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特許7580094複合粉末材料及びその製造方法、並びに電極材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】複合粉末材料及びその製造方法、並びに電極材料
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/00 20060101AFI20241101BHJP
   C01B 32/90 20170101ALI20241101BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20241101BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20241101BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241101BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241101BHJP
【FI】
C01G23/00 C
C01B32/90
H01G11/30
H01G11/86
H01M4/36 A
H01M4/58
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023520701
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2021018296
(87)【国際公開番号】W WO2022239209
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501402730
【氏名又は名称】株式会社アドマテックス
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁俊
(72)【発明者】
【氏名】長田 実
(72)【発明者】
【氏名】新井 雄己
(72)【発明者】
【氏名】前野 達也
(72)【発明者】
【氏名】冨田 亘孝
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0162130(US,A1)
【文献】国際公開第2020/136864(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/136865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
C01B 32/90
H01G 11/30
H01G 11/86
H01M 4/36
H01M 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項10】
Ti3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneを剥離して剥離物を形成する剥離工程と、
硫酸及び硝酸の混酸水溶液中に、原料カーボン微小体を70℃以上に10分以上処理してカーボン微小体を得る酸処理工程と、
前記剥離物及びカーボン微小体が90:10~97:3の質量比、且つ、前記剥離物が11.5-17.0mg/mLの濃度で第2分散媒に分散した混合物を得る混合工程と、
100rpmから300rpmの振とう機で塩化リチウム水溶液を添加してインターカレーションさせる工程と、
前記混合物の液性をアルカリ性にして凝集させて、前記Ti3Ala(C(10-x)Nx
2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXene及び前記カーボン微小体の複合
粒子材料を得る凝集工程と、
を有する複合粒子材料の製造方法。
【請求項11】
前記剥離工程は、前記MXeneを質量基準で99%以上前記剥離物になるまで行う工程である請求項10記載の複合粒子材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なMXeneナノシートと微小体との複合粒子材料及びその製造方法、並びにその複合粒子材料を用いた電極材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から層状化合物であるTi3AlC2などのMAX相セラミックス粉末から酸処理によりAlを除去して得られるMXene層状化合物からなる粒子材料(本明細書では適宜「MXene粒子材料」と称したり、「MXene ナノシート」と称したり、「層状化合物粒子材料」と称したり、単に「粒子材料」と称したりすることがある。)が知られている(特許文献1~4)。これらのMXene層状化合物は、Al層が除去された空隙層にNaイオンやLiイオンが貯蔵/脱離可能であることから二次電池(蓄電池)やキャパシターの負極活物質材料、また導電性が優れていることから電磁波シールド薄膜、導電薄膜などへの応用が期待されている。
【0003】
MAX相セラミックスは層状化合物であり、一般式はMn+1AXnと表される。式中のMは遷移金属(Ti、Sc、Cr、Zr、Nbなど)、AはAグループ元素、XはCか、[C(1.0-x)x(0<x≦1.0)]、nは1から3、で構成されている。
【0004】
その中、AをAlとした時、M-Xとの結合よりもM-Aの結合が弱いため、酸処理で選択的にAl層が除去される。本発明者らは、微小サイズのビーズを用いたビーズミルにより剥離して、MXeneナノシートを調製する方法を提案している(特許文献5、6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-63171号公報
【文献】特開2017-76739号公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0294546号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0088429号明細書
【文献】特許第6564553号公報
【文献】特許第6564552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、MXeneナノシートを二次電池(蓄電池)やキャパシターに用いる場合には、MXeneナノシートだけではなく導電補助剤としてのアセチレンブラックが添加されて使用されることが行われる。電池特性を向上させるためには、イオン拡散性を高めること、電子をスムーズに集電体に移動させることが必要である。具体的には、ナノシートを単層レベルに剥離し、その大きさを適度に小さくすることにより、MXeneとアセチレンブラック複合粒子材料の比表面積を大きくすること、アセチレンブラックがナノシート間に均一に配置されることが求められる。鋭意検討した結果、理想的な二次電池(蓄電池)負極活物質として有効なMXeneナノシートとカーボン微小体の複合粒子材料を得ることに成功した。なお、カーボン微小体以外にも微小体であれば、MXeneナノシートと複合化することで新規な材料を得ることが可能になるため、本明細書では、カーボン微小体以外の微小体についても検討対象とした。
【0007】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、新規なMXeneナノシートと微小体との複合粒子材料及びその製造方法、並びにその複合粒子材料を用いた電極材料を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の複合粒子材料は、90~97質量部のシート状のTi3
a(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneと、3~10質量部の微小体とを有し、相互分散度が1.50から7.00、比表面積が75m2
g以上である。相互分散度については実施形態の欄にて説明する。
【0009】
平均細孔直径が7.0~20.0nm、細孔容量が0.10~0.50mL/gであることが好ましい。
【0010】
前記Ti3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXe
neは、平均厚さが1.0~3.5nm、前記シートの拡がり方向の平均の大きさが0.5~1.0 μmであり、前記微小体の一次粒子径が30~50nmであることが好ましい。Ti3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXen
eの(002)面の層間距離が1.400nm~1.700nmであることが好ましい。Ti3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneの
(002)面の半価幅が0.90°から1.50°であることが好ましい。表面電気抵抗が1.0Ω/□から100.0Ω/□であることが好ましい。
ゼーター電位が-25.0mVから-30.0mVであるTi3Ala(C(10-x)Nx2
(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneと-20.0mVから-25.0mVであるカーボン微小体で構成していることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決する本発明の負極は、上記の本発明の複合粒子材料を負極活物質に有している。
【0012】
上記課題を解決する本発明の複合粒子材料の製造方法は前記Ti3Ala(C(10-x
x2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneを剥離して剥離物を形成する剥離工程と、硫酸及び硝酸の混酸水溶液中に、原料カーボン微小体を70℃以上に10分以上処理してカーボン微小体を得る酸処理工程と、前記剥離物及びカーボン微小体が90:10~97:3の質量比、且つ、前記剥離物が11.5-17.0mg/mLの濃度で第2分散媒に分散した混合物を得る混合工程と、100rpmから300rpmの回転数で振とう機で塩化リチウム水溶液をインターカレーションさせる工程と、前記混合物の液性をアルカリ性にして凝集させて、前記Ti3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.
