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特許7580166管理サーバ装置、扉制御装置、管理サーバ装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】管理サーバ装置、扉制御装置、管理サーバ装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20241101BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20241101BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20241101BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
E05B49/00 K
G06Q10/08
A47G29/12 D
H04M9/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024111193
(22)【出願日】2024-07-10
【審査請求日】2024-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519010178
【氏名又は名称】株式会社PacPort
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】チン ヨウ
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115247(JP,A)
【文献】特開2023-062358(JP,A)
【文献】特開2020-053047(JP,A)
【文献】特許第6765147(JP,B1)
【文献】特開2021-014729(JP,A)
【文献】特開2023-116183(JP,A)
【文献】特開2019-037689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
A47G 29/12
G06Q 10/08
H04M 9/00 - 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置であって、
前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情報及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付部と、
前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせ部と、
前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信部と、
前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に対し、前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示部と、
を備える管理サーバ装置。
【請求項2】
前記特定の情報は、前記荷物の配送状況が配達中であることを表す情報である、
請求項1に記載の管理サーバ装置。
【請求項3】
集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御し、かつ、請求項1又は2に記載の管理サーバ装置と通信可能な扉制御装置であって、
前記扉の近傍に設置された玄関機から、部屋番号、サービス事業者を識別する識別情報と荷物のサービス番号とを含む解錠要求を受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部で受け付けた前記識別情報及び前記サービス番号のみを含む解錠要求を前記管理サーバ装置に送信する送信部と、
前記管理サーバ装置から解錠指示を受信した場合に、前記玄関機に対し、前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示部と、
を備える扉制御装置。
【請求項4】
集合住宅の入口に設置された二重の扉の施錠及び解錠を制御し、かつ、請求項1又は2に記載の管理サーバ装置と通信可能な扉制御装置であって、
第一扉の近傍に設置された第一玄関機から、部屋番号、サービス事業者を識別する識別情報と荷物のサービス番号とを含む解錠要求を受け付ける第一要求受付部と、
前記第一要求受付部で受け付けた前記識別情報及び前記サービス番号のみを含む解錠要求を前記管理サーバ装置に送信する第一送信部と、
前記管理サーバ装置から解錠指示を受信した場合に、前記第一玄関機に対し、前記第一扉を解錠する解錠指示を送信する第一解錠指示部と、
前記第一扉よりも屋内側にある第二扉の近傍に設置された第二玄関機から、前記部屋番号を含む解錠要求を受け付ける第二要求受付部と、
前記第一要求受付部で受け付けた前記部屋番号と、前記第二要求受付部で受け付けた前記部屋番号とが一致し、かつ、前記第一玄関機に対し、前記第一扉を解錠する解錠指示を送信してから一定時間内に前記第二要求受付部が前記部屋番号を受け付けた場合に、前記第二玄関機に対し、前記第二扉を解錠する解錠指示を送信する第二扉解錠指示部と、
を備える扉制御装置。
【請求項5】
集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置の制御方法において、
前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情報及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付ステップと、
前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせステップと、
前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信ステップと、
前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示ステップと、
を備える管理サーバ装置の制御方法。
【請求項6】
