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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】受発注システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241101BHJP
【FI】
G06Q30/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024068714
(22)【出願日】2024-04-19
【審査請求日】2024-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522040115
【氏名又は名称】株式会社HANABENI
(74)【代理人】
【識別番号】100147393
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 一基
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼良 治喜
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057127(JP,A)
【文献】国際公開第2021/229829(WO,A1)
【文献】特開2001-351039(JP,A)
【文献】特開2003-108632(JP,A)
【文献】特開2002-056271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の商品の情報と、表示時より所定期間以上未来の引渡日または発送日の候補日とを、前記引渡日または前記発送日を前記候補日から利用者が選択可能な状態で利用者端末に表示し、前記商品の販売の申出を行う第1の商品表示処理部と、
前記第1の商品表示処理部により利用者端末に表示され、前記候補日から選択された前記引渡日または発送日が指定された前記商品の購入の意思決定に関する情報を、利用者端末から受け付ける第1の受注処理部と、
前記第1の受注処理部によって受け付けられた前記商品の購入について、前記商品の購入をキャンセルする意思表示に関する情報を、前記商品の購入に係る利用者の利用者端末から受け付けるキャンセル受付処理部と、
前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して、前記商品を提供する提供者に対する未来の商品購入時に対価として利用できるポイントまたは割引クーポンを付与するキャンセル時還元処理部と、
前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について、前記第1の受注処理部が受け付ける際に指定された前記引渡日または発送日を含むキャンセル商品情報を、前記引渡日または前記発送日が指定されており利用者が自由に選択できないが前記引渡日または前記発送日を利用者が認識できる状態で利用者端末に表示し、前記引渡日または発送日が引き継がれた前記商品の販売の申出を行う第2の商品表示処理部と、
前記第2の商品表示処理部により表示された前記商品の購入の意思決定に関する情報を、利用者端末から受け付ける第2の受注処理部と、を有する受発注システム。
【請求項2】
前記第1の商品表示処理部は、前記商品の販売の申出を行う際において、前記商品を第1の価格として表示し、
前記第2の商品表示処理部は、前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品についての販売の申出を行う際において、前記商品の価格を前記第1の価格より安い第2の価格として表示する、請求項1に記載の受発注システム。
【請求項3】
前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、前記第2の価格以下である請求項2に記載の受発注システム。
【請求項4】
前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、キャンセル時における前記第1の受注処理部により受け付けられた前記商品の前記引渡日または発送日までの期間の長さに応じて異なる請求項1に記載の受発注システム。
【請求項5】
前記第2の商品表示処理部が前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について販売の申出を行う際における前記商品の価格は、前記第1の受注処理部により受け付けられた前記引渡日または発送日までの期間の長さに応じて変動する請求項1に記載の受発注システム。
【請求項6】
前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について、前記第2の受注処理部が購入を受け付けた際における前記商品の価格に対応する請求項1に記載の受発注システム。
【請求項7】
前記キャンセル時還元処理部が付与した前記ポイントまたは割引クーポンについて、他の利用者に譲渡したい旨の意思表示を、前記ポイントまたは割引クーポンを付与された利用者から受け付けるポイント譲渡受付部と、
前記ポイント譲渡受付部で受け付けた前記ポイントまたは割引クーポンについて、前記ポイントまたは割引クーポンの利用条件を表示して、譲渡の申出が行われている旨を表示するポイント譲渡表示部と、を有する請求項1に記載の受発注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して提供者の商品を利用者が発注する受発注システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境意識の高まりを受けて、社会における様々なロス、たとえば食品のロスや衣類ロスのような様々ロスを低減するための取り組みがなされている。特に、大量一括生産方式を用いてコストダウンを図り、市場競争力を得ようとする経済活動を見直すべきであるとの機運が高まっている。
【0003】
一方、社会におけるロスの低減を目指す場合においては、サービスや商品の提供者や製造者が考え方や在り方を変える必要があるのに加えて、サービスや商品の利用者および消費者も、考え方や行動様式を変える必要がある。たとえば、サービスや商品の利用者および消費者が、価格だけでなく、環境対策などを意識した購買行動を行うようになれば、社会におけるロスの低減に向けて大きな追い風となる。
【0004】
例えば、消費者の購買行動の偏りが大きく劣化の激しい食品などの分野では、購入者が引渡時より所定期間前に予約購入し、提供者側が受注してから生産するいわゆる受注生産方式の割合を高めることで、ロスの低減を大きく図ることができる。また、スマートフォンなどを利用して、簡単に料理を事前予約購入可能なシステムも提案されている(特許文献1等参照)。
【0005】
