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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
F25B49/02 510C
F25B49/02 510B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024037983
(22)【出願日】2024-03-12
【審査請求日】2024-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智大
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 仁
(72)【発明者】
【氏名】萩原 啓太
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-092360(JP,A)
【文献】実開昭61-197466(JP,U)
【文献】実開昭56-054757(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0105092(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第105371430(CN,A)
【文献】特開2018-115804(JP,A)
【文献】特開2004-061067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00 ~ 49/04
F24F 1/00 ~ 13/32
F28F 9/00
F28F 21/08
G01K 1/14 ~ 1/143
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を有する空気調和機であって、
前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管と、
前記冷媒配管の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを前記冷媒配管に取り付ける感熱管と、
前記温度センサを回路基板に接続させる配線と、を備え、
前記感熱管は、前記冷媒配管と前記感熱管との接触部分のうち、ロウ付けされている固定部分と、ロウ付けされていない非固定部分とを有し、
前記配線は、前記感熱管の下端から前記温度センサに接続され、
前記感熱管は、長手方向の両端に前記非固定部分を有し、上端側に位置する前記非固定部分は下端側に位置する前記非固定部分よりも長い、又は、長手方向の両端のうち下端のみに前記非固定部分を有する、空気調和機。
【請求項2】
熱交換器を有する空気調和機であって、
前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管と、
前記冷媒配管の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを前記冷媒配管に取り付ける感熱管と、
室内機及び室外機と、を備え、
前記感熱管は、前記冷媒配管と前記感熱管との接触部分のうち、ロウ付けされている固定部分と、ロウ付けされていない非固定部分とを有し、
前記室内機に配置された前記冷媒配管に取り付けられる前記感熱管は前記固定部分及び前記非固定部分を有し、
前記室外機に配置された前記冷媒配管に取り付けられる前記感熱管は前記固定部分のみを有し、前記非固定部分を有さない、空気調和機。
【請求項3】
熱交換器を有する空気調和機であって、
前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管と、
前記冷媒配管の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを前記冷媒配管に取り付ける感熱管と、
前記温度センサを回路基板に接続させる配線と、を備え、
前記感熱管は、ロウ付けにより前記冷媒配管に固定される固定部分と、前記固定部分における前記冷媒配管との距離と同じ距離だけ前記冷媒配管から離れ、ロウ付けされていない非固定部分とを有し、
前記配線は、前記感熱管の下端から前記温度センサに接続され、
前記感熱管は、長手方向の両端に前記非固定部分を有し、上端側に位置する前記非固定部分は下端側に位置する前記非固定部分よりも長い、又は、長手方向の両端のうち下端のみに前記非固定部分を有する、空気調和機。
【請求項4】
熱交換器を有する空気調和機であって、
前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管と、
前記冷媒配管の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを前記冷媒配管に取り付ける感熱管と、
室内機及び室外機と、を備え、
前記感熱管は、
