(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】相関関数を決定するためのテクニカルステージ装置および方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20241101BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241101BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20241101BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20241101BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241101BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20241101BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20241101BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 P
G01B11/26 Z
F21V21/30 310
F21S2/00 365
H04N5/222 100
H04N23/56
(21)【出願番号】P 2021542477
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2020050414
(87)【国際公開番号】W WO2020151955
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519292752
【氏名又は名称】ツァクトラック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトリック、ヴェルナー
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015825(JP,A)
【文献】特開平07-075004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56-17/58
G03B 15/00-15/035
G03B 15/06-15/16
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクニカルステージ装置(1)であって、締結要素(2)と、軸受要素(3)と、機能要素(4)とを備え、前記機能要素(4)は、チルト軸(14)を中心に旋回可能であるように前記軸受要素(3)上に配置され、前記軸受要素(3)は、パン軸(13)を中心に回転可能であるように前記締結要素(2)上に配置され、
前記軸受要素(3)と前記締結要素(2)との間、および前記軸受要素(3)と前記機能要素(4)との間の相対的な動きを決定することができるように設計された位置決定装置が設けられ、
前記位置決定装置が、少なくとも2つの信号送信素子(5)と、少なくとも2つの信号反射素子(6)と、少なくとも2つの信号受信素子(7)とを備え、
第1の信号反射素子(9)が、前記締結
要素(2)上に配置され、第2の信号反射素子(10)が、前記機能要素(4)上に配置され
、
前記少なくとも2つの信号送信素子(5)と、前記少なくとも2つの信号受信素子(7)が、前記軸受要素(3)上に配置されることを特徴とする、テクニカルステージ装置(1)。
【請求項2】
前記信号送信素子(5)が、電磁放射を送信するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記信号送信素子(5)が、前記信号送信素子(5)によって送信される信号の伝播方向(12)が互いに実質的に直交し、前記パン軸(13)および前記チルト軸(14)の方向に延びるように配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第3の信号反射素子(11)が、前記機能要素(4)上に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
送受信装置(8)が提供され、前記送受信装置(8)が、少なくとも2つの信号送信素子(5)および少なくとも2つの信号受信素子(7)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記送受信装置(8)が、前記軸受要素(3)上に配置され、
a.前記締結要素(2)上の第1の信号反射素子(9)と協働するための第1の信号送信素子(5)および関連する第1の信号受信素子(7)と、
b.前記機能要素(4)上の第2の信号反射素子(10)と協働するための第2の信号送信素子(5)および関連する第2の信号受信素子(7)と
を備えることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
a.前記軸受要素(3)は、前記パン軸(13)のみで前記締結要素(2)に対して移動可能であり、
b.前記機能要素(4)は、前記チルト軸(14)のみで前記軸受要素(3)に対して移動可能である
