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特許7580185提供装置、提供方法および提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法および提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/08 20060101AFI20241101BHJP
   G09C 1/00 20060101ALI20241101BHJP
   H04L 9/14 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H04L9/08 A
G09C1/00 650Z
H04L9/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019133676
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021019277
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇史
(72)【発明者】
【氏名】田平 章人
(72)【発明者】
【氏名】沼畑 大
(72)【発明者】
【氏名】熊田 圭佑
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】林 毅
【審判官】大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】BHATTACHARJEE, T. et al., Hierarchical secret image sharing scheme in compressed sensing, Signal Processing: Image Communication, 2018年, Vol.61, pp.21-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L9/08
H04L9/14
G09C1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮センシング技術においてサンプリングデータから当該サンプリングデータに対応する復元データを復元するために使用される観測行列を、前記復元データを復元可能な最低限の部分行列である基準行列を含む複数の分割領域に分割する分割部と、
前記分割部によって分割された前記分割領域を所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵であって、各分割領域と対応する暗号鍵で暗号化する暗号化部と、
前記観測行列を用いて前記復元データを復元するユーザ端末から当該復元データに求める精度に応じた暗号鍵の要求を受け付けると、前記基準行列と対応する暗号鍵に加えて、当該精度に応じた分割領域に対応する暗号鍵前記ユーザ端末に提供する提供部と
を備えことを特徴とする提供装置。
【請求項2】
前記暗号化部は、
ランプ型の前記秘密分散方式に基づく前記暗号鍵暗号化すること
を特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記提供部は、
購入金額に応じて、前記暗号鍵を提供すること
を特徴とする請求項1または2に記載の提供装置。
【請求項4】
コンピュータが実行する提供方法であって、
圧縮センシング技術においてサンプリングデータから当該サンプリングデータに対応する復元データを復元するために使用される観測行列を、前記復元データを復元可能な最低限の部分行列である基準行列を含む複数の分割領域に分割する分割工程と、
前記分割工程によって分割された前記分割領域を所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵であって、各分割領域と対応する暗号鍵で暗号化する暗号化工程と、
前記観測行列を用いて前記復元データを復元するユーザ端末から当該復元データに求める精度に応じた暗号鍵の要求を受け付けると、前記基準行列と対応する暗号鍵に加えて、当該精度に応じた分割領域に対応する暗号鍵前記ユーザ端末に提供する提供工程と
を含ことを特徴とする提供方法。
【請求項5】
圧縮センシング技術においてサンプリングデータから当該サンプリングデータに対応する復元データを復元するために使用される観測行列を、前記復元データを復元可能な最低限の部分行列である基準行列を含む複数の分割領域に分割する分割手順と、
前記分割手順によって分割された前記分割領域を所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵であって、各分割領域と対応する暗号鍵で暗号化する暗号化手順と、
前記観測行列を用いて前記復元データを復元するユーザ端末から当該復元データに求める精度に応じた暗号鍵の要求を受け付けると、前記基準行列と対応する暗号鍵に加えて、当該精度に応じた分割領域に対応する暗号鍵前記ユーザ端末に提供する提供手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法および提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スパース性を持つデータに対して適用可能なデータ圧縮技術として、圧縮センシングと称される技術がある。かかる技術では、観測行列を用いることで、サンプリングデータからデータを復元することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-32252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した技術は、復元するデータに求められる精度に応じた観測行列を提供することについて考慮されていなかった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、復元するデータに求められる精度に応じた観測行列を提供することができる提供装置、提供方法および提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る提供装置は、分割部と、暗号化部と、提供部とを備える。