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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】コック、及び、注出装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/30 20060101AFI20241101BHJP
   F16K 5/04 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D47/30
F16K5/04 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020188883
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077844
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595124158
【氏名又は名称】原化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(72)【発明者】
【氏名】原 琢磨
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-212806(JP,A)
【文献】特開2019-055817(JP,A)
【文献】特開2016-023792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/30
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部に開口が形成されているとともに、液体貯留容器に設けられたスパウトに螺合されるキャップと、
前記キャップの天面部の開口を塞ぐように前記キャップに取り付けられる蓋体と、両端部が開口した外筒体と、前記蓋体と前記外筒体の側面部との間を接続する中空の連通管と、が一体に樹脂成形されたコック本体と、を備えたコックであって、
前記蓋体が、
前記スパウトの内側周面と嵌合する円筒部と、
前記円筒部の一方の端面を覆う蓋板部と、
前記円筒部の外側周面から外側に突出し、前記キャップの開口の内面側の縁と係合する環状をなす突条と、
前記蓋板部において面板方向に沿って形成された1又は複数のスロットと、を具備しており、
前記突条が前記スロットの幅方向に対する外形寸法よりも前記スロットの長手方向に対する外形寸法が小さく形成されていることを特徴とするコック。
【請求項2】
前記突条が、前記円筒部の軸方向に延びる切り落とし部を具備する請求項記載のコック。
【請求項3】
前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に、前記スロットが前記切り落とし部の面板部に対して直交するように延びる請求項記載のコック。
【請求項4】
前記突条が、幅方向に前記円筒部の外側周面まで切り通された1又は複数の切通部をさらに具備する請求項2又は3に記載のコック。
【請求項5】
前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に、前記切通部が前記スロットと一直線上に並ぶように設けられた請求項記載のコック。
【請求項6】
天面部に開口が形成されているとともに、液体貯留容器に設けられたスパウトに螺合されるキャップと、
前記キャップの天面部の開口を塞ぐように前記キャップに取り付けられる蓋体と、両端部が開口した外筒体と、前記蓋体と前記外筒体の側面部との間を接続する中空の連通管と、が一体に樹脂成形されたコック本体と、を備えたコックであって、
前記蓋体が、
前記スパウトの内側周面と嵌合する円筒部と、
前記円筒部の一方の端面を覆う蓋板部と、
前記円筒部の外側周面から外側に突出し、前記キャップの開口の内面側の縁と係合する環状をなす突条を備え、
前記突条が、前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に、第1方向に対する外形寸法よりも第1方向に対して交差する第2方向に対する外形寸法が小さく形成されていることを特徴とするコック。
【請求項7】
前記外筒体の内部に回動可能に嵌合されるとともに、前記液体貯留容器と外部との間の開閉状態を切り替えるハンドルをさらに備え、
前記ハンドルが、
先端部が開口するとともに、開状態において前記連通管の前記外筒体における開口と連通される内側連通孔が側面に形成された内筒体と、
前記内筒体の基端側に設けられた取っ手と、を具備する請求項1乃至いずれかに記載のコック。
【請求項8】
請求項1乃至いずれかに記載のコックと、
前記スパウトと、を備えた注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体貯留容器に対して取り付けられ、開状態と閉状態とを切り替え可能に構成されたコックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、バックインボックス等の液体貯留容器に取り付けられるコックを既に出願している(特許文献1参照)。
