ、第2閾値L2以下である通常充電状態になると、充電制御部32は、通常充電判定条件が成立するか否かを判断し、通常充電判定条件が不成立であれば充電を行わない。その後、蓄電部24の残量B1がさらに低下し、時点t11において第1閾値L1以下になると、充電制御部32は作業装置2Aが緊急充電状態であると判断し、緊急充電判定条件が成立するか否かを判断する。そして、充電制御部32は、緊急充電判定条件が成立すると、作業装置2Aの蓄電部24の充電を制御する。なお、時点t12以後の動作は、時点t1から時点t12までの動作と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0084】
ここで、時点t1から時点t4までの第1期間での動作、時点t11から時点t14までの第2期間での動作、及び、時点t21から時点t24までの第3期間での動作において、緊急充電での充電時間である緊急充電時間CT1の時間長は同じである。一方、第1期間での動作、第2期間での動作、及び第3期間での動作において、緊急充電を開始するタイミング(時点t2,t12,t22)での蓄電部24の残量B11にばらつきがあるため、緊急充電を終了するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12もばらつくことになる。ここで、通常充電での充電時間である通常充電時間CT2は、通常充電を開始するタイミング(時点t3,t13,t23)での蓄電部24の残量B12に基づいて設定されるので、時点t3,t13,t23での蓄電部24の残量B12にばらつきがある場合、通常充電時間CT2もばらつくことになる。具体的には、充電制御部32は、通常充電において蓄電部24の残量B1を所定の充電レベルまで充電するのに要する時間を通常充電時間CT2とするので、通常充電を開始するタイミングでの残量B12が低いほど通常充電時間CT2が長くなる。このように、作業装置2Aが通常充電状態である場合に通常充電判定条件が成立すれば、作業装置2Aに通常充電時間CT2の充電を行わせることができるので、作業装置2Aの蓄電部24の残量B1を増やして、以後の作業に備えることができる。
【0085】
以上のように、制御対象の作業装置2Aが緊急充電状態である場合、充電中の作業装置2の充電開始からの充電時間に基づく条件を含む緊急充電判定条件が成立すると、充電制御部32は制御対象の作業装置2Aに対して緊急充電指示を出力する。したがって、充電制御部32は、充電中の作業装置2Aが備える蓄電部24の残量B1を逐次モニタする必要がなく、充電制御システム1と作業装置2との通信トラフィックを低減できるという利点がある。
【0086】
なお、
図5に示すグラフにおいて、蓄電部24の残量B1が減少する割合、及び残量B1が増加する割合は蓄電部24の経年劣化に応じて変化し得る。蓄電部24の経年劣化に応じて蓄電部24の最大充電容量が減少すると、放電量に対して蓄電部24の残量B1(最大充電容量に対する残量の割合)が減少する速度が大きくなる。同様に、蓄電部24の経年劣化に応じて蓄電部24の最大充電容量が減少すると、充電量に対して蓄電部24の残量B1(最大充電容量に対する残量の割合)が増加する速度が大きくなる。そのため、設定部31が、蓄電部24の経年劣化を考慮して第1閾値L1及び第2閾値L2の値を設定することも好ましい。例えば、設定部31が、作業装置2の累積の稼働時間に対する第1閾値L1及び第2閾値L2の設定値を記憶したテーブルを保持しておき、作業装置2の現在までの稼働時間に基づいてテーブルから設定値を読み出して第1閾値L1及び第2閾値L2を設定してもよい。
【0087】
ところで、緊急充電及び通常充電のそれぞれで蓄電部24の残量B1が目標レベルに達するまで充電するような充電制御を行う場合、経年劣化で蓄電部24の最大充電容量が減少すると、蓄電部24に実際に蓄えられる電気エネルギが想定より少なくなる可能性がある。それに対して、本実施形態の充電制御システム1では、緊急充電状態にある作業装置2を充電する場合は一定の緊急充電時間CT1の充電を行い、通常充電状態にある作業装置2を充電する場合は通常充電時間CT2の充電を行うので、充電時間の時間長に応じた電気エネルギが蓄電部24に蓄えられる。したがって、経年劣化で蓄電部24の最大充電容量が減少した場合でも、緊急充電及び通常充電のそれぞれで充電時間(緊急充電時間CT1及び通常充電時間CT2)の時間長に応じた電気エネルギを蓄電部24に蓄えることができる。よって、経年劣化で蓄電部24の最大充電容量が減少した場合でも、緊急充電及び通常充電を行った後に作業装置2が稼働できる稼働可能時間を均一化することができる。例えば、経年劣化等の要因で蓄電部24の最大充電容量が互いに異なる複数の作業装置2が存在する場合でも、緊急充電及び通常充電のそれぞれで充電時間(緊急充電時間CT1及び通常充電時間CT2)を決めて充電を行うので、各作業装置2を充電時間の時間長に応じた稼働時間稼働させることができる。
