IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、硬化物及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/56 20060101AFI20241101BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20241101BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20241101BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241101BHJP
   C09J 121/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
C08G59/56
C08L63/00 A
C08L21/00
C09J163/00
C09J121/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020202312
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089702
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 津
(72)【発明者】
【氏名】續 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】山口 敦史
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-141712(JP,A)
【文献】特開昭61-207425(JP,A)
【文献】特開2011-184639(JP,A)
【文献】特開2018-021096(JP,A)
【文献】国際公開第2020/230678(WO,A1)
【文献】特表2013-510922(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147070(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00- 59/72
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00- 5/10
9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂と、少なくとも2つのアミノ基を有する(B)アミン硬化剤と、前記(B)アミン硬化剤とは異なる(C)潜在性硬化剤と、(D)前記(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマーとを含有し、
前記(A)エポキシ樹脂の割合が、40質量%以上70質量%以下であり、
前記(B)アミン硬化剤の割合が、5質量%以上20質量%以下であり、
前記(C)潜在性硬化剤の割合が、8質量%以上40質量%以下であり、
前記(D)エラストマーの割合が、15質量%以上40質量%以下である熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(D)エラストマーが、水酸基、アミノ基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも一種のエポキシ反応基を有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)エラストマーが、前記エポキシ反応基を有するポリロタキサン、可撓性エポキシ樹脂、前記エポキシ反応基を有するシロキサンオリゴマー及び前記エポキシ反応基を有するエラストマー樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱硬化性樹脂組成物、硬化物及び接着剤に関し、詳しくは、エポキシ樹脂と、アミン硬化剤と、潜在性硬化剤と、エラストマーとを含有する熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物、及びこの熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、封止材、構造材などに用いられる熱硬化性樹脂組成物は、低温硬化性に優れるだけでなく、保存安定性に優れると共に、液晶ポリマー(LCP)等への密着性に優れることが求められる。このような熱硬化性樹脂組成物として、特許文献1には、カリックス(n+m+1)アレーンと、沸点100℃以上のエポキシ樹脂用硬化剤とを含有する硬化剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-82969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような熱硬化性樹脂組成物を、電子部品等の接着や封止などに用いる場合、過剰な応力がかかることによる剥離やクラックを抑制するため、組成物が熱硬化した硬化物が低応力性に優れることが要求される。しかし、前記従来の組成物において、低応力性を高めるために、シリコーン系等の低応力化剤を添加すると、密着性や保存安定性が低下するという不都合がある。
【0005】
