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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】不正開封防止用包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20241101BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/54 301P
B65D5/54 301C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023121530
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-12-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592239866
【氏名又は名称】永和紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】穴穂 元伸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 克宏
(72)【発明者】
【氏名】松野 政行
(72)【発明者】
【氏名】福崎 利昭
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3232991(JP,U)
【文献】特開2006-312465(JP,A)
【文献】特開2002-104378(JP,A)
【文献】特開2001-199435(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217875(JP,U)
【文献】特開2005-170404(JP,A)
【文献】特開2007-238148(JP,A)
【文献】特開2006-176149(JP,A)
【文献】特開2015-229519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の開口縁から延長された蓋体と、蓋体左右の開口縁から延長された一対の折曲片とを備え、施蓋時に蓋体の先端部に屈曲形成された差込片の両側を隣接する折曲片に係止すると共に、箱体又は蓋体のいずれか一方又はその両方に開封用の除去片を設けた不正開封用防止箱であって、
一方の前記折曲片の側縁にガード片を屈曲形成して歪み防止片を構成し、
施蓋時に、他方の前記折曲片と、歪み防止片と、前記蓋体とを重ね、前記蓋体の前記差込片の裏側に、前記歪み防止片のガード片を重合し、
ガード片の両端部に切込係止部を形成すると共に、他方の前記折曲片の屈曲がわ側縁に係止凸部を形成して補助片を構成し、補助片の係止凸部に前記ガード片の片方の切込係止部を係止することを特徴とする不正開封用防止箱。
【請求項2】
前記ガード片の両端部に切込係止部を形成すると共に、前記差込片の両端部に切込係止部を形成し、前記ガード片の各切込係止部に、前記差込片の各切込係止部を係止する請求項1記載の不正開封用防止箱。
【請求項3】
前記箱体に前記開口縁に至る前記除去片を形成し、開封後の前記箱体を前記蓋体で再封するように構成した請求項1記載の不正開封用防止箱。
【請求項4】
前記蓋体に前記開口縁側に至る前記除去片を形成し、開封後の前記箱体を、前記歪み防止片で再封するように構成した請求項1記載の不正開封用防止箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙箱の流通過程で不正な開封を防止することができる不正開封防止用包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装箱として当出願人が先に提案した包装箱がある(特許文献1)。この包装箱は、封緘紙等の接着手段を用いずに不正開口を阻止し、安全に開口することができるように構成している。すなわち、箱体10側面に解除口12を開口せしめる除去片13を形成する。更に、蓋体20に形成した差込固定片22Aの両端部を内天板21の差込用切込線21A内に外し難く係合したものである。そして、開口時に除去片13を除去すると、箱体10側面に解除口12が開口し、差込固定片22Aの解除が容易になる構成である。
【0003】
