(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】販売方法、及び販売サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241101BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023185820
(22)【出願日】2023-10-30
【審査請求日】2023-10-31
【審判番号】
【審判請求日】2024-06-11
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523411754
【氏名又は名称】ATD InnoSolutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】石川 侑扶
(72)【発明者】
【氏名】神内 惇一郎
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】田中 寛人
【審判官】間野 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170570(JP,A)
【文献】特開2019-91359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルデータの販売方法であって、
サーバが、
市場において販売されているデジタルデータのカテゴリに関する情報、経済に関する情報、及び当該
市場において販売されているデジタルデータの参考
売買価格を教師データとして、前記デジタルデータの
カテゴリ価格を決定するための学習済みモデルを生成する学習ステップ、
サーバが、販売対象となるデジタルデータの売買価格の更新時に、当該販売対象となるデジタルデータのカテゴリに関する情報、及び当該更新時における経済に関する情報を前記学習済みモデルに入力し、当該学習済みモデルから出力される
カテゴリ価格
に、当該デジタルデータのデータ量価格を加えた当該デジタルデータの売買価格を取得する価格決定ステップ、
を含む、デジタルデータの販売方法。
【請求項2】
サーバが、前記デジタルデータの購入者又は提供者から、前記売買価格の妥当性を指標する情報を取得する取得ステップ、
サーバが、前記売買価格の妥当性を指標する情報を、前記学習済みモデルにフィードバックするフィードバックステップ、
を含む、請求項1に記載のデジタルデータの販売方法。
【請求項3】
前記取得ステップにおいて、前記購入者又は提供者は、ランダムに決定されることを特徴とする、請求項2に記載のデジタルデータの販売方法。
【請求項4】
前記参考
売買価格は、デジタルデータの購入者又は提供者から受信した価格に基づいて定められる、請求項3に記載のデジタルデータの販売方法。
【請求項5】
デジタルデータの販売サーバであって、
市場において販売されているデジタルデータのカテゴリに関する情報、経済に関する情報、及び当該
市場において販売されているデジタルデータの参考
売買価格を教師データとして、前記デジタルデータの
カテゴリ価格を決定するための学習済みモデルを生成する学習部と、
販売対象となるデジタルデータの売買価格の更新時に、当該
販売対象となるデジタルデータのカテゴリに関する情報、及び当該更新時における経済に関する情報を前記学習済みモデルに入力し、当該学習済みモデルから出力される
カテゴリ価格
に、当該デジタルデータのデータ量価格を加えた当該デジタルデータの売買価格を取得する価格決定部と、
を備える、デジタルデータの販売サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータを販売する販売方法、及び販売サーバに関するものである、
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサービスやソーシャルサービスの定着というネットワークサービスレベルでの進化と、スマートフォン等の普及があいまって、多様で膨大なデジタルデータがネットワーク上で生成・流通・蓄積されている。これらのデジタルデータは、革新的なサービスやビジネスモデルの創出、的確な経営判断、あるいは業務の効率化を図るために用いられ、デジタルデータの重要性は日々高まっている。
【0003】
