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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】吸収体と吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20241101BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20241101BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20241101BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20241101BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/494 111
A61F13/53 100
A61F13/534 100
A61F13/534 110
A61F13/539
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019223253
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2020108747
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-06-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】201811633255.6
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100201112
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】川上 祐介
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ジュイー
(72)【発明者】
【氏名】丹下 悟
【合議体】
【審判長】金丸 治之
【審判官】木原 裕二
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-136078(JP,A)
【文献】特開2006-346211(JP,A)
【文献】特開2014-68813(JP,A)
【文献】特開2004-329664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15 - 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面と、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向と、を有し、
吸収コアと、前記吸収コアにおける前記厚さ方向の前記第1面側及び前記第2面側に設けられたコアラップシートと、を有する吸収体であって、
前記吸収体が、前記幅方向の両端に配置されるとともに前記吸収体の前記幅方向の端部における、それぞれ15%を占める幅方向両端部と、前記幅方向両端部に挟まれる幅方向中間部に区画され、
前記コアラップシートは、前記吸収体の厚さ方向中心面よりも前記第1面側に位置する第1コアラップシート部分と、吸収体の厚さ方向中心面よりも前記第2面側に位置する第2コアラップシート部分とを含み、
前記吸収コアは、前記第1面から前記第2面に向かって、少なくとも、第1吸水材及び第2吸水材が、この順に積層された積層吸収コアであり、
前記第1吸水材及び前記第2吸水材のそれぞれが、吸収性材料の総量に対して90質量%以上の高吸水性ポリマーを含み、
前記第2吸水材の前記幅方向の寸法が、前記第1吸水材の前記幅方向の最大寸法よりも大きく、
前記第1吸水材が、前記幅方向中間部に配置されており
前記第1コアラップシート部分が、前記幅方向の中央よりに配置された中央シート部分と、前記幅方向の両外側に配置された一対の外側シート部分とを備え、
前記第1コアラップシート部分は、前記中央シート部分が、少なくとも前記幅方向両端部において、前記一対の外側シート部分のそれぞれと、前記厚さ方向に重畳している、一対の重畳部であって、前記長手方向に沿って延在しているものを備えている、吸収体。
【請求項2】
前記一対の重畳部のそれぞれが、前記幅方向中間部に達していない、請求項に記載の吸収体。
【請求項3】
前記吸収体は、前記第1吸水材及び前記第2吸水材の間に、中間層を有し、
前記第1吸水材と前記中間層とは、前記中間層の第1吸水材側の表面の少なくとも一部の領域において、前記長手方向に沿って延在する第1の接着要素により固定されており、
前記第2吸水材と前記中間層とは、前記中間層の第2吸水材側の表面の少なくとも一部の領域において、前記長手方向に沿って延在する第2の接着要素により固定されている、請求項1又は2に記載の吸収体。
【請求項4】
前記第2吸水材と、前記第2コアラップシート部分及び前記中間層の少なくとも一方とが、前記幅方向両端部において、前記長手方向に沿って延在する接着要素により固定されている、請求項に記載の吸収体。
【請求項5】
前記第2吸水材の幅方向両端縁部において、前記第2吸水材と、前記第2コアラップシート部分及び前記中間層の少なくとも一方と、の間に、前記長手方向に沿って延在する接着要素不存在領域を有する、請求項に記載の吸収体。
【請求項6】
前記中間層が、エアスルー不織布である、請求項からのいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項7】
前記第1コアラップシート部分及び前記第2コアラップシート部分のうちの少なくとも一方が、吸水性繊維を含む吸水性不織布である、請求項1からのいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項8】
前記吸水性不織布が、スパンレース不織布又はスパンボンド不織布である、請求項に記載の吸収体。
【請求項9】
前記吸収体は、前記第2吸水材に、前記長手方向に沿って延設された、前記高吸水性ポリマーの坪量が低い、低坪量部を更に備える、請求項1からのいずれか1項に記載の吸収体。
【請求項10】
表面シートと、裏面シートと、前記表面シート及び前記裏面シートの間に配置された、請求項1からのいずれか1項に記載の吸収体と、を備える、吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品が、前記長手方向に沿って延在する防漏壁及びレッグギャザーを有し、
前記防漏壁が備える防漏壁用弾性部材が、前記吸収体の第1吸水材と、前記厚さ方向に重畳し、
前記レッグギャザーが備えるレッグギャザー用弾性部材が、前記吸収体の前記第1吸水材及び第2吸水材と、前記厚さ方向に重畳しない、請求項10に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性ポリマー(SAP;Super Absorbent Polymer)の比率の高い吸収体(SAPシートとも称される)を具備する吸収性物品が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面シートと、裏面シートと、表面シート及び裏面シートの間に配置された、吸収性材料を含む吸収体と、を備える吸収性物品であって、吸収性材料の85質量%以上が高吸水性ポリマーであり、この吸収体が、高吸水性ポリマーを含まない、チャネルを備える、吸収性物品が開示されている。