本開示の課題は、硬化物の低応力性と、密着性と、保存安定性との全てに優れる熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物、及びこの熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン硬化剤と、(C)潜在性硬化剤と、(D)前記(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマーとを含有する。前記(A)エポキシ樹脂の割合は、40質量%以上77質量%以下である。前記(B)アミン硬化剤の割合は、5質量%以上20質量%以下である。前記(C)潜在性硬化剤の割合は、8質量%以上40質量%以下である。前記(D)エラストマーの割合は、10質量%以上40質量%以下である。
【0007】
本開示の一態様に係る硬化物は、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物である。
【0008】
本開示の一態様に係る接着剤は、前記熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、硬化物の低応力性と、密着性と、保存安定性との全てに優れる熱硬化性樹脂組成物、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物、及びこの熱硬化性組成物からなる接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.概要
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン硬化剤と、(C)潜在性硬化剤と、(D)(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマー(以下、(D)エラストマーともいう)とを含有する。(A)エポキシ樹脂の割合は、40質量%以上77質量%以下である。(B)アミン硬化剤の割合は、5質量%以上20質量%以下である。(C)潜在性硬化剤の割合は、8質量%以上40質量%以下である。(D)エラストマーの割合は、10質量%以上40質量%以下である。
【0011】
本実施形態の組成物(X)は、硬化物の低応力性と、密着性と、保存安定性との全てに優れる。発明者らは、熱硬化性樹脂組成物において、(A)エポキシ樹脂に対する硬化剤として、(B)アミン硬化剤と(C)潜在性硬化剤とを併用し、また、低応力化剤として、(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマーを用い、さらに、(A)エポキシ樹脂、(B)アミン硬化剤、(C)潜在性硬化剤及び(D)エラストマーの組成物(X)全体に対する質量比率を、前記特定範囲とすることによって、硬化物の低応力性と、密着性と、保存安定性との全てを優れたものにできることを見出した。
【0012】
本実施形態の組成物(X)が前記構成を備えることで、前記効果を奏する理由については、必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、低応力化剤として、(D)(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマーを用いることにより、硬化の際に(A)エポキシ樹脂と(D)エラストマーとを一体化させることによって、密着性を維持しつつ、硬化物の低応力性を向上させることができる。また、(A)~(D)成分の割合を、それぞれ前記範囲とすることによって、硬化物の低応力性だけでなく、密着性及び保存安定性も向上させることができ、優れたものとすることができる。
【0013】
2.詳細
<熱硬化性樹脂組成物>
本実施形態に係る組成物(X)は、(A)エポキシ樹脂と、(B)アミン硬化剤と、(C)潜在性硬化剤と、(D)エラストマーとを含有する。組成物(X)は、本開示の効果を損なわない範囲において、前記成分以外の他の成分を含有していてもよい。
【0014】
[(A)エポキシ樹脂]
(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されず、用いることができる。
【0015】
(A)エポキシ樹脂としては、例えばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族ポリエーテル系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジル基含有シリコーン樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。組成物(X)は、(A)エポキシ樹脂を1種又は2種以上含有することができる。
【0016】
(A)エポキシ樹脂は、25℃で液状であることが好ましい。この場合、組成物(X)の粘度を低く抑えることができ、取扱性に優れる組成物とすることができる。また、(A)エポキシ樹脂と、(B)~(D)成分とを混合しやすくすることができ、より均一な組成物(X)とすることができる。
【0017】
(A)エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方を含むことがより好ましい。
【0018】
[(B)アミン硬化剤]
(B)アミン硬化剤は、少なくとも2つのアミノ基を有する硬化剤である。アミノ基としては、-NH、一置換NH、二置換NH、三置換NH等が挙げられる。(B)アミン硬化剤は、顕在型硬化剤であって、(C)潜在性硬化剤とは異なるものである。
【0019】
(B)アミン硬化剤としては、例えばポリアミン系硬化剤、変性ポリアミン系硬化剤、ポリアミドポリアミン系硬化剤、変性ポリアミドポリアミン系硬化剤などが挙げられる。組成物(X)は、(B)アミン硬化剤を1種又は2種以上含有することができる。
