(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】アクセス部位を覆うための拡張可能なステント送達装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20241101BHJP
A61F 2/97 20130101ALI20241101BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20241101BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/97
A61F2/07
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020000946
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン オー. マクウィーニー
(72)【発明者】
【氏名】ヒラリー ケー. ハスザー
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー. マグワイア
(72)【発明者】
【氏名】ショーン シー. ダニエル
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249895(US,A1)
【文献】特表2010-517705(JP,A)
【文献】特開2010-094510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントを体腔内に送達するためのシステムであって、
前記体腔の壁のアクセス部位を通って送達されるように構成されたステントであって、遠位部分および近位部分を含む、ステントと、
外側シースと、
内側プッシャーと
を備え、
前記ステントの前記遠位部分が、
前記外側シース内から展開するように構成されており、
前記内側プッシャーが、(i)前記外側シースの遠位端を前記アクセス部位の前記体腔の前記壁と位置合わせするように前記外側シースを後退させた後に、前記ステントの前記近位部分を前記外側シースから押すことであって、前記内側プッシャーの遠位端は、前記ステントの前記近位部分の近位端に当接する、ことと、(ii)前記体腔内で前記ステントを軸方向に圧縮することとを行うように構成されており、これにより、前記近位部分が、前記外側シースを完全に出ると、近位に延在して、前記ステントで前記アクセス部位を覆う、システム。
【請求項2】
前記ステントは、前記体腔内で拡張する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ステントの前記近位部分が、
前記内側プッシャーを遠位方向に前進させることによって前記外側シースから押され、前記内側プッシャーが、少なくとも部分的に前記外側シース内に配置され、前記ステントの前記近位部分と連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ステントの前
記近位部分が、
前記ステントの前記近位部分が前記外側シースを完全に出るまで前記内側プッシャーを前進させることによって、前記外側シースから押される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記内側プッシャーが、
前記内側プッシャーの
前記遠位端を前記外側シースの前記遠位端と位置合わせすることによって、前記遠位方向に前進する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記外側シースが、前記内側プッシャーを前進させる間、ロック位置に維持されるように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記ステントの前記遠位部分が、前記遠位部分が固定位置に留まるように、前記体腔内の狭窄部に対して固定されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ステントが、前記ステントの前記近位部分を前記ステントの前記遠位部分に向かって前進させることにより、圧縮状態に圧縮されるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ステントの前記近位部分が、前記圧縮状態から拡張状態に拡張されるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ステントの前記近位部分が前記外側シース内に維持されたまま、前記外側シースが前記アクセス部位に向かって後退されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記外側シースが、前記ステントの前記近位部分を前記外側シースから押す前に、ステントアンカーを越えて後退されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ステントの前記遠位部分が、前記外側シースから前記ステントの前記遠位部分を展開することに少なくとも部分的に基づいて、前記体腔内の狭窄部に対して圧縮されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記外側シースが、前記アクセス部位を通って前記体腔から取り外されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ステントが、前記体腔内で拡張されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通って前進するように構成されたステント送達装置をさらに備え、
前記ステント送達装置が、前記ステントを拡張させた後、前記アクセス部位を通って取り外されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ステント送達装置が、ガイドワイヤを備え、管状部材が、前記ガイドワイヤの周囲に配置され、
前記ガイドワイヤが、前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通って前進するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
ステントを体腔内に送達するためのシステムであって、
ステントと、
前記体腔の壁のアクセス部位を通って前記ステントを送達するように構成されたステント送達装置と、
前記ステントを折り畳まれた構成に拘束するように構成された外側シースと、
内側プッシャーであって、前記内側プッシャーは、(i)前記外側シースの遠位端を前記アクセス部位の前記体腔の前記壁と位置合わせするように前記外側シースを後退させた後に、前記ステントの近位部分を前記外側シースから押すことであって、前記内側プッシャーの遠位端は、前記ステントの前記近位部分の近位端に当接する、ことと、(ii)前記体腔内で前記ステントを軸方向に圧縮することとを行うように構成されており、これにより、前記近位部分が、前記外側シースを完全に出ると、近位に延在して、前記ステントで前記アクセス部位を覆う、内側プッシャーと、を備える、システム。
【請求項18】
前記内側プッシャーが、前記ステントの前記近位部分に連結されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記外側シースが、前記内側プッシャーを前記外側シースに対して摺動可能に移動させるように構成された管腔を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記内側プッシャーが、前記外側シース内に少なくとも部分的に配置されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記体腔の前記壁の前記アクセス部位を通って前進するように構成されている管状部材をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記管状部材が前記ステントの遠位部分に沿って前記ステントの内側にあり、前記ステントの
前記近位部分に沿って前記ステントの外側にあるように、前記ステントが、前記管状部材上に配置されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記管状部材が前記ステントの全体に沿って前記ステントの内側にあるように、前記ステントが、前記管状部材上に配置されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記管状部材に連結され、前記外側シースから前記ステントの前記近位部分を押す前に前記外側シースを後退させる場所をマークするように構成されたステントアンカーをさらに備える、請求項
21に記載のシステム。
【請求項25】
前記管状部材の近位端に連結され、前記管状部材を近位方向に後退させるように構成された第1のハンドルと、
前記外側シースの近位端に連結され、前記外側シースを前記近位方向に後退させるように構成された第2のハンドルと、
前記内側プッシャーの近位端に連結され、前記内側プッシャーを前記近位方向に後退させるように構成された第3のハンドルと、をさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記外側シースに連結され、前記内側プッシャーを前進させながら前記外側シースをロック位置に維持するように構成された静止部材をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項27】
前記ステントが前記体腔内で圧縮されるように、前記ステントが、ニチノール、合金誘導体、またはその両方を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項28】
前記管状部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤをさらに備える、請求項
21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胆嚢、膵臓、および胆管(すなわち、膵胆管系)の疾患および障害は、重大な罹患率、死亡率、および生活の質の低下に関連している。閉塞、腫瘍、損傷、漏出、炎症、感染、および病変がこれらの構造で発生する可能性があり、最終的に胆道仙痛、胆嚢炎、総胆管結石症、胆石症、膵炎、膵管結石形成、および慢性腹痛などの状態につながる可能性がある。膵胆管系の疾患は、栄養失調、肥満、高コレステロールなどの栄養障害にも関連している可能性がある。
【0002】
胆道閉塞を治療するために、臨床医は、ステント送達手順を実施して、閉塞を横切ってステントを載置し得る。一般に、ステント送達手順には、内視鏡を胃腸管に配置し、カテーテルで胆管にアクセスすることが含まれ得る。次に、ガイドワイヤをカテーテルを通って胆管内に配置することができる。ガイドワイヤが所定の位置に配置されると、ステントまたは他の治療デバイスを、ガイドワイヤの上で胆管内に前進させることができる。ステントが胆管内に配置された後、臨床医は、ステント送達システムを引き抜くことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
説明される特徴は、一般に、アクセス部位を覆うための回転可能なステント送達装置のための改善された方法、システム、およびデバイスに関する。方法は、体腔の壁のアクセス部位を通ってステント送達システムを送達することと、ステントから外側拘束部材を引き抜いて、ステントの近位部分を体腔内に展開することと、位置付け部材を近位に引き抜き、アクセス部位を通って戻すことにより、ステントの近位部分をアクセス部位から離れるように回転させることと、外側拘束部材から近位部分を完全に展開すると、ステントの近位部分でアクセス部位を覆うことと、を含む。ステントを体腔内に送達するためのシステムは、ステント、アクセス部位を通ってステントを送達するように構成されたステント送達装置、およびステントを折り畳まれた構成に拘束するように構成された外側シースを含み得る。システムは、外側シースを完全に出ると、近位部分が近位方向に延在して体腔内でステントを完全に拡張するように、ステントの近位部分を外側シースから押すように構成された内側プッシャーをさらに含み得る。
【0004】
ステントを体腔に送達する方法が説明されている。方法は、ステントを体腔内の壁のアクセス部位に送達することと、外側シース内からステントの遠位部分を展開することと、外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在し、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように外側シースからステントの近位部分を押すことと、を含み得る。
【0005】
場合によっては、外側シースからステントの遠位部分を展開することは、ステントの遠位部分が体腔内で拡張するように、アクセス部位に向かって外側シースを後退させることをさらに含み得る。場合によっては、外側シースからステントの近位部分を押すことは、内側プッシャーを遠位方向に前進させることをさらに含み、内側プッシャーは、少なくとも部分的に外側シース内に配置され、ステントの近位部分と連結される。場合によっては、ステントの近位部分を外側シースから押すことは、ステントの近位部分が外側シースを完全に出るまで内側プッシャーを前進させることをさらに含み得る。場合によっては、内側プッシャーを遠位方向に前進させることは、内側プッシャーの遠位端を外側シースの遠位端と位置合わせすることをさらに含み得る。
【0006】
方法は、内側プッシャーを前進させる間、外側シースをロック位置に維持することをさらに含み得る方法は、遠位部分が固定位置に留まるように、ステントの遠位部分を体腔内の狭窄部に対して固定することをさらに含み得る。方法は、ステントの近位部分をステントの遠位部分に向かって前進させることにより、ステントを圧縮状態に圧縮することをさらに含み得る。方法は、ステントの近位部分を圧縮状態から拡張状態に拡張することをさらに含み得る。
【0007】
方法は、ステントの近位部分を外側シース内に維持しながら、アクセス部位に向かって外側シースを後退させることをさらに含み得る。場合によっては、外側シースをアクセス部位に向かって後退させることは、外側シースの遠位端をアクセス部位の体腔の壁と位置合わせすることをさらに含み得る。方法は、ステントの近位部分を外側シースから押す前に、ステントアンカーを越えて外側シースを後退させることをさらに含み得る。方法は、外側シースからステントの遠位部分を展開することに少なくとも部分的に基づいて、体腔内の狭窄部に対してステントの遠位部分を圧縮することをさらに含み得る。
【0008】
方法は、アクセス部位を通って体腔から外側シースを取り外すことをさらに含み得る。方法は、体腔内にステントを拡張させることをさらに含み得る。方法は、ステントを送達する前に、アクセス部位を通ってステント送達装置を前進させることと、ステントを拡張させた後、アクセス部位を通ってステント送達装置を取り外すことと、をさらに含み得る。場合によっては、ステント送達装置は、ガイドワイヤを備え、管状部材は、ガイドワイヤの周囲に配置され、方法は、ステントを送達する前に、アクセス部位を通ってガイドワイヤを前進させることをさらに含む。
【0009】
ステントを体腔に送達するための方法が説明されている。システムは、ステントと、体腔の壁のアクセス部位を通ってステントを送達するように構成されたステント送達装置と、ステントを折り畳まれた構成に拘束するように構成された外側シースと、外側シースを完全に出ると、近位部分は近位に延在して、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように、ステントの近位部分を外側シースから押し、ステントを体腔内で軸方向に圧縮するように構成された内側プッシャーと、を含み得る。
【0010】
いくつかの例では、内側プッシャーはステントの近位部分に連結されている。内側プッシャーの遠位端は、ステントの近位部分の近位端に隣接する。いくつかの例では、外側シースは、内側プッシャーを外側シースに対して摺動可能に移動させるように構成された管腔を備える。いくつかの例では、内側プッシャーは、外側シース内に少なくとも部分的に配置されている。
【0011】
システムは、体腔の壁のアクセス部位を通って前進するように構成されている管状部材をさらに含む。いくつかの例では、ステントは、管状部材が、ステントの遠位部分に沿ってステントの内側にあり、ステントの近位部分に沿ってステントの外側にあるように、管状部材上に配置される。いくつかの例では、ステントは、管状部材がステントの全体に沿ってステントの内側にあるように、管状部材上に配置される。
【0012】
システムは、管状部材に連結され、外側シースからステントの近位部分を押す前に外側シースを後退させる場所をマークするように構成されたステントアンカーをさらに備える。システムは、管状部材の近位端と連結され、近位方向に管状部材を後退させるように構成された第1のハンドルと、外側シースの近位端に連結され、外側シースを近位方向に後退させるように構成された第2のハンドルと、内側プッシャーの近位端に連結され、近位方向に内側プッシャーを後退させるように構成された第3のハンドルと、をさらに含み得る。システムは、外側シースに連結され、内側プッシャーを前進させながら、外側シースをロック位置に維持するように構成された静止部材をさらに含み得る。いくつかの例では、ステントは、ステントが体腔内で圧縮されるように、ニチノール、合金誘導体、またはその両方を備える。デバイスは、管状部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤをさらに含み得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ステントを体腔内に送達するための方法であって、
前記体腔の壁のアクセス部位を通ってステントを送達することと、
外側シース内から前記ステントの遠位部分を展開することと、
前記外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在して、前記ステントで前記アクセス部位を少なくとも部分的に覆うように前記外側シースから前記ステントの前記近位部分を押すことと、を含む、方法。
