(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】重複ファセット
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082650
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2021156920の分割
【原出願日】2018-01-08
【審査請求日】2023-05-19
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンジンガー,ヨチャイ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンフェルド,チョン アクセル
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-521099(JP,A)
【文献】特表2017-500605(JP,A)
【文献】特開2017-049511(JP,A)
【文献】特開2015-096883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/02
G02B27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
(a)透明材料から形成され、第1の主表面及び前記第1の主表面に平行な第2の主表面を有する導光光学素子(LOE)と、
(b)前記第1及び第2の主表面における内部反射によって前記LOE内で伝搬するように、画像光線を前記LOEの中にカップリングインするためのカップリングイン配列であって、前記第1の主表面から反射される画像光線の第1のセットは、前記主表面に対して第1の伝搬角度範囲にわたり、前記第2の主表面から反射される画像光線の第2のセットは、前記主表面に対して前記第1の伝搬角度範囲と反対の第2の伝搬角度範囲にわたる、カップリングイン配列と、
(c)前記LOE内に展開され、前記第1の主表面に対して斜めに角度付けられる、複数の相互に平行な部分反射内部表面であって、前記部分反射内部表面は、前記第1及び第2の伝搬角度範囲内の前記画像光線が、それぞれ、第1の入射角角度範囲及び第2の入射角角度範囲内で同じ側から前記部分反射内部表面の各々に入射するように角度付けられ、前記第1の入射角角度範囲は、前記第2の入射角角度範囲より部分反射表面の法線に対して小さい傾斜であり、前記部分反射内部表面は、前記第1の入射角角度範囲に対して部分反射する一方、前記第2の入射角角度範囲に対して実質的に透過性であるようにコーティングされる、複数の相互に平行な部分反射内部表面と、を備え
、
前記部分反射内部表面で反射された画像光線は、前記LOEから外向きに指向されるアウトカップリングされた光線を形成し、前記アウトカップリングされた光線の大部分に関して、前記アウトカップリングされた光線の方向に沿った線は、前記部分反射内部表面のうちの少なくとも2つと交差する、光学システム。
【請求項2】
連続する前記部分反射内部表面間の間隔は、不均一である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
連続する前記部分反射内部表面間の間隔は、単調に増加する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
連続する前記部分反射内部表面の反射率は、前記LOEに沿って増加する、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本発明者らにより2017年3月22日に出願された仮特許出願(PPA)番号62/474,614の利益を主張し、当該文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に光学系に関し、とりわけ、均一な反射に関係する。
【背景技術】
【0003】
コンパクトな光学素子のための重要な適用の1つは、光モジュールが結像レンズとコンバイナーの両方として機能し、それにより、2次元表示が無限に撮像され、観察者の目に反射される、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を備える。該表示は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードアレイ(OLED)、スキャニングソースまたは同様の装置などの空間光変調器(SLM)から直接、あるいはリレーレンズまたは光ファイバー束によって間接的に得られる。該表示は、コリメータレンズによって無限に撮像され、それぞれ非シースルーまたはシースルー用途用のコンバイナーとして作用する反射あるいは部分反射表面によりビューアーの目に送信された要素(ピクセル)のアレイを含む。典型的には、従来の自由空間光モジュールはこの目的のために使用される。本システムの所望の視野(FOV)が拡大するにつれ、こうした従来の光モジュールは、必ずより大きく、より重く、よりかさばるようになり、中程度のパフォーマンス向けにでも装置を非実用的なものにする。これらはすべての種類のディスプレイの主要な短所であるが、とりわけ、システムが必ず可能な限り軽量かつコンパクトでなければならないヘッドマウント用途ではそうである。
【0004】
コンパクトなものにしようとする努力がいくつかの様々な複雑な光学的解決策を生み出した。これらはすべて、一方では、ほとんどの実用的な用途にはまだ十分なほどコンパクトではなく、他方では、製造するのが困難である。さらに、これらの設計に起因する光学的な視角のアイモーションボックス(eye-motion-box)(EMB)は、通常非常に小さく、典型的には8mm未満である。従って、光学系の性能は、ビューアーの目に対する小さな動作にさえ非常に敏感に反応し、表示されたテキストを都合よく読み取るための十分な瞳孔運動を許可しない。
【発明の概要】
【0005】
本実施形態の教示によれば、導波路を含む光学デバイスが提供され、導波路は、互いに平行な少なくとも1対の表面の第1の表面と、光が導波路へ連結される第1の領域と、ファセットの第1の配列を有し、該ファセットは、第1の領域の近位に配され、第1の対の表面の間の方向に第1の幅を有する、最初のファセットと、第1の領域からのファセットの第1の配列の遠位端にあり、第1の対の表面の間の方向に第3の幅を有する、最後のファセットと、最初のファセットと最後のファセットとの間にあり、第1の対の表面の間の方向に第2の幅を有する、1つ以上の中間ファセットとを含み、ファセットの各々は、幅がファセットの面内にあり、少なくとも部分的に反射する面であり、第1の対の表面に対して斜角であり、ファセットの幅の近位側にファセット開始部を有し、ファセットの幅の遠位側にファセット終了部を有し、および、ここで、幾何学的な投影は、導波路から外連結(outcoupled)された名目上の光線の方向に第1の対の表面の1つの上でなされ、名目上の光線は導波路から連結された光の中心光線であり、最後のファセットと1つ以上の中間のファセットの各々の幾何学的な投影は、1つ以上の中間のファセットと最初のファセットに隣接するそれぞれの幾何学的な投影に重複し、最後のファセットと1つ以上の中間のファセットの各々のファセット開始部の幾何学的な投影は、1つ以上の中間のファセットと最初のファセットの隣接していないファセット終了部のそれぞれの幾何学的な投影に一致し、一致は導波路の少なくとも一部に沿っている。
【0006】
任意の実施形態では、最初のファセットの第1の幅は、1つ以上の中間のファセットの第2の幅未満である。別の任意の実施形態では、多くのファセットは、導波路から外連結された名目上の光線で交差し、ファセットの数は第1の配列のすべてに対して一定である。別の任意の実施形態では、光は画像に相当し、中心光線は画像の中心からの中心光線である。別の任意の実施形態では、光は画像に相当し、中心光線は画像の中心ピクセルに相当する。別の任意の実施形態では、最後のファセットは実質的に名目上の反射率の100%である反射率を有し、名目上の反射率は導波路の特定位置で必要とされる全反射である。別の任意の実施形態では、第3の幅は第2の幅未満である。別の任意の実施形態では、第3の幅は実質的に第2の幅の半分である。別の任意の実施形態では、1つ以上の中間のファセットは以下からなる群:1;2;3;4;5;および、複数から選択される。別の任意の実施形態では、一定数のファセットは、第1の対の表面の1つによって導波路からの光連結の名目上の観察点へ向かう視線において重複する。別の任意の実施形態では、ファセットの第1の配列の複数のファセットの1つのファセットの幅は、ファセットの第1の配列の複数のファセットの隣接する1つのファセットの幅に対して単調に変わる。別の任意の実施形態では、ファセットの第1の配列の1対の隣接するファセット間の間隔は、ファセットの第1の配列の別の対の隣接するファセット間の隣接する間隔に対して単調に変わる。別の任意の実施形態では、第1の領域からの光は、光の少なくとも一部が、1つ以上の中間のファセットの1つに当たる前に、最初のファセットに当たるような状態である。別の任意の実施形態では、隣接するファセット間の間隔は、導波路へ連結する光のコヒーレンス長よりも大きい。
【0007】
任意の実施形態では、第1の幅は、第2の幅と実質的に等しく、最初のファセットは、隣接する中間のファセットの幾何学的な投影と重複していない最初のファセットの幾何学的な投影に対応する第1の部分を有する。別の任意の実施形態では、第1の部分は光に対して透過性である。別の任意の実施形態では、第1の部分は、隣接するファセットの反射率の実質的に2倍の反射率を有する。別の任意の実施形態では、ファセットはファセット全体で均一な部分反射率を有する。
【0008】
任意の実施形態では、導波路はさらに、互いに平行で、かつ第1の対の表面とは平行ではない第2の対の表面を有し、ファセットは、画像が第1の対と第2の対の表面の両方へ傾斜した連結角度で伝播の当初の方向を伴って第1の領域の導波路へ連結されるとき、画像が導波路に沿って4回の折り畳み内反射の分だけ進む、ように構成される。別の任意の実施形態では、第2の対の表面は第1の対の表面に垂直である。別の任意の実施形態では、ファセットは第2の対の表面に対して斜角である。