このように、購入者が引渡時よりかなり前に商品を予約購入することは、ロスの低減につながり社会的メリットが大きいと考えられる。しかしながら、現状においては、購入時点から引渡および提供時までの期間の長い商品は不人気の傾向にあり、このような状況を打開する対策が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-248706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、引渡日または発送日より所定期間以上前に商品の受発注が行われることを促進しロスの低減を図る受発注システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る受発注システムは、
所定の商品の情報と、表示時より所定期間以上未来の引渡日または発送日の候補日とを利用者端末に表示し、前記商品の販売の申出を行う第1の商品表示処理部と、
前記第1の商品表示処理部により利用者端末に表示され、前記候補日から選択された前記引渡日または発送日が指定された前記商品の購入の意思決定に関する情報を、利用者端末から受け付ける第1の受注処理部と、
前記第1の受注処理部によって受け付けられた前記商品の購入について、前記商品の購入をキャンセルする意思表示に関する情報を、前記商品の購入に係る利用者の利用者端末から受け付けるキャンセル受付処理部と、
前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して、前記商品を提供する提供者に対する未来の商品購入時に対価として利用できるポイントまたは割引クーポンを付与するキャンセル時還元処理部と、
前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について、前記第1の受注処理部が受け付ける際に指定された前記引渡日または発送日を含むキャンセル商品情報を利用者端末に表示し、前記引渡日または発送日が特定された前記商品の販売の申出を行う第2の商品表示処理部と、
前記第2の商品表示処理部により表示された前記商品の購入の意思決定に関する情報を、利用者端末から受け付ける第2の受注処理部と、を有する。
【0009】
本発明に係る受発注システムは、キャンセル受付処理部がキャンセルを受け付け、キャンセル時還元処理部がキャンセルした利用者にポイントや割引クーポンを提供することで、商品を引渡日や発送日より所定期間以上前に予約購入する際における利用者の心理的障壁を下げることができる。また、第2の商品表示処理部により、キャンセルされた商品は、引渡日または発送日が固定された状態で再販売されるため、キャンセル発生時における売れ残りによるロスを抑制するとともに、キャンセル発生時においても提供者の売上増加を図ることができる。このようなシステムは、商品の提供者と商品を購入する利用者との双方にメリットを与えることができるので、効果的に商品の事前受発注を促進し、ロスを低減することができる。
【0010】
また、たとえば、前記第1の商品表示処理部は、前記商品の販売の申出を行う際において、前記商品を第1の価格として表示し、
前記第2の商品表示処理部は、前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品についての販売の申出を行う際において、前記商品の価格を前記第1の価格より安い第2の価格として表示してもよい。
【0011】
このような受発注システムは、キャンセルされた商品の価格を安くすることにより、キャンセル発生時における売れ残りによるロスをより効果的に抑制する。また、キャンセル商品を売れやすくすることで、キャンセルした利用者にポイントや割引クーポンを配布したことによる将来的な売り上げ低下をカバーすることができる。さらに、キャンセル商品を売れやすくすることで、キャンセルされずに販売された場合を上回る利益を、キャンセル発生時に提供者が得られるように設定することも可能である。
【0012】
また、たとえば、前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、前記第2の価格以下であってもよい。
【0013】
キャンセル時に付与するポイントまたは割引クーポンの価値を、再販売の第2の価格以下とすることにより、商品の提供者は、キャンセルした利用者にポイントや割引クーポンを配布したことによる将来的な売り上げ低下を、キャンセル商品の再販売により完全に補てんできる。また、キャンセルした利用者自身が再販売された商品を再購入した場合に、キャンセルせずに購入した場合に比べて得られる価値が大きくならないようにすることで、キャンセルで利益を得る行為を防止できる。
【0014】
また、たとえば、前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、キャンセル時における前記第1の受注処理部により受け付けられた前記商品の前記引渡日または発送日までの期間の長さに応じて異なっていてもよい。
【0015】
このような受発注システムは、たとえば引渡日または発送日直前のキャンセルに対して付与するポイントまたは割引クーポンの価値を小さくして、そのようなキャンセルの発生を抑制することができる。
【0016】
また、たとえば、前記第2の商品表示処理部が前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について販売の申出を行う際における前記商品の価格は、前記第1の受注処理部により受け付けられた前記引渡日または発送日までの期間の長さに応じて変動してもよい。
【0017】
このような受発注システムは、たとえば引渡日または発送日直前のキャンセル商品の再販売価格を安くすることにより、商品の売れ残りによるロスの発生を効果的に防止できる。
【0018】
また、たとえば、前記キャンセル時還元処理部が前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して付与する前記ポイントまたは割引クーポンの価値は、前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について、前記第2の受注処理部が購入を受け付けた際における前記商品の価格に対応してもよい。
【0019】
このような受発注システムは、キャンセル時のポイント付与による将来的な売り上げ減少を、より効果的に防止することができる。
【0020】
また、たとえば、前記キャンセル時還元処理部が付与した前記ポイントまたは割引クーポンについて、他の利用者に譲渡したい旨の意思表示を、前記ポイントまたは割引クーポンを付与された利用者から受け付けるポイント譲渡受付部と、
前記ポイント譲渡受付部で受け付けた前記ポイントまたは割引クーポンについて、前記ポイントまたは割引クーポンの利用条件を表示して、譲渡の申出が行われている旨を表示するポイント譲渡表示部と、を有してもよい。
【0021】