(項目2)
前記外側シースから前記ステントの前記遠位部分を展開することが、
前記ステントの前記遠位部分が前記体腔内で拡張するように、前記外側シースを前記アクセス部位に向かって後退させることを含む、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記外側シースから前記ステントの前記近位部分を押すことが、
内側プッシャーを遠位方向に前進させることであって、前記内側プッシャーが、少なくとも部分的に前記外側シース内に配置され、前記ステントの前記近位部分と連結されている、前進させることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記外側シースから前記ステントの前記近位部分を押すことが、
前記ステントの前記近位部分が前記外側シースを完全に出るまで、前記内側プッシャーを前進させることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記内側プッシャーを前記遠位方向に前進させることが、
前記内側プッシャーの遠位端を前記外側シースの前記遠位端と位置合わせすることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記内側プッシャーを前進させる間、前記外側シースをロック位置に維持することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記遠位部分が固定位置に留まるように、前記ステントの前記遠位部分を前記体腔内の狭窄部に対して固定することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記ステントの前記近位部分を前記ステントの前記遠位部分に向かって前進させることにより、前記ステントを圧縮状態に圧縮することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記ステントの前記近位部分を前記圧縮状態から拡張状態に拡張することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記ステントの前記近位部分を前記外側シース内に維持しながら、前記アクセス部位に向かって前記外側シースを後退させることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記外側シースを前記アクセス部位に向かって後退させることが、
前記外側シースの遠位端を前記アクセス部位の前記体腔の前記壁と位置合わせすることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記ステントの前記近位部分を前記外側シースから押す前に、ステントアンカーを越えて前記外側シースを後退させることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記外側シースから前記ステントの前記遠位部分を展開することに少なくとも部分的に基づいて、前記体腔内の狭窄部に対して前記ステントの前記遠位部分を圧縮することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記アクセス部位を通って前記体腔から前記外側シースを取り外すことをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記体腔内で前記ステントを拡張させることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通ってステント送達装置を前進させることと、
前記ステントを拡張させた後、前記アクセス部位を通って前記ステント送達装置を取り外すことと、をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記ステント送達装置が、ガイドワイヤを備え、管状部材が、前記ガイドワイヤの周囲に配置され、前記方法が、
前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通って前記ガイドワイヤを前進させることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
ステントを体腔内に送達するためのシステムであって、
ステントと、
前記体腔の壁のアクセス部位を通って前記ステントを送達するように構成されたステント送達装置と、
前記ステントを折り畳まれた構成に拘束するように構成された外側シースと、
前記外側シースを完全に出ると、前記近位部分が近位に延在して、前記ステントで前記アクセス部位を少なくとも部分的に覆うように前記外側シースから前記ステントの近位部分を押し、前記体腔内で前記ステントを軸方向に圧縮するように構成された内側プッシャーと、を備える、システム。
(項目19)
前記内側プッシャーが、前記ステントの前記近位部分に連結されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目20)
前記内側プッシャーの遠位端が、前記ステントの前記近位部分の近位端に当接している、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目21)
前記外側シースが、前記内側プッシャーを前記外側シースに対して摺動可能に移動させるように構成された管腔を備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目22)
前記内側プッシャーが、前記外側シース内に少なくとも部分的に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目23)
前記体腔の前記壁の前記アクセス部位を通って前進するように構成されている管状部材をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目24)
前記管状部材が前記ステントの遠位部分に沿って前記ステントの内側にあり、前記ステントの近位部分に沿って前記ステントの外側にあるように、前記ステントが、前記管状部材上に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目25)
前記管状部材が前記ステントの全体に沿って前記ステントの内側にあるように、前記ステントが、前記管状部材上に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目26)
前記管状部材に連結され、前記外側シースから前記ステントの前記近位部分を押す前に前記外側シースを後退させる場所をマークするように構成されたステントアンカーをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目27)
前記管状部材の近位端に連結され、前記管状部材を近位方向に後退させるように構成された第1のハンドルと、
前記外側シースの近位端に連結され、前記外側シースを前記近位方向に後退させるように構成された第2のハンドルと、
前記内側プッシャーの近位端に連結され、前記内側プッシャーを前記近位方向に後退させるように構成された第3のハンドルと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目28)
前記外側シースに連結され、前記内側プッシャーを前進させながら前記外側シースをロック位置に維持するように構成された静止部材をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目29)
前記ステントが前記体腔内で圧縮されるように、前記ステントが、ニチノール、合金誘導体、またはその両方を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目30)
前記管状部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A1)
ステントを体腔内に送達するためのシステムであって、
前記体腔の壁のアクセス部位を通って送達されるように構成されたステントであって、遠位部分および近位部分を含む、ステントと、
外側シースと、を備え、
前記ステントの前記遠位部分が、外側シース内から展開するように構成されており、
前記ステントの前記近位部分が、前記外側シースを完全に出ると、前記近位部分が近位に延在して、前記ステントで前記アクセス部位を少なくとも部分的に覆うように、前記外側シースから押されるように構成されている、システム。
(項目A2)
前記ステントの前記遠位部分が、
前記ステントの前記遠位部分が前記体腔内で拡張するように、前記外側シースを前記アクセス部位に向かって後退させることによって、前記外側シースから展開される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A3)
内側プッシャーをさらに備え、前記ステントの前記近位部分が、
前記内側プッシャーを遠位方向に前進させることによって前記外側シースから押され、前記内側プッシャーが、少なくとも部分的に前記外側シース内に配置され、前記ステントの前記近位部分と連結されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A4)
前記ステントの前近位部分が、
前記ステントの前記近位部分が前記外側シースを完全に出るまで前記内側プッシャーを前進させることによって、前記外側シースから押される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A5)
前記内側プッシャーが、
前記内側プッシャーの遠位端を前記外側シースの前記遠位端と位置合わせすることによって、前記遠位方向に前進する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A6)
前記外側シースが、前記内側プッシャーを前進させる間、ロック位置に維持されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A7)
前記ステントの前記遠位部分が、前記遠位部分が固定位置に留まるように、前記体腔内の狭窄部に対して固定されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A8)
前記ステントが、前記ステントの前記近位部分を前記ステントの前記遠位部分に向かって前進させることにより、圧縮状態に圧縮されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A9)
前記ステントの前記近位部分が、前記圧縮状態から拡張状態に拡張されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A10)
前記ステントの前記近位部分が前記外側シース内に維持されたまま、前記外側シースが前記アクセス部位に向かって後退されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A11)
前記外側シースが、
前記外側シースの遠位端を前記アクセス部位の前記体腔の前記壁と位置合わせすることによって、前記アクセス部位に向かって後退される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A12)
前記外側シースが、前記ステントの前記近位部分を前記外側シースから押す前に、ステントアンカーを越えて後退されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A13)
前記ステントの前記遠位部分が、前記外側シースから前記ステントの前記遠位部分を展開することに少なくとも部分的に基づいて、前記体腔内の狭窄部に対して圧縮されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A14)
前記外側シースが、前記アクセス部位を通って前記体腔から取り外されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A15)
前記ステントが、前記体腔内で拡張されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A16)
前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通って前進するように構成されたステント送達装置をさらに備え、
前記ステント送達装置が、前記ステントを拡張させた後、前記アクセス部位を通って取り外されるように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目A17)
前記ステント送達装置が、ガイドワイヤを備え、管状部材が、前記ガイドワイヤの周囲に配置され、
前記ガイドワイヤが、前記ステントを送達する前に、前記アクセス部位を通って前進するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(摘要)
アクセス部位を覆うように拡張可能なステント送達装置のための方法、装置、およびシステムが記載されている。方法は、アクセス部位を通ってステントを送達することと、外側シース内からステントの遠位部分を展開することと、を含み得る。場合によっては、方法は、外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在して、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように外側シースからステントの近位部分を押すことをさらに含み得る。ステントを体腔内に送達するためのシステムは、ステントと、ステント送達装置と、外側シースと、を含み得る。システムは、外側シースを完全に出ると、近位部分が近位側に延在して、アクセス部位を覆うように外側シースからステントの近位部分を押し、ステントを軸方向に圧縮するように構成された内側プッシャーをさらに含む。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、上記の利点または特徴の一部、すべてを含むか、またはまったく含まない場合がある。本明細書に含まれる図、説明、および特許請求の範囲から、当業者には1つ以上の他の技術的利点または特徴が容易に明らかになる場合がある。さらに、特定の利点または特徴を上に列挙したが、様々な実施形態は、列挙した利点または特徴のすべて、一部を含むか、またはまったく含まない場合がある。
【0014】
記載された方法およびシステムの適用性のさらなる範囲は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、説明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになるため、例示のみを目的として与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図では、類似の構成要素または特徴に同じ参照ラベルが付いている場合がある。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、ダッシュによる参照ラベルおよび同様の構成要素の中で識別する第2のラベルを付けることで識別され得る。明細書で第1の参照ラベルのみを使用する場合、説明は、第2参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれかに適用することができる。
【0016】
【
図1】本開示の態様による、体腔へのアクセスを提供するためのシステムの分解図を示す。
【
図2A】本開示の態様による、ステント送達システムを示す。
【
図2B】本開示の態様による、ステント送達システムを示す。
【
図2C】本開示の態様による、ステント送達システムを示す。
【
図2D】本開示の態様による、体腔内のステント送達システムを示す。
【
図2E】本開示の態様による、外側シースが取り外されたステント送達システムを示す。
【
図2F】本開示の態様による、ステントのフランジ部分が展開されたステント送達システムを示す。
【
図2G】本開示の態様による、ステントがアクセス部位に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図2H】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図3A】本開示の態様による、ステントの周囲にフィラメントが結び付けられたステント送達システムを示す。
【
図3B】本開示の態様による、ステントがアクセス部位に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図3C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図4A】本開示の態様による、ステントの周囲に1つ以上のフィラメントが結び付けられたステント送達システムを示す。
【
図4B】本開示の態様による、ステントがアクセス孔に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図4C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図5A】本開示の態様による、ステントの周囲のワイヤフレームを備えたステント送達システムを示す。
【
図5B】本開示の態様による、ステントがアクセス部位に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図5C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図6A】本開示の態様による、分割可能なシースを備えたステント送達システムを示す。
【
図6B】本開示の態様による、ステントがアクセス部位に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図6C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図7A】本開示の態様による、連結リングを備えたステント送達システムを示す。
【
図7B】本開示の態様による、ステントがアクセス部位に向かって後退したステント送達システムを示す。