集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置において、
前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付処理と、
前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせ処理と、
前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信処理と、
前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートロック扉を解錠する管理サーバ装置及び扉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅や複数のテナント等が入ったオフィスビルなどには、入口の扉の施錠や解錠を行う種々の扉システムが利用されている。近年、宅配サービスが普及する一方、配達先が不在のため、荷物の受け渡しができず、再配達の頻度が増加することが、大きな社会問題となっている。「置き配」と呼ばれる、玄関前に荷物を置いたり、玄関先に設置される宅配ボックスに荷物を入れることで、再配達を削減する取組みも進んでいる。
【0003】
ところが、集合住宅等のように入口の扉がオートロックで施錠されているため、配達先が不在の場合は、宅配員が各戸の玄関先まで入ることができず、配達を行うことが困難となっている。この問題を解消するため、特許文献1及び2では不在時でも宅配員が扉の解錠を行い、置き配などの配達を可能にする扉の管理システムが提案されている。特許文献1などの扉の管理システムでは、宅配サービス事業者が荷物毎に管理する荷物追跡番号、荷物番号等の荷物情報(以下「サービス番号」という場合がある。)をキーとして用いるものであり、管理サーバは、宅配サービス事業者のサーバやユーザ等から、荷物情報、配送情報、ユーザの住所、氏名等のユーザ情報を取得して記憶し、宅配員が建物の玄関機等の端末から荷物番号を入力して管理サーバに対して解錠要求があった場合、当該荷物番号がサーバ内に記憶していた荷物番号と一致しているか否かを判断して扉の解錠指示を行い、また、荷物番号が一致している場合であっても、当該荷物番号に係る荷物について配達完了の配送情報が記憶されている場合には、解錠指示をしない構成としている。
【0004】
しかしながら、このように管理サーバが解錠要求前に荷物情報、配送情報及びユーザ情報を取得し、記憶することには手間が掛かり、しかも、記憶したこれらの情報は個人情報であり、情報管理を厳格に行う必要があるという問題がある。また、実際には解錠要求のあった荷物番号に係る荷物の配達が完了し、宅配サービス事業者のサーバに配達完了の配送情報が記憶されているにもかかわらず、当該情報取得のタイムラグにより、管理サーバの記憶部に当該配送情報が記憶されておらず、解錠要求のあった荷物番号とサーバ内に記憶していた荷物番号と一致していると判断し、解錠指示をする事態が発生するおそれがあり、ひいてはセキュリティ上の問題も生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0247344号公報
【文献】特許第6765147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決し、宅配員によるオートロック扉の解錠要求がされる前に宅配サービス事業者のサーバやユーザ等から荷物情報、配送情報等をあらかじめ取得及び記憶することなく、宅配サービス事業者のサーバに記憶された最新の情報に基づいて、配達先が不在時であっても、適切にオートロック扉を解錠し、荷物の配達を行うことができる管理サーバ装置、扉制御装置、管理サーバ装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る管理サーバ装置は、集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置であって、前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情報及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付部と、前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせ部と、前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信部と、前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に対し、前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示部と、を備える管理サーバ装置である。
【0008】
本発明の第二態様に係る管理サーバ装置は、上記第一態様の管理サーバ装置において、前記特定の情報は、前記荷物の配送状況が配達中であることを表す情報である。
【0009】
本発明の第三態様に係る扉制御装置は、集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御し、かつ、上記第一態様又は第二態様に記載の管理サーバ装置と通信可能な扉制御装置であって、前記扉の近傍に設置された玄関機から、部屋番号、サービス事業者を識別する識別情報と荷物のサービス番号とを含む解錠要求を受け付ける要求受付部と、前記要求受付部で受け付けた前記識別情報及び前記サービス番号のみを含む解錠要求を前記管理サーバ装置に送信する送信部と、前記管理サーバ装置から解錠指示を受信した場合に、前記玄関機に対し、前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示部と、を備える扉制御装置である。
【0010】