ここで、デジタルコンテンツを販売するためのシステムが特許文献1に開示されている。特許文献1の販売システムは、デジタルコンテンツを記憶するコンテンツサーバと、当該デジタルコンテンツの価格を決定するための価格プロファイル情報を記憶する価格プロファイルデータベースと、デジタルコンテンツの購入に対して課金処理を行う課金サーバと、を備えるものである。
【0004】
上記価格プロファイル情報は、デジタルコンテンツの販売量や利益率、利益の総計、販売開始からの経過日時など販売状態を示すパラメータ(以下、「販売状態パラメータ」という。)と、当該販売状態パラメータに対応する価格情報を有している。課金サーバは、デジタルコンテンツの注文を受け付けた時点で当該デジタルコンテンツの販売状態を取得し、販売状態パラメータに基づいてデジタルコンテンツの価格を決定する。
【0005】
このような特許文献1に記載の販売システムは、ネットワークを介してデジタルコンテンツを販売する際に、事前に設定された販売状態パラメータに基づいてデジタルコンテンツの販売価格が変更され、デジタルコンテンツの注文を受付けた時点での販売価格を注文者に対して課金するので、商品の販売状態に応じて価格調整を行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献において、デジタルデータであるデジタルコンテンツの価格は、事前に設定された販売状態パラメータに基づいて変動する。しかしながら、経済活動が活発化する昨今において、時々刻々と変動するデジタルデータの価値は不測であるため、当該デジタルデータの価格を決定づける販売状態パラメータを事前に設定することは困難である。そこで、本発明は、経済状況を加味したデジタルデータの値付けをすることができるデジタルデータの販売方法、及び販売サーバを提供することを目的とする。
【0008】
また、一般的に、デジタルデータの価格はその販売者によって決定されているが、その価格の妥当性を判断することも困難である。そこで、本発明は、適切にデジタルデータの値付けを行うことができるデジタルデータの販売方法、及び販売サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、デジタルデータの販売方法であって、デジタルデータのカテゴリに関する情報、経済に関する情報、及び当該カテゴリの参考価格を教師データとして、前記デジタルデータの売買価格を決定するための学習済みモデルを生成する学習ステップ、販売対象となるデジタルデータのカテゴリに関する情報、及び経済に関する情報を前記学習済みモデルに入力し、当該学習済みモデルから出力された当該デジタルデータの売買価格を取得する価格決定ステップ、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記デジタルデータの購入者又は提供者から、前記売買価格の妥当性を指標する情報を取得する取得ステップ、前記売買価格の妥当性を指標する情報を、前記学習済みモデルにフィードバックするフィードバックステップ、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記取得ステップにおいて、前記購入者又は提供者は、ランダムに決定されることを特徴とする。
【0012】
また、前記参考価格は、デジタルデータの購入者又は提供者から受信した価格に基づいて定められることを特徴とする。
【0013】
本発明は、デジタルデータの販売サーバであって、デジタルデータのカテゴリに関する情報、経済に関する情報、及び当該カテゴリの参考価格を教師データとして、前記デジタルデータの売買価格を決定するための学習済みモデルを生成する学習部と、販売対象となるデジタルデータのカテゴリに関する情報、及び経済に関する情報を前記学習済みモデルに入力し、当該学習済みモデルから出力された当該デジタルデータの売買価格を取得する価格決定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、経済状況を加味したデジタルデータの値付けをすることができる。また、適切にデジタルデータの値付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るデータ販売システムの概要図
【
図2】上記データ販売システムのデータベースが有するテーブルを示す図
【
図3】上記データ販売システムが備える販売サーバの機能を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各図面に基づいて、本発明の実施形態に係るデータ販売システム、データ販売方法、及び販売サーバについて説明する。