【0003】
このようなコックは、例えば液体貯留容器を形成する樹脂製の袋が熱溶着されたスパウトを利用して取り付けられる。具体的にはコックは、スパウトに対して螺合される天面部が開口したキャップと、キャップの天面部を塞ぐように設けられるコック本体と、コック本体に対して回動可能に取り付けられ、開閉状態を切り替えるハンドルと、を備えている。コック本体は、キャップの開口を塞ぐ蓋体と、キャップ及びスパウトの半径方向に対して延びるとともに両端部が開口した外筒体と、外筒体の側面部と蓋体との間を接続する中空の連通管が一体に成形されたものである。このようなコック本体をキャップの天面部の開口を塞ぐように取り付けた後に、キャップがスパウトに対して螺合される。蓋体の外側にはみ出るほど外筒体が大きく、キャップの底面側からコック本体を取り付けるのが困難な場合等には、キャップの天面側からコック本体が取り付けられる。
【0004】
ところで、コック本体は例えば硬質樹脂で成形されているため人の手の力では変形させにくく、キャップの天面側から蓋体が嵌るようにコック本体を取り付けるのは難しい。例えば蓋体においてキャップの天面部と係合する部分の直径を従来よりも若干小さくしたり、コック本体を形成する樹脂を従来よりも柔らかい樹脂で成形したりすることで、コック本体をキャップの天面側から取り付けやすくすることは考えられる。
【0005】
しかしながら、上述したような方法でコック本体をキャップに対して取り付けやすくなったとしても、今度はキャップをスパウトに対して螺合させていく過程でキャップからコック本体が外れやすくなってしまう。すなわち、キャップをスパウトに螺合させていくと、スパウトがコック本体の蓋体に接触し、コック本体がキャップから押し出される方向に押圧力が強く発生する。このため、キャップに対して蓋体が係合している部分の面積が小さすぎたり、蓋体においてキャップと係合している部分がしやすかったりすると、この押圧力に抗しきれず、コック本体がキャップから天面側へと抜けてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-023792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、天面部に開口を有するキャップに対して天面側からコック本体を例えば手作業で取り付けやすくし、組み立ての作業性を従来よりも改善できるとともに、一度キャップに対して取り付けられたコック本体は天面側へ抜けにくくできるコックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るコックは、天面部に開口が形成されているともに、液体貯留容器に設けられたスパウトに螺合されるキャップと、前記キャップの天面部の開口を塞ぐように前記キャップに取り付けられる蓋体と、両端部が開口した外筒体と、前記蓋体と前記外筒体の側面部との間を接続する中空の連通管と、が一体に成形されたコック本体と、を備えたコックであって、前記蓋体が、前記スパウトの内側周面と嵌合する円筒部と、前記円筒部の一方の端面を覆う蓋板部と、前記蓋板部において面板方向に沿って形成された1又は複数のスロットと、を具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、前記蓋体において面板方向に沿って1又は複数のスロットが形成されているので、前記蓋体を前記スロット周りにたわませて変形させやすくできる。このため、組み立て作業者は、前記コック本体を前記キャップの天面側から取り付ける場合に前記蓋体を前記キャップの天面部の開口よりも一時的に小さくして、簡単に嵌められる。したがって、本発明は従来よりもコックの組み立て性を改善できる。また、前記スロットを設けることで前記キャップに対して前記コック本体を天面側から取り付けやすくできるので、前記蓋体において前記キャップと係合する部分の大きさは従来とほぼ同じに保ったり、従来と同じ硬度の樹脂を使って本体部を形成したりできる。したがって、前記蓋体と前記キャップとの間の係合状態は従来とほとんど変わらないようにでき、前記スパウトから前記コック本体に強い押圧力が発生しても前記キャップから前記コック本体が外れにくくできる。
【0010】
前記キャップに対して前記蓋体を密閉した状態で取り付けられるようにしつつ、前記蓋体を前記スロットの幅方向にたわませた場合に前記蓋体が前記スロットの長手方向に膨らんでも前記キャップの開口の内径以内に収まるようにして取り付けやすくするには、前記蓋体が、前記円筒部の外側周面から外側に突出し、前記キャップの開口の縁と係合する環状をなす突条をさらに備え、前記突条が前記スロットの幅方向に対する外形寸法よりも前記スロットの長手方向に対する外形寸法が小さく形成されていればよい。
【0011】
前記突条の外形寸法を一部小さくするには、前記突条が、前記円筒部の軸方向に延びる切り落とし部を具備すればよい。
【0012】
