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特許7580138ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム
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  • 特許-ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム 図1
  • 特許-ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム 図2
  • 特許-ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム 図3A
  • 特許-ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム 図3B
  • 特許-ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ボンディング装置、ボンディング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20241101BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H05K13/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023004622
(22)【出願日】2023-01-16
(65)【公開番号】P2024100546
(43)【公開日】2024-07-26
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田澤 秀博
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077132(JP,A)
【文献】特開平07-136878(JP,A)
【文献】特開2019-194553(JP,A)
【文献】特開2008-227053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/58-H01L 21/607
H05K 3/30
H05K 13/00-H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板にボンディングするボンディング装置であって、
前記電子部品を初期位置からピックアップして前記基板上の目標位置にボンディングするボンディングツールと、
前記ボンディングツールを移動させる駆動部と、
前記ボンディングツールの座標を、第1座標から第2座標へ所定時間間隔で周期的に更新し、前記第1座標から前記第2座標への移動量の総和に基づいて、前記ボンディングツールを前記初期位置から前記目標位置へ移動するように前記駆動部を制御する制御部と、
前記ボンディングツールと前記ボンディングツールに保持された前記電子部品とのずれ量を測定する測定部と、
を備え、
前記制御部は、周期的に更新される前記第2座標の各々に前記ずれ量に応じた補正値を加算し、加算された補正値の総和に基づいて前記ずれ量を補正する、
ボンディング装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記ボンディングツールに保持された前記電子部品を撮像可能なカメラを更に備え、撮像された画像から前記ずれ量を測定する、
請求項に記載のボンディング装置。
【請求項3】
前記加算された補正値の総和は、XY平面に平行な水平移動である、
請求項に記載のボンディング装置。
【請求項4】
前記制御部は、下記式(1)(2)を用いて前記第2座標を算出する、
請求項1に記載のボンディング装置。
【数1】
【請求項5】
前記制御部は、下記式(3)(4)を用いて前記補正値を加算した前記第2座標を算出する、
請求項に記載のボンディング装置。
【数2】
【請求項6】
ボンディングツールを用いて電子部品を初期位置からピックアップすること、
前記ボンディングツールの座標を第1座標から第2座標へ周期的に更新すること、
前記ボンディングツールに保持された前記電子部品を撮像すること、
撮像された画像から、前記ボンディングツールと前記ボンディングツールに保持された前記電子部品とのずれ量を測定すること、
周期的に更新される前記第2座標の各々に前記ずれ量に応じた補正値を加算すること、並びに、
前記ボンディングツールを移動させる駆動部を制御し、前記第1座標から前記第2座標への移動量の総和に基づいて、前記ボンディングツールを前記初期位置から前記ずれ量が補正された目標位置へ移動させ、前記ボンディングツールに保持された前記電子部品を基板上の前記目標位置に実装すること、を含む、
ボンディング方法。
【請求項7】
ボンディングツールを用いて電子部品を初期位置からピックアップすること、
前記ボンディングツールの座標を第1座標から第2座標へ周期的に更新すること、
前記ボンディングツールに保持された前記電子部品を撮像すること、
撮像された画像から、前記ボンディングツールと前記ボンディングツールに保持された前記電子部品とのずれ量を測定すること、
周期的に更新される前記第2座標の各々に前記ずれ量に応じた補正値を加算すること、並びに、
前記ボンディングツールを移動させる駆動部を制御し、前記第1座標から前記第2座標への移動量の総和に基づいて、前記ボンディングツールを前記初期位置から前記ずれ量が補正された目標位置へ移動させ、前記ボンディングツールに保持された前記電子部品を基板上の前記目標位置に実装すること、をボンディング装置に実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に実装するボンディング装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンディング装置は、吸着コレット等のボンディングツールを用いて半導体ウェーハのダイ等の電子部品をピックアップし、リードフレーム等の基板の表面に実装する。電子部品をピックアップする際に、ボンディングツールと電子部品との間に位置ずれが生じることがある。