【0017】
<データ販売システム100の概要>
図1に示す本実施形態に係るデータ販売システム100(以下、「本システム100」という。)は、デジタルデータを販売するシステムである。ここで、デジタルデータとは、代表的には、個人の日常活動に関するデータ(以下、「個人活動データ」という。)、団体の活動に関するデータ(以下、「団体活動データ」という。)である。
【0018】
個人活動データは、複数のカテゴリに分類されている。当該複数のカテゴリは、代表的には、ヘルスケア、食生活、スクリーンタイム、学習記録、購入履歴などである。ヘルスケアのカテゴリは日々の健康管理に関するものであり、当該カテゴリには、手首や腕、頭などに装着するウェアラブルコンピュータによって日常的に測定された歩数データ、睡眠時間データ、運動時間データ、血糖値データ、心拍数データなどが含まれる。食生活のカテゴリは、日々の食事や間食に関するものであり、当該カテゴリには食事の内容が記録された食事データ、間食の内容が記録された間食データ、外食の内容が記録された外食データなどが含まれる。スクリーンタイムのカテゴリは、スマートフォン、パソコン、テレビ、ビデオゲームに代表される画面を備える装置の使用に費やされた時間に関するものであり、スマートフォンやパソコンの使用時間や使用アプリに関するデータ、テレビの視聴番組や視聴時間に関するデータ、ビデオゲームのプレイ時間やゲームソフトに関するデータが含まれる。学習記録のカテゴリは、日々の学習に関するものであり、学習時間、学習科目、学習量に関するデータが含まれる。購入履歴のカテゴリは、日々の購入履歴(買い物履歴)に関するものであり、購入物品や金額、購入日時に関するデータである。
【0019】
団体活動データもまた複数のカテゴリに分類されている。当該複数のカテゴリは、代表的には、研究、調査、開発、アンケートなどである。研究のカテゴリは、企業や大学における研究に関するカテゴリであり、種々の研究内容に関するデータ、種々の実験結果に関するデータなどである。調査のカテゴリは、企業、大学、組織などにおいて実施された調査に関するカテゴリであり、種々の調査に関するデータである。開発のカテゴリは、大学や企業における開発やノウハウに関するものであり、種々の開発データ、ノウハウデータが含まれる。アンケートのカテゴリは、企業、大学、組織において実施されたアンケートに関するものであり、種々のアンケート結果に関するデータが含まれる。
【0020】
なお、カテゴリの分類は上記の例に限定されず、更に他のカテゴリを含んでも良いし、更にカテゴリを細分化したものであっても構わない。
【0021】
図1に示すように、本システム100は、デジタルデータの販売者が所有する販売者端末10と、デジタルデータの購入者が所有する購入者端末30と、販売サーバ50(以下、「サーバ50」という。)と、により構成されており、当該販売者端末10、購入者端末30、及びサーバ50は、インターネットを介して相互に通信可能となっている。
【0022】
<販売者端末10の構成>
販売者端末10は、スマートフォンやタブレット端末に代表されるスマートデバイスであり、タッチパネルディスプレイ、通信モジュール、CPU、及びメモリを備える。タッチパネルディスプレイは、販売者に対して情報を表示する表示部、及び販売者の入力を受け付ける入力受付部として機能するデバイスである。通信モジュールは、インターネットを介して、サーバ50に情報を送受信する通信部として機能する。メモリは、記憶部として機能するものであり、ブラウザアプリケーションが予め記憶(インストール)されている。CPUは当該ブラウザアプリケーションを実行する処理部として機能する。このような販売者端末10は、スマートデバイスに限定されない。例えば、販売者端末10は、表示部として機能するディスプレイ、入力受付部として機能するキーボード及びマウス、ブラウザアプリケーションを記憶する記憶部として機能するメモリ、及びブラウザアプリケーションを実行する処理部として機能するCPUを有するパソコンであっても構わない。
【0023】
<購入者端末30の構成>
購入者端末30は、上記販売者端末10と同様の構成を有するスマートデバイスやパソコンである。このように購入者端末30は販売者端末10と同様の構成を備えるものであるため、ここでの説明は省略する。
【0024】
<サーバ50の構成>