前記分割部は、観測行列を複数の分割領域に分割する。前記暗号化部は、前記分割部によって分割された前記分割領域を所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵へ暗号化する。前記提供部は、前記暗号化部によって暗号化された前記暗号鍵を提供する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、復元するデータに求められる精度に応じた観測行列を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る提供処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る提供装置の構成例を示す図である。
図3図3は、観測行列データベースの一例を示す図である。
図4図4は、ユーザ情報データベースの一例を示す図である。
図5A図5Aは、分割領域の一例を示す図(その1)である。
図5B図5Bは、分割領域の一例を示す図(その2)である。
図6図6は、暗号鍵の個数と観測行列との関係を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る提供装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る提供装置、提供方法および提供プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る提供装置が行う情報処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。図1では、実施形態に係る提供装置10およびユーザ端末100とを示す。
【0011】
ところで、非特許文献1(http://www.ieice.org/~netsci/wp-content/uploads/2016/05/NetSci201605_Kabashima.pdf)に開示された圧縮センシングという技術がある。
【0012】
かかる圧縮センシングでは、観測行列を用いることで、サンプリングデータからサンプリングデータに対応する復元データを復元することが可能である。ここで、観測行列の一部を用いた場合であっても、ある程度の精度でサンプリングデータから復元データを復元することが可能である。
【0013】
提供装置10は、かかる点に着目し、観測行列を複数の分割領域に分割し、分割した分割領域を所定の暗号鍵へ暗号化し、暗号鍵を提供することとした。つまり、提供装置10は、ユーザが復元データに求める精度に応じて、観測行列を分割して提供することとした。
【0014】
具体的には、図1に示すように、提供装置10は、観測行列Fを複数の分割領域f1~fnへ分割する(ステップS1)。例えば、観測行列Fの分割領域f1を用いる場合、サンプリングデータから復元データをある程度の精度で復元することができ、分割領域f2、f3・・・と分割領域が増えるほど、復元データの精度を向上させることが可能である。なお、以下では、分割領域f1~fnを特に区別しない場合、単に分割領域fと記載する場合がある。
【0015】
続いて、提供装置10は、各分割領域fを所定の暗号化方式に基づく暗号鍵へ暗号化を行う(ステップS2)。本実施形態において、ランプ型しきい値秘密分散法を用いて、各分割領域fの暗号化を行う。
【0016】
ランプ型しきい値分散法は、秘密情報(観測行列Fに対応)を完全に復号できないものの、暗号鍵の個数に応じて、秘密情報について何らかの情報が得られる秘密分散方式である。つまり、暗号鍵が増えるにつれて、秘密情報をより正確に得ることが可能となる。
【0017】
また、一般的に、ランプ型しきい値分散法において、k個以上の暗号鍵が存在する場合に、秘密情報について何らかの情報を得ることができる。例えば、上述の観測行列Fでは、分割領域f1が無いと、復元データを復元することができない。
【0018】
このため、提供装置10は、例えば、分割領域f1についてk個の暗号鍵で復元可能となるように暗号化を行い、以降、暗号鍵の個数が増えるにつれて、分割領域f2以降の分割領域fを復元可能となるように暗号化を行う。
【0019】
そして、提供装置10は、ユーザ端末100から暗号鍵の要求を受け付けた場合に(ステップS3)、対応する暗号鍵をユーザ端末100へ提供する(ステップS4)。これにより、ユーザ端末100では、暗号鍵に基づき、暗号鍵の個数に対応する観測行列Fを復元することができ、かかる観測行列Fに基づいて、復元データを得ることができる。
【0020】
また、ユーザUは、さらに精度の高い復元データを必要とする場合、再度、ユーザ端末100を用いて、さらに暗号鍵を提供装置10へ要求することとすればよい。すなわち、ユーザUは、復元データに求める精度に応じて、適宜、暗号鍵を要求することが可能となる。
【0021】
言い換えれば、ユーザUは、分割領域f1の観測行列Fを用いて、観測行列Fを試しに使ってみて、観測行列Fを有効と判断した場合に、より精度の高い観測行列Fを取得することが可能となる。
【0022】
このように、提供装置10は、観測行列Fを複数の分割領域fに分割し、暗号鍵を用いて暗号化するとともに、暗号鍵を提供することで、復元データに求められる精度に応じて、観測行列Fを提供することが可能となる。
【0023】
〔2.提供装置の構成〕
次に、図2を用いて、実施形態に係る提供装置10の構成例について説明する。図2は、実施形態に係る提供装置10のブロック図である。なお、図2には、複数のユーザ端末100を併せて示す。
【0024】