このような受発注システムによれば、キャンセル時に付与されるポイントまたは割引クーポンについて譲渡可能であるため、キャンセルにより利用者が受ける損失を低減し、商品を引渡日や発送日より所定期間以上前に予約購入する際における利用者の心理的障壁を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る受発注システムを構成するサーバ装置およびその周辺装置を表す概念図である。
図2図2は、図1に示すサーバ装置の機能を示す概念図である。
図3図3は、図2に示すサーバ装置における商品情報記憶部の詳細を示す概念図である。
図4図4は、図1に示すサーバ装置における一連の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図4に示す処理においてサーバ装置と利用者端末との間でやりとりされる情報等を示す概念図である。
図6図6は、キャンセルバック率とキャンセル品割引率の時間変化の一例を示す概念図である。
図7図7は、第1の商品表示処理と第2の商品表示処理で表示される表示画面の一例を示す概念図である。
図8図8は、提供者による商品登録画面の一例を示す概念図である。
図9図9は、利用者端末に表示される決済画面の一例を示す概念図である。
図10図10は、利用者端末に表示される商品表示画面の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る受発注システム10を構成するサーバ装置12およびその周辺装置を表す概念図である。サーバ装置12は、複数の利用者端末91、92、93に対して、インターネットなどのネットワーク通信網11を介して、通信可能に接続する。利用者端末91、92、93は、受発注システム10により商品を購入等する利用者が用いる通信端末である。
【0024】
また、サーバ装置12は、受発注システム10の利用者を含む顧客に商品を提供する提供者が管理する提供者端末81、82、83や、利用者の提供者に対する料金の支払いを仲介する電子決済サービス等を行う決済機関98に対しても、インターネットなどのネットワーク通信網11を介して、通信可能に接続する。
【0025】
後述するように、図1に示す受発注システム10は、商品の提供者が提供者端末81、82、83を介してサーバ装備12に登録した所定の商品について、利用者端末91、92、93を用いる利用者が、登録された所定の商品の情報を、ネットワーク通信網11を介して閲覧可能とする。さらに、受発注システム10は、利用者が利用者端末91、92、93を用いて所定の商品を購入することを可能とし、また、利用者が購入した商品について、その購入のキャンセルを可能とする。
【0026】
なお、本発明に係る受発注システム10において取り扱う「商品」には、店頭で引渡したり、提供者から発送したりする有体物だけでなく、レストランでの飲食物の提供やホテルでの宿泊施設の提供などのいわゆるサービスを含むものとする。
【0027】
図1に示すサーバ装置12は、図2を用いて後述するように、第1の商品表示処理部15、第2の商品表示処理部35およびキャンセル時還元処理部などとして機能する演算部、記憶部および通信部などを有しており、これらを有する一般的なコンピュータとしての機能を有する。サーバ装置12の説明では、一般的なコンピュータとの共通点については、説明を省略する。図1に示すサーバ装置12はクラウド型であるが、サーバ装置12としてはこれのみには限定されず、サーバ装置12は、オンプレミス型であってもよい。
【0028】
図1に示す利用者端末91、92、93は、受発注システム10から商品の情報を受け取ったり、商品の購入手続を行ったりすることができる利用者の情報端末である。利用者端末91、92、93としては、たとえば携帯電話、スマートフォン、タブレット、カーナビゲーションなどの携帯型(移動式)の情報端末などが挙げられるが、利用者端末91、92、93としてはこれらのみには限定されず、パソコンなどの他の通信可能が情報端末であってもよい。
【0029】
なお、受発注システム10の説明では、主として利用者端末91、92による商品購入時の処理を例に挙げて説明を行うが、利用者端末93を含む他の利用者端末についても、利用者端末91、92と同様の通信等を行うことができる。また、受発注システム10においてサーバ装置12にアクセスする利用者端末91、92、93の数は、特に限定されない。
【0030】
図1に示す提供者端末81、82、83は、受発注システム10により利用者端末91、92、93に表示されたり、受発注システム10を介して利用者端末91、92、93から購入したりする商品を提供する提供者の情報端末である。提供者端末81、82、83としては、たとえばパソコン、タブレット、スマートフォンなどが挙げられるが、提供者端末81、82、83としてはこれらのみには限定されない。ここで、提供者としては、たとえば、店内で顧客に料理を提供するレストラン、カフェや、テイクアウトや配達の形式で顧客に料理を提供する弁当屋、宅配料理店および菓子店や、宿泊施設を提供するホテルなどが挙げられる。
【0031】
なお、提供者端末81、82、83の説明では、主として提供者端末81を例に挙げて説明を行うが、提供者端末82、83を含むその他の提供者端末についても、提供者端末81と同様の通信等を行うことができる。また、受発注システム10においてサーバ装置12にアクセスする提供者端末81、82、83の数は、特に限定されない。
【0032】
図1に示す決済機関98は、利用者が受発注システム10において商品を購入する際において、利用者と提供者との間の決済を仲介する電子決済サービス等を行う機関の通信端末である。電子決済サービスとしては、クレジットカード、デビットカード、電子マネー等が挙げられるが、特に限定されない。また、受発注システム10において、利用者の提供者に対する料金の支払いを仲介する決済機関98は、一機関のみには限定されず、複数の決済機関の中からユーザーが選択することにより、支払いを行うことができてもよい。
【0033】
図2は、図1に示すサーバ装置12の機能ブロック図である。図2に示すように、サーバ装置12は、提供者情報管理部70、利用者情報管理部75、表示更新処理部13等を有する。また、サーバ装置12は、第1の商品表示処理部15、第1の受注処理部20、第1の決済処理部51を有する。また、サーバ装置12は、第2の商品表示処理部35、第2の受注処理部40、第2の決済処理部52を有する。また、サーバ装置12は、キャンセル受付処理部25、キャンセル時還元処理部30を有する。また、サーバ装置12は、ポイント譲渡受付部60、ポイント譲渡表示部65、第3の受注・決済処理部53を有する。
【0034】
図2に示す提供者情報管理部70は、受発注システム10で取引される商品や、その商品を提供する提供者の情報を記憶したり、必要に応じて商品や提供者の情報を更新したりする。提供者情報管理部70は、商品情報記憶部71、提供者固有情報記憶部72、商品受注情報記憶部73等を有する。
【0035】