サーバ50は、販売者から取得したデジタルデータを購入者に対して販売する装置である。当該サーバ50は、例えば、上記販売者端末10および購入者端末30との間で通信するwebサーバと、当該webサーバとの間で通信するとともに、通信した情報やデータを処理するアクリケーションサーバと、当該アプリケーションサーバとの間で通信し、データベース51の情報を更新、検索などを行うデータベースサーバと、により構成される。これらの各サーバは、ネットワークを介して通信を行う通信部として機能する通信モジュールと、プログラムを記憶する記憶部として機能するメモリと、当該プログラムを実行する処理部として機能するCPUと、を備えている。
【0025】
<データベース51の構成>
上記のように構成されるサーバ50は、販売者および購入者(以下、「ユーザ」という。)に関する情報(以下、「ユーザ情報」という。)を記憶するユーザ情報記憶部101(
図3)、デジタルデータを記憶するデジタルデータ記憶部102(
図3)、当該デジタルデータに関する情報(以下、「データ情報」)を記憶するデータ情報記憶部103(
図3)、及び販売履歴を記憶する販売履歴記憶部104(
図3)として機能するデータベース51を備えている。具体的には、
図2に示すように、データベース51には、ユーザマスタ、デジタルデータテーブル、及び販売履歴テーブルが設けられている。
【0026】
<ユーザマスタ>
ユーザマスタは、上記ユーザ情報記憶部101として機能するテーブルである。ここで、ユーザ情報とは、代表的には、本システム100の利用権限に関する情報、ユーザの個人情報/団体情報、及び決済情報であるが、その他のユーザに関する情報を含めても構わない。
利用権限に関する情報は、ユーザID、及びパスワードである。ユーザIDは、ユーザの各々に一意的に定められた識別情報であり、代表的にはユーザが利用するメールアドレスである。当該ユーザIDは、ユーザIDフィールドに登録される。パスワードは、本システム100の利用権限を認証するための情報であり、パスワードフィールドに登録される。
また、ユーザの個人情報/団体情報は、ユーザの氏名/名称、及び住所である。ユーザの氏名/名称は氏名/名称フィールドに登録され、住所は住所フィールドに登録される。なお、ユーザの個人情報/団体情報は、氏名/名称および住所に限定されず、電話番号、年齢、性別、団体の概要情報などが含まれても構わない。
決済情報は、決済に用いられる情報であり、オンライン決済におけるユーザIDや、銀行口座に関する情報が登録される。
当該ユーザマスタは、後述のユーザ登録処理s10においてユーザから登録リクエストを受信する度にレコードが追加され、当該登録リクエストに含まれるユーザ情報が対応するフィールドに登録される。
【0027】
<デジタルデータテーブル>
デジタルデータテーブルは、上記データ情報記憶部103として機能するテーブルである。ここで、データ情報とは、代表的には、デジタルデータの管理情報、売買価格、及びデジタルデータの属性であるが、その他のデジタルデータに関する情報を含めても構わない。
デジタルデータの管理情報は、デジタルデータのデータID、登録日、販売者、及びその保存場所である。データIDは、一のデジタルデータを他のデジタルデータと識別するための情報であり、デジタルデータがアップロードされる度に、当該デジタルデータに対して一意的に付与される。当該データIDはデータIDフィールドに登録される。登録日は、デジタルデータがアップロードされた日付であり、登録日フィールドに登録される。販売者は、デジタルデータの販売者を特定するための情報であり、デジタルデータをアップロードした販売者のユーザIDが販売者フィールドに登録される。保存場所は、アップロードされたデジタルデータの保存アドレスであり、保存場所フィールドに登録される。
売買価格は、デジタルデータの売買価格であり、売買価格フィールドに登録される。本実施形態では、デジタルデータの売買価格は、デジタルデータのカテゴリごとに定められるカテゴリ価格と、デジタルデータに含まれるデータ量に応じて定められるデータ量価格と、により決定される。
デジタルデータの属性は、デジタルデータのタイトル、カテゴリ、説明、及びデータ量である。デジタルデータのタイトルは、タイトルフィールドに登録される。デジタルデータのカテゴリは、アップロードされたデジタルデータが、上記ヘルスケアデータ、食生活データ、スクリーンタイムデータ、学習記録データ、購入履歴データ、アンケートデータ、研究データ、調査データ、開発ノウハウのいずれに該当するかを示したものである。当該カテゴリはカテゴリフィールドに登録される。デジタルデータの説明は、アップロードされたデジタルデータの概要であり、説明フィールドに登録される。データ量は、アップロードされたデジタルデータに含まれるデータの量であり、データ量フィールに登録される。
