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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】コンプレッサー用ハウジング
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20241101BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20241101BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
F04B39/12 Z
F04B39/12 101Z
F04B39/06 D
F04B39/16 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024103475
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524243882
【氏名又は名称】隆志 章博
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】隆志 章博
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-89662(JP,A)
【文献】特開2022-169330(JP,A)
【文献】実開昭55-14031(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/12
F04B 39/06
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサー装置と圧縮空気ドライヤとを収納し、上部にコンプレッサー廃熱用の大排気口とドライヤ廃熱用の小排気口とを備えた外箱体と、外箱体の上に設置する集合ダクトとで構成されたコンプレッサー用ハウジングであって、
前記集合ダクトは、前記大排気口を覆う大開口部と、前記小排気口を覆う小開口部と、コンプレッサー廃熱を外部に排出するダクト排気口と、前記集合ダクト内に配置され大開口部の一部に連通し前記小排気口の上部で開口する管体からなり中間部の径を絞ったベンチュリ管とを備え、
ベンチュリ管を通過するコンプレッサー廃熱で小排気口に排出されるドライヤ廃熱をダクト排気口から同時に排気するように構成したことを特徴とするコンプレッサー用ハウジング。
【請求項2】
前記ベンチュリ管は、前記大排気口の一部を覆う補助開口部と、前記大排気口側から前記小排気口側に延長された水平筒部と、水平筒部の中間部の径を絞ったベンチュリと、ベンチュリから拡開延長された端部で開口する排出口と、を備えた請求項1記載のコンプレッサー用ハウジング。
【請求項3】
前記集合ダクトは、前記大開口部から水平方向に延長され前記小開口部を下側面に有する水平筒部と、水平筒部の端部側上面に形成された前記ダクト排気口とを備えた請求項1記載のコンプレッサー用ハウジング。
【請求項4】
前記集合ダクトは、前記ダクト排気口から上方に防風管が延長された請求項3記載のコンプレッサー用ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気乾燥用のドライヤを備えたコンプレッサー装置を収納するのに好適なコンプレッサー用ハウジングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライヤを備えたコンプレッサー装置を収納するハウジングが特許文献1に記載されている。このハウジングは、特にコンプレッサーとモータを中央に吊してコンパクトに収納するために特殊なハウジングを構成したものである。
【0003】
一方、工場内等でコンプレッサー装置を設置する際に、圧縮空気を乾燥する必要がある場合、ドライヤをコンプレッサー装置に併設する。この場合、コンプレッサー装置とドライヤを収納するハウジングHが使用されている(図5参照)。
【0004】
特許文献1に記載のハウジングを含め一般のハウジングHを室内で使用するには、コンプレサー装置の廃熱を室外に排出する排気用のダクトDを設ける必要がある(図5参照)。すなわち、ドライヤが必要なコンプレサー装置は排熱量が多いので、排気用のダクトを使用してコンプレッサー廃熱PAを室外に排出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5127831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のハウジングや室内のハウジングHに使用するダクトDは、コンプレッサー廃熱PAを室外に排出するが、ドライヤ廃熱QAは僅かなので室内に排出するのが一般的である(図5参照)。そして、ドライヤ廃熱QAを室内に戻すと室内の温度を高めることになるので、室内の換気を十分に行って過熱を防止している。すなわち室内の温度が上昇するとコンプレッサーの自動制御で緊急停止することがある。