【0020】
ポリアミン系硬化剤としては、例えば脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等が挙げられる。
【0021】
脂肪族ポリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン等が挙げられる。
【0022】
脂環式ポリアミンとしては、例えばイソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン等の脂環含有ポリアミン;N-アミノエチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジン等のピペラジン型ポリアミンなどが挙げられる。
【0023】
芳香族ポリアミンとしては、例えばジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート等が挙げられる。
【0024】
変性ポリアミン系硬化剤としては、例えばポリアミンのエポキシド付加、マイケル付加、マンニッヒ付加、チオ尿素付加、アクリロニトリル付加、ケトン封鎖等による変性物などが挙げられる。
【0025】
ポリアミドポリアミン系硬化剤としては、例えばダイマー酸とポリアミンとの縮合物などが挙げられる。
【0026】
変性ポリアミドポリアミン系硬化剤としては、例えばポリアミドポリアミンのエポキシ化合物等との付加生成物などが挙げられる。
【0027】
(B)アミン硬化剤は、組成物(X)の保存安定性をより向上させる観点から、ポリアミン系硬化剤を含むことが好ましい。
【0028】
[(C)潜在性硬化剤]
(C)潜在性硬化剤は、常温では(A)エポキシ樹脂に対し硬化活性を有さないが、加熱等することにより、融解、分解、転移反応等により活性化し、(A)エポキシ樹脂の硬化を促進する物質である。
【0029】
(C)潜在性硬化剤としては、例えばマイクロカプセル型硬化剤、ジシアンジアミド及びその誘導体、ヒドラジド化合物、アミンアダクト化合物、酸無水物、イミダゾール化合物、尿素化合物及びその誘導体、アミンイミド、フェノールノボラック樹脂などが挙げられる。組成物(X)は、(C)潜在性硬化剤を1種又は2種以上含有することができる。
【0030】
マイクロカプセル型硬化剤としては、例えば硬化剤を含むコアの表面が、無機酸化物、合成樹脂等を含むシェルによって被覆されている構造を有するものなどが挙げられる。マイクロカプセル型硬化剤の市販品としては、例えば旭化成社製のノバキュアHX-3721、3722、3741、3742、3748、3613、3088、3921HP、3941HP等が挙げられる。
【0031】
ジシアンジアミドの誘導体としては、例えばジシアンジアミドと、エポキシ樹脂、ビニル化合物、アクリル化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等との付加化合物などが挙げられる。ジシアンジアミド及びその誘導体の市販品としては、例えば三菱ケミカル社製のjERキュアDICY7、15、20、7A、CVC Thermoset Specialties社製のオミキュアDDA10、DDA50、DDA100、DDA5、CG-325、DICY-F、DICY-M、エアープロダクツジャパン社製のCG-1200、CG-1400等が挙げられる。
【0032】
ヒドラジド化合物としては、例えば9,9-ビス(ヒドラジノカルボニルメチル)フルオレン等の9,9-ビス(ヒドラジノカルボニルアルキル)フルオレン、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。ヒドラジド化合物の市販品としては、例えば味の素ファインテクノ社製のアミキュアVDH、VDH-J、UDH、UDH-J等が挙げられる。
【0033】
アミンアダクト化合物としては、例えば3級アミンとエポキシ樹脂とのエポキシアダクト化合物等が挙げられる。アミンアダクト化合物の市販品としては、例えば味の素ファインテクノ社製のアミキュアPN-23、MY-24、PN-D、MY-D、PN-H、MY-H、T&K TOKA社製のFXE-1000、FXR-1030、FXR-1032、FXR-1081等が挙げられる。
【0034】
酸無水物としては、例えば無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。酸無水物の市販品としては、例えば新日本理化社製のリカシッドHNA-100、MH-700、MH-700G、MH、TMEG-S、TMEG-100、TMEG-200、TMEG-500、TMEG-600、DDSA、OSA、日立化成社製のHN-2200、HN-2000、HN-5500、MHAC等が挙げられる。
【0035】
イミダゾール化合物としては、例えばイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。イミダゾール化合物の市販品としては、例えば四国化成社製の2MZ-H、1,2DMZ、2E4MZ、2MZ-CN、2E4MZ-CN等が挙げられる。
【0036】
尿素化合物及びその誘導体としては、例えば3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン、1,1’-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(3,3-ジメチル尿素)等が挙げられる。尿素化合物及びその誘導体の市販品としては、例えばサンアプロ社製のU-CAT 3512T、3513N、CVC Thermoset Specialties社製のOMICURE94、OMICURE24、U-201M、U-24、U-35、U-405、U-410、U-415、U-52等が挙げられる。