【0088】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、充電制御システム1と同様の機能は、充電制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る充電制御方法は、設定処理と、充電制御処理と、を含む。設定処理では、複数の作業装置2のそれぞれが備える蓄電部24の残量に対する閾値として、少なくとも、第1閾値L1を設定する。充電制御処理では、複数の作業装置2の各々を制御対象の作業装置2Xとして、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の充電を制御する。充電制御処理では、緊急充電状態R1において、緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置2Xに対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。緊急充電状態R1は、制御対象の作業装置2Xが備える蓄電部24の残量が第1閾値L1以下である状態である。緊急充電判定条件は、複数の作業装置2のうち充電中の作業装置2の充電開始からの充電時間に基づく条件を含む。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、設定処理と、充電制御処理と、を実行させるためのプログラムである。
【0089】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0090】
(3.1)変形例1
変形例1の充電制御システム1は、充電制御部32が、複数の作業装置2に対して与えられる作業のタスク数が所定の基準レベルよりも少ない低タスク期間以外では、制御対象の作業装置2Xに対する通常充電指示の出力を停止する点で上記実施形態と相違する。なお、充電制御システム1の構成は上記の実施形態と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0091】
図6は、複数の作業装置2に対して与えられる作業のタスク数の時間変化を示すグラフである。
図6は、所定の集計期間に複数の作業装置2が行った作業のタスク数の時間変化を示すグラフである。設定部31は、所定の集計期間に実際に行われたタスク数の時間変化に基づいて、所定の期間(例えば1日、1週間又は1ヶ月等)においてタスク数が基準レベルW1よりも少なくなる低タスク期間TA1を推定し、所定の期間内で低タスク期間TA1を設定する。
【0092】
充電制御部32は、制御対象の作業装置2Xが有する蓄電部24の残量が第1閾値L1以上かつ第2閾値L2未満である通常充電状態になると、現在の時点が低タスク期間TA1内であるか否かを判断する。そして、現在の時点が低タスク期間TA1以外であれば、充電制御部32は制御対象の作業装置2Xに充電開始指示を出力しない。一方、現在の時点が低タスク期間TA1内であれば、充電制御部32は、通常充電判定条件が成立するか否かを判断し、通常充電判定条件が成立していれば制御対象の作業装置2Xに充電開始指示を出力する。
【0093】
このように、低タスク期間TA1において制御対象の作業装置2Xが通常充電状態となり、通常充電判定条件が成立すれば、充電制御部32が制御対象の作業装置2Xに充電開始指示を出力するので、低タスク期間TA1に作業装置2を充電することができる。言い換えれば、低タスク期間TA1以外では作業装置2の通常充電が行われにくくなるので、低タスク期間TA1以外では作業を実行可能な作業装置2の台数を増やすことで、複数の作業装置2によって、より多くの作業を実行させることが可能になる。
【0094】
なお、上記の実施形態において、通常充電判定条件は、現在の時点が低タスク期間TA1内であるという条件を含んでもよい。つまり、充電制御システム1は、通常充電状態R2において、現在の時点が低タスク期間TA1内であるという条件が成立すると、制御対象の作業装置2に対して通常充電指示を出力してもよい。これにより、低タスク期間TA1において、通常充電状態R2となった制御対象の作業装置2Xに対して通常充電指示を出力して、通常充電を行わせることができる。
【0095】
(3.2)その他の変形例
本開示における充電制御システム1(作業装置2及びサーバ装置3)は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における充電制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0096】
また、充電制御システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは充電制御システム1に必須の構成ではなく、充電制御システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、充電制御システム1の少なくとも一部の機能、例えば、充電制御部32の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0097】