【0003】
基板の目標位置に電子部品を精度よく実装するため、カメラを用いてボンディングツールを下方から撮像してボンディングツールと電子部品とのずれ量を測定し、ボンディングツールの位置補正を行うボンディング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなボンディング装置は、初期位置から目標位置までの全行程の移動軌跡を算出し、ずれ量を算出すると既存の移動軌跡から補正後の目標位置に向かう移動軌跡に乗り換えて位置補正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-59933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、撮像した画像からずれ量を算出するまでに時間がかかることがある。ボンディングツールが目標位置に近づいて減速中のタイミングでずれ量を算出すると、移動軌跡の乗り換えが間に合わずにボンディングツールがそのまま目標位置まで移動して一旦停止していた。一旦停止してから補正後の目標位置に向かって再移動するまで空費される時間が生じる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、空費される時間を最小限にして電子部品を基板の目標位置に実装することができるボンディング装置に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るボンディング装置は、電子部品を基板にボンディングするボンディング装置であって、電子部品を初期位置からピックアップして基板上の目標位置にボンディングするボンディングツールと、ボンディングツールを移動させる駆動部と、ボンディングツールの座標を、第1座標から第2座標へ所定時間間隔で周期的に更新し、第1座標から第2座標への移動量の総和に基づいて、ボンディングツールを初期位置から目標位置へ移動するように駆動部を制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期位置から目標位置までの全行程の移動軌跡を算出してボンディングツールを移動させるのではなく、各周期における微小移動の移動軌跡を繰り返し算出し、それらを繋ぎ合わせてボンディングツールを移動させるため、減速中でも目標位置の変更が可能になり、連続的に変更後の目標位置への移動が可能になる。空費される時間を最小限にして電子部品を基板の目標位置に実装することができるボンディング装置に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のボンディング装置の一例を示す断面図である。
図2図1に示されたボンディング装置の機能的な構成要素の関係を示すブロック図である。
図3A図1に示されたボンディングヘッドと電子部品とがずれていない場合のボンディングヘッドの移動軌跡を示す断面図である。
図3B図1に示されたボンディングヘッドと電子部品とがずれている場合のボンディングヘッドの移動軌跡を示す断面図である。
図4図1に示されたボンディング装置を用いるボンディング方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図1から図4を参照して各構成について詳しく説明する。図1は、本発明の一実施形態のボンディング装置1の一例を示す断面図である。
【0011】
本発明の一実施形態のボンディング装置1は、ダイ等の電子部品Dをリードフレーム等の基板Fにボンディングするダイボンダである。電子部品Dを基板Fにボンディングするとは、基板Fに直に電子部品Dをボンディングするだけでなく、基板Fにボンディングされている他の電子部品の上に電子部品Dを積み重ねてボンディングする態様を含む。
【0012】
電子部品Dは、ダイ(半導体素子)に限定されず、MEMSチップ等の他種の電子部品であってもよい。電子部品Dがダイの場合、能動面が上向きのダイボンディングであってもよいし、能動面が下向きのフリップチップボンディングであってもよい。基板Fは、リードフレームに限定されず、インタポーザ基板等の他種の基板であってもよい。
【0013】
図1に示すように、ボンディング装置1は、基板Fを搬送するステージ3、ボンディングヘッドに取り付けられた吸着コレット等のボンディングツール2、ボンディングツール2を下方から撮像するカメラ61等を備えている。
【0014】
ボンディング装置1は、任意の構成として、ウェハリング等に固定された電子部品Dをボンディングヘッドに供給するウェハカセットリフタ、基板Fをステージ3に供給するフレームスタックローダ、ステージ3上を搬送される基板Fに銀ペースト等の接着剤を塗布するディスペンサ、電子部品Dが実装された基板Fをステージ3から回収するアンローダマガジン等を更に備えていてもよい。
【0015】
以下の説明において、基板Fが流れるステージ3の搬送方向をX軸方向、搬送方向を横断するステージ3の幅方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向として定義する。図示した例では、X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交している。ボンディングヘッドは、後述する駆動部5を備え、ボンディングツール2を用いて初期位置(0,0,0)にある電子部品Dをウェハリング等からピックアップし、接着剤やはんだ等が塗布された基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装する。
