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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】表示システム、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/523 20180101AFI20241101BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241101BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20241101BHJP
【FI】
F24F11/523
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022571077
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2021037409
(87)【国際公開番号】W WO2022137734
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2020217934
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】劉 斐
(72)【発明者】
【氏名】福本 訓明
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063055(JP,A)
【文献】特開2020-134121(JP,A)
【文献】特開2010-277172(JP,A)
【文献】特開2007-155173(JP,A)
【文献】特開2017-116129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記体感温度分布を表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記推定部は、
前記第1検出値に基づいて前記室内の天井面における空間温度を推定し、前記第2検出値に基づいて前記室内の前記天井面における空間湿度を推定し、
推定した前記空間温度及び前記空間湿度に基づいて、前記室内の高さ方向における前記体感温度分布を推定する、
表示システム。
【請求項2】
室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記体感温度分布を表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記推定部は、以下の式(1)から式(5)に基づいて、前記体感温度分布を推定する、
表示システム。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
ここで、
α1:係数
α2:係数
α3:係数
c1:係数
c2:係数
c3:係数
h:床上高さ[m]
Lrf:天井高さ[m]
V:風速[m/s]
Ts:温度センサの第1検出値[℃]
Tr:天井面における推定空間温度[℃]
STr:室内の体感温度[℃]
T(h):床上高さhにおける体感温度[℃]
Hs:湿度センサの第2検出値[%]
Hr:天井面における推定湿度[%]
【請求項3】
前記換気機器の給気口及び排気口の少なくとも一方は前記天井面に設けられており、
前記推定部によって推定される前記空間温度と前記空間湿度とは、同一の位置における空間温度及び空間湿度であって、
前記同一の位置は、前記天井面に設けられている前記給気口又は前記排気口との直線距離が所定距離以下の位置である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記体感温度分布から得られる代表値があらかじめ設定された設定範囲外にあるか否かを判定する判定部を更に備え、
前記制御部は、前記代表値が前記設定範囲外にあると前記判定部によって判定された場合に、前記代表値が前記設定範囲外にあることを通知する通知画像を前記表示部に表示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記代表値は、前記体感温度分布における最大値、最小値、及び平均値のうちのいずれかである、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記体感温度分布のうち前記室内の高さ方向における任意の点の体感温度があらかじめ設定された設定範囲外にあるか否かを判定する判定部を更に備え、
前記制御部は、前記任意の点の前記体感温度が前記設定範囲外にあると前記判定部によって判定された場合に、前記任意の点の前記体感温度が前記設定範囲外にあることを通知する通知画像を前記表示部に表示させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項7】
室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得する前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいて推定した前記体感温度分布を表示部に表示させる表示ステップと、
を有し、
前記推定ステップでは、
前記第1検出値に基づいて前記室内の天井面における空間温度を推定し、前記第2検出値に基づいて前記室内の前記天井面における空間湿度を推定し、
推定した前記空間温度及び前記空間湿度に基づいて、前記室内の高さ方向における前記体感温度分布を推定する、
表示方法。
【請求項8】
室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得する前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する推定ステップと、
前記推定ステップにおいて推定した前記体感温度分布を表示部に表示させる表示ステップと、
を有し、
前記推定ステップでは、以下の式(1)から式(5)に基づいて、前記体感温度分布を推定する、
表示方法。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
ここで、
α1:係数
α2:係数
α3:係数
c1:係数
c2:係数
c3:係数
h:床上高さ[m]