本発明の第四態様に係る扉制御装置は、集合住宅の入口に設置された二重の扉の施錠及び解錠を制御し、かつ、上記第一態様又は第二態様に記載の管理サーバ装置と通信可能な扉制御装置であって、第一扉の近傍に設置された第一玄関機から、部屋番号、サービス事業者を識別する識別情報と荷物のサービス番号とを含む解錠要求を受け付ける第一要求受付部と、前記第一要求受付部で受け付けた前記識別情報及び前記サービス番号のみを含む解錠要求を前記管理サーバ装置に送信する第一送信部と、前記管理サーバ装置から解錠指示を受信した場合に、前記第一玄関機に対し、前記第一扉を解錠する解錠指示を送信する第一解錠指示部と、前記第一扉よりも屋内側にある第二扉の近傍に設置された第二玄関機から、前記部屋番号を含む解錠要求を受け付ける第二要求受付部と、前記第一要求受付部で受け付けた前記部屋番号と、前記第二要求受付部で受け付けた前記部屋番号とが一致し、かつ、前記第一玄関機に対し、前記第一扉を解錠する解錠指示を送信してから一定時間内に前記第二要求受付部が前記部屋番号を受け付けた場合に、前記第二玄関機に対し、前記第二扉を解錠する解錠指示を送信する第二扉解錠指示部と、を備える扉制御装置である。
【0011】
本発明の第五態様に係る管理サーバ装置の制御方法は、集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置の制御方法において、前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情報及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付ステップと、前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせステップと、前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信ステップと、前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示ステップと、を備える管理サーバ装置の制御方法である。
【0012】
本発明の第六態様に係るプログラムは、集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置と通信可能な管理サーバ装置において、前記扉制御装置から、前記扉を解錠するための解錠要求であって、サービス事業者を識別する識別情報及び荷物のサービス番号のみを含む解錠要求を受け付ける要求受付処理と、前記解錠要求に含まれる前記識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置に対し、前記サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせ処理と、前記事業者サーバ装置から、前記問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信処理と、前記受信した問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、前記扉制御装置に前記扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示処理と、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、宅配員によるオートロック扉の解錠要求がされる前に宅配サービス事業者のサーバやユーザ等から荷物情報、配送情報等をあらかじめ取得及び記憶することなく、宅配サービス事業者のサーバに記憶された最新の情報に基づいて、配達先が不在時であっても、適切にオートロック扉を解錠し、荷物の配達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る管理サーバ装置及び扉制御装置を用いた扉解錠システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す扉制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図1に示す管理サーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る扉解錠システムの機能手段の一例を示すブロック図である。
図5】事業者サーバ装置内に格納されている荷物管理テーブルの一例を示す図である。
図6】本発明が適用される扉解錠システムにおいて、サービス事業者である宅配員がオートロック扉を解錠して集合住宅に入る際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0016】
<扉解錠システムの全体構成>
図1は、本発明に係る管理サーバ装置1及び扉制御装置10を用いた扉解錠システム100の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、管理サーバ装置1は、一又は複数の扉制御装置10と、宅配業者等の事業者が運営管理する事業者サーバ装置と、インターネットや電話回線等の通信ネットワークNTを介して互いに通信可能となっている。
【0018】
扉制御装置10は、マンションやアパート、寮等の集合住宅Mの入口(エントランス)付近に設置されている一又は複数の集合玄関機(単に「玄関機」という場合がある。)12を制御して、扉の施錠や解錠を制御する装置である。そして、扉制御装置10は、集合住宅Mの入口に設置されたオートロック式の扉11の施錠及び解錠を制御する。例えば、集合玄関機12は、インターホンで構成され、集合住宅Mの入口付近に設置され、集合住宅Mの各部屋に設置されているインターホン(以下「部屋端末」という場合がある。)と通信可能である。宅配員は集合玄関機12のインターホンを利用して各部屋の住人と通話が可能であり、住人の遠隔操作により、扉11を解錠してもらい、集合住宅Mに入ることができる。しかしながら、住人が不在であれば、通話ができないため扉11を解錠できず、宅配員は集合住宅Mに入ることができず、集合住宅M内に荷物を置き配したり、荷物を集荷したりすることができない。そこで、集合玄関機12のインターホンの機能に扉の解錠を行う制御機能を設け、扉制御装置10が集合玄関機12を制御することにより、扉の施錠や解錠を制御することが可能となる。
また、扉制御装置10は、集合住宅Mの入口の扉の施錠及び解錠を制御するだけでなく、例えば、集合住宅M内に部屋毎の宅配ボックスが設置されている場合、当該宅配ボックスそれぞれの扉の施錠及び解錠を制御するように追加的に構成することも可能である。