図2に示す商品情報記憶部71は、受発注システム10で取引される提供者の商品に関する情報を記憶する。図3は、提供者情報管理部70における商品情報記憶部71で記憶される情報を示す概念図である。図3に示すように、商品情報記憶部71が記憶する商品内容情報71aは、所定の商品に関する商品名や商品の内容、商品の写真などに関する情報である。商品情報記憶部71が記憶する通常受注価格情報71bは、所定の商品について、受発注システム10における第1の商品表示処理部15および第1の受注処理部20(図2参照)が販売の申出と受注を行う際の価格(第1の価格)に関する情報である。
【0036】
図3に示す商品情報記憶部71が記憶する通常受注期間情報71cは、所定の商品について、受発注システム10における第1の商品表示処理部15および第1の受注処理部20(図2参照)が販売の申出と受注を行う際の受注期間に関する情報である。商品情報記憶部71が記憶する受注限度情報71dは、所定の商品について、受発注システム10における第1の商品表示処理部15および第1の受注処理部20(図2参照)が販売の申出と受注を行う際の所定期間(たとえば1営業日)あたりの受注上限数に関する情報である。なお、受注上限数の単位は、商品の個数、予約人数、客室数など、所定の商品に応じて様々なものを採用できる。
【0037】
商品情報記憶部71が記憶するキャンセル時付与情報71eは、受発注システム10におけるキャンセル時還元処理部30が、キャンセルした利用者に対して付与するポイント又は割引クーポンに関する情報である。商品情報記憶部71が記憶するキャンセル品再販価格情報71fは、第2の商品表示処理部35および第2の受注処理部40(図2参照)が、キャンセル後の所定の商品について販売の申出と受注を行う際の価格に関する情報である。商品情報記憶部71が記憶するキャンセル品受注期間情報71gは、受発注システム10における第2の商品表示処理部35および第2の受注処理部40(図2参照)が販売の申出と受注を行う際の受注期間に関する情報である。
【0038】
商品情報記憶部71が記憶する商品内容情報71a、通常受注価格情報71b、通常受注期間情報71c、受注限度情報71d、キャンセル時付与情報71e、キャンセル品再販価格情報71f、キャンセル品受注期間情報71gなどの各種情報は、図2に示すサーバ装置12を構成する各部の処理で使用される。各情報を用いた具体的な処理については、後ほど図1図4図5図7図9図10等を用いて説明する。また、各情報の登録・更新については、後ほど図8等を用いて説明する。
【0039】
図2に示す提供者情報管理部70における提供者固有情報記憶部72は、所定の商品を提供する提供者の店舗住所、営業時間、休業日、連絡先など、提供者の情報を記憶する。また、提供者情報管理部70における商品受注情報記憶部73は、提供者が受発注システム10で販売する所定の商品に関する受発注の情報(たとえば引渡日・発送日毎の商品の受注数・キャンセル数・キャンセル品再販数など)を記憶する。
【0040】
図2に示す利用者情報管理部75は、受発注システム10で取引される商品を購入する利用者や、利用者による商品の受発注履歴や、キャンセル時において利用者に付与されるポイント又はクーポン等に関する情報を記憶および更新する。利用者情報管理部75の利用者固有情報記憶部76は、利用者の住所および氏名や、利用者が受発注システム10で商品を購入する際に使用する決済手段に関する情報などを記憶する。
【0041】
利用者情報管理部75の商品発注情報管理部77は、利用者が受発注システム10において購入した商品や、キャンセルした商品に関する情報(購入日、引渡日または発送日、キャンセル日等を含む)を記憶する。利用者情報管理部75のポイント管理部78は、過去のキャンセル時において利用者に付与されたポイント又はクーポンのうち、未来における受発注システム10の利用において使用可能なポイント又はクーポンに関する情報を記憶および更新する。
【0042】
サーバ装置12における表示更新処理部13は、利用者端末91、92、93に表示する情報を、商品の取引状況の変化や時間の経過に応じて更新する。たとえば、表示更新処理部13は、サーバ装置12における第1の受注処理部20が所定の商品を受注して受注上限数に達した場合は、第1の商品表示処理部15が表示する当該商品に関する情報を更新し、所定の商品が受注上限数に達していることを利用者が認識できるようにする。
【0043】
図2に示す第1の商品表示処理部15は、所定の商品の情報と、表示時より所定期間以上未来の引渡日または発送日の候補日とを第1商品情報16(図1参照)として利用者端末91、92、93に表示し、所定の商品の販売の申出を行う。この際、表示時から引渡日または発送日の候補日までの最短期間は、商品情報記憶部71が記憶する通常受注期間情報71cに基づき表示される。たとえば、表示時が所定の月の3日で、表示時から引渡日または発送日の候補日までの最短期間を7日間と設定していると、所定の月の10日以降の候補日を利用者が選択可能となる(図7参照)。
【0044】
ここで、所定期間である表示時から引渡日または発送日の候補日までの最短期間は、提供者が任意に設定できる。ただし、第1の商品表示処理部15が第1商品情報16の一部として表示する所定期間は、提供者が所定の商品について、受注後に原材料等を調達しても、引渡日または発送日に無理なく商品を準備できる期間とすることが好ましい。たとえば対象の商品が食べ物(料理の提供または食品)である場合、所定期間(最短期間)は好ましくは1日~2か月、さらに好ましくは1週間~3週間程度とすることができる。これにより、提供者は余分な原材料等を準備する必要がなくなり、食品等のロスを減少させることができる。
【0045】
図2に示す第1の受注処理部20は、第1の商品表示処理部15により利用者端末91、92、93に表示され、候補日から選択された引渡日または発送日が指定された所定の商品の購入の意思決定に関する情報(図1の第1購入情報21)を、利用者端末91、92、93から受け付ける。
【0046】
たとえば、図1に示すように、利用者端末91を操作する利用者は、第1の商品表示処理部15によって表示される第1商品情報16から、所定の商品の値段や購入可能な候補日などを確認する。さらに、利用者端末91を操作する利用者は、図8(a)に示すように発注数と引渡日時とを決定して、これらの情報を含む第1購入情報21をサーバ装置12に送る。第1の受注処理部20は、利用者端末91からサーバ装置12に送られた第1購入情報21を受け付け、利用者による商品の購入を受注する。
【0047】
図2に示す第1の決済処理部51は、図1に示す決済機関98と通信することにより、第1の商品表示処理部15および第1の受注処理部20により販売の申出および受注が行われた商品の購入における決済処理(お金の移動)を行う。図9に示すように、第1の決済処理部51は、たとえば、利用者端末91に決済方法やクレジットカード番号などの所定の情報を表示し、セキュリティコードやパスワード等の情報を受け取り、さらに決済機関98と通信することで、第1の受注処理部20の受注処理に伴う決済処理を行う。
