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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ワンピース箱用仕切り構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/49 20060101AFI20241101BHJP
   B65D 5/493 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D5/49 110
B65D5/493 110
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024043138
(22)【出願日】2024-03-19
【審査請求日】2024-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592239866
【氏名又は名称】永和紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】穴穂 元伸
(72)【発明者】
【氏名】松野 政行
(72)【発明者】
【氏名】福崎 利昭
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3048053(JP,U)
【文献】特開2015-093676(JP,A)
【文献】特開2007-182249(JP,A)
【文献】実公昭57-049702(JP,Y2)
【文献】実公昭37-022298(JP,Y1)
【文献】特開2011-098737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/49
B65D 5/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンピース箱を形成する生地と、ワンピース箱の表面に接着するくるみ紙と、ワンピース箱の身の内部に仕切体を形成する台紙とを備えるワンピース箱の仕切り構造であって、
前記生地は、ヒンジ部を間に介して前記身と蓋とを連続形成して前記ワンピース箱を構成し、
前記台紙は、前記身の底部に重合する底板と、底板のヒンジ部側から立設した仕切体と、を備え、
前記身の内部に底板を収納して前記ヒンジ部側に前記仕切体を形成し、
前記くるみ紙は、前記ワンピース箱の外側から内側の一部にまで接着するサイズとし、前記身の周囲に形成された側壁表面に接着したときに、前記ヒンジ部に隣接する側壁の各端部から前記身の内側方向に延長された仕切接着面を形成し、該仕切接着面を前記仕切体に接着して前記仕切体を固定することを特徴とするワンピース箱用仕切り構造。
【請求項2】
ワンピース箱を形成する生地と、ワンピース箱の表面に接着するくるみ紙と、ワンピース箱の身の内部に仕切体を形成する台紙とを備えるワンピース箱の仕切り構造であって、
前記生地は、ヒンジ部を間に介して前記身と蓋とを連続形成して前記ワンピース箱を構成し、
前記台紙は、前記身の底部に重合する底板と、底板のヒンジ部側から立設した仕切体と、を備え
前記生地は、前記身の周囲に形成された側壁において、前記ヒンジ部に隣接する側壁の各端部から前記身の内側方向に延長された補強片を形成し、該補強片の表面にくるみ紙の身内接着面を接着し
前記台紙の前記仕切体は、内側片と外側片とが頂部から折重なる構成とし、内側片と外側片との間に補強片を挟着して前記仕切体を固定することを特徴とするワンピース箱用仕切り構造。
【請求項3】
前記台紙は、前記外側片の下端部から前記底板の下面に差し込む差込片と、前記底板と前記内側片との境界部分に形成された切込みに差込固定する固定片と、を備えた請求項記載のワンピース箱用仕切り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンピース箱の内部に仕切りを簡単に形成することができるワンピース箱用仕切り構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワンピース箱とは身と蓋が一体に形成された箱体で、蓋を開けたときに蓋と身との一部がつながったヒンジ部がある。このヒンジ部には身と蓋を区分けする仕切りは形成されず、蓋のヒンジとして機能する。
【0003】
そのため、ヒンジ部の両サイドは開放された状態になり、この両サイドから小さな内容物がこぼれてしまうおそれがあった。
【0004】
そこで、ヒンジ部の開放部分に、折り込み構造を形成することで、小さな内容物がこぼれないようにしたワンピース箱におけるヒンジ折り込み構造が特許文献1に記載されている。
【0005】
この折り込み構造は、ヒンジ部の開放された両サイドに、新たに直角2等辺三角形状の背壁ヒンジ折り構造を設けたものである。
【0006】
一方、ワンピース箱でありながら身と蓋のそれぞれに仕切り構造を形成した組み立て式ワンピース箱が特許文献2に記載されている。
【0007】
このワンピース箱は、身の全ての周辺に側壁を設けた身箱と、蓋の全ての周辺に側壁を設けた蓋箱とを形成し、身と蓋との相対する側壁相互をヒンジ部でつないだ構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-8184号公報
【文献】特開2005-29210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のワンピース箱は、ヒンジ部の開放部分に折り込み構造を形成したことにより、小さな内容物が開放部分からこぼれないようになっている。ところが、身と蓋の間には仕切りがないので、蓋を開けたときに、身に収納した物が蓋側に移動し易いといったワンピース箱特有の不都合は解消されていない。