【0009】
任意の実施形態では、最初のファセットの第1の幅は、中間のファセットの第2の幅と実質的に等しく、最初のファセットの第1の反射率は名目上の反射率の50%よりも大きく、最初のファセットに隣接する第2のファセットは第2の反射率を有し、第2の反射率と第1の反射率は、実質的に名目上の反射率であり、第2のファセットに隣接する第3のファセットは、名目上の反射率の50%よりも大きく、第1の反射率未満である第3の反射率を有し、および、第3のファセットに隣接する第4のファセットは第4の反射率を有し、第4の反射率と第3の反射率は、実質的に名目上の反射率である。
【0010】
別の任意の実施形態では、最初のファセットの第1の幅は、中間のファセットの第2の幅と実質的に等しく、最初の奇数のファセットの配列は、最初のファセットと、最初のファセットから1つおきの任意の数のファセットを含み、最初の偶数のファセットの配列は、最初のファセットに隣接する第2のファセットと、第2のファセットから1つおきの任意の数のファセットを含み、ファセットの第1のセットは、最初の奇数のファセットの配列からの第1の奇数のファセットと、最初の奇数のファセットの配列からの対応する第1の偶数のファセットを含み、第1の奇数のファセットは、名目上の反射率の50%を超える第1の反射率を有し、第1の偶数のファセットは第2の反射率を有し、第2の反射率と第1の反射率は、実質的に名目上の反射率であり、その後のファセットの各セットは、最初の奇数と偶数のファセットのそれぞれの配列からの次の奇数と偶数のファセットを含み、その後のセットからの奇数のファセットの各々は、名目上の反射率の50%よりも大きく、前のセットからの奇数のファセットの反射率未満の奇数の反射率を有し、および、その後のセットからの偶数のファセットの各々は、対応する偶数のファセットの偶数の反射率に奇数の反射率を加えることで実質的に名目上の反射率となるように、偶数の反射率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
実施形態は、添付の図面を参照してほんの一例として本明細書に記載されている。
【0012】
【
図1】先行技術である折り畳み式の光学デバイスの側面図である。
【
図3】AとBは、入射角の2つの範囲について、選択反射面の所望の反射率と透過率の特性を例示する。
【
図4】光ガイド光学素子の典型的な構造を例示する図である。
【
図5】光ガイド光学素子の別の構造を例示する図である。
【
図6】対称構造を有する側方瞳孔拡張部の一次元の導波路の詳細な断面図を例示する図である。
【
図7】二重のLOE構造を利用して、2つの軸に沿ってビームを拡大する方法を例示する図である。
【
図8】二重のLOE構造を利用して、2つの軸に沿ってビームを拡大する別の方法を例示する図である。
【
図9】標準的な眼鏡フレームに埋め込まれたLOEの典型的な実施形態を例示する。
【
図10】Aは、画像均一性に対する変化の効果を例示する、非重複ファセットを備えた導波路の概略図である。Bは、画像均一性に対する変化の効果を例示する、重複ファセットを備えた導波路の概略図である。
【
図11】A-Cは、様々な角度の伝播構造を有する、重複ファセットの実装のための典型的な代替的構造である。
【
図12】A-Bは、2次元の光学的開口乗算器の概略的な側面と正面のそれぞれの描写である。C-Dは、AとBの光学的開口乗算器から導波路内で部分反射する内部ファセットに対して伝播する画像光線の2つの起こり得る幾何学的な配置を例示する概略図である。
【
図13】内部の部分反射ファセットが細長い平行な外面の両方のセットに対して斜めに傾いている、2D導波路の実装を例示する概略的な等角図である。
【
図14】AとBは、重複ファセットで構築された、光学的開口乗算器の概略的な側面と正面のそれぞれの描写である。
【
図15】AとBは、自由空間光学的配置で拡張を行うために、
図14のAとBの構造を変えた、光学的開口乗算器の概略的な側面と正面のそれぞれの描写である。
【
図17】Aは、二重ファセットの大まかな略図である。Bは、ファセット間隔を変動させた大まかな略図である。Cは、導波路の近位端から遠位端までファセット間隔を減少させた大まかな略図である。Dは、ファセット幅を変動させた大まかな略図である。
【
図18】対称構造に重複ファセットを適用する大まかな略図である。
【
図19A】二重の重複構造における合計の名目上の反射率のグラフである。
【
図19B】代替的なファセット反射率の変化を用いる、二重の重複構造における合計の名目上の反射率の典型的なグラフである。
【
図20】Aは、重複ファセットを備えた導波路を生成するために使用され得るプロセスを例示する図である。B-Eは連結プリズムの取り付けのための典型的な手順である。
【
図21】A-Dは、重複ファセットを備えた導波路を生成するための典型的な手順のさらなる詳細である。
【0013】
<略語と定義>
参照の便宜上、このセクションは、この文書中で使用される略語、頭文字、および短い定義の簡潔なリストを含む。このセクションは限定として考えられるべきではない。より詳細な説明は下記および適用可能な基準中で確認しうる。
1D - 一次元
2D - 二次元
CRT - 陰極線管
EMB - アイモーションボックス
FOV - 視野
HMD - ヘッドマウントディスプレイ
HUD - ヘッドアップディスプレイ
LCD - 液晶ディスプレイ
LOE - 光ガイド光学素子(light-guide optical element)
OLED - 有機発光ダイオードアレイ
SLM - 空間光変調器
TIR - 全内反射
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係るシステムの原理および操作は、図面および添付の記載を参照することでよりよく理解されうる。本発明は観察者への均一な反射を生成する光学的デバイスである。
【0015】
ファセットの重複の構成を具体的に管理することで、名目上の観察点(a nominal point of observation)へ外連結された(outcoupled)画像の不均一性を低減する。少なくとも二つの表面、すなわち、最初の、中間の、および、最後の部分反射ファセットを含む導波路は、表面の1つ上にファセットを幾何学的に投影する際に、ファセットが重複し、好ましくは隣接するファセットが重複し、隣接していないファセットの開始部および終了部は、導波路の少なくとも一部に沿って一致するように構成される。
【0016】
<基礎技術-
図1から9>
図1は、従来の先行技術の折り畳み式光学系構造を例示し、基板(2)が表示源(4)によって照射されている。表示は、コリメート光学系(6)、例えばレンズ、によってコリメートされる。表示源(4)からの光は、主光線(11)が基板平面に平行になるように、第1の反射面(8)によって基板(2)へと連結される。第2の反射面(12)は、光を基板からビューアー(14)の眼に連結させる。この構成はコンパクトであるものの、この構成には重大な欠点がある。特に、非常に限られたFOVしか達成できない。
【0017】
ここで、例示的な光ガイド光学素子(LOE)の側面図である
図2を参照されたい。上記の制限を緩和するために、本実施形態は、光ガイド光学素子(LOE)内に製造された選択反射面のアレイを利用する。第1の反射面(16)は、デバイスの背後に配置された光源(図示せず)から発するコリメートされた表示光線(ビーム)(18)によって照射される。現在の図では、簡略化のために、概して1本の光線のみが示され、これは入射光線(38)(「ビーム」または「入射光線」とも呼ばれる)である。ビーム(18A)および(18B)などの入射光の他の光線が、光が入射する瞳孔の左縁部および右縁部などの、光が入射する瞳孔の縁部を指定するために使用されてもよい。一般に、画像が光線によってここで表される場合は何であれ、ビームは画像のサンプルビームであり、典型的には、それぞれ画像の点またはピクセルに対応するわずかに異なる角度で、複数のビームによって形成されることに留意されるべきである。具体的に画像の先端と呼ばれる場合を除いて、例示されたビームは、典型的には画像の重心である。
【0018】
反射面(16)は、光源からの入射光を反射して、光が全内反射によって導波路(20)の内部に捕捉されるようにする。導波路(20)はまた、「平面基板」および「光透過基板」とも呼ばれる。導波路(20)は互いに平行な少なくとも2つの(主)表面を含み、これは、本図面では下部(主)表面(26)および上部(主)表面(26A)として示されている。
【0019】
入射光線(38)は、基板の近位端で基板に入射する(図の右側)。光は、導波路および1つ以上のファセット、通常は少なくとも複数のファセット、および典型的には数個のファセットを通り、導波路の遠位端に向かって伝播する(図の左側)。光は、伝播の最初の方向(28)と伝播の別の方向(30)との両方で導波路を通って伝播する。
【0020】
基板(20)の表面から数回反射した後、捕捉された波は、選択反射面(22)のアレイに到達し、光を基板からビューアーの目(24)へと連結する。代替的な構成においては、選択反射面(22)は、基板(20)の表面から最初に反射することなく、光線(18)が基板(20)に入射した直後に存在する。
【0021】
選択反射面(22)などの、内部の部分反射面は、本明細書の文脈においては一般に「ファセット」と呼ばれる。限界では、ファセットはまた、完全反射(100%の反射率、またはミラー、例えば、基板の遠位端における最後のファセット)、または最小限反射が可能である。拡張現実アプリケーションでは、ファセットは部分的に反射し、現実世界からの光が上部表面(26A)を介して入射し、ファセットを含む基板を横断し、下部表面(26)を介してビューアーの目(24)へと基板を出ることを可能にする。バーチャルリアリティアプリケーションでは、ファセットは100%の反射率を有する第1の内連結ミラーなどの、代替的な反射率を有してもよく、というのも、現実世界からの画像の光がこのミラーを横断する必要がないからである。内部の部分反射面(22)は、一般に、導波路(20)の伸長方向に対して斜角(すなわち、平行でも垂直でもない)で導波路(20)を少なくとも部分的に横断する。
