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特許7580067電子機器組立装置および電子機器組立方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】電子機器組立装置および電子機器組立方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20241101BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20241101BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B25J13/08 A
H01R43/26
B25J15/08 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021020908
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123538
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 健
(72)【発明者】
【氏名】酒見 敏弘
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111755929(CN,A)
【文献】特開2018-069415(JP,A)
【文献】特開2013-239320(JP,A)
【文献】特開2019-067717(JP,A)
【文献】特開2002-110292(JP,A)
【文献】特開2017-199614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01R 43/00 - 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のコネクタに装着するためのケーブルを保持するケーブル保持ツールと、
前記ケーブル保持ツールと撮像部とが装着されたベース部と、
前記ベース部を移動させることにより、前記ケーブル保持ツールを前記電子機器に対して相対的に移動させるロボット部と、
前記ロボット部を駆動することにより、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに装着する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像し、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像し、
前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行い、
前記挿入前長さは、前記装着部分の第1辺の長さに関する第1挿入前長さと、前記第1辺に対向する第2辺の長さに関する第2挿入前長さとを含み、
前記挿入後長さは、前記第1辺の長さに関する第1挿入後長さと、前記第2辺の長さに関する第2挿入後長さとを含み、
前記差分は、前記第1挿入前長さと前記第1挿入後長さとの差分である第1差分と、前記第2挿入前長さと前記第2挿入後長さとの差分である第2差分とを含み、
前記制御部は、前記第1差分と前記第2差分のそれぞれに基づいて、前記挿入エラー判定を行う、電子機器組立装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが前記ケーブルを保持する前に前記第1画像を撮像する制御を実行する、請求項1に記載の電子機器組立装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが保持する前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを接近させた状態で前記第1画像を撮像する制御を実行し、当該制御で撮像した前記第1画像は、前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを含む、請求項1に記載の電子機器組立装置。
【請求項4】
電子機器のコネクタに装着するためのケーブルを保持するケーブル保持ツールと、
前記ケーブル保持ツールと撮像部とが装着されたベース部と、
前記ベース部を移動させることにより、前記ケーブル保持ツールを前記電子機器に対して相対的に移動させるロボット部と、
前記ロボット部を駆動することにより、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに装着する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像し、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像し、
前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行い、
前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが前記ケーブルを保持する前に前記第1画像を撮像する制御と、前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを接近させてから前記第1画像を撮像する制御のうち、前記ケーブルと前記ケーブル保持ツールの組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行する、電子機器組立装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記差分が予め定めた所定範囲から外れる場合に、挿入エラーと判定する、請求項1からのいずれか1つに記載の電子機器組立装置。
【請求項6】
前記ケーブルの前記装着部分は、前記ケーブルに貼付された補強板を含む、請求項1からのいずれか1つに記載の電子機器組立装置。
【請求項7】
前記コネクタは、前記ケーブルの挿入に応じて前記ケーブルを自動でロックするロック機構を有する、請求項1からのいずれか1つに記載の電子機器組立装置。
【請求項8】
電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立方法であって、
ロボット部により、ケーブル保持ツールを装着したベース部を移動させて、前記ケーブル保持ツールにより前記ケーブルを保持する保持ステップと、
前記ロボット部により、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに接近させる接近ステップと、
前記ロボット部により、前記ケーブルの前記装着部分を前記コネクタに挿入する挿入ステップと、
撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像する第1撮像ステップと、
前記撮像部により、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像する第2撮像ステップと、
制御部により、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う挿入エラー判定ステップと、を含み、
前記挿入前長さは、前記装着部分の第1辺の長さに関する第1挿入前長さと、前記第1辺に対向する第2辺の長さに関する第2挿入前長さとを含み、
前記挿入後長さは、前記第1辺の長さに関する第1挿入後長さと、前記第2辺の長さに関する第2挿入後長さとを含み、
前記差分は、前記第1挿入前長さと前記第1挿入後長さとの差分である第1差分と、前記第2挿入前長さと前記第2挿入後長さとの差分である第2差分とを含み、
前記挿入エラー判定ステップでは、前記制御部により、前記第1差分と前記第2差分のそれぞれに基づいて、前記挿入エラー判定を行う、電子機器組立方法。
【請求項9】
前記保持ステップの前に前記第1撮像ステップで撮像される前記第1画像は、前記ケーブル保持ツールによって保持される前の前記ケーブルの前記装着部分を含む、請求項に記載の電子機器組立方法。
【請求項10】
前記接近ステップの後に前記第1撮像ステップで撮像される前記第1画像は、前記ケーブル保持ツールによって保持されている前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを含む、請求項に記載の電子機器組立方法。
【請求項11】
電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立方法であって、
ロボット部により、ケーブル保持ツールを装着したベース部を移動させて、前記ケーブル保持ツールにより前記ケーブルを保持する保持ステップと、
前記ロボット部により、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに接近させる接近ステップと、
前記ロボット部により、前記ケーブルの前記装着部分を前記コネクタに挿入する挿入ステップと、
撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像する第1撮像ステップと、
前記撮像部により、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像する第2撮像ステップと、
制御部により、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う挿入エラー判定ステップと、を含み、
前記制御部により、前記保持ステップの前に行う前記第1撮像ステップと、前記接近ステップの後に行う前記第1撮像ステップのうち、前記ケーブルと前記ケーブル保持ツールの組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行する、電子機器組立方法。
【請求項12】
前記挿入エラー判定ステップでは、前記差分が予め定めた所定範囲から外れる場合に、前記制御部により、挿入エラーと判定する、請求項から11のいずれか1つに記載の電子機器組立方法。
【請求項13】
前記ケーブルの前記装着部分は、前記ケーブルに貼付された補強板を含む、請求項から12のいずれか1つに記載の電子機器組立方法。
【請求項14】
前記コネクタは、前記ケーブルの挿入に応じて前記ケーブルを自動でロックするロック機構を有する、請求項から13のいずれか1つに記載の電子機器組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器組立装置および電子機器組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立装置/方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-69415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタにケーブルを正常に装着するためには、ケーブルを適切な挿入量/挿入負荷で挿入することが望ましい。ケーブルを正常に装着するためにも、ケーブルの挿入エラー判定を精度良く実施できるようにすることが求められる。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、ケーブルの挿入エラー判定を精度良く実施することができる電子機器組立装置および電子機器組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の電子機器組立装置は、電子機器のコネクタに装着するためのケーブルを保持するケーブル保持ツールと、前記ケーブル保持ツールと撮像部とが装着されたベース部と、前記ベース部を移動させることにより、前記ケーブル保持ツールを前記電子機器に対して相対的に移動させるロボット部と、前記ロボット部を駆動することにより、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに装着する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像し、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像し、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う。