【0037】
(C)潜在性硬化剤は、保存安定性をより向上させる観点から、マイクロカプセル型硬化剤を含むことが好ましい。
【0038】
[(D)エラストマー]
(D)エラストマーは、(A)エポキシ樹脂と反応するエラストマーである。「エラストマー」とは、室温でゴム弾性を示す物質をいう。
【0039】
(D)エラストマーが「(A)エポキシ樹脂と反応する」とは、(D)エラストマーが有する官能基が(A)エポキシ樹脂が有するエポキシ基と反応しうることを意味する。エポキシ基との反応としては、例えば官能基のエポキシ基への付加、硬化剤等の作用によるエポキシ基とエポキシ基との反応などが挙げられる。エポキシ基と反応する官能基(以下、エポキシ反応基ともいう)としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、スルファニル基、エポキシ基等が挙げられる。水酸基としては、例えばアルコール性水酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。アミノ基としては、例えば-NH、一置換NH、二置換NH、三置換NH等が挙げられる。エポキシ反応基は、水酸基、アミノ基、及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含むことが好ましく、水酸基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含むことがより好ましく、アルコール性水酸基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含むことがさらに好ましい。
【0040】
(D)エラストマーとしては、例えばエポキシ反応基を有するエラストマー等が挙げられる。(D)エラストマーとしては、例えばエポキシ反応基を有するポリロタキサン、可撓性エポキシ樹脂、エポキシ反応基を有するシロキサンオリゴマー、エポキシ反応基を有するエラストマー樹脂などが挙げられる。組成物(X)は、(D)エラストマーを1種又は2種以上含有することができる。
【0041】
(ポリロタキサン)
「ポリロタキサン」は、鎖状部と、鎖状部の一部が貫通した状態の2つ以上の環状分子と、鎖状部の両末端に位置するブロック基とを有する分子である。
【0042】
ポリロタキサンの鎖状部は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマーから形成される。このポリマーの重量平均分子量は、1000以上500000以下であることが好ましく、4000以上100000以下であることがより好ましく、7000以上30000以下であることがさらに好ましい。
【0043】
ポリロタキサンの環状分子としては、例えば環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等の環状ポリマー又は環状オリゴマー;α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリンなどが挙げられる。
【0044】
ポリロタキサンのブロック基としては、例えば嵩高い基、イオン性基等が挙げられる。嵩高い基としては、例えばアダマンチル基、ジニトロフェニル基、トリチル基、フルオレニル基、ピレニル基、アントリル基等が挙げられる。イオン性基としては、例えばカルボキシル基等が挙げられる。
【0045】
エポキシ反応基を有するポリロタキサンは、ポリロタキサンの環状分子中にエポキシ反応基を有することが好ましい。エポキシ反応基を環状分子中に有するポリロタキサンとしては、例えば下記式(1)で表される分子等が挙げられる。
【0046】
【化1】
【0047】
式(1)において、G及びGは、それそれ独立して、鎖状部の末端原子を示す。すなわち、GとGとを結ぶ線は、鎖状部を示す。Z及びZは、それぞれ独立して、ブロック基を含む基である。Lは、環状分子を示す。pは、ポリロタキサンが有する環状分子Lの数を示し、2以上1000以下の整数である。複数のLは、同一でも異なっていてもよい。Q及びQは、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基である。X及びXは、それぞれ独立して、エポキシ反応基である。
【0048】
式(1)の分子は、環状分子Lが水酸基を有する場合であり、環状分子Lが有する水酸基の水素原子の一部又は全部を、エポキシ反応基を有する基(-Q-X)で置換することにより、エポキシ反応基が導入されている。導入されるエポキシ反応基の数は、例えば1~20の整数であり、1~8であることが好ましく、2~5であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
【0049】
-Gで表される鎖状部は、ポリアルキレングリコールから形成されていることが好ましく、ポリエチレングリコールから形成されていることがより好ましい。
【0050】
及びGで表される末端原子は、通常、酸素原子又は炭素原子である。
【0051】
及びZで表される基が含むブロック基は、多環式基を含むことが好ましく、多環の脂環式炭化水素基を含むことがより好ましく、アダマンチル基を含むことがさらに好ましい。
【0052】
pは、10以上800以下であることが好ましく、100以上500以下であることがより好ましい。