前記蓋体を変形させる際に前記外筒体が変形を阻害しにくくするには、前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に、前記スロットが前記切り落とし部の面板部に対して直交するように延びるようにすればよい。
【0013】
前記蓋体を変形させて前記コック本体を前記キャップに取り付ける場合に、前記突条が突っ張りとなって変形しにくくなるのを防ぐには、前記突条が、幅方向に前記円筒部の外側周面まで切り通された1又は複数の切通部をさらに具備すればよい。
【0014】
前記蓋体と前記突条においてほぼ同じ部分を変形しやすくして、前記キャップに対して前記コック本体を取り付けやすくするには、前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に、前記切通部が前記スロットと一直線上に並ぶように設けられていればよい。
【0015】
前記キャップに対して前記コック本体を天面側から取り付けやすくするとともに、取り付け後は前記キャップから前記コック本体が天面側へと抜けにくくするには、天面部に開口が形成されているとともに、液体貯留容器に設けられたスパウトに螺合されるキャップと、前記キャップの天面部の開口を塞ぐように前記キャップに取り付けられる蓋体と、両端部が開口した外筒体と、前記蓋体と前記外筒体の側面部との間を接続する中空の連通管と、が一体に樹脂成形されたコック本体と、を備えたコックであって、前記蓋体が、前記スパウトの内側周面と嵌合する円筒部と、前記円筒部の一方の端面を覆う蓋板部と、前記円筒部の外側周面から外側に突出し、前記キャップの開口の縁と係合する環状をなす突条を備え、前記蓋板部に対して垂直な方向から視た場合に前記突条が第1方向に対する外形寸法よりも第1方向に対して交差する第2方向に対する外形寸法が小さく形成されていればよい。
【0016】
前記液体貯留容器内から液体を外部に注ぎ出しを切り替えられるようにするための具体的な構成例としては、前記外筒体の内部に回動可能に嵌合されるとともに、前記液体貯留容器と外部との間の開閉状態を切り替えるハンドルをさらに備え、前記ハンドルが、先端部が開口するとともに、開状態において前記連通管の前記外筒体における開口と連通される内側連通孔が側面に形成された内筒体と、前記内筒体の基端側に設けられた取っ手と、を具備するものが挙げられる。
【0017】
本発明に係るコックと、前記液体貯留容器を形成する樹脂製の袋が熱溶着される前記スパウトと、を備えた注出装置であれば、前記キャップに対して前記コック本体を取り付けやすいので、従来よりも組み立て性の良いものにできる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明に係るコックであれば、前記蓋体に前記スロットが形成されているので、このスロット周りに前記蓋体をたわませて変形させやすい。したがって、前記キャップに対する前記コック本体の取り付け時に前記蓋体の外形を一時的に小さくして簡単に取り付けることができ、組み立て性をよくできる。また、前記コック本体において前記キャップと係合する部分の面積は従来と同じ程度に保ったり、従来と同じ硬さの樹脂で成形したりできるので、前記キャップに前記コック本体を取り付けてからは前記コック本体に対して天面側に大きな力が加わったとしても抜けにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態におけるコックの模式的斜視図。
図2】同実施形態におけるコックの模式的縦断面図。
図3】同実施形態におけるコック本体を模式的底面図。
図4】同実施形態におけるコック本体を底面側から視た模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態におけるコック100について図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0021】
本実施形態に係るコック100は、例えば、図1に示すように、プラスチックやPET等によって形成された容器や、バッグインボックスの内袋等である液体貯留容器Cの下方に取り付けられるものである。
【0022】
すなわち、液体貯留容器Cの内容液は、当該コック100を介して、自重で外部に導出するように構成してある。なお、図1ではコック100の全体像が分かりやすいように、図面中の左下側が、液体貯留容器Cの下方となるように図示している。
【0023】
より具体的には、液体貯留容器Cがフランジ部に熱溶着されたスパウトSに対してコック100が取り付けられて、注出装置200が構成される。コック100は、3つの樹脂成形部品から構成されており、スパウトSに対して螺合される天面部に開口が形成されたキャップ1と、キャップ1の開口を塞ぐように取り付けられるコック本体2と、コック本体2に取り付けられて液体潮流容器の内外の開閉状態を切り替えるためのハンドル3を備えている。
【0024】
コック100の各部について詳述する。
【0025】