【0010】
また、特許文献2に記載のワンピース箱は、全ての周辺に側壁を設けた身箱と蓋箱とを形成したことにより、身と蓋との間に二重の仕切りが形成されることになった。ところが、この二重の仕切りが施蓋時の操作を難しくするという不都合が生じている。すなわち、一般のワンピース箱では、身と蓋との間に仕切りがないので、蓋を閉じる操作は極めて簡単に行える。
【0011】
ところが、身箱と蓋箱とに形成した周囲の側壁を嵌合するにはヒンジ部の位置が固定されず蓋閉めがうまくいかない場合があった。そのため、施蓋操作を容易にするために、ヒンジ部の一部ないしは全面を身の側壁外面に接着する必要がある。そうすると、身箱と蓋箱とを並べて平らに置くことができないので、蓋箱を開いた身箱は傾斜した状態にならざるを得ない。この結果、身箱に収納した収納物が内部で移動する不都合が生じる。
【0012】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、ワンピース箱の内部に仕切りを簡単に形成すると共に、施蓋操作や蓋を開ける操作も簡単に行えるワンピース箱用仕切り構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ワンピース箱Pを形成する生地100と、ワンピース箱Pの表面に接着するくるみ紙200と、ワンピース箱Pの身110の内部に仕切体312を形成する台紙300とを備えるワンピース箱Pの仕切り構造であって、
前記生地100は、ヒンジ部130を間に介して前記身110と蓋120とを連続形成して前記ワンピース箱Pを構成し、
前記台紙300は、前記身110の底部111に重合する底板311と、底板311のヒンジ部130側から立設した仕切体312と、を備え、
前記くるみ紙200は、前記ワンピース箱Pの外側から内側の一部にまで接着するサイズとし、前記身110の周囲に形成された側壁112表面に接着したときに、前記ヒンジ部130に隣接する側壁112の各端部から前記身110の内側方向に延長された仕切接着面212を形成し、該仕切接着面212を前記仕切体312に接着して前記仕切体312を固定したことにある。
【0015】
の手段は、ワンピース箱Pを形成する生地100と、ワンピース箱Pの表面に接着するくるみ紙200と、ワンピース箱Pの身110の内部に仕切体312を形成する台紙300とを備えるワンピース箱Pの仕切り構造であって、
前記生地100は、ヒンジ部130を間に介して前記身110と蓋120とを連続形成して前記ワンピース箱Pを構成し、
前記台紙300は、前記身110の底部111に重合する底板311と、底板311のヒンジ部130側から立設した仕切体312と、を備え
前記生地100は、前記身110の周囲に形成された側壁112において、前記ヒンジ部130に隣接する側壁112の各端部から前記身110の内側方向に延長された補強片113を形成し、該補強片113の表面に前記くるみ紙200の身内接着面211を接着し
前記台紙300の前記仕切体312は、内側片312Aと外側片312Bとが頂部から折重なる構成とし、内側片312Aと外側片312Bとの間に補強片113を挟着して前記仕切体312を固定する。
【0016】
の手段の前記台紙300は、前記外側片312Bの下端部から前記底板311の下面に差し込む差込片313と、前記底板311と前記内側片312Aとの境界部分に形成された切込み315に差込固定する固定片314と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のごとく、身110の内部に台紙300の底板311を収納することで、身110の内部に仕切体312を形成するので、ワンピース箱の身に仕切りを簡単に形成することができる。この結果、蓋を開けたときに、身に収納した物が蓋側に移動するなどといったワンピース箱特有の不都合は解消した。
【0018】
しかも、この仕切体312は、身110のヒンジ部130側に形成され、このヒンジ部130を介して蓋120が延長形成されているので、蓋120の開閉操作も簡単に行えるものである。
【0019】
更に、仕切体312を構成する台紙300の形状を変更することで、様々な仕切体312を形成することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の台紙、生地、くるみ紙を示す分解斜視図である。
図2】本発明の組み立て状態を示す分解斜視図である。
図3】本発明ワンピース箱にくるみ紙を接着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の仕切体の要部を示す一部拡大斜視図である。
図5】本発明の他の実施例の台紙、生地、くるみ紙を示す分解斜視図である。
図6】本発明の他の実施例の組み立て状態を示す分解斜視図である。
図7】本発明の他の実施例の仕切体を固定した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施例の仕切体の要部を示す一部拡大斜視図である。
図9】本発明の他の実施例の台紙を示し、(イ)は平面図、(ロ)は組立図、(ハ)は収納した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明仕切り構造は、ワンピース箱Pの身110に仕切体312を形成する構造であり、生地100、くるみ紙200、台紙300にて構成する(図1参照)。