ロウ付けにより前記冷媒配管に固定される固定部分と、
前記固定部分における前記冷媒配管との距離と同じ距離だけ前記冷媒配管から離れ、ロウ付けされていない非固定部分とを有し、
前記室内機に配置された前記冷媒配管に取り付けられる前記感熱管は前記固定部分及び前記非固定部分を有し、
前記室外機に配置された前記冷媒配管に取り付けられる前記感熱管は前記固定部分のみを有し、前記非固定部分を有さない、空気調和機。
【請求項5】
前記感熱管は、長手方向の両端の少なくとも一方側に前記非固定部分を有する、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記感熱管は、前記温度センサが取り付けられた状態で前記温度センサの温度検知部が位置する箇所の外面に対応する位置に前記固定部分を有する、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記感熱管の長手方向において、前記固定部分は前記温度センサより短い、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記感熱管の長手方向において、前記固定部分は前記非固定部分より短い、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記感熱管の長手方向において、前記固定部分は前記温度センサの温度検知部より長い、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記感熱管は、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料としている、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記感熱管の肉厚は前記冷媒配管の肉厚より厚い、請求項10に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記冷媒配管は、直線配管と、曲げ配管とを有し、
前記固定部分及び非固定部分は前記直線配管に対応する箇所に位置する、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【請求項13】
前記固定部分のロウ付けに用いられるロウ材は、前記冷媒配管に使用される材料とは異なる種類のアルミニウム合金であり、前記冷媒配管に使用される材料の融点よりも低い、請求項1乃至4の何れかの一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ方式の冷凍サイクルの制御では、熱交換器の温度を検出する必要がある。
本技術分野の背景技術として、特許第6822547号公報(特許文献1)がある。この公報には、「内部に冷媒が流れるアルミ製の配管(30)と、上記冷媒の温度を検出するサーミスタ(12)と、上記サーミスタ(12)を上記配管(30)に取り付ける取付部(13)とを備え、上記配管(30)の表面の一部には、上記配管(30)を構成するアルミよりも電位が低い犠牲層(14)が設けられており、上記取付部(13)は、上記犠牲層(14)よりも高い電位を有し、上記取付部(13)の少なくとも一部が、上記犠牲層(14)が設けられていない上記配管(30)の表面に取り付けられ、上記取付部(13)が、上記犠牲層(14)よりも電位が高いロウ付け部(132)を有し、上記サーミスタ(12)が、上記ロウ付け部(132)を介して上記配管(30)に取り付けられている、熱交換器(10)。」と記載されている(特許請求の範囲参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6822547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、冷媒配管が銅製であり、ステンレス製のC型の板バネを使用してサーミスタの冷媒配管への取付けを行っている。
しかし、冷媒配管をアルミニウム又はアルミニウム合金を材料にすると、前記のような板バネを使用したときに冷媒配管に傷が付きやすく、また、異種金属同士の接触による腐食も生じやすい。これらは、冷媒配管の冷媒漏れやサーミスタの脱落につながりやすいという不具合がある。
一方、冷媒配管に感熱管をロウ付けする場合、ロウ材とアルミニウムの融点が近いことから、取り付けの難易度が高い。
【0005】