Lrf:天井高さ[m]
V:風速[m/s]
Ts:温度センサの第1検出値[℃]
Tr:天井面における推定空間温度[℃]
STr:室内の体感温度[℃]
T(h):床上高さhにおける体感温度[℃]
Hs:湿度センサの第2検出値[%]
Hr:天井面における推定湿度[%]
【請求項9】
請求項7又は8に記載の表示方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に表示システム、表示方法及びプログラムに関し、より詳細には、表示部を制御する制御部を備える表示システム、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内の温度分布を検知する赤外線センサを有する空気調和機が開示されている。
【0003】
戸建住宅・オフィス等の施設の室内における体感温度分布を測定することで人周辺の空間の体感温度を把握しようとすると、多数のセンサや専用のセンサを配置する必要がありコストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6678748号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、室内の換気を行う換気機器に備えられているセンサを用いて室内の体感温度分布を推定することができる表示システム、表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示システムは、取得部と、推定部と、制御部と、を備える。前記取得部は、室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する。前記推定部は、前記取得部により取得される前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。前記制御部は、前記推定部によって推定された前記体感温度分布を、表示部に表示させる。前記推定部は、前記第1検出値に基づいて前記室内の天井面における空間温度を推定し、前記第2検出値に基づいて前記室内の前記天井面における空間湿度を推定する。前記推定部は、推定した前記空間温度及び前記空間湿度に基づいて、前記室内の高さ方向における前記体感温度分布を推定する。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示システムは、取得部と、推定部と、制御部と、を備える。前記取得部は、室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する。前記推定部は、前記取得部により取得される前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。前記制御部は、前記推定部によって推定された前記体感温度分布を、表示部に表示させる。前記推定部は、以下の式(1)から式(5)に基づいて、前記体感温度分布を推定する。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
ここで、
α1:係数
α2:係数
α3:係数
c1:係数
c2:係数
c3:係数
h:床上高さ[m]
Lrf:天井高さ[m]
V:風速[m/s]
Ts:温度センサの第1検出値[℃]
Tr:天井面における推定空間温度[℃]
STr:室内の体感温度[℃]
T(h):床上高さhにおける体感温度[℃]
Hs:湿度センサの第2検出値[%]
Hr:天井面における推定湿度[%]
【0007】
開示の一態様に係る表示方法は、取得ステップと、推定ステップと、表示ステップと、を有する。前記取得ステップでは、室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する。前記推定ステップでは、前記取得ステップにおいて取得する前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。前記表示ステップでは、前記推定ステップにおいて推定した前記体感温度分布を、表示部に表示させる。前記推定ステップでは、前記第1検出値に基づいて前記室内の天井面における空間温度を推定し、前記第2検出値に基づいて前記室内の前記天井面における空間湿度を推定する。前記推定ステップでは、推定した前記空間温度及び前記空間湿度に基づいて、前記室内の高さ方向における前記体感温度分布を推定する。
本開示の一態様に係る表示方法は、取得ステップと、推定ステップと、表示ステップと、を有する。前記取得ステップでは、室内の換気を行う換気機器に備えられている温度センサの第1検出値、及び、前記換気機器に備えられている湿度センサの第2検出値を取得する。前記推定ステップでは、前記取得ステップにおいて取得する前記第1検出値及び前記第2検出値に基づいて、前記室内の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。前記表示ステップでは、前記推定ステップにおいて推定した前記体感温度分布を、表示部に表示させる。前記推定ステップでは、以下の式(1)から式(5)に基づいて、前記体感温度分布を推定する。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
ここで、
α1:係数
α2:係数
α3:係数
c1:係数
c2:係数
c3:係数
h:床上高さ[m]
Lrf:天井高さ[m]
V:風速[m/s]
Ts:温度センサの第1検出値[℃]
Tr:天井面における推定空間温度[℃]
STr:室内の体感温度[℃]
T(h):床上高さhにおける体感温度[℃]
Hs:湿度センサの第2検出値[%]
Hr:天井面における推定湿度[%]
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記表示方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る表示システムの全体構成を示す概略図である。
図2図2は、同上に係る推定部によって推定される室内の体感温度分布の概略を示す概略図である。
図3図3は、同上に係る表示部に表示される画面の概略を示す概略図である。
図4図4は、同上に係る表示システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する。以下の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(1)概要