当該デジタルデータテーブルは、後述のデータ登録処理s20において販売者からデジタルデータの登録リクエストを受信する度にレコードが追加され、当該登録リクエストに含まれるデータ情報が対応するフィールドに登録される。
【0028】
<取引履歴テーブル>
取引履歴テーブルは、上記販売履歴記憶部104として機能するテーブルである。ここで、取引履歴とは、代表的には、取引ID、デジタルデータのデータID、購入者、取引価格、取引日時、及びログデータであるが、その他の取引に関する情報を含めても構わない。取引IDは、一の取引を他の取引と識別するための情報であり、取引が発生する度に一意的に付与される。当該取引IDは取引IDフィールドに登録される。データIDは、取引の対象となったデジタルデータに付与されているデータIDであり、データIDフィールドに登録される。購入者は、デジタルデータの購入者を特定する情報であり、当該購入者のユーザIDが購入者フィールドに登録される。価格は、取引対象となったデジタルデータの取引時における価格であり、価格フィールドに登録される。取引日時は、取引が成立した日時であり、取引日時フィールドに登録される。ログデータは、決済先から受信した決済記録が登録される。例えばオンライン決済システムを利用した場合には、当該システムから決済手続の記録が出力される。このような決済記録は、ログデータフィールドに登録される。
当該取引履歴テーブルは、後述の取引処理s30において取引が成立した場合にレコードが追加され、当該取引の取引履歴が対応するフィールドに登録される。
【0029】
<サーバ50のメインフロー>
次に、上記サーバ50による処理を
図4乃至
図6を参照しながら説明する。
図4に示すように、サーバ50のCPUは、ユーザ登録処理s10、デジタルデータの登録処理s20(以下、「データ登録処理s20」という。)、取引処理s30、価格更新処理s40、及び補正処理s50を実行する。
【0030】
<ユーザ登録処理s10>
ユーザ登録処理s10は、本システム100を利用してデジタルデータを販売したい者やデジタルデータを購入したい者、すなわち本システム100のユーザとなりたい者(以下、「利用希望者」ともいう。)を登録する処理であって、利用希望者の端末10,30からユーザ登録リクエストを受信した場合(s1:yes)に実行される。
(1)具体的には、サーバ50は、利用希望者の端末10,30からアクセスがあった場合に、当該端末10,30に対して利用申請フォームを送信する。当該利用申請フォームには、上記販売者情報または上記購入者情報(以下、「ユーザ情報」という。)の各項目を入力する入力ボックスが設けられている。
(2)利用希望者の端末10,30は、受信した利用申請フォームをディスプレイに表示させる。入力ボックスの各々に所定の情報が入力されると、利用希望者の端末10,30は、入力されたユーザ情報を含むユーザ登録リクエストをサーバ50に送信する。
(3)サーバ50は、ユーザ登録リクエストを受信すると(s1:yes)、ユーザ登録処理s10を実行する。ユーザ登録処理s10では、サーバ50は、ユーザマスタにレコードを追加し、当該追加したレコードに対して受信したユーザ情報を登録する。
このようにサーバ50は、ユーザ情報を登録するユーザ情報登録部105(
図3)として機能する。
【0031】
<データ登録処理s20>
データ登録処理s20は、デジタルデータおよびデータ情報を登録する処理であって、販売者端末10からデジタルデータの登録リクエストを受信した場合(s2:yes)に実行される。
(1)具体的には、サーバ50は、販売者端末10からアクセスがあった場合に、当該端末に対してデジタルデータ登録フォームを送信する。当該デジタルデータ登録フォームには、上記データ情報の各項目を入力する入力ボックス、及び販売対象のデジタルデータを選択させる選択ボックスが設けられている。
(2)販売者端末10は、受信したデジタルデータ登録フォームをディスプレイに表示させる。入力ボックスの各々および選択ボックスに所定の情報が入力されると、販売者端末10は、入力されたデータ情報およびデジタルデータを含むデジタルデータ登録リクエストをサーバ50に送信する。