【
図7C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図8】本開示の態様による、内側プッシャーを用いて体腔へのアクセスを提供するシステムの分解図を示す。
【
図9A】本開示の態様よる、外側シースを取り外したステント送達システムを示す。
【
図9B】本開示の態様による、ステントの近位部分が体腔内で圧縮されたステント送達システムを示す。
【
図9C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図10A】本開示の態様による、カプラーを備えたステント送達システムを示す。
【
図10B】本開示の態様による、ステントおよびアクセス部位に向かって後退したカプラーを備えたステント送達システムを示す。
【
図10C】本開示の態様による、ステントが完全に展開されたステント送達システムを示す。
【
図11】本開示の態様による、位置付け部材を備えたステント送達システムを示す。
【
図12A】本開示の態様による、位置付け部材上に配置されたステントを備えたステント送達システムを示す。
【
図12B】本開示の態様による、位置付け部材上に配置されたステントを備えたステント送達システムを示す。
【
図12C】本開示の態様による、位置付け部材上に配置されたステントを備えたステント送達システムを示す。
【
図13】本開示の態様による、レーザー切断された外側シースを備えたステント送達システムを示す。
【
図14】本開示の態様による、隆起した突起外側シースを備えたステント送達システムを示す。
【
図15】本開示の態様による、有線外側シースを備えたステント送達システムを示す。
【
図16】本開示の態様により示される膵胆管系内の体腔へのアクセスを提供するシステムを示す。
【
図17】本開示の態様による、方法のフロー図を示す。
【
図18】本開示の態様による、方法のフロー図を示す。
【
図19】本開示の態様による、方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、一般に、体腔内にステントを送達すること、およびステントが送達されたアクセス部位を覆うことに関する。本明細書に記載の特定の手順では、体腔内にステントを載置するために、管腔壁に孔が開けられ、ステント送達システムが孔(すなわち、アクセス部位またはアクセス孔)を通って前進され、標的部位(例えば、障害物)に位置付けられる。次に、ステントをステント送達システムから展開し、ステント送達システムを同じ孔を通って管腔から引き抜かれる。孔が覆われていない場合、管腔からの液体が周囲の組織および器官に漏れ出す可能性があり、深刻な不快感またはその他の医学的合併症を引き起こす可能性がある。
【0018】
場合によっては、ステントの近位部分をアクセス孔の遠位に展開することができる。その場合、送達システムは、後退し、それにより、ステントの近位部分を少なくとも部分的にアクセス孔の上に引っ張ることができる。ガイドワイヤ管腔を引っ張ることにより、ステントを後退させてアクセス孔の少なくとも一部分を覆うことができる。他の例では、ステントに取り付けられた連結リングを引っ張ることにより、ステントをアクセス孔に向かって後退させることができる。場合によっては、ステントの近位部分および遠位部分は、拘束部材によってガイドワイヤ管腔に拘束されてもよい。一次拘束部材は、ステントの周囲に結び付けられたフィラメント、ステントの周囲に巻き付けられたワイヤ、ステントの周囲に部分的に巻き付けられたワイヤフレーム、分割可能なシース、またはそれらの要素のいくつかの組み合わせであり得る。いくつかの例では、拘束部材を近位方向に引っ張ることにより、ステントの残りの遠位部分を展開して、体腔内でステントを完全に拡張させることができる。
【0019】
いくつかの例では、ステントの近位部分をアクセス孔の後ろに引っ張る前に、拘束部材を介してステントの近位部分をガイドワイヤ管腔に拘束することができる。ステントの近位部分がアクセス孔を少なくとも部分的に覆った後、拘束部材を近位方向に引っ張ることによりステントの近位部分を展開し、それによりステントの近位部分の周囲から拘束部材を解放することができる。
【0020】
他の例では、ステントの遠位部分は、アクセス孔の遠位に展開されてもよい。ステントが体腔内に載置された後、体腔内でステントの遠位部分を展開するために、外側シースが後退されてもよい。外側シースは、ステントの近位部分を外側シース内に維持しながら、アクセス孔に向かって後退させることができる。ステントの近位部分を体腔内で展開するために、内側プッシャーを、外側シースを通って前進させて、ステントの近位部分を外側シースから押すことができる。ステントの近位部分は、体腔内のステントの展開された遠位部分に対して圧縮する場合がある。その場合、ステントの近位部分は、ステントの近位部分が外側シースを完全に出た後に跳ね返ることにより近位方向に拡張する場合がある。ステントの近位部分は、体腔内で拡張すると、アクセス部位を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0021】
いくつかの例では、ステントをアクセス孔に向かって後退させる前に、アクセス孔を覆うようにステントの近位部分を再位置付けすることができる。例えば、ステントの近位部分は、展開されると、近位部分が近位後退時に体腔またはアクセス孔の壁に引っかかり得るように、最初にアクセス部位に向かって位置付けられ得る。これを防止するために、ステントの近位部分を、体腔内に再位置付けして、アクセス孔から離れるようにステントの近位部分を回転させることができる。ステントの近位部分は、ステントをガイドワイヤ管腔に沿って配置された1つ以上の位置付け部材に取り付けることにより、アクセス孔から離れるように回転させることができる。ガイドワイヤ管腔がアクセス孔に向かって後退されると、位置付け部材は、ガイドワイヤ管腔の周りを回転し、それにより位置付け部材に取り付けられたステントを回転させることができる。場合によっては、ガイドワイヤ管腔の静止部分を、カプラーを介してガイドワイヤ管腔の回転可能部分に取り付けることができる。その場合、ステントは、ステントがアクセス孔に向かって後退すると、ガイドワイヤ管腔の回転可能部分が、ステントの近位部分をアクセス孔から離れるように回転させるように、ガイドワイヤ管腔の回転可能部分に取り付けられ得る。
【0022】
場合によっては、外側シース内に1つ以上の位置付け部材を含めることにより、ステントの近位部分を体腔内に再位置付けすることができる。例えば、外側シースは、突出ストライプ、1つ以上のワイヤ、または1つ以上のレーザーカットで当接されたスプラインを含んでもよい。ステントの近位部分は、位置付け部材を含む外側シースの部分と180度反対側に位置付けすることができる。位置付け部材は、位置付け部材のない外側シースの部分よりも高い剛性を有してもよい。例えば、位置付け部材を備えた部分は、胆管のより小さな曲率に位置合わせする場合がある(例えば、曲げにおける抵抗が最小の経路を採用する)。ステントの近位部分が位置付け部材の反対側に位置付けられる場合、ステントの近位部分は、外側シースが後退した後に胆管の曲率の外側半径に沿って拡張する場合がある。
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本明細書に使用される場合、「臨床医」という用語は、医師、外科医、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、援助要員を含み得る。「近位」という用語は、臨床医に近いデバイスまたはそのコ構成要素の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から遠いデバイスまたはその構成要素の部分を指す。
【0024】
図1は、体腔へのアクセスを提供し、本開示の態様による、ステントを送達するためのシステム100の分解図を示す。システム100は一般に、外側シース105、管腔部材130、ガイドワイヤ管腔150、ステント170、およびガイドワイヤ180を含む。システム100は、個々の構成要素、選択的に組み合わされた構成要素、または構成要素のキットとしてすべて一緒に提供することができる。外側シース105は、外側シースハブ125がハンドルアセンブリの近位端に当接するまで、ハンドルアセンブリ(図示せず)に挿入されてもよい。一旦組み立てられると、外側シース105は、ハンドルアセンブリを通って標的体腔まで延在する。
【0025】
管腔アクセスおよびステント送達処置中、外側シース105は、例えば、管腔の壁を貫通することにより標的管腔にアクセスし得る。いくつかの例では、鋭利なスタイレットを外側シース105と組み合わせて使用して、管腔壁の貫通を促進することができる。例えば、鋭利なスタイレットは、組織を貫通するために外側シース105から突出するまで、外側シース105を通って前進させることができる。外側シース105が管腔にアクセスすると、ガイドワイヤ180は、外側シース105を通って管腔内に前進され得る。身体管腔内へのガイドワイヤ180の正しい載置後、ガイドワイヤ管腔150は、ガイドワイヤ180の上で体腔内に前進され得る。ガイドワイヤ管腔150は、拡張可能なステント170と動作可能に連結されてもよい。そのようなものとして、ガイドワイヤ管腔150およびステント170は、ガイドワイヤ180の上で体腔内に前進させることができる。ガイドワイヤ管腔150は、身体管腔のアクセス部位を覆うようにステント170を位置付けするために近位に後退されてもよい。以下でより詳細に議論されるように、ステント170は、一次拘束部材175を介してガイドワイヤ管腔150に取り付けられ得る。
【0026】
システム100は、例えば、胃腸系または膵胆管系内の1つ以上の体腔にアクセスして治療を提供するために使用されてもよい。システム100はまた、操作性および正確さが望ましい動脈系、気管支系、尿路系、または他の管腔系などの体内の他の器官または管腔系へのアクセスまたは治療を提供するために使用できることも理解されたい。
【0027】
本明細書に記載されるいくつかの例では、ハンドルアセンブリは、内視鏡と連結され、外側シース105は内視鏡超音波(EUS)を介してガイドされ、治療を提供する目的で膵胆道系に関連する1つ以上の体腔または臓器へのアクセスを提供する。例えば、システム100は、少なくとも一般的な胆管へのアクセスを提供して、緩和ドレナージ処置を含む胆管内の狭窄領域または閉塞を治療する後続の処置を容易にするように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、システム100を使用して、内視鏡超音波ガイド下胆道ドレナージ(Endoscopic Ultrasound Guided Biliary Drainage:EUS-BD)処置を実施することができる。特定の実施形態では、緩和的ドレナージ処置は、アクセスシステム100と連動して順行性の様式で実行され得る。
【0028】
システム100の外側シース105は、細長い管状体と、その近位端115から遠位端120まで延在する内部管腔110と、を有する。一般に、外側シース105は、体腔にアクセスし(例えば、管腔壁に孔を開けることにより)、1つ以上のデバイス(例えば、ガイドワイヤ180)が通り得る導管を提供し、その後の体腔または関連器官の治療を促進するように構成される。いくつかの実施形態を参照して説明したように、外側シース105は、ステント170、生検デバイス、医療用送達要素、または任意の数の他の治療または診断デバイスのその後の送達のために、身体管腔内のガイドワイヤ180の方向制御送達を促進する機能を含んでもよい。
【0029】
管腔部材130は、一般に、近位端135および遠位端140を有する細長い管状部材であり、外側シース105の内部管腔110を通って前進するような寸法にされている。管腔部材130は、外側シース105に対する管腔部材130の長手方向の操作を容易にするために、管腔部材130の近位端135に連結されたハブ145も含むことができる。特定の実施形態では、管腔部材130は、近位端135から遠位端140まで延在する1つ以上の内部管腔を含む。以下に説明するように、管腔部材130は、ガイドワイヤ管腔150と、一次拘束部材175に関連する1つ以上のテザーを収容するように構成される。場合によっては、管腔部材130は、ガイドワイヤ管腔150を収容するように構成され、1つ以上のテザーは、管腔部材130の外側表面と外側シース105の内側表面との間に位置付けされる。
【0030】
ガイドワイヤ管腔150は、一般に、近位端155および遠位端160を有する細長い管状部材であり、管腔部材130の内部管腔を通ってガイドワイヤ180の上を摺動可能に前進するような寸法にされている。ガイドワイヤ管腔部材150は、外側シース105に対するガイドワイヤ管腔部材150の長手方向の操作を容易にするために、ガイドワイヤ管腔部材150の近位端155に連結されたハブ165も含むことができる。特定の実施形態では、ガイドワイヤ管腔150の遠位端160は、先端または膨らんだ部分を含む。場合によっては、遠位端160は、先端または膨らんだ部分に連結されたアブレーション要素を含んでもよい。以下に記載されるように、ステント170は、ガイドワイヤ管腔150に連結され得る。例えば、ステント170は、ガイドワイヤ管腔150がステント170の管腔を通って延在しないが、むしろガイドワイヤ管腔150がステント170の外側に位置付けられる、サイドサドル構成であってもよい。いくつかの例では、ステント170は、ガイドワイヤ管腔150と同心であってもよい。そのようなものとして、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170の管腔を通って延在してもよい。ステント170は、サイドサドルまたは同心の構成(例えば、部分的にサイドサドルと部分的に同心)の組み合わせでガイドワイヤ管腔150に連結されてもよい。
【0031】
以下により詳細に議論されるように、ステント170は、一次拘束部材175によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結され得る。いくつかの例では、一次拘束部材175は、ステント170の周囲に結び付けられたフィラメント、ステント170の周囲に巻き付けられたワイヤ、ステント170の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたワイヤフレーム、分割可能なシース、またはそれらの組み合わせの例であり得る。
【0032】
ガイドワイヤ180は、一般に、ガイドワイヤ管腔150の内部管腔を通って摺動可能に前進するように構成された柔軟な細長い部材である。ガイドワイヤ180は、その全長に沿ってサイズおよび剛性が均一であってもよく、代替的に、異なる剛性のセクションを含んでもよい。
【0033】
図2Aは、本開示の態様による、ステント送達システム200を示している。ステント送達システム200は、体腔205内にステント170-aを載置して、体腔205内の狭窄領域または閉塞を通る管腔の流れを回復するように構成され得る。ステント送達システム200は、膵胆管系、動脈系、気管支系、尿路系、またはステント治療が必要であり得る他の管腔系に関連するものなど、任意の体腔205内にステント170-aを配置するようにサイズ化または適合され得る。ステント送達システム200は、一般に、外側シース105、ガイドワイヤ管腔150、およびガイドワイヤ180を含むことができ、これらは、
図1を参照して説明した対応する構成要素の例であり得る。ガイドワイヤ180は、ステント送達システム200の一部であっても、別個の構成要素であってもよい。システム200は、個々の構成要素、選択的に組み合わされた構成要素、または構成要素のキットとしてすべて一緒に提供することができる。
【0034】
ガイドワイヤ管腔150は、一般に、体腔205内にステント170-aを展開するような大きさの管状構造であってもよい。ガイドワイヤ管腔150は、例えば、
図1を参照して説明されるように、内視鏡の作業チャネルを通って人体にアクセスし得る。理解されるように、ガイドワイヤ管腔150は、医療用シース、カテーテルなどに好適な任意の数の生体適合性材料または材料の組み合わせから作製され得る。
【0035】
一般に、ステント170-aは、体腔205内に配置するようにサイズ化されたフレームまたは足場構造であり、体腔205の内部表面に構造的支持を提供するように構成される。ステント170-aを使用して、炎症、腫瘍、プラークの蓄積、または他の閉塞性の特徴により、体腔205内の狭窄または閉塞された領域にわたって開通性を回復することができる。本明細書では膵胆管系への言及が提供されているが、本明細書で説明されているステントは任意の体腔205で使用できることを理解されたい。さらに、以下により詳細に議論されるように、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150の周囲に配置され得る。そのようなものとして、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を後退させることによりアクセス部位210の上に位置付けられ得る。
【0036】
ステント170-aは、任意の数の材料、材料の組み合わせ、および構造から作製され得る。いくつかの例では、ステント170-aは、自己拡張型ステントである。ステント170-aは、クロスハッチ構成で一緒に結合された複数のワイヤから作製された編組ステントであってもよい。しかしながら、ステント170-aは、他のステント構造またはステント構造の組み合わせから作製され得ることを理解されたい。他の例では、ステント170-aは、柔軟性を高めるために切り取られた領域を備えた単一の金属管から形成されたレーザーカットステントである。さらに他の例では、ステント170-aは、1つ以上の螺旋状に巻き付けられたワイヤによって形成されたワイヤ状のステントである。異なるステント構造は、特定の用途に特定の構造を有利にする可能性がある半径方向の拡張力、柔軟性、短縮性の減少、または転移抵抗などの特定の特性を示し得ることが理解され得る。
【0037】