【0016】
図2は、図1に示されたボンディング装置1の機能的な構成要素の関係を示すブロック図である。図2に示すように、ボンディング装置1は、ボンディングツール2を移動させる駆動部5、駆動部5を制御する制御部4、ボンディングツール2と電子部品Dとのずれ量を測定する測定部6等を備えている。
【0017】
制御部4は、ボンディングツール2の移動軌跡を演算するモーションコントローラ等の軌跡演算部41を備えている。制御部4は、他種のコントロールボードを更に備えていてもよい。測定部6は、前述したカメラ61に加え、カメラ61が撮像した画像を画像処理し、ボンディングツール2と電子部品Dとのずれ量を算出するビジョンボード等の画像処理部62を更に備えている。
【0018】
駆動部5は、ボンディングツール2をX軸、Y軸及びZ軸方向に移動させるモータ52X,52Y,52Z、軌跡演算部41の指令を受けて各モータ52X,52Y,52Zを駆動するサーボアンプ51X,51Y,51Z等を備えている。駆動部5は、Z軸に平行な回転軸まわりにボンディングツール2を回転させるモータ、該モータを駆動するサーボアンプ等を更に備えていてもよい。
【0019】
軌跡演算部41は、ボンディングツール2の移動先の座標(X,Y,Z)を周期的に更新し、駆動部5は、軌跡演算部41から与えられた座標にボンディングツール2を逐次移動させることが特徴の一つである。以下の説明において、各周期における更新前の座標を「第1座標」又は「移動元の座標」と呼び、更新後の座標を「第2座標」又は「移動先の座標」と呼ぶことがある。各周期において、更新前の座標と更新後の座標とは同一であってもよい。その場合、当該周期の移動量はゼロであり、ボンディングツール2は移動しないでその場に止まることができる。
【0020】
以上のように構成されたボンディング装置1によれば、初期位置(0,0,0)から目標位置(Sx,Sy,Sz)までの全行程の移動軌跡を算出してボンディングツール2を移動させるのではなく、各周期における微小移動の移動軌跡を繰り返し算出し、それらを繋ぎ合わせてボンディングツール2を移動させるため、ボンディングツール2の減速中でも目標位置(Sx,Sy,Sz)の変更が可能になり、連続的に変更後の目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)への移動が可能になる。空費される時間を最小限にして電子部品Dを基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装することができる。
【0021】
ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を更新する周期が十分に小さいとき、初期位置(0,0,0)から目標位置(Sx,Sy,Sz)までの全行程の移動軌跡を出力する場合と比較してボンディングツール2の移動軌跡を滑らかに変更することができる。軌跡演算部41が座標を更新する周期は、例えば、400μsec以内が好ましく、200μsec以内がより好ましい。
【0022】
図3Aは、図1に示されたボンディングツール2と電子部品Dとがずれていない場合のボンディングツール2の移動軌跡を示す断面図であり、図3Bは、図1に示されたボンディングツール2と電子部品Dとがずれている場合のボンディングツール2の移動軌跡を示す断面図である。電子部品Dをピックアップする際に、ボンディングツール2と電子部品Dとの間に位置ずれが生じることがある。ボンディングツール2が吸着コレットの場合、Z方向の位置ずれが生じにくいため、図3Bに示すように、XY平面に平行な位置ずれが生じる。
【0023】
軌跡演算部41は、測定部6が測定したずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を受信すると、加算された補正値の総和(Xdc,Ydc,0)によってずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を相殺するように、周期的に更新される第2座標の各々にずれ量(-Xdc,-Ydc,0)に応じた補正値を加算する。その結果、図3Bに示すように、ボンディングツール2の移動軌跡が変化し、ボンディングツール2と電子部品Dとの間に位置ずれが生じていても電子部品Dを基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装できる。
【0024】
本発明の一実施形態のボンディング装置1は、軌跡演算部41が初期位置(0,0,0)から目標位置(Sx,Sy,Sz)までの全行程の移動軌跡を算出し、ずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を算出すると既存の移動軌跡から補正後の目標位置に向かう移動軌跡に乗り換えて位置補正を行うのではなく、各周期において補正値を含む微小移動の移動軌跡を繰り返し算出し、それらを繋ぎ合わせてボンディングツール2を移動させる。多数の移動軌跡のいずれの移動軌跡からでも補正値の加算を開始することができるため、連続的に補正後の目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)への移動が可能になる。図3Bに示すように、変更前後の移動軌跡が滑らかに連続しているため、空費される時間を最小限にすることができる。
【0025】