【0053】
及びQで表される2価の連結基としては、例えば炭素原子及び酸素原子からなる鎖状基、酸素原子等が挙げられる。Q及びQは、ポリラクトン鎖を含むことが好ましく、ポリカプロラクトン鎖を含むことがより好ましい。
【0054】
Lで表される環状分子は、シクロデキストリンを含むことが好ましく、α-シクロデキストリンを含むことがより好ましい。
【0055】
及びXで表されるエポキシ反応基としては、水酸基、アミノ基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含むことが好ましく、水酸基を含むことがより好ましく、アルコール性水酸基を含むことがさらに好ましい。
【0056】
エポキシ反応基を有するポリロタキサンの重量平均分子量は、5000以上3000000以下であることが好ましく、10000以上2000000以下であることがより好ましく、100000以上1000000以下であることがさらに好ましい。
【0057】
エポキシ反応基を有するポリロタキサンの市販品としては、例えばASM社のセルム スーパーポリマーSH1300P、SH2400P、SB1300P、SC1300P等が挙げられる。
【0058】
(可撓性エポキシ樹脂)
「可撓性エポキシ樹脂」は、分子内に可撓性鎖状構造を有するエポキシ樹脂である。可撓性エポキシ樹脂は、エポキシ反応基としてのエポキシ基を有している。可撓性エポキシ樹脂は、エポキシ反応基を分子の少なくとも一方の末端に有していることが好ましく、分子の両末端に有していることがより好ましい。
【0059】
可撓性鎖状構造としては、例えばポリアルキレンエーテル鎖、ポリメチレン鎖等の鎖状脂肪族炭素骨格、ポリエステル鎖等が挙げられる。
【0060】
可撓性エポキシ樹脂の市販品としては、例えばDIC社製のEXA-4850S-150、ADEKA社製のEP-4000S等が挙げられる。
【0061】
(シロキサンオリゴマー)
エポキシ反応基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば両末端、側鎖、又は両末端及び側鎖にエポキシ基を有するシロキサンオリゴマー等が挙げられ、両末端にエポキシ基を有するシロキサンオリゴマーが好ましい。
【0062】
両末端にエポキシ基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【0063】
【化2】
【0064】
式(2)中、E及びEは、エポキシ基である。A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基である。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下の1価の炭化水素基である。nは、0以上500以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
【0065】
及びAで表される2価の連結基としては、例えばエーテル基を含む炭素数1以上20以下の2価の有機基などが挙げられる。A及びAは、アルキレンオキシアルキレン基又はオキシアルキレンオキシアルキレン基を含むことが好ましく、プロピレンオキシメチレン基又はオキシプロピレンオキシメチレン基を含むことがより好ましい。
【0066】
~Rで表される1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基などの鎖状炭化水素基;シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等のシクロアルキル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素基の置換基としては、例えば水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。R~Rは、アルキル基又はアリール基を含むことが好ましく、メチル基、エチル基又はフェニル基を含むことがより好ましい。
【0067】
nとしては、0以上100以下の整数であることが好ましく、0以上50以下であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
【0068】
エポキシ反応基を有するシロキサンオリゴマーの市販品としては、例えばMomentive社製のTSL9906、CostOSil MP200、信越化学工業社製のX22-163、DOW社製のDOWSIL EP2601等が挙げられる。
【0069】
(エラストマー樹脂)
エポキシ反応基を有するエラストマー樹脂は、エラストマー樹脂の少なくとも一つの単位として、エポキシ反応基を含む単位を有する樹脂である。すなわち、エポキシ反応基を有するエラストマー樹脂は、エポキシ反応基を含む単位と、このエポキシ反応基と含む単位以外の単位とから構成される。
【0070】
エラストマー樹脂としては、アクリル系エラストマー樹脂、ウレタン系エラストマー樹脂、オレフィン系エラストマー樹脂、アミド系エラストマー樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、エステル系エラストマー樹脂、シリコーン系エラストマー樹脂などが挙げられる。
【0071】
アクリル系エラストマー樹脂としては、例えばハードセグメントが(メタ)アクリル酸エステル単位を含み、ソフトセグメントがアクリロニトリル単位、エチレン単位、(メタ)アクリル酸エステル単位等を含む共重合体などが挙げられる。
【0072】