ステント170-aの個々のワイヤまたはフレームは、チタン、ニチノール、またはステンレス鋼を含むがこれらに限定されない任意の数の金属材料から作製されてもよい。他の金属材料または非金属材料を使用して、好適な柔軟性、剛性、および生体適合性を提供するステント170-aを構築できることを理解されたい。ステント170-aは、ステント170-aの表面の一部または全部を覆うポリマーまたは布製スリーブを含むことができる。そのようなスリーブは、ステント170-aの剥き出しの金属から体腔205の内側表面を保護し得、組織の内部成長を防止し得る。いくつかの例では、ステント170-aは、薬剤溶出ステントである。
【0038】
なお
図2Aを参照すると、体腔205内にステント送達システム200を載置するために、体腔205の壁215を介してアクセス部位210が形成され、次いで、ガイドワイヤ180が、アクセス部位210を介して体腔205内へと前進する。ガイドワイヤ180が所定の位置に載置されると、ガイドワイヤ管腔150は、矢印220で示されるように、ガイドワイヤ180の上を、アクセス部位210を通って、体腔205内に遠位に前進する。
【0039】
場合によっては、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150の周囲に部分的に配置されてもよい。例えば、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-aの近位部分230に沿ってステント170-aの外側にあってもよく、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-aの遠位部分235に沿ってステント170-aの内側にあってもよい。この構成は、部分的なサイドサドル構成と呼ばれる場合がある。
【0040】
図2Bは、本開示の態様による、ステント送達システム200を示している。ステント送達システム200は、ステント170-bを体腔205内に載置して、体腔205内の狭窄領域または閉塞を通る管腔の流れを回復するように構成されてもよく、一般に、
図2Aを参照して説明した構成要素を含んでもよい。
【0041】
図2Bに示される例では、ステント170-bは、ガイドワイヤ管腔150の周囲に完全に配置されてもよい。例えば、ステント170-bは、ガイドワイヤ管腔150がステント170-bの近位部分230および遠位部分235に沿ってステント170-bの外側にあるように、ガイドワイヤ管腔150の周囲に完全に配置され得る。この構成は、完全なサイドサドル構成と呼ばれる場合があり、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-bの管腔を通って延在しない。
【0042】
図2Cは、本開示の態様による、ステント送達システム200を示している。ステント送達システム200は、ステント170-cを体腔205内に載置して、体腔205内の狭窄領域または閉塞を通る管腔の流れを回復するように構成されてもよく、一般に、
図2Aを参照して説明した構成要素を含んでもよい。
【0043】
図2Cに示される例では、ステント170-cは、ガイドワイヤ管腔150の周囲に完全に配置されてもよい。その場合、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-cの近位部分230および遠位部分235に沿ってステント170-cの内側にあってもよい。この構成は、ステント170-cがガイドワイヤ管腔150と同心であり、ステント170-cの管腔を通って延在することができる同心と呼ばれる場合がある。
【0044】
図2Dは、本開示の態様による、体腔205内のステント送達システム200を示している。体腔205に入ると、外側シース105、ガイドワイヤ管腔150、および管腔部材(図示せず)は、矢印225で示されるように遠位に前進することができる。例えば、外側シース105は、外側シースハブ125を遠位方向に押すことにより遠位方向に前進させることができ、ガイドワイヤ管腔150は、ハブ165を遠位方向に押すことにより遠位方向に前進させることができる。場合によっては、外側シース105およびガイドワイヤ管腔150は、外側シース105およびガイドワイヤ管腔150が乳頭を通って十二指腸内に延在するように遠位方向に前進させることができる。外側シース105は、ガイドワイヤ管腔150の周囲に配置され得る。したがって、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150と外側シース105の内側表面との間に配置されてもよい。場合によっては、アクセス部位210は、ステント170-aによって覆われない可能性がある。
【0045】
図2Eは、本開示の態様による、外側シース105が取り外されたステント送達システム200を示している。矢印240によって示されるように、外側シース105が近位に引き抜かれると、管腔部材(図示せず)は静止したままであり得、ステント170-aは体腔205内に露出され得る。外側シース105は、外側シースハブ125を近位方向に引っ張ることにより近位に引き抜かれ得る。場合によっては、再位置付けが必要な場合、外側シース105を遠位方向に再前進させてステント170-aを覆うことができる。ステント170-aの所望の解剖学的位置が、体腔205内で達成されると、外側シース105を後退させることができる。
【0046】
以下でより詳細に議論されるように、ステント170-aは、一次拘束部材175によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結され得る。下記により詳細に説明するいくつかの例では、一次拘束部材175は、ステント170-aの周囲に結び付けられたフィラメント、ステント170-aの周囲に巻き付けられたワイヤ、ステント170-aの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたワイヤフレーム、分割可能なシース、またはそれらの組み合わせの例であり得る。
【0047】
図2Fは、本開示の態様による、展開されたステント170-aのフランジ部分245を備えたステント送達システム200を示している。矢印240によって示されるように、外側シース105が近位に引き抜かれると、ステント170-aは、体腔205内に露出し得る。場合によっては、ステント170-aは、ステント170-aの少なくとも一部分が乳頭を通って十二指腸内に延在するように前進させることができる。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aの遠位部分235が拡張してフランジ部分245を露出させる。
【0048】
ステント170-aが近位方向に引っ張られると、ステント170-aのフランジ部分245が乳頭に接触する。その場合、フランジ部分245は、ステント170-aが近位方向にさらに引き抜かれることを防止する。臨床医は、フランジ部分245の乳頭に対する抵抗を感じることができ、したがってステント170-aの位置を推測することができる。付加的にまたは代替的に、フランジ部分245が乳頭に対して引っ張られるときのその折り畳みは、蛍光透視法または同様の撮像技術の下で視ることができ、ステント170-aの位置を推測することができる。場合によっては、フランジ部分245が乳頭に接触するまでステント170-aを引っ張ることにより決定される距離測定に基づいて、ステント170-aを体腔205内に再位置付けすることができる。例えば、ステント170-aのフランジ部分245が乳頭に接触し、測定された距離は、ステント170-aがアクセス部位210を覆うことなく、アクセス部位210が体腔205に露出され得ることを示す場合、ステント170-aは、再位置付けられ得る。測定された距離は、ステント170-aの近位部分230とアクセス部位210との間で測定された距離を含み得る。
【0049】
図2Gは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム200を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-aの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-aを、アクセス部位210に向かって引っ張ることができる。以下により詳細に議論されるように、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。例えば、ガイドワイヤ管腔150のハブ165を近位方向に引っ張ることにより、ステント170-aをアクセス部位210に向かって引っ張ることができる。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150のハブ165、管腔部材、および外側シース105の外側シースハブ125を引っ張ることにより、ステント170-aをアクセス部位210に向かって引っ張ることができる。さらに、ステント170-aは、体腔205内に再位置付けられて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0050】
図2Hは、本開示の態様による、ステント170-aが完全に展開されたステント送達システム200を示している。ステント170-aを体腔205内に展開するために、一次拘束部材が解放され得る。以下により詳細に説明するように、ステント170-aは、一次拘束部材を近位方向に引っ張るか、一次拘束部材に連結される1つ以上のテザーを引っ張るか、若しくはその両方によって展開され得る。自己拡張型ステントの場合、ステント170-aは、拡張して体腔205の内部表面に接触する。ステント170-aが体内管腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150およびガイドワイヤ180は、アクセス部位210を通って引き抜かれる。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150およびガイドワイヤ180は、ステント170-aの壁の孔を通って延在してもよい。そのような場合、ガイドワイヤ管腔150およびガイドワイヤ180は、ステント170-aの壁の孔を通って引き抜かれてもよい。
【0051】
図3Aは、本開示の態様による、ステント170-aの周囲にフィラメントが結び付けられたステント送達システム300を示している。外側シース105がアクセス部位210から取り外されると、ステント170-aは、体腔205内に露出され得る。例えば、外側シースハブ125を介して外側シース105を引き抜くことにより、外側シース105をアクセス部位210から取り外すことができる。場合によっては、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150の周囲に部分的に配置されてもよい。この構成は、部分的なサイドサドル構成と呼ばれる場合がある。
【0052】
ステント170-aは、一次拘束部材305によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結されてもよい。いくつかの例では、一次拘束部材305は、ステント170-aの周囲に結び付けられたフィラメントの一例であり得る。例えば、一次拘束部材305は、近位部分230でステント170-aの周囲に結び付けられた単一の巻き付けを備えてもよい。テザー310は、一次拘束部材305に取り付けられ、アクセス部位210を通って延在することができる。場合によっては、テザー310は、一次拘束部材305の延長部であり得る(例えば、一次拘束部材305同じ材料を含み、一次拘束部材305にシームレスに接続される)。他の例では、テザー310は、一次拘束部材305に取り付けられてもよい。
【0053】
一次拘束部材305は、ステント170-aの近位端から様々な距離でステント170-aの近位部分230の周囲に結び付けられてもよい。例えば、一次拘束部材305の結び目とステント170-aの近位端との間の距離は、0~40mmの範囲であり得る。いくつかの例では、一次拘束部材305の結び目とステント170-aの近位端との間の距離は、15~30mmの範囲であり得る。一次拘束部材305の結び目と管腔部材130の遠位端との間の距離は、0~40mmの範囲であり得る。いくつかの例では、一次拘束部材305の結び目と管腔部材130の遠位端との間の距離は、20~30mmの範囲であり得る。
【0054】
場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-aの近位部分230に沿ってステント170-aの外側にあってもよく(例えば結び目に近位である)、ガイドワイヤ管腔150は、ステント170-aの遠位部分235に沿ってステント170-aの内側にあってもよい(例えば、結び目に遠位である)。すなわち、ステント170-aは、部分的なサイドサドル構成でガイドワイヤ管腔150上に位置付けられてもよい。場合によっては、結び目は、ステント170-aの近位部分230に沿って、またはステント170-aの遠位部分235に沿って位置付けられてもよい。場合によっては、ステント170-aを露出させるために外側シース105が近位に引き抜かれると、ステント170-aの近位部分230が拡張する場合がある。すなわち、ステント170-aの近位部分230は、一次拘束部材305によって拘束されない場合がある。そのような場合、ステント170-aの近位部分230の拡張状態は、カフと呼ばれることがある。
【0055】
一次拘束部材305は、近位方向に引っ張られたときに一次拘束部材305が解放可能であるように、ステント170-aおよびガイドワイヤ管腔150の周囲に結び付けられてもよい。例えば、一次拘束部材305は、一次拘束部材305の引っ張り力がステント170-aの長手方向軸に沿って向けられるように、ガイドワイヤ管腔150に固定されたループを含むことができる。一次拘束部材305が結ばれると、一次拘束部材305は、管腔部材130の第1の管腔に近位方向に経路指定され得る。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は、管腔部材130の第2の管腔を通って経路指定されてもよい。
【0056】
一次拘束部材305は、単一フィラメントまたはマルチフィラメント材料から製作されてもよい。一次拘束部材305の例示的な材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。フィラメント材料の外径は、0.05~0.025インチの範囲内であり得る。いくつかの例では、フィラメント材料の外径は0.012~0.020インチの範囲内である。一次拘束部材305(例えば、テザー310)の引張強度は、8ポンド力より大きくてもよい。いくつかの例では、一次拘束部材305(例えば、テザー310)の引張強度は、10ポンド力よりも大きくてもよい。
【0057】
いくつかの例では、一次拘束部材305は、ステント170-aの周囲に巻き付けられたワイヤを備えてもよい。例えば、一次拘束部材305は、ニチノールまたは他の超弾性ワイヤフィラメントである。この場合、単一フィラメントは、ステント170-aをガイドワイヤ管腔150の中心点に拘束するための単一または二重フィラメントの巻き付けであってもよい。ニチノールフィラメントの直径は、0.0050~0.020インチの範囲内であり得る。いくつかの例では、ニチノールフィラメントの直径は、0.0070~0.014インチの範囲内であり得る。ニチノールフィラメントは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン-NまたはMDXシリコーンなどの潤滑性材料でコーティングされていてもよい。
【0058】
図3Bは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム300を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-aの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-aを、アクセス部位210に向かって引っ張ることができる。ステント170-aの近位部分230は、ステント170-aが後退するときに、一次拘束部材305が、近位部分230が体腔の壁215に引っかかるのを防止するように結び付けられてもよい。ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。例えば、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150のハブ165を引っ張ることにより後退され得る。以下により詳細に議論されるように、ステント170-aは、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うために体腔205内に再位置付けられ得る。
【0059】
図3Cは、本開示の態様による、ステント170-aが完全に展開されたステント送達システム300を示している。ステント170-aを体腔205内に展開するために、一次拘束部材が解放され得る。ステント170-aは、一次拘束部材を近位方向に引っ張ることにより展開することができる。例えば、ステント170-aは、一次拘束部材に連結されたテザーを引っ張ることにより展開され得る。その場合、結び目が解けてステント170-aを展開する可能性がある。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150に固定されたループが緩むように、一次拘束部材の引っ張り力をステント170-aの長手方向軸に沿って向けることができる。自己拡張型ステントの場合、ステント170-aは拡張して体腔205の内側表面に接触する。ステント170-aが体腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150、ガイドワイヤ180、一次拘束部材、およびテザーがアクセス部位210を通って引き抜かれる。
【0060】
図4Aは、本開示の態様による、ステント170-aの周囲に結び付けられた1つ以上の結び目を有するステント送達システム400を示している。外側シース105がアクセス部位210から取り外されると、ステント170-aは、体腔205内に露出され得る。ステント170-aは、部分的なサイドサドル構成でガイドワイヤ管腔150の周囲に配置されてもよい。
【0061】