上記の実施形態において、蓄電部24の残量と閾値(第1閾値L1及び第2閾値L2)等との2値の比較おいて、「未満」としているところは「以下」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、閾値等の設定次第で任意に変更できるので、「未満」か「以下」かに技術上の差異はない。同様に、「以上」としているところは「より大きい」であってもよい。
【0098】
上記の実施形態において、作業装置2は作業エリアA1を走行する搬送装置であるが、作業装置2は、船舶(自律走行船)又は航空機(ドローン)でもよい。作業装置2が自律航行船である場合、自律航行船が航行する水域が作業エリアA1になる。作業装置2がドローンである場合、ドローンが飛行する空間が作業エリアA1になる。
【0099】
上記の実施形態において、設定部31が設定する第1閾値L1及び第2閾値L2は一定の値であることに限定されず、所定のパラメータに応じて所定の範囲内で変動する値でもよい。所定のパラメータとしては、例えば、作業装置2が作業を行う時間、作業装置2が作業を行うタスクのタスク数などがあり、第1閾値L1及び第2閾値L2が、時間及びタスク数の少なくとも一方に応じて所定の範囲内で変動してもよい。また、設定部31は、蓄電部24が放電している放電状態での閾値(第1閾値L1及び第2閾値L2)と、蓄電部24が充電する充電状態での閾値(第1閾値L1及び第2閾値L2)との間にヒステリシスを設けてもよい。
【0100】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の充電制御方法は、設定処理と、充電制御処理と、を含む。設定処理では、複数の作業装置(2)のそれぞれが備える蓄電部(24)の残量(B1)に対する閾値として、少なくとも、第1閾値(L1)を設定する。充電制御処理では、複数の作業装置(2)の各々を制御対象の作業装置(2X)として、制御対象の作業装置(2X)が備える蓄電部(24)の充電を制御する。充電制御処理では、緊急充電状態(R1)において、緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置(2X)に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。緊急充電状態(R1)は、制御対象の作業装置(2X)が備える蓄電部(24)の残量(B1)が第1閾値(L1)以下である状態である。緊急充電判定条件は、複数の作業装置(2)のうち充電中の作業装置(2)の充電開始からの充電時間に基づく条件を含む。
【0101】
この態様によれば、充電制御処理では、制御対象の作業装置(2X)が緊急充電状態(R1)になった場合に、所定の緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置(2X)に対して緊急充電指示を出力する。ここで、緊急充電判定条件は、充電中の作業装置(2)の充電開始からの充電時間に基づく条件を含むものであるため、充電時間に基づいて緊急充電判定条件が成立するか否かを判断でき、充電中の作業装置(2)について蓄電部(24)の残量(B1)を定期的に監視する必要がない。したがって、充電中の作業装置(2)から蓄電部(24)の残量(B1)を取得するために充電中の作業装置(2)と定期的に通信を行う必要が無く、作業装置(2)との通信による通信トラフィックを低減することができる。
【0102】
第2の態様の充電制御方法では、第1の態様において、緊急充電判定条件は、充電時間が一定の緊急充電時間(CT1)に達したという条件を含む。
【0103】
この態様によれば、充電中の作業装置(2)の充電時間が緊急充電時間(CT1)に達すると、制御対象の作業装置(2X)に対して緊急充電指示を出力することができる。
【0104】
第3の態様の充電制御方法では、第2の態様において、充電時間が緊急充電時間(CT1)に達することをもって充電中の作業装置(2)が充電を停止するまで、制御対象の作業装置(2X)が待機する。
【0105】
この態様によれば、充電中の作業装置(2)の充電時間が緊急充電時間(CT1)に達するまで充電を継続させることができる。
【0106】
第4の態様の充電制御方法では、第1~3のいずれかの態様において、緊急充電指示は、制御対象の作業装置(2X)に対して一定の緊急充電時間(CT1)の充電を指示する。
【0107】
この態様によれば、緊急充電状態(R1)となった制御対象の作業装置(2X)に一定の緊急充電時間(CT1)の充電を実行させることができるので、蓄電部(24)の残量(B1)が不足する状態になる可能性を低減できる。
【0108】
第5の態様の充電制御方法では、第1~4のいずれかの態様において、設定処理では、蓄電部(24)の残量に対する閾値として、第1閾値(L1)よりも大きい第2閾値(L2)を更に設定する。充電制御処理では、通常充電状態(R2)では、通常充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置(2X)に対して充電開始を指示する通常充電指示を出力する。通常充電状態(R2)は、制御対象の作業装置(2X)が備える蓄電部(24)の残量(B1)が第1閾値(L1)より大きく、かつ、第2閾値(L2)以下である状態である。通常充電判定条件は、複数の作業装置(2)に対して与えられる作業のタスク数に基づく条件を含む。