ウレタン系エラストマー樹脂としては、例えばハードセグメントがポリウレタン構造を含み、ソフトセグメントがポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリカプロラクトン構造等を含む共重合体などが挙げられる。
【0073】
オレフィン系エラストマー樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂のマトリックスに、例えばエチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体等のオレフィン系ゴムを微分散させたポリマーアロイ;ハードセグメントがポリブタジエン構造を含み、ソフトセグメントがポリエーテル構造、ポリエステル構造等を含む共重合体などが挙げられる。
【0074】
アミド系エラストマー樹脂としては、例えばハードセグメントがポリアミド構造を含み、ソフトセグメントがポリエーテル構造、ポリエステル構造等を含む共重合体などが挙げられる。
【0075】
スチレン系エラストマー樹脂としては、例えばハードセグメントがスチレン単位を含み、ソフトセグメントがブタジエン単位若しくは水添ブタジエン単位、又はイソプレン単位若しくは水添イソプレン単位等を含む共重合体などが挙げられる。
【0076】
エステル系エラストマー樹脂としては、例えばハードセグメントがポリエステル構造を含み、ソフトセグメントがポリエーテル構造、ポリエステル構造等を含む共重合体などが挙げられる。
【0077】
シリコーン系エラストマー樹脂としては、例えばオルガノポリシロキサン構造を主骨格として有するエラストマー樹脂等が挙げられる。
【0078】
エポキシ反応基を有するエラストマー樹脂の市販品としては、例えばDow社製のDOWSIL AY42-119、FZ-3736、BY16-870、BY16-876、Momentive社製のSilquest VX-225、CoatOSil T-cure、信越化学工業社製のX-22-4741等が挙げられる。
【0079】
[他の成分]
組成物(X)を構成する成分の割合の総和が100質量%以下となる範囲であれば、組成物(X)は、他の成分として、例えばシリカ等の充填材、導電性フィラー等の機能性フィラー、チキソ性付与剤、安定剤、カーボンブラック等の顔料、染料、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、希釈剤、カップリング剤などを含有していてもよい。組成物(X)は、他の成分を1種又は2種以上含有することができる。他の成分の割合は、組成物(X)全体に対して、例えば0.01質量部以上2質量部以下である。
【0080】
[各成分の割合]
(A)エポキシ樹脂の割合は、組成物(X)全体に対して、40質量%以上77質量%以下であることが重要である。(A)エポキシ樹脂の割合が40質量%未満であると、密着性が低下する。(A)エポキシ樹脂の割合が77質量%を超えると、硬化物の低応力性が低下する。(A)エポキシ樹脂の割合は、43質量%以上であることが好ましく、47質量%以上であることがより好ましく、51質量%以上であることがさらに好ましい。(A)エポキシ樹脂の割合は、70質量%以下であることが好ましく、66質量%以下であることがより好ましく、63質量%以下であることがさらに好ましい。
【0081】
(B)アミン硬化剤の割合は、組成物(X)全体に対して、5質量%以上20質量%以下であることが重要である。(B)アミン硬化剤の割合が5質量%未満であると、密着性が低下する。(B)アミン硬化剤の割合が20質量%を超えると、保存安定性が低下する。(B)アミン硬化剤の割合は、6質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましい。(B)アミン硬化剤の割合は、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0082】
(C)潜在性硬化剤の割合は、組成物(X)全体に対して、8質量%以上40質量%以下であることが重要である。(C)潜在性硬化剤の割合が8質量%未満であると、密着性が低下する。(C)潜在性硬化剤の割合が40質量%を超えると、保存安定性が低下するリスクがある。(C)潜在性硬化剤の割合は、10質量%以上であることが好ましく、14質量%以上であることがより好ましく、17質量%以上であることがさらに好ましい。(C)潜在性硬化剤の割合は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0083】
(D)エラストマーの割合は、組成物(X)全体に対して、10質量%以上40質量%以下であることが重要である。(D)エラストマーの割合が10質量%未満であると、硬化物の低応力性が低下する。(D)エラストマーの割合が40質量%を超えると、密着性が低下する。(D)エラストマーの割合は、15質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。(D)エラストマーの割合は、35質量%以下であることが好ましく、32質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0084】
(B)アミン硬化剤の割合は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
【0085】
(C)潜在性硬化剤の割合は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
【0086】