【0007】
また、本発明の電子機器組立方法は、電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立方法であって、ケーブル保持ツールを装着したベース部を移動させて、前記ケーブル保持ツールにより前記ケーブルを保持する保持ステップと、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに接近させる接近ステップと、前記ケーブルの前記装着部分を前記コネクタに挿入する挿入ステップと、撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像する第1撮像ステップと、前記撮像部により、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像する第2撮像ステップと、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う挿入エラー判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケーブルの挿入エラー判定を精度良く実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の電子機器組立装置の概略斜視図
図2A】実施形態のベース部の周辺構成を示す概略断面図
図2B】実施形態のケーブル保持ツールのシリンダの周辺構成を示す拡大図
図2C】実施形態のシリンダが動作した状態を示す拡大図(可動部が第1相対位置)
図2D】実施形態のシリンダが動作した状態を示す拡大図(可動部が第2相対位置)
図3】実施形態のケーブルをコネクタに装着する前の電子機器の斜視図
図4】実施形態のケーブルをコネクタに装着した後の電子機器の斜視図
図5A】実施形態のケーブルの平面図
図5B】実施形態のケーブルの斜視図
図6A】実施形態のケーブル保持ツールのチャック機構の動作を示す拡大斜視図
図6B】実施形態のケーブル保持ツールのチャック機構の動作を示す拡大斜視図
図7A】実施形態のケーブル保持ツールによるケーブル保持動作を示す拡大斜視図
図7B】実施形態のケーブル保持ツールによるケーブル保持動作を示す拡大斜視図
図8】実施形態の電子機器組立装置の制御系のブロック図
図9】実施形態の電子機器組立装置による電子機器の組立方法を示すフローチャート
図10】実施形態の撮像部による撮像画像(第1画像)の一例を示す概略平面図
図11図9のフローチャートによる電子機器の組立方法を説明するための縦断面図
図12図9のフローチャートによる電子機器の組立方法を説明するための縦断面図
図13】実施形態の撮像部による撮像画像(中間画像)の一例を示す概略平面図
図14図9のフローチャートによる電子機器の組立方法を説明するための縦断面図
図15A】ケーブル挿入時におけるケーブル保持ツールの可動部の相対移動を表す模式図(負荷OKパターン)
図15B】ケーブル挿入時におけるケーブル保持ツールの可動部の相対移動を表す模式図(負荷OKパターン)
図15C】ケーブル挿入時におけるケーブル保持ツールの可動部の相対移動を表す模式図(負荷NGパターン)
図15D】ケーブル挿入時におけるケーブル保持ツールの可動部の相対移動を表す模式図(負荷NGパターン)
図16図9のフローチャートによる電子機器の組立方法を説明するための縦断面図
図17】実施形態の撮像部による撮像画像(第2画像)の一例を示す概略平面図
図18】変形例に係る電子機器の組立方法を示すフローチャート
図19】変形例に係る撮像部による撮像画像(第1画像)の一例を示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1態様によれば、電子機器のコネクタに装着するためのケーブルを保持するケーブル保持ツールと、前記ケーブル保持ツールと撮像部とが装着されたベース部と、前記ベース部を移動させることにより、前記ケーブル保持ツールを前記電子機器に対して相対的に移動させるロボット部と、前記ロボット部を駆動することにより、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに装着する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像し、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像し、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う、電子機器組立装置を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが前記ケーブルを保持する前に前記第1画像を撮像する制御を実行する、第1態様に記載の電子機器組立装置を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが保持する前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを接近させた状態で前記第1画像を撮像する制御を実行し、当該制御で撮像した前記第1画像は、前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを含む、第1態様又は第2態様に記載の電子機器組立装置を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、前記制御部は、前記ケーブル保持ツールが前記ケーブルを保持する前に前記第1画像を撮像する制御と、前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを接近させてから前記第1画像を撮像する制御のうち、前記ケーブルと前記ケーブル保持ツールの組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行する、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の電子機器組立装置を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記挿入前長さは、前記装着部分の第1辺の長さに関する第1挿入前長さと、前記第1辺に対向する第2辺の長さに関する第2挿入前長さとを含み、
前記挿入後長さは、前記第1辺の長さに関する第1挿入後長さと、前記第2辺の長さに関する第2挿入後長さとを含み、前記差分は、前記第1挿入前長さと前記第1挿入後長さとの差分である第1差分と、前記第2挿入前長さと前記第2挿入後長さとの差分である第2差分とを含み、前記制御部は、前記第1差分と前記第2差分のそれぞれに基づいて、前記挿入エラー判定を行う、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の電子機器組立装置を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、前記制御部は、前記差分が予め定めた所定範囲から外れる場合に、挿入エラーと判定する、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の電子機器組立装置を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、前記ケーブルの前記装着部分は、前記ケーブルに貼付された補強板を含む、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の電子機器組立装置を提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、前記コネクタは、前記ケーブルの挿入に応じて前記ケーブルを自動でロックするロック機構を有する、第1態様から第7態様のいずれか1つに記載の電子機器組立装置を提供する。
【0018】
本発明の第9態様によれば、電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立方法であって、ケーブル保持ツールを装着したベース部を移動させて、前記ケーブル保持ツールにより前記ケーブルを保持する保持ステップと、前記ケーブル保持ツールが保持した前記ケーブルの装着部分を前記コネクタに接近させる接近ステップと、前記ケーブルの前記装着部分を前記コネクタに挿入する挿入ステップと、撮像部により、前記コネクタに挿入する前の前記装着部分を含む第1画像を撮像する第1撮像ステップと、前記撮像部により、前記コネクタへの挿入後に前記コネクタから突出して見える前記装着部分を含む第2画像を撮像する第2撮像ステップと、前記第1画像に基づく前記装着部分の挿入前長さと、前記第2画像に基づく前記装着部分の挿入後長さとの差分に基づいて、前記ケーブルの挿入に関する挿入エラー判定を行う挿入エラー判定ステップと、を含む、電子機器組立方法を提供する。
【0019】
本発明の第10態様によれば、前記保持ステップの前に前記第1撮像ステップで撮像される前記第1画像は、前記ケーブル保持ツールによって保持される前の前記ケーブルの前記装着部分を含む、第9態様に記載の電子機器組立方法を提供する。
【0020】
本発明の第11態様によれば、前記接近ステップの後に前記第1撮像ステップで撮像される前記第1画像は、前記ケーブル保持ツールによって保持されている前記ケーブルの前記装着部分と前記コネクタを含む、第9態様又は第10態様に記載の電子機器組立方法を提供する。
【0021】
本発明の第12態様によれば、前記保持ステップの前に行う前記第1撮像ステップと、前記接近ステップの後に行う前記第1撮像ステップのうち、前記ケーブルと前記ケーブル保持ツールの組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行する、第9態様から第11態様のいずれか1つに記載の電子機器組立方法を提供する。
【0022】
本発明の第13態様によれば、前記挿入前長さは、前記装着部分の第1辺の長さに関する第1挿入前長さと、前記第1辺に対向する第2辺の長さに関する第2挿入前長さとを含み、
前記挿入後長さは、前記第1辺の長さに関する第1挿入後長さと、前記第2辺の長さに関する第2挿入後長さとを含み、前記差分は、前記第1挿入前長さと前記第1挿入後長さとの差分である第1差分と、前記第2挿入前長さと前記第2挿入後長さとの差分である第2差分とを含み、前記挿入エラー判定ステップでは、前記第1差分と前記第2差分のそれぞれに基づいて、前記挿入エラー判定を行う、第9態様から第12態様のいずれか1つに記載の電子機器組立方法を提供する。
【0023】
本発明の第14態様によれば、前記挿入エラー判定ステップでは、前記差分が予め定めた所定範囲から外れる場合に、挿入エラーと判定する、第9態様から第13態様のいずれか1つに記載の電子機器組立方法を提供する。