(3)サーバ50は、デジタルデータ登録リクエストを受信すると(s2:yes)、データ登録処理s50を実行する。データ登録処理s50では、受信したデジタルデータに対して前処理を実施する。前処理は、デジタルデータを販売に適した形式に加工する処理であって、セキュリティチェック、置換処理、データ削除処理、並び替え処理、型変換処理、匿名化処理の一部又は全部を含む。上記セキュリティチェックは、受信したデジタルデータに組み込まれたマクロにウィルスが混入しているか否かをチェックする処理であり、ウィルスが混入している場合には、その旨を提供者に通知するとともに、当該デジタルデータを提供者に返還または削除する。置換処理は、文字化けしている文字列の修正やnull値などを他の値や文字列に変換する処理である。データ削除処理は、デジタルデータ中に外れた値などが混入している場合や、公序良俗に反する情報が混入している場合に、当該値や情報を削除する処理である。匿名化処理は、個人情報を削除したり、個人を特定できない他の情報へと変換する処理である。当該前処理を経て、デジタルデータは所定の記憶領域に記憶される。
(4)次に、サーバ50は、デジタルデータテーブルにレコードを追加し、当該追加したレコードに対して受信したデータ情報を登録する。なお、受信したデジタルデータの売買価格の決定方法については後述する。
このようにサーバ50は、デジタルデータ及び当該デジタルデータのデータ情報を登録するデータ情報登録部106(
図3)として機能する。
【0032】
<取引処理s30>
取引処理s30は、デジタルデータの取引に関する処理であって、購入者端末30からのアクセスがあった場合に開始される。なお、当該取引処理s30においてサーバ50は、セッション情報としてアクセス元の購入者端末30を特定する。
(1)具体的には、サーバ50は、アクセス元の購入者端末30に対して、デジタルデータの販売ページを送信する。当該販売ページは、代表的には、デジタルデータのリスト(以下、「デジタルデータリスト」という。)を含む。当該デジタルデータリストは、デジタルデータテーブルに記憶されているデータID、売買価格、及び属性情報が抽出されて生成される。また、デジタルデータテーブルに記憶されている販売者IDに基づいて、販売者情報をユーザマスタから抽出し、当該販売者情報をデジタルデータの提供元として、上記デジタルデータリストに含めても構わない。
(2)購入者端末30は、受信したデジタルデータリストをディスプレイに表示させる。
(3)ここで、購入するデジタルデータが決定された場合には、購入者端末30は、購入者によって指定されたデジタルデータのデータIDを購入リクエストに含めてサーバ50へと送信する。
(4)サーバ50は、購入リクエストを受信すると、購入者の決済情報をユーザマスタから抽出し、決済を行う。本実施形態では、サーバ50は、外部のオンライン決済システムに対して取引情報を含む決済リクエストを送信する。当該取引情報には、商品名であるデジタルデータのタイトル、その売買価格、購入者の個人情報/団体情報、及び決済情報が含まれる。オンライン決済システムにおいて決済が完了すると、当該オンラインシステムから決済記録が送信される。
(5)サーバ50は、オンライン決済システムから決済記録を受信すると、販売履歴テーブルにレコードを追加し、当該レコードに取引情報と決済記録を登録する。
このようにサーバ50は、デジタルデータの取引を行う取引部107(
図3)、として機能する。
【0033】
<価格更新処理s40>
ここで、本システム100は、デジタルデータの売買価格が経済状況に応じて日々変動するよう構成されている。具体的には、サーバ50は、売買価格を更新する価格更新処理s40を実行する。当該価格更新処理s40は、デジタルデータの取引が開始される所定時刻に実行され、売買価格におけるカテゴリ価格を更新する処理である。
図5に示すように、価格更新処理s40は、経済指数取得処理s41、価格決定処理s42、及び価格登録処理s43がこの順に実行される。
【0034】
経済指数取得処理s41は、経済状況を指標する数値(以下、「経済指数」という。)を取得する処理である。経済指数は、物価、業種別の企業数、及び/又は業種別の倒産企業数である。当該経済指標取得処理s41は、上記経済指数を提供する提供者が公開するAPIを通じて、リクエストを送信することにより、経済指数を取得することができる。他には、サーバ50が、物価、企業数、及び/又は倒産企業数を公表しているウェブサイトを巡回することにより、これら経済指数を取得しても良いし、本システム100の運営会社によって調査された各経済指数がサーバ50に入力されることにより取得しても良い。