【0109】
この態様によれば、通常充電状態(R2)である制御対象の作業装置(2X)については、作業のタスク数に基づく通常充電判定条件にしたがって、充電を行うか否かを決定できる。
【0110】
第6の態様の充電制御方法では、第5の態様において、通常充電判定条件は、未実行の作業の有無に関する条件を含む。
【0111】
この態様によれば、未実行の作業の有無に応じて制御対象の作業装置(2X)を充電することができる。
【0112】
第7の態様の充電制御方法では、第5の態様において、通常充電判定条件は、タスク数が所定の基準レベルよりも少ない低タスク期間(TA1)であるという条件を含む。
【0113】
この態様によれば、低タスク期間(TA1)において、通常充電状態(R2)である制御対象の作業装置(2X)に対して通常充電指示を出力して、通常充電を行わせることができる。
【0114】
第8の態様の充電制御方法では、第5~7のいずれかの態様において、通常充電指示は、制御対象の作業装置(2X)に対して所定の通常充電時間(CT2)の充電を指示する。通常充電時間(CT2)は、制御対象の作業装置(2X)が充電を開始するタイミングでの蓄電部(24)の残量(B1)に基づいて設定される。
【0115】
この態様によれば、通常充電状態(R2)である制御対象の作業装置(2X)については、充電を開始するタイミングでの蓄電部(24)の残量(B1)に応じた時間に通常充電時間(CT2)を設定することができる。
【0116】
第9の態様の充電制御方法では、第1~8のいずれかの態様において、作業装置(2)が実行する作業は、搬送物を搬送する搬送作業である。
【0117】
この態様によれば、搬送作業を行う作業装置(2)の充電を制御することができる。
【0118】
第10の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第1~9のいずれかの態様の充電制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0119】
この態様によれば、作業装置(2)との通信による通信トラフィックを低減することができる。
【0120】
第11の態様の充電制御システム(1)は、設定部(31)と、充電制御部(32)と、を含む。設定部(31)は、複数の作業装置(2)のそれぞれが備える蓄電部(24)の残量(B1)に対する閾値として、少なくとも、第1閾値(L1)を設定する。充電制御部(32)は、複数の作業装置(2)の各々を制御対象の作業装置(2X)として、制御対象の作業装置(2X)が備える蓄電部(24)の充電を制御する。充電制御部(32)は、緊急充電状態(R1)において、緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置(2X)に対して充電開始を指示する緊急充電指示を出力する。緊急充電状態(R1)は、制御対象の作業装置(2X)が備える蓄電部(24)の残量(B1)が第1閾値(L1)以下である状態である。緊急充電判定条件は、複数の作業装置(2)のうち充電中の作業装置(2)の充電開始からの充電時間に基づく条件を含む。
【0121】
この態様によれば、充電制御部(32)は、制御対象の作業装置(2X)が緊急充電状態(R1)になった場合に、所定の緊急充電判定条件が成立すると、制御対象の作業装置(2X)に対して緊急充電指示を出力する。ここで、緊急充電判定条件は、充電中の作業装置(2)の充電開始からの充電時間に基づく条件を含むものであるため、充電時間に基づいて緊急充電判定条件が成立するか否かを判断でき、充電中の作業装置(2)について蓄電部(24)の残量(B1)を定期的に監視する必要がない。したがって、充電中の作業装置(2)から蓄電部(24)の残量(B1)を取得するために充電中の作業装置(2)と定期的に通信を行う必要が無く、作業装置(2)との通信による通信トラフィックを低減することができる。
【0122】
上記態様に限らず、上記実施形態に係る充電制御システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、充電制御システム(1)の充電制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0123】
第2~第9の態様に係る構成については、充電制御方法、プログラムに必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 充電制御システム
2 作業装置
2X 制御対象の作業装置
24 蓄電部
31 設定部
32 充電制御部
B1 残量
CT1 緊急充電時間
CT2 通常充電時間
L1 第1閾値
L2 第2閾値
R1 緊急充電状態
R2 通常充電状態
TA1 低タスク期間
W1 基準レベル