そこで、本発明は、冷媒配管に感熱管を取り付けやすい空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、熱交換器を有する空気調和機であって、前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管と、前記冷媒配管の温度を検出する温度センサと、前記温度センサを前記冷媒配管に取り付ける感熱管と、前記温度センサを回路基板に接続させる配線と、を備え、前記感熱管は、前記冷媒配管と前記感熱管との接触部分のうち、ロウ付けされている固定部分と、ロウ付けされていない非固定部分とを有し、前記配線は、前記感熱管の下端から前記温度センサに接続され、前記感熱管は、長手方向の両端に前記非固定部分を有し、上端側に位置する前記非固定部分は下端側に位置する前記非固定部分よりも長い、又は、長手方向の両端のうち下端のみに前記非固定部分を有する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷媒配管に感熱管を取り付けやすい空気調和機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の空気調和機の概略構成図である。
図2】本実施形態の空気調和機における熱交換器の正面図である。
図3】本実施形態の空気調和機における冷媒配管と感熱管の縦断面図である。
図4】本実施形態の空気調和機における冷媒配管と感熱管の接合状況を説明する正面図である。
図5】本実施形態の空気調和機における冷媒配管と感熱管の接合状況の他の例を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の空気調和機の概略構成図である。本実施例の空気調和機100は、室外機1と、室内機2とを備えている。
室外機1は、冷媒を圧縮する圧縮機3と、冷媒の流れの向きを切り替える四方弁4と、室外空気と冷媒との間で熱交換する室外熱交換器5と、室外空気を室外機1の内部に取り込むプロペラファン6と、冷媒を膨張させる膨張弁7とを備えている。
【0010】
室内機2は、室内空気と冷媒との間で熱交換する室内熱交換器8と、室内空気を室内機2の内部に取り込む送風ファンとしての貫流ファン9とを備えている。
また、室外機1において、圧縮機3、四方弁4、室外熱交換器5、膨張弁7、および、室内熱交換器8は、配管10で接続されており、配管10を介して冷媒が各機器を循環することができる。冷媒としては、R410AやR32等の冷媒が使用され得る。
空気調和機100の冷房運転時において、四方弁4は、図1の実線で示すような接続状態とされる。この場合、圧縮機3から吐出された冷媒は、室外熱交換器5、膨張弁7、室内熱交換器8の順に流れ、再び圧縮機3に循環するようになっている(図1の実線矢印参照)。一方、空気調和機100の暖房運転時において、四方弁4は、図1の破線で示すような接続状態とされる。この場合、圧縮機3から吐出された冷媒は、室内熱交換器8、膨張弁7、室外熱交換器5の順に流れ、再び圧縮機3に循環する(図1の破線矢印参照)。
【0011】
室外機1の内部では、室外空気がプロペラファン6によって吸引されて室外熱交換器5を通過することによって、室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。また、室内機2の内部では、室内空気が貫流ファン9によって吸引されて室内熱交換器8を通過することによって、室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。そして、空気調和機100は、冷媒と熱交換することによって加熱または冷却された室内空気である調和空気を吹出して、室内の空調を行う。
【0012】
図2は、室内熱交換器の平面図である。室内熱交換器8(室外熱交換器5であってもよい)は、冷媒が流通する冷媒配管11と、冷媒配管11に取り付けられた複数枚のフィン12とを備えている。なお、フィン12は、長さ方向を上下方向として水平方向に多数枚が並列して冷媒配管11に取り付けられているが、図2では、便宜上、その一部のみを図示している。冷媒配管11は左右の端部で上下に折れ曲がることで、つづら折り状に上下に複数の管が並ぶ。冷媒配管13は、冷媒配管11と配管10とを接続する配管である。冷媒配管11,13は、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用している。
【0013】
冷媒配管13(室内熱交換器8の冷媒の流路の一部を構成している冷媒配管11であってもよい)には、感熱管14が取り付けられている。この感熱管14の内部には温度センサ15(図3)(本例では、サーミスタ)が取り付けられている。温度センサ15は、冷媒配管13の温度を検出するセンサである。配線31は、温度センサ15を所定の回路基板(図示せず)に接続させる配線である。配線31は、感熱管14の下端から温度センサ15に接続されている。
感熱管14は、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料としている。
【0014】