【0035】
価格決定処理s42は、サーバ50において管理している各デジタルデータの売買価格を決定する処理であって、カテゴリ価格決定処理、及び個別算出処理を含む。
【0036】
カテゴリ価格決定処理は、上記取得した経済指数に基づいて、売買価格に含まれるカテゴリ価格を決定する処理であって、本実施形態では機械学習を用いてカテゴリ価格を決定することとしている。具体的には、事前に機械学習により学習済みモデル109(
図3)を生成しておき、上記経済指数取得処理s41において取得した経済指数およびデジタルデータのカテゴリを当該学習済みモデル109に入力することで、学習済みモデル109から出力されたカテゴリ価格を取得する。ここで、学習済みモデル109の生成においては、事前に、経済指数取得処理s41を実行して取得した経済指数と、市場において販売されているデジタルデータ(以下、「参考デジタルデータ」という。)のカテゴリと、当該参考デジタルデータの売買価格(以下、「参考売買価格」という。)と、を教師データとする機械学習を実行して学習済みモデル109を生成する。なお、上記教師データのうち経済指数と参考デジタルデータのカテゴリが入力データとなり、参考売買価格が正解データとなる。このように、サーバ50は、機械学習を行う学習部108(
図3)として機能する。当該カテゴリ価格決定処理は、デジタルデータテーブルにおいて管理されているカテゴリの種類毎に実行される。
【0037】
個別算出処理は、サーバ50において管理されているデジタルデータの個々の売買価格を算出する処理であって、上記決定されたカテゴリ価格に対してデータ量価格を加えて、各デジタルデータの売買価格を決定する。具体的には、デジタルデータテーブルの一のレコードからデータ量を抽出し、当該データ量に対して1データあたりの料金を乗じることでデータ量価格を算出する。そして、同レコードからカテゴリを抽出し、当該カテゴリに対応するカテゴリ価格にデータ量価格を加えることで、同レコードにおいて管理されるデジタルデータの売買価格が算出される。上記の処理が、デジタルデータテーブルの各レコードについて実施されることで、デジタルデータの個々の売買価格が算出される。
【0038】
価格登録処理は、上記決定された売買価格をデジタルデータテーブルに登録する処理である。
【0039】
このように、本実施形態によれば、価格更新処理s40が毎日実行されることで、デジタルデータの売買価格を経済状況に応じて日々更新することができる。
【0040】
また、上記登録処理s20において、新規のデジタルデータを登録する際には、当日に算出されたカテゴリ価格に、当該デジタルデータのデータ量価格が加えられて、当該デジタルデータの売買価格が算出される。したがって、本実施形態によれば、経済状況を加味したデジタルデータの値付けをすることができる。
【0041】
<補正処理s50>
また、本システム100では、上記学習済みモデル109を補正することにより、売買価格の適性を向上させている。具体的には、サーバ50は補正処理s50を実行する。当該補正処理s50は、例えば、取引が終了された後に実行される処理であり、
図6に示すように評価取得処理s51、及びフィードバック処理s52がこの順に実行される。
【0042】
評価取得処理s51は、デジタルデータの売買価格に関する妥当性(評価)をデジタルデータのカテゴリごとに取得する処理であり、例えば、サーバ50は、ランダムで選択された複数のユーザ(販売者および購入者)に対して、売買価格に関するアンケートを送信する。当該アンケートは、本システム100において取り扱うデジタルデータのカテゴリ、及びそのカテゴリ価格を含むフォームである。また、当該フォームには、デジタルデータの各カテゴリ価格に対して「価格が高い」または「価格が低い」を選択させる選択ボックスと、を含む。当該アンケートがユーザの端末10、30に送信されると、ユーザは、アンケーの内容を確認し、「価格が高い」または「価格が低い」のいずれかを選択する。サーバ50は、複数のユーザからアンケートの入力結果を受信すると、カテゴリの各々について「価格が高い」の数および「価格が低い」の数を集計する。 このように、サーバ50は、デジタルデータのカテゴリについて売買価格に関する評価を取得する評価取得部110(
図3)として機能する。
【0043】