【0048】
図2におけるキャンセル受付処理部25は、第1の受注処理部20によって受け付けられた所定の商品の購入について、その所定の商品の購入をキャンセルする意思表示に関する情報(図1に示すキャンセル情報26)を、商品の購入に係る利用者の利用者端末91から受け付ける。すなわち、第1の受注処理部20に第1購入情報21を送った利用者端末91の利用者は、商品の購入後において、その商品の購入(その商品の受け取り)をキャンセルすることができる。
【0049】
たとえば、利用者は、受発注システム10を利用するために利用者端末91に実装されるアプリケーションに準備されたユーザーインターフェース等を操作することにより、利用者端末91からサーバ装置12にキャンセル情報26(図1参照)を送ることができる。キャンセル受付処理部25が受け付けたキャンセル情報26は、図2に示すサーバ装置12におけるキャンセル時還元処理部30と、第2の商品表示処理部35に伝えられる。
【0050】
なお、キャンセル受付処理部25におけるキャンセルは、購入した商品を受け取る権利を利用者側が放棄し、提供者側の商品の引渡義務か消滅することを意味するが、提供者側に商品対価の返金義務は発生せず、キャンセルした利用者はお金での返金は受けられない。
【0051】
図2におけるキャンセル時還元処理部30は、キャンセル受付処理部25で受け付けられた所定の商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して、その商品を提供する提供者に対する未来の商品購入時に対価として使用できるポイントまたは割引クーポンを付与する。たとえば、キャンセル時還元処理部30は、キャンセルされた商品に関するキャンセル時付与情報71eを読み出し、キャンセルした利用者に関するポイント管理部78に、ポイントまたは割引クーポンが与えられたことを記録する。
【0052】
また、キャンセルした利用者は、未来において、同じ提供者から商品を購入する際の決済処理において、ポイントや割引クーポンを使用する旨をアプリケーションに準備されたユーザーインターフェース等で指定することにより、購入代金の減額を受けることができる。ここで、キャンセル時還元処理部30によってキャンセルした利用者に与えられるポイントまたは割引クーポンは、キャンセルした商品と同じ提供者から商品を提供する場合にのみ使用可能である。ポイントや割引クーポンを使用できる対象が、同一の提供者の商品に限定されていることにより、ポイント等の付与とその利用が同一の提供者内で完結する。そのため、キャンセル時における還元率であるポイントや割引クーポンの価値を、商品の性質等を考慮して、各提供者が自由に設定することが可能となる。
【0053】
図2における第2の商品表示処理部35は、キャンセル受付処理部25で受け付けられた所定の商品について、第1の受注処理部20が受け付ける際に指定された引渡日または発送日を含むキャンセル商品情報36(図1参照)を利用者端末91、92、93に表示し、引渡日または発送日が特定された商品(キャンセル商品)の販売の申出(キャンセル商品の再販)を行う。
【0054】
第2の商品表示処理部35による販売の申出は、第1の商品表示処理部15による販売の申出と商品は共通する。しかし、第2の商品表示処理部35による販売の申出では、キャンセルされた商品の購入を第1の受注処理部20が受け付けた際に指定された引渡日または発送日が引き継がれるため、引渡日または発送日を利用者が自由に選択することができない。たとえば、キャンセル受付処理部25が購入商品のキャンセルを受け付けた際、提供者がその商品についての原材料を準備していたり、その商品を既に完成させていたりしたような場合は、キャンセル商品が予定通り引渡されなくなったことによるロスが生じる可能性がある。しかしながら、受発注システム10では、引渡日または発送日が引き継がれる形でキャンセル商品が自動的に再販されることにより、キャンセル発生によるロスを回避する可能性を高めることができる。
【0055】
ここで、第1の商品表示処理部15が所定の商品の販売の申出を行う際において利用者端末91~93に表示する第1の価格(図3の通常受注価格情報71b)は、第2の商品表示処理部35がキャンセル受付処理部25で受け付けられた同一商品についての販売の申出を行う際において利用者端末91~93に表示する第2の価格(図3のキャンセル品再販価格情報71f)とは、同じでもよいが、異なっていてもよい。たとえば、第2の商品表示処理部35がキャンセル商品について販売の申出をする際の第2の価格は、第1の商品表示処理部15が同一商品の販売の申出をする際の第1の価格より安くすることができる。このようにすることで、キャンセルが生じた場合であってもキャンセル商品を迅速に再販し、キャンセル発生によるロスを効果的に回避できる。
【0056】
図2に示す第2の受注処理部40は、第2の商品表示処理部35により表示された商品の購入の意思決定に関する情報(図1の第2購入情報41)を、利用者端末92から受け付ける。たとえば、図1に示すように、利用者端末92を操作する利用者は、第2の商品表示処理部35によって表示されるキャンセル商品情報36から、所定の商品の値段や引渡日などを確認する。さらに、利用者端末92を操作する利用者は、図8(b)に示すように発注数等を決定して、これらの情報を含む第2購入情報41をサーバ装置12に送る。第2の受注処理部40は、利用者端末92からサーバ装置12に送られた第2購入情報41を受け付け、利用者によるキャンセル商品の購入を受注する。
【0057】
図2に示す第2の決済処理部52は、第1の決済処理部51と同様に、第2の商品表示処理部35および第2の受注処理部40により販売の申出および受注が行われた商品の購入における決済処理(お金の移動)を行う。
【0058】
図2に示すポイント譲渡受付部60、ポイント譲渡表示部65および第3の受注・決済処理部53は、キャンセル時還元処理部30が利用者端末91の利用者に付与したポイントまたは割引クーポンについて、これを受け取った利用者が他の利用者に譲渡することを可能とする。これらの詳細については、後で述べる。
【0059】
図4は、図1に示す受発注システム10で行われる所定の商品の販売・キャンセス・再販に関する一連の処理に関する具体例を示すフローチャートである。また、図5は、図4に示す一連の処理において、サーバ装置12、利用者A(利用者端末91を使用する利用者)および利用者B(利用者端末92を使用する利用者)の間でやり取りされる情報の流れを説明した概念図である。以下、図1図2図4図5等を用いて、受発注システム10で行われる処理を時系列に沿って説明する。
【0060】