特許文献1に記載の吸収性物品は、着用者の股部へのフィット性や着用感が改善され、漏れが防止されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-532507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品は、着用時に、着用者の脚部から、幅方向内側に向かって吸収体に力が加わった場合、チャネルが設けられている部位において、吸収体が、チャネルが設けられている幅方向中央部近傍で折れ曲がるおそれがある。このような場合、吸収性物品が着用者の股部にフィットしないおそれがあり、着用時の違和感や体液の漏れを生じさせるおそれがある。
また、特許文献1に記載の吸収性物品が備える吸収体は、幅方向端部に至るまで、比較的高坪量の高吸水性ポリマーが存在しているため、脚部内側に高吸水性ポリマーが当たってしまうことによる違和感をもたらすおそれがある。
したがって、本発明は、吸収性物品に備えられたときに、着用時の股部へのフィット性が良好であり、着用感に優れる吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、上記課題を解決するため、第1面及び第2面と、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向と、を有し、吸収コアと、上記吸収コアにおける上記厚さ方向の上記第1面側及び上記第2面側に設けられたコアラップシートと、を有する吸収体であって、上記吸収体が、上記幅方向の両端に配置される幅方向両端部と、上記幅方向両端部に挟まれる幅方向中間部に区画され、上記コアラップシートは、上記吸収体の厚さ方向中心面よりも上記第1面側に位置する第1コアラップシート部分と、吸収体の厚さ方向中心面よりも上記第2面側に位置する第2コアラップシート部分とを含み、上記吸収コアは、上記第1面から上記第2面に向かって、少なくとも、第1吸水材及び第2吸水材が、この順に積層された積層吸収コアであり、上記第1吸水材及び上記第2吸水材の少なくとも一方が、吸収性材料の総量に対して90質量%以上の高吸水性ポリマーを含み、上記第2吸水材の上記幅方向の寸法が、上記第1吸水材の上記幅方向の最大寸法よりも大きく、上記第1吸水材が、上記幅方向中間部に配置されている、吸収体を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収体は、吸収性物品に備えられたときに、着用時の股部へのフィット性が良好であり、着用感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るパンツ型おむつの構成例を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】実施形態に係る吸収体の効果を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の態様>
本発明は、以下に示す態様に関するものである。
【0010】
[第1の態様]
(構成)
第1面及び第2面と、互いに直交する長手方向、幅方向、及び厚さ方向と、を有し、
吸収コアと、上記吸収コアにおける上記厚さ方向の上記第1面側及び上記第2面側に設けられたコアラップシートと、を有する吸収体であって、
上記吸収体が、上記幅方向の両端に配置される幅方向両端部と、上記幅方向両端部に挟まれる幅方向中間部に区画され、
上記コアラップシートは、上記吸収体の厚さ方向中心面よりも上記第1面側に位置する第1コアラップシート部分と、吸収体の厚さ方向中心面よりも上記第2面側に位置する第2コアラップシート部分とを含み、
上記吸収コアは、上記第1面から上記第2面に向かって、少なくとも、第1吸水材及び第2吸水材が、この順に積層された積層吸収コアであり、
上記第1吸水材及び上記第2吸水材の少なくとも一方が、吸収性材料の総量に対して90質量%以上の高吸水性ポリマーを含み、
上記第2吸水材の上記幅方向の寸法が、上記第1吸水材の上記幅方向の最大寸法よりも大きく、
上記第1吸水材が、上記幅方向中間部に配置されている、吸収体。
【0011】
(効果)
本発明の第1の態様の吸収体の吸収コアは、少なくとも、第1吸水材及び第2吸水材が、この順に積層された積層吸収コアであり、第1吸水材が、幅方向中間部に配置され、第2吸水材の幅方向の寸法が、第1吸水材の幅方向の最大寸法よりも大きい。
このため、吸収コアの幅方向両端部における、高吸水性ポリマーの坪量が低くなるため、吸収体の幅方向中間部と、幅方向両端部との間における剛性差が生じる。これにより、着用者が吸収体を備える吸収性物品を装着したとき、幅方向両端部において、吸収体が上に凸に、又は下に凸に折れ曲がって、幅方向両端部が立ち上がった形状をとりやすい。幅方向両端部が立ち上がった形状をとることにより、幅方向両端部が、着用者の脚部内側に沿う形となるので、吸収性物品の着用時の股部へのフィット性が高まる。
さらに、本発明の第1の態様の吸収体は、幅方向両端部における高吸水性ポリマーの坪量が低いため、吸収体が脚部内側にあたったとしても高吸水性ポリマーに起因する、着用者への違和感を生じ難く、吸収体を備える吸収性物品の着用感が優れる。
【0012】
[第2の態様]
(構成)
上記第1コアラップシート部分が、上記幅方向の中央よりに配置された中央シート部分と、上記幅方向の両外側に配置された一対の外側シート部分とを備え、
上記第1コアラップシート部分は、上記中央シート部分が、少なくとも上記幅方向両端部において、上記一対の外側シート部分のそれぞれと、上記厚さ方向に重畳している、一対の重畳部であって、上記長手方向に沿って延在しているものを備えている、上記第1の態様の吸収体。
【0013】
(効果)
本発明の第2の態様によれば、第1コアラップシート部分が、中央シート部分と、一対の外側シート部分と、を備え、中央シート部分が、外側シート部分と厚さ方向に重畳しているので、吸収体が、着用者の脚部内側にあたったとしても、一対の重畳部が緩衝材として機能することにより、吸収体を備える吸収性物品の着用感が優れる。
【0014】
[第3の態様]
(構成)
上記一対の重畳部のそれぞれが、上記幅方向中間部に達していない、上記第2の態様の吸収体。
【0015】
(効果)
本発明の第3の態様によれば、一対の重畳部のそれぞれが、幅方向中間部に達していないので、吸収体の幅方向両端部において、吸収体が折れ曲がりやすい。このため、吸収性物品の着用時の股部へのフィット性が高まる。
【0016】
[第4の態様]
(構成)
上記吸収体は、上記第1吸水材及び上記第2吸水材の間に、中間層を有し、
上記第1吸水材及び上記第2吸水材と、上記中間層とが、少なくとも一部の領域において、上記長手方向に沿って延在する接着要素により固定されている、上記第1から第3のいずれかの態様の吸収体。
【0017】
(効果)
本発明の第4の態様によれば、吸収体が、第1吸水材及び第2吸水材の間に、中間層を有し、第1吸水材及び第2吸水材と、中間層とが、少なくとも一部の領域において、長手方向に沿って延在する接着要素により固定されているので、吸収体が折れ曲がった場合においても、中間層が、第1吸水材及び第2吸水材の形状を維持して、吸収体の型崩れを起こし難い。このため、吸収性物品の着用時の股部へのフィット性が高まる。
【0018】
[第5の態様]
(構成)
上記第2吸水材と、上記第2コアラップシート部分及び上記中間層の少なくとも一方とが、上記幅方向両端部において、上記長手方向に沿って延在する接着要素により固定されている、上記第4の態様の吸収体。
【0019】
(効果)