【0022】
反射率に関する言及は、一般に、名目上の反射率に対してのものである。名目上の反射率は、基板中の特定の位置で必要とされる全反射である。例えば、ファセットの反射率が50%とされる場合、一般に、これは名目上の反射率の50%を指す。名目上の反射率が10%である場合、50%の反射率によって、結果として、ファセットの反射率が5%になる。当業者は、使用の文脈からの反射率のパーセンテージの使用について理解するであろう。部分反射は、限定されないが、光のパーセンテージの透過または偏光の使用を含む様々な技術によって実施することができる。
【0023】
図3のAおよび
図3のBは、選択反射面の所望の反射の挙動を例示する。
図3のAでは、光線(32)は、ファセット(34)から部分的に反射され、基板(20)から外連結される(38B)。
図3のBでは、光線(36)は、いかなる顕著な反射もなしに、ファセット(34)を透過する。
【0024】
図4は、光を基板へと連結し、次いでビューアーの目へと外に連結する、選択反射面のアレイの詳細な断面図である。確認できるように、光源(4)からの光線(38)は、第1の部分反射面に当たる。光線(41)の一部は元の方向に続き、基板から外連結される。
光線(42)の他の部分は、全内反射によって基板へと連結される。捕捉された光線は、点(44)で他の2つの部分反射面(22)によって基板から徐々に外連結される。第1の反射面(16)のコーティング特性は、必ずしも他の反射面(22)、(46)のコーティング特性と類似している必要はない。このコーティングは、金属性、二色性または金属性と二色性のハイブリッドのいずれかのより単純なビームスプリッタであり得る。同様に、ノンシースルーシステムの場合、最後の反射面(46)は単純なミラーであり得る。
【0025】
図5は、反射面のアレイを含む装置の詳細な断面図であり、最後の反射面(46)は全反射ミラーである。このような場合には、最後の反射面(46)の最左端部分は光学的にアクティブではありえず、周縁の光線(48)は基板から外連結され得ないことは事実である。従って、デバイスの出力開口はわずかにより小さくなるであろう。しかしながら、光効率は非常に高くなり、LOEの製造プロセスを非常に簡単にできる可能性がある。
【0026】
図2に例示される構成とは異なり、反射面(16)、(22)の方向づけに制約があることに留意することが重要である。前者の構成では、全ての光は、反射面(16)によって基板の内側に連結される。従って、反射面(16)は反射面(22)と平行である必要がない。さらに、反射面は、光が入力波の方向とは反対の方向に基板から外連結されるように方向づけされてもよい。しかしながら、
図4で例示された構成については、入力光の一部は反射面(16)によって反射されないが、入力光(38)の元の方向に続き、そして直ちに出力光(41)として基板から外連結される。したがって、同じ平面波から生じるすべての光線の出力方向が同じであることを確実にするためには、すべての反射面(22)が互いに平行であるだけでは十分ではなく、反射面(16)も同様にこれらの面に平行でなければならない。
【0027】
再び
図4を参照すると、光を基盤の外へ連結するための二つの反射面を有するシステムが記載されているが、工学システムの必要な出力開口および基盤の厚みに従って、任意の数の反射面が使用されうる。当然のことながら、外連結面が一つしか必要でない場合がある。この場合、出力開口は、実質的にシステムの入力開口のサイズの2倍になるだろう。最後の構成に必要な唯一の反射面は、単純なビームスプリッタおよびミラーである。
【0028】
図4に記載される装置のように、表示源からの光は基盤の端部で基盤へと連結されるが、しかし、対称的なシステムを有することが好ましいシステムが存在する。すなわち、入力光は、基板の中央部分で基板へと連結されるべきである。
【0029】
図6は側方の瞳孔拡張の対称構造を有する一次元の導波路の詳細な断面図を例示する図である。本図面は、対称的な光学モジュールを製作するための2つの同一の基板を組み合わせる方法を例示する。確認できるように、表示源(4)からの光の一部は、部分反射面を直接通って基板を出る。光の他の部分は、部分反射面(16R)および(16L)によって、それぞれ、基板の右側(20R)および基板の左側(20L)へと、連結される。その後、捕捉された光は、反射面(22R)および(22L)によって、徐々にそれぞれ外連結される。明らかに、出力開口は、システムの入力開口のサイズの3倍であり、
図8に記載されているものと同じ倍率である。しかしながら、そのシステムと異なり、ここのシステムは、右および左の基板の接合面(29)を中心として対称である。
【0030】
ここで、導波路の上の
図5および
図6の典型的な実装である、
図7および
図8を参照されたい。
図5および
図6の構成は入射画像を側方に拡大する。
図5の装置は、
図7の第1のLOE(20a)を実装するために使用され得、
図6の装置は
図8の第1のLOE(20a’)を実装するために使用され得、かつ、
図2の装置は第2のLOE(20b)を実装するために使用され得る。
【0031】
図7は、二重のLOE構成を利用する2つの軸に沿ってビームを拡大するための代替的な方法を例示する。入力波(90)は、第1の反射面(16)によって、
図5で例示されたものと類似の非対称の構造を有する第1のLOE(20a)へと連結され、次に、η軸に沿って伝播する。部分反射面(22a)は、第1のLOE(20a)の外へ光を連結し、次に、光は、反射面(16b)によって第2の非対称なLOE(20b)へと連結される。光はξ軸に沿って伝播し、次に、選択反射面(22b)によって外連結される。図示されているように、元のビーム(90)は、両方の軸に沿って拡大され、ここにおいて全体的な拡大は、要素(16a)および(22b)の側方の方向の寸法の間の比によって決定される。
図7で提供される構成は単に二重のLOEの仕組みの例である。複雑な光学システムを形成するために2つ以上のLOEがともに組み合わせられる他の構成も可能である。
【0032】
ここで、二重LOE構成を利用し、2つの軸に沿ってビームを拡大するための別の方法を例示する図である
図8を参照されたい。通常、光が部分反射面(16b)によって第2のLOE(20b)へと連結される領域は、外光に対して透過性であることができず、シースルー領域の一部ではない。従って、第1のLOE(20a)はそれ自体透過性である必要はない。その結果、シースルーシステムであっても、本図面に見られるように、第1のLOE(20a)が対称構造を有するように設計することが、通常、可能である。第2のLOE(20b)は、ユーザーが外部の光景を見られるようにする非対称構造を有する。この構成では、入力ビーム(90)の一部は、元の方向(92)に沿って、第2のLOE(20b)の内連結ミラー(16b)に続き、一方で、他の部分(94)は部分反射面(16a)によって第1のLOE(20a’)へと連結され、η軸に沿って伝播し、次に、選択反射面(22a)によって第2のLOE(20b)へと連結される。次に、両方の部分は反射面(16b)によって第2の非対称のLOE(20b)へ連結され、ξ軸に沿って伝播し、次に、選択反射面(22b)によって外連結される。
【0033】
図9は、標準眼鏡フレーム(107)に埋め込まれる、LOE(20a)/(20a’)および(20b)の実施形態を例示する。表示源(4)および折り畳み式光学系およびコリメート光学系(6)は、第2のLOE(20b)の縁部に位置する、LOE(20a)/(20a’)のすぐ隣にある、眼鏡フレームのアーム部分(112)の内側に組み立てられる。表示源が小型CRT、LCD、またはOLEDなどの電子素子である場合には、表示源用の駆動電子機器(114)は、アーム(112)の後部の内側に組み立てられてもよい。電源およびデータインタフェース(116)はリード線(118)、または、無線通信または光学的送信を含む他の通信装置によって、アーム(112)に接続できる。あるいは、バッテリーおよび小型データリンク電子機器を眼鏡フレームに一体化することができる。
図9に記載の実施形態は単なる例である。表示源がLOE平面に平行に取り付けられているか、またはLOEの上部に取り付けられているアセンブリを含む、他の可能なヘッドマウントディスプレイ構造が構築できる。
【0034】
この基礎技術のさらなる詳細は米国特許第7,643,214号で確認できる。
【0035】
<第1の実施形態-
図10A~
図21のD>
ここで、非重複ファセットを備える導波路の概略図であり、画像の均一性に対する変化の効果を例示する、
図10Aを参照されたい。知覚される不均一性のソースは、異なる視野における内部ファセットの重複の角度に関係する。この図面に例示される導波路(10)または(20)(
図12のAおよび
図12のB参照)の領域では、導波路は内部ファセットを含む(2つが最後のファセット(2515)および最初のファセット(2517)として示されている)。
外連結光のほとんどは、単一の内部ファセットから反射される。しかしながら、ファセットの縁部では、軸外の角度に非均一性がある。(実線の矢印でマークされる)左を指しているFOVの領域については、この角度では、最後のファセット(2515)および最初のファセット(2517)によって反射された光の間に有効な間隙が存在するため、従来の間隙領域(gap area)(2520)(一般に「アンダーラップ領域(underlapping area)」、「黒線(black line)」領域または「暗いストリップ(dark strip)」領域とも呼ばれる)は光を反射せず、その結果、暗いストリップが知覚される。一方で、(破線でマークしている)右へ外連結される光は、従来の明るい領域(2525)(一般に「部分的重複(partially overlapping)」領域、または「高強度(intense)」領域とも呼ばれる)を有し、その中では、ファセット(2515)および(2517)から反射された光の重複が存在し、その結果、導波路はほぼ2倍の光量を反射する。したがって、