【0007】
ところが、コンプレサー装置を設置する室内が狭い場合は、室内の換気のみでは過熱を防止することができないことがある。その場合、ドライヤ廃熱QAを廃棄するダクトも併せて設置する必要が生じる(図示せず)。この場合、ドライヤ用のダクトとコンプレサー装置用のダクトは一つにすることはできない。
【0008】
すなわち、ドライヤ廃熱QAをコンプレッサー廃熱PAと共に排出すると、コンプレッサー廃熱PAの廃熱量がドライヤ廃熱QAの廃熱量より極めて多いので、コンプレッサー廃熱PAがドライヤ廃熱QAの排気口側へ逆流する現象が生じ、ドライヤが破損するおそれがある。
【0009】
そのためハウジングには、夫々の廃熱を外部に排出する2本のダクトが必要になりこれに伴ってウェザーカバー、換気扇等を各別に設ける必要がある。そのため、コンプレッサー廃熱PAとドライヤ廃熱QAとをダクトを通して排気する構成が極めて大掛かりな構成にならざるを得なかった。このように、ドライヤを併設したコンプレサー装置をハウジングに収納するには、多くの課題があった。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、ドライヤを併設したコンプレッサー装置を収納するハウジングにおいて、ドライヤの廃熱をコンプレッサー装置の廃熱と共に一つのダクトで排気することが可能になるコンプレッサー用ハウジングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、コンプレッサー装置Pと圧縮空気ドライヤQとを収納し、上部にコンプレッサー廃熱用の大排気口11とドライヤ廃熱用の小排気口12とを備えた外箱体10と、外箱体10の上に設置する集合ダクト20とで構成されたコンプレッサー用ハウジングであって、
前記集合ダクト20は、前記大排気口11を覆う大開口部21と、前記小排気口12を覆う小開口部22と、コンプレッサー廃熱PAを外部に排出するダクト排気口23と、前記集合ダクト20内に配置され大開口部21の一部に連通し前記小排気口12の上部で開口する管体からなり中間部の径を絞ったベンチュリ管30とを備え、ベンチュリ管30を通過するコンプレッサー廃熱PAで小排気口12に排出されるドライヤ廃熱QAをダクト排気口23から同時に排気するように構成した。
【0012】
第2の手段の前記ベンチュリ管30は、前記大排気口11の一部を覆う補助開口部31と、前記大排気口11側から前記小排気口12側に延長された水平筒部32と、水平筒部32の中間部の径を絞ったベンチュリ33と、ベンチュリ33から拡開延長された端部で開口する排出口34と、を備えている。
【0013】
第3の手段の前記集合ダクト20は、前記大開口部21から水平方向に延長され前記小開口部22を下側面に有する水平筒部24と、水平筒部24の端部側上面に形成された前記ダクト排気口23とを備えている。
【0014】
第4の手段の前記集合ダクト20は、前記ダクト排気口23から上方に防風管25が延長されたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、コンプレッサー廃熱PAとドライヤ廃熱QAとを一つのダクト排気口23から同時に排気することが可能になる。この結果、コンプレッサー装置Pと圧縮空気ドライヤQが必要な狭い室内の温度上昇を防止し、安全に使用することができる。
【0016】
しかも、外箱体10に集合ダクト20を設置しているので、このまま室外に設置することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明ハウジングの一実施例を示す正面図である。
図2】本発明のベンチュリ管の一実施例を示す説明図である。
図3】本発明の外箱体を示す概略斜視図である。
図4】本発明の集合ダクトの他の実施例を示す分解斜視図である。
図5】従来のハウジングの使用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明ハウジングは、圧縮空気ドライヤQを併設したコンプレッサー装置Pを収納するハウジングに関するもので、外箱体10、集合ダクト20、ベンチュリ管30を備えている(図1参照)。
【0019】
外箱体10は、コンプレッサー装置Pと圧縮空気ドライヤQとを収納するもので、上部にコンプレッサー廃熱用の大排気口11とドライヤ廃熱用の小排気口12とを備えている(図3参照)。このとき、圧縮空気ドライヤQは、外箱体10内に配置された仕切り板13でコンプレッサー装置Pと隔離された状態で収納されている(図4参照)。図示の仕切り板13は圧縮空気ドライヤQを収納する箱状に形成しているが、必要な場所に板のみを設置することも可能である。