まず、本実施形態に係る表示システム1の概要について、図1を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る表示システム1は、換気機器2が設置された施設5と連携している。
【0013】
本実施形態の表示システム1は、施設5に設けられている換気機器2の温度センサ21及び湿度センサ22から、温度センサ21の第1検出値と、湿度センサ22の第2検出値とを取得する。そして、表示システム1は、第1検出値及び第2検出値に基づいて、施設5における室内50の高さ方向における体感温度分布を推定し、推定した体感温度分布を端末8の表示部81に表示させる。
【0014】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る表示システム1と、表示システム1と連携する施設5及び端末8の構成の詳細について、図1~3を参照して説明する。
【0015】
(2.1)施設の構成
まず、施設5の詳細について図1を参照しつつ説明する。本開示でいう「施設」は、居住用途で用いられる住宅施設、並びに店舗(テナント)、オフィス、福祉施設、教育施設、病院及び工場等の非住宅施設を含む。非住宅施設には、飲食店、遊技場、ホテル、旅館、幼稚園、保育所及び公民館等も含む。つまり、施設5は、マンション等の住宅施設であってもよいし、オフィスビル等の非住宅施設であってもよい。さらに、施設5は、例えば、低層階が店舗で高層階が住戸というように、住宅施設と非住宅施設とが混在する態様の施設も含む。図1に示すように、本実施形態では、施設5が、戸建住宅である場合を想定する。
【0016】
図1に示すように、施設5は、換気機器2と、通信部3と、ルータ4とを備えている。
【0017】
換気機器2は、例えば、天井埋込形換気扇であり、通常換気及び熱交換気の少なくとも一方を行う。換気機器2は、施設5における室内50の天井51に設けられている。本実施形態の換気機器2は、第1種換気方式の換気機器であり、給気も排気も機械動力により行う。換気機器2は、温度センサ21と、湿度センサ22と、給気ダクト23と、排気ダクト24とを備えている。
【0018】
温度センサ21は、換気機器2の内部、又は、換気機器2の周囲の空気の温度(空間温度)を第1検出値として検出するセンサである。換気機器2の内部とは、給気ダクト23及び排気ダクト24の内部を含む。本実施形態の温度センサ21は、排気ダクト24の内部に設けられている。温度センサ21は、赤外線センサ、サーミスタ、又は熱電対等で構成されている。湿度センサ22は、換気機器2の内部、又は、換気機器2の周囲の空気の湿度(空間湿度)を第2検出値として検出するセンサである。本実施形態の湿度センサ22は、排気ダクト24の内部に設けられている。湿度センサ22は、例えば電気式湿度センサで構成されている。なお、温度センサ21及び湿度センサ22は、温湿度センサとして一体的に構成されていてもよい。
【0019】
給気ダクト23は、施設5の外の空間と、施設5の室内50の室内空間とを繋ぐ空気の通り道であり、施設5の外の空気を室内50に取り込むためのダクトである。給気ダクト23は、室内50側に設けられている第1給気口231と、施設5の外側に設けられている第2給気口232とを有している。第2給気口232には、例えば給気用のファンが設けられる。
【0020】
排気ダクト24は、施設5の外の空間と、施設5の室内50の室内空間とを繋ぐ空気の通り道であり、室内50の空気を施設5の外に排出するためのダクトである。排気ダクト24は、室内50側に設けられている第1排気口241と、施設5の外側に設けられている第2排気口242とを有している。第2排気口242には、例えば排気用のファンが設けられる。
【0021】
通信部3は、ルータ4を介してインターネット等のネットワーク6に接続されている。通信部3は、温度センサ21が検出した第1検出値と、湿度センサ22が検出した第2検出値とを、ルータ4及びネットワーク6を介して表示システム1に送信する。また、通信部3は、換気機器2が稼働しているか否か、すなわち換気機器2の給気用ファン及び排気用ファンが駆動しているか否かの稼働状況を表示システム1に送信する。
【0022】
(2.2)端末の構成
次に、端末8の詳細について図1を参照しつつ説明する。
【0023】
端末8は、例えばデスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等である。端末8は、例えば、施設5の居住者や、施設5を管理する管理会社の従業員等によって操作される端末である。端末8は、ネットワーク6を介して、表示システム1と通信可能に構成されている。
【0024】
表示部81は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。表示部81は、後述するサーバ7の制御部73による制御に応じて、体感温度分布を表示する。
【0025】
(2.3)表示システムの構成
次に、表示システム1の詳細について図1図3を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態の表示システム1は、サーバ7で構成されている。サーバ7は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。サーバ7では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、図1に示すサーバ7の取得部71、推定部72、制御部73、判定部74、及び算出部75の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0027】
サーバ7は、取得部71と、推定部72と、制御部73と、判定部74と、算出部75と、を備えている。
【0028】
取得部71は、ネットワーク6を介して、通信部3から第1検出値及び第2検出値を取得する。なお、取得部71は、ネットワーク6を介さずに、直接的に通信部3と通信可能に構成されていてもよい。
【0029】