ステント170-aは、一次拘束部材405によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結されてもよい。いくつかの例では、一次拘束部材405は、ステント170-aの周囲に結び付けられた1つ以上の結び目の例であり得る。例えば、一次拘束部材405は、ステント170-aの遠位部分235に沿って間隔を空けてステント170-aの周囲に結び付けられた1つ以上の巻き付けを備えてもよい。その場合、ステント170-aは、一連の周辺方向の巻き付け、巻回、縫合糸の結び目、またはそれらの組み合わせによって、ガイドワイヤ管腔150に拘束され得る。他の例では、一次拘束部材405は、ステント170-aの遠位部分235から近位部分230まで間隔を空けてステント170-aの周囲に結び付けられた1つ以上の巻き付けを備えてもよい。
【0062】
いくつかの例では、一次拘束部材405は、ステント170-aの近位部分230の周囲にフィラメントの巻き付けを備えてもよい。フィラメントの巻き付けは、単一の巻き付け、巻回、または縫合糸の結び目の例であり得る。ステント170-aの近位部分230は、ステント170-aが後退するときに、一次拘束部材405が、近位部分230が体腔205の壁215に引っかかるのを防止するように結び付けられてもよい。場合によっては、ステント170-aを露出させるために外側シース105が近位に引き抜かれると、ステント170-aの近位部分230が拡張する場合がある。すなわち、ステント170-aの近位部分230は、一次拘束部材405によって拘束されない場合がある。
【0063】
一次拘束部材405は、近位方向に引っ張られたときに一次拘束部材405が解放可能であるように、ステント170-aおよびガイドワイヤ管腔150の周囲に結び付けられてもよい。例えば、一次拘束部材405は、一次拘束部材405の引っ張り力がステント170-aの長手方向軸に沿って向けられるように、ガイドワイヤ管腔150に固定された1つ以上のループを含むことができる。その場合、一次拘束部材405は、追加の縫合糸ループ、プラスチック片、または金属片を含んで、中央プルポイントを作成してもよい。中心プルポイントは、ステント170-aの遠位部分235に沿った1つ以上の結び目とステント170-aの近位部分230の単一の巻き付けとの間の位置でガイドワイヤ管腔150に固定されてもよい。
【0064】
一次拘束部材405は、単一フィラメントまたはマルチフィラメント材料から製作されてもよい。一次拘束部材405の例示的な材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
テザー410は、一次拘束部材405に取り付けられ、アクセス部位210を通って延在することができる。場合によっては、テザー410は、一次拘束部材405の延長部であり得る(例えば、一次拘束部材405同じ材料を含み、一次拘束部材405にシームレスに接続される)。他の例では、テザー410は、一次拘束部材405に取り付けられてもよい。場合によっては、1つ以上のテザー410を一次拘束部材405に取り付けることができる。例えば、第1のテザーをステント170-aの遠位部分235に連結し、第2のテザーをステント170-aの近位部分230に連結することができる。以下により詳細に議論されるように、第1および第2のテザーは、別々に引っ張られて、異なる時点でステント170-aの近位部分230および遠位部分235を解放し得る。
【0066】
ステント送達システム400は、近位マーカー415および遠位マーカー420を含むことができる。近位マーカー415および遠位マーカー420は、ガイドワイヤ管腔150の周囲に配置されてもよい。例えば、近位マーカー415は、ステント170-aの近位端に位置付けられてもよく、遠位マーカー420は、ステント170-aの遠位端に位置付けられてもよい。近位マーカー415および遠位マーカー420は、ステント170-aを展開する前に、蛍光透視法の下でのステント載置において臨床医を支援し得る。
【0067】
ステント送達システム400は、ステントアンカー425を含むことができる。拘束状態(例えば、外側シース105が取り外される前)では、ステント170-aの遠位部分235は、ステントアンカー425と外側シース105との間に拘束され得る。場合によっては、ステントアンカー425は、テザー410をステント170-aの遠位部分235に沿って経路指定することができる。ステントアンカー425は、ガイドワイヤ管腔150に接着接合するように構成された圧縮性ポリマー材料を含むことができる。場合によっては、ステントアンカー425は、テザー410の引っ張りの中心角を提供するように構成されてもよい。他の例では、テザー410が近位方向に引っ張られるとき、ステントアンカー425はステント170-aのストラップである。
【0068】
一次拘束部材405が結ばれると、一次拘束部材405は、管腔部材130の第1の管腔に近位方向に経路指定され得る。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は、管腔部材130の第2の管腔を通って経路指定されてもよい。いくつかの例では、マルチ管腔部材は、トライ管腔突出部を含んでもよい。その場合、一次拘束部材405の1つ以上のフィラメントは、管腔部材130の第1の管腔および第3の管腔を通って経路指定されてもよい。例えば、一次拘束部材405の第1のフィラメントは、ステント170-aの近位部分230(例えば、近位カフ部分)の周囲に結び付けられ、管腔部材130の第1の管腔を通って経路指定されてもよく、一次拘束部材405の第2のフィラメントは、ステント170-aの遠位部分235(例えば、遠位ソックス部分)の周囲に結び付けられ、複数の管腔部材の第3の管腔通って経路指定されてもよい。
【0069】
図4Bは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム400を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-aの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-aをアクセス部位210に向かって引っ張ることができる。ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。例えば、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150のハブ165を引っ張ることによりアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。ステント170-aの近位部分230は、ステント170-aが後退するときに、一次拘束部材1250が、近位部分230が体腔の壁215に引っかかるのを防止するように結び付けられてもよい。
【0070】
場合によっては、ステント170-aの近位部分230は、ステント170-aをアクセス部位210に向かって後退させる前に展開されてもよい。例えば、1つ以上のテザー410は、一次拘束部材405と連結され得る。例えば、第1のテザー410は、ステント170-aの近位部分230に連結され得る。その場合、ステント170-aの近位部分230は、第1のテザー410を近位方向に引っ張ることにより展開され得る。次いで、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。さらに、ステント170-aは、体腔205内に再位置付けられて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0071】
図4Cは、本開示の態様による、ステント170-aが完全に展開されたステント送達システム400を示している。ステント170-aを体腔205内に展開するために、一次拘束部材が解放され得る。ステント170-aは、一次拘束部材を近位方向に引っ張ることにより展開することができる。例えば、ステント170-aは、一次拘束部材に連結された1つ以上のテザーを近位方向に引っ張ることにより展開され得る。その場合、1つ以上の結び目が解けてステント170-aを展開する可能性がある。例えば、第1のテザーは、ステント170-aの近位部分230に連結され、ステント170-aの近位部分230を展開するように構成され得る。他の例では、ステント170-aの遠位部分235と第2のテザーを連結することができる。その場合、ステント170-aの遠位部分235は、第2のテザーを近位方向に引っ張ることにより展開され得る。
【0072】
場合によっては、ガイドワイヤ管腔150に固定された1つ以上のループが緩むように、一次拘束部材の引っ張り力をステント170-aの長手方向軸に沿って向けることができる。自己拡張型ステントの場合、ステント170-aは拡張して体腔205の内側表面に接触する。ステント170-aが体腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150、ガイドワイヤ180、一次拘束部材、および1つ以上のテザーがアクセス部位210を通って引き抜かれる。
【0073】
図5Aは、本開示の態様による、ステント170-aの周囲にワイヤフレームを備えたステント送達システム500を示している。外側シース105がアクセス部位210から取り外されると、ステント170-aは、体腔205内に露出され得る。ステント170-aは、部分的なサイドサドル構成でガイドワイヤ管腔150の周囲に配置されてもよい。
【0074】
ステント170-aは、一次拘束部材505によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結されてもよい。いくつかの例では、一次拘束部材505は、ステント170-aの周囲のワイヤフレームの一例であり得る。一次拘束部材505は、ステント170-aの周囲に少なくとも部分的に巻き付くことができる。例えば、一次拘束部材505は、ニチノールワイヤをマンドレルの周囲に熱硬化させて一連のS形状リングまたはC形状リングを形成することにより形成され得る。ニチノールワイヤは、ステント展開力を低減するために、PTF、パリレン-N、またはシリコーンなどの潤滑性材料でコーティングすることができる。
【0075】
場合によっては、単一のS字型またはC字型リングの幅は、0.0050~0.0400インチの範囲内である場合がある。いくつかの例では、単一のS形状またはC形状のリングの幅は、0.0100~0.0175インチの範囲内である場合がある。一次拘束部材505の外径は、0.004~0.015インチの範囲内であり得る。いくつかの例では、一次拘束部材505の外径は、0.007~0.010インチの範囲内である。
【0076】
一次拘束部材505は、ステント170-aの遠位部分235からステント170-aの近位部分230まで、ガイドワイヤ管腔150の長手方向軸に平行に延在することができる。例えば、一次拘束部材505は、ステント170-aの遠位部分235の周囲にS形状またはC形状のリングを巻き付けることにより形成されてもよい。連続したS字形またはC字形のリングは、ステント170-aの遠位部分235から近位部分230まで巻きつけられてもよい。
【0077】
テザー510は、一次拘束部材505に取り付けられ、アクセス部位210を通って延在することができる。場合によっては、テザー510は、一次拘束部材505の延長部であり得る(例えば、一次拘束部材505同じ材料を含み、一次拘束部材505にシームレスに接続される)。例えば、テザー510は、ニチノールを含む長手方向ワイヤであり得る。他の例では、テザー510は、一次拘束部材505に取り付けられてもよい。例えば、テザー510は、一次拘束部材505の遠位端に取り付けられ、一次拘束部材505の遠位端から近位方向に外側シース105内に延在することができる。
【0078】
場合によっては、一次拘束部材505は、近位方向に管腔部材130の第1の管腔に経路指定されてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は、管腔部材130の第2の管腔を通って経路指定されてもよい。いくつかの例では、管腔部材130は、スロット付きの第1の管腔を含み得る。その場合、第1の管腔は、テザー510が後退してステント170-aを展開する際の摩擦を低減するために管腔部材130の外側表面に対して開いていてもよい。
【0079】
図5Bは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム500を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-aの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-aをアクセス部位210に向かって引っ張ることができる。ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。例えば、ステント170-aは、ガイドワイヤ管腔150のハブ165を引っ張ることによりアクセス部位210に向かって後退され得る。さらに、ステント170-aは、体腔205内に再位置付けられて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0080】
図5Cは、本開示の態様による、ステント170-aが完全に展開されたステント送達システム500を示している。ステント170-aを体腔205内に展開するために、一次拘束部材が解放され得る。ステント170-aは、一次拘束部材を近位方向に引っ張ることにより展開することができる。例えば、ステント170-aは、一次拘束部材に連結されたテザーを引っ張ることにより展開され得る。一次拘束部材の遠位端に取り付けられたテザーは、ステント170-aを遠位方向から近位方向に展開するように構成されてもよい。例えば、この展開機構により、臨床医は遠位ステントの展開を停止し、アクセス部位210に対してステント170-aを再位置付けすることができる。
【0081】
場合によっては、一次拘束部材は、ステント170-aを近位方向から遠位方向に展開するように構成されてもよい。その場合、一次拘束部材の近位部分は、外側シース105の中に延在することができる。すなわち、外側シース105が近位方向に後退した後、一次拘束部材の近位端がほどけてもよい。他の例では、テザーは、一次拘束部材の近位ループに取り付けられ、そこから延在していてもよい。その場合、テザーが近位方向に引っ張られると、一次拘束部材の近位部分がほどけて、ステント170-aを近位方向から遠位方向に解放する。
【0082】
自己拡張型ステントの場合、ステント170-aは拡張して体腔205の内側表面に接触する。ステント170-aが体腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150、ガイドワイヤ180、一次拘束部材、およびテザーがアクセス部位210を通って引き抜かれる。
【0083】
図6Aは、本開示の態様による、分割可能なシースを備えたステント送達システム600を示している。外側シース105がアクセス部位210から取り外されると、ステント170-aは、体腔205内に封入され得る。場合によっては、ステント170-bは、ガイドワイヤ管腔150がステント170-bの近位部分230および遠位部分235に沿ってステント170-bの外側にあるように、ガイドワイヤ管腔150の周囲に部分的に配置されてもよく、これはサイドサドル構成と呼ばれ得る。すなわち、サイドサドル構成では、ガイドワイヤ管腔150はステント170-bの管腔を通って延在しない。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は遠位先端605を含むことができる。
【0084】
ステント170-bは、一次拘束部材によってガイドワイヤ管腔150と解放可能に連結され得る。いくつかの例では、一次拘束部材は、分割可能なシース610の一例であり得る。分割可能なシース610は、外側シース105の内側表面とステント170-bの外側表面との間の部分的に管状の部分を指し得る。すなわち、分割可能なシース610は、それ自体が完全に管状でなくてもよい。場合によっては、分割可能なシース610は、分割可能なシース610内のステント170-bの半径方向の拡張力に抵抗するのに十分な剛性を有していてもよい。分割可能なシース610は、熱可塑性エラストマーなどの様々な材料から製造されてもよい。例示的な熱可塑性エラストマー材料には、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)が含まれるが、これに限定されない。例えば、分割可能なシース610は、熱可塑性およびエラストマー特性を備えたコポリマー材料を含んでもよい。
【0085】
分割可能なシース610は、長手方向要素615を含むことができる。長手方向要素615は、分割可能なシース610の管状本体の長手方向軸に沿って配向されてもよい。長手方向要素615は、分割可能なシース610に接着して、分割可能なシース610の管状本体を形成してもよい。長手方向要素615は、ポリマーなどの様々な材料から製造されてもよい。例示的なポリマー系材料には、高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれるが、これに限定されない。例えば、長手方向要素615は、分岐していない線状ポリエチレンポリマーの鎖によって特徴付けられる材料から構成されてもよい。その場合、分割可能なシース610は、熱可塑性エラストマーなどの様々な材料から製造されてもよい。例示的な熱可塑性エラストマー材料には、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)が含まれるが、これに限定されない。例えば、分割可能なシース610は、熱可塑性およびエラストマー特性を備えたコポリマー材料を含んでもよい。いくつかの例では、長手方向要素615は、分割可能なシース610の長手方向軸に沿った穿孔であり得る。他の例では、長手方向要素615は、紐またはワイヤであり得る。
【0086】