【0024】
本発明の第15態様によれば、前記ケーブルの前記装着部分は、前記ケーブルに貼付された補強板を含む、第9態様から第14態様のいずれか1つに記載の電子機器組立方法を提供する。
【0025】
本発明の第16態様によれば、前記コネクタは、前記ケーブルの挿入に応じて前記ケーブルを自動でロックするロック機構を有する、第9態様から第15態様のいずれか1つに記載の電子機器組立方法を提供する。
【0026】
以下、本発明に係る電子機器組立装置および電子機器組立方法の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0027】
(実施形態)
まず図1を参照して、本発明の一実施形態に係る電子機器組立装置について説明する。図1に示す電子機器組立装置1は、車載用電子機器などの電子機器4を作業対象として、電子機器4の筐体内に取り付けられた回路基板などの機能モジュールに実装されたコネクタ13(図3図4参照)にケーブル17を装着する機能を有している。
【0028】
基台2の上面2aには作業ステージ3が設けられている。作業ステージ3は、作業対象の電子機器4を所定の姿勢で位置決めして保持する。
【0029】
ここで図3図4を参照して、作業対象の電子機器4について説明する。図3はコネクタ13にケーブル17(図4)を装着する前の状態を示し、図4はコネクタ13にケーブル17を装着した後の状態を示している。図3において、電子機器4には、電子部品11aが実装された回路基板11が箱型の筐体4aの内部に設置されている。筐体4a内に設置された回路基板11の縁部には、コネクタ13が実装されている。コネクタ13には、柔軟性のあるケーブル17の端部に貼付された硬質の補強板16が装着される。筐体4aの背面4bには、筐体4a内のコネクタ13に外部からケーブル17を接続するための開口4cが形成されている。
【0030】
図3に示すように、コネクタ13において、ケーブル17が装着される装着部13aの底面の端子面13bには接続用の端子列が形成されている。ケーブル17の補強板16をコネクタ13に挿入して装着した状態では、ケーブル17に形成された配線パターンがこれらの端子列に接触する。ケーブル17の種類に応じて、配線パターンの端子数(ピン数)は異なるため、コネクタ13に挿入する際にケーブル17が受ける反力も変化する。ケーブル17の配線パターンの端子数が増加するほど、コネクタ挿入時の反力も増加する。
【0031】
コネクタ13は、装着されたケーブル17の脱落を防止するためのロック機構(図示せず)を備えている。実施形態1のロック機構は、いわゆるオートロックタイプのロック機構であって、装着部13aに挿入されたケーブル17を挿入に応じて自動的にロックする。オートロックタイプのロック機構は例えば、端子面13bに形成された端子のそれぞれに接触して付勢するバネ(図示せず)を有する。ケーブル17の補強板16がバネの付勢力に勝る挿入力でバネと端子の間に挿入されることで、ケーブル17の配線パターンが端子面13bに接触した状態でケーブル17がロックされ、ケーブル17がコネクタ13に装着された状態となる。オートロックタイプのロック機構はさらに、ケーブル17のロックを選択的に解除するための解除部材(図示せず)を有する。
【0032】
図4に示すように、ケーブル17がコネクタ13に装着された後にロック機構が作動すると、ロック機構が補強板16を押さえ込んでケーブル17の脱落が防止される。
【0033】
図3において、作業対象の電子機器4は、背面4bが斜め上方を向くように作業ステージ3に対して作業角度θだけ背面4b側を持ち上げた姿勢で作業ステージ3に位置決めされて保持される。電子機器4を作業ステージ3に水平に保持した状態(作業角度θがゼロ)では、上方から筐体4aの内部にあるコネクタ13を見ることができない。一方、作業角度θだけ傾けることで、上方から開口4cを通じてコネクタ13の少なくとも一部を見ることができる。電子機器4は、作業ステージ3上に設置された作業角度θの斜面を有する保持台(図示省略)に保持してもよく、保持台に保持した状態で作業ステージ3に搬送してもよい。また、作業ステージ3まで水平姿勢で搬送した後に、作業角度θだけ傾けるようにしてもよい。
【0034】
実施形態では、斜めに配置されたコネクタ13に対してケーブル17を斜めに挿入するが、このような場合に限らない。コネクタ13やケーブル17の仕様に応じて、コネクタ13を作業角度θ=0度で配置してケーブル17を水平方向に挿入する等、コネクタ13の作業角度θやケーブル17の挿入方向は任意の角度・方向であってもよい。
【0035】
図1において作業ステージ3は昇降動作が可能となっている。電子機器4を作業対象とするケーブル17の装着作業においては、作業ステージ3を昇降させることにより、電子機器4を所定の作業高さに位置させる。基台2の上面2aのコーナ部にはコーナポスト2bが立設されており、コーナポスト2bの上端部には水平な架台2cが架設されている。架台2cの側面にはタッチパネルを備えた操作パネル9が配置されている。
【0036】
ロボット部5を対象とした操作や動作指示のための指示入力は、操作パネル9を介してのタッチ操作入力によって実行される。操作パネル9は表示機能を有しており、電子機器組立装置1によるケーブル装着動作において異常や不具合が発生した場合の報知は、操作パネル9に表示される。操作パネル9は報知部として機能する。電子機器組立装置1の座標系については、電子機器組立装置1の正面から見て左右方向をX軸とし、前後方向をY軸とし、鉛直方向をZ軸とする。
【0037】
図1において、架台2cの下面には、以下に説明するロボット部5の駆動機構を内蔵した固定ベース部6が配置されている。固定ベース部6には個別に動作する6つのサーボ駆動機構が内蔵されており、それぞれのサーボ駆動機構は固定ベース部6から下方に延出した6本のリンク部材7を個別に駆動する。リンク部材7の下端部はベース部8に結合されている。上記構成において、固定ベース部6およびリンク部材7は、ロボット部5を構成する。ロボット部5はベース部8を移動させ、ベース部8の姿勢を変更させる。
【0038】
ロボット部5は、個別に動作する6本のリンク部材7を有する6自由度タイプのパラレルリンクロボットである。固定ベース部6から下方に延出した6本のリンク部材7の下端部は、ケーブル17をコネクタ13に装着する装着作業を実行する作業ユニットであるベース部8に結合されている。図2Aに示すように、リンク部材7はユニバーサルジョイント7aを介してベース部8に結合されている。この構成により、ロボット部5によってベース部8に6自由度の移動動作を行わせることが可能となっている。
【0039】
図2Aにおいて、ベース部8には、ケーブル保持ツール20、距離計測部40、撮像部50および照明56が装着されている。ケーブル保持ツール20は、コネクタ13へ装着される対象となるケーブル17(図示せず)を保持する機能を有している。
【0040】
ロボット部5がベース部8を移動させることにより、ケーブル保持ツール20は、作業ステージ3に保持された電子機器4に対して相対的に移動させることができる。ケーブル17をコネクタ13に装着する装着作業では、制御部61が、ロボット部5、ケーブル保持ツール20、距離計測部40、撮像部50、照明56を作動させる。
【0041】
このように、ロボット部5がベース部8を移動させることにより、コネクタ13を備える電子機器4に対してケーブル保持ツール20を移動させる。本実施形態においては、パラレルリンクロボットであるロボット部5でベース部8を移動させているが、電子機器組立装置1はアームの途中に複数の回転軸を有する多関節ロボットでベース部8を移動させる構成であってもよい。
【0042】
次に、図2Aを参照してベース部8の詳細構成を説明する。ベース部8において複数のユニバーサルジョイント7aの中心位置を示す駆動中心には開口部8aが設けられている。ベース部8において開口部8aから左方向(電子機器組立装置1の正面側)に隔てた側端部には、距離計測部40が計測光軸40aを下向きにした姿勢で装着されている。距離計測部40は計測光を照射し、距離計測用のターゲットで反射された計測光を検出することでターゲットまでの距離を計測する距離計測センサである。距離計測部40による計測結果は、制御部61に送信される。
【0043】
本実施形態において距離計測部40は、電子機器4の開口4cの上方に移動して、コネクタ13の近傍に設置された距離計測用のターゲット18(図11参照)の反射面18aまでの距離を計測する。ターゲット18は、距離計測部40から照射された計測光を距離計測部40の方向に反射する反射面18aを有する。ターゲット18は、ベース部8からコネクタ13までの距離が計測できるもの、あるいは計測結果から距離が算出できるものであれば任意のものでよい。
【0044】
すなわち、電子機器4を作業角度θに保持した状態で略水平となる反射面18aが開口4cから見える位置に設置されていればよく、ターゲット18はコネクタ13の一部であってもよく、コネクタ13または電子機器4に設けた専用のターゲットであってもよい。このように、ベース部8が有する距離計測部40は、ベース部8からコネクタ13までの距離、あるいは電子機器4に備えられた距離計測用のターゲット18までの距離を計測する。
【0045】
図2Aに戻ると、ベース部8の上面において開口部8aの近傍に立設されたブラケット51には、撮像部50が配置されている。撮像部50は、光学レンズ部52およびカメラ53を含んで構成され、撮像光軸53aを駆動中心に合わせて下向き姿勢で配置されている。制御部61は、ロボット部5を作動させて、ベース部8に配置された撮像部50を作業ステージ3に保持された電子機器4の上方に位置させる(図12参照)。この状態で、撮像部50に撮像させることにより、ケーブル保持ツール20に保持されたケーブル17の補強板16およびコネクタ13の画像を取得することができる。撮像部50による撮像画像は、制御部61に送信される。
【0046】
図2Aに戻ると、ベース部8の下面側には開口部8aを囲む配置で支持部材54が下方に立設されている。支持部材54の下端部には、電子機器4の外形形状に対応した照明保持板55が保持されている。照明保持板55の下面にはLEDなどの発光体を含んで構成される照明56が装着されている。照明56は、制御部61によって制御される。撮像部50による撮像に際しては、照明56を点灯させて撮像対象のケーブル17、コネクタ13などを照明する。
【0047】
図2Aに示すベース部8の開口部8aから右方向に隔てた側端部近傍の下面には、ケーブル保持ツール20が装着されている。ケーブル保持ツール20の詳細構成について、図2A図2Dを用いて説明する。図2Bは、ケーブル保持ツール20のシリンダ22の周辺構成を示す拡大図であり、図2C図2Dは、シリンダ22が動作した状態を示す拡大図である。
【0048】
図2Aに示すケーブル保持ツール20は、装着部21と、シリンダ22と、固定ブロック23と、チャックベース24と、アクチュエータ25と、スライド部26と、チャックブロック27と、ブレード28とを備える。
【0049】
装着部21は、ケーブル保持ツール20をベース部8に固定して装着する部材である。装着部21がシリンダ22をベース部8の下面に固定することで、ケーブル保持ツール20がベース部8に装着される。
【0050】