また、流通過程などで不正に開封されないようにした包装箱は特許文献2にも記載されている。この包装箱は、開封した開口部を蓋体で再封できるように構成したものでもある。すなわち、蓋板30の施蓋時には、折返片34の差込孔37に前板11の差込片22を差し込んで係止すると共に、蓋板30の係止片36を差込片22の差込孔23に差し込んで係止する構成である。このとき折返片34は、蓋板31の内面と重なるように内側に折り返されている。そして、開口封した蓋板30を再び閉じる際に、この折返片34を前板11の挿入孔26に挿入して開口部を再封する構成である。
【0004】
更に、包装箱をワンタッチで開封する包装箱が特許文献3に記載されている。この包装箱は、蓋板9をロックする機構と、ロック解除後に蓋板9をワンタッチで開封する機能とを備えたものである。すなわちロック機構は、蓋板9と折曲片10との間に差込穴16を形成し、この差込穴16に、揺動片11に形成した差込片12を挿入すると共に、揺動片11の側折部15を折曲片10の貫穴17に挿通するロック機構である。更に、屈曲状態の折曲片10が反発するように構成し、蓋板9のロックを解除したときに、折曲片10の反発で蓋板9がワンタッチで跳ね上る構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6775261号公報
【文献】特許第6658440号公報
【文献】特許第4676326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の包装箱は、差込固定片22Aの両端部を差込用切込線21A内に係合し、開口時に除去片13を除去すると箱体10側面に解除口12が開口する構成によって、封緘紙等の接着手段を用いずに不正開口を阻止し安全に開口することができる。ところが、外天板22の差込固定片22Aの両端部を、外天板22に対向する内天板21の差込用切込線21A内に係合しているので、施蓋時に包装箱の開口部分が歪むと、差込固定片22Aの位置がずれて差込用切込線21Aからはずれたり、開口部に隙間が生じたりするおそれがあった。
【0007】
更に、包装箱の開口部を意図的に歪めて隙間を形成し、この隙間を利用して差込固定片22Aを外すおそれもある。このように、従来の不正開封防止包装箱では、包装箱の開口部分に生じる歪みが不正開封防止の課題になっていた。
【0008】
一方、特許文献2に記載の包装箱によると、施蓋時には、差込片22を差込孔37に差し込んで係止すると共に、係止片36を差込孔23に差し込んで係止するといった二重に係止する構成である。そのため、不正開封を防止する構造が複雑になり、施蓋時に多くの手間を要するといった課題があった。
【0009】
しかも、蓋板30を再び閉じる際に、蓋板31の内側に折り返されている返片34を開きこの折返片34を挿入孔26に挿入して開口部を再封する構成である。この結果、蓋板30を再封するための構成も別途必要になるので、包装箱全体の構成が更に複雑になっていた。
【0010】
また、特許文献3に記載の包装箱は、折曲片10の反発により蓋板9をワンタッチで開封できるとしても、蓋体の係止状態は外れやすい構造であった。すなわち、蓋板9を箱体の開口部に固定するのは、差込穴16に差込片12を差し込むと共に、差込片12の両側を屈曲した側折部15を貫穴17に係止する構成である。そのため、差込片12を引き抜き方向に何度か揺動すると、屈曲した側折部15が次第に水平になって差込穴16から差込片12が外れる虞がある。
【0011】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、不正な開封を防止する包装容器において、箱体の開口部側の変形による不正開封を防止し、簡単な手順で確実に施蓋することができる不正開封防止用包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、箱体10の開口縁11から延長された蓋体20と、蓋体20左右の開口縁11から延長された一対の折曲片とを備え、施蓋時に蓋体20の先端部に屈曲形成された差込片21の両側を隣接する折曲片に係止すると共に、箱体10又は蓋体20のいずれか一方又はその両方に開封用の除去片30を設けた不正開封用防止箱であって、
一方の前記折曲片の側縁にガード片41を屈曲形成して歪み防止片40を構成し、
施蓋時に、他方の前記折曲片50と、歪み防止片40と、前記蓋体20とを重ね、前記蓋体20の前記差込片21の裏側に、前記歪み防止片40のガード片41を重合し、ガード片41の両端部に切込係止部41Aを形成すると共に、他方の前記折曲片の屈曲がわ側縁に係止凸部51を形成して補助片50を構成し、補助片50の係止凸部51に前記ガード片41の片方の切込係止部41Aを係止する。