03、aは0.02超) MXene及び前記カーボン微小体の複合粒子材料を得る凝集工程とを有する。特に、前記剥離工程は、前記MXeneを質量基準で99%以上前記剥離物になるまで行う工程であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の複合粒子材料及びその製造方法は、上記構成を有することによりTi3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneと微小体が高度
に分散した複合粒子材料を提供することができる。このようなTi3Ala(C(10-x
x2(0≦x≦0.03、aは0.02超) MXeneと微小体が高度に分散、高比表面積の複合粒子材料を負極活物質に採用することで二次電池(蓄電池)やキャパシターに用いたときに高い性能を発揮できる負極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の剥離工程で得られた剥離物のAFM像である。
図2】実施例1の剥離工程で得られた剥離物のSEM写真である。
図3】実施例1のMAX相セラミックス、剥離工程に供された後のMXene、及び複合粉末材料のXRDプロファイルである。
図4】実施例1及び比較例1の複合粉末材料を電極活物質に用いたLiイオン二次電池のサイクル特性を示したグラフである。
図5】実施例1の複合粉末材料を電極活物質に用いたLiイオン二次電池の1サイクル目と100サイクル目との充放電曲線を示したグラフである。
図6】実施例1の複合粉末材料のSEM写真である。
図7】実施例4の複合粉末材料のSEM写真である。
図8】実施例2の複合粉末材料のSEM写真である。
図9】比較例1の複合粉末材料のSEM写真である。
図10】比較例2の複合粉末材料のSEM写真である。
図11】得られた複合粉末材料の比表面積の凝集工程における剥離物(MXene)の粒子濃度依存性を示すグラフである。
図12】MXeneの結晶構造を説明するために提示するMAX相セラミックスの結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の複合粒子材料及びその製造方法並びに電極材料について実施形態に基づいて以下に詳細に説明を行う。本実施形態の複合粒子材料は、導電性を示すなどの電気的特性に優れ、Al層が除去されたことから形成される大きな空隙層を有することから、二次電池(Liイオン二次電池、Naイオン二次電池)、及びキャパシターなどの活物質材料(特に負極活物質)、電磁波シールド薄膜や導電薄膜材料などへの応用が可能である。
(複合粒子材料)
本実施形態の複合粒子材料は、電極材料などへの応用のために薄片化されたMXeneと粒子状あるいはチューブ状のカーボン微小体とを複合化した粒子材料である。MXeneを薄片化した粒子材料は、粉末状層状化合物であるMXeneを剥離することにより得られる。
【0016】
本明細書において、あるパラメータに上限値と下限値をそれぞれ複数設定した場合には特に制限しない限りはそれらの上限値と下限値とを任意に組み合わせることができる。本実施形態の複合粒子材料は、MXeneと微小体との複合粒子材料である。
【0017】
MXeneは、MXeneと微小体との質量の和を基準として、90~97%含有し、残りの10%~2%が微小体である。MXeneの含有量の下限としては93%、92%、90%が挙げられ、上限としては97%、96%、95%が挙げられる。
【0018】
複合粒子材料は、相互分散度が1.50から7.00である。相互分散度はMXeneと微小体との分散度を規定する値である。微小体にカーボン微小体を用いた場合、相互分散度は、無作為に選択された100個の複合粒子材料について、532nm波長のレーザーを用いたのラマン分光分析により400cm-1のピーク高さAと1332cm-1のピーク高さBの比(B/A)から算出した標準偏差を相互分散度とする。複合粒子材料の相互分散度は、下限値として1.50、2.00、2.50を採用することができ、上限値として7.00、6.00、5.00を採用することができる。
【0019】
複合粒子材料は、比表面積が75m2/g以上である。比表面積は、前処理を真空中1
00℃24時間とした条件で、窒素を用いたBET法により測定される。複合粒子材料の比表面積は、下限値として75m2/g、77.5m2/g、80m2/gを採用すること
ができ、上限値として110m2/g、107.5m2/g、105m2/gを採用するこ
とができる。複合粒子材料は、平均細孔直径が7.0~20.0nm、細孔容量が0.10~0.50mL/gであることが好ましい。平均細孔直径及び細孔容量は、前処理を真空中100℃24時間とした条件で、窒素を用いたBET法により測定した。
【0020】
MXeneは、チタン3層と炭素2層から成る、あるいは炭素の一部を窒素に置き換えた層状化合物であるTi3Ala(C(10-x)Nx2(0≦x≦0.03、aは0.02
超) MXeneである(以下適宜「MXene」と称する)。MXeneは、Ti3
a(C(10x)Nx2であることが好ましい。ここで0≦x≦0.03且つaは0.02超であることが好ましい。aの上限としては0.05であることが好ましい。また、これらの元素以外にもO、OH、ハロゲン基を表面官能基として有することができる。
【0021】
MXeneは、板状、葉状、薄片状、シート状などであり、総称してシート状と定義する。MXeneは、層状化合物の層の積層方向を「厚み」とし、その厚みと直交する方向を「シートの拡がり方向」とする。MXeneの厚みは、平均厚さが1.0~3.5nmであることが好ましく、特に1.5~3.0nmであることがより好ましい。平均厚さは、ランダムに選択された100個の粒子について測定した値の平均値として算出する。シートの大きさは親水化処理したSiウエハーにナノシートを滴下しSEMで測定できる。シー
トの拡がり方向の平均の大きさが0.5~1.0μmであることが好ましく、特に0.5~0.75μmであることがより好ましい。厚みと直交する方向における最大値を「長辺」最小値を「短辺」とした場合に、ランダムに選択された100個の粒子についてSEMにより測定した、[(長辺+短辺)/2]の平均値を拡がり方向の平均の大きさとする。
【0022】
MXeneの(002)面の層間距離は、1.400nmから1.700nmであることが好ましい。空隙層の層間距離は、MXeneナノシート粉末のXRDにおける(002)面のd値である層間距離から対応するMAX相セラミックス粉末のXRDにおける(002)面のd値である層間距離を差し引いた値と定義すると、0.770nmから0.470nmである。Liイオン直径は0.18nm、Naイオン直径は0.28nmであり、Liイオン二次電池の他、Naイオン二次電池の負極活物質にも使用できる。Liイオン二次電池の負極活物質に使用されている黒鉛粉末の(002)面の層間距離は0.33nmであるためNaイオン二次電池には使用できず、このことが、MXeneナノシートが特にNaイオン
二次電池として期待されている所以である。ここで対応するMAX相セラミックス粉末とは、測定対象のMXeneの組成Ti3Ala(C(10-x)Nx2のうち、aが1である