図3は、冷媒配管と感熱管の拡大縦断面図である。感熱管14は、後記のように、冷媒配管13の長手方向が垂直に直線的に延出している部分の側面に、その長さ方向を冷媒配管13の長さ方向と平行にしてロウ付け固定されている。感熱管14は、内部が中空で当該中空部14aから上下の端部が外部に開口している容器である。感熱管14は、その上下の端部の一方が閉塞していてもよい。一般的には、感熱管14は、長さ方向のどの位置でも断面方向のサイズ、形状が一律な管とすることが、製作上容易である。径サイズの形状は、円形でも多角形状であってもよい。しかし、中空部14a内は、温度センサ15を開口部14bから容易に挿入できる大きさ、形状とする。本実施形態では、温度センサ15は、下側の開口部14bから挿入している。そして、温度センサ15は、弾性部材となる板バネ16等で中空部14a内において付勢され、中空部14aの冷媒配管13側の内周面に押し付けられて、感熱管14内からの脱落が防止されている。板バネ16は、上端部16aがU字状に折り曲げられていて、上側の開口部14bに係合して脱落の防止がなされている。また、板バネ16は、下端部16bが鉤状に曲がって、下側の開口部14bに係止されている。
【0015】
図4図5は、冷媒配管と感熱管の正面図である。冷媒配管13と感熱管14とは領域21においてロウ付けにより接合されている。ロウ材は、A4047(アルミニウム-シリコン合金)等、冷媒配管13を構成するアルミニウム材よりは融点が低いものを用いるのが好ましい。つまり、ロウ材は、冷媒配管13に使用される材料とは異なる種類のアルミニウム合金で、冷媒配管13に使用される材料の融点よりも低いものが好ましい。また、ロウ付けによる熱的影響が温度センサ15に及ぶことを抑制するため、感熱管14をロウ付けした後に、感熱管14内に温度センサ15を取り付けるようにすることが好ましい。
【0016】
図4図5の例では、感熱管14の長手方向の上端から下端まで冷媒配管13の側方に接触している。そして、その接触部分のうち上下方向の一部である領域21においてのみロウ付けされている。
また、前記のロウ付けにより冷媒配管13と感熱管14との間にはわずかな間隔の隙間が生じることも考えられる。図3の例では、冷媒配管13と感熱管14との間にはわずかに隙間を開けた例を図示している。
【0017】
図3図5に示すように、感熱管14の長手方向の上端から下端まで冷媒配管13の側方に水平方向で対峙している(感熱管14と冷媒配管13とが接触している場合も含めて)。そして、ロウ付けされている領域21が冷媒配管13に感熱管14が固定されている固定部分となる。
【0018】
感熱管14は、その方向(長手方向)の少なくとも一方側にロウ付けがされていない部分(領域21以外の部分)を有する。図5の例では、領域21の上下の少なくとも一方(図5では両方)がロウ付けされていない非固定部分22となる。図3の例では、感熱管14は、冷媒配管13との距離でロウ付け部分と同じ距離離れているロウ付けされていない非固定部分を図5の場合と同様に備えている。
【0019】
図4に示すように、感熱管14は、温度センサ15を取り付けた状態で温度センサ15の温度検知部分15aが位置する箇所の面(外側面)に対応する位置でロウ付けがされている。温度検知部15aは、温度センサ15がサーミスタであれば、温度を検知する半導体素子である。
感熱管14は、その長手方向の両端側の前記ロウ付けがされていない部分(図5の例では非固定部分22)のうちの一方(図5の例では下側の方)が他方より長い。感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は温度センサ15より短い(図4)。感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は非固定部分22より短い(図5)。感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は温度センサ15の温度検知部15aより長い。感熱管14の肉厚は冷媒配管13の肉厚より厚いことが好ましい(図示せず)。
【0020】
冷媒配管13は、直線配管と、曲げ配管とを有し(図2)、固定部分(領域21)及び非固定部分22は直線配管に対応する箇所に位置する(図3図5)。
空気調和機100は、次のような構成としてもよい。すなわち、空気調和機100は、室内機2及び室外機1を備えているが、前記の熱交換器は、室内熱交換器8である。すなわち、室内機2に配置された冷媒配管13に取り付けられる感熱管14は固定部分(領域21)及び非固定部分22を有している。室外機1に配置された冷媒配管13に取り付けられる感熱管14は固定部分(領域21)のみを有し、非固定部分22を有さない。
【0021】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態は、冷媒配管13と感熱管14との接合にロウ付けを用いていて、前記特許文献1のように板バネ等を使用していないので、アルミニウム製の冷媒配管13に傷が付きにくい。また、冷媒配管13、感熱管14ともアルミニウムなので、異種金属同士の接触による腐食も生じにくい。そのため、冷媒配管13の冷媒漏れや温度センサ15の脱落が生じにくい。これにより、冷媒配管13に感熱管14を取り付けやすい空気調和機100を提供することができる。