図4のステップS001では、サーバ装置12の第1の商品表示処理部15が、利用者端末91、92、93に第1商品情報16を表示して販売の申出を行う第1の商品表示処理を行う。図7(a)は、第1の商品表示処理(ステップS001)において利用者端末91の表示部に表示される画面表示の一例を示すものである。利用者端末91を用いる利用者は、たとえば、購入を希望する所定の商品(図10に示す例では「苺のロールケーキ」)を取り扱う提供者(「〇〇洋菓子店」)のメインページ66に表示されるリンク67から、図7(a)に示す第1商品情報16を表示させることができる。
【0061】
図7(a)に示すように、ステップS001の第1の商品表示処理では、商品名16a、価格16b、購入可能数16c、引渡日の候補日16dなどが、利用者端末91に表示される。利用者端末91を使用する利用者は、第1の商品表示処理(ステップS001)による表示内容を確認して、所定の商品を購入するかどうかや、所定の商品の購入数や、所定の商品の引渡時などを検討することができる。
【0062】
さらに、利用者端末91を使用する利用者は、第1の商品表示処理(ステップS001)により表示された所定の商品を購入する場合、図7(a)に示すように、所定の商品の購入数や引渡日を指定して商品の購入を行う。たとえば、図7(a)に示す第1の商品表示処理(ステップS001)では、購入可能数16cや引渡日の候補日16dを表示するとともに、利用者が表示画面のアイコンを選択して、商品の購入数や引渡日を指定することが可能になっている。
【0063】
図1に示すように、利用者端末91の利用者は、図7(a)に示すように引渡日が指定された所定の商品の購入の意思決定に関する情報である第1購入情報21をサーバ装置12に送信し、第1商品情報16として表示された商品の購入を行う。図5に示すように、第1の商品表示処理(ステップS001)により表示された所定の商品の購入では、引渡日が選択可能であるという特徴を有する。利用者端末91から第1購入情報21が伝えられると、サーバ装置12は、図4のステップS002の処理を開始する。
【0064】
図4のステップS002では、図1および図5に示すように、サーバ装置12の第1の受注処理部20が、所定の商品の購入の意思決定に関する情報である第1購入情報21を、利用者端末91から受け付けて、利用者による商品の購入を受注する。第1の受注処理部20は、提供者情報管理部70における商品受注情報記憶部73の内容を更新し、受注した商品の引渡日における引渡義務が発生したことを記録する。また、第1の受注処理(ステップS002)と併せて、または、第1の受注処理(ステップS002)の後に、サーバ装置12の第1の決済処理部51が、商品の購入における決済処理を行う(ステップS003)。
【0065】
図9は、第1の決済処理(ステップS003)を行う際に、商品を購入する利用者が用いる利用者端末91に表示される画面表示の一例を表している。第1の決済処理部51は、たとえば、利用者端末91に対して決済金額や決済方法を表示して利用者の意志確認を行うとともに、決済機関98と通信することで、第1の受注処理(ステップS002)の受注処理に伴う決済処理を行う。なお、第1の決済処理(ステップS003)が行われた後に、利用者端末91からサーバ装置12に第1購入情報21が伝えられてもよく、第1の受注処理(ステップS002)は、第1の決済処理(ステップS003)の後であってもよい。
【0066】
図4および図5に示すように、第1の受注処理(ステップS002)および第1の決済処理(ステップS003)の後に、サーバ装置12の表示更新処理部13は、第1の表示更新処理(ステップS004)を行う。第1の表示更新処理(ステップS004)では、表示更新処理部13が、第1の商品表示処理(ステップS001)により表示される情報(第1商品情報16)を変更する。たとえば、第1の受注処理(ステップS002)により、所定の商品について引渡可能な候補日が減少したり、受注可能数が減少したりする場合、表示更新処理部13は、第1商品情報16を更新する。
【0067】
図5に示す利用者Aは、ステップS001~ステップS004の処理により購入した商品について、購入時に指定した引渡日に、予定通り提供者から引渡を受けることができる。一方、利用者Aは、購入後から引渡までの間に、第1の受注処理部20によって受け付けられた所定の商品の購入について、キャンセルを行うことも可能である。利用者Aが購入商品のキャンセルを行う場合、利用者Aは、受発注システム10を利用するために利用者端末91に実装されるアプリケーションを操作して、サーバ装置12に対して、商品の購入をキャンセルする旨の意志表示に関するキャンセル情報26を、利用者端末91からサーバ装置12に送信する。利用者端末91からキャンセル情報26が伝えられると、サーバ装置12は、図4のステップS005の処理を開始する。
【0068】
図4のステップS005では、図1および図5に示すように、サーバ装置12のキャンセル受付処理部25が、第1の受注処理部20によって受け付けられた商品の購入について、商品の購入をキャンセルする意思決定に関する情報であるキャンセル情報26を、利用者端末91から受け付ける。キャンセル受付処理部25は、提供者情報管理部70における商品受注情報記憶部73の内容を更新し、キャンセルに対応する受注に係る商品の引渡義務が一旦消滅したことと、さらにその商品が引渡日を引き継いで再販されることを記録する。ステップS005のキャンセル受付処理の後、受発注システム10は、キャンセル時還元処理(ステップS006)を行う。
【0069】
図4のステップS006では、サーバ装置12のキャンセル時還元処理部30が、キャンセル受付処理部25で受け付けられた所定の商品の購入のキャンセルに係る利用者Aに対して、その商品を提供する提供者(「〇〇洋菓子店」)に対する未来の商品購入時に対価として使用できるポイントまたは割引クーポンを付与する。キャンセル時還元処理部30は、キャンセルされた商品(「苺のロールケーキ」)に関するキャンセル時付与情報71eを読み出し、キャンセルした利用者Aに関するポイント管理部78に、ポイントまたは割引クーポン(たとえば「50%OFF」)が与えられたことを記録する。なお、図9に示すように、利用者Aは、付与されたポイントや割引クーポンを、決済時に使用して割引を受けることができる。
【0070】
また、ステップS005のキャンセル受付処理の後、受発注システム10は、第2の商品表示処理(ステップS007)を行う。第2の商品表示処理(ステップS007)は、キャンセル時還元処理(ステップS006)の前であってもよく、後であってもよく、同時であってもよい。図4のステップS007では、サーバ装置12の第2の商品表示処理部35が、キャンセル受付処理部25で受け付けられたキャンセル商品に関するキャンセル商品情報36(図1参照)を利用者端末91、92、93に表示し、キャンセル商品について販売の申出(キャンセル商品の再販)を行う。
【0071】