キャップ1は、図1及び図2の縦断面図に示すようにスパウトSの先端部分に螺合される扁平円筒状をなすものであり、側面部の内側周面にスパウトSの先端部に形成されている雄ネジと螺合する雌ねじが形成されている。また、キャップ1の天面部にはスパウトSの内径とほぼ同じ直径の開口が形成されている。キャップ1の天面部における開口の縁は一部内周側へと突出した環状をなしており、後述するコック本体2の蓋体21の上面側と係合される。
【0026】
コック本体2は、3つの部分が一つの中空樹脂成形部品として形成されている。すなわち、コック本体2は、キャップ1の天面部の開口を塞ぐようにキャップ1対して取り付けられる蓋体21と、両端部が開口した外筒体22と、蓋体21と外筒体22の側面部との間を接続する中空の連通管23と、を具備する。図1及び図2に示すように蓋体21の天面の面板方向と外筒体22の軸方向が一致するように設けられており、外筒体22の先端部は蓋体21の外周よりも外側にはみ出るように構成されている。加えて、外筒体22の先端部には液体の外部への漏出を防ぐための着脱可能な円筒状カバー24が可撓性紐部で連結されて設けられている。また、連通管23は蓋体21の天面に対して垂直となるとともに、外筒体22の軸方向に対して直行するように設けられている。なお、蓋体21の詳細な構造については後述する。
【0027】
ハンドル3は、図1及び図2に示すように先端部が開口するとともに、開状態において連通管23の外筒体22における開口と連通される内側連通孔が側面に形成された内筒体31と、内筒体31の基端側において内筒体31の半径方向に延びるように設けられた取っ手32を具備する。内筒体31の基端側の外側周面と外筒体22の内側周面との間には内筒体31が挿入された状態で内筒体31の軸方向の移動を規制する固定構造Fが形成されている。具体的に固定構造Fは、内筒体31の外側周面に形成された円環状の固定突起F1と、外筒体22の内側周面に形成された円環状の固定溝F2からなる。取っ手32を持って内筒体31を外筒体22に対して円周方向に回転させることで、内筒体31の側面の開口が連通管23の開口と一致し、液体を外部へ注出可能な開状態と、内筒体31の側面の開口と連通管23の開口が一致しておらず、液体が外部に注出されない閉状態と、を切り替えられる。
【0028】
次にコック本体2の蓋体21の詳細構造と、キャップ1に対するコック本体2の取り付けについて詳述する。
【0029】
コック本体2の蓋体21は、図2図3図4に示すようにスパウトSの内側周面と嵌合する円筒部211と、円筒部211の一方の端面を覆う蓋板部212と、を具備する。
【0030】
蓋板部212の内面側には、面板方向に沿って形成された2つのスロット25が形成されている。各スロット25は図3及び図4に示すように外筒体22の軸方向と平行となるように形成されており、連通管23の蓋体21部の開口を挟むように対称に配置してある。蓋板部212においてスロット25が形成されている部分は、他の部分よりも板厚が小さくなるので、スロット25の周りで蓋板部212をたわませて変形させやすい。すなわち、変形により蓋板部212の大きさをスロット25の幅方向に対して縮めやすくしてある。
【0031】
円筒部211はスパウトSの内径とほぼ同じ外径を有しており、がたなく嵌合するように構成されている。また、円筒部211において天面側の外側周面にはキャップ1の開口の縁部と係合する一部に途切れた部分を有する概略円環状の突条26が形成されている。この突条26がキャップ1の天面部に対して引っかかることにより、キャップ1からコック本体2が天面側へとはずれないようにしてある。突条26の外形寸法はスロット25の幅方向に対する外形寸法よりもスロット25の長手方向に対する外形寸法が小さく形成されている。より具体的には突条26は図3に示すように底面側から視た場合(蓋板部212に対して垂直な方向から視た場合)にスロット25と交差する領域に円筒部211の軸方向に切り立った切り落とし部261が形成されており、突条26は完全なトーラス形状から外側両端部の一部が切り落とされた形状をなしている。この切り落とし部261は、蓋板部212に形成されている各スロット25に対して面板部が直交するように設けられている。さらに突条26は蓋板部212に対して垂直な方向から視た場合にスロット25とほぼ一直線上に形成され、突条26の一部を円筒部211の外側周面まで切り通す切通部262が4つ形成されている。このような切通部262は、スロット25の周りで蓋板部212をたわませて変形させる場合に突条26が抵抗又はつっかえとなり、変形がさまたげられないようにできる。
【0032】