シリンダ22は、ケーブル保持ツール20に付勢力Fを発生させる部材である。付勢力Fは、ケーブル保持ツール20がケーブル17をコネクタ13に挿入する挿入方向Qに作用する。付勢力Fは例えば、シリンダ22の内部における空気バネの力によって発生される。ケーブル挿入時や、後述するブレード28の先端が電子機器4などに当接した場合に、付勢力Fが緩衝作用を生じさせる。
【0051】
図2Bに示すように、シリンダ22は、シリンダ固定部70と、シリンダ可動部72とを有する。
【0052】
シリンダ固定部70は、装着部21に固定される部分である。シリンダ固定部70には、シリンダ可動部72の相対位置を検知するための第1検知手段74Aと第2検知手段74Bが設けられている。検知手段74A、74Bについては後述する。シリンダ固定部70は装着部21とともに、ベース部8に対する位置関係が固定されており、ケーブル保持ツール20をベース部8に固定する「固定部20A」を構成する。
【0053】
シリンダ可動部72は、シリンダ固定部70に対して相対的に移動可能(矢印b)な状態で取り付けられる部分である。シリンダ可動部72の移動方向はケーブル17の挿入方向Qに概ね平行である。シリンダ可動部72は、シリンダ固定部70に対する相対位置が所定位置P0に向かうように付勢力Fを受ける。所定位置P0は基準位置と称してもよい。
【0054】
ケーブル挿入時や、後述するブレード28の先端が電子機器4などに当接すると、シリンダ可動部72は付勢方向Fとは逆向きの反力Bを受ける。シリンダ可動部72はシリンダ22による付勢力Fを受けながら、反力Bによって所定位置P0から離れる方向に移動する。
【0055】
図2Aに示すように、シリンダ22には電空レギュレータ60が接続されている。電空レギュレータ60は、シリンダ22による付勢力Fを可変に制御する付勢力可変手段である。本実施形態の電空レギュレータ60は制御部61に接続されているが、制御部61とは独立して設けられてもよい。
【0056】
電空レギュレータ60によって、ケーブル17の種類等に応じて付勢力Fを適切な値に設定することができる。前述したように、ケーブル挿入時にコネクタ13から受ける反力B(挿入負荷)はケーブル17の端子数に応じて変化することから、その端子数等に応じて付勢力Fを調整すればよい。
【0057】
シリンダ可動部72の下面には固定ブロック23が取り付けられる。固定ブロック23は、チャックベース24をシリンダ可動部72に固定する部材である。固定ブロック23およびその下方に取り付けられているケーブル保持ツール20の構成要素は、シリンダ可動部72とともに、ベース部8に対して相対的に移動する「可動部20B」を構成する。図2Aに示すケーブル保持ツール20の構成要素のうち、固定ブロック23、チャックベース24、アクチュエータ25、スライド部26、チャックブロック27およびブレード28が、シリンダ可動部72とともに可動部20Bを構成する。
【0058】
図2C図2Dは、可動部20Bが固定部20Aに対して相対的に移動した状態を示す。
【0059】
図2Cは、可動部20Bが付勢力Fに反して所定位置P0から離れた第1相対位置P1に到達した状態を示す(矢印b1)。第1検知手段74Aは、可動部20Bが第1相対位置P1に到達することを検知する位置に設けられている。第1検知手段74Aの検知結果によって、可動部20Bが第1相対位置P1に到達した否かが判断可能である。
【0060】
図2Dは、可動部20Bが付勢力Fに反して第1相対位置P1からさらに離れた第2相対位置P2に到達した状態を示す(矢印b2)。第2検知手段74Bは、可動部20Bが第2相対位置P2に到達することを検知する位置に設けられている。第2検知手段74Bの検知結果によって、可動部20Bが第2相対位置P2に到達した否かが判断可能である。
【0061】
本実施形態の制御部61は、第1検知手段74Aの検知結果と第2検知手段74Bの検知結果に基づいて、ケーブル挿入時の可動部20Bの移動量が正常な範囲内か否かを判断することで、ケーブル17の挿入エラー判定を行う。具体的な判定方法については後述する。
【0062】
本実施形態の第1検知手段74Aおよび第2検知手段74Bはそれぞれ、テーブル型シリンダであるシリンダ22に設けられるオートスイッチ(リミットスイッチとも称する。)が用いられる。第1検知手段74Aのオートスイッチは、図2Cに示すようにシリンダ可動部72が第1相対位置P1に到達したときに検知信号を生成する位置に配置される。第2検知手段74Bのオートスイッチは、図2Dに示すようにシリンダ可動部72が第2相対位置P2に到達したときに検知信号を生成する位置に配置される。
【0063】
図2Aに戻ると、固定ブロック23には、ベース部8の駆動中心側に向かって斜め下方に延出するチャックベース24が結合されている。チャックベース24の上面側には駆動中心側に向かって進退(矢印c)するスライド部26を備えたアクチュエータ25が配設されている。さらにチャックベース24の下端部には、先端にテーパ部が設けられた薄板部材であるブレード28が斜め姿勢で装着されている。ブレード28はその先端部が開口部8aの下方に位置するように位置設定が為されており、撮像部50の画角に含まれる。
【0064】
スライド部26の進出側の端面には、台形形状の側断面を有するチャックブロック27が結合されている。アクチュエータ25を作動させてチャックブロック27を斜め下方に進出させた状態では、チャックブロック27のチャック面27a(図7A図7B参照)がブレード28に当接する。本実施形態では、ケーブル保持ツール20によるケーブル17の保持において、ブレード28とチャックブロック27のチャック面27aとの間に補強板16を上下方向から挟み込むことにより、ケーブル17を保持するようにしている。
【0065】
次に、図5A図5Bを参照して、ケーブル17の構成の詳細を説明する。図5A図5Bに示すように、ケーブル17は、一端部15aにコネクタ13に装着される被装着部15bが形成された帯状のケーブル本体部15と、ケーブル本体部15の片面15cにおいて一端部15a側に接合部17aを介して接合された補強板16と、を有する。ケーブル本体部15において補強板16が接合された片面15cの反対面は、配線パターン15dが形成されたパターン形成面となっており、ケーブル17のコネクタ13への装着作業においては、被装着部15bの配線パターン15dをコネクタ13の装着部13aに形成された端子面13bに押し付けて接触させる。これにより、ケーブル17のケーブル本体部15がコネクタ13に電気的に接続される。
【0066】
ケーブル本体部15は例えば、フレキシブルプリントサーキット(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)を用いてもよい。補強板16は、ケーブル本体部15よりも硬質の材料で形成されており、ケーブル保持ツール20による保持およびコネクタ13への挿入に適している。補強板16および被装着部15bは、コネクタ13に挿入して装着される「装着部分」である。
【0067】
図5Bに示すように、補強板16においてケーブル本体部15の片面15cに接合された接合部17aに対して、一端部15aの反対側に位置する部分(自由端部16a)には、ケーブル本体部15の片面15cと離隔した口開き部17bが形成されている。本実施形態においては、図2Aに示すケーブル保持ツール20によってケーブル17を保持するに際して、口開き部17bにブレード28を挿入してチャックブロック27との間で補強板16を挟み込んで保持するようにしている(図7A図7B参照)。
【0068】
上述した構成のケーブル17を対象とする場合には、ケーブル保持ツール20は補強板16を挟み込んで保持することによりケーブル17を保持する。すなわち本実施形態のケーブル保持ツール20は、補強板16を厚み方向に挟むチャック機構である。そしてこのチャック機構は、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bに挿入されるブレード28と、このブレード28の上面に位置する補強板16に当接して、下方に押さえるチャックブロック27とを有する。
【0069】
次に、図6A図6Bを参照して、ケーブル保持ツール20に設けられ上述の補強板16を挟み込むチャック機構に用いられるチャックブロック27の詳細について説明する。図6Aは、チャックブロック27をブレード28から離隔させた状態を示しており、チャックブロック27のチャック面27aには複数のスパイク爪27bが凸設されている。スパイク爪27bは、ブレード28とチャック面27aとの間に補強板16を挟み込んだチャック状態において、補強板16の表面に僅かに食い込むことにより、挟み込まれた補強板16が滑って脱落するのを防止する。すなわち、ケーブル保持ツール20において、補強板16に当接するチャックブロック27のチャック面27aには滑り止めが形成されている。滑り止めとしては、スパイク爪27bには限定されず、例えばチャック面27aに粗面加工を施すなど、各種の方法を用いることができる。
【0070】
図6Bは、アクチュエータ25(図2A参照)を駆動してチャックブロック27をチャックベース24に沿って下降させ(矢印d)、チャック面27aをブレード28に近接させて閉じた状態を示している。この状態において、チャック面27aの先端部にブレード28の先端から所定幅Bだけ張り出した張り出し部が形成されるように、チャックブロック27およびブレード28のサイズが設定されている。ケーブル保持ツール20におけるチャックブロック27のサイズをこのように設定することにより、図7A図7Bに示すように、ケーブル保持ツール20に保持された状態におけるケーブル17の変形を矯正する効果を得る。
【0071】
図7A図7Bは、図5A図5Bに示すケーブル17を保持対象とする場合を示している。図7Aに示すように、ケーブル本体部15の一端部15aにおいて被装着部15bをはみ出させた状態で、補強板16をケーブル本体部15に接合した構成のケーブル17では、ケーブル本体部15と補強板16との間の口開き部17bにブレード28を挿入する。この状態において、被装着部15bが形成された一端部15aに、幅方向に反り形状や波打ち形状となった変形が生じる場合がある。
【0072】
このような場合にあっても、図7Bに示すように、チャックブロック27をブレード28に対して接近させて(矢印e)、チャック面27aとブレード28との間に補強板16を挟み込んだ状態では、チャックブロック27のチャック面27aは、補強板16を挟んだときに少なくともケーブル本体部15と補強板16とを接合する接合部17aの上面に張り出す。これにより、ケーブル本体部15の一端部15aの近傍部分は平面形状のチャック面27aに倣って上述の変形が矯正される。
【0073】
次に、図8を参照して、電子機器組立装置1の制御系の構成を説明する。電子機器組立装置1が備える制御部61は、ロボット部5、作業ステージ3、撮像部50、照明56、距離計測部40、アクチュエータ25、検知手段74A、74B、電空レギュレータ60、操作パネル9と接続されている。制御部61がロボット部5およびケーブル保持ツール20のアクチュエータ25を制御して作動させることにより、後述するケーブル17を移動させてコネクタ13に装着させるケーブル装着作業が実行される。
【0074】
このケーブル装着作業の実行過程においては、制御部61は、距離計測部40を制御してベース部8からターゲット18までの距離を計測する距離計測処理を実行させる。また、制御部61は、撮像部50および照明56を制御して、ケーブル17の一端部15aおよびコネクタ13の相対位置関係を検出するための撮像処理を実行させる。
【0075】
図8において、制御部61は、内部制御処理機能としての位置検出部62、距離算出部63、挿入エラー判定部64を備えている。