【0020】
この外箱体10のコンプレッサー装置P側には、コンプレッサー装置Pに冷却空気を送り込む冷却空気給気口14と、コンプレッサー装置P用の吸い込み吸気吸気口15とを形成している(図4参照)。尚、同図中、符号P1は駆動モータ、符号P2はラジエター、符号P3はラジエター排気ファンを示している。
【0021】
一方、外箱体10の圧縮空気ドライヤQ側には、圧縮空気ドライヤQに冷却空気を供給する冷却空気給気口16を形成している(図4参照)。尚、同図中、符号Q1はラジエター、符号Q2はドライヤ用ファン、Q3は圧縮空気吐出しバルブを示すものである。
【0022】
集合ダクト20は、大排気口11を覆う大開口部21と、小排気口12を覆う小開口部22と、コンプレッサー廃熱PAとドライヤ廃熱QAとを同時に排出するダクト排気口23とを形成している(図1参照)。
【0023】
図示の集合ダクト20は、大排気口11側から小排気口12側に向いた水平筒部24と、水平筒部24の小排気口12側から上方に向けて開口するダクト排気口23とを備えたものである(図2図4参照)。大排気口11を覆う大開口部21には、ベンチュリ管30の端部が開口した補助開口部31を設けている。そして、コンプレッサー廃熱PAの一部がこの補助開口部31からベンチュリ管30に送られる。
【0024】
ベンチュリ管30は、集合ダクト20内に配置される管状部材で、大開口部21の一部を覆う補助開口部31と、小開口部22の上で開口する排出口34とを有する(図2参照)。そして、この管体の中間部の径を絞ってベンチュリ33を形成している。ベンチュリとは、流体の流れを絞ることによって、流速を増加させて低い圧力を発生させる機構である。
【0025】
このベンチュリ管30により、補助開口部31から侵入したコンプレッサー廃熱PAは、ベンチュリ33で流速が加速して排出口34から低い圧力で排出する際に、ドライヤ廃熱QAと共にダクト排気口23から排出されるものである(図2参照)。
【0026】
このベンチュリ効果により、ドライヤ廃熱QAがコンプレッサー廃熱PAの圧力よりも小さくてもコンプレッサー廃熱PAが圧縮空気ドライヤQ側に逆流しなくなる。例えば、コンプレッサー廃熱PAの排気圧が231m3/minで、ドライヤ廃熱QAの排気圧が32.2m3/minの場合、補助開口部31の面積を100とすると、ベンチュリ33で絞って排出口34の面積を35に設定すると逆流を防止する効果が生じた。尚、これらの面積は機種により若干数値は変動する。
【0027】
本発明ハウジングを室内に設置する場合は、図1に示す集合ダクト20のダクト排気口23に室外へ廃熱を排出するダクト管を設ける(図示せず)。この場合、ダクト管は1本となり、換気扇等を設ける必要もない。
【0028】
また、外箱体10に集合ダクト20を固定しているので、本発明ハウジングを屋上等の室外に設置することも可能である。この場合、ダクト排気口23の周囲に防風管25を形成することで、風向の影響を受け難くなる(図4参照)。
【0029】
尚、本発明において、外箱体10、集合ダクト20、ベンチュリ管30等の構成は図示例に限られるものではなく、これらの設計変更は任意である。
【符号の説明】
【0030】
D ダクト
H ハウジング
P コンプレッサー装置
PA コンプレッサー廃熱
P1 駆動モータ
P2 ラジエター
P3 ラジエター排気ファン
Q 圧縮空気ドライヤ
QA ドライヤ廃熱
Q1 ラジエター
Q2 ドライヤ用ファン
Q3 圧縮空気吐出しバルブ
10 外箱体
11 大排気口
12 小排気口
13 仕切り板
14 冷却空気給気口
15 吸い込み吸気吸気口
16 冷却空気給気口
20 集合ダクト
21 大開口部
22 小開口部
23 ダクト排気口
24 水平筒部
25 防風管
30 ベンチュリ管
31 補助開口部
32 水平筒部
33 ベンチュリ
34 排出口
【要約】
【課題】ドライヤ廃熱をコンプレッサー廃熱と共に一つのダクトで排気することが可能になるコンプレッサー用ハウジングを提供する。
【解決手段】コンプレッサー装置Pと圧縮空気ドライヤQを収納する外箱体10を設ける。外箱体10の上面にコンプレッサー廃熱を排出する大排気口11を形成する。外箱体10の上面にドライヤ廃熱を排出する小排気口12を形成する。集合ダクト20に大排気口11を覆う大開口部21を設ける。集合ダクト20に小排気口12を覆う小開口部22を設ける。集合ダクト20に廃熱を外部に排出するダクト排気口23を設ける。集合ダクト20の中にベンチュリ管30を備える。ベンチュリ管30から排出される廃熱でドライヤ廃熱を同時に排気する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5