分割可能なシース610の時期尚早の分割を防止するために、分割可能なシース610の遠位端は、分割可能なシース610の周囲に熱融着された編組補強材を含んでもよい。例えば、編組補強材は、分割可能なシース610の一部分に連結されてもよく、編組補強材は、長手方向要素615と位置合わせするチャネルを備えた部分的に管状の本体から構成されてもよい。編組補強材は、編組フレーム構造から作製されてもよい。例えば、編組補強材は、その長手方向に沿って切断されたチャネルを有する編組管から作られてもよい。いくつかの例では、編組補強材は、クロスハッチ構成で一緒に結合された複数のワイヤから作製されてもよい。
【0087】
場合によっては、ステント170-bの近位部分230は、遠位先端605の後退の前に展開されてもよい。いくつかの例では、外側シース105は、ステント送達システム600の近位端に位置してもよい。分割可能なシース610は、分割可能なシース610の近位端に開放ポケット620(例えば、スリット)を含むことができ、そこでステント170-bは、部分的に展開することができる。例えば、開放ポケット620は、外側シース105がステント送達システム600の近位端に位置するときにステント170-bを収容し、外側シース105がステント送達システム600の近位端からアクセス部位210を通って引っ張られたときに、ステント170-aを展開するように構成されてもよい。
【0088】
図6Bは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム600を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-bの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-bをアクセス部位210に向かって引っ張ってもよい。ステント170-bは、矢印250で示すように、分割可能なシース610を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退させることができる。さらに、ステント170-aは、体腔205内に再位置付けられて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0089】
ステント170-bを完全に展開するために、ガイドワイヤ管腔150の遠位先端605は、長手方向要素615に沿った分割な可能シース610の引き裂きを容易にするように構成され得る。例えば、遠位先端605の外径は、分割可能なシース610の内径よりも大きくてもよい。したがって、遠位先端605が分割可能なシース610を通って近位に引っ張られると、遠位先端605は、分割可能なシース610を引き伸ばし、分割可能なシース610を長手方向要素615に沿って引き裂き得る。分割可能なシース610が引き裂かれると、ステント170-bは、分割可能なシース610から体腔205内へと展開し始める可能性がある。ステント170-bは、分割可能なシース610の内側表面とガイドワイヤ管腔150との間にサイドサドル構成で位置しているため、ステント170-bは、遠位先端605が近位に引き抜かれると、分割可能なシース610の遠位端から押される。
【0090】
外側シース105が近位方向に後退すると、ステント170-aの近位部分230は、分割可能なシース610の開放ポケット620を通って展開することができる。すなわち、ステント170-aは、体腔205内のアクセス部位210の少なくとも一部分を覆うことができる。開放ポケット620の支持を提供するために、分割可能なシース610の開放ポケット620は、1つ以上の軸方向ワイヤで補強されてもよい。例えば、1つ以上の軸方向ワイヤは、分割可能なシース610内に、開放ポケット620の180度反対側に位置付けされてもよい。1つ以上の軸方向ワイヤは、ニチノールまたはステンレス鋼を含むがこれらに限定されない任意の数の金属材料から作られてもよい。
【0091】
図6Cは、本開示の態様による、ステント170-bが完全に展開されたステント送達システム600を示している。ステント170-bを体腔205内に展開するために、一次拘束部材は、拘束された構成からステント170-bを解放し得る。ステント170-bは、ガイドワイヤ管腔150の遠位先端を近位方向に引き抜くことにより展開され得る。その場合、遠位先端は、長手方向要素に沿って一次拘束部材を引き裂くことができ、それにより、ステント170-bを体腔205内に展開する。ステント170-bが体腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150、ガイドワイヤ180、および一次拘束部材が、アクセス部位210を通って引き抜かれる。自己拡張型ステントの場合、ステント170-bは拡張して体腔205の内側表面に接触する。
【0092】
図7Aは、本開示の態様による、連結リング705を備えたステント送達システム700を示している。外側シース105がアクセス部位210から取り外されると、ステント170-aは、体腔205内に露出され得る。ステント170-aは、部分的なサイドサドル構成でガイドワイヤ管腔150の周囲に配置されてもよい。場合によっては、ステント170-aは、同心構成でガイドワイヤ管腔150の周囲に配置されてもよい。ステント170-aを体腔205内に展開するために、外側シース105を取り外すことができる。自己拡張型ステントの場合、ステント170-aは拡張して体腔205の内側表面に接触する。
【0093】
ステント送達システム700は、連結リング705を含むことができる。連結リング705は、ステント170-aと解放可能に連結されてもよい。場合によっては、連結リング705は、ステント170-aに取り付けられたアイレットまたはリングを備えてもよい。連結リング705は、円形でも楕円形でもよい。いくつかの例では、連結リング705は、ステント170-aのワイヤフィラメント間で溶接され得るステンレス鋼材料を含み得る。例えば、連結リング705は、ステント170-aのストラットまたは編組ワイヤに取り付けられてもよい。いくつかの例では、連結リング705の形状は分割リングであってもよい。その場合、「分割リング」は、ステント170-aに溶接された連結リング705に取り付けられてもよい。分割リングは、分割リングの端部が連結リング705から分離および切り離しができるように構成されてもよい。連結リング705は、近位部分230の近位端からステント170-aの長さの4分の1または3分の1の距離でステント170-aに取り付けられてもよい。
【0094】
ステント送達システム700はまた、テザー710を含み得る。テザー710は、連結リング705と連結され得る。分割リングの場合、テザー710は、分割リングにレーザー溶接されてもよい。いくつかの例では、テザー710は、連結リング705のアイレットを通って挿入され、外側シース105を通って近位に延在することができる。場合によっては、テザー710は、管腔部材130の第1の管腔内に近位方向に経路指定されてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔150は、管腔部材130の第2の管腔を通って経路指定されてもよい。
【0095】
図7Bは、本開示の態様による、ステント170-aがアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム700を示している。外側シース105がアクセス部位210を通って取り外されると、ガイドワイヤ管腔150は、アクセス部位210を通って取り外され得、ステント170-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。例えば、ステント170-aの近位部分230がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント170-aを、アクセス部位210に向かって引っ張ることができる。
【0096】
ステント170-aは、テザー710を近位方向に引っ張ることにより、アクセス部位210に向かって後退され得る。所定の力を超えると、テザー710は、連結リング705から切り離すことができる。いくつかの例では、テザー710は、テザー710が挿入された連結リング705のアイレットを出ることができる。他の例では、連結リング705は分離して開いて、テザー710を連結リング705から切り離すことができる。さらに、ステント170-aは、体腔205内に再位置付けられて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0097】
図7Cは、本開示の態様による、ステント170-aが完全に展開されたステント送達システム700を示している。ステント170-aが体腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔150、ガイドワイヤ180、一次拘束部材に連結されたテザー、および連結リングに連結されたテザーがアクセス部位210を通って引き抜かれる。
【0098】
図8は、本開示の態様による、内側プッシャーを用いて体腔へのアクセスを提供するためのシステム800の分解図を示している。システム800は、一般に、外側シース805、内側プッシャー830、ガイドワイヤ管腔850、ステント870、およびガイドワイヤ875を含む。システム800は、個々の構成要素、選択的に組み合わされた構成要素、または構成要素のキットとしてすべて一緒に提供することができる。外側シース805は、外側シースハンドル825がハンドルアセンブリの近位端に当接するまで、ハンドルアセンブリ(図示せず)に挿入されてもよい。一旦組み立てられると、外側シース805は、ハンドルアセンブリを通って標的体腔まで延在する。
【0099】
管腔アクセス手順の間、外側シース805は、例えば、管腔の壁に孔を開けることにより標的管腔にアクセスし得る。いくつかの例では、鋭利なスタイレットを外側シース805と組み合わせて使用して、管腔壁の貫通を促進することができる。例えば、鋭利なスタイレットは、組織を貫通するために外側シース805から突出するまで、外側シース805を通って前進させることができる。外側シース805が管腔にアクセスすると、ガイドワイヤ875は、外側シース805を通って管腔内に前進され得る。身体管腔内へのガイドワイヤ875の正しい載置後、ガイドワイヤ管腔850は、ガイドワイヤ875の上で体腔内に前進され得る。ガイドワイヤ管腔850は、一般に、体腔内にステント870を展開する大きさの管状構造であってもよい。そのようなものとして、ガイドワイヤ管腔850およびステント870は、ガイドワイヤ875の上で体腔内に前進させることができる。ガイドワイヤ管腔850を後退させてステント870を位置付けし、体腔のアクセス部位を覆うことができる。
【0100】
システム800は、例えば、胃腸系または膵胆管系内の1つ以上の体腔にアクセスして治療を提供するために使用されてもよい。システム800はまた、操作性および正確さが望ましい動脈系、気管支系、尿路系、または他の管腔系などの体内の他の器官または管腔系へのアクセスまたは治療を提供するために使用できることも理解されたい。
【0101】
システム800の外側シース805は、細長い管状体と、その近位端815から遠位端820まで延在する内部管腔810と、を有する。一般に、外側シース805は、体腔にアクセスし(例えば、管腔壁に孔を開けることにより)、1つ以上のデバイス(例えば、ガイドワイヤ875)が通り得る導管を提供し、その後の体腔または関連器官の治療を促進するように構成される。いくつかの実施形態を参照して説明したように、外側シース805は、ステント870、生検デバイス、医療用送達要素、または任意の数の他の治療または診断デバイスのその後の送達のために、身体管腔内のガイドワイヤ875の方向制御送達を促進する機能を含んでもよい。
【0102】
管腔部材830は、一般に、近位端835および遠位端840を有する細長い管状部材であり、外側シース805の内部管腔810を通って前進するような寸法にされている。内側プッシャー830はまた、内側プッシャー830の近位端835に連結された中間ハンドル845を含み、外側シース805に対する内側プッシャー830の長手方向の操作を容易にすることができる。特定の実施形態では、ステント870の近位部分が外側シース805内に拘束されると、内側プッシャー830は、ステント870の近位部分に当接してもよい。以下に説明するように、内側プッシャー830は、外側シース805を通って前進し、外側シース805からステント870の近位部分を展開するように構成される。
【0103】
ガイドワイヤ管腔850は、一般に、近位端855および遠位端860を有する細長い管状部材であり、内側プッシャー830の内部管腔を通ってガイドワイヤ875の上を摺動可能に前進するような寸法にされている。ガイドワイヤ管腔部材850は、外側シース805に対するガイドワイヤ管腔部材850の長手方向の操作を容易にするために、ガイドワイヤ管腔部材850の近位端855に連結されたハブ865も含むことができる。特定の実施形態では、ガイドワイヤ管腔850の遠位端860は、先端または膨らんだ部分を含む。以下に説明するように、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850に連結されてもよい。例えば、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850がステント870の管腔を通って延在しないサイドサドル構成であってもよい。いくつかの例では、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850と同心であってもよい。この構成は同心円と呼ばれることがあり、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の管腔を通って延在することができる。ステント870は、完全なサイドサドル、部分的なサイドサドル、または同心の構成の組み合わせでガイドワイヤ管腔850に連結されてもよい。
【0104】
ガイドワイヤ875は、一般に、外側シース805の内部管腔810を通って摺動可能に前進するように構成された可撓性の細長い部材である。ガイドワイヤ875は、その全長に沿ってサイズおよび剛性が均一であってもよく、代替的に、異なる剛性のセクションを含んでもよい。
【0105】
図9Aは、本開示の態様による、外側シースが取り外されたステント送達システム900を示している。外側シース805がアクセス部位210を通って近位に引き抜かれると、ステント870は、体腔205内に露出し得る。例えば、外側シース805がアクセス部位210に向かって後退すると、ステント870の遠位部分910が展開され得る。次いで、ステント870の遠位部分910は、体腔205内の狭窄に対する固定位置にあり得る。いくつかの例では、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850の周囲に完全に配置されてもよい。その場合、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の遠位部分910に沿ってステント870の内側にあり、近位部分905に沿ってステント870の外側にあってもよい。
【0106】
場合によっては、ステント870の近位部分905は、外側シース805の内側に残る場合がある。例えば、外側シース805がアクセス部位210に向かって後退すると、ステント870の近位部分905は、外側シース805の内側表面内にとどまり得る。外側シース805は、外側シース805の遠位端がアクセス部位210の内側表面と位置合わせする(またはほぼ位置合わせする)まで後退させることができる。
【0107】
ステント送達システムは、内側プッシャー830を含んでもよい。内側プッシャー830は、外側シース805の内側表面を通って延在していてもよい。場合によっては、内側プッシャーは、ガイドワイヤ管腔850上に摺動可能に配置されてもよい。ステント870の近位部分905を展開する前に、ステント870の近位部分905は、外側シース805内の内側プッシャー830の近位端に当接してもよい。
【0108】
ガイドワイヤ管腔850は、ステントアンカー915を含むことができる。ステントアンカー915は、ステント870がガイドワイヤ管腔850の外側にある場所(例えば、近位部分905が始まる場所から1~2cm遠位)から1~2cm遠位に位置させることができる。ステントアンカー915は、臨床医が再位置付けする前にステント870を再拘束する(すなわち、ステント870の遠位部分910を再拘束するために遠位方向に外側シース805を前進させる)ことができるように構成され得る。
【0109】
いくつかの例では、ガイドワイヤ管腔850は遠位先端を含んでもよい。遠位先端は、遠位先端の近位部分および遠位部分で先細になっていてもよい。場合によっては、遠位先端は、展開後にステント870を変位させることなく、ガイドワイヤ管腔850と同心であり得るステント870の部分を通ってガイドワイヤ管腔850の後退を促進するように構成され得る。
【0110】
外側シース805は、遠位マーカー920を含むことができる。例えば、遠位マーカー920は、外側シース805の遠位端の周囲に配置されてもよい。例えば、外側シース805は、遠位マーカー920がステントアンカー915の近位に来るまで後退されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、外側シース805がステントアンカー915を越えて後退すると、内側プッシャー830を前進させてステント870の近位部分905を体腔205に押すことができる。しかしながら、外側シース805がステントアンカー915を越えて後退すると、外側シース805は、ステント870の遠位部分910を再拘束するために遠位方向に前進させられない場合がある。
【0111】
場合によっては、外側シース805は、0.0010~0.0020インチの範囲の壁厚を有するエッチングされたPTFEライナーの内側ジャケットと、0.0040~0.0080インチの範囲の壁厚を有するポリエーテルブロックアミド(Pebax)材料の外側ジャケットを含み得る。外側シース805の近位部分はまた、内側PTFEライナーと外側ペバックスジャケットとの間に熱融着された編組補強材を含んでもよい。
【0112】