【0076】
位置検出部62は、撮像部50より撮像された撮像画像に基づいて、ケーブル17やコネクタ13の位置、あるいはケーブル17とコネクタ13の相対位置関係を検出する位置検出処理を実行する。ケーブル17の一端部15aをコネクタ13に装着するケーブル装着動作においては、制御部61は一端部15aおよびコネクタ13の相対位置検出結果に基づいて、ロボット部5によるケーブル保持ツール20の移動を制御する。
【0077】
制御部61は、記憶装置である記憶部65を備えている。記憶部65には、作業対象の電子機器4におけるコネクタ13の位置、サイズ、形状、距離計測用のターゲット18の反射面18aの位置など、ケーブル装着作業に必要な情報が記憶されている。
【0078】
距離算出部63は、距離計測部40が計測したターゲット18までの距離、記憶部65に記憶されたターゲット18の反射面18aの位置に基づいて、ベース部8からコネクタ13の端子面13bまでの距離を算出する。また、距離計測部40は、複数のターゲット18までの距離の差に基づいて、コネクタ13の傾きを算出する。
【0079】
挿入エラー判定部64は、撮像部50の撮像画像や検知手段74A、74Bの検知結果に基づいて、ケーブル17がコネクタ13に正常に挿入されたか否かの挿入エラー判定を実行する。本実施形態の挿入エラー判定部64は、移動量判定部64Aと、挿入量判定部64Bとを有する。
【0080】
移動量判定部64Aは、第1検知手段74Aと第2検知手段74Bの検知結果に基づいて、コネクタ挿入時にケーブル保持ツール20の可動部20Bが相対移動する移動量が適切な範囲内か否かを判定する。移動量判定部64Aによって移動量が適切な範囲から外れていると判定した場合、挿入エラー判定部64は、ケーブル17がコネクタ13に正常に挿入されていない「挿入エラー」と判定する。
【0081】
挿入量判定部64Bは、ケーブル17の装着部分である補強板16の長さに関して、コネクタ13への挿入前の補強板16を含む第1画像と、挿入後の補強板16を含む第2画像とに基づいて、ケーブル17の挿入量が適切な範囲内か否かを判定する。挿入量判定部64Bによって挿入量が適切な範囲から外れていると判定された場合、挿入エラー判定部64は挿入エラーと判定する。
【0082】
移動量判定部64Aによって移動量が適切な範囲内にあると判断され、且つ、挿入量判定部64Bによって挿入量が適切な範囲内にあると判断された場合、挿入エラー判定部64はケーブル17がコネクタ13に正常に挿入されているものと判断する。
【0083】
次に図9のフローに沿って、各図面を参照しながら、電子機器組立装置1によって電子機器4が内部に備えるコネクタ13にケーブル17の補強板16を装着するケーブル装着作業を含む電子機器組み立て方法について説明する。
【0084】
図9において、まず、作業対象の電子機器4が作業ステージ3上に開口4c側を作業角度θだけ持ち上げた姿勢で保持される(S0:電子機器保持工程)(図3参照)。
【0085】
次いで、撮像部50による撮像を行う(S1:撮像工程)。具体的には、ケーブル保持ツール20によって保持される前のケーブル17の補強板16を含む画像(第1画像)を、撮像部50により撮像する。ケーブル17は例えば、図1に示す作業ステージ3とは別の場所のトレイ(図示せず)に整列して配置されている。制御部61はロボット部5を駆動して、撮像部50をトレイの上方に配置した上で、トレイ上のケーブル17を撮像部50により撮像させる。撮像工程S1による撮像画像の一例を図10に示す。
【0086】
図10に示す撮像画像80は、ケーブル保持ツール20によって保持される前のケーブル17の補強板16を含む。補強板16の全体が含まれることで、補強板16の全長を算出することができる。補強板16の全長は、ケーブル17の長さ方向Lに沿った補強板16の長さであり、ケーブル17の幅方向Wに直交する方向の長さである。
【0087】
図10に示す撮像画像80に基づいて、位置検出部62によって、認識点R1、R2、R3、R4の位置が求められる。認識点R1と認識点R2の距離が補強板16の第1辺の長さLB1として算出され、認識点R3と認識点R4の距離が補強板16の第2辺の長さLB2として算出される。長さLB1は「第1挿入前長さLB1」とも称し、長さLB2は「第2挿入前長さLB2」とも称する。第1挿入前長さLB1および第2挿入前長さLB2は、後述する挿入量判定工程S12(図9)における挿入量の判定に用いられる。
【0088】
次いで、制御部61は、ケーブル保持ツール20にケーブル17を保持させる(S2:ケーブル保持工程)。具体的には、ロボット部5を駆動して、ケーブル保持ツール20をトレイ上のケーブル17の近傍に配置した上で、図7A図7Bに示したように、ケーブル17の口開き部17bにブレード28を挿入した上で、チャックブロック27を補強板16に向けてスライドさせて(矢印e)、チャックブロック27とブレード28の間に補強板16を挟むことで、ケーブル17を保持する。
【0089】
次いで制御部61は、距離計測部40を用いて距離計測を行う(S3:距離計測工程)。具体的には、ロボット部5を駆動して、図11に示すように距離計測部40を計測光軸40aがターゲット18の反射面18aに当たる位置に移動させた上で、ベース部8からコネクタ13または電子機器4に設けられたターゲット18までの距離を距離計測部40に計測させる。距離算出部63は、計測されたターゲット18までの距離と、記憶部65に記憶された反射面18aの位置に基づいて、ベース部8からコネクタ13の端子面13bまでの距離を算出する。
【0090】
図13に示す撮像画像82(中間画像)に表示されているように、電子機器4が備えるコネクタ13の前面には、左右の2箇所にターゲット18が配置されている。距離計測工程S3では、両方のターゲット18の反射面18aまでの距離が計測され、距離算出部63によってそれぞれ計測された距離の差よりコネクタ13のX軸方向の傾きが算出される。このように、距離計測工程S3において、ベース部8からコネクタ13または電子機器4までの距離が計測される。
【0091】
次いで制御部61は、距離計測工程S3での計測結果に基づいて、図12に示すように、ケーブル保持ツール20を電子機器4に対して移動させて(矢印f)、ケーブル保持ツール20が保持するケーブル17の一端部15aをコネクタ13に接近させる(S4:ケーブル接近工程)。
【0092】
次いで制御部61は、撮像部50による撮像を行う(S5:撮像工程)。具体的には、ケーブル17がコネクタ13に挿入される挿入方向Qに対して鋭角φ(90度から作業角度θを引いた角度)に斜向する方向から、ケーブル17の一端部15aおよび補強板16とコネクタ13を含む画像(中間画像)を撮像する。鋭角φは例えば、35度以上75度以下の値に設定してもよい。撮像工程S5による撮像画像の一例を図13に示す。
【0093】
図13に示す撮像画像82は、電子機器4の内部に設置されたコネクタ13を含む。撮像画像82はさらに、ケーブル保持ツール20のチャックブロック27と、ケーブル保持ツール20に保持されているケーブル17の一端部15aおよび補強板16を含む。このように、鋭角φに斜向する方向から撮像することにより、電子機器4の内部に設置されたコネクタ13とケーブル17の装着部分である一端部15aおよび補強板16を開口4cを通して撮像することができる。
【0094】
撮像部50とケーブル保持ツール20との位置関係は固定されていることから、撮像画像82において、チャックブロック27は常に画像枠方向と一致した固定位置に現れる。これに対し、チャックブロック27とブレード28との間に挟まれて保持されたケーブル17の補強板16および一端部15aは、ケーブル保持工程S2における位置誤差などに起因して、幾分の位置ずれを示す。また、コネクタ13は、電子機器保持工程S0における電子機器4の位置保持誤差、電子機器4におけるコネクタ13の取り付け位置誤差などに起因して位置ずれ状態にある。すなわち、コネクタ13とコネクタ13に装着される一端部15aおよび補強板16との相対的な位置関係は、装着作業対象となるコネクタ13毎にばらついている。
【0095】
次いで制御部61は、位置検出を行う(S6:位置検出工程)。具体的には、撮像工程S5で撮像した撮像画像82に基づいて、位置検出部62により、ケーブル17の一端部15aとコネクタ13の相対位置関係を検出する。
【0096】
図13を参照して、位置検出部62による位置検出処理について説明する。まず位置検出部62は、ケーブル17の一端部15aの位置を検出するための認識点R5、R6の位置を求める。次いで位置検出部62は、認識点R5、R6の中点を一端部15aの位置を示す代表点PM1とする。次いで位置検出部62は、コネクタ13の位置を検出するための認識点R7、R8の位置を求める。次いで位置検出部62は、認識点R7、R8の中点をコネクタ13の位置を示す代表点PM2とする。検出された代表点PM1と代表点PM2は、ケーブル17の一端部15aとコネクタ13の相対位置関係を示す情報である。
【0097】
次いで制御部61は、ケーブル17をコネクタ13へ挿入する(S7:ケーブル挿入工程)。具体的には、位置検出工程S6で検出された代表点PM1と代表点PM2の相対位置関係に基づいて、それぞれの代表点PM1、PM2が適正な位置関係となるよう、ロボット部5を駆動してケーブル17を保持したケーブル保持ツール20を位置合わせする。その後、図14に示すように、ロボット部5を駆動してケーブル保持ツール20を挿入方向Qに移動させることで、ケーブル17の一端部15aおよび補強板16を電子機器4のコネクタ13の装着部13a(図3)に斜め方向から挿入する。
【0098】
図4に示すように、コネクタ13に対してケーブル17の補強板16が挿入された状態となり、ケーブル17がコネクタ13に装着される。コネクタ13に内蔵されたオートロックタイプのロック機構が正常に動作すると、ケーブル17は自動的にロックされ、コネクタ13からケーブル17の脱落が防止される。
【0099】
ケーブル挿入工程S7におけるケーブル17の挿入量は、ケーブル17の一端部15aがコネクタ13の奥まで十分に到達する値、且つ過剰な押込みとならない範囲内に決定される。ケーブル17がコネクタ13に正常に挿入・装着されると、ケーブル保持ツール20の可動部20Bは挿入方向Qとは逆方向に適度な量だけ移動する(図14の矢印b3)。
【0100】
次いで制御部61は、移動量が正常な範囲内であるか否かを判定する(S8:移動量判定工程)。具体的には、移動量判定部64Aにより、第1検知手段74Aおよび第2検知手段74Bの検知結果に基づいて、ケーブル17の挿入に伴う可動部20Bの移動量が正常な範囲内であるか否かを判定する。
【0101】
具体的には、移動量判定部64Aは、第1検知手段74Aによりケーブル保持ツール20の可動部20Bが第1相対位置P1に到達することを検知し、且つ、第2検知手段74Bにより可動部20Bが第1相対位置P1からさらに離れた第2相対位置P2に到達することが検知されなかった場合に、移動量が正常な範囲内であると判定する(S8でYES)。この場合、ケーブル開放工程S10に進む。
【0102】
一方、移動量判定部64Aは、第1検知手段74Aにより可動部20Bが第1相対位置P1に到達することを検知しない場合、あるいは、第2検知手段74Bにより可動部20Bが第2相対位置P2に到達することを検知した場合に、移動量が正常な範囲内にない、すなわち挿入エラーと判定する(S8でNO)。この場合、報知工程S9に進む。
【0103】