なお、本発明の「集合住宅」とは、人が居住する建物だけでは無く、複数のテナントが入居しているオフィスビルなども含む概念である。
【0019】
本発明の特徴は、管理サーバ装置1が、扉制御装置10に対して解錠指示することである。管理サーバ装置1は、後述する確認(特定の情報の有無を検出)を行い、扉制御装置10に対して扉11の施錠指示や解錠指示を送信する。しかも、管理サーバ装置1には、宅配員によるオートロック扉の解錠要求がされる前に宅配サービス事業者のサーバやユーザ等から荷物情報、配送情報等をあらかじめ取得及び記憶することがなく、また、ユーザの住所や氏名、電話番号やメールアドレスなどユーザに係る情報を、必ずしも記憶する必要が無い点で、特許文献1などの従来の管理サーバと異なっている。当然、ユーザ情報を管理サーバ装置1が有していない場合でも、本発明に係る扉解錠システム100は、十分に機能するが、例えば、荷物の配達先に係る情報と実際の配達先である集合住宅の住人に関する情報との一致性を別途確認する機能を付加すれば、より正確な配送が可能となることは明らかである。このため、本発明が適用される扉解錠システム100の機能や付加価値をより高めるために、必要に応じて、ユーザ情報等の一部を管理サーバ装置1に記憶させることを妨げるものではない。
【0020】
本発明の特徴としては、管理サーバ装置1がネットワークNTを介して接続された事業者サーバ装置BOSに通信可能に構成していることである。事業者サーバ装置BOSは、佐川急便やヤマト運輸などの宅配業者や、生活協同組合やアマゾンなどの販売事業者などのサービス事業者が運営管理を行うサーバ装置であり、本発明の管理サーバ装置1とは切り離されている。このため、管理サーバ装置1は、サービス事業者が一般に提供している荷物問い合わせサービス等を利用する以外には、事業者サーバ装置BOS内に記憶されている荷物に係る情報にアクセスすることはできない。このことは、事業者サーバ装置BOSが記憶している荷物に係る情報、ユーザ情報などの管理責任を、管理サーバ装置側の管理者が負う必要が無いということでもある。このため、本発明においては、管理サーバ装置の運営負担が従来の管理サーバよりも格段に軽くなる可能性がある。
【0021】
事業者サーバ装置BOSでは、サービス事業者が荷物毎に管理する荷物追跡番号、荷物番号等の荷物情報(サービス番号)に対応付けて、当該荷物に関する配送情報も管理されている。この配送情報としては、集荷中、配達中、配達完了などの配送状況が挙げられる。この「配達中」は本発明では特別な意味を持ち、最終集荷拠点から配達先に荷物を届けている途中の状態(宅配員が集合住宅の入口にいる状態を含む。)を意味する。本発明では、この「配達中」の情報を、配送状況情報の中の「特定の情報」として使用する。
【0022】
事業者サーバ装置BOSは、佐川急便の「お荷物問い合わせサービス」やヤマト運輸の「荷物のお問い合わせ」サービスのように、荷物の配送状況を照会する「配送状況照会サービス」を提供している。当該サービスでは、照会者がサービス番号(例えば、佐川急便の「お問い合せ送り状NO」、ヤマト運輸の「伝票番号」など)を入力して照会(問い合わせ)すると、入力したサービス番号に対応する荷物の配送状況を表す情報(問い合わせ結果)が出力される。具体的には、入力したサービス番号に該当するサービス番号が事業者サーバ装置BOSに記憶されていない場合は、「該当なし」、「恐れ入りますが、お問い合わせ送り状NOをお確かめください。」(佐川急便)などのように表示される。また、最終集荷拠点から配達先まで宅配員が配達している最中の状態は「配達中」、荷物が配達先に届けられた後の状態は「配達完了」と表示される。
【0023】
管理サーバ装置1は、事業者サーバ装置BOSから問い合わせ結果をHTML形式などのデータとして受け取り、当該データの中に「特定の情報」である「配達中」のデータがあるか否かのデータ解析を行っている。
【0024】
<各装置に係るハードウェア構成>
図2は、図1に示す扉制御装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、扉制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、メモリ22と、通信装置24と、表示装置26と、通話装置28と、カメラ30と、光源32と、施錠機構34と、電源36と、を備える。
【0026】
CPU20は、扉制御装置10の例えばカメラ30や光源32等の各種構成を制御するものである。
【0027】
メモリ22は、例えば扉制御装置10及び集合玄関機12の装置IDや、プログラム、各サービス事業者を識別する識別情報等を記憶するものである。
【0028】
通信装置24は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置24は、例えば、管理サーバ装置1との間で各種情報又は各種データを送受信する。特に、扉制御装置10側からは、サービス事業者に係る「識別情報」と荷物に係る「サービス番号」を管理サーバ装置1に送信し、管理サーバ装置側から「解錠指示」又は「エラー通知(解錠不可)」等の信号を受信する。
【0029】
表示装置26は、通話先の相手や、サービス事業者を選択する選択画面、確認が成功又は失敗したこと等を表示する。表示装置26は、単なる表示装置ではなく、例えばタッチパネルで構成し、情報入力装置を兼ねている。また、表示装置とは別にテンキーや呼び出しボタン等の入力装置を別途設けることも可能である。表示装置26や入力装置、あるいはその一部は、少なくとも集合玄関機12に設けられている。
【0030】
通話装置28は、マイクやスピーカーを備える。例えば、サービス事業者の宅配員は、入力装置やタッチパネル式の表示装置26を用いて入力した部屋番号の住人と通話可能に構成されている。例えば、通話装置28は、集合玄関機12に設けられている。
また、例えば、宅配員がタッチパネル式の表示装置26を用いて、表示装置に表示する複数のサービス事業者の中から自身が所属するサービス事業者をタッチして選択することで、サービス事業者に係る情報を入力することができる。さらに、宅配員は、テンキーなどの入力装置やタッチパネル等を用いて、荷物のサービス番号を入力してもよい。
【0031】