本発明の第5の態様によれば、第2吸水材が、幅方向両端部において、長手方向に沿って延在する接着要素により、第2のコアラップシート及び中間層の少なくとも一方に固定されているので、吸収体が、折れ曲がった場合においても、第2吸水材が、幅方向両端部において型崩れを起こし難い。このため、吸収性物品の着用時の股部へのフィット性が高まる。
【0020】
[第6の態様]
(構成)
上記第2吸水材の幅方向両端縁部において、上記第2吸水材と、上記第2コアラップシート部分及び上記中間層の少なくとも一方と、の間に、上記長手方向に沿って延在する接着要素不存在領域を有する、上記第5の態様の吸収体。
【0021】
(効果)
本発明の第6の態様によれば、第2吸水材の幅方向両端縁部において、吸収体が、長手方向に沿って延在する接着要素不存在領域を有する。これにより、第2吸水材の幅方向両端縁部の剛性が低下するので、吸収体を備える吸収性物品の着用感が優れる。
【0022】
[第7の態様]
(構成)
上記第1コアラップシート部分及び上記第2コアラップシート部分のうちの少なくとも一方が、吸水性繊維を含む吸水性不織布である、上記第1から第6のいずれかの態様の吸収体。
【0023】
(効果)
本発明の第7の態様によれば、第1コアラップシート部分及び第2コアラップシート部分のうちの少なくとも一方が、吸水性繊維を含む吸水性不織布であることにより、第1コアラップシート部分及び第2コアラップシート部分のうちの少なくとも一方が、体液を長手方向及び幅方向に拡散しやすくなり、第1吸水材及び第2吸水材が均等に吸水するので、吸収体を備える吸収性物品の、体液拡散時のフィット性が高まる。
【0024】
[第8の態様]
(構成)
上記吸水性不織布が、スパンレース不織布又はスパンボンド不織布である、上記第7の態様の吸収体。
【0025】
(効果)
本発明の第8の態様によれば、吸水性繊維を含む、スパンレース不織布及びスパンボンド不織布は、長手方向及び幅方向における体液拡散性に優れるので、吸収体を備える吸収性物品の、体液拡散時のフィット性が高まる。
【0026】
[第9の態様]
(構成)
上記中間層が、エアスルー不織布である、上記第1から第8のいずれかの態様の吸収体。
【0027】
(効果)
本発明の第9の態様によれば、中間層として用いられるエアスルー不織布は、嵩高であるので、吸収体の幅方向両端部において、緩衝作用を発揮しやすく、吸収体を備える吸収性物品が、着用感に優れる。
【0028】
[第10の態様]
(構成)
上記吸収体は、上記第2吸水材に、上記長手方向に沿って延設された、上記高吸水性ポリマーの坪量が低い、低坪量部を更に備える、上記第1から第9のいずれかの態様の吸収体。
【0029】
(効果)
本発明の第10の態様によれば、第2吸水材が、上記長手方向に沿って延設された、低坪量部を有するので、この低坪量部において吸収体が折れ曲がりやすくなり、吸収性物品の着用時の股部へのフィット性が高まる。
【0030】
[第11の態様]
(構成)
表面シートと、裏面シートと、上記表面シート及び上記裏面シートの間に配置された、上記第1から第10のいずれかの態様の吸収体と、を備える、吸収性物品。
【0031】
(効果)
本発明の第11の態様によれば、本発明の第1から第10の態様の吸収体と同様の効果が得られる。
【0032】
[第12の態様]
(構成)
上記吸収性物品が、上記長手方向に沿って延在する防漏壁及びレッグギャザーを有し、
上記防漏壁が備える防漏壁用弾性部材が、上記吸収体の第1吸水材と、上記厚さ方向に重畳し、
上記レッグギャザーが備えるレッグギャザー用弾性部材が、上記吸収体の上記第1吸水材及び第2吸水材と、上記厚さ方向に重畳しない、上記第11の態様の吸収性物品。
【0033】
(効果)
本発明の第12の態様によれば、防漏壁用弾性部材が、吸収体の第1吸水材と、厚さ方向に重畳し、レッグギャザー用弾性部材が、吸収体の第1吸水材及び第2吸水材と、厚さ方向に重畳しないので、第1吸水材の幅方向両端縁を起点として、吸収体が下に凸に折れ曲がって、吸収体の幅方向両端部が立ち上がった状態となるので、防漏壁と、吸収体の、立ち上がった幅方向両端部により、吸収性物品における体液の横漏れを効果的に防止できる。
【0034】
<パンツ型の使い捨ておむつ>
以下、実施形態に係るパンツ型の使い捨ておむつ(以下、単に「パンツ型おむつ」ともいう。)について説明する。ただし、パンツ型おむつの種類はこの例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、他の種類のパンツ型おむつでもよい。そのようなパンツ型おむつとして、例えば、3ピースのおむつが挙げられる。また、本発明の吸収性物品は、パンツ型おむつ1に限定されるものではなく、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、他の吸収性物品と併用される尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナ等であってもよい。
【0035】
図1及び図2は実施形態に係るパンツ型おむつ1の構成例を示す図である。図1はパンツ型おむつ1を展開した状態を示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿った断面図である。なお、図2においては、本実施形態のパンツ型おむつ1に対する理解を容易にするため、その厚さ方向Tにおける寸法を拡大して図示している。パンツ型おむつ1は、図1に示す状態において、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる長手方向中心線CLと、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる幅方向中心線CWとを有する。長手方向中心線CLに近づく向き及び側をそれぞれ幅方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Wの外向き及び外側とする。幅方向中心線CWに近づく向き及び側をそれぞれ長手方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Lの外向き及び外側とする。また、長手方向Lにおける、着用者の腹部に対応するパンツ型おむつ1の端縁(腹側の端縁)に向かう側を長手方向Lの前側ともいい、着用者の背中に対応するパンツ型おむつ1の端縁(背側の端縁)に向かう側を長手方向Lの後側ともいう。「平面視」とは長手方向L及び幅方向Wを含む平面に展開した状態のパンツ型おむつ1を厚さ方向Tの上方側から見ることをいい、「平面形状」とは平面視で把握される形状をいう。「平面方向」とは幅方向W及び長手方向Lを含む面と平行な任意の方向である。「肌側」及び「非肌側」とはパンツ型おむつ1が着用者に装着されたときに、厚さ方向Tにおいて相対的に着用者の肌面に近くなる側及び遠くなる側をそれぞれ意味し、パンツ型おむつ1の各部材の肌側の面を「肌側面」、非肌側の面を「非肌側面」という。これら定義はパンツ型おむつ1だけでなく、パンツ型おむつ1の吸収体14やそれらに配置された各資材にも共通に用いる。
【0036】
なお、部材や構造や形状などが長手方向Lに沿うとは、部材等が長手方向Lに平行な場合だけでなく、部材等の長手方向Lの成分Dxが、部材等の幅方向Wの成分Dyよりも大きい場合(Dx>Dy)も含んでいる。同様に、部材等が幅方向Wに沿うとは、部材等が幅方向Wに平行な場合だけでなく、部材等の幅方向Wの成分Dyが、部材等の長手方向Lの成分Dxよりも大きい場合(Dy>Dx)も含んでいる。曲線状や曲面状の部材等に関しては、曲線等上の各点の接線について、部材等を上記のように評価する。
【0037】