推定部72は、取得部71によって取得される第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内50の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。本開示でいう「体感温度」とは、人間が感じる温度の感覚を定量的に表した度合いのことをいい、本開示では体感温度の指標として、NET(Net Effective Temperature)を用いる。NETについては、例えば、参考文献(「Meteorological Applications」、Volume7、p.p.369-375、2000)に記載されている。なお。以下の説明では、推定部72が推定した体感温度のことを「推定体感温度」ということがある。
【0030】
本実施形態の推定部72は、室内50の天井51から床52までの高さ方向における空間a3(図1参照)の体感温度分布を推定する(図2参照)。なお、本実施形態の推定部72は、高さ方向における体感温度分布のみを推定し、水平方向の体感温度は均一であると推定する。推定部72が体感温度を推定する方法の詳細については、「(3)表示方法」の欄で説明する。
【0031】
判定部74は、推定部72によって推定される体感温度分布から得られる代表値が、あらかじめ設定された設定範囲外にあるか否かを判定する。本実施形態の設定範囲は、快適温度範囲である。本開示でいう「快適温度範囲」とは、例えば人間が快適に活動できる温度の範囲である。快適温度範囲は人や季節毎に変化し得る範囲であり、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業者等が任意に設定できる。本実施形態では、快適温度範囲は、施設5の居住者によって20℃から24℃の範囲に設定されている。また、体感温度分布から得られる代表値とは、体感温度分布における最大値、最小値、平均値等のことをいう。また、代表値は中央値であってもよい。図2の例では、体感温度分布の最大値は25℃、体感温度分布の最小値は20℃である。体感温度分布の平均値は、体感温度分布から演算によって求められ、図2の例では22.5℃である。
【0032】
また、判定部74は、推定部72によって推定される体感温度分布のうち室内50の高さ方向における任意の点の体感温度が、快適温度範囲から外れるか否かを判定する。高さ方向における任意の点は、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業者等が任意に設定できる。本実施形態では、推定部72によって推定される体感温度の分布は、高さ方向にのみ存在するので、任意の点は床52からの高さで設定される。本実施形態では、任意の点は、施設5の居住者によって、床52から1.2メートルの高さに設定されている。
【0033】
判定部74は、体感温度分布の代表値、又は、室内50の高さ方向における任意の点の体感温度が快適温度範囲から外れると判定したとき、制御部73に通知を行う。
【0034】
算出部75は、推定部72によって推定される体感温度分布の代表値があらかじめ設定された快適温度範囲の範囲内にある期間と、任意に設定された期間との割合を算出する。「任意に設定された期間」は、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業員によって設定される期間である。なお、以下の説明において、任意に設定された期間のことを「評価期間」ということがある。評価期間は、例えば、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、あるいは1年といった期間である。本実施形態では、評価期間は施設5の居住者によって1週間に設定されている。
【0035】
また、算出部75は、推定部72によって推定される体感温度分布のうち室内50の高さ方向における任意の点の体感温度が、あらかじめ設定された快適温度範囲の範囲内にある期間と、任意に設定された期間(評価期間)との割合を算出する。
【0036】
算出部75は、算出した割合を、制御部73に通知する。
【0037】
制御部73は、推定部72によって推定された体感温度分布を、端末8の表示部81に表示させる。また、本実施形態の制御部73は、判定部74からの通知に基づいて、体感温度分布の代表値、又は、任意の点の体感温度が快適温度範囲から外れたことを通知する通知画像を表示部81に表示させる。また、本実施形態の制御部73は、算出部75が算出した割合を、表示部81に表示させる。本実施形態の制御部73は、ネットワーク6を介して端末8の表示制御を行う。
【0038】
図3は、制御部73の制御によって表示部81に表示される画面G1の一例を示している。画面G1における上部の領域R1には、推定部72が推定した室内50の体感温度分布を示す画像G2が表示されている。画像G2には、体感温度分布に対応する温度バーが含まれている。なお、体感温度分布の画像G2は、室内50を撮影した画像と重ねて表示されていてもよい。ここで、「室内50を撮影した画像」とは、動画、静止画、コマ送りの静止画を含む。
【0039】
また、画面G1における下部の領域R2は、領域R21と領域R22と領域R23とを含んでいる。
【0040】
領域R2の左側に配置されている領域R21には、推定体感温度の時間推移を表す画像G3が表示されている。図3中の実線L1は、室内50の任意の点における推定体感温度の時間推移を示している。また、図3中の数値L2は、快適温度範囲の上限を示しており、数値L3は、快適温度範囲の下限を示している。図3の例では、推定体感温度の時間推移を示す実線L1のうち、快適温度範囲の上限である数値L2を超えた部分に画像G31が表示されている。画像G31は、体感温度が快適温度範囲を超えたことを通知する通知画像であり、推定体感温度の時間推移を示す実線L1のうち、快適温度範囲(数値L2~数値L3の範囲)から外れた部分に注目させるための画像である。なお、実線L1は、推定体感温度から得られる平均値等の代表値の時間推移を示す線であってもよい。
【0041】
領域R2のうち右側上部に配置されている領域R22には、評価期間に対する推定体感温度が快適温度範囲の範囲内にある時間の割合を示す画像G4が表示されている。本実施形態の画像G4は、1週間(評価期間)のうちの推定体感温度が快適温度範囲の範囲内にある時間割合である。
【0042】
領域R2のうち右側下部に配置されている領域R23には、評価期間の開始日及び終了日を示す画像G5が表示されている。