カメラ30は、集合玄関機12に設けられ、集合玄関機12の前に立っている人物を撮影する。さらに、同じカメラ又は別途設けられた他のカメラ(スキャナ)により、宅配員が配達中の荷物に付されたサービス番号を含むコードを撮影(読込)する。このコードは、例えば、宅配員が携帯する宅配業者端末に表示されたり、配達状又は集荷状に印刷(印字)されていたりする二次元コード又は三次元コードである。
【0032】
光源32は、カメラ30で人物を撮影する際やサービス番号を読み取る際に、明るさを調整するため、CPU20により発光の有無や強度が制御される。光源32としては、発光ダイオードやランプ等が利用される。
【0033】
施錠機構34は、扉11を施錠したり、解錠したりするものである。
【0034】
電源36は、CPU20やメモリ22等に電力を供給するものである。この電源36としては、例えば集合住宅の電気配線を利用しても良いし、単独の電池であっても良い。
【0035】
扉制御装置10の全部又は一部の構成は、集合玄関機12に設けても良い。また、管理人室等の集合住宅の特定の場所に、モニタなどと一緒に扉制御装置10の一部を設けることも可能である。
【0036】
図3は、図1に示す管理サーバ装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図3に示すように、管理サーバ装置1は、制御装置40と、通信装置42と、記憶装置44と、を備える。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)46及びメモリ48を主に備えて構成される。
【0038】
制御装置40は、CPU46が記憶装置44或いはメモリ48等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0039】
通信装置42は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置42は、例えば、扉制御装置10や事業者サーバ装置BOSとの間で各種情報又は各種データを送受信する。
【0040】
記憶装置44は、ハードディスク等で構成される。記憶装置44は、制御装置40における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。特に、扉制御装置10から送信されるサービス事業者を識別する「識別情報」に対応する、管理サーバ装置1がアクセスすべき事業者サーバ装置BOSの「配送状況照会サービス」のサイトのアドレス(URL)がデータ保管されている。また、記憶装置44は、扉制御装置10を特定する情報を記憶する。
【0041】
なお、管理サーバ装置1は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、管理サーバ装置1は、単一の情報処理装置で構成されるものであっても、通信ネットワークNT上に分散した複数の情報処理装置で構成されるものであってもよい。また、図3は、管理サーバ装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、管理サーバ装置1は、サーバが一般的に備える他の構成を備えることができる。また、後述する宅配業者端末やユーザ端末のハードウェア構成も、例えば操作手段や表示装置を備える他は、管理サーバ装置1の機能の一部を備えることも可能である。
【0042】
<扉解錠システムを構成する各装置の機能的構成>
図4は、本発明の管理サーバ装置及び扉制御装置を用いた扉解錠システム100の機能手段の一例を示すブロック図である。
【0043】
図4に示すように、扉解錠システム100における扉制御装置10は、機能手段として、要求受付部60と、送信部62と、解錠指示部64と、を備える。これらの機能手段は、CPU20がメモリ22等に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0044】
要求受付部60は、サービス事業者の宅配員が表示装置26の入力装置や集合玄関機12の表示装置の入力装置等で入力した情報を取得する機能手段である。本実施形態では、要求受付部60は、扉を解錠するための解錠要求(第一解錠要求。後述する二重の扉を有する集合住宅の例で、第一扉に係る解錠要求を「第一解錠要求」として、第二扉に係る解錠要求の「第二解錠要求」と区別している。)であって、サービス事業者を識別する識別情報と、荷物のサービス番号とを含む解錠要求(第一解錠要求)を取得する。すなわち、解錠要求(第一解錠要求)は、少なくともサービス事業者を識別する識別情報と、荷物のサービス番号とを含む。この識別情報は、例えば事業者識別情報(宅配事業者ID)である。例えば、サービス事業者A(企業A)の事業者識別情報(宅配事業者ID)には「001」を、また、サービス事業者B(企業B)の事業者識別情報(宅配事業者ID)には「002」等を割り当てる。
【0045】
例えば、要求受付部60は、集合玄関機12の表示装置の入力装置において、一つのサービス事業者を特定する入力があった場合、当該サービス事業者に対応する事業者識別情報(宅配事業者ID)を、解錠要求(第一解錠要求)の一部として取得する。具体的には、要求受付部60は、解錠指示部64によって表示装置26(タッチパネル)に表示された選択画面において、一つのサービス事業者を示す領域が選択(タッチ入力)された場合、当該一のサービス事業者に対応する事業者識別情報(宅配事業者ID)を、サービス事業者を識別する識別情報として取得する。この選択画面には、例えば、予め定められた複数のサービス事業者それぞれの名称(企業名)を示す領域や、マーク(企業ロゴ)を示す領域が表示される。
【0046】
また、例えば、要求受付部60は、集合玄関機12のカメラ30(またはスキャナ)によって撮影されたコード(二次元コード又は三次元コード)を分析してサービス番号を解錠要求(第一解錠要求)の一部として取得する。当然、集合玄関機12に設けられたテンキー等の入力装置などを用いて、サービス番号を手入力することも可能である。
【0047】
なお、解錠要求(第一解錠要求)は、配送先や集荷先の部屋番号を含んでもよい。これにより、扉制御装置10は、扉11を解錠した後、集合住宅Mの中に設置されている宅配ボックスのうち、当該部屋番号に対応する部屋の宅配ボックスの扉を解錠することができる。