図10Aにおける非均一性は、FOVと目の位置の様々な領域中の伸長開口にわたって、およそ200%から0%の中間画像強度の間で変わるだろう。
【0036】
ここで、画像均一性に対する変化の効果を例示する、重複ファセットを備える導波路の概略図である
図10Bを参照する。本図において例示されるように、ファセット間に相当な重複が導入される。この場合、隣接したファセット間の間隔は半分にされ、結果として、ほとんどの眼位でのFOVの大部分が、2つのファセットからの重ねられた反射を介して画像から照射を受ける。この典型的な場合では、単一の中間のファセット(2535)は、最後のファセット(2515)と最初のファセット(2517)との間に構成される。画像の角度端点(angular extremities)およびファセットの端点の近くで、1つのファセット(中間のファセット(2535))のみから生じる重複領域(2540)および3つの隣接したファセット(2517)、(2535)、および(2515)によって寄与される明るい領域(2545)によって例示されるように、画像の特定の領域に寄与する重複ファセットの数の変化がまだあるだろう。それ故、出力の非均一性は、中間の反射率の50%から150%の間で変化する。
【0037】
ファセット(2517)の前半部分からの光(右から伝播する光)は、低減されたエネルギー(光線/出力ビーム(2546))として外連結し、これは、この位置において、次のファセット(2535)の重複がない、つまり、観察者へと光を反射する1つのファセットのみがあるからである。同じ低減されたパワーが、ファセット(2515)(光線/出力ビーム(2547))の後半部分で生じる。これらの領域では、反射率は中間の反射率の50%になる。
【0038】
本実施形態の特徴は、ファセットの重複の構成の管理であり、具体的には、光を観察者上へと反射する定数のファセット(1つを超える)を得るために重複を最適化することである。言いかえれば、少なくとも2つのファセットが、光を観察者のFOVへと反射する。
【0039】
ここで、異なる反射(角度伝播)構成(これらの構成は
図12Cおよび
図12Dにおいても記載されている)のための重複ファセットの実装に対する典型的な代替構成である、
図11のAからCを参照されたい。本図における簡潔性に関して、入射光線(38)(また「ビーム」とも呼ばれる)である1つの光線のみが、対応する外連結光線(38B)とともに示される。簡潔性のために、交差連結は示されていない。光線(38B1)の幾つかは内部ファセット(2560)を通り抜け、幾つかの外連結光線(38B2)は直接外に連結する。
【0040】
図11のAの構成では、入射光線(38)は、内部ファセット(2560)の両側から内部ファセット(2560)と交差する。第1の交差はファセット(2562)の後方側からのものであり、この交差では、ファセットのこの後方側のコーティングは、この浅い角度のために透過性であるべきである。ビームはまた、後方側の反対である、前方側にある、別の側からファセット(2564)と交差し、この典型的なより急な角度で、ファセットのコーティングは、光の一部が導波路から出て配向されるように部分反射的であるべきである。(類似した単一のファセットが、米国特許第7,391,573 B2号に記載されている。)
【0041】
図11のBおよびCに示される構成では、内部ファセット(2560)の角度および光伝播の方向は、ビーム(入射光線(38))が常にファセットの同じ側からの内部ファセット(2560)を通過するように設定される。ファセットにおけるコーティングは、適切なビーム(38B)が反射されて出るように反射率および透過率を設定するために使用することができる。
【0042】
図11のBにおいて、ビーム(38)は、ファセットのコーティングが透過性であるように設計されている地点(2568)で示されるように、垂直に近く最初の内部ファセット(2560)と交差する。第2の交差は、光の一部が外連結される(38B)ようにコーティングが部分的な反射器であるように設計されている(垂直から遠い)地点(2570)で示されるように浅い角度にある。
【0043】
図11のCにおいて、ファセットのコーティングは、地点(2574)で示されるように垂直に近く、および地点(2576)で示されるように透過性となるように垂直から遠い角度で部分的な反射器であるように設定される。
【0044】
ここで図面を参照すると、
図12A-
図12Dは、光学的開口乗算器の一次元(1D)および二次元(2D)の導波路において重複ファセットを例示している。一般に、用語、本発明の実施形態による光学的開口乗算器は、「X軸」に対応するものとして恣意的に本明細書に例示された伸長の方向を有する第1の光導波路(10)を含む。第1の光導波路(10)は、矩形断面を形成する第1および第2の対の平行面(12a)、(12b)、(14a)、(14b)を有する。複数の内部の部分反射面(40)は、伸長の方向に(平行でも垂直でもなく)斜角で第1の光導波路(10)を少なくとも部分的に横断する。光学的開口乗算器はまた、好ましくは、スラブ型導波路を形成する第3の対の平行面(22a)、(22b)を有している、第1の光導波路(10)と光学的に連結された、第2の光導波路(20)を含み、即ち、導波路(20)の他の2つの次元は、第3の対の平行面(22a)、(22b)間の距離よりも少なくとも1桁大きい。また本明細書において、複数の部分反射面(45)は、好ましくは、第3の対の平行面に対して斜角で第2の光導波路(20)に少なくとも部分的に横断する。
【0045】
導波路間の光連結、および部分反射面(40)、(45)の配置および構成は、画像が、第1および第2の対の平行面(12a)、(12b)、(14a)、(14b)の両方に傾斜した連結角度での伝播(例えば光線(38))の最初の方向(28)で第1の光導波路(10)へと連結されるときに、第2の光導波路(20)へと連結されるように部分反射面(40)で反射された画像の強度の割合で、第1の光導波路(10)に沿って4回の折り畳みの内反射(画像(a1)、(a2)、(a3)および(a4))によって進行し、その後、ユーザーの目(47)によって見られる可視画像cとして平行面の1つから外向きに配向されるように部分反射面(45)で反射された画像の強度の割合で、第2の光導波路(20)内の2回の折り畳みの反射(画像(b1)、(b2))によって伝播するような、光連結、配置および構成である。
【0046】
ここで
図12Aおよび
図12Bをより具体的に参照すると、二次元の光学的開口乗算器の概略的な側面および正面の描写それぞれは、上記の記載の実装の第1の実例を示している。第1の導波路(10)は、2セットの平行面(この場合、第1および第2の対の平行面(12a)、(12b)、(14a)、(14b))間の反射によって二次元で注入された画像をガイドする意味で本明細書において二次元の(2D)導波路と呼ばれ、一方で、第2の導波路(20)は、1対の平行面(この場合、第3の対の平行面(22a)、(22b))間で一次元のみで注入された画像をガイドする、一次元の(1D)導波路と呼ばれている。
【0047】
図12Bに示されるように、非均一性の低下に対するさらなる改善は、重複内部ファセットによって生成される「多重経路」画像の導入から結果として生じ得る。一般に、重複ファセットの実装において類似したプロセスが存在する。(実線の矢印としてマークされ、「a」と指定された)2D導波路(10)内で伝播する光は、外連結される(「b」と指定される)が、bからの光のいくらかは、(破線の矢印としてマークされた)「b’として外連結される前に(破線の矢印としてマークされた)a’に後方に連結される(back-coupled)。この「a’」と「b’」との間の前後の連結は、平行性を維持しながら開口にわたる強度の平均化を引き起こし、それによって光の均一性をさらに改善する。この改善はまた、1D導波路(20)に関して
図12Aなどに示されるように、重複ファセットを使用して類似したプロセスで他の導波路において実施され得る。(実線の矢印としてマークされ、ビーム「b1」および「b2」として示される)1D導波路(20)内で伝播する光は、外連結される(ビーム「c」として示される)が、ビーム(c)からの光のいくらかは、(破線の矢印としてマークされた)ビーム(c3)および(c4)として外連結される前に、(破線の矢印としてマークされた)(b2’)に後方に連結される。
【0048】
光学画像生成器(図示されず)からの光線(38)は、ある角度で第1の導波路(10)に注入される。最終的に、光は、
図12Aの側面図で示されるように導波路の4つすべての外面から反射されながら導波路(10)に沿って伝播する。このプロセスにおいて、4つの共役ビームベクトル(a1)、(a2)、(a3)、および(a4)が生成され、これらは、面によって内部に反射される画像と同じ画像を表わしている。
【0049】
導波路(10)へと注入されるビーム(38)の角度は、この導波路の4つすべての外面から反射するように設定される。光線は、浅い角度(見通し角)で、第1の導波路(10)の底面(12b)、即ち、第2の導波路(20)に隣接している面から反射するべきであり、好ましくは、急角度で(10)から(20)へと伝達するべきである。この特性は、全内反射(TIR)または光学コーティングによって達成することができる。回折パターンも、回折を同じ表面上の伝達と組み合わせることによって、この光学的性質を実行することができる。第1の導波路(10)の他の3つの面(12a)、(14a)、および(14b)からの反射は、同じ方法で又は反射コーティングの使用によってもたらされ得る。
【0050】
第1の導波路(10)内のガイドされた光線の一部(例えば、ビーム(a1)およびビーム(a2))は、内部の平行な部分的反射器(ファセット)(40)によって、第2の導波路(20)の入力連結表面上へと下方に反射される。第2の導波路(20)では、これらのビームは、典型的なビーム(b1)および(b2)として定義される。このプロセスでは、重複構成は、交差連結を引き起こし、それによって、(記載されるように)画質の劣化なしで均一性が改善される。