図1に示すように、パンツ型おむつ1は、長手方向Lにおいて、腹側部(腹側ウエストベルト)2と、背側部(背側ウエストベルト)3と、腹側部2と背側部3との間に位置する吸収性本体10と、を備える。本実施形態では、パンツ型おむつ1は、腹側部2と背側部3との間に位置する股間部4を更に備える。腹側部2は、着用者の腹部に当接する部分である。背側部3は、着用者の尻部又は背部に当接する部分である。吸収性本体10は着用者の股間に当接する部分であり、長手方向Lの一端部が腹側部2に、他端部が背側部3にそれぞれ積層される。股間部4は、吸収性本体10を非肌側から支持する部分である。腹側部2の幅方向Wの両端部2a、2aと、背側部3の幅方向Wの両端部3a、3aとが、それぞれ厚さ方向Tに重なり、長手方向Lに沿って接合されることで、パンツ型おむつ1が形成される。この場合、パンツ型おむつ1では、腹側部2における長手方向Lの外側の端部2eと背側部3における長手方向Lの外側の端部3eとにより着用者の腰が通るウエスト開口部が画定される。また、パンツ型おむつ1では、股間部4における幅方向Wの両側の側部5e、5eにより着用者の脚が通る一対のレッグ開口部が画定される。なお、腹側部(腹側ウエストベルト)2及び背側部(背側ウエストベルト)3は、両端部2a、2aと両端部3a、3aとが接合する長手方向Lの範囲で画定される部分といえる。
【0038】
本実施形態では、図1に示す状態で、腹側部2及び背側部3はそれぞれ概ね幅方向Wに拡がる矩形形状を有し、長手方向Lに互いに離間している。股間部4は、腹側部2と背側部3との間に位置し、幅方向Wの両側縁が幅方向Wの内向きに窪んでいる。腹側部2、股間部4及び背側部3は互いに一体的に形成される。別の実施形態では、腹側部、股間部及び背側部は互いに別個に形成される。更に、別の実施形態では、パンツ型おむつは、腹側部及び背側部を備え、股間部を備えない。
【0039】
本実施形態では、腹側部2、背側部3及び股間部4は、液不透過性のカバーシート(シート部材)5備える。カバーシート5は、肌側に位置するカバーシート5aと非肌側に位置するカバーシート5bとを含む。カバーシート5aとカバーシート5bとは厚さ方向Tに積層され、接着剤等で互いに接合される。カバーシート5bの長手方向Lの両端部は、カバーシート5aの長手方向Lの両端部を覆うように、肌側に折り返される。その場合、腹側部2及び背側部3における折り返しの位置のカバーシート5bが、それぞれ腹側部2の端部2e及び背側部3の端部3eを構成する。
【0040】
カバーシート5としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SB不織布、SMS不織布など、任意の液不透過性シートが挙げられる。カバーシート5の材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系材料が挙げられる。カバーシート5の坪量は、例えば5~100g/mであり、好ましくは10~50g/mである。カバーシート5の厚さ方向Tの寸法(厚さ)としては、例えば0.1~5mmであり、好ましくは0.1~2mmである。別の実施形態ではカバーシートは一枚、又は、三枚以上である(図示されず)。更に別の実施形態ではカバーシートは折り返されていない(図示されず)。
【0041】
[吸収性本体]
本実施形態では、吸収性本体10は、略矩形の形状を有し、液透過性の表面シート12と、液不透過性の裏面シート13と、表面シート12と裏面シート13との間に位置し、液を吸収・保持する吸収体14と、を含む。表面シート12として、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなどが挙げられる。裏面シート13として、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布などが挙げられる。吸収体14は、本実施形態では液を吸収し保持する吸収コアと吸収コアを内包するコアラップシートとを含む。吸収体14の詳細は後述される。吸収体14と表面シート12及び裏面シート13とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート12と裏面シート13とはそれらの周縁部分において接着剤により接合される。接着剤はパンツ型おむつで公知の材料、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。吸収性本体10の形状は、長手方向Lに長い形状ならば上記例に限定されず、例えば角が丸い矩形や、短辺が外側に凸曲線の矩形や砂時計型が挙げられる。また、別の実施形態では、裏面シートが省略され、吸収体の非肌側の面及び表面シートの周縁部分の非肌側の面がカバーシートに接合される。
【0042】
(吸収体)
次に、図1図3を参照して、吸収体14について説明する。ただし、図3は本実施形態に係る吸収体14の効果を説明する模式図である。吸収体14は、液吸収性能及び液保持性能を有する層であり、本実施形態では、第1面に相当する肌側面、及び第2面に相当する非肌側面を有するとともに、幅方向Wの両端に配置される幅方向両端部14EW、14EWと、幅方向両端部14EW、14EWに挟まれる幅方向中間部14MWと、に区画される。ここで、幅方向両端部14EW、14EWとは、吸収体14の幅方向Wの端部における、左右それぞれ15%を占める部分を指す。吸収体14は、吸収コアと、吸収コアにおける厚さ方向Tの肌側面側及び非肌側面側に設けられたコアラップシートとを有する。コアラップシートは、第1基材44及び第2基材46から構成される。吸収コアは、肌側面から非肌側面に向かって、第1吸水材45、中間層43、及び第2吸水材47が、この順に積層された積層吸収コアである。吸収体14は、肌側に位置し、第1吸水材45及び第1基材44を備える第1吸収層41と、非肌側に位置し、第2吸水材47及び第2基材46を備える第2吸収層42と、第1吸収層41と第2吸収層42との間に位置する中間層43と、を備えるものと見ることもできる。この場合、吸収体14は、第1吸収層41と中間層43と第2吸収層42とが厚さ方向Tにこの順に積層された二層構造を有するとみてもよい。なお、別の実施形態では、吸収体は、中間層が存在せず、第1吸収層と第2吸収層とが厚さ方向に一体化した一層構造を有する。別の実施形態では、第1面が非肌側面を構成し、第2面が肌側面を構成し、第1吸収層は非肌側に位置し、第2吸収層は肌側に位置する。
【0043】
本実施形態では、吸収体14は、長手方向Lに延びる略矩形の平面形状を有する。ただし、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、短辺が円弧状に突出した長方形、角丸長方形、楕円、砂時計が挙げられる。吸収体14の厚さは、例えば0.5~20mmが挙げられ、好ましくは1~10mmである。
【0044】
(第1吸水材)
本実施形態では、第1吸収層41は、吸収コアである積層吸収コアの一部をなす第1吸水材45を有し、コアラップとして第1基材44を有する。第1吸水材45は、少なくとも中間層43の第1基材44側の表面の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素51である接着剤により、中間層43に固定される。別の実施形態においては、第1吸水材は、第1基材の中間層側の表面の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素である接着剤により、第1基材に固定される。更に別の実施形態においては、第1吸水材は、中間層の第1基材側の表面の少なくとも一部の領域、及び第1基材の中間層側の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素である接着剤により、中間層及び第1基材にそれぞれ固定される。第1吸水材45の吸水材は、第1吸収層41内に概ね均一の坪量で配置される。ただし、長手方向L及び/幅方向Wの端部の坪量は端縁に向かって緩やかに減少してもよい。別の実施形態では、第1吸水材の吸水材は、第1吸収層内に坪量の多い箇所と少ない箇所を有する所定の分布で配置される。第1吸水材は、略矩形の平面形状を有する。