材料から構成される粒子材料である。
【0023】
微小体は、その大きさがナノメートルオーダーであれば充分であり、ナノメートルオーダーであるとは、微小体の長さのうち最も大きい部分の長さが100nm以下であるものである。微小体は、一次粒子径が100nm以下であることが好ましく、30~50nmであることが好ましく、特に30~40nmであることがより好ましく、凝集体になっていても良い。微小体は、その形態を限定するものでは無く、球状、シート状、チューブ状、中空状、不定形のものが例示できる。
【0024】
特に微小体は、導電性を有することが好ましく、導電体を有するものとしては、炭素材料からなるカーボン微小体や、金属材料からなる金属微小体が例示できる。カーボン微小体としては、アセチレンブラック、ケツチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバ、黒鉛粉末、ハードカーボン粉末などの導電性が高いものを採用することが好ましい。微小体は、炭素材料から構成されるカーボン微小体意外にも、その他の無機物から構成される無機微小体を採用することもできる。無機微小体としては、1次粒子径が100nm以下のTiO2、Al23、SiO2、BaTiO3が採用できる。
(複合粒子材料の製造方法)
本実施形態の複合粒子材料の製造方法は、剥離工程と混合工程とインターカレーション工程と凝集工程とその他必要な工程とを有する。
・剥離工程
剥離工程は、層状のMXeneに対して分散媒中において微小ビーズを層間に衝突させることにより、剥離させてナノシート状の剥離物を得る工程である。得られた剥離物は、分散媒に懸濁した剥離物懸濁液になる。この剥離物懸濁液をそのまま混合工程に供したり、分散媒を除去して混合工程に供したりできる。材料となる層状のMXeneを得る方法としては特に限定しないが、以下の方法が例示できる。
【0025】
MXeneはTi3層のMAX相セラミックス粉末からなる原料を酸処理してAl層を一部溶解して得られる。MXeneを製造する方法の一例を前処理工程として後述する。剥離工程に供される原料は、前述の粒子材料を構成する材料と同じ組成のものが採用できる。剥離工程では組成は概ね変化しない。
【0026】
この粒子材料を酸処理によってAlの一部を溶解し、MXeneとし、そのMXeneを、水を主成分とする溶媒中に混合して混合物とした後、10μmから300μmのビーズを用いて高速回転を行うビーズミル処理する剥離工程によりナノシート状のMXeneの剥離物が懸濁する剥離物懸濁液が得られる。
【0027】
剥離工程を行う分散媒は、特に限定しないが、水を50質量%以上含有することが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、アセトンなのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを含有することができる。水を100質量%とすることがより好ましい。
【0028】
剥離工程を行う混合物中のMXeneの濃度は特に限定しないが、10.0mg/mL~20.0mg/mL程度にすることができる。混合液の液性については特に限定しないが、pHを6.0~8.0程度にすることができる。
【0029】
剥離工程における具体的なビーズミル処理について説明する。遠心分離で微小なビーズとスラリー状の混合物を分級する機構を具備したビーズミルで剥離することが可能となる。ビーズミル処理により剥離した剥離物は、剥離前の混合物から遠心分離により随時分離でき、最終的には全てのMXeneを剥離物にすることもできる。
【0030】
例えばビーズの大きさの下限は、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、上限を300μm、200μm、100μmにすることができる。10μm以上であるとビーズとスラリーの分級が容易である。300μm以下のビーズを用いると粒子材料のサイズを小さくするよりも、剥離を優先して進行させることができる。これらの下限及び上限は任意に組み合わせて採用することができる。ビーズの大きさが適正な範囲であると付与するエネルギーが大きくでき、且つ、剥離を優先して進行できるため、50μm~100μmのビーズを採用することが最も好ましい。
【0031】
ビーズの材質は特に限定しないが、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素などのセラミックスが採用できる。特に破壊靭性が大きい部分安定化ジルコニアが好ましい。一方、300μm超のビーズを用いる微小サイズの隙間でビーズとスラリーを分級させる一般的に用いられるビーズミルによると、粒子材料のサイズを小さくすることが、剥離に優先して進行する。また、300μm超のビーズやボールを用いた遊星ボールミルなどのボールミルによっても、粒子材料のサイズを小さくすることが剥離に優先する。結果的に一部しか剥離できず、遠心分離で一部の剥離物を分級することになり、産業で利用できるレベルとは言えない。
【0032】
さらに従来からMXeneの剥離は超音波照射で行われている。溶媒に超音波を照射すると
、キャビテーションが発生し、その圧壊により、粉体どうしが衝突するメカニズムで層状化合物を構成する層の剥離が進行する。しかしながら、キャビテーションの発生が起きやすい水を用いたとしても、剥離が進行するのは一部のみである。さらに水を用いたとしても、剥離が進行するのは一部のみであり、産業で利用できるレベルとは言えなかった。遊星ボールミルによる方法でも、もちろん剥離はさらに一部であり、粉砕が優先する、更に温度上昇するため表面酸化が著しく進行するため、とても産業に利用できるレベルとは言えない。このような理由から超音波照射により一部のみを剥離させて遠心分離による分級で採取する手法がとられていた。
【0033】
剥離工程における周速は、6m/sec~12m/secの周速が採用できる。8m/sec~10m/secの周速がより好ましい。6m/sec以上であると剥離効率が良く、12m/sec以下であると付与する過大なエネルギー付与が抑制され、得られる粒子材料の温度上昇が抑制できるため、得られる粒子材料の表面における酸化の進行が抑制でき、電気抵抗を低くできる。スラリー送り速度は100mL/分から300mL/分が採用できる。スラリー粒子濃度は10.0mg/mL~20.0mg/mLが採用できる。
【0034】
10.0mg/mL以下の条件によると、MXeneナノシートの作製効率が悪くなり、2
0.0mg/mL以上にすると剥離が充分に進行できないため、この範囲が好ましい。
【0035】
スラリー温度は35℃以下の温度範囲が好ましい。35℃以下にすると表面酸化が抑制でき、粒子材料の電気抵抗を低く保つことができる。
【0036】
ビーズの充填量は40%~80%が採用できる。40%以上にすると剥離の効率が良くなり、80%以下にするとビーズとスラリーの分級が容易となる。目的のシート状の粒子を多く含む粒子材料が製造されたかどうかは、SEM、TEMなどの観察によって判断できる。特に粒子材料の厚みについてはAFM分析することによって判断できる。剥離工程で得られた粒子材料は、必要に応じて遠心分離などの方法によって分級して使用することも可能である。剥離工程における最適な条件については、装置の大きさによって変化するので、これらの数値は限定されるものではない。