【0048】
送信部62は、解錠要求(第一解錠要求)をサーバ装置12に送信する機能手段である。本実施形態では、送信部62は、要求受付部60が受け付けた解錠要求(第一解錠要求)を管理サーバ装置1に送信する。例えば、送信部62は、要求受付部60が受け付けたサービス事業者を識別する識別情報(宅配事業者ID)と、荷物のサービス番号と、を含む解錠要求(第一解錠要求)を管理サーバ装置1に送信する。
【0049】
本実施例では、解錠指示部64は、管理サーバ装置1から解錠指示を受信した場合に、解錠要求をした集合玄関機12に対し、解錠指示を送信する。集合玄関機12は、前記解錠指示の受信により、扉11の解錠装置に対し、解錠指示を送信し、これより前記解錠装置は、扉11の解錠動作を行う。また、解錠指示部64は、管理サーバ装置1から解錠指示を受信した場合に、扉11の解錠装置に対し、直接、解錠指示を送信し、これより前記解錠装置は、扉11の解錠動作を行う構成とすることも可能である。
【0050】
また、扉解錠システム100における管理サーバ装置1は、機能手段として、要求受付部72と、問い合わせ部74と、問い合わせ結果受信部76と、解錠指示部78と、を備える。これらの機能手段は、CPU46が記憶装置44に格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、これらの各機能手段の一部は、管理サーバ装置1に設けられている場合を主に説明するが、複数のサーバ装置にそれぞれ分散して設けられてもよい。
要求受付部60は「扉制御装置の要求受付部」であり、要求受付部72は「管理サーバ装置の要求受付部」である。また、解錠指示部64は「扉制御装置の解錠指示部」であり、解錠指示部78は「管理サーバ装置の解錠指示部」である。
【0051】
要求受付部72は、扉制御装置10から、扉11を解錠するための解錠要求(第一解錠要求)を受け付ける機能手段である。本実施形態では、要求受付部72は、扉制御装置10から、扉11を解錠するための解錠要求(第一解錠要求)であって、サービス事業者を識別する識別情報(例えば事業者識別情報)と、荷物に係るサービス番号とを含む解錠要求(第一解錠要求)を受信する。
【0052】
問い合わせ部74は、解錠要求に対応する結果として解錠指示を行うか否かを判断するために重要な機能手段である。しかも、管理サーバ装置1自体が保管するデータに基づき判断するのではなく、外部の事業者サーバ装置にアクセスして判断を行う。本実施形態では、問い合わせ部74は、要求受付部72が受け付けた扉11を解錠するための解錠要求(第一解錠要求)に含まれる情報(識別情報とサービス番号)とを利用し、事業者サーバ装置BOSにアクセスする。
【0053】
例えば、問い合わせ部74は、解錠要求(第一解錠要求)に含まれるサービス事業者を識別する識別情報から、前記サービス事業者の配送状況照会サービスのサイトを特定する。このため、記憶装置44には、「識別情報」と前記サイト(URL)との対応テーブルが格納されている。
【0054】
問い合わせ部74は、識別情報によって識別されるサービス事業者の配送状況照会サービスに係る事業者サーバ装置BOSのサイトにアクセスし、要求受付部72で取得したサービス番号を用いて、荷物の配送状況を照会する。前記事業者サーバ装置BOSは、事業者サーバ装置内の荷物管理テーブル80Aを参照して、解錠要求(第一解錠要求)に含まれる荷物のサービス番号と紐づいている当該荷物に関する情報(例えば配送状況や、エラー情報)を管理サーバ装置1に送信し、問い合わせ結果受信部76は当該情報を問い合わせ結果として受信する。続いて、解錠指示部78は、当該問い合わせ結果に特定の情報(例えば、配送状況が「配達中」であることを表す情報)が含まれているか否かを確認する。続いて、解錠指示部78は、特定の情報が含まれていることを確認した場合には、扉制御装置10に対し、扉11の解錠指示を送信する。一方、解錠指示部78は、特定の情報が含まれていないことを確認した場合には、確認が失敗したと判断し、扉制御装置10に対し、エラー通知等を通知する。
【0055】
また、事業者サーバ装置BOSは、機能手段として、荷物の配送状況照会サービス81の提供を行い、そのための記憶部80を備える。記憶部80は、サービス事業者(宅配業者)により設定されたサービス番号や、組織(営業所)が担当する荷物(追跡番号に対応する荷物)に関する情報(例えば、配達中であるか否かの配送状況等)を記憶する機能を有する。具体的には、記憶部80は、荷物管理テーブル80Aを記憶する。この荷物管理テーブル80Aに含まれる各情報は、例えば、各サービス事業者(宅配業者)によって逐次更新される。
【0056】
荷物管理テーブル80Aは、例えば、各サービス事業者が管理する事業者サーバ装置BOSにそれぞれ設けられている。例えば、荷物管理テーブル80Aには、サービス事業者が扱う各荷物のサービス番号と、当該荷物に関する情報(例えば配送状況)とが紐づけられて(対応付けられて)格納されている。図5は、荷物管理テーブル80Aの一例を示す図である。
【0057】
図5に示すように、荷物管理テーブル80Aには、サービス事業者毎に、荷物のサービス番号(追跡番号)と、当該荷物の配送状況とが紐付けられて格納されている。この荷物の配送状況は、当該荷物が配達中であるか否かを示す情報(フラグ)であってもよい。
【0058】
<扉解錠システムにおける処理の流れ>
図6は、本発明の実施形態に係る扉解錠システム100において、サービス事業者の宅配員が扉11を解錠して集合住宅Mに入る際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理の内容及び順番は、適宜変更することができる。
【0059】
(ステップSP1)
扉制御装置10の要求受付部60は、宅配員によって集合玄関機12の入力装置に入力された事業者識別情報を取得する。例えば、宅配員が、表示装置26のタッチパネルにおいて、複数のサービス事業者それぞれの名称を示す領域を含む選択画面の中から、一つのサービス事業者の名称を示す領域を選択(入力)した場合に、当該サービス事業者に対応する事業者識別情報(宅配事業者ID)を、解錠要求(第一解錠要求)の一部として取得する。
そして、処理は、ステップSP2の処理に移行する。