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)を用いて、機能値(4)の所定のチルト値およびパン値と、前記機能要素(4)の絶対運動値との相関関数を決定するための方法であって、
a.前記機能要素(4)を第1の位置に移動させるステップであって、前記第1の位置において、少なくとも1つの信号送信素子(5)の信号が、少なくとも1つの信号反射素子(6)によって少なくとも1つの信号受信素子(7)に反射されるステップと、
b.前記機能要素(4)を、前記パン軸(13)を中心に回転させることによって、および/または前記チルト軸(14)を中心に旋回させることによって、所定のチルト値およびパン値によって規定される第2の位置に移動させるステップであって、前記第2の位置において、少なくとも1つの信号送信素子(5)の信号は、少なくとも1つの信号反射素子(6)によって少なくとも1つの信号受信素子(7)に反射されるステップと、
c.前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記機能要素(4)の少なくとも1つの絶対運動値を測定するステップと、
d.前記機能要素(4)の前記所定のチルト値およびパン値と前記機能要素(4)の実際に測定された運動値との間の相関関数を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記第1の位置が前記第2の位置に対応することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パン軸(13)内の絶対運動値を決定するために、前記パン軸(13)を中心に、前記機能要素(4)が回転することを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記チルト軸における前記絶対運動値を決定するために、前記チルト軸(14)を中心に前記機能要素(4)が旋回することを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結要素と、軸受要素と、機能要素、特にカメラまたはスポットライトとを備えるテクニカルステージ装置に関し、機能要素は、チルト軸を中心に旋回可能であるように軸受要素上に配置され、軸受要素は、パン軸を中心に回転可能であるように締結要素上に配置される。
【背景技術】
【0002】
ステージおよびイベント技術の分野では、回転要素および旋回要素を使用して、カメラまたはスポットライトなどの機能要素の位置を操作することができる。例えば、スポットライトを機能要素として回転可能かつ旋回可能に配置し、室内の実質的に任意の場所、例えば、ステージ上に向けることができるようにすることは、従来から知られている。一般的には、これは、機能要素を軸受要素に旋回可能に取り付けることによって、および軸受要素を締結要素に回転可能に取り付けることによって可能になる。
【0003】
従来技術では、回転軸は、通常、パン軸と呼ばれ、旋回軸はチルト軸と呼ばれ、パン軸とチルト軸は、特に、互いに直交して延びることができる。
【0004】
駆動力は、通常、ステッピングモータによって与えられ、個々のステップは、チックと呼ばれる。機能要素の位置を可能な限り正確に調整できるようにするために、パンチック/チルトチックにおけるモータの動きが機能要素の実際の動きおよび向きにどのように影響するかを知る必要がある。
【0005】
したがって、モータ制御と機能要素の実際の位置決めとの間の関係を記述する相関関数/マッピングアサインメントが決定されなければならない。この関係は、定期的に、純粋に経験的に決定され、テクニカルステージ装置の設置に応じて変化するので、機能要素の向きが不正確になる可能性がある。この不正確さを修正するために、テクニカルステージ装置の位置が変わるたびに微調整が必要となり、これは非常に手間がかかる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、モータ制御と機能要素の実際の位置決めとの間の関係を確実に決定することができる装置および方法を創出することである。
【0007】
本発明の目的は、独立請求項のフィーチャを有する装置および方法によって解決される。
【0008】
本発明は、締結要素と、軸受要素と、機能要素とを備え、該機能要素がチルト軸を中心に旋回可能であるように該軸受要素上に配置され、該軸受要素がパン軸を中心に回転可能であるように該締結要素上に配置される、回転可能かつ旋回可能なテクニカルステージ装置に関する。機能要素は、特に、カメラまたはスポットライトであってもよい。
【0009】
「回転可能」、「旋回可能」という用語およびそれらの任意の変形は、本発明の文脈において、要素が実質的に静止した軸の周りを移動する能力を意味する。特に、パン軸およびチルト軸は、互いに直交して延びていてもよい。
【0010】
本発明によれば、位置決定装置は、軸受要素と締結要素との間ならびに軸受要素と機能要素との間の相対的な動きを決定することができるように設計される。
【0011】