【0014】
の手段は、前記ガード片41の両端部に切込係止部41Aを形成すると共に、前記差込片21の両端部に切込係止部21Aを形成し、前記ガード片41の各切込係止部41Aに、前記差込片21の各切込係止部21Aを係止する。
【0015】
の手段は、前記箱体10に前記開口縁11に至る前記除去片30を形成し、開封後の前記箱体10を前記蓋体20で再封するように構成した。
【0016】
の手段は、前記蓋体20に前記開口縁11側に至る前記除去片30を形成し、開封後の前記箱体10を、前記歪み防止片40で再封するように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、歪み防止片40が箱体10開口部の歪みを防止する。また、歪み防止片40のガード片41が不正な隙間の形成も防止する。この結果、開口部の歪みや隙間を利用した不正な開封を防止することができる。しかも、施蓋時は簡単な作業で容易に施蓋することができる。
【0018】
更に、歪み防止片40のガード片41は、開封後の箱体10を再封することも可能にする。この結果、箱体10を開口した後は、蓋体20は勿論、歪み防止片40でも再封できる構成なので、仮に蓋体20が除去片30で破損していても見栄えの良い再封が可能になる。
【0019】
このように本発明によると、簡単な作業で施蓋することができ、箱体の開口部の歪みによる不正な解除を防止することができるといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明包装箱のシート体を示す展開図。
図2】本発明包装箱の開封状態を示す斜視図。
図3】本発明の補助片を閉じた状態を示す要部斜視図。
図4】本発明の補助片の係止凸部を示す要部拡大斜視図。
図5】本発明の歪み防止片を閉じた状態を示す要部斜視図。
図6】本発明のガード片の切込係止部を示す要部拡大斜視図。
図7】本発明包装箱の施蓋状態を示す要部斜視図。
図8】本発明の除去片を箱体から除去した状態を示す要部斜視図。
図9】本発明包装箱を開封した状態を示す要部斜視図。
図10】本発明包装箱を蓋体で再封した状態を示す要部斜視図。
図11】本発明の除去片の他の実施例を示す要部斜視図。
図12図11に示す包装箱の開封状態を示す要部斜視図。
図13図11に示す包装箱の再封過程を示す要部斜視図。
図14図11に示す包装箱をガード片で再封した状態を示す要部斜視図。
図15】本発明の除去片の他の実施例を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の基本構成は、箱体10、蓋体20、除去片30、歪み防止片40、補助片50を備えたものである(図1参照)。この箱体10は、シート体Pを折曲して形成され、箱体10の開口縁11に蓋体20や、歪み防止片40及び補助片50を構成する折曲片を揺動自在に設けている。
【0022】
図示例では、箱体10後部の開口縁11から延長された蓋体20と、蓋体20左右の開口縁11から延長された一対の折曲片とを備えている(図2参照)。これら折曲片の一方はガード片41を備えた歪み防止片40を構成し、他方は係止凸部51を有する補助片50を構成する。箱体10の形状は立方体を成しているが、箱体10の形状は任意に変更することができる。
【0023】
蓋体20は、先端部に差込片21が屈曲形成され、施蓋時に、この差込片21の両端を隣接する折曲片に外し難く係合する。すなわち、差込片21の両端部に切込み状の切込係止部21Aを形成し、これらの切込係止部21Aを隣接する折曲片に係合することで外し難くする構造である。
【0024】
この差込片21の両端部に形成する切込係止部21Aとは、直線状に入れた切り込みとこの切込みの端部に形成した鉤型の切込みとで形成される(図1参照)。そして、差込片21を屈曲すると、切込係止部21Aの直線部分が上下に分離して段差が生じる(図7参照)。そこで、切込係止部21Aの直線部分の間に後述する切込係止部41Aや係止凸部51を係止するものである(図2参照)。
【0025】
除去片30は、開封時に除去する部位で、箱体10又は蓋体20のいずれか一方又は両方に設けられる(図1参照)。図示の除去片30は箱体10に形成しており開口縁11側から除去するものである(図8参照)。
【0026】