【0060】
(ステップSP2)
扉制御装置10の要求受付部60は、集合玄関機12のカメラ(又はスキャナ)30を制御して、宅配員により提示されたコード(二次元コード又は三次元コード)を撮影(読込)する。続いて、要求受付部60は、撮影したコードを分析してサービス番号を、解錠要求(第一解錠要求)の一部として取得する。
そして、処理は、ステップSP3の処理に移行する。
【0061】
(ステップSP3)
扉制御装置10の送信部62は、ステップSP1において要求受付部60が取得した事業者識別情報(宅配事業者ID)と、ステップSP2において要求受付部60が取得したサービス番号(追跡番号)と、を解錠要求(第一解錠要求)として、管理サーバ装置1に送信する。
そして、処理は、ステップSP4の処理に移行する。
【0062】
(ステップSP4)
管理サーバ装置1の要求受付部72は、ステップSP3において扉制御装置10の送信部62から送信された解錠要求(第一解錠要求)を受信する。
そして、処理は、ステップSP5の処理に移行する。
【0063】
(ステップSP5)
管理サーバ装置1の問い合わせ部74は、解錠要求(第一解錠要求)に含まれる事業者識別情報(宅配事業者ID)によって識別されるサービス事業者の配送状況照会サービスに係る事業者サーバ装置BOSのサイト(URL)を特定する。続いて、問い合わせ部74は、特定した事業者サーバ装置BOS(配送状況照会サービス81)に対して、前記解錠要求に含まれる荷物のサービス番号を用いて、配送状況の問い合わせを行う。
そして、処理は、ステップSP6の処理に移行する。
【0064】
(ステップSP6)
管理サーバ装置1の問い合わせ結果受信部76は、事業者サーバ装置BOSから、問い合わせ結果を受信する。
そして、処理は、ステップSP7の処理に移行する。
【0065】
(ステップSP7)
管理サーバ装置1の解錠指示部78は、ステップSP6において受信した問い合わせ結果に、荷物の配送状況が配達中であることを表す情報が含まれていることを確認した場合には、ステップSP9の処理に移行する。
一方、前記解錠指示部78は、問い合わせ結果に、荷物の配送状況の最終ステータスが配達完了であることを表す情報が含まれていることを確認した場合や、「該当なし」などの情報が含まれていることを確認した場合には、扉制御装置10にエラー通知を通知し、処理はステップSP8の処理に移行する。
【0066】
(ステップSP8)
集合玄関機12は、その表示装置において、解錠要求(第一解錠要求)が失敗したことを表示する。
そして、処理は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0067】
(ステップSP9)
管理サーバ装置1の解錠指示部78は、ステップSP3で解錠要求をした扉制御装置10に対し、扉11の解錠指示を送信する。
そして、処理は、ステップSP10の処理に移行する。
【0068】
(ステップSP10)
扉制御装置10の解錠指示部64は、管理サーバ装置1から解錠指示を受信した場合に、解錠要求(第一解錠要求)をした集合玄関機12に対し、解錠指示を送信する。集合玄関機12は、前記解錠指示の受信により、扉11の解錠装置に対し、解錠指示を送信し、これより前記解錠装置は、扉11の解錠動作を行う。また、集合玄関機12は、その表示装置において、解錠要求(第一解錠要求)が成功したことを表示する。
そして、処理は、図6に示す一連の処理を終了する。
これにより、宅配員(集荷員)は、扉11から集合住宅Mに入って、各部屋の前に荷物を置き配することや、部屋毎の宅配ボックスに荷物を投函すること、当該宅配ボックス等から荷物を集荷すること等ができる。
【0069】
(扉解錠システムが二重の扉を有する場合)
上述した処理の流れでは、宅配員は、扉11の解錠により、集合住宅Mに入ることができる場合(解錠する扉が一つの場合)を説明したが、セキュリティ性を高めるため、複数の扉11が設けられていてもよい。以下、上述した扉11を第一扉とし、当該第一扉が解錠されたことによって宅配員が到達可能な扉(第一扉よりも屋内側にある扉)を第二扉とする。ここで、第二扉は、例えば、第一扉が解錠されたことによって宅配員が所定時間以内に到達可能な扉である。この所定時間としては、例えば1分、5分、10分等が挙げられる。
なお、扉制御装置10は、第一扉と第二扉の施錠及び解錠を制御するものとする。
【0070】
例えば、上述した解錠要求を第一解錠要求として、当該第一解錠要求には、配送先の部屋番号が含まれている。具体的には、要求受付部60は、上述したステップSP1において、サービス事業者(宅配業者)によって入力装置に入力された事業者識別情報と部屋番号とを、第一解錠要求の一部として取得する。この際の要求受付部60は「第一要求受付部」として機能している。この入力装置は、例えば、第一扉の近傍に設置された集合玄関機(第一集合玄関機)に設けられている。この部屋番号は、例えば、配送先又は集荷先の部屋番号である。入力装置に入力された部屋番号は、例えばメモリ22に記憶(格納)される。
【0071】
続いて、上述したステップSP9において、扉制御装置10の解錠指示部64が第一扉を解錠した後、扉制御装置10の要求受付部60は、第二扉に係る入力装置において、宅配員から、事業者識別情報と部屋番号とを含む第二解錠要求を取得する。この際の要求受付部60は「第二要求受付部」として機能している。この入力装置は、例えば、第二扉の近傍に設置された集合玄関機(第二集合玄関機)に設けられているタッチパネルである。第二解錠要求に含む情報としては、事業者識別情報を省略することも可能である。
【0072】
続いて、解錠指示部64は、少なくとも、第二解錠要求に含まれる部屋番号が第一解錠要求に含まれる部屋番号と一致することに基づき、第二扉を解錠する。この際の解錠指示部64は「第二解錠指示部」として機能している。具体的には、解錠指示部64は、メモリ22に一時的に保管されている第一集合玄関機で入力された部屋番号と、第二集合玄関機で入力された部屋番号が一致している場合に、第二扉を解錠する。対比確認するデータは、部屋番号のみに限らず、事業者識別情報を付加しても良い。
【0073】