フィードバック処理s52は、上記評価取得処理s51において取得した評価を機械学習にフィードバックする処理である。具体的には、当日の経済指数、デジタルデータのカテゴリ、及び上記評価結果に基づいて算定されたカテゴリ価格を入力して機械学習を実行する。経済状況と実際のニーズが反映された適切なカテゴリ価格を出力し得る学習済みモデル109が生成される。
【0044】
上記の通り、本実施形態に係るデータ販売システム、データ販売方法、及び販売サーバによれば、経済状況を加味したデジタルデータの値付けをすることができる。また、適切にデジタルデータの値付けを行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は実施形態に限定されることなく、下記のような変形が加えられた態様であっても構わない。
【0046】
<変形例1>
上記実施形態では、デジタルデータの取引開始前に価格更新処理s40を実行し、デジタルデータの取引後に補正処理s50を実行しているが、これらの実行タイミングは特に限定されない。また、価格更新処理s40および補正処理s50を続けて同じタイミングで実行しても構わない。
【0047】
<変形例2>
経済に関する情報である上記経済指数は、株価など経済状況を指標する数値を含んでも構わない。また、経済に関する情報には、最新の経済ニュース、国際問題、及び/又は最新トレンドに関する情報が含まれても構わない。これらの情報は、例えば、自然言語処理によるAIを用いて、カテゴリごとに数値化して用いられる。
【0048】
<変形例3>
また、上記実施形態においてカテゴリ価格決定処理によって決定されたカテゴリ価格に補正を加えても構わない。当該補正は、例えば、上記変形例1に記載したように、最新の経済ニュース、国際問題、最新トレンドをカテゴリごとに数値化したものであり、当該数値をカテゴリ価格に乗じることでカテゴリ価格を補正しても構わない。
【0049】
<変形例4>
上記実施形態では、機械学習の入力データとして複数種類の経済指数を用いているが、経済指数は1種類(例えば、物価のみ)であっても構わない。
【0050】
<変形例5>
上記実施形態では、機械学習の入力データとして経済指数を用いているが、経済指数に加えて/代えて需要指数を用いても構わない。当該需要指数は、デジタルデータのニーズを指標する数値であり、例えば、デジタルデータのカテゴリ毎の売れ行きや、登録されているデジタルデータの商品数に基づいて算定される。
【0051】
<変形例6>
上記実施形態における機械学習の入力データとして、デジタルデータの説明文やデータ量を含めても構わない。
【0052】
<変形例7>
デジタルデータの売買価格は、ストップ高およびストップ安を考慮して算出されても構わない。例えば、個別算出処理において算出された売買価格に、前日比1.5倍以上の変動が生じている場合には、ストップ高と判定される。このようにストップ高と判定された場合や、ストップ安と判定された場合には、前日の販売価格に所定の変動値を加えて/減じて算出された売買価格に設定される。
【0053】
<変形例8>
上記参考売買価格は、本システム100のユーザに対するアンケートにより決定しても構わない。すなわち、サーバ50は、デジタルデータのカテゴリと、当該カテゴリにふさわしい価格を入力する入力ボックスと、を含むフォームをユーザの端末10,30に送信し、ユーザによって入力された価格を参考売買価格としてもよい。
【0054】
<変形例9>
上記販売履歴テーブルは、購入者端末30から受信した評価情報を記憶するものであってもよい。
【0055】
<変形例10>
上記データベース51は、各ユーザから取得したアンケート結果を記憶するアンケート結果記憶部として機能するアンケートテーブルを備えても構わない。
【符号の説明】
【0056】
10 販売者端末
30 購入者端末
50 サーバ
51 データベース
100 データ提供システム
【要約】
【課題】デジタルデータの販売において、経済状況を加味してデジタルデータの値付けをすること
【解決手段】デジタルデータの販売サーバであって、デジタルデータのカテゴリに関する情報、経済に関する情報、及び当該カテゴリの参考価格を教師データとして、前記デジタルデータの売買価格を決定するための学習済みモデル109を生成する学習部108と、販売対象となるデジタルデータのカテゴリに関する情報、及び経済に関する情報を前記学習済みモデル109に入力し、当該学習済みモデルから出力された当該デジタルデータの売買価格を取得する価格決定部と、
を備える。
【選択図】
図3