締結要素上で、軸受要素は、パン軸の周りに少なくとも360°、好ましくは540°回転可能であってもよい。軸受要素上で、機能要素は、チルト軸の周りに少なくとも90°、好ましくは180°旋回可能であってもよい。これにより、球体の半殻の表面上に位置する任意の点に機能要素を向けることができる。
【0012】
本発明によれば、位置決定装置は、機能要素の回転または旋回を決定することができるように設計することができる。特に、信号送信素子によって送信された信号が、対応する信号受信素子に当たるように、機能要素の特定の位置においてのみ信号反射素子によって反射されるようにすることができる。
【0013】
任意選択的に、位置決定装置は、少なくとも2つの信号送信素子と、少なくとも2つの信号反射素子と、少なくとも2つの信号受信素子とを備えてもよい。
【0014】
任意選択的に、信号送信素子は、電磁放射、特に赤外線放射、可視光放射またはUV放射を送信するように設計されてもよい。任意選択的に、信号送信素子は発光ダイオードとして設計されてもよい。任意選択的に、信号送信素子はレーザであってもよい。信号送信素子はまた、信号を送信することができる任意の要素またはデバイスであってもよい。信号は、特に光学的性質、すなわち好ましくは紫外、可視または赤外範囲の電磁放射であり得る。
【0015】
本発明による信号反射素子を、特に、信号送信素子によって送信された信号を反射することができるように設計してもよい。信号が光信号である場合、信号反射素子はミラーであってもよい。
【0016】
本発明による信号受信素子を、到来信号、特に、信号送信素子から到来する信号を検出することができるように設計してもよい。信号が光信号である場合、信号受信素子は、例えば、フォトダイオードであってもよい。
【0017】
任意選択的に、信号送信素子を、信号送信素子によって送信される信号の伝播方向が互いに実質的に直交し、好ましくはパン軸およびチルト軸の方向に延びるように配置してもよい。
【0018】
任意選択的に、第1の信号反射素子を締結要素上に配置してもよい。任意選択的に、第2の信号反射素子および任意選択的に第3の信号反射素子を機能要素上に配置してもよい。
【0019】
機能要素の回転および旋回する能力に応じて、対応する数の信号反射素子を設けることが必要な場合がある。好ましくは、信号反射素子は、テクニカルステージ装置のハウジング上に配置される。
【0020】
任意選択的に、少なくとも2つの信号送信素子および少なくとも2つの信号受信素子を備える送受信装置が設けられてもよい。好ましくは、信号送信素子および信号受信素子を組み合わせた組立体、特に、送受信装置に配置してもよい。これにより、要素の互いに対する位置を固定することができる。さらに、テクニカルステージ装置へ容易に設置することが可能になる。
【0021】
任意選択的に、送受信装置を軸受要素上に配置するようにしてもよい。組み合わせた送受信装置は、締結要素上に第1の信号反射素子と協働するための第1の信号送信素子および関連する第1の信号受信素子を備えてもよい。組み合わせた送受信装置は、機能要素上に第2の信号反射素子と協働するための第2の信号送信素子および関連する第2の信号受信素子をさらに備えてもよい。
【0022】
任意選択的に、軸受要素をパン軸のみで締結要素に対して移動可能であるようにしてもよい。任意選択的に、機能要素をチルト軸のみで軸受要素に対して移動可能であるようにしてもよい。
【0023】
さらに、本発明は、本発明による装置を用いて、機能要素、特に、カメラまたはスポットライトの所定のチルト値およびパン値の、機能要素の絶対運動値に対する相関関数を決定するための方法に関する。本発明による方法は、以下のステップを含む。
a.前記機能要素を第1の位置に移動させるステップであって、該第1の位置において、少なくとも1つの信号送信素子の前記信号が、少なくとも1つの信号反射素子によって少なくとも1つの信号受信素子に反射されるステップ。
b.前記機能要素を、パン軸を中心に回転させることによって、および/またはチルト軸を中心に旋回させることによって、所定のチルト値およびパン値によって規定される第2の位置に移動させるステップであって、前記第2の位置において、少なくとも1つの信号送信素子の信号は、少なくとも1つの信号反射素子によって少なくとも1つの信号受信素子に反射されるステップ。
c.前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記機能要素の少なくとも1つの絶対運動値を測定するステップ。
d.前記機能要素の所定のチルト値およびパン値と機能要素の実際に測定された運動値との間の相関関数を決定するステップ。
【0024】
好ましくは、機能要素の第1の位置と第2の位置との間の経路/角度は既知である。
【0025】
任意選択的に、第1の位置が第2の位置に対応するようにしてもよい。
【0026】
任意選択的に、パン軸の絶対運動値を決定するために、機能要素が、パン軸を中心に、特に、360°回転するようにしてもよい。
【0027】
任意選択的に、チルト軸の絶対運動値を決定するために、機能要素が、チルト軸を中心に、特に、90°回転するようにしてもよい。
【0028】
本発明のさらなるフィーチャは、特許請求の範囲、図面および例示的な実施形態から明らかになる。
【0029】