【0037】
ビーズミル処理によりMXeneが質量基準で98%以上剥離物になるようにすることが好ましく、99%以上剥離物になることがより好ましく、100%剥離物になることが更に好ましい。MXeneが全て剥離物になる条件で剥離工程を完了すると、剥離していないMXeneを除去することなくそのまま混合工程に用いることが可能になる。剥離物以外のMXeneを除去する場合には、遠心分離、濾過などにより分離することができる。
【0038】
得られた剥離したMXeneのゼーター電位はpH6からpH8の水中で、-25.0mVからー30.0mVであることが好ましい。
【0039】
MXeneナノシートの化学組成については、Ti、Al、C、Nのatom%を用いて、Tiを3とし
た時のAl、C、N量を算出した。化学分析は、試料を白金皿にはかりとり、硝酸+硫酸+フッ化水素酸を加えて、加熱(120℃程度)して溶解後、さらに高温(300℃)で加熱して硝酸とフッ化水素酸を飛ばして試料溶液(硫酸)を作製し、作製した試料溶液を適宜希釈してICPで定量分析を行った。
・酸処理工程
酸処理工程は、原料カーボン微小体に対して、硫酸と硝酸との混酸溶液で処理を行い、親水性が高いカーボン微小体を得る工程である。原料カーボン微小体は、アセチレンブラック、ケツチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバ、黒鉛粉末、ハードカーボン粉末などが例示できる。導電性から、アセチレンブラック、ケツチェンブラック、カーボンナノチューブ、導電性と純度と価格の両面からアセチレンブラックが更に好ましい。
【0040】
酸処理工程では、混酸に懸濁したカーボン微小体懸濁液となり、そのまま混合工程で用いることもできるし、混酸を水などによる洗浄を繰り返すことで必要なだけ除去してカーボン微小体として用いることもできる。洗浄は、洗浄液のpHが6程度になるまで行うことができ、更にはpHが6.5や7や8程度になるまで行うこともできる。
【0041】
本処理によって、カーボン微小体の表面にCOOH基やCO基などの官能基が導入されて親水化される。処理後のカーボン微小体は、混酸中に分散されたカーボン微小体懸濁液になる。酸処理工程と剥離工程との間で行う前後は問わない。
【0042】
処理温度は70℃以上が好ましい。特に沸騰などが起きないように95℃以下にすることが好ましい。処理時間は特に限定しないが、10分以上処理することで確実に親水化できる。処理中は、撹拌したり、超音波を照射したりすることができる。処理後は、そのまま混合工程に供しても良いし、酸を中和乃至分離しても良い。なお酸を中和したり分離したりして所定値以上のpHになると、カーボン微小体が凝集するため、pHが所定値には至らない程度で中和を行うことができる。酸を分離する方法としては、固形分を遠心分離などの分級操作により分離する方法が例示できる。
【0043】
硫酸と硝酸との混合比は、体積比で、4:1~1:1程度にすることができ、特に3:1~3:2程度にすることが好ましい。混酸の濃度は、42%~96%程度にすることができ、特に90.0%~95.0%程度にすることが好ましい。
【0044】
得られた親水性カーボン微小体のゼーター電位は、pH7の水中でー20.0mVからー25.0mVであることが好ましい。ゼーター電位はCOOHやCOが官能基として吸着するた
めマイナスとなる。-20.0mVよりその絶対値が小さくなると水中での分散性が劣化
し、複合粒子材料の相互分散度が大きくなる。-25.0mVよりその絶対値が大きくな
ると導電性が劣化する。
・混合工程
混合工程は、剥離物及びカーボン微小体が90:10~97:3の質量比、且つ、剥離物が11.5-17.0mg/mLの濃度で、水を50質量%以上含有する第2分散媒に分散した混合物を得る工程である。第2分散媒は水を100質量%とすることがより好ましい。混合物中には、その他の物質を含有させることによりその物質についても複合粒子材料に取り入れることができる。特に、Liイオンや、Naイオンを共存させることで、剥離物を構成するMXeneの層内にそれらのイオンを挿入することができる。
【0045】
混合物は、11.5-17.0mg/mLの濃度で剥離物を含有する。第2分散媒は、剥離工程において用いる分散媒や、その他の工程で用いることができる溶媒と同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。剥離工程で得られた剥離物懸濁液をそのまま混合工程に供する場合には、第2分散媒に剥離工程で用いる分散媒が含まれる。複合スラリー中のMXene 粒子濃度を11.5-17.0mg/mLと限定した理由は、11
.5を下回ると、あるいは17.0を超えると後述の凝集工程において得られる複合粒子材料の比表面積が小さくなるためである。
【0046】
塩化リチウム水溶液を混合物に添加して100rpmから300rpmの回転数で、1時間から6時間、振とう機で撹拌することにより塩素やリチウムイオンをインターカレーションさせることが好ましい。振とう機の振幅は40mm以上とすることが好ましい。塩化リチウム5.3gを純水30gの比率で、100rpmから300rpmの回転数の振とう機で1時間以上撹拌することにより完全に溶解させることができ、それを所定粒子濃度のMXeneとカーボン微小体の懸濁液に添加することが好ましい。その際の振とう機の振
幅は40mmから45mmとすることが好ましい。酸処理したカーボン微小体について、純水に所定量のカーボン微小体を添加し、100rpmから300rpmの回転数の振とう機で1時間以上撹拌し、凝集をほぐした懸濁液を混合物に添加し混合することが好ましい。その際の振とう機の振幅は40mmから45mmとすることが好ましい。
・凝集工程
凝集工程は、混合工程で得られた混合物のpHを上昇させることにより、混合物に含有される剥離物とカーボン微小体との複合粒子材料を凝集させて凝集物にする工程である。pHの上昇は、アルカリ性の物質を添加する手法、あるいは酸性物質を除去乃至希釈、することで行われる。pHの上昇は、アルカリ水溶液を数秒で添加し、1時間以内で100rpmから300rpmの回転数の振とう機で撹拌することが好ましい。その際の振とう機の振幅は40mmから45mmとすることが好ましい。
【0047】
あるいは比誘電率の小さい疎水性の高い有機溶剤を添加することで行われる。
【0048】
得られた凝集物は、乾燥後、粉砕などの適正な操作により必要な状態にすることで、適正な粒度分布を持つ本実施形態の複合粒子材料を得ることができる。適正な状態とは、先述した本実施形態の複合粒子材料の状態である。凝集体の乾燥方法は特に限定しない。例えば、遠心分離、ろ別などの分級操作により凝集体を分離後、乾燥することができる。凝集体を分離した後に必要に応じて1回以上洗浄することができる。洗浄は水などで行うことができる。