【0045】
(第2吸水材)
本実施形態では、第2吸収層42は、吸収コアである積層吸収コアの一部をなす第2吸水材47を有し、コアラップとして第2基材46を有する。第2吸水材47は、少なくとも中間層43の第2基材46側の表面の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素51である接着剤により、中間層43に固定される。別の実施形態においては、第2吸水材は、第2基材の中間層側の表面の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素である接着剤により、第2基材に固定される。更に別の実施形態においては、第2吸水材は、中間層の第2基材側の表面の少なくとも一部の領域、及び第2基材の中間層側の少なくとも一部の領域において、長手方向Lに延びる接着要素である接着剤により、中間層及び第2基材にそれぞれ固定される。第2吸水材47の吸水材は、一対のチャネル48、48(後述)を除き、第2吸収層42内に概ね均一の坪量で配置される。ただし、長手方向L及び/幅方向Wの端部の坪量は端縁に向かって緩やかに減少してもよい。
【0046】
第2吸水材47の幅方向Wの寸法は、第1吸水材45の幅方向Wの最大寸法よりも大きい。また、第1吸水材45は、少なくとも、吸収体14の幅方向中間部14MWに配置され、吸収体14の幅方向両端部には到達していない。これにより、吸収体14の幅方向両端部14EW、14EWにおける、高吸水性ポリマーの坪量が低くなるため、吸収体14の幅方向中間部14MWと、幅方向両端部14EW、14EWとの間における剛性差が生じる。よって、図3に示すように、着用者が吸収体14を備えるパンツ型おむつ1を装着したとき、幅方向両端部14EW、14EWにおいて、吸収体14が上に凸に折れ曲がって、幅方向両端部14EW、14EWが立ち上がった形状をとりやすい。幅方向両端部14EW、14EWが折れ曲がった形状をとることにより、幅方向両端部14EW、14EWが、着用者の脚部内側に沿う形となるので、パンツ型おむつ1の着用時の股部へのフィット性が高まる。また、本実施形態の吸収体14は、幅方向両端部14EW、14EWにおける高吸水性ポリマーの坪量が低いため、吸収体14が脚部内側にあたったとしても高吸水性ポリマーに起因する、着用者への違和感を生じ難く、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1の着用感が優れる。
【0047】
さらに、本実施形態においては、第2吸水材47の長手方向Lの寸法は、第1吸水材45の長手方向Lの最大寸法よりも大きい。この場合、第2吸水材47は、第1吸水材45よりも幅方向W及び長手方向Lに一回り大きい略矩形の平面形状を有すると見ることもできる。ただし、別の実施形態においては、第2吸水材の長手方向Lの寸法は、第1吸水材の長手方向Lの寸法と同じであってもよく、更に別の実施形態においては、第1吸水材の長手方向Lの寸法は、第2吸水材の長手方向Lの最大寸法よりも大きくてもよい。
【0048】
(高吸水性ポリマー)
第1吸水材45及び第2吸水材47は、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;SAP)を含む。第1吸水材45及び第2吸水材47の少なくとも一方は、吸水性材料の総量に対して90質量%以上の高吸水性ポリマーを含む。別の実施形態においては、第1吸水材及び第2吸水材が、吸水性材料の総量に対して90質量%以上の高吸水性ポリマーを含む。第1吸水材45及び第2吸水材47は、パルプ繊維や吸水性繊維のような親水性繊維を更に有してもよい。したがって、第1吸水材45及び第2吸水材47は高吸水性ポリマーを主成分として含むということができ、吸収体14はいわゆるSAPシートということができる。ただし、吸収体14(第1吸水材45及び第2吸水材47だけでなく、接着剤、第1基材44、中間層43及び第2基材46を含む)に対する高吸水性ポリマーの割合としては、例えば40~80質量%が挙げられ、好ましくは50~80質量%であり、より好ましくは60~80質量%である。本実施形態では、第1吸水材45及び第2吸水材47は、高吸水性ポリマーのみで構成され、親水性繊維を含まない。別の実施形態では、第1吸水材及び第2吸水材は、高吸水性ポリマーの他に、パルプ繊維及び/又は吸水性繊維を含む。
【0049】
なお、吸収体14、並びに第1吸水材45及び第2吸水材47における、高吸収性ポリマーの含有量を特定するにあたっては、吸収体14を、所定の面積で厚さ方向にくり抜くとともに、必要に応じて加熱等の処理を行って接着剤を軟化させ、各層を構成する不織布、接着剤、高吸収性ポリマー、パルプ繊維等を分離し、各構成要素の重量を測定することにより各構成要素の坪量を求め、算出された坪量に基づいて、高吸収性ポリマーの含有量を特定すればよい。
【0050】
高吸水性ポリマーとしては、水分を吸収し保持できるポリマーであれば特に制限はなく、例えば粒子状又は繊維状の高吸水性ポリマーが挙げられる。第1吸水材45及び第2吸水材47の高吸水性ポリマーの坪量は、パンツ型おむつ1に要求される吸収性能に応じて適宜調整され得るが、例えば、それぞれ10~500g/mが挙げられ、好ましくは100~400g/mである。第1吸水材45及び第2吸水材47の坪量は、一方が他方よりも多くてもよく、同等でもよい。ただし、同等とは、一方が他方の±30%の範囲をいう。
【0051】
高吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高分子吸収剤が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物が挙げられる。合成ポリマー系の高吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等が挙げられる。本実施形態では、ポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性ポリマーが好ましい。また、本実施形態では、吸収体14において、高吸水性ポリマーの90~100質量%が150~500μmの粒径を有する高吸水性ポリマー粒子から構成されることが好ましい。このような粒径分布を有する高吸水性ポリマー粒子は、粒径が小さく均一であるので、接着剤に保持されやすい。高吸水性ポリマー粒子の粒径は、JIS R 6002:1998に記載のふるい分け試験方法に準拠して測定される。
【0052】
(チャネル)