ここで、移動量判定工程S8における判定パターンに関して、図15A図15Dを用いて説明する。図15A図15Dはそれぞれ、ケーブル挿入工程S7でケーブル17をコネクタ13に挿入した際のケーブル保持ツール20の可動部20Bの相対移動を表す模式図である。図15A図15Dではそれぞれ、横軸に時間を表し、縦軸にケーブル保持ツール20の可動部20Bの相対位置を表す。
【0104】
図15A図15Dにおいて、第1検知範囲は第1検知手段74Aの検知範囲を表し、第2検知範囲は第2検知手段74Bの検知範囲を表す。第1検知範囲は第1相対位置P1を含み、第2検知範囲は第2相対位置P2を含む。第2検知範囲は第1検知範囲よりも所定位置P0から離れた位置にあり、第1検知範囲とは重複しない。
【0105】
図15Aに示す例では、可動部20Bは所定位置P0から離れるように移動して第1相対位置P1に到達し、第1検知範囲で停止して、そのまま挿入終了となる。第1検知手段74Aは、可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知し、制御部61に検知信号を送信する(第1検知工程:検知結果ON)。第2検知手段74Bは、可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知しない(第2検知工程:検知結果OFF)。移動量判定部64Aは移動量が正常な範囲であると判断し(ステップS8でYES)、次のケーブル開放工程S10に進む。
【0106】
図15Bに示す例では、可動部20Bは第1検知範囲を超える位置まで移動し、第2検知範囲に到達する前の位置で停止して、挿入終了となる。第1検知手段74Aは、可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知し、制御部61に検知信号を送信する(第1検知工程:検知結果ON)。第2検知手段74Bは、可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知しない(第2検知工程:検知結果OFF)。挿入終了時は、第1検知手段74Aおよび第2検知手段74Bの検知結果ともにOFFであるが、第1検知手段74Aから検知信号を受信したことを記憶しておくことで、第1検知手段74Aの検知結果はON、第2検知手段74Bの検知結果はOFFと判断される。これより、移動量判定部64Aは移動量が正常な範囲であると判断し(ステップS8でYES)、次のケーブル開放工程S10に進む。
【0107】
図15Cに示す例では、可動部20Bは第1相対位置P1に到達する前の位置で停止して、そのまま挿入終了となる。第1検知手段74Aは、可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知せず(第1検知工程:検知結果OFF)、第2検知手段74Bも可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知しない(第2検知工程:検知結果OFF)。これより、第1検知手段74Aの検知結果がOFF、第2検知手段74Bの検知結果がOFFとなり、特に第1検知手段74Aの検知結果がOFFであることに応じて、移動量判定部64Aは移動量が正常な範囲でない、すなわち挿入エラーと判断する(S8でNO)。その後、報知工程S9へ進む。
【0108】
図15Dに示す例では、可動部20Bは第1相対位置P1を含む第1検知範囲を通過するとともに、第2相対位置P2まで到達する。第1検知手段74Aは可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知し(第1検知工程:検知結果ON)、第2検知手段74Bも可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知する(第2検知工程:検知結果ON)。第1検知手段74Aの検知結果がON、第2検知手段74Bの検知結果がONとなるが、特に第2検知手段74Bの検知結果がONであることに応じて、移動量判定部64Aは移動量が正常な範囲でない、すなわち挿入エラーと判断する(ステップS8でNO)。その後、報知工程S9へ進む。
【0109】
図15Dに示す例において、本実施形態の制御部61は、第2検知手段74Bの検知結果がONとなった時点、すなわち第2検知手段74Bから検知信号を受信した時点で挿入を中断する(挿入中断工程)。位置検出工程S6に基づいて決定されたケーブル17の最終的な挿入位置に到達する前の時点であっても、第2検知手段74Bの検知結果がONとなった時点でケーブル17の更なる挿入を強制的に中止する。これにより、ケーブル保持ツール20に過剰な挿入負荷が作用することを防止し、電子機器組立装置1の故障を防止することができる。
【0110】
本実施形態では、コネクタ13が有するケーブル17のロック機構がオートロックタイプのロック機構であるため、コネクタ13の端子面13bに接触したバネの付勢力に勝る挿入力および挿入負荷が必要となる。ケーブル17の挿入力が小さいとロック機能が作動しない場合や、コネクタ13の端子列とケーブル17の端子列が互いに接触しない状態でロックされる場合(半差し)等がある。一方、ケーブル17の挿入力が過剰に大きくなると、ケーブル17のロック機能は作動するものの、ケーブル保持ツール20に対する負荷が過大となり、電子機器組立装置1の故障につながる場合がある。また、ケーブル17がコネクタ13ではなく電子機器4の筐体4a等に誤って当接する場合も、ケーブル保持ツール20に対する負荷が過大となり、電子機器組立装置1の故障につながる場合がある。
【0111】
これを受けて、第1検知手段74Aおよび第2検知手段74Bを設けることで、ケーブル保持ツール20の可動部20Bの移動量(それに対応する挿入負荷・挿入力)が適切な範囲であるか否かを判断することで、挿入エラー判定を精度良く実施することができる。
【0112】
図9に戻ると、移動量判定工程S8で移動量が正常な範囲でない(挿入エラー)と判定した場合、制御部61は、報知を行う(S9:報知工程)。具体的には、報知部としての機能を有する操作パネル9に挿入エラーであることを示す表示を行うとともに、ブザー等による音声報知を実行する。これにより、作業員に対して挿入エラーが生じたことを知らせることができる。操作パネル9は、挿入エラーの原因が挿入負荷(すなわち可動部20Bの移動量)が過大あるいは過少であることを示す情報をあわせて表示してもよい。操作パネル9による報知に伴って、制御部61は、設備停止、エラー排出、リトライ等、挿入エラーに付随する任意の制御を実行してもよい。
【0113】
移動量判定工程S8で移動量が正常な範囲内であると判定した場合、制御部61は、アクチュエータ25を駆動してチャックブロック27を上昇させて、ケーブル保持ツール20によるケーブル17の保持を解除させる(S10:ケーブル解放工程)。
【0114】
次いで制御部61は、ケーブル保持ツール20を退避させた後、撮像部50による撮像を行う(S11:撮像工程)。具体的には、図16に示すように、ケーブル保持ツール20を挿入方向Qとは逆方向の退避方向Sに移動させてから、撮像部50により、コネクタ13およびコネクタ13に装着された補強板16を含む画像(第2画像)を撮像する。撮像工程S11による撮像画像の一例を図17に示す。
【0115】
図17に示す撮像画像84は、電子機器4の内部に設置されたコネクタ13と、コネクタ13に挿入された補強板16とを含む。補強板16は、コネクタ13から突出した部分が視認可能である。撮像画像84に基づいて、コネクタ13への挿入後の補強板16の長さを算出することができる。
【0116】
まず、位置検出部62によって、補強板16の挿入後長さを検出するための認識点R9、R10、R11、R12の位置が求められる。認識点R9と認識点R10の距離が補強板16の第1辺の長さLA1として算出され、認識点R11と認識点R12の距離が補強板16の第2辺の長さLA2として算出される。長さLA1は「第1挿入後長さLA1」とも称し、長さLA2は「第2挿入後長さLA2」とも称する。第1挿入後長さLA1および第2挿入後長さLA2は、続く挿入量判定工程S12における挿入量の判定に用いられる。
【0117】
次いで制御部61は、挿入量が正常な範囲内であるか否かを判定する(S12:挿入量判定工程)。具体的には、挿入量判定部64Bは、撮像工程S1の撮像画像80に基づいて算出した補強板16の第1挿入前長さLB1および第2挿入前長さLB2と、撮像工程S11の撮像画像84に基づいて算出した補強板16の第1挿入後長さLA1および第2挿入後長さLA2との差分に基づいて、挿入量の判定を行う。
【0118】
挿入量判定部64Bは、図17に示すように、第1挿入前長さLB1と第1挿入後長さLA1の差分として、第1差分ΔL1を算出し、第2挿入前長さLB2と第2挿入後長さLA2の差分として、第2差分ΔL2を算出する。第1差分ΔL1は補強版16の第1辺の挿入量に対応し、第2差分ΔL2は補強版16の第2辺の挿入量に対応する。
【0119】
挿入量判定部64Bは、第1差分ΔL1と第2差分ΔL2のそれぞれに関して、予め定めた所定範囲か否かに基づいて、挿入量が正常な範囲であるか否かを判定する。所定範囲に関しては、第1差分ΔL1に関する第1所定範囲と、第2差分ΔL2に関する第2所定範囲とを定めてもよく、第1所定範囲と第2所定範囲は同じ範囲であっても、異なる範囲であってもよい。
【0120】
挿入量判定部64Bは、第1差分ΔL1が第1所定範囲内、且つ第2差分ΔL2が第2所定範囲内である場合に、挿入量が正常な範囲内であると判定する。この場合、続くツール帰還工程S14に進む。一方、挿入量判定部64Bは、第1差分ΔL1が所定範囲から外れる場合、あるいは、第2差分ΔL2が所定範囲から外れる場合に、挿入量が正常な範囲内でない、すなわち挿入エラーと判定し、報知工程S13に進む。
【0121】
上記方法によれば、撮像工程S1で取得する撮像画像80(第1画像)と、撮像工程S11で取得する撮像画像84(第2画像)を画像解析することで、コネクタ13に挿入された補強板16の挿入量に基づく挿入エラー判定を行うことができる。特に、補強板16の全長に対応する挿入前長さLB1、LB2と、補強板16がコネクタ13への挿入後に突出して見える挿入後長さLA1、LA2との差分ΔL1、ΔL2に基づいて判定を行うことで、実際の挿入量を正確に把握しながら挿入エラー判定を行うことができる。
【0122】
特にケーブル17の補強板16は、ケーブル本体部15に別部材として貼付されるものであり、寸法がバラつく場合がある。補強板16の寸法がバラつく場合であっても、差分ΔL1、ΔL2に基づいて挿入量の判定を行うことで、実際の挿入量を正確に把握しながら挿入エラー判定を行うことができる。
【0123】
また、補強板16の第1辺に関する第1差分ΔL1と第2辺に関する第2差分ΔL2のそれぞれに関して所定範囲内にあるか否かの判定を行うことで、補強板16の2つの辺の挿入量をより正確に把握することができ、挿入エラー判定を精度良く実行することができる。
【0124】
挿入量判定工程S12で挿入エラーと判定した場合、制御部61は、報知を行う(S13:報知工程)。具体的には、前述した報知工程S9と概ね同様の処理を行うため、説明を省略するが、挿入エラーに付随する制御としてリトライを実行する場合は、例えば撮像工程S11等の途中の工程に戻るようにしてもよい。これにより、挿入エラーの復旧作業の効率化を図ることができる。
【0125】