【0043】
(3)表示方法
次に、図1図4を参照して表示方法(表示システム1の動作)の説明をする。図4は、本実施形態に係る表示方法の一例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、サーバ7の取得部71は、ネットワーク6を介して、温度センサ21から第1検出値を取得し、湿度センサ22から第2検出値を取得する(図4のS1)。次に、推定部72は、取得部71が取得した第1検出値に基づいて、室内50の天井面511における(天井51の直下における)空間a1(図1参照)の空間温度を推定する(推定空間温度[℃])。本実施形態における空間a1は、天井面511から1メートル以内の高さにある空間である。また、推定部72は、取得部71が取得した第2検出値に基づいて、室内50の天井面511における空間a1の空間湿度を推定する(図4のS2)。ここで、推定部72によって空間温度が推定される位置と、空間湿度が推定される位置とは同一の位置である。より具体的には、本実施形態の推定部72は、天井面511に設けられている第1排気口241から直線距離r1(図1参照)以下の空間a2(図1参照)の空間温度及び空間湿度を推定する。推定部72による推定空間温度は式(1)で表すことができ、推定湿度は式(2)で表すことができる。
【0045】
【数11】
【0046】
【数12】
【0047】
ここで、式(1)中のTrは(空間a2の)推定空間温度[℃]であり、α1は係数であり、Tsは第1検出値[℃]であり、c1は係数である。α1は例えば0.95、c1は例えば0.2である。また、式(2)中のHrは(空間a2の)推定湿度[%]であり、α2は係数であり、Hsは第2検出値[%]であり、c2は係数である。α2は例えば1.05であり、c2は例えば5.0である。
【0048】
次に、推定部72は、天井面511における空間a1であって第1排気口241から直線距離r1以下の空間a2における体感温度(NET)を推定する(図4のS3)。空間a2の推定体感温度は、式(3)で表すことができる。
【0049】
【数13】
【0050】
ここで、式(3)中のSTrは(空間a2)の推定体感温度であり、Vは風速[m/s]である。Vは室内50の風速であり、室内風速は概ね0.3「m/s」以下と小さく、一定と仮定しても推定体感温度(NET値)に大きく影響しないため、本実施形態のVは0.1[m/s]としている。
【0051】
次に、推定部72は、式(4)及び式(5)に基づいて、室内50の空間a2を含む空間a3の所定の高さ毎に体感温度を推定することで、室内50の高さ方向における体感温度分布を推定する(図4のS4)。
【0052】
【数14】
【0053】
【数15】
【0054】
ここで、式(4)中のhは床上高さ[m]であり、T(h)は、床上高さh[m]における推定体感温度であり、α3は係数であり、c3は係数である。α3は例えば0.5であり、c3は例えば0.2である。式(5)中のLrfは、天井51の高さ[m]である。式(5)により、天井51での推定体感温度(h=Lrfを代入)が、式(3)で求めたSTrと一致する。
【0055】
次に、制御部73は、推定部72によって推定された体感温度分布を、端末8(図3参照)の表示部81(図3参照)に表示させる(図4のS5)。
【0056】
(4)作用効果
上述したように、本実施形態のサーバ7は、取得部71と、推定部72と、制御部73とを備えている。推定部72は、換気機器2に備えられている温度センサ21の第1検出値及び湿度センサ22の第2検出値に基づいて、室内50の高さ方向における体感温度分布を推定する。本実施形態の推定部72は、換気機器2に備えられている温度センサ21の第1検出値及び湿度センサ22の第2検出値に基づいて体感温度分布を推定することができるため、体感温度分布を測定するために多数のセンサや専用のセンサを設置する必要がなくなる。さらに、本実施形態の制御部73は、推定部72が推定した室内50の高さ方向における体感温度分布を、端末8の表示部81に表示させる。これにより、推定部72が推定した体感温度分布を、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業員等が、室内50の体感温度分布を把握することができる。そして、居住者や従業員等は体感温度分布に応じて、温熱環境を変更する等の行動をとることができる。また、本実施形態の推定部72は、換気機器2が有する温度センサ21及び湿度センサ22のみの検出値に基づいて、室内50の体感温度分布を推定することができるため、多数のセンサや専用のセンサを配置せずとも、人周辺の体感温度を推定することができる。
【0057】
また、本実施形態の推定部72は、第1検出値に基づいて室内50の天井面511における空間a1の空間温度を推定し、第2検出値に基づいて室内50の天井面511における空間a1の空間湿度を推定する。推定部72は、推定した空間温度及び空間湿度に基づいて、室内50の高さ方向における体感温度分布を推定する。空間a1の空間温度及び空間湿度は、室内50内の空間温度及び空間湿度であり、温度センサ21の第1検出値及び湿度センサ22の第2検出値は、換気機器2の内部空間又は換気機器2の周辺の空間温度及び空間湿度である。そのため、温度センサ21及び湿度センサ22の第1検出値及び第2検出値を直接的に用いて室内50の体感温度分布を推定するより、体感温度分布の推定精度を向上させることができる。室内50の空間a1の空間温度及び空間湿度を推定するため、室内50に温度・湿度センサを別途に設置する必要が無くコスト削減の効果がある。
【0058】
また、本実施形態の推定部72による空間a1の推定温度と、空間a1の推定湿度は、同一の位置における推定温度及び推定湿度である。さらに、本実施形態の推定部72は、空間a1のうち、天井面511に設けられている第1排気口241から直線距離r1以内の空間a2の空間温度及び空間湿度を推定する。第1給気口231又は第1排気口241から近い位置の空気は絶えず入れ替わっているため、空間温度及び空間湿度の推定精度が高くなる。推定部72が、例えば第1給気口231又は第1排気口241からの直線距離が1メートル以下である空間a2の空間温度及び空間湿度に基づいて体感温度分布を推定することで、体感温度分布の推定精度が向上する。
【0059】