乾燥については、複合粒子材料の表面に吸着した水、及び結晶内の層間に存在する水を除去する工程である。凝集体をエタノール、あるいはイソプロピルアルコールで3回 洗浄した後、風乾させることが好ましい。あるいは、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール懸濁液を窒素中でスプレイドライすることが好ましい。結晶内の層間にある水を除去するには100℃から200℃以下の範囲で、6時間から24時間 真空状態で乾燥させることが好ましい。プロセスの条件を適切に選択することによりMXeneやカーボン微小
体の表面酸化を抑制し、得られた複合粒子材料の表面電気抵抗を低く維持できる。
・その他必要な工程
その他必要な工程としては特に限定しないが、前処理工程が例示できる。前処理工程は、MXeneを製造する方法の一例である。例えば、TiCとTiNとAlとTiの混合原料をCIP又は一軸加圧により1トン/cm2から3トン/cm2の範囲で加圧処理した圧粉体破砕片を、あるいは加圧処理することなく、1400℃から1600℃以下の不活性雰囲気中で熱処理することにより高純度なTi3層のMAX相セラミックスであるTi3Al(C1-xx2、(0≦x<1)を得ることが例示できる。また、MAX相セラミックス粉末に酸性物質を20℃から30℃に制御した温度にて接触させて、MAX相セラミックス粉末に含まれるAl元素の一部を除去することで製造することができる。
【0049】
前処理工程に供する原料は、Ti3層については、Ti3Ala[C(1-x)x2、(a=1、0≦x<1)で表される組成を有するMAX相セラミックス粉末である。さらに、A
lを除去する量は酸性物質により酸処理されて製造されるMAX相セラミックス粉末中のAlの量(xに相当)が0.02超になる程度に残存するように調節する。なお、Alを全部除去することも可能であり、その場合にはAlを除去する以上にまで酸処理を進めないことが好ましい。
【0050】
除去されるAlの量は、酸性物質(酸水溶液など)と接触する時間(長くすると除去される量が増加する)、酸性物質の濃度(濃度が高い方が除去される量が増加する)、酸性物質の量(酸性物質の絶対量が多い方が除去され得る量を多くできる)、接触させる温度(温度が高い方が除去される量が増加する)を変化させることで調節できる。
【0051】
層状化合物であるMAX相セラミックス粉末(A元素がAl)に対して、酸処理を行うことによりAlの一部を除去して粒子材料を構成する空隙層を有する層状化合物とする。Al層の一部を除去するための酸としてはフッ酸と塩酸との組み合わせた酸性物質を採用する。フッ酸と塩酸との組み合わせを実現するためにはフッ酸の塩(KF、LiFなど)と塩酸とを混合してフッ酸と塩酸との混合物を得ることが好ましい。
【0052】
特に酸性物質としてはこれらの酸の水溶液を採用する。フッ化塩が完全に解離したと仮定した時に形成されるフッ酸と塩酸との混合濃度としては特に限定しない。フッ酸の濃度としては下限が1.7mol/L、2.0mol/L、2.3mol/L、上限が2.5mol/L、2.6mol/L、2.7mol/L程度にすることができる。塩酸の濃度としては下限が2.0mol/L、3.0mol/L、4.0mol/L、上限が13.0mol/L、14.0mol/L、15.0mol/L程度にすることができる。
【0053】
フッ化塩が完全に解離したと仮定した時に形成されるフッ酸と塩酸との混合比(モル比)についても特に限定しないが、フッ酸の下限として、1:13、1:12、1:11、上限として1:5、1:6、1:7程度を採用することができる。ここで示したフッ酸及び塩酸濃度、混合比についてはそれぞれ任意に組み合わせて採用することができる。酸処理温度については、20℃から30℃が好ましい。20℃から25℃がさらに好ましい。(電極材料)
本実施形態の電極材料は、二次電池に好適に用いることができる材料である。特に層間へのLiイオンやNaイオンの挿脱が可能であることから、電極活物質として好適に利用できる。また、その導電性から導電補助剤に用いることもできる。リチウム二次電池、及びナトリウム二次電池に有効である。酸処理によってAl層を除去した空隙層にリチウムイオンやナトリウムイオンが貯蔵、脱離される。
【0054】
ここではリチウム二次電池を例に挙げて説明する。電極は、本実施形態の複合粒子材料からなる活物質を含む活物質層と、金属の薄板などから構成され表面に活物質からなる活物質層が形成される集電体とを有する。活物質層を形成するためにはバインダを含むことができる。また活物質層には必要に応じて本実施形態の複合粒子材料以外の活物質・導電補助剤などを含有させることができる。バインダはカルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの汎用されているバインダやその他バインダとして利用できるものが採用できる。導電補助剤としてはアセチレンブラック、ケツチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバ、黒鉛粉末、ハードカーボン粉末などが採用できる。
【実施例
【0055】
本発明の複合粒子材料及びその製造方法について以下実施例に基づき詳細に説明を行う。
(実施例1)
・前処理工程
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)12.3g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gをイソプロパノール(IPA)中で12時間 ボールミル混合し、エバポレータでIPAを除去して均一混合された乾燥粉末を得た。
【0056】
黒鉛抵抗炉を用いてAr気流中1450℃、2hの条件で、均一混合された乾燥粉末をアルミナるつぼに入れて焼成しMAX相セラミックスとしてのTi3AlC2を得た。得られたTi3AlC2について乳鉢と乳棒を用いて粗粉砕した後、IPA中で5mmのジルコニアボールを用いたボールミル粉砕を24時間行った。その後、0.5mmのジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(200rpm、15分を3回)行い、懸濁液を得た。懸濁液に対してエバポレータでIPAを除去して約3μmに粉砕されたTi3AlC2粉末を得た。
【0057】
300mLの濃HClにLiF18gを入れた酸水溶液を準備し、氷で冷やしながら10gのTi3AlC2粉末を入れて、10℃から20℃に制御された環境下で、24時間、マグネチックスターラーで撹拌することで、Alをエッチングして除去し、Ti3Al0.02
2 MXeneからなる粒子材料を得た。エッチング後、pH6程度になるまで水洗し
、最後に水をエタノールに置換した。この操作により、粒子材料は、エタノール中に懸濁された原料懸濁液を得た。
【0058】
原料懸濁液中の粒子濃度を測定し、Ti3Al0.022 MXeneの粒子濃度が16.9mg/mLになるように水を添加した。
・剥離工程
この原料懸濁液に対して、ZrO2ビーズ径50μmのビーズミルをスラリー送入速度