なお、本発明の一実施形態のボンディング装置1がボンディングツール2の移動軌跡を変更する態様は、ボンディングツール2と電子部品Dとの位置補正に限定されない。例えば、振れ幅のある大まかな目標位置に向かって初期位置からボンディングツール2が移動を開始し、ボンディングツール2の移動中に制御部4が詳細な目標位置を外部装置から連絡されて移動開始時の目標位置とは異なる目標位置に移動軌跡を変更するような態様にボンディング装置1を用いてもよい。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態のボンディング方法の一例であって、図1に示されたボンディング装置1を用いるボンディング方法(手順S1~S13)を示すフローチャートである。図4に示すように、ボンディング方法は、まず、ボンディングツール2を用いて電子部品Dを初期位置(0,0,0)からピックアップする(手順S1)。
【0027】
次いで、ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を第1座標から第2座標へ周期的に更新し(手順S2)、更新された座標(X,Y,Z)に駆動部5がボンディングツール2を移動させる(手順S3)。ボンディングツール2がカメラ61の光軸61Z上に到達するまで手順S2~S3を繰り返す(手順S4:No)。
【0028】
ボンディングツール2がカメラ61の光軸61Z上に到達したとき(手順S4:Yes)、カメラ61がボンディングツール2に保持された電子部品Dを撮像する(手順S5)。撮像後もボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を第1座標から第2座標へ周期的に更新し(手順S6)、更新された座標(X,Y,Z)に駆動部5がボンディングツール2を移動させる(手順S7)。
【0029】
測定部6の画像処理部62が、撮像された画像からずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を測定するまで手順S6~7を繰り返す(手順S8:No)。画像処理部62が、撮像された画像からずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を測定すると(手順S8:Yes)、測定部6の制御部4に連絡する。
【0030】
ずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を受信した制御部4では、軌跡演算部41が、第1座標から第2座標へ周期的に更新したのち(手順S9)、更新された第2座標の各々にずれ量(-Xdc,-Ydc,0)に応じた微小な補正値を加算することにより、ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を僅かずつ位置補正して更新する。駆動部5は、更新された座標(X,Y,Z)にボンディングツール2を移動させる(手順S11)。
【0031】
ボンディングツール2が補正後の目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)に到達するまで手順S9~11を繰り返す(手順12:No)。ボンディングツール2が補正後の目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)に到達したら(手順S12:Yes)、ボンディングツール2が電子部品Dを基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装する(手順S13)。
【0032】
本発明の一実施形態のプログラムは、図1に示されたボンディング装置1に図4に示されたボンディング方法(手順S1~S13)を実行させる。プログラムは、ボンディング装置1のハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の記憶装置に格納されていてもよいし、光ディスク等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることによってボンディング装置1の記憶装置にインストールされていてもよい。本発明の一実施形態のボンディング装置1に関するこれらの技術によれば、空費される時間を最小限にして電子部品Dを基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装することができる。
【0033】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0034】
[付記1]
ボンディング装置1は、電子部品Dを基板Fにボンディングするボンディング装置であって、電子部品Dを初期位置(0,0,0)からピックアップして基板F上の目標位置(Sx,Sy,Sz)にボンディングするボンディングツール2と、ボンディングツール2を移動させる駆動部5と、ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を、第1座標から第2座標へ所定時間間隔で周期的に更新し、第1座標から第2座標への移動量の総和(Sx,Sy,Sz)に基づいて、ボンディングツール2を初期位置(0,0,0)から目標位置(Sx,Sy,Sz)へ移動するように駆動部5を制御する制御部4と、を備えている。
【0035】
上記付記1によれば、初期位置(0,0,0)から目標位置(Sx,Sy,Sz)までの全行程の移動軌跡を算出してボンディングツール2を移動させるのではなく、各周期における微小移動の移動軌跡を繰り返し算出し、それらを繋ぎ合わせてボンディングツール2を移動させるため、減速中でも目標位置(Sx,Sy,Sz)の変更が可能になり、連続的に変更後の目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)への移動が可能になる。空費される時間を最小限にして電子部品Dを基板Fの目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装することができるボンディング装置1に関する技術を提供することができる。
【0036】
[付記2]