図9Bは、本開示の態様による、体腔205内で圧縮されたステント870の近位部分905を有するステント送達システム900を示している。外側シース805がアクセス部位210に向かって後退すると、内側プッシャー830を矢印925で示すように遠位方向に前進させて、外側シース805の遠位端から近位部分905を押すことができる。例えば、中間ハンドル845を遠位方向に前進させて、内側プッシャー830を前進させることができる。内側プッシャー830が前進すると、ステント870の近位部分905が外側シース805から出始め、ステント870の遠位部分910に対して圧縮され得る。示されるように、近位部分905が固定遠位部分910に向かって前進するにつれて、ステント870はアコーディオンのように圧縮され得る。ステント870の近位部分905が外側シース805を完全に出るまで、内側プッシャー830を前進させることができる。場合によっては、内側プッシャー830の遠位端が外側シース805の遠位端と位置合わせするまで、内側プッシャー830を前進させることができる。
【0113】
内側プッシャー830が前進すると、外側シース805は、固定位置に留まることができる。すなわち、外側シース805に連結された外側シースハンドル825は、静止位置にロックされ得、内側プッシャー830に連結された中間ハンドル845は遠位方向に前進し得る。例えば、外側シース805は、クランプ機構またはロック機構(例えば、Touhyブースト)を介して内視鏡にロックされてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔850の近位ハンドル865は、内側プッシャー830が遠位方向に前進するときにロック位置にとどまることがある。
【0114】
図9Cは、本開示の態様による、ステント870が完全に展開されたステント送達システム900を示している。ステント870を体腔205内に展開するために、ステント870全体が体腔205内に押し込まれるまで内側プッシャー830を前進させることができる。ガイドワイヤ管腔850およびガイドワイヤ875がアクセス部位210を通って引き抜かれると、ステント870は、ステント870の近位部分905が拡張することができアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うように完全に展開され得る。その場合、近位部分905は、ステント870がアコーディオンのように圧縮されたという事実により、アクセス部位210を覆うために「跳ね返る」または反動することがある。自己拡張型ステントの場合、ステント870は拡張して体腔205の内側表面に接触する。
【0115】
図10Aは、本開示の態様による、カプラー1020を備えたステント送達システム1000を示している。外側シース805が近位に引き抜かれると、ステント870は体腔205内に露出し得る。場合によっては、再位置付けが必要な場合、外側シース805を遠位に前進させてステント870を覆うことができる。ステント870の所望の解剖学的位置が体腔205内で達成されると、外側シース805を後退させることができる。
【0116】
場合によっては、ステント870は、一次拘束部材1015によってガイドワイヤ管腔850と解放可能に連結されてもよい。例えば、一次拘束部材1015は、ステント870の遠位部分1010をガイドワイヤ管腔850の遠位セクションに連結し得る。場合によっては、近位拘束部材1015は、近位部分1005をガイドワイヤ管腔850に連結することなく、ステント870の近位部分1005の周囲に結び付けることができる。いくつかの例では、
図3~5を参照して説明したように、一次拘束部材1015は、ステント870の周囲に結び付けられたフィラメント、ステント870の周囲に巻き付けられたワイヤ、ステントの870周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたワイヤフレーム、分割可能なシース、またはそれらの組み合わせの例であり得る。場合によっては、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850の周囲に部分的に配置されてもよい。例えば、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の近位部分1005に沿ってステント870の外側にあってもよく、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の遠位部分1010に沿ってステント870の内側にあってもよい。
【0117】
ステント送達システム1000は、カプラー1020を含んでもよい。カプラー1020は、ガイドワイヤ管腔850の遠位セクションを、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションに結合することができる。例えば、ガイドワイヤ管腔850は、別個の同心シャフト構成要素(例えば、遠位セクションおよび近位セクション)を含むことができ、ガイドワイヤ管腔850の遠位セクションおよび近位セクションは各々、カプラー1020を介して互いに接合され得る。場合によっては、カプラー1020は、ステント870の近位部分1005の下に位置してもよい。他の例では、カプラー1020は、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションとガイドワイヤ管腔850の近位ハンドル865との間の接合部に位置してもよい。
【0118】
カプラー1020は、金属、プラスチック、またはその両方を含むがこれらに限定されないいくつかの材料で作製されてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションおよび遠位セクションは、接着剤、溶接、またはその両方によってカプラー1020に取り付けられてもよい。カプラー1020の直径は、ガイドワイヤ管腔850の直径に応じて変化し得る。
【0119】
いくつかの例では、ステント870の近位部分1005は、ガイドワイヤ管腔850の底部に位置合わせされ得る(例えば、アクセス部位210に面する)。その場合、ステント870がアクセス部位210に向かって後退すると、ステント870の近位部分1005が壁215またはアクセス部位210に引っかかる可能性がある。以下により詳細に説明するように、ステント870が壁215またはアクセス部位210に引っかかるのを防止するために、ステント870を回転させて、ステント870の近位部分1005をガイドワイヤ管腔850の上部に位置合わせすることができる(例えば、アクセス部位210から離れるように面する)。
【0120】
図10Bは、本開示の態様による、ステント870およびカプラー1020がアクセス部位210に向かって後退したステント送達システム1000を示している。外側シース805がアクセス部位210を通って引き抜かれると、ステント870-aは、矢印250で示されるように、近位方向にアクセス部位210に向かって引っ張られ得る。ガイドワイヤ管腔850を近位方向に引っ張ることにより、ステント870をアクセス部位210に向かって後退させることができる。例えば、ステント870の近位部分1005がアクセス部位210を少なくとも部分的に覆うまで、ステント870をアクセス部位210に向かって引っ張ることができる。さらに、ステント870は、体腔205内で再位置付けされて、アクセス部位210を少なくとも部分的に覆うことができる。場合によっては、ステント870の近位部分1005は、ステント870が後退するときに、一次拘束部材1015が、近位部分1005が、体腔の壁215に引っかかるのを防止するように結び付けられてもよい。
【0121】
場合によっては、ステント870を回転させて、ステント870の近位部分1005をガイドワイヤ管腔850の上部に位置合わせさせることができる(例えば、アクセス部位210から離れるように面するように)。ステント870の近位部分1005を回転させるために、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションは、カプラー1020を介して回転し得る。例えば、ステント870の近位部分1005は、ガイドワイヤ管腔850(例えば、カプラー1020を含む)を近位に引き抜き、アクセス部位210を通って戻すことにより、アクセス部位210から離れるように回転することができる。この場合、ガイドワイヤ管腔850は張力下にあり、体腔205の内側曲線と位置合わせするように構成されてもよい。例えば、ガイドワイヤ管腔850は、体腔205の内側曲線まで引っ張られてもよく、カプラー1020は、ステント870の近位部分1005を体腔205の外側曲線に向かって回転させてもよい。場合によっては、ステント870が後退するときに、カプラー1020が、ステント870の近位部分1005が体腔205の壁215に引っかかるのを防止するように、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションをアクセス部位210から離れるように回転させることができる。この場合、ガイドワイヤ管腔850の近位セクションが回転する間、ガイドワイヤ管腔850の遠位セクションは静止位置にとどまることができる。
【0122】
図10Cは、本開示の態様による、ステント870が完全に展開されたステント送達システム1000を示している。体腔205内にステント870を展開するために、一次拘束部材が解放され得る。場合によっては、ステント870は、一次拘束部材を近位方向に引っ張るか、一次拘束部材に連結された1つ以上のテザーを引っ張るか、またはその両方によって展開されてもよい。自己拡張型ステントの場合、ステント870は拡張して体腔205の内側表面に接触する。ステント870が身体管腔205内で拡張すると、ガイドワイヤ管腔850およびガイドワイヤ875はアクセス部位210を通って引き抜かれる。
【0123】
図11は、本開示の態様による、位置付け部材を備えたステント送達システム1100を示している。位置付け部材は、突出部1105-a、1105-b、および1105-c、ならびに回転リング1110-aおよび1110-bを含み得る。突出部1105-a、1105-b、および1105-cならびに回転リング1110-aおよび1110-bは、ガイドワイヤ管腔850に同心円状に装填されてもよい。
【0124】
突出部1105-a、1105-b、および1105-cは、ポリイミドを含むがこれに限定されないいくつかの材料で作られてもよい。回転リング1110-aおよび1110-bが突出部1105-a、1105-b、および1105-cの長さ以上の距離だけ分離され得るように、突出部1105-a、1105-b、および1105-cをガイドワイヤ管腔850に接合することができる。
【0125】
回転リング1110-aおよび1110-bは、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド製品のファミリー(すなわち、Ultem)、他の金属、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないいくつかの材料で作製されてもよい。回転リング1110-aおよび1110-bは、回転リング1110-aおよび1110-bがガイドワイヤ管腔850の周囲を自由に回転できるように、ガイドワイヤ管腔850に解放可能に連結されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、回転リング1110-aおよび1110-bは、ステントを回転させて、ステントの近位部分をアクセス部位から離れるように位置合わせさせることができる。
【0126】
場合によっては、突出部1105-a、1105-b、および1105-cは、スペーサ1115-a、1115-b、1115-c、および1115-dによって回転リング1110-aおよび1110-bから離れるように載置されていてもよい。例えば、突出部1105-aは、スペーサ1115-aによって回転リング1110-aから分離されてもよい。スペーサ1115-a、1115-b、1115-c、および1115-dは、ナイロンを含むがこれに限定されないいくつかの材料で作られてもよい。
【0127】
いくつかの例では、近位位置付け部材1120は、突出部1105-aの縁部に当接していてもよく、遠位位置付け部材1125は、突出部1105-cの縁部に当接していてもよい。近位位置付け部材1120および遠位位置付け部材1125は、Pebaxを含むがこれに限定されないいくつかの材料で作られてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、近位位置付け部材1120および遠位位置付け部材1125は、ステントに取り付けられた一次拘束部材のストッパーとして機能してもよい。
【0128】
場合によっては、回転リング1110-aおよび1110-bは、単一の回転リングの一例であり得る。他の例では、回転リング1110-aは、近位位置付け部材1120に当接し、回転リング1110-bは、遠位位置付け部材1125に当接してもよい。
【0129】
図12A~Cは、本開示の態様による、位置付け部材上に配置されたステントを備えたステント送達システム1200を示している。
図10A~Cを参照して説明したように、位置付け部材(例えば、突出部1105-a、1105-b、および1105-cならびに回転リング1110-aおよび1110-bを含む)を使用して、ガイドワイヤ管腔850の上部のステント870の近位部分1005を回転させることができる(例えば、アクセス部位から離れるように面している)。
【0130】
場合によっては、ステント870は、ガイドワイヤ管腔850の周囲に部分的に配置されてもよい。例えば、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の近位部分1005に沿ってステント870の外側にあってもよく、ガイドワイヤ管腔850は、ステント870の遠位部分1010に沿ってステント870の内側にあってもよい。場合によっては、ステント870は、一次拘束部材1015-aおよび1015-bによってガイドワイヤ管腔850と解放可能に連結されてもよい。例えば、一次拘束部材1015-aは、ステント870の遠位部分1010を回転リング1110-aに連結し得、一次拘束部材1015-bは、ステント870の遠位部分1010を回転リング1110-bに連結し得る。いくつかの例では、
図3~5を参照して説明したように、一次拘束部材1015-aおよび1015-bは、ステント870の周囲に結び付けられたフィラメント、ステント870の周囲に巻き付けられたワイヤ、ステントの870周囲に少なくとも部分的に巻き付けられたワイヤフレーム、分割可能なシース、またはそれらの組み合わせの例であり得る。
【0131】
図12Aを参照して説明されるように、ステント870の近位部分1005は、ガイドワイヤ管腔850の底部に位置合わせされ得る(例えば、アクセス部位に面する)。その場合、
図10A~Cを参照して説明したように、ステント870がアクセス部位に向かって後退すると、ステント870の近位部分1005が、壁またはアクセス部位に引っかかる場合がある。ステント870が壁またはアクセス部位に引っかかるのを防止するために、ステント870を回転させて、ステント870の近位部分1005をガイドワイヤ管腔850の上部に位置合わせすることができる(例えば、アクセス部位から離れるように面する)。
【0132】
図12Bを参照して説明したように、ステント870を回転させて、ステント870の近位部分1005をガイドワイヤ管腔850の上部に位置合わせすることができる(例えば、アクセス部位から離れるように面する)。ステント870の近位部分1005を回転させるために、ステント870の遠位部分1010は、回転リング1110-aおよび1110-bを介して回転し得る。例えば、ステント870の近位部分1005および遠位部分1010は、ガイドワイヤ管腔850を近位に引き抜き、アクセス部位を通って戻すことにより、アクセス部位から離れるように回転することができる。その場合、一次拘束部材1015-aおよび1015-bを介してそれぞれ回転リング1110-aおよび1110-bに連結されたステント870の遠位部分1010は、回転し得る。すなわち、回転リング1110-aおよび1110-bは、ガイドワイヤ管腔850に対して回転し得る。
【0133】
図12Cを参照して説明したように、ステント870の近位部分1005を回転させて、ステント870の近位部分1005をガイドワイヤ管腔850の上部に位置合わせすることができる(例えば、アクセス部位から離れるように面する)。この場合、回転リング1110-aおよび110-bは、
図10A~Cを参照して説明したように、ステント870が後退するときに、ステント870の近位部分1005が、体腔205の壁に引っかかることを防止し得る。この場合、ガイドワイヤ管腔850に接合された突出部1105-a、1105-b、および1105-cは、回転リング1110-aおよび1110-bがガイドワイヤ管腔850の周囲を回転している間、静止位置に留まることができる。
【0134】
図13は、本開示の態様による、レーザー切断された外側シース805を備えたステント送達システム1300を示している。場合によっては、外側シース805は、1つまたはレーザーカット1310を含んでもよい。例えば、レーザーカット1310は、外側シース805を取り囲んでスプライン1305を形成してもよい。その場合、レーザーカット1310は、外側シース805の部分的な周辺の周囲に延在して、スプライン1305に当接してもよい。スプライン1305は、外側シース805の近位端から外側シース805の遠位端まで延在することができる。場合によっては、レーザーカット1310は、複数のパターンで外側シース805に付与されてもよい。例えば、レーザーカット1310は、螺旋状スプラインを形成するために切断されてもよい。いくつかの例では、螺旋スプラインは外側シース805の遠位部分に沿って延在してもよく、縦スプラインは外側シース805の近位部分に沿って延在してもよい。
【0135】