また、本実施形態のサーバ7は、体感温度分布における代表値があらかじめ設定された快適温度範囲(設定範囲)外か否かを判定する判定部74を更に備えている。制御部73は、代表値が快適温度範囲から外れると判定部74によって判定された場合に、代表値が快適温度範囲を超えていることを通知する画像G31(通知画像)を表示部81に表示させる。通知画像が表示部81に表示されることにより、例えば、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業員は、代表値が快適温度範囲を超えたことを知ることができる。代表値は、体感温度分布における最大値、体感温度分布における最小値、及び体感温度分布から得られる平均値のいずれかである。これにより、体感温度分布の代表値が快適温度範囲から外れるか否かの判定条件の幅を広げることができる。
【0060】
また、本実施形態の判定部74は、室内50の高さ方向における任意の点の体感温度が快適温度範囲から外れるか否かを判定する。通知画像が表示部81に表示されることにより、例えば、施設5の居住者や、施設5の管理会社の従業員は、任意の点の体感温度が快適温度範囲から外れたことを知ることができる。
【0061】
また、本実施形態のサーバ7は、体感温度分布における代表値があらかじめ設定された快適温度範囲の範囲内にある期間と、任意に設定された期間(評価期間)との割合を算出する算出部75を更に備えている。制御部73は、表示部81に当該割合を表示させる。これにより、施設5の管理会社の従業員等は、代表値が快適温度範囲内にある期間と、評価期間との割合を把握することができる。評価期間が例えば1日であれば、得られたデータは、熱中症など急激な疾患の発症予防に有効な指標となる。また、評価期間が例えば3か月程度であれば、得られたデータは、季節単位で最適な換気機器2の検証用のデータとして使うことができる。また、評価期間が例えば1年程度であれば、得られたデータは、物件(施設2)自体の空調能力の検証や、テナント誘致の際に物件の魅力アピールのデータとして使うことができる。
【0062】
また、本実施形態の算出部75は、任意の点の体感温度が、快適温度範囲の範囲内にある期間と、評価期間との割合を算出する。これにより、施設5の管理会社の従業員等は、任意の点の体感温度が快適温度範囲内にある期間と、評価期間との割合を把握することができる。
【0063】
また、本実施形態の推定部72は、上述の式(1)~式(5)に基づいて、室内50の高さ方向における体感温度分布を推定する。本実施形態の推定部72は、解析式を用いて体感温度分布を推定することができる。そのため、機械学習等クラウドの利用を前提とした複雑なアルゴリズムが不要となるため表示システムのコストを低減することができる。
【0064】
(変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0065】
また、上記実施形態に係る表示システム1と同等の機能は、表示方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る表示方法は、取得ステップと、推定ステップと、表示ステップと、を有する。取得ステップでは、室内50の換気を行う換気機器2に備えられている温度センサ21の第1検出値、及び、換気機器2に備えられている湿度センサ22の第2検出値を取得する。推定ステップでは、取得ステップにおいて取得する第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内50の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。表示ステップでは、推定ステップにおいて推定した体感温度分布を、表示部81に表示させる。一態様に係るプログラムは、上記の表示方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0066】
本開示における表示システム1は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における表示システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0067】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0068】
表示システム1の少なくとも一部の機能が、1つの装置(サーバ7)内に集約されていることは表示システム1に必須の構成ではなく、表示システム1の構成要素は、複数の装置(筐体)に分散されて設けられていてもよい。
【0069】
例えば、表示システム1の一部の機能が端末8に設けられる等、表示システム1の一部の機能がサーバ7とは別の装置(筐体)に設けられていてもよい。また、表示システム1が、施設5(戸建住宅)外ではなく、施設5の内部に設けられていてもよい。言い換えると、表示システム1は、施設5の内部のローカル環境に設けられていてもよい。また、表示システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0070】
表示システム1は、少なくとも、取得部71と、推定部72と、制御部73とを備えていればよい。
【0071】
また、表示システム1は、サーバ7だけでなく、端末8を含んでいてもよい。
【0072】
上記実施形態では、表示システム1が戸建住宅に導入される場合を例示したが、表示システム1は、マンション等の集合住宅やオフィス等の様々な施設5にも導入可能である。
【0073】
端末8は、スマートフォンやタブレット等の携帯端末であって、表示部81はタッチパネルディスプレイで構成されていてもよい。端末8は、施設5(戸建住宅)外ではなく、施設5の内部に設けられていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、推定部72が、式(1)、式(2)、式(4)、式(5)では一次式を用いて体感温度分布を推定する場合を例示したが、推定部72は、一次式以外の解析式で体感温度を推定してもよい。推定部72は、例えば、高次多項式、対数関数、指数関数等、室内環境に応じて体感温度を推定するための近似式を用いて体感温度を推定してもよい。例えば、床暖房と暖房を共に運転した施設では、天井と床付近の温度が室内で相対的に高くなる。この場合は2次関数、双曲線、三角関数などを用いて体感温度分布を近似しても良い。体感温度を推定する近似式が解析式であれば、アルゴリズムの実装が容易である。また、体感温度を推定する近似式は、例えば施設5の設計時等に、回帰解析を行うことで求めてもよい。回帰解析は、例えば、気流シミュレーションによる温度・湿度のシミュレーション結果と、統計ソフトと、を用いて行ってもよい。また、施設5の建設後に行われる環境測定等の結果を元に統計処理で近似式を求めてもよい。