本実施形態では、吸収体14は、長手方向Lに沿って延設された一対のチャネル48、48を有する。一対のチャネル48、48は、第2吸水材47に設けられ、長手方向Lに沿って延設され、長手方向中心線CLを挟んで幅方向Wの両側に所定間隔で並んだ帯状の領域である。チャネル48は、長手方向Lの少なくとも中央部に、幅方向中心線CWを跨ぐように形成される。別の実施形態では、チャネルは、長手方向Lの両端縁の少なくとも一方に達するように形成される。一対のチャネル48、48の平面視でのパターンは、例えば両者の間隔が、長手方向Lに沿って一定であるように形成されたパターンである。別の実施形態では、一対のチャネルのパターンが、例えば長手方向Lの中央付近において狭く、長手方向Lの両外側に向かうにつれて拡がるように形成されたパターンである。ここで、チャネル48は、吸収体14におけるチャネルの周囲の領域と比較して、高吸収性ポリマーの坪量が低い領域(低坪量部)であり、例えば、第2吸収層42におけるチャネル48の周囲の領域と比較して、高吸収性ポリマーの坪量が少ない領域であり、坪量がゼロの場合を含む。第2吸水材47が、長手方向Lに沿って延設された、チャネル48を有することにより、図3に示すように、このチャネル48において、幅方向両端部14EW、14EWが折れ曲がった吸収体14が、更に折れ曲がりやすくなり、パンツ型おむつ1の着用時の股部へのフィット性が高まる。チャネル48は、第2基材46が中間層43側へ窪むように、すなわち第2吸水材47が中間層43側へ窪むように形成される。別の実施形態では、第2吸水材が第2基材側へ窪むように形成される。また、一対のチャネル48、48は、一対の熱シール部43c、43cと厚さ方向Tに重なる。別の実施形態では、チャネルの少なくとも一部は、熱シール部43cと厚さ方向Tに重ならない。なお、別の実施形態では、チャネルは、長手方向Lではなく又は長手方向Lだけでなく、幅方向Wに沿って延びる。更に別の実施形態では、チャネルは、一本又は三本以上の複数本である。
【0053】
(中間層)
本実施形態では、中間層43は、液透過性を有するシートであり、略矩形の平面形状を有する。中間層43は、上部層43aと、上部層43aの非肌側の面における幅方向Wの両側に隣接する一対の下部層43b、43bと、を備える。中間層43は、略矩形の平面形状を有するシート部材において、幅方向Wの中央部分の両側に位置する一対の側部分を、中央部分の非肌側に折り返して重ね合わせることで形成される。そのとき、シート部材の中央部分が上部層43aとなり、シート部材の一対の側部分が一対の下部層43b、43bとなる。したがって、中間層43における幅方向Wの両側の部分は、いずれも、上部層43aと下部層43bとが積層された二層構造となり、長手方向Lに延びる略矩形の形状を有する。中間層43における幅方向Wの中心の近傍の部分43dは、上部層43aのみの一層構造となり、長手方向Lに沿って延びる略矩形を有する。二層構造の上部層43aと下部層43bとは、部分43dの幅方向Wの両側で長手方向Lに沿って延びる一対の熱シール部43c、43cにより接合される。加熱しつつ圧搾することにより熱シール部43cが形成される。別の実施形態では、二層構造の上部層と下部層とは、幅方向Wの中心の近傍の部分の幅方向Wの両側で長手方向Lに沿って延びるエンボス部により接合される。圧搾によりエンボス部が形成される。また、更に別の実施形態では、熱シール部やエンボス部は複数の点や複数の曲線や模様の形状を有する。中間層43は、幅方向Wの両端縁を、第1基材44及び第2基材46の幅方向Wの両端部に挟持され、長手方向Lの両端縁を、第1基材44及び第2基材46の長手方向Lの両端部に挟持されて、それぞれ接合される。別の実施形態では、長手方向Lの両端縁を、第1基材及び第2基材の長手方向Lの両端部に挟持されず、接合されない。二層構造にすることで液体を一時的に貯蔵でき、高吸水性ポリマーの吸収に要する時間を確保し易くできる。
【0054】
中間層43としては、例えば第1基材44と同様のシートを用いることができる。中間層43の坪量は、例えば10~100g/mが挙げられ、好ましくは15~80g/mである。中間層43の厚さは、例えば0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。本実施形態において、中間層43はエアスルー不織布である。エアスルー不織布は嵩高であるので、中間層43がエアスルー不織布であることにより、吸収体14の幅方向両端部14EW、14EWにおいて、緩衝作用を発揮しやすく、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1が、着用感に優れる。別の実施形態において、中間層は、親水性及び液透過性を有し、熱可塑性合成繊維から構成されるエアスルー不織布である。この場合、吸収体が吸水した場合においても通液性を確保することができる。とりわけ、上記のエアスルー不織布は、繊維間が熱融着した不織布から構成されるので、外部からの荷重に対する一定の抵抗性を有し、吸収体14に含まれる高吸収性ポリマーが吸水して膨潤した場合においても、吸収体14の型崩れを効果的に防止することができる。
【0055】
本実施形態においては、上記のエアスルー不織布を構成する繊維として、少なくとも繊維表面を構成する鞘成分として、熱可塑性樹脂を使用した、芯鞘型複合繊維が採用される。繊維表面を構成する鞘成分として熱可塑性樹脂を採用することにより、繊維が熱融着特性を発揮するため、求められる中間層43の物性にあわせて、芯成分として使用される樹脂成分を適宜選択できる。例えば、上記の芯鞘型複合繊維として、繊維表面を構成しない芯成分として、比較的強度の強い樹脂成分を使用した複合繊維を用いることにより、引張応力等に対して、より強固な耐性を有する中間層を提供することができる。ここで、芯成分及び鞘成分として用いることができる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等から適宜選択し、組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、熱融着性及び引張強度を両立する目的から、鞘成分として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、芯成分として、上記のポリオレフィン系樹脂、又はポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。ただし、中間層43は、エアスルー不織布に限定されず、液透過性を有するシートであればよい。
【0056】
(コアラップシート)
上述のように、吸収体14は、コアラップシートとして、第1基材44及び第2基材46を有する。
【0057】
第1基材44は、略矩形の平面形状を有し、平面視で第1吸水材45を肌側から覆っており、第1基材44の周縁部分は第1吸水材45の周囲からやや外側に延在する。第2基材46は、略矩形の平面形状を有し、平面視で第2吸水材47を非肌側から覆っており、第2基材46の周縁部分は第2吸水材47の周囲からやや外側に延在する。そのとき、第2基材46の幅方向Wの両端部は、第2吸水材47の両側面を覆いつつ、第1基材44の幅方向Wの両端部における肌側の表面を覆う。すなわち、第1吸収層41の幅方向Wの端部における肌側の表面において、第2基材46の幅方向Wの端部と、第1基材44の幅方向Wの端部とが重ね合わされて接合される。
【0058】
なお、本実施形態において、吸収体14が、その厚さ方向中心面CTよりも肌面側の第1コアラップシート部分55と、厚さ方向中心面CTよりも非肌面側の第2コアラップシート部分56と、からなる、と見る場合、第1基材44、及び厚さ方向中心面CTよりも肌側に配置される第2基材46の幅方向Wの両端部が第1コアラップシート部分55に該当し、第2基材46の、厚さ方向中心面CTよりも非肌側に配置される部分が第2コアラップシート部分56に該当する。そしてこの場合、第1コアラップシート部分55は、幅方向Wの中央よりに配置される中央シート部分53である、第1基材44と、上記幅方向Wの両外側に配置された一対の外側シート部分54、54である、第2基材46の幅方向Wの両端部と、に区分され、中央シート部分53及び一対の外側シート部分54、54は、吸収体14の幅方向両端部14EW、14EWにおいて重畳している、と見ることもできる。この場合、中央シート部分53と、一対の外側シート部分54、54との重畳部は、長手方向Lに沿って延在し、幅方向中間部14MWに到達しておらず、第1吸水材45と厚さ方向Tに重畳していない。