【0051】
ビーム(b1)および(b2)は、外面によって反射され、共役になる、即ち、ビーム(b1)は、(
図12Aにおいて示されるように)ビーム(b2)となるように反射され、その逆もしかりである。第1の導波路(10)の外部の前面および背面(14a)、(14b)は、互いに、およびこの実装において第2の導波路(20)の対応する外面(22a)、(22b)と平行であるべきである。平行性からの逸脱によって、ビーム(b1)および(b2)から連結された画像は正確な共役像ではなくなり、画質が劣化する。
【0052】
第2の導波路(20)内の内部ファセット(45)は、ビーム(b2)を導波路の外側に出て観察者(47)の目へと反射する。内部ファセット(45)はまた、重なることができ、それによって、ファセット(40)に関して記載されるように画像均一性がさらに改善される。
【0053】
導波路(10)および(20)における内部ファセットによる反射プロセスは、
図12Cおよび
図12Dにおいてさらに説明される。2つの基本構成が示され、これらは光線およびファセットの相対的角度によって異なる。この概略的な例示において、ビーム(a1)、(a2)および(b1)は、同じベクトルとして示され((b1)のみが参照される)、これは、同じ幾何学的考察が、対応する導波路の側面視から観察されるように各々に適用されるからである。ビーム(a3)、(a4)および(b2)はまた、同じベクトルとして示される((b2)のみが参照される)。
【0054】
光線(b2)は、実際に、
図12Cにおいて2つのベクトルによって示されるように同じ方向で伝播する光線束である。この場合、1つのベクトルが、外面によってビーム(b1)になるように及び内部ファセット(40)(または(45))上へと反射され、ここで1つのベクトルの一部がビーム(c1)として反射される。他のビーム(b2)ベクトルは、直接ベクトルビーム(c2)としてファセットによって反射される。ベクトルビーム(c1)および(c2)は、正常画像およびゴースト像を必ずしもこの順番ではないが表わしている。この構成において、ビーム(b1)および(b2)は、同じ側からファセット(45)に当たる。
【0055】
図12Dは、本質的に同じプロセスを記載しているが、幾何学的配置は、ビーム(b1)および(b2)が、反対側からファセット(40)(または(45))に当たるような配置である。
【0056】
両方の場合において、SおよびPの偏光における画像(c1)および(c2)のための反射の規模は、これらのファセット上のコーティングによって決定される。好ましくは、1つの反射は画像であり、他の画像が望まれない「ゴースト」像に対応するため、他の反射は抑制される。どの範囲の入射ビーム角度が反射されるか及びどの範囲の入射ビーム角度が伝達されるかを調整するのに適したコーティングは、当該技術分野において公知であり、本発明と同時譲渡された、米国特許第7,391,573号および第7,457,040号において詳細に記載されていることがわかる。
【0057】
図13は、本明細書で(155)と指定される、第1の導波路(10)の部分反射面が、面(12a)および(14a)の両方に対して斜角にある、代替的な実装を例示している。(破線は、両方の外面に垂直な一平面および1つの面のみに対して傾斜した別の平面を示すことによって、ファセットの傾斜の可視化を促進するように意図されている。)
【0058】
ここで、重複ファセットで構築された、光学的開口乗算器のそれぞれ概略的な側面および正面の描写である、
図14のAおよびBを参照されたい。本図の一般的な操作は、
図12Aおよび
図12Bに関して上に記載される。ファセットの重複は、1D導波路(20)と同様に2D導波路(10)においても適用される。この例では、
図14のBにおいて、光を観察者(47)の目に伝達する前に、2D導波路(10)は、光学開口を横方向に(本図において右から左に)拡大し、1D導波路(20)は、光学開口を縦方向に(本図において上から下に)拡大する。
【0059】
図14のAにおいて、光(入射光線(38)として示される)は、2D導波路(10)へと連結される。この導波路は、重複ファセット(40)を含む。二重線として示される、ファセット(40)のアライメントを示すために、本図において破線が使用される。この実装では、最初のファセット(40a)および最後のファセット(40b)は、内部ファセット(40)の中間のファセットより小さな領域を有する。これによって、2D導波路(10)の外連結された光(「b」)を、実質的に均一にすることができ、なぜなら、外連結された光「b」は、2D導波路(10)の開始時および終了時を含む定数のファセットによって生じるからである。例えば、(導波路(10)から出力されたときに実際に重なるが、しかし明瞭さのために図においてわずかに分離されて示された)出力光線(b10)および出力光線(b20)は、2つのファセット(最初のファセット(40a)および内部ファセット(40)の隣接したファセット)によって生じた、組み合わされた出力を生成する。同様に、出力光線(b30)および(b40)は、2つのファセットからの出力を生成する。
【0060】
比較のために、最初の完全なファセット(2517)からの光出力ビーム(2546)と最後の完全なファセットからの光出力ビーム(2547)が、低減されたエネルギーとして外連結される、
図10Bを参照されたい。部分的な最初および最後のファセット(40a、40b)を使用して、部分的な最初のファセット(40a)および部分的な最後のファセット(40b)が、より短いことで、隣接したファセット(40)に重なるため、このエネルギーの低減は回避される。照射される最後のファセットが、100%の反射率(視認の増強に使用されたときの100%の名目上の反射率)を有するように設計されている場合、最後のファセットは、完全なファセット(2515)に類似して実行されることに留意されたい。
【0061】
2D導波路(10)に関して記載された重複ファセットの構成は、1D導波路(20)に類似して作用する。内部ファセット(45)は、光を観察者(47)へと反射する。1D導波路の内部ファセット(45)は、2D導波路の内部ファセット(40)に関して記載されるように重なっている。部分的な最初および最後のファセット(40a)および(40b)に類似して、最初および最後のファセット(45a)および(45b)は、2D導波路(10)に関して記載されるように照射を均一に維持するために縮小した領域を有する。
【0062】
ここで、
図14のAおよびBの基本構造が、(例えば
図5および
図6に記載されるように)自由空間の光学的配置(11)を用いて横方向の拡大を実行するために2D導波路(10)を交換して変更される、
図15のAおよびBを参照されたい。1D導波路(20)の革新的な重複構造は、縦方向の拡大を実行するためにも使用される。
【0063】
ここで、典型的なファセットの実装の略図を示す
図16Aから
図16Cを参照されたい。ファセットは、限定されないが、重複の量、導波路基板の平行面に対するファセットの角度(対の下部表面(26)および上部表面(26A)などの、主要な縁部)、および反射率を含む、様々な重複構成で配され得る。ファセットの重複は、本文書の文脈において単一の(非重複)、二重の、および三重の(重複)ファセットと呼ばれるものにおいて実施され得る。一般に、2つ以上のファセットの(「二重のファセット」で始まる定義による)重複は、「複数のファセット」または「複数の重複」と呼ばれる。本記載および限定しない例から明白となるように、部分的な重複の他に、三重を超える追加の重複も可能である。本図における明瞭さのために、入射光線(38)から外連結光線(38B)への伝播は示されていない。
【0064】
図2に関連して上に記載されるように、
図16Aは、参考のために、単一のファセットの、または重複のない従来の実装を示す。導波路(20)は、第1の2つの表面(26、26A)の間の、二重線として示される、ファセット(22)を含む。第1の領域(54)は、光(光線(38)として示される)が基板へと連結される領域である。実線の矢印は、1つのファセットのみと交差する(単一のファセット交差)外連結する光線(38B)を示す。「交差する」ファセットおよび「交差される」ファセットの数に対する言及は、外連結された光線の起源であるファセットをカウントすることを含むことに留意されたい。破線は、ファセット(22)のアライメントを示すために使用される。この単一のファセットの構成では、ファセット(22)は重ならず、具体的には隣接したファセットの開始で整列させた1つのファセットの端部で構成されている。
【0065】
アライメントに対する言及は、表面の1つの上へのファセットの幾何学的投影に関して当業者に明白であろう。例えば、典型的なファセット(F1)のファセット開始部は、点(P1)にて下部表面(26)上への幾何学的投影を持つ。典型的なファセット(F2)のファセット終了部は、点(P1)にも下部表面(26)上への幾何学的投影を持つ。典型的なファセット(F2)のファセット開始部は、点(P2)にて下部表面(26)上への幾何学的投影を持つ。典型的なファセット(F3)のファセット終了部は、点(P2)にも下部表面(26)上への幾何学的投影を持つ。
【0066】
図16Bは、二重ファセットの略図である(二重ファセットの交差、二重の重複)。これは、実験が優れた結果をもたらすことを示しつつ、(高位レベルの交差に比べて)製造の複雑さの増大を最小限にする、好ましい実装である。二重ファセットの重複の限定されない例は通常、この記載に使用される。導波路(光を伝達する基板、導波路(20))は、第1(2つ)の表面(26、26A)の間に、二重線として示される重複内部ファセット(40)を含む。実線の矢印は入射光線(38)を示す。別の実線の矢印は、2つのファセットを交差し且つその後で基板から外連結される名目上の光線を示す(光線(38B)を外連結する矢印)。この2つのファセット(ファセット(F11)とファセット(F12))の交差は、二重ファセットの交差である。同様の図におけるように、破線は、ファセット(40)のアライメントを示すために使用される。この例において、単一の最初の部分ファセット(40a)と単一の最後の部分ファセット(40b)が示されている。