上記付記1において、ボンディングツール2と電子部品Dとのずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を測定する測定部6を更に備え、制御部4は、周期的に更新される第2座標の各々にずれ量(-Xdc,-Ydc,0)に応じた補正値を加算し、加算された補正値の総和(Xdc,Ydc,0)に基づいてずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を補正してもよい。
【0037】
[付記7]
ボンディング方法(手順S1~S13)は、ボンディングツール2を用いて電子部品Dを初期位置(0,0,0)からピックアップすること(手順S1)、ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を第1座標から第2座標へ周期的に更新すること(手順S2,S9,S12)、ボンディングツール2に保持された電子部品Dを撮像すること(手順S5)、撮像された画像から、ボンディングツールと電子部品とのずれ量を測定すること(手順S8)、周期的に更新される第2座標の各々にずれ量(-Xdc,-Ydc,0)に応じた補正値を加算すること(手順S10)、並びに、ボンディングツール2を移動させる駆動部5を制御し、第1座標から第2座標への移動量の総和(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)に基づいて、ボンディングツール2を初期位置(0,0,0)からずれ量(-Xdc,-Ydc,0)が補正された目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)へ移動させ(手順S12)、ボンディングツール2に保持された電子部品Dを基板F上の目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装すること(手順S13)、を含んでいる。
【0038】
[付記8]
プログラムは、ボンディングツール2を用いて電子部品Dを初期位置(0,0,0)からピックアップすること(手順S1)、ボンディングツール2の座標(X,Y,Z)を第1座標から第2座標へ周期的に更新すること(手順S2,S9,S12)、ボンディングツール2に保持された電子部品Dを撮像すること(手順S5)、撮像された画像から、ボンディングツールと電子部品とのずれ量を測定すること(手順S8)、周期的に更新される第2座標の各々にずれ量(-Xdc,-Ydc,0)に応じた補正値を加算すること(手順S10)、並びに、ボンディングツール2を移動させる駆動部5を制御し、第1座標から第2座標への移動量の総和(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)に基づいて、ボンディングツール2を初期位置(0,0,0)からずれ量(-Xdc,-Ydc,0)が補正された目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)へ移動させ(手順S12)、ボンディングツール2に保持された電子部品Dを基板F上の目標位置(Sx,Sy,Sz)に実装すること(手順S13)、をボンディング装置1に実行させる。
【0039】
上記付記2並びに上記付記7及び8によれば、測定部6を用いて測定したボンディングツール2と電子部品Dとのずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を、加算された補正値の総和(Xdc,Ydc,0)に基づいて補正することができる。電子部品Dをピックアップする際に、ボンディングツール2と電子部品Dとの間に位置ずれが生じても基板Fの目標位置(Sx+Xdc,Sy+Ydc,Sz)に電子部品Dを精度よく実装することができる。
【0040】
[付記3]
上記付記2において、測定部6は、ボンディングツール2に保持された電子部品Dを撮像可能なカメラ61を更に備え、撮像された画像からずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を測定してもよい。
【0041】
上記付記3によれば、カメラ61によって撮像された画像から非接触で精度よくずれ量(-Xdc,-Ydc,0)を測定することができる。
【0042】
[付記4]
上記付記2において、加算された補正値の総和(Xdc,Ydc,0)は、XY平面に平行な水平移動であってもよい。
【0043】
吸着コレットを用いてピックアップすると、Z方向の位置ずれが生じにくい。上記付記4によれば、ボンディングツール2が吸着コレットの場合に好適である。なお、ボンディングツール2は吸着コレットに限定されず、チャック等であってもよい。
【0044】
[付記5]
上記付記1から4のいずれか一つにおいて、制御部4は、下記式(1)(2)を用いて第2座標を算出してもよい。
【数1】
【0045】
上記付記5によれば、初期位置(0,0,0)と目標位置(Sx,Sy,Sz)との間にある障害物(例えば、カメラ61、ステージ3のガイド)を七次式で算出される滑らかな移動軌跡で避けながらボンディングツール2を移動させることができる。
【0046】
[付記6]
上記付記2から4のいずれか一つにおいて、制御部4は、下記式(3)(4)を用いて補正値を加算した第2座標を算出してもよい。
【数2】
【0047】
上記付記6によれば、周期的に更新される第2座標の各々に加算される補正値が補正前の移動軌跡と同様の七次式で算出されるため、補正値を加算した各周期における移動軌跡を滑らかに繋ぐことができる。
【符号の説明】
【0048】
1…ボンディング装置、2…ボンディングツール、3…ステージ、4…制御部、5…駆動部、6…測定部、41…軌跡演算部、51X,51Y,51Z…サーボアンプ、52X,52Y,52Z…モータ、61…カメラ、61Z…カメラの光軸、62…画像処理部、D…電子部品、F…基板。
図1
図2
図3A
図3B
図4