【0022】
生地100は、ワンピース箱Pを形成する板紙で、ヒンジ部130を間に介して身110と蓋120とを連続形成してワンピース箱Pを構成する(図2参照)。図示例では、矩形状を成した生地100の片側に、身110を構成する底部111と側壁112とを形成し、残る片側に蓋120を構成する天板121と側壁122とを形成する(図1参照)。
【0023】
そして、底部111と天板121との間にヒンジ部130を連続形成し、このヒンジ部130を介して身110と蓋120とが一体化されたワンピース箱Pを構成するものである(図2参照)。
【0024】
くるみ紙200は、ワンピース箱Pの外側から内側の一部にまで接着する紙材である。このくるみ紙200は、身110の外側全体に接着する身外接着面210と、蓋120の外側全体に接着する蓋外接着面220と、ヒンジ部130の外側全体に接着する蓋外接着面230とを連続形成している(図1参照)。
【0025】
このくるみ紙200は、ワンピース箱Pの外側から内側の一部にまで接着するので、身外接着面210には身内接着面211が延長され、蓋外接着面220には蓋内接着面221が延長され、連結片接着面230には連結内接着面231が延長されている(図2参照)。
【0026】
台紙300は、ワンピース箱Pの身110に仕切体312を形成する板紙で、底板311と仕切体312とで構成する(図1参照)。そして、底板311を身110の底部111に重ねると、身110のヒンジ部130側に仕切体312が形成されるものである(図3参照)。
【0027】
図示の仕切体312は、内側片312Aと外側片312Bとが頂部から折重なる構成である(図2参照)。そして、身110の中に台紙300の底板311を収納すると、身110のヒンジ部130側に仕切体312が形成される(図3参照)。また、仕切体312を1枚の板紙で形成することも可能である。
【0028】
図示例では、仕切体312の外側片312Bに、くるみ紙200の仕切接着面212を接着して仕切体312を固定している(図3参照)。この仕切接着面212は、ワンピース箱Pの表面にくるみ紙200を接着したときに、身110の周囲に形成された側壁112のヒンジ部130に隣接する各端部から、身110の内側方向に延長された身内接着面211を仕切接着面212として使用するものである(図4参照)。
【0029】
また、別の実施例として生地100に補強片113を形成し、この補強片113を仕切体312の内側片312Aと外側片312Bとの間に挟着して仕切体312を固定することも可能である(図6参照)。
【0030】
この補強片113は、身110の周囲に形成された側壁112のヒンジ部130に隣接する各端部から身110の内側方向に延長された部位である(図5参照)。更に、この補強片113の表面にくるみ紙200の身内接着面211を接着することで、補強片113の強度を高めることもできる(図6参照)。
【0031】
そして、仕切体312の内側片312Aと外側片312Bとの間に補強片113を挟着すると、補強片113は仕切体312の内部に隠れた状態になる(図7図8参照)。
【0032】
このとき、仕切体312の強度を高めるために、仕切体312に差込片313や固定片314を形成することも可能である(図5参照)。
【0033】
差込片313は、外側片312Bの下端部両側に形成した部位で、立設した差込片313から底板311の下面に差し込む部位である(図6参照)。固定片314は、差込片313の間に形成された舌片状の部位で(図5参照)、底板311と内側片312Aとの境界部分に形成された切込み315に差込固定する。
【0034】
また、この台紙300に、仕切体312とは別の補助仕切部316を形成することも可能である(図9(イ)参照)。この補助仕切部316は、底板311に複数形成するもので、台紙300の底板311を折り曲げて立設する(同図(ロ)参照)。
【0035】
図示例では、仕切体312の長手側面に対して補助仕切部316が直交する向きで形成している。この台紙300を身110内に収納するとワンピース箱Pの身110の内部を仕切る複数の補助仕切部316が形成されるものである(同図(ハ)参照)。
【0036】
尚、本発明の構成は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。
【符号の説明】
【0037】
P ワンピース箱
100 生地
110 身
111 底部
112 側壁
113 補強片
120 蓋
121 天板
122 側壁
130 ヒンジ部
200 くるみ紙
210 身外接着面
211 身内接着面
212 仕切接着面
220 蓋外接着面
221 蓋内接着面
230 連結片接着面
231 連結内接着面
300 台紙
311 底板
312 仕切体
312A 内側片
312B 外側片
313 差込片
314 固定片
315 切込み
316 補助仕切部
【要約】
【課題】ワンピース箱の内部に仕切りを簡単に形成すると共に、施蓋操作も簡単なワンピース箱用仕切り構造を提供する。
【解決手段】生地100と、くるみ紙200と、台紙300を備えるワンピース箱Pを構成する。生地100のヒンジ部130を介して身110と蓋120とを連続形成する。くるみ紙200はワンピース箱Pの外側から内側の一部まで接着するサイズとする。台紙300に身110の底部内側に重合する底板311を形成する。底板311のヒンジ部130側から仕切体312を立設する。身110の内部に台紙300を収納して仕切体312を形成する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9