場合によっては、レーザーカット1310に対してステントを外側シース805内に装填してもよい。例えば、ステントの近位部分が体腔の内壁から離れるように配向されるように、体腔内でステントを位置合わせするために、ステントの近位部分は、スプライン1305とは180度反対に位置付けされてもよい。場合によっては、スプライン1305は、外側シース805に付与されたレーザーカット1310よりも高い剛性を含んでもよい。例えば、隆起した突出部1305は、胆管のより小さい曲率に位置合わせし(例えば、曲げの抵抗が最小の経路を採用する)、胆管の曲率の内側半径に位置合わせし得る。そのような場合、外側シース805は、胆管の曲率の内側半径に位置合わせし、それにより、ステントを胆管の内側曲率と位置合わせしてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔が、ステント内で回転する場合がある。
【0136】
ステントの近位部分がスプライン1305の反対側に位置付けされる場合、ステントの近位部分は、外側シース805が後退した後に胆管の曲率の外側半径に沿って拡張する場合がある。すなわち、ステントの近位部分は、外側シース805が後退したときに体腔の内壁から離れるように展開する場合がある。これは、ステントがアクセス部位を覆うように後退するときに、ステントの近位部分が体腔の内壁またはアクセス部位に引っかかるのを防止することができる。外側シース805は、ニチノールを含むがこれに限定されない多くの金属材料で作製されてもよい。
【0137】
図14は、本開示の態様による、隆起した突出部外側シースを備えたステント送達システム1400を示している。場合によっては、外側シース805は、隆起した突出部1405を含んでもよい。例えば、隆起した突出部1405は、外側シース805の遠位端から近位端まで延在することができる。隆起した突出部1405は、外側シース805の外側表面1410と外側シース805の内側表面1415との間に配置されてもよい。いくつかの例では、外側シース805の内側表面1415は、PTFEライナーの例であり得る。他の例では、外側シース805の外側表面1410は、低デュロメータの材料で作製されていてもよい。場合によっては、隆起した突出部1405は、高デュロメータの材料で作製されていてもよい。隆起した突出部1405は、幅が、約1~3mmであってもよい。
【0138】
場合によっては、隆起した突出部1405に対してステントを外側シース805内に装填してもよい。例えば、ステントの近位部分が体腔の内壁から離れるように配向されるように、体腔内でステントを位置合わせするために、ステントの近位部分は、隆起した突出部1405とは180度反対に位置付けされてもよい。隆起した突出部1405は、隆起した突出部1405のない外側シース805の部分よりも高い剛性を含むことができる。例えば、隆起した突出部1405は、胆管のより小さい曲率に位置合わせし(例えば、曲げの抵抗が最小の経路を採用する)、胆管の曲率の内側半径に位置合わせし得る。そのような場合、外側シース805は、胆管の曲率の内側半径に位置合わせし、それにより、ステントを胆管」の内側曲率と位置合わせしてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ管腔が、ステント内で回転する場合がある。
【0139】
ステントの近位部分が隆起した突出部1405の反対側に位置付けされる場合、ステントの近位部分は、外側シース805が後退した後に、胆管の曲率の外側半径に沿って拡張する場合がある。例えば、外側シース805を後退させてステントを展開することができ、ステントの近位部分を体腔の内壁から離れるように展開することができる。これは、ステントがアクセス部位を覆うように後退するときに、ステントの近位部分が体腔の内壁またはアクセス部位に引っかかるのを防止することができる。
【0140】
図15は、本開示の態様による、有線外側シースを備えたステント送達システム1500を示している。場合によっては、外側シース805は、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bを含むことができる。例えば、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、外側シース805の遠位端から近位端まで延在することができる。第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、外側シース805の外側表面1510と外側シース805の内側表面1515との間に配置されてもよい。いくつかの例では、外側シース805の内側表面1515は、PTFEライナーの例であり得る。場合によっては、螺旋状編組ジャケットを外側シース805の内側表面1515に配置してもよい。外側シース805の外側表面1510は、ポリマー材料で作られていてもよい。第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、ステンレス鋼を含むがこれに限定されないいくつかの金属材料で作製されてもよい。場合によっては、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、互いに180度反対に位置付けされてもよい。
【0141】
場合によっては、ステントは、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bに対して外側シース805内に装填されてもよい。例えば、ステントの近位部分が体腔の内壁から離れるように配向されるように、体腔内でステントを位置合わせするために、ステントの近位部分は、第1のワイヤ1505-aと第2のワイヤ1505-bとは90度反対に位置付けされてもよい。例えば、ステントは、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bの反対側に90度の方向に外向きに展開し得る。場合によっては、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bのない外側シース805の部分よりも高い剛性を含むことができる。例えば、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bは、胆管の、より小さい曲率に位置合わせし(例えば、曲げの抵抗が最小の経路を採用する)、胆管の曲率の内側半径に位置合わせし得る。この場合、第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bのない外側シース805の部分は、胆管の曲率の内側半径を揃えることができる。
【0142】
ステントの近位部分が第1のワイヤ1505-aおよび第2のワイヤ1505-bの90度反対側に位置付けされる場合、ステントの近位部分は、外側シース805が後退した後に、胆管の曲率の外側半径に沿って拡張する場合がある。例えば、外側シース805を後退させることができ、ステントの近位部分を体腔の内壁から離れるように展開することができる。これにより、ステントが後退してアクセス部位の少なくとも一部分を覆うときに、ステントの近位部分が体腔の内壁またはアクセス部位に引っかかるのを防止することができる。
【0143】
場合によっては、外側シース805は、第3のワイヤ(図示せず)を含んでもよい。その場合、第1のワイヤ1505-a、第2のワイヤ1505-b、および第3のワイヤは、外側シース805の周辺の周囲に90度離れるように位置付けされてもよい。第2のワイヤ1505-bは、胆管の、より小さい曲率に位置合わせさせ、胆管の曲率の内側半径に位置合わせさせてもよい。第1のワイヤ1505-aおよび第3のワイヤは、第2のワイヤ1505-bの反対側に90度位置合わせしてもよい。すなわち、ステントは、第1のワイヤ1505-aと第3のワイヤとの間(例えば、第2のワイヤ1505-bに対して180度反対)から外向きに展開することができる。場合によっては、外側シース805は、
図14を参照して説明したように、隆起した突出部を含んでもよい。その場合、第1の1505-a、第2のワイヤ1505-b、および隆起した突出部は、外側シース805の周辺の周囲に120度離れるように位置付けされてもよい。
【0144】
図16を参照すると、膵臓胆道系内の体腔へのアクセスを提供するためのシステム1600が、本開示の態様に従って示されている。システム1600は、
図1~15のいずれかを参照して説明されるシステムまたは構成要素の機能例であるか、または機能を含むことができる。膵胆管系の図示された部分には、胆嚢管1635(胆嚢1630から排出)と総肝管1640(肝臓1645から排出)の両方から、胆汁が混ざり合い、消化する食物と反応する十二指腸1615に胆汁を排出する総胆管1605が含まれる。示されるように、総胆管1605は、主要十二指腸乳頭を通って十二指腸1615に排出される前に、ファーター膨大部1610(閉塞状態で示される)で膵管1620と結合する。
【0145】
臨床医は、内視鏡1625(例えば、EUS内視鏡)を患者の十二指腸1615の管腔内に胆管を視覚化できる位置に(例えば、内視鏡検査によって)前進させてもよい。次いで、臨床医は、内視鏡1625の作業チャネルから十二指腸1615の壁を通って(すなわち、十二指腸を介して)、次いで総胆管1605の壁を通って別個のアクセスデバイスを前進させることにより総胆管1605にアクセスし得る。
【0146】
次いで、臨床医は、別個のアクセスデバイスを介してガイドワイヤ875を挿入することができ、それにより、ステント送達システム1650をガイドワイヤ875の上で追跡することが可能になる。ステント送達システム1650が総胆管1605内に前進した後、
図2~9を参照して説明したように、ステント送達システム1650を引っ張り戻して、アクセス部位の上にステントを位置付けすることができる。場合によっては、
図10~15を参照して説明したように、アクセス部位の上にステントを載置するようにステント送達システム1650を再位置付けすることができる。ステント送達システム1650は、
図1~15のいずれかを参照して説明されるシステムまたは構成要素の一例であり得る。
【0147】
図17は、本開示の態様を用いてアクセス部位を覆うためのステント送達のための方法1700のフローチャートを示している。ブロック1705で、方法は、
図8および9を参照して説明されている体腔の壁のアクセス部位を通ってステントを送達することを含み得る。
【0148】
ブロック1710で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シース内からステントの遠位部分を展開することを含み得る。いくつかの例では、遠位部分を展開するプロセスは、ステントの遠位部分が体腔内で拡張するように、アクセス部位に向かって外側シースを後退させることをさらに含み得る。
【0149】
ブロック1715で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在して、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように外側シースからステントの近位部分を押すことをさらに含み得る。いくつかの例では、方法は、外側シースからステントの近位部分を押すプロセスは、内側プッシャーを遠位方向に前進させることをさらに含み、内側プッシャーは、少なくとも部分的に外側シース内に配置され、ステントの近位部分と連結される。場合によっては、ステントの近位部分を外側シースから押すプロセスは、ステントの近位部分が外側シースを完全に出るまで内側プッシャーを前進させることを含む。
【0150】
図18は、本開示の態様を用いてアクセス部位を覆うためのステント送達のための方法1800のフローチャートを示す。ブロック1805で、方法は、
図8および9を参照して説明されている体腔の壁のアクセス部位を通って前記ステントを送達することを含み得る。
【0151】
ブロック1810で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シース内からステントの遠位部分を展開することを含み得る。いくつかの例では、遠位部分を展開するプロセスは、ステントの遠位部分が体腔内で拡張するように、アクセス部位に向かって外側シースを後退させることをさらに含み得る。
【0152】
ブロック1815で、方法は、
図8および9を参照して説明されている遠位部分が固定位置に留まるように、ステントの遠位部分を体腔内の狭窄部に対して固定することを含み得る。
【0153】
ブロック1820で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在して、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように外側シースからステントの近位部分を押すことを含み得る。いくつかの例では、方法は、外側シースからステントの近位部分を押すプロセスは、内側プッシャーを遠位方向に前進させることをさらに含み、内側プッシャーは、少なくとも部分的に外側シース内に配置され、ステントの近位部分と連結される。場合によっては、ステントの近位部分を外側シースから押すプロセスは、ステントの近位部分が外側シースを完全に出るまで内側プッシャーを前進させることを含む。
【0154】
図19は、本開示の態様によるアクセス部位を覆うためのステント送達のための方法1900のフローチャートを示す。ブロック1905で、方法は、
図8および9を参照して説明されている体腔の壁のアクセス部位を通ってステントを送達することを含み得る。
【0155】
ブロック1910で、方法は、
図8および9を参照して説明されているステントの近位部分を外側シース内に維持しながら、アクセス部位に向かって外側シース後退させることを含み得る。いくつかの例では、外側シースを後退させるプロセスは、外側シースの遠位端をアクセス部位の体腔の壁と位置合わせすることをさらに含み得る。
【0156】
ブロック1915で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シース内からステントの遠位部分を展開することを含み得る。いくつかの例では、遠位部分を展開するプロセスは、ステントの遠位部分が体腔内で拡張するように、アクセス部位に向かって外側シースを後退させることをさらに含み得る。
【0157】
ブロック1920で、方法は、
図8および9を参照して説明されている外側シースを完全に出ると、近位部分が近位に延在して、ステントでアクセス部位を少なくとも部分的に覆うように外側シースからステントの近位部分を押すことを含み得る。いくつかの例では、方法は、外側シースからステントの近位部分を押すプロセスは、内側プッシャーを遠位方向に前進させることをさらに含み、内側プッシャーは、少なくとも部分的に外側シース内に配置され、ステントの近位部分と連結される。場合によっては、ステントの近位部分を外側シースから押すプロセスは、ステントの近位部分が外側シースを完全に出るまで内側プッシャーを前進させることを含む。
【0158】
これらの方法は、可能な実装を記述し、操作およびステップは、他の実装が可能になるように再配列または変更される可能性があることに注意する必要がある。いくつかの例では、2つ以上の方法の側面を組み合わせることができる。例えば、各方法の態様は、他の方法のステップまたは態様、または本明細書で説明される他のステップまたは技術を含み得る。
【0159】
本明細書の説明は、当業者が本開示を作成または使用できるようにするために提供される。本開示に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で説明される例および設計に限定されるべきではなく、本明細書で開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0160】
開示のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されているが、当業者は、機能を実行するため、または本明細書に記載の結果または1つ以上の利点を得るための様々な他の手段または構造を容易に想像するであろうし、そのような変形または修正の各々は、本開示の範囲内であるとみなされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、または構成が、本開示の教示が使用される特定の用途または複数の用途に依存することを容易に理解するであろう。
【0161】
当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書に記載の開示の特定の実施形態の多くの同等物を認識または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、具体的に説明および請求された以外の方法で本開示を実施できることを理解されたい。本開示は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、または方法の各々を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、または方法が相互に矛盾しない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、本開示の範囲内に含まれる。
【0162】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれた文書の定義、または定義された用語の通常の意味を制御すると理解されるべきである。
【0163】
明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される不定冠詞「1つ(a)」および「1つ(an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。また、特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、アイテムのリストで使用される「または」(例えば、「少なくとも1つ」または「1つ以上」などのフレーズが前に付いたアイテムのリスト)は、例えば、A、B、またはCの少なくとも1つのリストが、AまたはBまたはCまたはABまたはACまたはBCまたはABC(すなわち、AおよびBおよびC)を意味するような包括的なリストを示す。
【0164】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」という言及は、その実施形態態と関連する特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。