【0067】
導波路は、互いに平行する少なくとも1対の表面を含む(「第1の表面」と称される、下部表面(26)と上部表面(26A))。基板幅(52)は第1の表面の間の距離である。第1の領域(54)は、光(光線(38)として示される)が基板に連結される領域である。
【0068】
導波路はファセット(56)の配列を含む。ファセット(56)の配列は、最初のファセット(40a)、最後のファセット(40b)、及び1以上の中間のファセット(40c)を含む。最初のファセット(40a)は、第1の領域(54)に近接して位置付けられ、ここで近位とはファセット(56)の配列の最も近い部分である。最初のファセットは、第1の表面(26、26a)の間の方向に第1の幅(52a)を持つ。
【0069】
最後のファセット(40b)は、第1の領域(54)のファセット(56)の配列の遠位端(55)にある。最後のファセット(40b)は、第1の表面(26、26a)の間の方向に第3の幅(52b)を持つ。
【0070】
1以上の中間のファセット(40c)は、最初のファセット(40a)と最後のファセット(40b)の間にある。中間のファセット(その各々)は、第1の表面(26、26a)の間の方向に第2の幅(52c)を持つ。明瞭さのために、1つの第2の幅(52c)だけが示される。典型的な実施において、中間のファセットの全ての幅は等しくなる。しかし、この実施は限定的なものではなく、下記のように、各ファセットの幅は互いに異なる場合もある。中間のファセットの数は、用途に依存して変動し得る。1以上の中間のファセットの典型的な数は、1、2、3、4、5、及び複数を含む。
【0071】
ファセット(56)の配列の各ファセットは典型的に、少なくとも部分敵に反射する面であり、表面(26、26a)に対して斜角であり、ファセット幅の近位側上にファセット開始部を持ち、及びファセット幅の遠位側上にファセット終了部を持つ。典型的なファセット開始部は、点(57a)として最初のファセット(40a)に対して示され;点(57m)として最初のファセット(40a)に隣接する中間のファセットに対して示され、点(57n)として次の中間のファセットに対して示され、及び点(57b)として最後のファセット(40b)に対して示される。同様に、典型的なファセット終了部は、点(58a)として最初のファセット(40a)に対して示され;点(58m)として最初のファセット(40a)に隣接する中間のファセットに対して示され、点(58n)として次の中間のファセットに対して示され、及び点(58b)として最後のファセット(40b)に対して示される。
【0072】
ここでファセットの重複のアライメントについて記載する。初めに、基板(20)から外連結される名目上の光線(38B)の方向に、表面の1つ(この場合、下部表面(26)を使用する)の上にある幾何学的投影を画定する。名目上の光線(38B)は典型的に、実質的に基板(20)から外連結されている光の中央の光線である。通常、名目上の光線(38B)は、設計者が光線フィールドにおいて最適なパフォーマンスを実行することを望む光線である。名目上の光線(38B)はまた、基板(20)上の特定位置に対する最適な光線であり得る。特定の特に好ましい実施形態において、名目上の光線は、光学素子をガイドする光の平行面に垂直となるように設計されるが、様々な設計の考慮に依存して、名目上の光線は、一次元又は二次元でそのような平行面に対する垂直に対して傾斜し得る。名目上の光線(38B)が基板(20)の平行面(例えば(26))に対し垂直でない場合、名目上の光線(38B)は表面に対してある角度にあり、名目上の光線(38B)は基板(20)から外連結されると屈折し、基板(20)とは異なる角度にあることに、注意されたい。この文書の文脈において、通常、基板(20)の内部の名目上の光線(38B)に対する言及が行われる。通常、名目上の光線は、入射画像の中心からの、又は中心付近の光線に対応する。幾つかの実施において、名目上の光線は入射画像の主光線である。典型的に、入射光(38)は画像に対応し、中央光線は、画像の中心からの中心光線である。
付加的に又は代替的に、入射光(38)は画像に対応し、中央光線は画像の中心画素に対応する。
【0073】
次に、最後のファセット(40b)及び1以上の中間のファセット(40c)の各々の幾何学的投影は、隣接する1以上の中間のファセット(40c)及び最初のファセット(40a)のそれぞれの幾何学的投影を重複させる。要するに、隣接するファセットが重複する。例えば、遠位端にある最後のファセット(40b)は隣接する左端の(図中)中間のファセットを重複し、中間のファセット(40c)の各々は隣接する中間のファセットを重複し、近位端にある右端の中間のファセットは最初のファセット(40a)を重複させる。
【0074】
加えて、最後のファセット(57b)のファセット開始部及び1以上の中間のファセット((57n)、(57m)など)の各々の幾何学的投影は、好ましくは、1以上の中間のファセット((58n)、(58m)など)及び最初のファセット(58a)の非隣接ファセット終了部のそれぞれの幾何学的投影と実質的に一致する。要するに、各ファセット開始部は、名目上の光線の外連結の方向に非隣接ファセット終了部と位置合わせする、又は好ましくはそれと近い位置にある(位置合わせされるファセット終了部がないため、最初のファセット(40a)は明らかな例外とする)。一致は基板の少なくとも一部に沿っている。
【0075】
代替的に、ファセットの重複は、表面のうち1つを介して基板から外連結している光の名目上の観察点への視線において重複するファセットの定数として記載され得る。要するに、名目上の点は、ユーザーの目(47)の典型的な位置、最もあり得るのは観察者の目の瞳の位置である。幾つかの用途において、名目上の点は観察者の眼球の中心である。内部ファセットは、観察の名目上の点への視線において重複するファセットの定数を持つことにより、観察者への均一な反射を生成するように最適化される。
【0076】
本実施形態の特徴は、ファセットの重複の構成の具体的な管理である。この場合、二重ファセットの交差のうち、最初のファセット及び中間のファセット全てのファセット終了部は、隣接する中間のファセット又は最後のファセットの中心と同じ線にある。同様に、最後のファセット及び中間のファセット全てのファセット開始部は、隣接する中間のファセット又は最後のファセットの中心と同じ線にある。この場合、以下の典型的なファセットは、以下の点で下部表面(26)上への幾何学的投影を持つ:
点(P11)におけるファセット(F11)のファセット終了部;
点(P12)におけるファセット(F11)の中間;
点(P14)におけるファセット(F11)のファセット開始部;
点(P12)におけるファセット(F12)のファセット終了部;
点(P14)におけるファセット(F12)の中間;
点(P14)におけるファセット(F13)のファセット終了部;及び
光線(38B)は点(P13)でファセット(F11)と(F12)を交差する。
【0077】
故に、中間のファセット(F11)の近位端は隣接する中間のファセット(F12)の遠位端に重複、中間のファセット(F11)のファセット開始部は非隣接の中間のファセット(F13)のファセット終了部と位置を合わせる。
【0078】
ファセットは通常、互いに平行であり、且つ一定の間隔にあり、即ち、ファセットの配列の隣接するファセットの1つの対の間の間隔は、ファセットの配列の隣接するファセットの別の対の間の間隔と同じである。例えば、ファセット(F11)とファセット(F12)の間の間隔(59a)は、ファセット(F12)とファセット(F13)の間の間隔(59b)と実質的に同じである。隣接するファセット間の間隔は典型的に、基板に連結されている光のコヒーレンス長より大きい。コヒーレンス長は、コヒーレント波(例えば電磁波)が指定されたコヒーレンス度を維持する伝播距離である。通常、コヒーレンス長は、二乗され、スペクトル幅により除算される波長である。ファセット間隔が導波路に沿って変化する場合、重複の条件が保存されなければならない。
【0079】
好ましい実施形態において、最初のファセットの第1の幅は、1以上の中間のファセットの第2の幅未満である。要するに、最初のファセットは部分ファセットである。典型的な実装において、第1の幅は第2の幅のほぼ半分である。
【0080】
別の選択肢において、第3の幅は第2の幅未満である。要するに、最後のファセットは部分ファセットであり、好ましくは中間のファセットの幅の半分である(第3の幅は第2の幅のほぼ半分である)。別の選択肢において、最後のファセットの半分には反射率があり、これは実質的に100%の名目上の反射率である。例えば、(二重の重複の場合のように)名目上の反射率が50%である場合、その後、導波路の遠位端の半分では、最後のファセットに50%の反射率がある。例えば、
図10のBにおいて、ファセット(2517)の半分に100%の名目上の反射率がある場合、その後、光線(2546)は、外連結された光の残りと同じ強度を持つことになる。同様に、ファセット(2515)の半分に100%の反射率がある場合、その後、光線(2547)はまた、外連結された光の残りと同じ強度を持つことになる。
【0081】
第1の領域から光の伝播は、1以上の中間のファセットのうち1つに遭遇する前に光の少なくとも一部が最初のファセットに遭遇するような伝播である。
【0082】
ここで
図16Cを参照すると、三重ファセットの略図がある(三重ファセットの交差、三重の重複)。他の例と同様に、導波路(導波路(20))は、第1の表面(26、26A)の間に、二重線として示される重複内部ファセット(40)を含む。実線の矢印は、3つのファセットを交差し且つその後で基板から外連結される名目上の光線を示す(光線(38B)を外連結する矢印)。同様の図におけるように、破線は、ファセット(40)の位置合わせを示すために使用される。この例において、複数(具体的に2つ)の最初の部分ファセットと複数(2つ)の最後の部分ファセットが示されている。
【0083】