150mL/min、ZrO2ビーズ充填量80%の条件で処理を行うことで、Ti3Al0. 022 MXeneからなる剥離物を生成した。この処理を3回繰り返すことにより、原料懸濁液中に含まれるTi3Al0.022 MXeneからなる粒子材料は、概ね全て剥離物になり、その剥離物を含む剥離物懸濁液を得た。
【0059】
得られた剥離物懸濁液について、ピラニア処理(H2SO4:H22=3体積部:1体積部の混合液に浸漬)したSi基板上に滴下し、AFM分析を行った。AFM像を図1に示す。剥離した剥離物(ナノシート)を無作為に100個抜き取り、AFMにより測定した厚さの平均値を求め表1に示す。さらにSEM観察の結果を図2に示す。剥離物を無作為に100個抜き取り、SEM写真より縦(厚み方向に直交する方向での最大径)と横(縦方向及び厚み方向に直交する方向)の寸法を測定し、その平均値をその剥離物の大きさと定義し、100個の剥離物の大きさの平均値を表1に示す。
【0060】
MAX相セラミックスであるTi3AlC2の粉末と、剥離物(Ti3Al0.022 MXen
eのナノシート)とのそれぞれについて、XRD測定し、図3に示す。XRDプロファイル
から(002)面のd値に着目し、層間距離を表5に示す。
【0061】
剥離物について、水中 pH7.0におけるゼーター電位を測定し、後述の複合粒子材
料の比表面積と合わせて表6に示した。
・酸処理工程
カーボン微小体としてのアセチレンブラックを酸処理する方法として、硫酸(98質量%)と硝酸(68質量%)を体積比で3:1で混合した混酸100質量部にアセチレンブラックを1.0質量部添加し、85℃の環境下で10分間浸漬して行った。その後、pH6.0程度になるまで水洗し、その後、水をIPAにて置換した。それを風乾して親水性のアセチレンブラック粉末を得た。FTIR分析し、表面官能基としてCOOH基とCO基を検出した。水中 PH7.0におけるゼーター電位を測定した所、-22.5mVであった。アセチレンブラックをTi3Al0.022 MXeneナノシートに対し5質量%量を純水10mLに入れ、振とう機で140rpm 振幅45mm 24hの条件で凝集を解砕し、親水性アセチレンブラックスラリーを準備した。
【0062】
親水性アセチレンブラックスラリーを親水化処理したSiウエハーに滴下しSEM観察した
。100個の一次粒子を任意に観察し、縦と横の寸法を測定し、その平均値である一次粒子径は33nmであった。
・混合工程
剥離工程で得られた剥離物懸濁液220mLに、塩化リチウム粉末5.3gと、酸処理工程により酸処理したアセチレンブラック粉末を剥離物(Ti3Al0.022 MXene)を基準として5質量%量添加した後、振とう機で140rpm 振幅45mmの条件で5h均一撹拌した。アセチレンブラックは、先述したように、10mLの水中に分散した状態で添加した。均一撹拌後、5.3gの水酸化リチウムを純水30mLに溶かした水溶液をあらかじめ24h振とう機で140rpm 振幅45mmの条件で完全に溶解させたアルカリ水溶液を添加し、振とう機で140rpm 振幅45mmの条件で1時間撹拌した。その後、水洗1回、IPA置換を3回行い、風乾し、Ti3Al0.022 MXeneの剥離物とアセチレンブラック粉末からなる複合粒子材料を得た。剥離物とカーボン微小体と共に塩素イオンを生成する物質(本実施例では塩化リチウム)を一緒に混合する本方法をA法と称する。凝集工程における混合物中の剥離物の濃度は13.2mg/mLに相当する。
【0063】
得られた複合粒子材料について、XRD測定した結果を図3に、SEM観察を行った結果
図6に示す。100℃で24h真空乾燥を行った後、窒素を用いたBET法により、比表面積、平均細孔直径、及び平均細孔容量を測定した結果を表2及び図11に示す。更に得られた複合粒子材料についてXRD測定から算出したMXeneの(002)面の層間距離と半価幅を、剥離したMXeneの層間距離と半価幅を合わせて表5に示した。
【0064】
更に、得られた複合粒子材料に対し、532nm波長のレーザーを用いたラマン分光分析を行った。レーザーの照射条件としては、複合粒子材料中に含まれる剥離物(MXene)が酸化してアナターゼが析出しない強度とし、100cm-1から2000cm-1の範囲で測定した。
【0065】
Ti3Al0.022 MXeneの剥離物のチタニウム原子に吸着した官能基による振動が230~470cm-1(以下、この範囲に出現するピークのうち400cm-1に出現するピークを代表として採用し「Aピーク」と称する)に、カーボン原子に吸着した官能基による振動が580cm-1近傍に現れる。一方、アセチレンブラックについて、SP3混成
軌道の炭素が1332cm-1(以下、「Bピーク」と称する)に、SP2混成軌道の炭素
が1500~1600cm-1に現れる。
【0066】
これらのAピークとBピークについてピーク強度を算出した。ピーク強度は、ピーク高さから算出し、B/Aの値を算出した。無作為に抽出した100個の複合粒子材料について分析を行い、B/Aの値を算出し、それらの値の標準偏差を複合粒子材料の相互分散度とした。結果を表3に示す。相互分散度が小さいほど均一に分散されていることを意味する。
【0067】
得られた複合粒子材料を真空中で100℃ 5時間で処理した後、φ10mmの金型で0.5kg/cm2の圧力で一軸加圧成形し、その後1.0トン/cm2の圧力でCIP処理した圧
粉体を用いて、φ0.1mmの銅線を用いた4端子法で測定した表面電気抵抗の結果を表4に示す。
・リチウムイオン電池
CR-2025タイプのコインセルを作成して電池特性を調べた。実施例1の複合粒子材料を電極活物質、導電補助剤としてのアセチレンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチルピロリドン(NMP)中において質量比において、80:10:10で、且つ乳鉢と乳棒を使用して混合して電極合材ペーストを得た。このペーストを集電体としてのCu箔の片面に塗布し、真空中、120℃で24h乾燥した。電解液は、電解質としてのLiPF6を1Mの濃度で溶解した、エチレンカーボネート(
EC):ジメチルカーボネート(DMC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1:1(体積比)を用いた。リチウム箔をカウンター電極とした。これらの操作は、全て、Ar雰囲気下(H2Oが0.1ppm未満、O2が0.1ppm未満)で行った。充放電サイクル試験を1Cの条件下で、300サイクル行った。得られた電池特性結果を図4図5に示した。
(実施例2)
酸処理したアセチレンブラックの添加量を剥離物(MXene)に対し10質量%とした以外は実施例1と同様にTi3Al0.022 MXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本実施例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、SEM観察を行い図7に示す。実施例1と同様に、BET比表面積、平均細孔直径、平均細孔容量を測定し、表2に示す。実施例1と同様に相互分散度を算出し表3に示す。得られた複合粒子材料の表面電気抵抗を実施例1と同様に測定し表4に示す。