このような形状により、突条26はキャップ1に取り付けられた状態ではほぼ全周でキャップ1に対して係合するとともに、キャップ1に対してコック本体2の蓋板部212を変形させてキャップ1の天面側から取り付ける際に外形寸法がほぼ全周でキャップ1の天面部の開口直径とほぼ同じ程度又は若干大きい程度にできる。すなわち、スロット25周りで蓋板部212をたわませて変形させると、蓋板部212及び突条26はスロット25の幅方向には外形寸法が小さくなるとともに、スロット25の長手方向には外形寸法が若干大きくなる。突条26において切り落とし部261がある部分は変形により外形寸法が増加してもキャップ1の天面部の開口直径に対して所定量だけ大きい程度にしかならないようにしてある。さらに言い換えると、突条26は切り落とし部261を形成することで外周が近似的な楕円形状をなしており、突条26において切り落とし部261が設けられている短軸側は、変形により外側へ膨張してもキャップ1にねじ込める限界の寸法までしか膨張しないように構成されている。また、突条26において切り落とし部261が設けられていない長軸側は変形前の状態ではキャップ1にねじ込むことができない外形寸法であるが、変形後の縮小した状態ではキャップ1の開口よりも若干大きい程度の外形寸法となるため、ねじ込むことができる。このようにキャップ1の天面開口の内径よりも突条26の外形寸法のほうが若干大きくてもねじ込めるのは、キャップ1及びコック本体2がそれぞれ樹脂で形成されており、ねじ込むことでお互いに変形が生じるためである。また、キャップ1に突条26がねじ込まれた後は、突条26は自然状態に戻るため、突条26において長軸側はキャップ1の天面開口の縁と大きな面積に係り合わせることができる。このため、キャップ1に対するコック本体2の取り付けが完了すると、コック本体2はキャップ1の天面側に押圧されても抜けないようにできる。
【0033】
このように構成された注出装置200及びコック100であれば、キャップ1の天面側からコック本体2を取り付けやすい。より具体的にはコック本体2において蓋板部212をスロット25周りにたわませて変形させることで一時的に蓋板部212及び円筒部211をたわませてキャップ1に入り込みやすいサイズに縮めることができる。すなわち、コック本体2が硬質樹脂で形成されていても人の手の力でも変形させやすいので、キャップ1の天面側からコック本体2を入れ込みやすい。したがって、従来よりもコック100の組み立て性を改善できる。また、自然状態であれば突条26の長軸側の外形寸法はキャップ1にねじ込む事ができない程度に大きく形成されているので、蓋体21を変形させてキャップ1に取り付けた後は突条26がキャップ1の開口の縁を超えて天面側へと抜けることはできない。すなわち、キャップ1に対してコック本体2を取り付けた後にキャップ1をスパウトSに対して螺合させていき、スパウトSがコック本体2を天面側へと強く押してもコック本体2がキャップ1から外側へと抜けてしまうことがないようにできる。
【0034】
以上のように本実施形態のコック100はキャップ1に対してコック本体2を取り付けやすくするとともに、取り付け後は抜けにくくするという一見相反する機能を両立させることができる。
【0035】
その他の実施形態について説明する。
【0036】
蓋板部212に形成されるスロット25の個数については2つに限られない。例えばスロット25は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、複数のスロット25は平行に設けられたものに限られず、各スロット25が交差するように設けられても良い。加えて、スロット25は、蓋板部212の外面側に設けられていても良い。スロット25は直線状に形成されたものであってもよいし、曲線状に形成されたものであってもよい。
【0037】
突条26の形状については前述した実施形態に示したものに限られない。例えばスロット25のみを設けておき、突条26の形状については全周で一定の外形寸法を有するように構成してもよい。逆に蓋板部212に対してスロット25を設けずに、突条26が概略楕円環状に形成されたものであってもよい。すなわち、突条26が、蓋板部212に対して垂直な方向から視た場合に突条26が第1方向に対する外形寸法よりも第1方向に対して交差する第2方向に対する外形寸法が小さく形成されていればよい。ここで、例えば第1方向はスロット25の幅方向であり、第2方向はスロット25の長手方向とすることが挙げられるが、第1方向と第2方向はスロット25に基づかずに定められても良い。要するに突条26の外形寸法に異方性をもたせてあれば良い。
【0038】
スパウトS、キャップ1、コック本体2、ハンドル3の取り付け手順は前記実施形態で説明したものに限られない。例えばスパウトSにキャップ1をコック本体2の蓋板部212が入る隙間を残して予め仮螺合させた状態にし、スパウトSのキャップ1が取り付けられた状態でキャップ1に対してコック本体2を取り付けるようにしてもよい。
【0039】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や各実施形態の一部同士の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0040】
200 :注出装置
100 :コック
1 :キャップ
2 :コック本体
3 :ハンドル
21 :蓋体
211 :円筒部
212 :蓋板部
22 :外筒体
23 :連通管
24 :円筒状カバー
25 :スロット
26 :突条
261 :切り落とし部
31 :内筒体
32 :取っ手
C :液体貯留容器
F :固定構造
F1 :固定突起
F2 :固定溝
S :スパウト
図1
図2
図3
図4