挿入量判定工程S12で挿入量が正常な範囲内であると判定した場合、制御部61は、ケーブル保持ツール20を元の位置まで帰還させて(S14:ツール帰還工程)、作業ステージ3からケーブル装着作業が完了した電子機器4を回収する(S15:電子機器回収工程)。これにより、1個の電子機器4に対する電子機器組み立てが完了する。
【0126】
(作用・効果1)
上述したように、本実施形態の電子機器組立装置1は、電子機器4のコネクタ13に装着するためのケーブル17を保持するケーブル保持ツール20と、ケーブル保持ツール20を装着したベース部8と、ベース部8を移動させることにより、ケーブル保持ツール20を電子機器に対して相対的に移動させるロボット部5と、ロボット部5を駆動することにより、ケーブル保持ツール20が保持したケーブル17をコネクタ13に装着する制御部61と、を備える。ケーブル保持ツール20は、ベース部8に対して相対的に移動可能であってケーブル17を保持する機能を有した可動部20Bと、可動部20Bに対して所定位置P0に向かうように付勢力Fを与えるシリンダ22(付勢部材)とを有する。さらに、付勢力Fに反して、可動部20Bが所定位置P0から離れた第1相対位置P1に到達することを検知する第1検知手段74Aと、付勢力Fに反して、可動部20Bが第1相対位置P1からさらに離れた第2相対位置P2に到達することを検知する第2検知手段74Bと、をさらに備える。
【0127】
また、本実施形態の電子機器組立方法は、電子機器4のコネクタ13にケーブル17を装着して電子機器4を組み立てる電子機器組立方法であって、ケーブル保持ツール20を装着したベース部8を移動させて、ケーブル保持ツール20によりケーブル17を保持する電子機器保持工程S0と、ケーブル保持ツール20が保持したケーブル17をコネクタ13に挿入するケーブル挿入工程S7と、を含む。ケーブル保持ツール20は、ベース部8に対して相対的に移動可能であってケーブル17を保持する機能を有した可動部20Bと、可動部20Bに対して所定位置P0に向かうように付勢力Fを与えるシリンダ22(付勢部材)とを有する。挿入移動量判定工程S8において、付勢力Fに反して、可動部20Bが所定位置P0から離れた第1相対位置P1に到達することを検知する第1検知工程と、付勢力Fに反して、可動部20Bが第1相対位置P1からさらに離れた第2相対位置P2に到達することを検知する第2検知工程と、を実行する。
【0128】
このような電子機器組立装置1/電子機器組立方法によれば、ケーブル保持ツール20の可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知した場合には、ケーブル17をコネクタ13に挿入するために必要な挿入力が生じていると判断することができる。一方、可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを検知しない場合には、必要な挿入力が生じていないと判断し、挿入エラーと判定することができる。一方、可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知しない場合には、ケーブル17をコネクタ13に挿入する際の挿入負荷が過剰に作用していないと判断できる。可動部20Bが第2相対位置P2に到達したことを検知した場合には、挿入負荷が過剰に作用した挿入エラーと判定することができる。このような検知方法により、ケーブル17をコネクタ13に挿入する際の挿入力や挿入負荷が適切な範囲にあるか否かを判定することができ、挿入エラー判定を精度良く実施することができる。
【0129】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、シリンダ22の付勢力Fは、付勢力可変手段である電空レギュレータ60により可変である。
【0130】
このような構成/方法によれば、コネクタ13やケーブル17の仕様に応じて適切な付勢力Fを設定することができる。
【0131】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、付勢力Fを発生させる付勢部材はシリンダ22であり、付勢力可変手段は電空レギュレータ60である。
【0132】
このような構成/方法によれば、汎用性の高いものを用いることができる。
【0133】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、移動量判定工程S8の第1検知工程および第2検知工程では、シリンダ22に設けられるオートスイッチを用いて検知を行う。
【0134】
このような構成/方法によれば、安価なものを用いて検知を行うことができる。
【0135】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、移動量判定工程S8における第1検知工程の検知結果と第2検知工程の検知結果に基づいて、ケーブル17が正常に挿入されたか否かを判定する。
【0136】
このような構成/方法によれば、第1検知工程と第2検知工程の検知結果を組み合わせて挿入エラー判定を行うことで、挿入エラー判定を精度良く実施することができる。
【0137】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、移動量判定工程S8では、ケーブル保持ツール20が第1相対位置P1に到達することが検知されないことに応じて、ケーブル17の挿入エラーと判定し(S8でNO)、ケーブル保持ツール20が第2相対位置P2に到達することが検知されたことに応じて、ケーブル17の挿入エラーと判定する(S8でNO)。
【0138】
このような構成/方法によれば、挿入力が過少あるいは挿入負荷が過大である場合に挿入エラーと判定することができる。
【0139】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、移動量判定工程S8の第2検知工程において、ケーブル保持ツール20が第2相対位置P2に到達することが検知されたことに応じて、ケーブル17の挿入を中断する挿入中断工程をさらに含む。
【0140】
このような構成/方法によれば、挿入負荷が過大である場合にケーブル17の挿入を中断することで、ケーブル保持ツール20に過剰な負荷が作用することを防止し、電子機器組立装置1の故障を抑制することができる。
【0141】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、コネクタ13は、ケーブル17の挿入に応じてケーブル17を自動でロックするロック機構を有する。
【0142】
このような構成/方法によれば、いわゆるオートロックタイプのロック機構の場合は、ケーブル17を正常に装着するためにケーブル17の挿入力をある程度大きくする必要があるところ、第1検知工程で所定以上の挿入力が生じているか否かを判定できるため、ケーブル17のロック機能を精度良く作動させることができる。
【0143】
(作用・効果2)
上述したように、本実施形態の電子機器組立装置1は、電子機器4のコネクタ13に装着するためのケーブル17を保持するケーブル保持ツール20と、ケーブル保持ツール20と撮像部50とが装着されたベース部8と、ベース部8を移動させることにより、ケーブル保持ツール20を電子機器に対して相対的に移動させるロボット部5と、ロボット部5を駆動することにより、ケーブル保持ツール20が保持したケーブル17の補強板16(装着部分)をコネクタ13に装着する制御部61と、を備える。制御部61は、撮像部50により、コネクタ13に挿入する前の補強板16を含む撮像画像80(第1画像)を撮像し、コネクタ13への挿入後にコネクタ13から突出して見える補強板16を含む撮像画像84(第2画像)を撮像する。制御部61はさらに、撮像画像80に基づく補強板16の挿入前長さLB1、LB2と、撮像画像84に基づく補強板16の挿入後長さLA1、LA2との差分ΔL1、ΔL2に基づいて、ケーブル17の挿入に関する挿入エラー判定を行う。
【0144】
また、本実施形態の電子機器組立方法は、電子機器4のコネクタ13にケーブル17を装着して電子機器4を組み立てる電子機器組立方法であって、ケーブル保持ツール20を装着したベース部8を移動させて、ケーブル保持ツール20によりケーブル17を保持するケーブル保持工程S2(保持工程)と、ケーブル保持ツール20が保持したケーブル17の補強板16をコネクタ13に接近させるケーブル接近工程S4(接近工程)と、ケーブル17の補強板16(装着部分)をコネクタ13に挿入するケーブル挿入工程S7(挿入工程)と、撮像部50により、コネクタ13に挿入する前の補強板16を含む撮像画像80(第1画像)を撮像する撮像工程S1(第1撮像工程)と、撮像部50により、コネクタ13への挿入後にコネクタ13から突出して見える補強板16を含む撮像画像84(第2画像)を撮像する撮像工程S11(第2撮像工程)と、撮像画像80に基づく補強板16の挿入前長さLB1、LB2と、撮像画像84に基づく補強板16の挿入後長さLA1、LA2との差分ΔL1、ΔL2に基づいて、ケーブル17の挿入に関する挿入エラー判定を行う挿入量判定工程S12(挿入エラー判定工程)と、を含む。
【0145】
このような電子機器組立装置1/電子機器組立方法によれば、ケーブル17の装着部分である補強板16の寸法にバラつきがある場合でも、コネクタ13への挿入前と挿入後のそれぞれの長さの差分ΔL1、ΔL2に基づいて挿入エラー判定を行うことで、コネクタ13に挿入された実際の挿入量に基づいて挿入エラー判定を行うことができる。これにより、挿入エラー判定を精度良く実施することができる。
【0146】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、ケーブル保持工程S2の前に撮像工程S1で撮像される撮像画像80は、ケーブル保持ツール20によって保持される前のケーブル17の補強板16を含む。
【0147】
このような構成/方法によれば、補強板16の全長を容易に把握することができる。
【0148】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、挿入前長さLB1、LB2は、補強板16の第1辺の長さに関する第1挿入前長さLB1と、第1辺に対向する第2辺の長さに関する第2挿入前長さLB2とを含む。挿入後長さLA1、LA2は、第1辺の長さに関する第1挿入後長さLA1と、第2辺の長さに関する第2挿入後長さLA2とを含む。差分ΔL1、ΔL2は、第1挿入前長さLB1と第1挿入後長さLA1との差分である第1差分ΔL1と、第2挿入前長さLB2と第2挿入後長さLA2との差分である第2差分ΔL2とを含む。挿入エラー判定工程では、第1差分ΔL1と第2差分ΔL2のそれぞれに基づいて、挿入量判定工程S12による挿入エラー判定を行う。
【0149】
このような構成/方法によれば、補強板16の第1辺の長さと第2辺の長さのそれぞれに基づいてエラー判定を行うことで、挿入エラー判定をより精度良く実行することができる。
【0150】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、挿入量判定工程S12では、差分ΔL1、ΔL2が予め定めた所定範囲から外れる場合に、挿入エラーと判定する。
【0151】
このような構成/方法によれば、差分ΔL1、ΔL2に関する適切な範囲を所定範囲として設定しておくことで、挿入エラー判定を精度良く実行することができる。
【0152】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、ケーブル17の装着部分として、ケーブル17に貼付された補強板16を用いる。