(実施例3)
酸処理したアセチレンブラックの添加量を剥離物(MXene)に対し3質量%とした以外は実施例1と同様にTi3Al0.022 MXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本実施例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積、平均細孔直径、平均細孔容量を測定し、表2に示す。実施例1と同様に相互分散度を算出し表3に示す。得られた複合粒子材料の表面電気抵抗を実施例1と同様に測定し表4に示す。(実施例4)
実施例1と同様に、剥離物懸濁液と酸処理したアセチレンブラックを準備した。剥離物懸濁液220mLに対して、アセチレンブラックを剥離物の質量を基準として5質量%添加し、振とう機で140rpm 振幅45mmの条件で5h均一撹拌した後、水酸化リチウムを純水30mLに溶かした水溶液を添加し、1h振とう機で140rpm 振幅45mmの条件で均一撹拌した。その後は実施例と同様の方法にて本実施形態の複合粒子材料を調製した。A法のように、剥離物とカーボン微小体と共に塩素イオンを生成する物質を
一緒に混合することなく、アルカリ水溶液で凝集させる方法をB法と称する。
【0068】
得られた複合粒子材料のSEM観察を行った結果を図8に示す。実施例1と同様に、BET比表面積、平均細孔直径分布、平均細孔容量を測定した結果を表2及び図11に示す。実施例1と同様に相互分散度を算出した結果を表3に示す。更に得られた粒子材料についてXRD測定から算出したMXeneの(002)面の層間距離と半価幅を表5に示した。
(実施例5)
実施例1では、凝集工程における混合物中の剥離物の濃度が、13.2mg/mLであるのに対し、15.5mg/mLとした以外は実施例1と同様にTi3Al0.022 MXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本実施例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積を測定した結果を図11に示す。実施例1と同様に相互分散度を算出した結果を表3に示す。
(実施例6)
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)11.9g、TiN粉末(TN-30-10-0020、レアメタリック社)0.38g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gとした以外は実施例1と同様にMAX相セラミックスとしてのTi3Al(C0.97N0.032を得た。実施例1と同様、酸処理、剥離を行った。実施例1と同様に水中pH7のゼーター電位を測定し表6に示した。実施例1と同様にアセチレンブラックを酸処理し、複合粒子材料を作製し、実施例1と同様にBET比表面積を測定
し、表6に示した。表面電気抵抗を表4に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に剥離物懸濁液を作製した。剥離物懸濁液220mLに水酸化リチウムを純水40mLに溶かした水溶液を添加し、1h振とう機で140rpmの条件で撹拌した、混合懸濁液を作製した。実施例1と同様、混合物中の剥離物の濃度を13.2mg/mLとした。水洗1回、IPA置換を3回行い、風乾した。アセチレンブラック凝集粉末を
剥離物の質量を基準として10質量%添加した粉末をNMP中で、乳鉢と乳棒で撹拌し、1
00℃24時間真空乾燥することで、剥離物とアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し本比較例の複合粒子材料とした。複合粒子材料のSEM写真を図9に示す。実施例1と同様にして、BET比表面積、平均細孔直径分布、平均細孔容量を測定した結果を表2に示す。相互分散度を表3に示す。表面電気抵抗を表4に示す。実施例1と同様に電池特性を測定した結果を図4に示す。
(比較例2)
添加するアセチレンブラック粉末について、実施例1で示す酸処理工程を行わずに用いた以外は実施例1と同様の方法で本比較例の複合粒子材料を調製した複合粒子材料のSEM写真を図10に示す。実施例1と同様に、BET比表面積、平均細孔直径、平均細孔容量
を測定した結果を表2に示す。相互分散度の測定結果を表3に示す。
(比較例3)
剥離工程としてビーズミル処理をエタノール中で行った以外は実施例1と同様の方法で本比較例の複合粒子材料を調製した。実施例1と同様に、剥離物の平均厚さ、平均大きさを測定した結果を表1に示す。比表面積、平均細孔直径、平均細孔容量を測定した結果を表2に示す。相互分散度を表3に示す。
(比較例4)
実施例1では、凝集工程における混合物中の剥離物の濃度が、13.2mg/mLであるのに対し、11.0mg/mLとした以外は実施例1と同様にMXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本比較例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積を測定した結果を図11に示す。
(比較例5)
実施例1では、凝集工程における混合物中の剥離物の濃度が、13.2mg/mLであるのに対し、5.0mg/mLとした以外は実施例1と同様にMXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本比較例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積を測定した結果を図11に示す。
(比較例6)
実施例1では、凝集工程における混合物中の剥離物の濃度が、13.2mg/mLであるのに対し、17.6mg/mLとした以外は実施例1と同様にMXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本比較例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積を測定した結果を図11に示す。
(比較例7)
実施例1では、凝集工程における混合物中の剥離物の濃度が、13.2mg/mLであるのに対し、26.5mg/mLとした以外は実施例1と同様にMXeneとアセチレンブラックの複合粒子材料を調製し、本比較例の複合粒子材料とした。実施例1と同様に、BET比表面積を測定した結果を図11に示す。
(比較例8)
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)11.7g、TiN粉末(TN-30-10-0020、レアメタリック社)0.64g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gとした以外は実施例1と同様にMAX相セラミックスとしてのTi3Al(C0.95N0.052を得た。実施例1と同様、酸処理、剥離を行った。実施例1と同様にアセチレンブラックを酸処理し、複合粒子材料を作製し、実施例1と同様にBET比表面積を測定し、水中pH7におけるMXeneのゼーター電位を合わせて表6に示した。