【0022】
また、冷媒配管13と感熱管14とのロウ付けは全体的ではなく、前記のとおり一部だけに行っているので、冷媒配管13と感熱管14との接合作業を短時間ですませられ、冷媒配管13や感熱管14を破損させにくい。よって、空気調和機100の生産性を高めることができる。
感熱管14の上下両端側の少なくとも一方、本例では両方にロウ付けされていない部分を有する。これら両端はロウ付けがしづらく、ロウ付けしようとするとロウ材が感熱管14の内部に回り込みやすい。よって、感熱管14の上下両端側の少なくとも一方をロウ付けされていない部分とすることで、ロウ付け作業を短時間ですませることができ、ロウ材が感熱管14の内部に回り込まないので、感熱管14内に温度センサ15を収納しやすくすることができる。
【0023】
感熱管14は、温度センサ15を取り付けた状態で温度センサ15の温度検知部分15aが位置する箇所の外側面に対応する位置でロウ付けがされている。そのため、温度センサ15の温度検出の精度を向上させることができる。
感熱管14は、その長手方向の両端側の前記ロウ付けがされていない部分(図5の例では非固定部分22)のうちの一方(図5の例では下側の方の非固定部分22)が他方より長い。本実施形態では、感熱管14の下側から温度センサ15を挿入するようにしている。そのため、感熱管14の下側がロウ付け作業により熱的に変形して、感熱管14の下側から温度センサ15を挿入することが困難になることを抑制することができる。
【0024】
感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は温度センサ15より短い(図4)。また、感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は非固定部分22より短い(図5)。そのため、固定部分(領域21)の範囲が限定されるので、ロウ付け作業の作業性が向上する。
感熱管14の長手方向において、固定部分(領域21)は温度センサ15の温度検知部15aより長い。そのため、固定部分(領域21)を介して温度検知部15aに冷媒配管13側の温度が十分に伝わり、温度センサ15の検出精度を確保することができる。
【0025】
感熱管14の肉厚は冷媒配管13の肉厚より厚いことが好ましい(図示せず)。これにより、ロウ付け作業の際に感熱管14を溶けづらくすることができる。
固定部分(領域21)のロウ付けに用いられるロウ材は、冷媒配管13に使用される材料とは異なる種類のアルミニウム合金であり、冷媒配管13に使用される材料の融点よりも低いものが好ましい。これにより、ロウ材にもアルミニウム合金を用いるので、犠牲防食を抑制し、且つ、合金の種類をロウ材と冷媒配管13とで変えることで、ロウ材の融点を下げ、ロウ付け作業の際に冷媒配管13を溶けづらくすることができる。
【0026】
また、室内機2に配置された冷媒配管13に取り付けられる感熱管14は固定部分(領域21)及び非固定部分22を有し、室外機1に配置された冷媒配管13に取り付けられる感熱管14は固定部分(領域21)のみを有し、非固定部分22を有さないものとした場合は次のような作用効果を奏する。すなわち、室外機1では腐食により感熱管14が外れる可能性が室外機2よりも高い。そこで、室外機1に配置された冷媒配管13では、固定部分(領域21)のみを有し、非固定部分22を有さないものとすることで、冷媒配管13に対する感熱管14の全体的なロウ付けが可能となり、腐食により感熱管14が外れる可能性を低減することができる。
【0027】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 室外機
2 室内機
5 室内熱交換器(熱交換器)
8 室外熱交換器(熱交換器)
11 冷媒配管(配管)
13 冷媒配管(配管)
14 感熱管
15 温度センサ
15a 温度検知部
21 領域(固定部分)
22 非固定部分
31 配線
100 空気調和機
【要約】
【課題】冷媒配管に感熱管を取り付けやすい空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、前記熱交換器の冷媒の流路の一部を構成している、又は、前記熱交換器に接続されている配管を構成している、アルミニウム又はアルミニウム合金を材料に使用した冷媒配管13と、冷媒配管13の温度を検出する温度センサ15と、温度センサ15を冷媒配管13に取り付ける感熱管14と、を備え、感熱管14は、冷媒配管13と感熱管14との接触部分のうち、ロウ付けされている固定部分と、ロウ付けされていない非固定部分22とを有する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5