通常、多くのファセットが、導波路基板から外連結される名目上の光線により交差される。二重ファセットの交差の例において、交差されるファセットの数は2である。同様に、三重ファセットの交差の例において、交差されるファセットの数は3である。通常、交差されるファセットの数は、ファセットの配列の全てに対して一定である。定数のファセットが交差される導波路の構築は、様々な構成において実施され得る。例えば、
図16Bに関して記載されるように、最初のファセット(40a)の第1の幅(52a)は、隣接する中間のファセット(中間のファセット(40c)の1つのファセット)の第2の幅(52c)のほぼ半分であり得る。別の例において、最初のファセットの1/4及び隣接するファセットの3/4が使用され得る。別の例において、
図16Cを参照すると、最初のファセット(40a)及び最初の隣接するファセット(F14)の両方が、次の隣接するファセット(F15)の幅の部分である。
【0084】
重複ファセットの実装に対して典型的な1D導波路(例えば1D導波路(20))を使用する現行の記載に基づいて、当業者は、2D導波路(例えば2D導波路(10)における)及び他の導波路の構成に対して重複ファセットを実施することが可能である。
【0085】
図14のA、
図14のB、及び
図13への参照に戻る。通常、2D導波路において、導波路は、第1の表面(26、26a、又は12b、12a)と第2の対の表面(14a、14b)を含む。第2の表面(14a、14b)は互いに平行であり、第1の表面(12b、12a)とは平行でない。第1の表面に対するファセットの幅と同様に、最初のファセットは第2の表面間の方向に第4の幅を持ち、最後のファセットは第2の表面間の方向に第6の幅を持ち、1以上の中間のファセットは第2の表面間の方向に第5の幅を持つ。2D導波路の特徴は、第1の表面と第2の表面の両方に対し傾斜した結合角度での伝播の最初の方向で、画像が第1の領域にて導波路に連結される時、画像は導波路に沿った4回の折り畳み内反射により進むように、ファセットが構成される特徴である。
【0086】
代替的な実施形態において、第2の表面は第1の表面に対し垂直である。別の代替的な実施形態において、ファセットの各々は第2の表面に対して斜角である。
【0087】
ここで
図17のA~Dを参照すると、代替的なファセットの構成の大まかな略図がある。本図において、ファセットは平行である。
【0088】
ここで
図17のAを参照すると、比較のために、
図16Bに詳述されるような、二重ファセットの大まかな略図がある。導波路がユーザーの目(47)へと画像を投影するので、異なる光線は異なる角度で伝播し、それにより、
図10のAに関して上述されたように、均一性を減らす(非均一性を導入する)重複とアンダーラップ(underlap)が生成される。
図17のA(同様に
図16B、及び
図10のB)の重複構成は、
図10のA(同様に
図16A)の非重複構成に比べてこの非均一性の効果を減らす。多くの用途に対して、この二重ファセットの構成は十分なものであり、重複は非均一性を十分に抑える。
【0089】
ここで
図17のBを参照すると、異なるファセット間隔の大まかな略図がある。
図17のAの二重ファセットの構成からの非均一性における更なる減少が
図17のBに示されており、そこでは、ファセットの配列の隣接するファセットの1つの対の間の間隔は、ファセットの配列の隣接するファセットの別の対の間の隣接する間隔とは異なっている。好ましい実施形態において、間隔の変化は、隣接するファセットの1つの対と隣接するファセットの別の対との間で単調なものである。例えば、間隔(59d)は間隔(59c)より大きく、間隔(59e)は間隔(59d)より大きい。出力光線(38B)が基板を出ると垂直方向に曲がるため(簡潔さのために描写せず)、ファセットの間隔の変化は、出力光線(38B)の屈折により減少され得ることに、注意されたい。本構成において、名目上の波の異なる角度が取り扱われ、重複は観察者(ユーザーの目(47))に対して一定である。この限定されない例において、名目上の出力光線は常に、2つのファセットを通過することになる。本図において、基板(20)の中心にある名目上の光線(38B)は、基板(20)の端部(近位及び遠位など)にある名目上の光線とは異なる角度にあることに、注意されたい。
【0090】
ここで
図17のCを参照すると、近位端から導波路の遠位端までのファセット間隔の減少の大まかな略図がある。導波路(20)は、導波路(20)の第1の部分に第1の間隔を、及び導波路(20)の第2の部分に少なくとも第2の間隔を含む。この限定されない例において、第1の部分(61a)は非重複ファセットを含む。第2の部分(61c)は二重の重複ファセットを含み、別の部分(61e)は三重の重複ファセットを含む。部分(61b)と(61d)は移行部分、又は1つの別個の重複から別の別個の重複までの移行の領域である。代替的な実施形態において、部分の重複は、導波路からの有効な出力強度を管理するように設計される、別個ではない、継続的に変化する、又は別の間隔の構成であり得る。
【0091】
導波路に沿う一定の反射強度を維持するために、すべてのファセットには、近位端から始まり、遠位端の方向で反射率を増大させる、より高い反射係数がなければならない。反射強度のこの管理は、観察者に対する出力の均一性(強度の均一性)を向上させる。現在の図において、すべてのファセットの反射率は、一定に維持することができる一方、ファセット間の間隔は、必要とされる反射率に従って変動する。その光は、近位端(現在の図の右側)から導波路へと導入され、したがって、近位端において最も高い強度を有する。近位端においては、ファセット間の間隔が最大であり、また、ファセット間の重複が最小である。光が導波路(図示されていない)に沿って伝播するにつれて、光のパワーは減少し、そして、ファセットのより高度な重複がパワーのこの減少を補う。したがって、全体的なパワーの出力は、導波路に沿って維持される。
【0092】
重複の不連続性が観察されない場合、ファセットの狭い間隔において、連続性は、重複する整数の非連続変化、または連続変化(非整数)によって、導波路に沿って維持されうる。
【0093】
ファセットの間隔と高さが導波路にわたって一定に維持される場合、最適化の手順については、ファセットの重複対アンダーラップの影響を考慮するべきである。重複ファセットは、非均一性の、より多くの出力パワーとより多くの混合をもたらす。さらに、重複は、100%から150%(または100%±20%)の強度変化をもたらす一方、アンダーラップは、50%から100%(または100%±33%)の強度変化をもたらす。重複において、相対強度の変化はより低い。したがって、1つ以上のファセットの反射率は、ファセットの配列における別の1つ以上のファセットの別の反射率から変動する。
【0094】
また、観察者の目が、強度変化に対して直線的には応答せず、むしろ対数応答を有することに留意すること。これはアンダーラップが、観察者の知覚に対してより多くの影響を及ぼすことも示唆する。上記のことから、重複を増大させるコストで、アンダーラップの減少をさらに考慮するべきである。
【0095】
ここで
図17D、すなわち変動するファセット幅の大まかな略図を参照する。
図17Aの二重のファセットの構成からの非均一性におけるさらなる減少は、現在の図において示され、ここでファセットの配列の1つのファセットの幅は、ファセットの配列の隣接した1つのファセットの幅に比例して変動する。好ましい実施形態において、幅の変化は、ファセットの全体の配列のための、1つのファセットと隣接したファセットの間で、単調である。現在の図において、ファセットの配列が近位端から遠位端に横切るにつれて、幅は導波路の下部から上部に向かって狭くなる。代替的な実施は両面から(各ファセットの上部および下部から、中心に向けて)、ファセットの幅を縮めることである。現在の例において、幅(59e)は、幅(59d)よりも大きく、幅(59f)は、幅(59e)よりも大きい。
【0096】
ファセットの間隔を変化させる
図17B、およびファセットの幅を変化させる
図17Dの両方の実施において、光線(出力光線(38B))の名目上の収束における観察者(ユーザーの目47)は、重複またはアンダーラップは見えないだろう。しかしながら、目位置におけるいかなる変化も、二重のファセットの構成によって抑制されるいくらかの重複/アンダーラップを発生させるだろう。
【0097】
ここで、
図18、すなわち
図6および
図8に関して記載されるような対称構造に対して重複ファセットを応用する大まかな略図を参照する。現在の図において、上部の側方の導波路のみが図示され、それは、
図17Bの重複構成に類似している。この対称構成において、第1の領域(
図16Bの第1の領域(54)に類似する)は、光(光線(38)として示される)が基板へと連結される領域であり、この場合には、導波路の中間にある領域である。導波路の対称な左側および右側の各々は、光が基板のそれぞれの側面(隣接する第1の領域および第2の領域と代替的に呼ばれる)へと連結される領域を有し、左側および右側のファセットは等しく、相反する傾きの側面である。この対称構造もまた、
図17Aにおけるファセットの並列構成、および
図17Dの変動する幅の構成とともに実装することができる。
【0098】
重複構成において、(最初の完全な)ファセット(2517)および(最後の完全な)ファセット(2515)が部分的に重複していない、
図10Bを再度参照する。上記されるように、明確に、ファセット(2517)の開始部分はファセット(2535)に重複せず、かつファセット(2515)の終了部分はファセット(2535)に重複しない。したがって、外連結される光((2546)および(2547))の強度は、これらの重複していない部分においてはそれほど強くはない。例えば、二重の重複構成において、第1の完全なファセットの半分は重複されず、そして、そのパワーの半分は重複されていない部分から外連結されるだろう。
【0099】
いくつかの技術が、重複されていない開始部分および終了部分において、強度がより少ないという問題を克服するために使用されうる。
【0100】
1.