【0075】
上記実施形態では、換気機器2が第1種換気方式の換気機器である場合を例示したが、換気機器2は、第2種換気方式の換気機器や、第3種換気方式の換気機器であってもよい。換気機器2が第2種換気方式の換気機器である場合、換気機器2は、給気のみ機械動力により行うため、排気ダクト24にファンを有さなくともよい。また、換気機器2が第3種換気方式の換気機器である場合、換気機器2は、排気のみ機械動力により行うため、給気ダクト23にファンを有さなくともよい。
【0076】
温度センサ21及び湿度センサ22は、給気ダクト23の内部に設けられていてもよい。この場合、推定部72は、第1検出値及び第2検出値に基づいて、第1給気口231から直線距離r1以下の空間a2における空間温度及び空間湿度を推定したうえで、体感温度分布を推定することが好ましい。
【0077】
通知画像は図3に示す画像G31の態様に限定されず、例えば、実線L1のうち快適温度範囲(数値L2~数値L3の範囲)から外れた部分を点滅させた画像や、実線L1のうち快適温度範囲から外れた部分を赤丸で囲う画像や、実線L1のうち快適温度範囲から外れた部分の色を変更した画像でもよい。また、体感温度が快適温度範囲を超えたことを通知する文字が表された画像でもよい。
【0078】
判定部74によって、体感温度分布の代表値又は任意の点の体感温度が、快適温度範囲を超えると判定された場合、制御部73は、例えば端末8等が有するスピーカ等を制御して、警告音を発生させてもよい。
【0079】
判定部74は、体感温度分布の代表値又は任意の点の体感温度が、快適温度範囲を超えるか否かを判定してもよい。そして、体感温度が快適温度範囲を超えると判定部74によって判定された場合、制御部73は、体感温度が快適温度範囲を超えたことを通知する通知画像を表示部81に表示させてもよい。
【0080】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る表示システム(1)は、取得部(71)と、推定部(72)と、制御部(73)と、を備える。取得部(71)は、室内(50)の換気を行う換気機器(2)に備えられている温度センサ(21)の第1検出値、及び、換気機器(2)に備えられている湿度センサ(22)の第2検出値を取得する。推定部(72)は、取得部(71)により取得される第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。制御部(73)は、推定部(72)によって推定された体感温度分布を、表示部(81)に表示させる。
【0081】
この態様によれば、表示システム(1)は、換気機器(2)に備えられている温度センサ(21)及び湿度センサ(22)の第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度分布を推定して表示部(81)に表示させることができる。体感温度分布を測定するために多数のセンサや専用のセンサを設置する必要がなくなるため、表示システム(1)のコストを抑えることができる。
【0082】
第2の態様に係る表示システム(1)では、第1の態様において、推定部(72)は、第1検出値に基づいて室内(50)の天井面(511)における空間温度を推定し、第2検出値に基づいて室内(50)の天井面(511)における空間湿度を推定する。推定部(72)は、推定した空間温度及び空間湿度に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度分布を推定する。
【0083】
この態様によれば、推定部(72)は天井面(511)における空間温度及び空間湿度を推定したうえで、体感温度分布を推定するため、体感温度分布の推定精度が向上する。
【0084】
第3の態様に係る表示システム(1)では、第2の態様において、換気機器(2)の給気口(第1給気口231)及び排気口(第1排気口241)の少なくとも一方は天井面(511)に設けられている。推定部(72)によって推定される空間温度と空間湿度とは、同一の位置における空間温度及び空間湿度である。同一の位置は、天井面(511)に設けられている給気口(第1給気口231)又は排気口(第1排気口241)との直線距離が所定距離(直線距離r1)以下の位置である。
【0085】
この態様によれば、換気機器(2)の給気口(第1給気口231)又は排気口(第1排気口241)から近い位置の空気は絶えず入れ替わっているため、空間温度及び空間湿度の推定精度が高くなる。推定部(72)が、例えば給気口(第1給気口231)又は排気口(第1排気口241)からの直線距離が1メートル以下である空間温度及び空間湿度に基づいて体感温度分布を推定することで、体感温度分布の推定精度が向上する。
【0086】
第4の態様に係る表示システム(1)は、第1から第3のいずれかの態様において、判定部(74)を更に備える。判定部(74)は、体感温度分布から得られる代表値があらかじめ設定された設定範囲外にあるか否かを判定する。制御部(73)は、代表値が設定範囲外にあると判定部(74)によって判定された場合に、代表値が設定範囲外にあることを通知する通知画像を表示部(81)に表示させる。
【0087】
この態様によれば、体感温度分布の代表値が設定範囲から外れたときに、通知画像を表示させることで、例えば、表示部(81)を監視する監視者等や、居住者等は代表値が設定範囲から外れたことを知ることができる。
【0088】
第5の態様に係る表示システム(1)は、第4の態様において、代表値は、体感温度分布における最大値、最小値、及び平均値のうちのいずれかである。
【0089】
この態様によれば、体感温度分布の最大値、最小値、及び平均値のいずれかが設定範囲を超えたときに、通知画像を表示させることで、例えば、表示部(81)を監視する監視者等や、居住者等は体感温度分布の最大値、最小値、及び平均値のいずれかが設定範囲から外れたことを知ることができる。