【0153】
このような構成/方法によれば、ケーブル17の装着部分の長さが測定しやすい。また補強板16の寸法がバラつく場合であっても、差分ΔL1、ΔL2に基づいて挿入エラー判定を行うことで、実際の挿入量を正確に把握しながら挿入エラー判定を行うことができる。
【0154】
また、本実施形態の電子機器組立装置1/電子機器組立方法では、コネクタ13は、ケーブル17の挿入に応じてケーブル17を自動でロックするロック機構を有する。
【0155】
このような構成/方法によれば、いわゆるオートロックタイプのロック機構であっても、撮像画像80と撮像画像84に基づく挿入量判定を行うことで、ケーブル17が正常に挿入されているか否かを精度良く判別することができる。
【0156】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、実施形態では、図9に示すフローチャートに関して、ケーブル保持工程S2の前に、ケーブル保持ツール20に保持される前の補強板16を撮像する撮像工程S1を実行して、補強板16の挿入前長さLB1、LB2を取得する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、ケーブル接近工程S4でケーブル17の補強板16とコネクタ13とが接近した状態で行う撮像工程S5において、補強板16の挿入前長さLB1、LB2を取得できる場合には、撮像工程S5が撮像工程S1を代用してもよく、撮像工程S1を省略してもよい。
【0157】
撮像工程S1を省略した変形例のフローチャートを図18に示す。図18に示すように、撮像工程S1を省略するとともに、撮像工程S5により第1画像を取得する。撮像工程S5で取得する撮像画像の例を図19に示す。
【0158】
図19に示す撮像画像100(第1画像)は、実施形態のケーブル保持ツール20のチャックブロック27とは異なる構成のチャックブロック102によってケーブル17の補強板16が保持されている状態を示す。
【0159】
変形例に係るチャックブロック102は、撮像部50の撮像方向に貫通した開口104を形成している。開口104は、チャックブロック102で補強板16を挟んで保持したときに補強板16の後側の端部である自由端部16aを含む位置に形成される。開口104を介して補強板16の自由端部16aを認識することができるため、位置検出部62は、自由端部16aの2つの角部に関する認識点R13、R14の位置を求めることができる。認識点R5と認識点R13の距離が補強板16の第1挿入前長さLC1として算出され、認識点R6と認識点R14の距離が補強板16の第2挿入前長さLC2として算出される。
【0160】
図18に示す挿入量判定工程S12では、撮像工程S5で撮像した撮像画像100(第1画像)に基づく挿入前長さLC1、LC2と、撮像工程S11で撮像した撮像画像84(第2画像)に基づく挿入後長さLA1、LA2とを用いて、挿入量の判定を行う。具体的な判定方法は、図9のフローチャートにおける挿入量判定工程S12と同様であるため、説明を省略する。
【0161】
本変形例によれば、撮像工程S1を省略できるとともに、第1画像と第2画像がともにコネクタ13と補強板16とを接近させた状態で撮像するため、第1画像と第2画像の縮尺を揃えることが可能となる。これにより、挿入量判定工程S12による挿入エラー判定を精度良く実行することができる。
【0162】
本変形例に係る電子機器組立装置によれば、制御部61は、ケーブル保持ツール20が保持するケーブル17の補強板16とコネクタ13を接近させた状態で撮像画像100を撮像する制御(撮像工程S5)を実行し、当該制御で撮像した撮像画像100は、ケーブル17の補強板16とコネクタ13を含む。また、本変形例に係る電子機器組立方法によれば、ケーブル接近工程S4の後に撮像工程S5(第1撮像工程)で撮像される撮像画像100は、ケーブル保持ツール20によって保持されているケーブル17の補強板16とコネクタ13を含む。
【0163】
このような構成/方法によれば、挿入前の撮像画像100(第1画像)と挿入後の撮像画像84(第2画像)を同じ撮像角度から撮像することが可能となり、補強板16の長さの差分ΔL1、ΔL2を精度良く算出することができる。
【0164】
なお、図9のフローチャートによる処理と、図18のフローチャートによる処理を、ケーブル17とケーブル保持ツール20の組合せに応じて使い分けるようにしてもよい。具体的には、図19に示すように、ケーブル保持ツール20によるケーブル17の保持状態を含む撮像画像100において、補強板16(装着部分)の全長が算出可能である場合は図18のフローチャートによる処理を行い、図13の撮像画像82のように補強板16の全体が視認できずに補強板16の全長が算出できない場合は図9のフローチャートによる処理を行うようにしてもよい。
【0165】
すなわち、制御部61は、ケーブル保持ツール20がケーブル17を保持する前に撮像画像80(第1画像)を撮像する制御(図9の撮像工程S1)と、ケーブル17の補強板16(装着部分)とコネクタ13を接近させてから撮像画像100(第1画像)を撮像する制御(図18の撮像工程S5)のうち、ケーブル17とケーブル保持ツール20の組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行してもよい。言い換えれば、ケーブル保持工程S2の前に行う撮像工程S1(第1撮像ステップ)と、ケーブル接近工程S4の後に行う撮像工程S5(第1撮像ステップ)のうち、ケーブル17とケーブル保持ツール20の組合せに応じて、いずれか一方を選択的に実行してもよい。
【0166】
このような構成/方法によれば、ケーブル17とケーブル保持ツール20のそれぞれの仕様に応じて制御を切り替えることで、より適切な制御を実行することが可能となり、処理の効率化を図ることができる。
【0167】
また実施形態では、ケーブル17のロック機構がオートロックタイプである場合について説明したが、このような場合に限らない。オートロックタイプのロック機構ではなく、コネクタロックツールを用いてケーブル17をロックするようなロック機構を用いてもよい。例えば、コネクタ13の端子面13bを開閉するカバー部材を備え、ケーブル保持ツール20とは別のコネクタロックツールを用いてカバー部材を閉じることで、ケーブル17をロックするロック機構であってもよい。
【0168】
また実施形態では、斜めに配置されたコネクタ13に対してケーブル17を斜めに挿入する場合について説明したが、このような場合に限らない。コネクタ13やケーブル17の仕様に応じて、コネクタ13を作業角度θ=0度で配置してケーブル17を水平方向に挿入する等、コネクタ13の作業角度θやケーブル17の挿入方向Qは任意の角度・方向であってもよい。
【0169】
また実施形態では、ケーブル17を保持するケーブル保持ツール20がケーブル17の補強板16を上下に挟んで保持するものである場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、補強板16の上面を吸着保持する等、ケーブル17を保持できるものであれば任意のケーブル保持ツールを用いてもよい。
【0170】
また実施形態では、ケーブル17をコネクタ13に装着するための装着部分として、コネクタ本体部15よりも硬質の補強板16を用いる場合について説明したが、このような場合に限らない。補強板16を設けずに、ケーブル本体部15の一端部15aから離れた所定位置に目印となるものを設けた場合であっても、一端部15aから所定位置までの部分を装着部分として区別することができる。例えば、ケーブル本体部15の主面に印刷物が存在する場合や、ケーブル本体部15に貫通孔や切欠き等の形状を設ける場合であってもよい。
【0171】
また実施形態では、ケーブル保持ツール20に付勢力Fを生じさせる付勢部材として、テーブル型のシリンダ22を用いるとともに、付勢力Fを可変とする付勢力可変手段として、電空レギュレータ60を用いる場合について説明したが、このような場合に限らない。ケーブル保持ツール20に付勢力Fを生じさせるものであれば、任意の付勢部材を用いてもよく、付勢力Fを可変に制御できるものであれば、任意の付勢力可変手段を用いてもよい。また、付勢力可変手段を設けない場合であってもよく、付勢部材自体が単独で付勢力Fを可変に発生させる場合であってもよい。
【0172】
また実施形態では、可動部20Bが第1相対位置P1に到達したことを第1検知手段74Aで検知し、第2相対位置P2に到達したことを第1検知手段74Aとは異なる第2検知手段74Bで検知する場合について説明したが、このような場合に限らない。第1検知手段74Aと第2検知手段74Bを兼ねた1つの検知手段を用いて、可動部20Bが相対位置P1、P2に到達したことをそれぞれ検知してもよい。すなわち、第1検知手段と第2検知手段は同じものであってもよい。
【0173】
また実施形態では、第1検知手段74Aおよび第2検知手段74Bがシリンダ22のオートスイッチである場合について説明したが、このような場合に限らない。可動部20Bが固定部20Aに対して相対的に移動することを検知できるものであれば、任意の検知手段を用いてもよい。
【0174】
また実施形態では、挿入量判定工程S12において、補強板16の第1辺と第2辺のそれぞれの挿入量に関して挿入エラー判定を行う場合について説明したが、このような場合に限らない。第1辺と第2辺のうちのどちらか片方の挿入量、あるいは第1辺と第2辺の挿入量を合算した値(平均値)に基づいて、挿入エラー判定を行ってもよい。
【0175】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0176】
なお、前記実施形態の様々な変形例のうち、任意の変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、電子機器のコネクタにケーブルを装着して電子機器を組み立てる電子機器組立装置および電子機器組立方法であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 電子機器組立装置
2 基台
3 作業ステージ
4 電子機器
5 ロボット部
6 固定ベース部
7 リンク部材
8 ベース部
9 操作パネル
13 コネクタ
15 ケーブル本体部
16 補強板
17 ケーブル
18 ターゲット
20 ケーブル保持ツール
20A 固定部
20B 可動部
21 装着部
22 シリンダ(付勢部材)
23 固定ブロック
24 チャックベース
25 アクチュエータ
26 スライド部
27 チャックブロック
28 ブレード
40 距離計測部
50 撮像部
51 ブラケット
52 光学レンズ部
53 カメラ
54 支持部材
55 照明保持板
56 照明
60 電空レギュレータ
61 制御部
62 位置検出部
63 距離算出部
64 挿入エラー判定部
64A 移動量判定部
64B 挿入量判定部
65 記憶部
70 シリンダ固定部
72 シリンダ可動部
74A 第1検知手段
74B 第2検知手段
80 撮像画像(第1画像)
82 撮像画像(中間画像)
84 撮像画像(第2画像)
100 撮像画像(第1画像)
102 チャックブロック
104 開口
B 反力
F 付勢力
LB1、LB2 挿入前長さ
LA1、LA2 挿入後長さ
ΔL1、ΔL2 差分
P0 所定位置(基準位置)
P1 第1相対位置
P2 第2相対位置
Q 挿入方向
S 退避方向
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
図19