図14のB、要素(40a)および(40b)、ならびに
図16Bに関して上記されるように、初めと終わりでより短いファセットを使用すること。
【0101】
2.他の(中間の)ファセットの名目上の反射率に比例して重複されていない部分の反射率を増大させる高反射コーティングを用いて、重複されていない部分をコーティングすること。
【0102】
3.下記のように、非重複部分から重複部分までのファセットの特徴的な反射率を徐々に変化させること。
【0103】
ここで、特徴的な反射率を徐々に変化させる技術は、容易さのために二重の重複構成を使用して記載されるが、この技術はより高度な重複構成に対して応用することができる。
【0104】
ここで
図19A、すなわち二重の重複構成における全ての名目上の反射率のグラフを参照する。x軸は「1」(one)と番号付けられたファセットから開始するファセットを示し、それは第1の領域54に近い第1のファセットであり、その領域では、光が導波路(基板)へと連結される。増加する番号が付けられたファセットは、導波路の遠位端(55)に向かってファセット「1」の後に続くファセットである。y軸は、名目上の反射率のパーセントとして反射率を示す。細い線の黒いボックスは各個別のファセットの反射率(名目上の反射率のパーセント)であり、太い黒線は、特徴的な反射率-外連結された光線が受ける効果的な反射率である。各ファセットは、一定の名目上の反射率、例えば、50%の名目上の必要とされた反射率を有することが示される。
【0105】
特徴的な反射率は、光線が外連結される導波路の一部に対する個別の反射率の合計である。以上のように、現在の例におけるファセット「1」からの重複されていない部分から外連結する特徴的な反射率は、
図10Bにおいて光線(2546)(または光線(2547))として示されうるように、50%(の名目上の反射率)である。ファセット「1」とファセット「2」との重複(2つの隣接したファセットの重複)から外連結する特徴的な反射率は、100%(の名目上の反射率)を達成する。従って、導波路(50%対100%)の始めの部分と次の部分との間の不連続性が存在する。
【0106】
ここで
図19B、すなわちファセット反射率の交互に起こる変化を用いる、二重の重複構成における全名目上の反射率の模範的なグラフを参照する。現在の図において、ファセット「1」(第1のファセット)は、重複がない(すなわち、およそ100%の名目上の反射率を持つ)状態に近づくように設計され、かつ、ファセット「2」(第2のファセット)は、最小の反射光を持つように設計される。したがって、組み合わされたとき、第1および第2のファセットは重複しない特徴的な反射率をほぼ有する。同様に、ファセット「3」(第3のファセット)は、ファセット「1」とほとんど同じであるが、減少される反射率を有し、ファセット「4」は、ファセット「2」とほとんど同じであるが増大される反射率を有する。現在の図において、ファセット「7」と「8」は、二重の重複構成における
図19Aにおいて記載されるような、特徴的な反射率を結果としてもたらす、50%の(名目上の)反射率を有する。点鎖線が、奇数の番号が付けられたファセットの反射率(重複していない方のコーティングパラメーターで開始する)を表す一方、破線は、偶数の番号が付けられたファセットの反射率(増大する重複特性を表す)を表す。太い黒色の線(実線)は、(二重重複および重複していない第1のファセットによって引き起こされるような)2つの隣接したファセットの反射率を合計する特徴的な反射率を表しており、
図19Aのファセット「1」の50%の特徴的な反射率と比較して、第1の半分のファセットの半分の反射率もないことを示す。
【0107】
図19Aの構成は導波路(50%対100%)の開始部分と次の部分との間の不連続性を有している一方、
図19Bの革新的な構成はこの不連続性を減少させる。残余の不連続性は収束率に依存し、例えば、収束に関して、6つのファセットの後は、不連続性がおよそ10%になるだろう。したがって、重複していない開始部分および終了部分におけるより少ない強度の問題を克服する。現在の構成は、導波路の遠位端において、反対側に繰り返すことができる。反射率の変化の傾斜(点鎖線と破線)は、ファセットの配列の、結果として生じる影響と特徴的な反射率を変化させるために変更されうる。導波路は、導波路の長さにわたり、重複される、および重複されない特徴的な反射率の様々な組み合わせを有しうる。例えば、現在の図のファセット「4」および「5」は、ファセット「7」および「8」の構成へ収束することなく、ファセットの配列の少なくとも一部にわたって繰り返される可能性がある。
【0108】
図20Aは、非制限的であるが好ましいプロセスを例示し、そのプロセスは、1D導波路(10)をまず生成するために使用されてもよい。明確さのために、図面では、内部ファセットは尺度または密度において図示されていない。
【0109】
1セットの被覆された透明平行板は、スタック(400)として共に取り付けられる。スタックは、スライス(404)を生じさせるために、対角線的に切断される(402)。もし必要であれば、カバー透明板(405)を、スライス(404)の上部のおよび/または下部(図示されない)上に取り付けることができる。その後、スライス(404)は、1Dファセットの傾斜が必要な場合、ファセットの縁に対して垂直に切断される((404)上の破線)か、または2D導波路(406)を生じさせるために2Dファセットの傾斜が必要な場合、対角線的に切断される((404)上の点鎖線)。
【0110】
図20B-
図20Eは、連結プリズムを取り付けるための典型的な手順である。スライスされた2D導波路(406)は、重複ファセット(視線当たりの反射する2つのファセット)と共に
図20Bにおいて示される。これは、ほんの非制限的な例であって、重複しないファセットもまた可能である。
【0111】
図20Bにおいて例示されるように、2D導波路(406)(明確さのために、不透明に図示された)は、例えば例示されるような点線(420A)に沿って、切断される。この切断は、いかなる配向であってもよいが、垂直の切断は、厳格な屈折率整合条件を緩和する。重複ファセットが照度の均一性を維持するために存在する場合(
図20Cにおける切断された端部を参照)には、その切断は、好ましくは、
図20Cにおいて見られるように実行される。そうでなければ、第1のファセットは重複することなく反射し、結果として弱まった照度を生じるだろう。もし必要であれば、透明な拡張部(413)を加えることができ、そしてプリズム(414)を導波路(406)に取り付けて、拡張部と連結プリズムとともに2D導波路(416)を作製する(
図20Dに示されるように)。拡張部が必要でない場合において、組み立てられた導波路(417)(
図20Dに示されるように)を作製するために、導波路(406)に直接取り付けられてもよい。導波路(406)の遠位端が残されることで、残光がそこから散乱されることもあれば、反射がそれることを最小化するために、光吸収材料(例えば黒い塗装)で随意に塗装されてもよい。
【0112】
図21のA-
図21のDは、重複ファセットを用いて導波路を作るための典型的な手順である。
図21のAにおいて、スライスされた2D導波路(406)は、例えば両側に沿って垂直に切断される、すなわち点線(420A)に沿って切断され導波路の近位端となり、点線(420B)に沿って切断され導波路の遠位端となるだろう。これによって、それぞれの近位端および遠位端に、部分的なファセット(40a)および(40b)を有する導波路(420)をもたらす。この例における
図21のBにおいて、導波路(426)および(424)はそれぞれ、導波路(420)の近位端および遠位端に対して取り付けられており、((420)、(424)および(426)の)組み合わせは、
図21のCの、組み合わされた導波路(428)の滑らかな外面を生み出すために研磨される。この組み合わされた導波路(428)において、取り付けられた導波路(426)および(424)は、導波路(406)ほど正確な屈折率を有する必要はない。
【0113】
この製造法はまた、正確な屈折率整合のための必要性を不要にするために、ファセットを重複させることなく、導波路に適用することができる。
【0114】
図21のDにおいて、随意に、組み合わされた導波路(428)の外部のファセットの平滑性および光学的性質を、屈折率整合を有する外面(427)を取り付けることにより改善して、導波路(429)をもたらすことができる。
【0115】
図21のCおよび
図21のDは別個のコンポーネントマージンを図示するが、光(入ってくる光、光線(38)など)のために、マージンは透過性であり、外面および傾斜している被覆された内部ファセットのみが光を反射することに留意すること。
【0116】
現在の方法(
図20A-
図21のD)は、2D導波路と同様に、1D導波路にも適用されうる。
【0117】
変動するファセットの間隔、幅、および反射率などの、この説明における様々な実施形態は、明確さのために個別に記載されてきた。当業者は、これらの実施形態を組み合わせることができることを理解するだろう。例えば、変動するファセットの間隔を狭くする一方、導波路の近位端から遠位端までのファセットの幅を変動させるだろう。
【0118】
上記の例、用いられる数、および典型的な計算は、この実施形態の説明を支援するためのものであることに留意すること。故意ではない誤字、数学的な誤差、および/または簡易計算の使用によって、本発明の有用性および基本的な利益は損なわれない。
【0119】
添付された請求項が多数従属することなく立案された範囲まで、本発明は、そのような複数の従属を許可しない管轄において、単に方式要件に適応させるためにしか実施されていない。請求項を複合的に従属させることにより示唆されるであろう特徴のすべての可能な組み合わせは、明瞭に想定され、そして本発明の一部であると考慮するべきであることに留意するべきである。
【0120】
上の記載は、単に例として役立つように意図され、多くの他の実施形態は、添付された請求項に規定されるような本発明の範囲内で可能であることが理解されるだろう。