【0059】
このように、中央シート部分53と、一対の外側シート部分54、54との重畳部は、長手方向Lに沿って延在し、第2基材46の幅方向Wの両端部が、第2吸水材47の幅方向Wの側面を覆い、第1基材44の幅方向Wの側面を更に覆うことにより、吸収体14が、着用者の脚部内側にあたったとしても、一対の重畳部が緩衝材として機能することにより、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1の着用感が優れる。また、上記の構成を採用することにより、第2吸水材47が幅方向Wにおいて第2吸収層42に封入され、第1吸水材45が幅方向Wにおいて第1吸収層41に封入される。また、中央シート部分53と、一対の外側シート部分54、54との重畳部が、幅方向中間部14MWに到達していないことにより、吸収体14の幅方向両端部EW、EWにおいて、吸収体14が折れ曲がりやすい。このため、パンツ型おむつ1の着用時の股部へのフィット性が高まる。なお、別の実施形態では、幅方向Wの両端部では、第1基材、中間層及び第2基材が厚さ方向Tに積層され、接合される。また、別の実施形態においては、中央シート部分と、一対の外側シート部分との重畳部は、幅方向中間部に到達し、第1吸水材と厚さ方向Tに重畳していてもよい。
【0060】
本実施形態では、吸収体14の長手方向Lの両端部では、第1基材44、中間層43及び第2基材46が厚さ方向Tに積層され、接合される。それにより、第1吸水材45が長手方向Lにおいて第1基材44と中間層43とにより第2吸収層42に封入され、第2吸水材47が長手方向Lにおいて第2基材46と中間層43とにより第2吸収層42に封入される。別の実施形態では、吸収体の長手方向Lの両端部は第1基材及び第2基材では覆われない。
【0061】
(第1基材)
第1基材44としては、液透過性を有するシートであれば特に制限はない。第1基材44としては、例えば液透過性の不織布、親水性の不織布、それらの積層不織布が挙げられ、中でも透水性が高い不織布が好ましい。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル繊維、又はそれらの組み合わせから形成されるスパンボンド不織布やエアスルー不織布が挙げられる。これらの繊維は公知の方法で親水化処理されていることが好ましい。あるいは、例えば、パルプ繊維やレーヨン繊維のような親水性繊維を親水性バインダで被覆したエアレイド不織布や、上記の親水性繊維と上記の合成繊維とを組み合わせたスパンレース不織布が挙げられる。本実施形態では、液透過性、液保持性を有する、パルプ繊維を親水性バインダで被覆したエアレイド不織布を用いる。なお、第1基材44として、上記の不織布のうちの一種類又は複数の種類の不織布を複数層、積層してもよい。第1基材44の坪量は、例えば10~100g/mが挙げられ、好ましくは20~80g/mである。第1基材44の厚さは、例えば0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。
【0062】
(第2基材)
第2基材46としては、保水性及び液拡散性を有するシートであれば特に制限はない。第2基材46を構成する繊維としては、吸水性繊維が挙げられ、保水性及び液拡散性を有するシートとしては、吸水性不織布が挙げられる。これにより、第2基材46が、体液を長手方向L及び幅方向Wに拡散しやすくなり、第2吸水材47が均等に吸水するので、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1の、体液拡散時のフィット性が高まる。吸水性繊維としては、例えば、ポリアミド繊維のような合成繊維、レーヨン繊維やアセテート繊維のような再生繊維、綿、絹、麻、パルプ(セルロース)繊維のような天然繊維を挙げることができ、吸水性繊維から形成される吸水性不織布としては、上記の吸水性繊維を1種類のみ用いて形成される不織布、又は複数の吸水性繊維の組み合わせから形成される不織布が挙げられる。具体的には、例えば、ナイロンを含むスパンボンド不織布や、レーヨン繊維及び/又はパルプ繊維を含むスパンレース不織布が挙げられる。吸水性繊維を含むスパンレース不織布やスパンボンド不織布は、長手方向L及び幅方向Wにおける体液拡散性に優れるので、第2吸水材47が均等に吸水し、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1の、体液拡散時のフィット性が高まる。レーヨン繊維及び/又はパルプ繊維を含むスパンレース不織布には、ポリオレフィン繊維及び/又はポリエステル繊維を含んでいてもよい。本実施形態では、液保持性、液拡散性を有する、レーヨン繊維及びパルプ繊維を含むスパンレース不織布を用いる。なお、第2基材46として、上記の不織布のうちの一種類又は複数の種類の不織布を複数層、積層してもよい。第2基材46の坪量は、例えば10~200g/mが挙げられ、好ましくは35~150g/mである。第2基材46の厚さは、例えば0.1~5mmが挙げられ、好ましくは0.15~3mmである。
【0063】
なお、別の態様においては、第1基材が、保水性及び液拡散性を有するシートであってもよい。
【0064】
(接着要素)
本実施形態においては、第1吸水材45及び上記第2吸水材47と、中間層43とが、少なくとも一部の領域において、長手方向Lに沿って延在する接着要素51により固定されている。これにより、吸収体14が折れ曲がった場合においても、中間層43が、第1吸水材45及び第2吸水材47の形状を維持して、吸収体14の型崩れを起こし難い。このため、パンツ型おむつ1の着用時の股部へのフィット性が高まる。また、第2吸水材47は、吸収体14の幅方向両端部14EW、14EWにおいて、中間層43と、長手方向Lに沿って延在する接着要素51により固定されている。これにより、吸収体14が、上に凸又は下に凸に折れ曲がった場合においても、第2吸水材47が、幅方向両端部14EW、14EWにおいて型崩れを起こし難い。このため、パンツ型おむつ1の着用時の股部へのフィット性が高まる。なお、別の実施形態においては、第2吸水材は、吸収体の幅方向両端部において、第2基材と、長手方向Lに沿って延在する接着要素により固定されている。
【0065】
また、本実施形態においては、第2吸水材47の幅方向両端縁部において、第2吸水材と、上記第2基材46と、の間に、長手方向Lに沿って延在する接着要素不存在領域52を有する。これにより、第2吸水材47の幅方向両端縁部の剛性が低下するので、吸収体14を備えるパンツ型おむつ1の着用感が優れる。別の実施形態においては、第2吸水材の幅方向両端縁部において、第2吸水材と、中間層と、の間に、長手方向Lに沿って延在する接着要素不存在領域を有する。
【0066】
接着要素は、第1基材44、中間層43、又は第2基材46に、接着剤を塗布した上で、高吸収性ポリマーを散布し、圧着/固定することにより形成することができる。接着剤としては、高吸水性ポリマーを固定できる接着剤であれば特に限定はなく、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。接着剤の塗布のパターンとしては、特に制限はないが、例えば連続的又は間欠的なオメガパターン、スパイラルパターン、ラインパターンが挙げられる。接着剤の坪量は、吸収体14の液体吸収性が著しく低下しないように適宜調整され得るが、例えば各層ごとに3~50g/mが挙げられる。ただし、各層とは、第1吸水材45と第1基材44との間の接着剤の層、第1吸水材45と中間層43との間の接着剤の層、第2吸水材47と第2基材46との間の接着剤の層、第2吸水材47と中間層43との間の接着剤の層である。