(比較例9)
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)11.1g、TiN粉末(TN-30-10-0020、レアメタリック社)1.3g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gとした以外は実施例1と同様にMAX相セラミックスとしてのTi3Al(C0.90N0.102を得た。実施例1と同様、酸処理、剥離を行った。実施例1と同様にアセチレンブラックを酸処理し、複合粒子材料を作製し、実施例1と同様にBET比表面積を測定し、水中pH7におけるMXeneのゼーター電位を合わせて表6に示した。(比較例10)
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)10.4g、TiN粉末(TN-30-10-0020、レアメタリック社)1.9g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gとした以外は実施例1と同様にMAX相セラミックスとしてのTi3Al(C0.85N0.152を得た。実施例1と同様、酸処理、剥離を行った。実施例1と同様にアセチレンブラックを酸処理し、複合粒子材料を作製し、実施例1と同様にBET比表面積を測定し、水中pH7におけるMXeneのゼーター電位を合わせて表6に示した。(比較例11)
TiC粉末(TI-30-10-0020、レアメタリック社)9.2g、TiN粉末(TN-30-10-0020、レアメタリック社)3.2g、Ti粉末(TIE07PB 3N、高純度化学)4.9g、Al粉末(ALE15PB 3NG、高純度化学)2.8gとした以外は実施例1と同様にMAX相セラミックスとしてのTi3Al(C0.75N0.252を得た。実施例1と同様、酸処理、剥離を行った。実施例1と同様にアセチレンブラックを酸処理し、複合粒子材料を作製し、実施例1と同様にBET比表面積を測定し、MXeneのゼーター電位を合わせて表6に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
(結果)
表1より明らかなように、剥離工程において、水を含まないエタノールのみを分散媒として行うことにより、剥離物の厚みが大きくなり、大きさが小さくなることが分かった。水の量が増えるにつれて剥離物の厚みが小さく、大きさを大きくすることができることが分かった。
【0075】
表2及び表3及び図6から図10から明らかなように、硫酸と硝酸の混酸で酸処理して親水性としたカーボン微小体(アセチレンブラック)と厚みの小さな、かつ適度な大きさにしたMXene剥離物の複合粒子材料とすることで、比表面積の大きな、かつ相互分散度の
小さな(分散度に優れる)複合粒子材料となることが分かった。さらにカーボン微小体の添加量を変化させることにより相互分散度及び比表面積が変化することが分かった。
【0076】
MXeneとカーボン微小体を均一混合させる工程において、塩素イオンをインターカレー
ションさせるA法は、インターカレーションさせないB法に比べて平均細孔直径及び細孔容量が小さく、比表面積が大きいことが分かった。更に、XRDプロファイルにおいて、A法はB法よりMXeneの(002)面の層間距離がより大きくなることが分かった(表5に示す)。なお、図12に層間距離の測定に関する参考図を示す。MXeneの結晶構造は、図12に示すMAX相からA相を除いた結晶構造をもつ。
【0077】
これはMXeneの(002)面の層間距離から、MAX相の(002)面の層間距離である0.945nmを差し引いた距離を間隙の層間距離と定義すると、間隙の層間距離がより大きくなったことを示唆し、より大きなイオンを挿入 脱離可能であることを意味する。
【0078】
カーボン微小体の量が3質量%以上であると、比表面積が増加し、10質量%より以下になると相互分散度が向上できた。従って、MXeneとカーボン微小体との質量を基準として、カーボン微小体の割合は、3~10質量%よりであることが好ましいことが分かった。この場合に、相互分散度は、カーボン微小体が3質量%の場合に1.50、10質量%の場合に7.00であり、相互分散度は、1.50以上7.00以下であることが好ましいことが分かった。
【0079】
比表面積が75m2/g以上となると十分な電池特性を示すことが分かった。なお、実
施例において最も高い比表面積を示したのは110m2/g程度の複合粒子材料であった
【0080】
比表面積が75m2/g以上で、かつ優れた相互分散度を示 Ti3Al0.02C2 MXeneと
導電性カーボンブラック の複合粒子材料を作製する方法として2つの方法(A法とB法)を比較する。A法でTi3Al0.02C2 MXeneとカーボンブラックの複合粒子材料を作製すると、平均細孔直径が7.0~15.0nm、平均細孔容量が0.10~0.30mL/gが得られ、B法でTi3Al0.022 MXeneと導電性カーボンブラックの複合粒子材料を作製すると、平均細孔直径が15.0~20.0nm、平均細孔容量が0.30~0.50mL/gとなり、A法はB法に比べ平均細孔直径、平均細孔容量が小さくなることが分かった。
【0081】
Ti3Al0.02C2 MXene、 Ti3Al0.02(C0.97N0.032 MXeneの水中 pH7.0におけるゼータ
ー電位はマイナスであり、その絶対値はそれぞれ28.9、29.3である。Ti3Al0.02
(C0.95N0.052 MXene、Ti3Al0.02(C0.90N0.102 MXene、Ti3Al0.02(C0.85N0.152 MXene、Ti3Al0.02(C0.75N0.252 MXeneの水中 pH7.0におけるゼーター電位の絶対値は、それぞれ31.5、32.1、32.4、33.1である。後者は、凝集しにくいことを意味している。酸処理したアセチレンブラックの水中 pH7.0のゼーター電位はマイナ
スでありCOOH基やCO基が解離して親水性になることが分かった。そのため、MXene 水懸濁液と酸処理したアセチレンブラックの水懸濁液を撹拌することにより均一混合することが可能となり、アルカリ水溶液を添加すると均一分散状態を維持されたまま、凝集体が得られることが分かった。
【0082】
均一混合した複合粒子材料と、従来手法である複合粒子材料について、一軸加圧後にCIP処理したペレットを用いて、表面電気抵抗を測定した所、均一混合した複合粒子材料の
表面電気抵抗が小さいことが分かった(表4)。二次電池の負極活物質として利用する際に効果的に電子を集電体に移動させることが可能である。
【0083】
MXeneナノシートを単層レベルまで剥離し、その大きさを適度に小さくすることにより
、更に親水化処理したアセチレンブラックとの複合粒子材料とすることによって、比表面積を大きくし、アセチレンブラックを均一に分散配置させることにより、イオン拡散性に優れた、電子をスムーズに集電体に移動可能な、理想的な二次電池(蓄電池)の負極活物質に適する複合粒子材料を作製するに至った。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12