以下、本発明を例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。例示的な実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるテクニカルステージ装置の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態によるテクニカルステージ装置の平面図である。
【
図3】例示的な実施形態によるテクニカルステージ装置の側面図である。
【
図4】例示的な実施形態の送受信装置の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明によるテクニカルステージ装置1の例示的な実施形態の概略斜視図を示す。
【0032】
テクニカルステージ装置1は、締結要素2、軸受要素3、および機能要素4を備えており、この例示的な実施形態では、これはスポットライトとして設計されている。
【0033】
締結要素2は、テクニカルステージ装置1を表面に締結するように構成されている。この例示的実施形態では、表面とは、テクニカルステージ装置1が使用される部屋の天井のことである。代替的に、締結要素2を使用して、テクニカルステージ装置1を他の表面、例えば、壁または床に締結することができる。締結は、従来技術で知られている手段、例えば、ねじまたはボルトを用いて行うことができる。特に、床に配置される場合、締結要素2は、スタンドとして設計することもできるし、スタンドを有することもできる。
【0034】
締結要素2には、パン軸13を中心に回転可能に軸受要素3が取り付けられている。テクニカルステージ装置1が、説明した例示的な実施形態のように位置決めされる場合、パン軸13の向きは垂直である。軸受要素3は、パン軸13を中心に少なくとも360°回転可能である。しかしながら、ケーブル接続部の絡まりを避けるために、540°を超える回転範囲は通常提供されない。
【0035】
軸受要素3には、機能要素4がチルト軸14を中心に旋回可能に取り付けられている。テクニカルステージ装置1が、説明した例示的な実施形態のように位置決めされる場合、チルト軸14の向きは水平である。機能要素4は、約180°旋回可能である。
【0036】
したがって、パン軸13を中心に回転し、チルト軸14を中心に旋回することによって、半球状殻の表面上に位置する任意の点に機能要素4を向けることができる。
図1において、機能要素4は、水平に対して約45°旋回している。
【0037】
軸受要素3上には、この例示的な実施形態では2つの信号送信素子5および2つの信号受信素子7を備える送受信装置8が配置される。
【0038】
本発明による位置決定装置は、信号送信素子5および信号受信素子7に加えて、信号反射素子6も備えており、第1の信号反射素子9が締結要素2上に配置され、第2の信号反射素子10および第3の信号反射素子11が機能要素4上に配置される。
【0039】
この例示的な実施形態では、本発明による信号反射素子6は、ミラーとして設計されている。信号反射素子6は、それぞれの信号送信素子5が送信した信号を、対応する信号受信素子7に反射させるように配置されていることが理解される。しかしながら、図示されていない他の例示的な実施形態では、信号反射素子6を、適切な方法で信号送信素子5の信号を反射することができる限り、任意の方法で設計してもよい。
【0040】
この例では、送受信装置8は光信号を送信する。それは、締結要素2および機能要素4に向かって伝播方向12に伝播する。この図では、締結要素2も機能要素4も反射位置にはないので、信号は、信号反射素子6のいずれによっても送受信装置8に反射されない。したがって、光信号は、テクニカルステージ装置1の表面に当たる。
【0041】
図2は、例示的な実施形態のテクニカルステージ装置の平面図を示し、
図3は、例示的な実施形態のテクニカルステージ装置の側面図を示し、機能要素4は、いずれの場合も水平に配置される。
図3では、破線は、さらに、機能要素4がチルト軸14に沿って水平に対して90°旋回した状態を示している。
図3では、より見やすくするために、軸受要素3のアームを破線で示し、機能要素4の表面をはっきりと見ることができるようにしている。
【0042】
図2は、締結要素2および軸受要素3、ならびに送受信装置8および第1の信号反射素子9および第2の信号反射素子10をさらに示す。第3の信号反射素子11は、
図2には示されていない。
【0043】
図3では、機能要素4の表面上に配置された信号反射素子6の視認性を高めるために、送受信装置8を図示していない。
【0044】
図3には、3つの信号反射素子6が示されており、第1の信号反射素子9が締結要素2上に配置され、第2の信号反射素子10および第3の信号反射素子11が機能要素4上に配置されている。
【0045】
90°旋回した(破線の)位置では、第3の信号反射素子11は、旋回していない位置にある第2の信号反射素子10と実質的に一致しているため、図示されていない。
【0046】
図4には、送受信装置8の構造が詳細に示されている。送受信装置8は、2つの信号送信素子5および2つの信号受信素子7、ならびにL字形保持要素15を備える。保持要素15の脚部には、1つの信号送信素子5と1つの信号受信素子7とがそれぞれ配置されている。
【0047】