【0090】
第6の態様に係る表示システム(1)は、第1から第3のいずれかの態様において、判定部(74)を更に備える。判定部(74)は、体感温度分布のうち室内(50)の高さ方向における任意の点の体感温度が、あらかじめ設定された設定範囲外にあるか否かを判定する。制御部(73)は、任意の点の体感温度が設定範囲外にあると判定部(74)によって判定された場合に、任意の点の体感温度が設定範囲外にあることを通知する通知画像を表示部(81)に表示させる。
【0091】
この態様によれば、体感温度分布の高さ方向における任意の点の体感温度が設定範囲から外れたときに、通知画像を表示させることで、例えば、表示部(81)を監視する監視者等や、居住者等は任意の点の体感温度が設定範囲から外れたことを知ることができる。
【0092】
第7の態様に係る表示システム(1)は、第1から第6のいずれかの態様において、算出部(75)を更に備える。算出部(75)は、体感温度分布から得られる代表値があらかじめ設定された設定範囲の範囲内にある期間と、任意に設定された期間との割合を算出する。制御部(73)は、表示部(81)に割合を表示させる。
【0093】
この態様によれば、監視者等は、代表値が設定範囲内にある期間と、任意に設定された期間との割合を把握することができる。任意に選択された期間が例えば1日であれば、得られたデータは、熱中症など急激な疾患の発症予防に有効な指標となる。また、任意に選択された期間が例えば3か月程度であれば、得られたデータは、季節単位で最適な換気機器(2)の検証用のデータとして使うことができる。また、任意に選択された期間が例えば1年程度であれば、得られたデータは、物件(施設)自体の空調能力の検証や、テナント誘致の際に物件の魅力アピールのデータとして使うことができる。
【0094】
第8の態様に係る表示システム(1)は、第1から第6のいずれかの態様において、算出部(75)を更に備える。算出部(75)は、体感温度分布のうち室内(50)の高さ方向における任意の点の体感温度が、あらかじめ設定された設定範囲の範囲内にある期間と、任意に設定された期間との割合を算出する。制御部(73)は、表示部(81)に割合を表示させる。
【0095】
この態様によれば、監視者等は、任意の点の体感温度が設定範囲内にある期間と、任意に設定された期間との割合を把握することができる。任意に選択された期間が例えば1日であれば、得られたデータは、熱中症など急激な疾患の発症予防に有効な指標となる。また、任意に選択された期間が例えば3か月程度であれば、得られたデータは、季節単位で最適な換気機器(2)の検証用のデータとして使うことができる。また、任意に選択された期間が例えば1年程度であれば、得られたデータは、物件(施設)自体の空調能力の検証や、テナント誘致の際に物件の魅力アピールのデータとして使うことができる。
【0096】
第9の態様に係る表示システム(1)では、第1から第8のいずれかの態様において、推定部(72)は、以下の式(1)から式(5)に基づいて、体感温度分布を推定する。
【0097】
【数16】
【0098】
【数17】
【0099】
【数18】
【0100】
【数19】
【0101】
【数20】
【0102】
ここで、
α1:係数
α2:係数
α3:係数
c1:係数
c2:係数
c3:係数
h:床上高さ[m]
Lrf:天井高さ[m]
V:風速[m/s]
Ts:温度センサ(21)の第1検出値[℃]
Tr:空間(a2)におけるの推定温度[℃]
STr:空間(a2)におけるの体感温度[℃]
T(h):床上高さhにおける体感温度[℃]
Hs:湿度センサ(22)の第2検出値[%]
Hr:空間(a2)における推定湿度[%]
である。
【0103】
この態様によれば、推定部(72)は解析式を用いて体感温度分布を推定することができ、機械学習等クラウドの利用を前提とした複雑なアルゴリズムが不要となるためコストを低減することができる。
【0104】
第1の態様以外の構成については、表示システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0105】
第10の態様に係る表示方法は、取得ステップと、推定ステップと、表示ステップと、を有する。取得ステップでは、室内(50)の換気を行う換気機器(2)に備えられている温度センサ(21)の第1検出値、及び、換気機器(2)に備えられている湿度センサ(22)の第2検出値を取得する。推定ステップでは、取得ステップにおいて取得する第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度の分布を表す体感温度分布を推定する。表示ステップでは、推定ステップにおいて推定した体感温度分布を、表示部(81)に表示させる。
【0106】
この態様によれば、換気機器(2)に備えられている温度センサ(21)及び湿度センサ(22)の第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度分布を推定して表示部(81)に表示させることができる。体感温度分布を測定するために多数のセンサや専用のセンサを設置する必要がなくなるため、コストを抑えることができる。
【0107】
第11の態様に係るプログラムは、第10の態様に係る表示方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0108】
この態様によれば、換気機器(2)に備えられている温度センサ(21)及び湿度センサ(22)の第1検出値及び第2検出値に基づいて、室内(50)の高さ方向における体感温度分布を推定して表示部(81)に表示させることができる。体感温度分布を測定するために多数のセンサや専用のセンサを設置する必要がなくなるため、コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 表示システム
2 換気機器
21 温度センサ
22 湿度センサ
231 第1給気口(給気口)
241 第1排気口(排気口)
50 室内
51 天井
511 天井面
71 取得部
72 推定部
73 制御部
74 判定部
75 算出部
81 表示部
G31 画像(通知画像)
r1 直線距離(所定距離)
図1
図2
図3
図4