図7(b)は、第2の商品表示処理(ステップS007)において利用者端末92の表示部に表示される画面表示の一例を示すものである。利用者端末92を用いる利用者は、たとえば、キャンセル商品を取り扱う提供者(「〇〇洋菓子店」)のメインページ66に「キャンセル商品」として表示さえるリンクなどから、図7(b)に示すようなキャンセル商品に関するキャンセル商品情報36を表示させることができる。
【0072】
図7(b)に示すように、ステップS007の第2の表示表示処理では、商品名36a、価格36b、購入可能数36c、引渡日36dなどが、利用者端末92に表示される。図7(a)と図7(b)との比較から理解できるように、第2の商品表示処理部35によるキャンセル商品の販売の申出においては、第1の商品表示処理部15による商品の販売の申出とは異なり、発送日または引渡日36dは既に特定されており変更できないものとして表示され、利用者は発送日や引渡日を選ぶことができない。すなわち、第2の商品表示処理部35によるキャンセル商品の再販では、発送日や引渡日については、そのキャンセル商品についてのキャンセルされた発注を第1の受注処理部20が受け付ける際に指定された日(たとえば図7(b)で指定された「14日(水)」)が引き継がれる。ただし、引渡の時間帯については、第1の受注処理部20が受け付けた時間帯から変更可能であってもよい。
【0073】
また、第2の商品表示処理部35は、キャンセル商品についての販売の申出を行う際において、キャンセル商品の価格36bである第2の価格を、第1の商品表示処理部15が同じ商品についての販売の申出を行う際の価格である価格16bである第1の価格より安くしてもよい。たとえば、図7(a)および図7(b)に示す例では、キャンセル商品の価格36bである第2の価格は、第1の商品表示処理部15による通常の販売価格16bの2割引きの価格である。なお、第2の表示表示処理における購入可能数36cは、第1の受注処理部20が受け付けた受注数以下で選択可能である。
【0074】
図5に示すように、受発注システム10では、キャンセル受付処理部25が商品のキャンセルを受け付けると、そのキャンセル商品は、第2の商品表示処理部35により自動的に再販される。利用者端末92を使用する利用者は、図7(b)に示すような第2の商品表示処理(ステップS007)による表示内容を確認して、キャンセル商品を購入するかどうかを検討することができる。図1および図5に示すように、利用者端末92の利用者Bは、図7(b)に示すように引渡日が固定されたキャンセル商品の購入の意思決定に関する情報である第2購入情報41をサーバ装置12に送信し、キャンセル商品情報36として表示された商品の購入を行う。
【0075】
利用者端末92から第2購入情報41が伝えられると、サーバ装置12は、図4のステップS008の処理を開始する。図4のステップS008では、図1および図5に示すように、サーバ装置12の第2の受注処理部40が、キャンセル商品の購入の意思決定に関する情報である第2購入情報41を、利用者端末92から受け付けて、利用者によるキャンセル商品の購入を受注する。第2の受注処理部40は、提供者情報管理部70における商品受注情報記憶部73の内容を更新し、再販中であったキャンセル商品が売れたことにより利用者Bに対して商品の引渡義務が発生したことを記録する。また、第2の受注処理(ステップS008)と併せて、または、第2の受注処理(ステップS008)の後に、サーバ装置12の第2の決済処理部52が、キャンセル商品の購入における決済処理を行う(ステップS009)。
【0076】
図4に示すステップS010では、サーバ装置12の表示更新処理部13が、第2の表示更新処理を行う。第2の表示更新処理(ステップS010)では、表示更新処理部13が、第2の商品表示処理(ステップS007)により表示される情報(キャンセル商品情報36)を変更する。たとえば、第2の受注処理(ステップS008)により、所定のキャンセル商品が売り切れた場合、表示更新処理部13は、そのキャンセル商品が利用者端末91~93に表示されないようにすることができる。
【0077】
このように、受発注システム10では、キャンセル受付処理部25がキャンセルを受け付け、キャンセル時還元処理部30がキャンセルした利用者にポイントや割引クーポンを提供することで、商品を引渡日や発送日より相当程度前に予約購入する際における利用者の心理的障壁を下げることができる。また、第2の商品表示処理部35により、キャンセルされた商品は、引渡日または発送日が固定された状態で再販売されるため、キャンセル発生時における売れ残りによるロスを抑制するとともに、キャンセル発生時においても提供者の売上増加を図ることができる。このような受発注システム10は、商品の提供者と商品を購入する利用者との双方にメリットを与えることができるので、効果的に商品の事前受発注を促進し、ロスを低減することができる。
【0078】
また、図1に示す受発注システム10では、提供者端末81、82、83を使用する提供者は、提供者端末81、82、83を用いてサーバ装置12と通信することにより、自身が提供する商品に関する商品の情報をサーバ装置12に登録したり、登録した商品情報を変更したりすることができる。すなわち、提供者端末81、82、83を使用する提供者は、図3に示す商品情報記憶部71が記憶する商品内容情報71a、通常受注価格情報71b、通常受注期間情報71c、受注限度情報71d、キャンセル時付与情報71e、キャンセル品再販価格情報71f、キャンセル品受注期間情報71gを登録および変更することができる。
【0079】
図8は、提供者が、提供者端末81、82、83を使用してサーバ装置12の商品情報記憶部71に商品情報を登録する際における画面表示の一例を示す概念図である。図8(a)および図8(b)に示すように、受発注システム10における商品の提供者は、商品名や商品写真等の商品内容情報71a、通常受注価格情報(第1の価格)71b、キャンセル時付与情報71e、キャンセル品再販価格情報(第2の価格)71fなどを、サーバ装置12の商品情報記憶部71に記憶させることができる。
【0080】
ここで、受発注システム10において、キャンセル時還元処理部30が所定の商品の購入をキャンセルした利用者に対して付与するポイントまたは割引クーポンの価値は、キャンセル商品の再販価格である第2の価格以下であることが好ましい。たとえば、図8に示す例では、割引クーポンの価値(50%OFFクーポン)は1000円であり、キャンセル品の販売価格(第2の価格)である1600円以下である。このように設定することにより、商品の提供者は、キャンセルした利用者にポイントや割引クーポンを配布したことによる将来的な売り上げ低下を、キャンセル商品の再販売成功により完全にカバーできる。また、仮にキャンセルした利用者自身が再販売された商品を再購入したとしても、キャンセルせずに商品を受け取った場合に比べて得られる価値が大きくならないようにすることで、利用者がキャンセルで利益を得る行為を防止できる。
【0081】
受発注システム10は、提供者が商品に関する各情報を登録および変更する際、キャンセル時に付与する割引価値が、再販価格である第2の価格を上回る場合は、エラーまたは警告表示を、図8に示す登録時の表示画面に表示してもよい。