【0067】
(防漏壁)
本実施形態では、吸収性本体10は、肌側の表面において、幅方向Wの両側に位置し、長手方向Lに延びる一対のサイドシート17、17を含む。各サイドシート17は、防漏壁16と、固定領域15、15とを有する。固定領域15、15は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の端部に位置し、吸収性本体10の肌側の表面に固定される。防漏壁16は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の固定領域15、15の間に位置し、それらに隣接しており、吸収性本体10の肌側の表面に幅方向Wの外側の端縁を固定され、幅方向Wの内側の端縁を非固定とされている。この場合、防漏壁16及び固定領域15、15は、例えばサイドシート17の幅方向Wの内側の部分で形成され、サイドシート17の幅方向Wの外側の部分は吸収性本体10に固定される。このように、吸収性本体10は、一対の防漏壁16、16を備える。一対の防漏壁16、16は、吸収性本体10における肌側の幅方向Wの両端部に、互いに向かい合うように配置され、長手方向Lに沿って連続的に延在する。各防漏壁16は、幅方向Wの内側の端部に、長手方向Lに沿って延びる二本の防漏壁用弾性部材61を含む。防漏壁用弾性部材61は糸ゴムに例示される。別の実施形態では、一対の防漏壁の各々は、幅方向Wの内側の端部を、更に幅方向Wの外側へ折り返される。別の実施形態では防漏壁用弾性部材は一本、又は、三本以上である。一対の防漏壁16、16の各々は疎水性シート、例えば疎水性不織布で形成される。別の実施形態では、親水性シート、例えば親水性不織布で形成される。
【0068】
[レッグギャザー]
本実施形態では、パンツ型おむつ1は、股間部4から背側部3及び腹側部2にレッグギャザー用の複数のレッグギャザー用弾性部材8を備える。複数のレッグギャザー用弾性部材8は、主に股間部4における幅方向Wの両端部を長手方向Lに沿って延設されている。複数のレッグギャザー用弾性部材8は、一対のレッグ開口部をそれぞれ伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。
【0069】
別の実施形態においては、防漏壁が備える防漏壁用弾性部材が、吸収体の第1吸水材と、厚さ方向Tに重畳し、レッグギャザーが備えるレッグギャザー用弾性部材が、吸収体の第1吸水材及び第2吸水材と、厚さ方向Tに重畳せず、第2吸収材よりも幅方向の外側におけるパンツ型おむつの領域と重畳する。これにより、第1吸水材の幅方向両端縁を起点として、吸収体が下に凸に折れ曲がって、吸収体の幅方向両端部が立ち上がった状態となるので、防漏壁と、吸収体の、立ち上がった幅方向両端部により、吸収性物品における体液の横漏れを効果的に防止できる。
【0070】
[ウェストギャザー]
本実施形態では、腹側部2及び背側部3は、カバーシート5aとカバーシート5bとの間に、それぞれウェストギャザー用の複数の弾性部材6a、6b及び複数の弾性部材7a、7bを備える。複数の弾性部材6a、6bは、それぞれ腹側部2の長手方向Lの外側及び内側に配置される。複数の弾性部材6aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。所定領域は、端部2aから吸収性本体10における端部2aに対向する幅方向Wの端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材6bは、幅方向Wに沿って、一方の端部2aから他方の端部2aまで延びており、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。同様に、複数の弾性部材7a、7bは、それぞれ背側部3の長手方向Lの外側及び内側に配置される。複数の弾性部材7aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。所定領域は、端部3aから吸収性本体10における端部3aに対向する幅方向Wの端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材7bは、幅方向Wに沿って、一方の端部3aから他方の端部3aまで延びており、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。複数の弾性部材6a、6b、7a、7bは、ウエスト開口部を伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。腹側部(腹側ウエストベルト)2及び背側部(背側ウエストベルト)3は、複数の弾性部材6a、6b、7a、7bが配置された長手方向Lの範囲で画定される部分ともいえる。
【0071】
次に、吸収体14の製造方法について説明する。
まず、第2基材46用シートを長手方向Lに移動させつつ、ホットメルト接着剤を第2基材46用シートの上に塗布する。次いで、高吸水性ポリマー供給装置から高吸水性ポリマーを、ホットメルト接着剤を塗布された第2基材46用シートにおける幅方向Wの両端部分及び中央部分の上に、それぞれ長手方向Lに沿って散布する。このとき、両端部分と中央部分との間の領域(チャネルに相当)には少量の高吸水性ポリマーが移行する。次いで、両面にホットメルト接着剤が塗布された中間層43用シートを、第2基材46用シート上の高吸水性ポリマーの上に積層する。次いで、その積層物を長手方向Lに移動させつつ、他の高吸水性ポリマー供給装置から高吸水性ポリマーを、ホットメルト接着剤を塗布された中間層43用シートにおける幅方向Wの中央部分の上に長手方向Lに沿って散布する。次いで、中間層43用シート上の高吸水性ポリマーの上に、ホットメルト接着剤を塗布した第1基材44用シートを、ホットメルト接着剤を高吸水性ポリマー側にして積層する。そして、第2基材46用シートにおける幅方向Wの両側部を、第1基材44用シートにおける幅方向Wの両側部の上に折り返して、積層物を得る。その後、一対のプレスロールに積層物を通過させる、すなわちプレスすることにより、積層物の厚さを調整して、吸収体14を得る。
【0072】
次に、上記吸収体14を用いたパンツ型おむつの製造方法について説明する。
上記のように作製した吸収体14の上面(第1基材44の表面)に、液透過性の表面シート12を貼り付け、吸収体14の下面(第2基材46の表面)に液不透過性の裏面シート13を貼り付けて、積層体を得る。次いで、防漏壁16付きサイドシート17を、積層体の幅方向Wの両側に取り付け、吸収性本体10を得る。その後、吸収性本体10をカバーシート5(弾性部材6、7、8を含む)上に貼り付け、腹側部2の幅方向Wの両端部2a、2aと背側部3の幅方向Wの両端部3a、3aとを接合する。それにより、パンツ型おむつ1が製造される。
【0073】
本発明のパンツ型おむつやその吸収体は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、各実施形態同士を組合せることや公知技術を適用すること等が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 パンツ型おむつ
10 吸収性本体
14 吸収体
43 中間層
44 第1基材
45 第1吸水材
46 第2基材
47 第2吸水材
48 チャネル
MW 幅方向中間部
EW 幅方向両端部
図1
図2
図3