(B)アミン硬化剤に対する(C)潜在性硬化剤の質量比((C)/(B))は、0.5以上5以下であることが好ましく、0.8以上4以下であることがより好ましく、0.9以上3以下であることがさらに好ましい。
【0087】
(D)エラストマーの割合は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、8質量部以上80質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上70質量部以下であることがさらに好ましい。
【0088】
本実施形態の組成物(X)は、接着剤として、また、封止材、構造材を形成する材料として好適に用いることができる。
【0089】
<硬化物>
本実施形態の硬化物は、組成物(X)の硬化物である。本実施形態の硬化物は、例えば組成物(X)を加熱して硬化させることにより得られる。加熱温度は、例えば50℃以上200℃以下であり、80℃以上120℃以下であることが好ましい。加熱時間は、例えば1分以上10時間以下であり、10分以上5時間以下であることが好ましく、30分以上3時間以下であることがより好ましい。
【0090】
本実施形態の硬化物は、上述のように、低応力性に優れているので、例えばカメラ用、カメラモジュール用、センサー用、センサーモジュール用、表示体付きモジュール、乾電池・コイン電池付きモジュール等における封止材などに好適に用いることができる。
【0091】
<接着剤>
本実施形態の接着剤は、組成物(X)からなる。組成物(X)は、上述のように、硬化物の低応力性に優れると共に、密着性と、保存安定性とに優れるので、カメラモジュール等のモジュールにおける半導体チップ等の電子部品を固定する接着剤として好適に用いることができる。
【実施例
【0092】
以下、本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示は実施例のみに限定されるものではない。
【0093】
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
表1に示す原料を混合することで、熱硬化性樹脂組成物を調製した。表1に示す原料の詳細は以下の通りである。
【0094】
-(A)エポキシ樹脂
・A1:三菱ケミカル社製のYDF8170。ビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状)。
・A2:三菱ケミカル社製のYD8125。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状)。
-(B)アミン硬化剤
・B1:ADEKA社製のEH5030S。ポリアミン系。
・B2:ADEKA社製のEH5057P。ポリアミン系。
-(C)潜在性硬化剤
・C1:旭化成社製のノバキュアHXA9322HP。マイクロカプセル型。
-(D)エラストマー
・D1:エポキシ反応基を有するポリロタキサン:ASM社製のセルム スーパーポリマーSH1300P。
・D2:エポキシ反応基を有するシロキサンオリゴマー:Momentive社製のTSL9906。
・D3:エポキシ反応基を有さないエラストマー樹脂:クラレ社製のクラリティLA2140。メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸n-ブチル(nBA)とのブロック共重合体。
【0095】
<評価>
[硬化物の低応力性]
熱硬化性樹脂組成物を、80℃で90分間加熱することにより硬化し、幅5mm、長さ10mm、厚み0.5mmの試験片を作製した。得られた試験片について、オートグラフ(島津製作所社製のAGS-X)を用い、25℃、ロードセル5000N、引張速度5mm/分、弾性率算出範囲:ひずみ0.25%~0.5%の条件で引張試験を実施し、硬化物の弾性率を測定した。硬化物の低応力性について、以下の基準で評価した。
〇:弾性率が、1GPa以下であった。
△:弾性率が、1GPa超1.5GPa未満であった。
×:弾性率が、1.5GPa以上であった。
【0096】
[密着性]
熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤3mgを、寸法3cm四方の液晶ポリマー(LCP)基板上の4か所に塗布した後、接着剤部分に、寸法3cm×5mmのアルミリベットを乗せ、試験片を作製した。得られた試験片を、80℃の乾燥機中で60分間熱硬化させた。熱硬化させた試験片を、卓上ボンダテスター(dage precision industry社製のseries4000)により、シェア強度を測定した。密着性について、以下の基準で評価した。
〇:シェア強度が10MPa以上であった。
△:シェア強度が5MPa超10MPa未満であった。
×:シェア強度が5MPa以下であった。
【0097】
[保存安定性]
組成物をサンプル瓶に入れ、25℃の恒温槽内で保存した。調製直後の粘度と、72時間保存後の粘度をそれぞれ測定し、粘度変化(%)を求めた。保存安定性について、以下の基準で評価した。
〇:粘度変化が120%以下であった。
△:粘度変化が120%超130%未満であった。
×:粘度変化が130%以上であった。
【0098】
【表1】
【0099】
表1の結果から、実施例の熱硬化性樹脂組成物は、(A)~(D)成分の割合が全て特定範囲であることにより、硬化物の低応力性と、密着性と、保存安定性との全てに優れていることが分かる。比較例の熱硬化性樹脂組成物は、(A)~(D)成分の割合のうち少なくとも1つが特定範囲外であり、前記特性の全てを優れたものとすることができない。