また除去片30は、蓋体20に形成することも可能である(図11図15参照)。図11の除去片30は、蓋体20を横断するように除去するものである。一方、図15の除去片30は、蓋体20の先端側中央に摘み部31を有するもので、この摘み部31から左右の側縁に向けて除去するものである。このように除去片30の位置や形状は任意に変更することができるもので、箱体10と蓋体20との両方に形成してもよい(図示せず)。
【0027】
歪み防止片40は、蓋体20に隣接する一方の折曲片にガード片41を形成したものである(図1参照)。このガード片41は蓋体20の差込片21の裏側に重合する部位で、蓋体20に重ねた歪み防止片40が箱体10の開口部を強化して歪みを防止する。
【0028】
更に、ガード片41は差込片21の裏側に重なることで、差込片21自体を補強すると共に、蓋体20の差込片21側に僅かな隙間も生じないように差込片21側の構造も強化している。
【0029】
図示のガード片41は、蓋体20の差込片21と略同形状を成し、前述した差込片21の切込係止部21Aと同様に、切込み状の切込係止部41Aを両端部に形成している(図3参照)。そして施蓋時に、各切込係止部41Aに差込片21の各切込係止部21Aが重なって係止する(図7参照)。
【0030】
補助片50は蓋体20に隣接する他方の折曲片で形成され、ガード片41の片側に係止する係止凸部51を有する(図1参照)。この係止凸部51は、補助片50の屈曲部側の側縁に突設している(図3図4参照)。この係止凸部51に切込係止部41Aの片側を係止すると、ガード片41の位置が固定される(図5参照)。
【0031】
更に、固定されたガード片41の切込係止部41Aに差込片21の切込係止部21Aを重ねて係止する(図7参照)。この結果、歪み防止片40と補助片50とが連携して蓋体20の強度を高め、箱体10の開口部の歪みを防止することができる。
【0032】
本発明において箱体10を施蓋する際は、箱体10の開口部に、補助片50(図3参照)と、歪み防止片40(図5参照)と、蓋体20とを重ねて施蓋する(図7参照)。図示例では、補助片50、歪み防止片40、蓋体20、の順に重ねている。これらの施蓋手順は、まず補助片50の係止凸部51に歪み防止片40のガード片41を係止する(図6参照)。その後、ガード片41の各切込係止部41Aに、蓋体20の差込片21両端の切込係止部21Aを係止する作業となる(図7参照)。したがって、不正開封を防止する箱体であっても、施蓋時の手順は通常の箱体の手順と変わらず簡単に施蓋することができる。
【0033】
本発明では、除去片30を除去して開封した箱体10を再び閉じることができる。例えば、除去片30が箱体10に形成されている場合、蓋体20は除去片30にて破断されない(図8参照)。したがって、開いた蓋体20を使用して箱体10を再封することができる(図9図10参照)。
【0034】
一方、除去片30が蓋体20に形成されている場合(図11参照)、除去片30を除去すると蓋体20が破断される(図12参照)。この場合、開封後の箱体10を再封するには、蓋体20の代わりに歪み防止片40で再封する(図13図14参照)。このとき破損された蓋体20は、歪み防止片40の内側に重ねることで、破損した蓋体20が再封時の美観を損ねることはない(図13参照)。
【0035】
このように、開封時に蓋体20が破損しても歪み防止片40で再封することができるので、蓋体20に形成されている除去片30が他の形状でも再封することが可能である(図15参照)。
【0036】
尚、本発明の構成は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。
【符号の説明】
【0037】
P シート体
10 箱体
11 開口縁
20 蓋体
21 差込片
21A 切込係止部
30 除去片
31 摘み部
40 歪み防止片
41 ガード片
41A 切込係止部
50 補助片
51 係止凸部
【要約】
【課題】箱体の開口部側の歪みによる不正開封を防止し、簡単な手順で確実に施蓋することができる不正開封防止用包装箱を提供する。
【解決手段】箱体10の開口縁11から蓋体20を延長する。蓋体20左右の開口縁11から一対の折曲片を延長する。施蓋時に蓋体20の先端部に形成した差込片21の両側を隣接する折曲片に係止する。箱体10又は蓋体20に開封用の除去片30を設ける。箱体10の開口部の歪みを防止する補助片50を一方の折曲片に形成する。他方の折曲片にガード片41を形成した歪み防止片40を設ける。箱体10の開口部に、補助片50と、歪み防止片40と、蓋体20とを重ねて施蓋する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15