ユーザ端末100は、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイス、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等、サーバ装置等の情報処理装置により実現される。
【0025】
ユーザ端末100は、所定のネットワークNを介して提供装置10との間で、暗号鍵を要求したり、暗号鍵を取得したりする。また、ユーザ端末100は、暗号鍵から観測行列Fを復元することができ、復元した観測行列Fを用いて、サンプリングデータから復元データを復元することができる。
【0026】
図2に示すように、提供装置10は、通信部20と、記憶部30と、制御部40とを備える。通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ユーザ端末100との間で情報の送受信を行う。
【0027】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、観測行列データベース31およびユーザ情報データベース32を記憶する。
【0028】
観測行列データベース31には、観測行列Fに関する情報が登録される。図3は、観測行列データベース31の一例を示す図である。図3に示すように、観測行列データベース31は、「行列」、「第1領域」、「第2領域」、「暗号鍵」などが互いに対応付けられて登録されている。
【0029】
ここで、「行列」は、観測行列Fを示し、「第1領域」、「第2領域」は、それぞれ対応する分割領域fを示す。また、「暗号鍵」は、対応する観測行列Fの暗号鍵を示す。
【0030】
図3に示す例では、「F1」、「f1-1」、「f1-2」、「k1-1」等といった概念的な値について記載したが、実際には、文字列や数値等が登録されることとなる。また、図3に示す情報は、あくまで一例であり、観測行列データベース31には、図3に示す情報以外にも任意の情報が登録されていてよい。
【0031】
図2に戻り、ユーザ情報データベース32について説明する。ユーザ情報データベース32には、ユーザUが所有する暗号鍵に関する情報が登録される。図4は、ユーザ情報データベース32の一例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、ユーザ情報データベース32には、「ユーザID」、「購入金額」、「暗号鍵」が互いに対応付けられて登録される。ここで、「ユーザID」は、ユーザUを識別する識別子であり、「購入金額」は、対応するユーザUが暗号鍵を購入した金額を示す。後述するように、提供装置10は、観測行列Fを分割して、販売する新たなビジネスモデルを構築し、購入金額に応じて、暗号鍵を提供する。また、「暗号鍵」は、対応するユーザUへ提供した暗号鍵を示す。
【0033】
図2の説明に戻り、制御部40について説明する。制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、提供装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0034】
図2に示すように、制御部40は、分割部41と、暗号化部42と、提供部43とを備える。分割部41は、観測行列Fを複数の分割領域fに分割する。図5Aおよび図5Bは、分割領域fの一例を示す図である。
【0035】
図5Aに示すように、例えば、分割部41は、観測行列Fを行ごとに分割した分割領域f1~fnへ分割する。例えば、分割領域f1は、復元データを復元可能な最低限の行から構成される。
【0036】
また、分割領域f2~fnは、例えば、1行の行列である。なお、分割領域f2~fnに複数の行が含まれるようにしてもよい。また、分割部41は、各分割領域fを何行で構成するかは、観測行列Fの性質に応じて、適宜、決定することにしてもよい。
【0037】
また、図5Aに示したように、観測行列Fを分割した場合、ユーザ端末100では、最小二乗法を用いて、不足分の観測行列Fを補完して用いることができる。
【0038】
また、図5Bに示すように、分割部41は、観測行列Fの行および列から成る組を分割領域fとして、観測行列Fを分割することにしてもよい。ここで、分割領域f2以降の分割領域fを構成する行および列の数は、例えば、それぞれ1であるが、設定により、適宜、変更することにしてもよい。
【0039】
図2の説明に戻り、暗号化部42について説明する。暗号化部42は、分割部41によって分割された分割領域fを所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵を用いて暗号化する。本実施形態において、暗号化部42は、ランプ型のしきい値分散法に基づいて、暗号化を行う。
【0040】
図6は、暗号鍵の個数と観測行列Fとの関係を示す図である。なお、図6の縦軸は、エントロピーを示し、横軸は、暗号鍵の個数を示す。図6に示すように、暗号鍵が(k-L)個を超えると、エントロピーが減少し、暗号鍵がk個集まると、エントロピーが「0」となる。すなわち、暗号鍵が(k-L)個以下だとエントロピーはH(s)となるが、(k-L)個より多くなると、曖昧さが小さくなってく。
【0041】
つまり、暗号鍵が(k-L)個を超えた時点で、観測行列Fの一部を復元することが可能となり、暗号鍵がk個集まった時点で、観測行列Fを完全に復元することが可能となる。このため、例えば、暗号化部42は、分割領域f1を(k-L)個の暗号鍵で復元できるように暗号化する。
【0042】
そして、暗号化部42は、分割領域f2以降の分割領域fがそれぞれ暗号鍵の個数に応じて、復元できるように暗号化を行う。これにより、ユーザ端末100は、暗号鍵の個数に応じて、観測行列Fを徐々に復元することが可能となる。
【0043】
図2の説明に戻り、提供部43について説明する。提供部43は、各ユーザ端末100に対して、暗号化部42によって用いられた暗号鍵を提供する。提供部43は、各ユーザUの支払った金額に応じて、各暗号鍵を提供する。
【0044】