【0082】
また、受発注システム10では、キャンセル時還元処理部30が商品の購入をキャンセルした利用者に対して付与するポイントまたは割引クーポンの価値は、キャンセル時における第1の受注処理部20により受け付けられた商品(キャンセルの対象となる商品)の引渡日または発送日までの期間の長さに応じて異なってもよい。図6の左欄は、キャンセルの対象となる商品のキャンセル時における引渡日または発送日までの期間と、キャンセルした利用者に対して付与されるポイント等の価値(キャンセル時還元率)を表している。
【0083】
図6に示す例では、、キャンセル時が引渡日または発送日に近づくほど、キャンセル時還元率が低くなり、キャンセルした利用者に対して付与するポイント等の価値が安くなるように設定されている。これにより、キャンセル品の再販期間が短くなる直前キャンセルを抑制し、キャンセル品を売り切れないことによるロスの発生を防止できる。
【0084】
また、受発注システム10では、第2の商品表示処理部35がキャンセル受付処理部25で受け付けられたキャンセル商品について販売の申出(再販売)を行う際における商品の価格(第2の価格)は、第1の受注処理部20により受け付けられた引渡日または発送日までの期間の長さに応じて変動してもよい。図6の右欄は、再販されているキャンセル品について特定される引渡日または発送日までの期間に応じた第2の価格(再販価格)を表している。
【0085】
図6に示す例では、引渡日または発送日に近づくほど、キャンセル品の再販価格である第2の価格が安くなっていくように設定されている。これにより、引渡日が迫っているキャンセル品を売れやすくして、売れ残りによるロスの発生を防止できる。
【0086】
また、図6図8に示す例とは異なり、受発注システム10では、キャンセル時還元処理部30が商品の購入をキャンセルした利用者に対して付与するポイントまたは割引クーポンの価値が、キャンセル受付処理部25で受け付けられた商品について、第2の受注処理部40が購入を受け付けた際における商品の価格(キャンセル品の購入価格)に対応してもよい。このような設定を行う受発注システム10では、キャンセル品が売れた場合には、より多くの価値をキャンセルした利用者に還元し、キャンセル品が売れ残った場合には、より少ない価値をキャンセルした利用者に還元する。このような受発注システム10は、キャンセル時におけるポイント等の付与による将来的な売り上げ減少を、より効果的に防止することができる。
【0087】
また、受発注システム10では、図2に示すポイント譲渡受付部60、ポイント譲渡表示部65、第3の受注・決済処理部53により、キャンセルした利用者に対して付与するポイントを、受発注システム10の利用者間で譲渡することができてもよい。すなわち、ポイント譲渡受付部60は、キャンセル時還元処理部30が付与したポイントまたは割引クーポンについて、他の利用者に譲渡したい旨の意思表示を、ポイントまたは割引クーポンを付与された利用者から受け付ける。
【0088】
また、ポイント譲渡表示部65は、ポイント譲渡受付部60で受け付けたポイントまたは割引クーポンについて、ポイントまたは割引クーポンの利用条件(利用対象となる提供者など)を表示して、譲渡の申出が行われている旨を表示する。また、第3の受注・決済処理部53は、ポイント譲渡表示部65により表示されたポイントまたは割引クーポンを購入したい旨の他の利用者の意志表示を受け付け、決済を行う。
【0089】
このような受発注システム10によれば、キャンセル時に付与されるポイントまたは割引クーポンについて譲渡可能であるため、キャンセルにより利用者が受ける損失を低減し、商品を引渡日や発送日より所定期間以上前に予約購入する際における利用者の心理的障壁を下げることができる。
【0090】
以上、実施形態を挙げて本発明に係る受発注システム10について説明してきたが、受発注システム10の技術的範囲は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明は他の多くの実施形態や変形例を含むことは言うまでもない。たとえば、受発注システム10において、商品の引渡しは、商品の提供者の店舗等で行われるものであってもよく、商品を購入した利用者の住所や居所で行われるものであってもよい。また、たとえば、受発注システム10において、商品の発送は、商品の提供者の店舗や工場等から行われるものであってもよく、商品の提供者と提携する他の事業者から行われるものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
10…受発注システム
11…ネットワーク通信網
12…サーバ装置
15…第1の商品表示処理部
16…第1商品情報
36…キャンセル商品情報
16a、36a…商品名
16b、36b…価格
16c、36c…購入可能数
16d…候補日
20…第1の受注処理部
21…第1購入情報
25…キャンセル受付処理部
26…キャンセル情報
30…キャンセル時還元処理部
36d…引渡日
35…第2の商品表示処理部
40…第2の受注処理部
41…第2購入情報
51…第1の決済処理部
52…第2の決済処理部
53…第3の受注・決済処理部
60…ポイント譲渡受付部
65…ポイント譲渡表示部
66…メインページ
67…リンク
70…提供者情報管理部
71…商品情報記憶部
71a…商品内容情報
71b…通常受注価格情報
71c…通常受注期間情報
71d…受注限度情報
71e…キャンセル時付与情報
71f…キャンセル品再販価格情報
71g…キャンセル品受注期間情報
72…提供者固有情報記憶部
73…商品受注情報記憶部
75…利用者情報管理部
76…利用者固有情報記憶部
77…商品発注情報管理部
78…ポイント管理部
81、82、83…提供者端末
91、92、93…利用者端末
98…決済機関
【要約】
【課題】引渡日より所定期間以上前に商品の受発注が行われることを促進しロスの低減を図る受発注システム
【解決手段】商品の販売の申出を行う第1の商品表示処理部と、第1の商品表示処理部により利用者端末に表示され、候補日から選択された引渡日または発送日が指定された前記商品の購入の意思決定に関する情報を、利用者端末から受け付ける第1の受注処理部と、前記商品のキャンセル受付処理部と、前記商品の購入のキャンセルに係る利用者に対して、未来の商品購入時に対価として利用できるポイントまたは割引クーポンを付与するキャンセル時還元処理部と、前記キャンセル受付処理部で受け付けられた前記商品について、前記第1の受注処理部が受け付ける際に指定された前記引渡日または発送日を含むキャンセル商品情報を利用者端末に表示し、前記引渡日または発送日が特定された前記商品の販売の申出を行う第2の商品表示処理部と、を有する受発注システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10