この例示的な実施形態では、信号送信素子5は、可視光を発することができる発光ダイオードとして設計されている。この例示的な実施形態では、信号受信素子7はフォトダイオードとして設計されており、信号送信素子5によって放射された光を検出するように設計されている。この例示的な実施形態では、保持要素15の脚部は、互いに実質的に直交して延びる。この例示的な実施形態では、信号送信素子5によって送信される信号の伝播方向12は、互いに実質的に直交して延びる。
【0048】
信号送信素子5によって送信される信号は、伝播方向12に沿って延びる。反射位置では、
図4に示すように、信号反射素子6からの信号は反射され、信号受信素子7に当たる。
【0049】
意図したように使用する場合、最初に、テクニカルステージ装置1を部屋内の所望の位置に配置し、次いで較正する。較正時には、所定のチルト値およびパン値と、機能要素4の実際の動作値との相関関数が決定される。一般に、互いに独立して制御され得る2つのステッピングモータが設けられる。一般的には、パン軸13を中心に回転を引き起こすモータのモータ回転数をパンチックと呼び、チルト軸14を中心に旋回を引き起こすモータのモータ回転数をチルトチックと呼ぶ。
【0050】
相関関数は、ステッピングモータに送信されるチルト軸および/またはパン軸のチックと、機能要素4の実際の動きとの間の関係を記述する。このモータの動きにより、パン軸13を中心とする回転およびチルト軸14を中心とする旋回が引き起こされる。
【0051】
最初に、軸受要素3を、第1の信号反射素子9が信号送信素子5の1つから送信された光信号を反射して信号受信素子7に戻す位置に持っていく。
【0052】
好ましくは、これは軸受要素3の特定の位置にのみ当てはまる。この位置を、第1の反射位置と呼ぶこともある。
【0053】
ここで、軸受要素3、ひいては機能要素4も、第1の反射位置に再び達するまで、パン軸13を中心に回転される。これは、特に、パン軸13を中心に360°回転した後、すなわち完全に回転した後のケースである。回転運動は、一方向、例えば、時計回りまたは反時計回りにのみ起きる。
【0054】
パン軸13を中心に軸受要素3が動く間、チック、すなわちモータの制御信号が記録される。第1の反射位置に到達すると、モータの必要なチック数が決定される。
【0055】
式1によれば、軸受要素3をある角度だけ回転させるために必要なモータのチック数を決定することができる。
Tパン、α=α*Tパン、360/360(式1)
【0056】
式1において、Tパン、αは、パン軸13を中心に角度αだけ回転するモータのチックを指す。記号Tパン、360は、360°の角度だけ回転するモータのチック数を指し、αは、パン軸13を中心とした所望の回転角度を指す。したがって、値Tパン、360は、パン軸13を中心に回転させたときに、モータが第1の反射位置から第1の反射位置に戻るまでのチック数に相当する。
【0057】
パン軸13が較正されると、チルト軸14を較正することができる。このため、信号送信素子5のうちの1つが送信した光信号を第2の信号反射素子10が反射して信号受信素子7に戻すように、機能要素4を軸受要素3に関連した位置に持っていく。この例示的な実施形態では、それは機能要素4の水平方向に対応する。この位置を第2の反射位置と呼ぶことがある。第2の反射位置が
図2に示されており、
図3では破線で示されている。
【0058】
ここで、機能要素4は、第3の信号反射素子11が信号送信素子5の信号を対応する信号受信素子7に反射するまで、チルト軸14に沿って旋回される。この位置を第3の反射位置と呼ぶ場合がある。
【0059】
第2の反射位置と第3の反射位置との間の角度は既知である。この例示的な実施形態では、角度は90°である。ここで、パン軸13と同様に、チルト軸14についても、モータの動きと機能要素4の実際の動きとの間の相関関数を決定してもよい。これにより、機能要素4を一定の角度だけ旋回させるために必要なモータのチック数を、式2に従って決定することができる。
Tチルト,β=β*Tチルト,90/90(式2)
【0060】
式2において、Tチルト,βは、チルト軸14を中心に角度βだけ回転するモータのチック数を指し、Tチルト,90は、90°の角度だけ回転する、すなわち第2の反射位置から第3の反射位置までのモータのチック数を指し、βは、チルト軸14を中心とした所望の旋回角度を指す。
【0061】
任意選択的に、軸13、14の較正の順序は異なっていてもよく、両方の軸13、14の同時較正も可能である。
【0062】
機能要素4を特定の位置に向けたい場合、所望の角度αおよびβの値だけをテクニカルステージ装置1の制御ユニットに入力すればよい。そして、上述した2つの相関関数により、チルト軸およびパン軸における必要なチック数を算出することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 テクニカルステージ装置
2 締結要素
3 軸受要素
4 機能要素
5 信号送信素子
6 信号反射素子
7 信号受信素子
8 送受信装置
9 第1の信号反射素子
10 第2の信号反射素子
11 第3の信号反射素子
12 伝播方向
13 パン軸
14 チルト軸
15 保持要素
16 長手方向軸