すなわち、ユーザUは、暗号鍵をさらに購入することで、復元データの精度を高めることができ、復元データを自身が求める精度で復元することが可能となる。なお、決済方法は、特に限定されないが、例えば、クレジットカード決済などといったオンライン決済を用いることができる。
【0045】
このように、提供部43は、暗号鍵をユーザUに対して販売することで、新たなビジネスモデルを構築することができる。
【0046】
〔3.情報処理のフロー〕
次に、図7を用いて、実施形態に係る提供装置10が実行する処理手順について説明する。図7は、実施形態に係る提供装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
図7に示すように、提供装置10は、まず、観測行列Fを複数の分割領域fに分割すると(ステップS101)、分割領域fを暗号鍵へ暗号化する(ステップS2)。続いて、提供装置10は、ユーザ端末100からの要求に応じて、暗号鍵を提供して(ステップS103)、処理を終了する。
【0048】
上述したように、実施形態に係る提供装置10は、分割部41と、暗号化部42と、提供部43とを備える。分割部41は、観測行列Fを複数の分割領域fに分割する。暗号化部42は、分割部41によって分割された分割領域fを所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵を用いて暗号化する。提供部43は、暗号化部42によって用いられた暗号鍵を提供する。したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、復元するデータに求められる精度に応じた観測行列Fを提供することができる。
【0049】
〔4.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る提供装置10は、例えば図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図8は、提供装置10の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0050】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0051】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網500を介して他の機器へ送信する。
【0052】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0053】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0054】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る提供装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部30内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0055】
〔5.効果〕
上述したように、実施形態に係る提供装置10は、分割部41と、暗号化部42と、提供部43とを備える。分割部41は、観測行列Fを複数の分割領域fに分割する。暗号化部42は、分割部41によって分割された分割領域fを所定の秘密分散方式に基づく暗号鍵へ暗号化する。提供部43は、暗号化部42によって暗号化された暗号鍵を提供する。
【0056】
したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、復元するデータに求められる精度に応じた観測行列Fを提供することができる。
【0057】
また、実施形態に係る提供装置10において、暗号化部42は、ランプ型の秘密分散方式に基づく暗号鍵へ暗号化する。
【0058】
したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、観測行列Fを分割して提供することができる。
【0059】
また、実施形態に係る提供装置10において、分割部41は、分割領域fとして、観測行列Fを行ごとに分割する。
【0060】
したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、求められる精度に応じて、観測行列Fを適切に分割することができる。
【0061】
また、実施形態に係る提供装置10において、分割部41は、分割領域fとして、観測行列の行および列からなる組ごとに分割する。
【0062】
したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、求められる精度に応じて、観測行列Fを適切に分割することができる。
【0063】
また、実施形態に係る提供装置10において、提供部43は、購入金額に応じて、暗号鍵を提供する。
【0064】
したがって、実施形態に係る提供装置10によれば、観測行列Fを分割して販売する新たなビジネスモデルを構築することが可能となる。
【0065】
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0066】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0067】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0068】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、分割部41は、分割手段や分割回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0069】
10 提供装置
20 通信部
30 記憶部
31 観測行列データベース
32 ユーザ情報データベース
40 制御部
41 分割部
42 暗号化部
43 提供部
100 ユーザ端末
F 観測行列
f 分割領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8