第二解錠要求に対応する処理において、上述した第一解錠要求の処理と同様にステップSP1~10の処理を繰り返すことも可能であるが、第一扉を解錠する際に、既に確認した情報でもあるため、可能な範囲で少ない情報入力で第二扉の解錠を制御することが好ましい。すなわち、第二扉の近傍に設置された集合玄関機(第二集合玄関機)では、サービス番号の取得(コード読取りや入力)が不要となる。このため、例えば、第二集合玄関機では、カメラ30を設けなくてもよい。
【0074】
また、解錠指示部64は、第一解錠要求によって第一扉を解錠した後、上記所定時間(例えば10分)が経過していない場合に限って、第二扉を解錠してもよい。例えば、解錠指示部64は、第一解錠要求によって第一扉が解錠された後、所定時間が経過(タイムアウト)した場合には、第二扉の近傍に設置された集合玄関機(第二集合玄関機)の表示装置26において、サービス事業者(宅配業者)に対して、サービス番号の取得(コード読取りや入力)を求めてもよいし、第一扉の近傍に設置された集合玄関機(第一集合玄関機)に戻って再び解錠要求(第一解錠要求)することを求めてもよい。
【0075】
<扉解錠システムに係る応用例>
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する応用例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0076】
本発明の管理サーバ装置1では、扉制御装置から受け取る荷物のサービス番号のみを用いて、事業者サーバ装置BOSに問い合わせをし、その問い合わせ結果に基づいて解錠指示をするものであった。このため、ユーザ情報を必要としない点では、情報管理の負担を軽減できるという利点があった。また、配達される荷物の配達先がユーザの配達先であるかどうかをダブルチェックするため、本発明の管理サーバ装置だけでなく、図1の扉解除システム1に宅配業者端末やユーザ端末もネットワークNTに加え、配達される荷物に関する情報を増やすことも可能である。宅配業者端末は、サービス事業者(宅配業者)が操作する通信端末装置である。この宅配業者端末としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0077】
ユーザ端末は、ユーザが操作する通信端末装置である。このユーザ端末としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。特に、ユーザ端末としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の持ち運びが可能な携帯型の通信端末装置であることが好ましい。
【0078】
例えば、追加する確認情報として、ユーザの住所、氏名、電話番号、電子メールアドレス、サービス事業者から取得したユーザIDなどのユーザに係る情報や、荷物に係る配達先の住所、氏名、電話番号等の情報がある。また、集合住宅を特定する位置情報(GPS,玄関に貼られた二次元コードなどの情報)も利用可能である。扉解錠システム100を構成する異なる装置から同じ項目の情報を入手し、情報が一致しているか否かを、追加的に判断することも可能である。
【0079】
集合玄関機12は、通常のインターホンとしても利用可能であることから、集合玄関機12の表示装置のタッチパネルに、本発明に係る「扉解錠システム」の選択項目を表示させ、当該項目を選択した場合には、上述したステップSP1からの処理が始まるように構成することも可能である。
【0080】
さらに、宅配員が前記表示装置のタッチパネルから上記「扉解錠システム」を選択し、サービス事業者に対応する事業者識別情報(宅配事業者ID)を選択し、部屋番号を入力すると、当該部屋番号の部屋の呼び出しが行われ、一定時間内に応答が無い場合は不在と判断し、前記表示装置に「サービス番号」の入力を促すようにしても良い。また、「扉解錠システム」を選択した後、部屋番号を入力し、その後一定時間内に応答が無い場合に事業者識別情報やサービス情報の入力を求めるようにしても良い。
【0081】
本発明の管理サーバ装置や扉制御装置は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータにより実現され、所定のプログラムをメモリから読み出してプロセッサにより実行することで、本発明に関連する機能・処理などを実現するように構成される。サーバは、1台のコンピュータにより実現されてもよく、連携して動作する複数台のコンピュータにより実現されても良い。
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、それらの装置により実行される方法、これらの装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータで読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…管理サーバ装置
10…扉制御装置
11…扉
BOS…事業者サーバ装置
60…要求受付部
62…送信部
64…解錠指示部
72…要求受付部
74…問い合わせ部
76…問い合わせ結果受信部
78…解錠指示部
81…配送状況照会サービス
100…扉解錠システム
【要約】      (修正有)
【課題】宅配員によるオートロック扉の解錠要求がされる前に荷物情報(サービス番号等)、配送情報等をあらかじめ取得及び記憶することなく、配達先が不在時でも適切にオートロック扉を解錠し、荷物の配達を行うこと。
【解決手段】集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置10と通信可能な管理サーバ装置1であって、扉制御装置10から、サービス事業者を識別する識別情報と荷物のサービス番号とを含む解錠要求を受け付ける要求受付部72と、識別情報によって識別されるサービス事業者の事業者サーバ装置BOSに対し、サービス番号に係る荷物の配送状況について問い合わせを行う問い合わせ部74と、問い合わせ結果を受信する問い合わせ結果受信部76と、問い合わせ結果に特定の情報が含まれていることを確認した場合に、扉制御装置に対し、扉を解錠する解錠指示を送信する解錠指示部78と、を備える管理サーバ装置1。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6